説明

薬剤管理用識別システム及び方法

【課題】患者を正しい薬剤治療に関連付ける自動識別システム及び方法を提供する。
【解決手段】薬剤管理用識別システムは、コントローラと、コントローラがアクセス可能で、薬剤情報のデータセットを含む複数の薬剤ライブラリプロファイルを含んだ薬剤ライブラリと、患者が装着する機械読み取り可能な識別手段の患者識別情報を読み取るとともに、薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段の薬剤情報を読み取るように構成された識別モジュールとを備える。コントローラは、読み取り情報を互いに比較するとともに薬剤ライブラリプロファイルと比較し、不一致が生じる場合に警告またはエラー信号を送信する。コントローラは更に、薬剤または薬剤容器に付された薬剤情報を、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルと比較して薬剤情報と薬剤ライブラリプロファイルとの間に不一致が生じる場合に警告またはエラーメッセージを送信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、薬液注入に関し、特には、正しい薬剤が患者に注入されるように患者及び薬剤を識別することに関する。
【背景技術】
【0002】
医師及び他の医療担当者は静脈内(intravenous:“IV”)注入療法を適用して患者の種々の合併症を治療する。IV注入療法では通常、薬剤または栄養剤のような薬液をバッグ、ボトル、または他の容器のような薬液供給装置から輸液セットのチューブを通して、患者の血管に挿入されるカニューレ(cannula)に注入する。通常の施設では、医師は特定患者に関する薬剤オーダーを入力する。このオーダーは簡単な処方箋用紙として処理することができる、または医師オーダーエントリー(physician order entry:POE)システムのような自動システムに入力することができる。処方箋用紙、またはPOEシステムの電子処方箋は薬局に送付され、当該薬局では、オーダーをチェックし、空欄を埋める。通常、薬局は医師からのオーダーを患者が起こし得るアレルギーに関してチェックし、そして2つ以上の薬剤が処方されている場合には生じ得る薬の副作用に関してチェックし、更に禁忌薬(contra−indications)に関してチェックする。薬剤をIV(静脈注射)によって投与する必要がある場合、処方薬剤は薬剤師が調剤し、そしてバッグまたはボトル、或いは他の適切な容器に薬局で充填される。更に、薬剤師は通常、調剤オーダーを確認し、バッグまたはボトルの中身を確認し、そしてバッグまたはボトルの使用対象となる患者を、バッグまたはボトルに貼付される紙ラベルにより識別し、そして或る場合には、例えばバーコードまたは磁気デバイスを含む他の手段により、またはRFIDタグのような、無線周波数(RF)信号を用いる双方向デバイスを使用することにより識別する。経口薬のように薬剤がIV(静脈注射)以外の方法で投与される場合、薬剤自体にオーダーまたは薬剤情報(患者識別子を含む)をラベル貼付することができる、または薬剤をラベル貼付された容器に充填することができる。施設によって変わるが、薬剤は搬送機に搭載してナースステーションに搬送することができる。一旦、ナースステーションに搬送されると、処方箋を、投与用として識別された薬剤に関して再度チェックして間違いが生じていないことを確認する。全てがオーダー通りになっている場合、薬剤が次に患者に投与される。
【0003】
薬物治療過誤、すなわち薬剤のオーダリング、調剤、及び投与に生じる過誤は、これらの過誤によって傷害が発生したかどうかに関係なく、施設現場におけるヘルスケアの提供に際する重要課題である。医療介入を必要とする薬物を含み、かつ最も深刻な薬物治療過誤の幾つかを表わす傷害として定義される薬物有害事象(adverse drug events:ADE)は、多数の患者に傷害を与え、死に至らしめる原因となる。ヘルスケア施設は常に、薬物治療過誤の発生を減らす方策を探索している。種々のシステム及び方法が現在、予防可能な薬物有害事象(preventable adverse drug events:PADE)及び他の薬物治療過誤の発生頻度及び深刻さを低減するために開発されている。薬剤投与では通常、次の5つの「正しい(right)」または要素に注目する、すなわち正しい薬剤が正しい患者に、正しい量で、正しいルートを通して、そして正しい時間に投与される。ADE及びPADEを低減しようとするためのシステム及び方法はこれらの5つの「正しい」を考慮に入れる必要がある。
【0004】
安全性の理由から、そして最適な結果を得るために、薬剤は多くの場合、医師が処方した正確な量で、かつ注入ポンプを使用することにより高精度に制御された形で投与される。注入ポンプは、輸液セットの薬液を移動させて薬液を薬液供給装置からチューブを通して患者に送り込むことにより作動する。注入ポンプは、看護師のような臨床担当者が動作パラメータでプログラムすることにより、薬剤を医師が処方した通りに注入する。このような動作パラメータまたはポンプパラメータは薬剤固有かつ患者固有である。すなわち、ポンプパラメータは特定の処方薬剤、及びこれらのパラメータが適用される特定の患者に基づいて選択される。処方薬剤を正しい患者に、かつ正しくプログラムされたポンプに一致させるのは看護師の責任である。
【0005】
薬剤注入ポンプは長年に渡って著しく進歩し、かつ薬剤注入ポンプによって更に高精度の注入制御が可能になって患者の治療が格段に向上している。医者は、医者が担当患者に処方する用量及び注入流量に従って注入ポンプによって患者に正確に投与を行なって最適な治療効果を達成することができることに一層自信を深めている。しかしながら、正しい薬剤を正しいポンプに、かつ正しい患者に一致させるという問題が依然として残っている。
【0006】
これまで、正しい薬剤を正しい患者に正しいポンプにより投与する操作を確実に行なおうとする試みが為されてきた。一例として、薬剤及び患者を特定するバーコードラベルが薬剤を収納するバッグに薬局で貼付される。臨床担当者が手動でポンプをプログラムした後、ポンプに接続されるバーコードスキャナを使用して、薬剤のバッグに貼付されたバーコードラベルを読み取って当該ラベルがポンプにプログラムされた薬剤と同じ薬剤を指定していることを確認する。別の例として、薬剤のバッグに貼付されたバーコードラベルを、ポンプのハウジングに組み込まれたバーコードスキャナで読み取ってポンプを自動的にプログラムするので、手動プログラム操作を完全に無くすことができる。しかしながら、先行技術によるシステムはスキャンした薬物または薬剤を薬剤ライブラリ記入項目に関連付けることがないので、用量限界及び正しい薬剤、正しい患者を一括して遵守するということができない。しかしながら、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に本拠を置くカーディナル ヘルス(Cardinal Health)のALARIS製品であるMedley medication safety systemは、このレベルの遵守をネットワーク環境及び非ネットワーク環境で実現する。
【0007】
これらの高性能注入ポンプは静脈注射(“IV”)薬剤を投与する方法を、用量限界遵守を実現することにより大幅に改善しているので、正しい用量の薬剤を患者に確実に投与することができる。これらのポンプに依然として不足している点は、正しい薬剤をポンプの薬剤ライブラリから自動的に選択し、投与される薬剤が、ポンプに現時点で接続されている患者に向けられたものであることと、薬剤を投与する臨床担当者が投与する資格を付与されていることを保証する機能である。
【0008】
名前が示す通り、マルチチャネル注入ポンプ(multi−channel infusion pumps)は一つよりも多くのポンプチャネルを持ち、そして該当する注入ラインまたは輸液セットを各チャネルに組み込むことができる。この構造により、各チャネルのポンプをプログラムして、チャネルに組み込まれた該当する注入ラインまたはセットを流れる特定薬剤を注入し、各ラインが異なる薬剤を異なる流量で流す、または異なる量だけ流すことができるようにする。一人の患者に対して、4種類以上の場合もある、異なる薬剤の複数の注入を同時に行なうように処方する必要がある場合、マルチチャネル注入ポンプは極めて優れた利点を発揮する。一つのポンプの各チャネルは異なる状態にプログラムすることができる。このようなマルチチャネル注入ポンプはモジュールとすることができ、この場合、チャネルの数は変えることができる、またはデュアルチャネルポンプのように固定することができる。ほとんどの場合において、マルチチャネル注入ポンプの全てのチャネルは共通コントローラまたはプロセッサによって制御される。別の構成として、複数のシングルチャネルポンプを使用して複数の薬剤を患者に同時に注入することができる。注入をマルチチャネルポンプによって、または複数のシングルチャネルポンプによって行なうかどうかに関係なく、患者に複数の注入薬剤を注入する場合に生じる可能性のある一つの問題は、各注入チャネルまたはポンプが正しくプログラムされて、当該チャネルまたはポンプの該当する薬剤を送り込むことの確認を行う必要があることである。すなわち、ポンプの特定のポンプまたはチャネルは正しくプログラムされて、当該チャネルまたはポンプの輸液ラインの接続先の容器の特定薬剤を送り込む必要がある。
【0009】
更に、正しい患者に投与するための正しい薬剤が給付され、かつ各注入ラインの薬剤が正しいと認識される場合でも、当該薬剤はそれにも拘らず、ポンプが間違った注入パラメータでプログラムされている場合には不正に投与されてしまう恐れがある。例えば、薬剤オーダーが正しい注入パラメータを含んでいる場合でも、これらのパラメータが不正に注入ポンプに入力されて、注入ポンプが処方通りの治療が行なわれないような形で薬剤を注入してしまうことがある。看護師は注入を間違った時間に開始する、または注入を行なうことを失念する恐れもあり、これによって間違った治療が行なわれ、医師によって処方された他の薬剤治療計画を狂わせてしまう恐れがある。薬剤のこのように不正な投与は、薬剤を、注入ポンプのような自動または半自動投与器具を使用して投与する予定の場合でも、自動器具が間違った薬剤投与パラメータでプログラムされると生じ得る。薬剤治療がバーコードを使用して行なわれ、かつ当該バーコードが注入パラメータを含む構成の自動システムにおいても、過誤は生じ得る。バーコードは不正に印刷されている恐れがある、またはバーコードに汚れが付いてバーコードを正確に読み取ることができず、実際に間違って読み取られる恐れがある。他の場合では、バーコードが単に不正である恐れがある。このような危険が存在するため、幾つかのヘルスケア施設では、患者の識別及び薬剤の識別以外の用途へのバーコードの使用を禁止している。このような施設は臨床担当者に注入ポンプを当該施設において手動でプログラムさせるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
今日のマルチチャネル注入ポンプ及びシングルチャネル注入ポンプはこの技術分野において著しい進歩を遂げて薬物治療過誤を回避し、かつこのような薬物治療過誤の発生確率を極めて低くしているが、更なる改善が可能であり、かつ望まれている。従って、この技術分野の当業者は、患者を正しい薬剤治療に関連付ける自動識別システム及び方法が必要であることを認識している。更に、この技術分野の当業者は、動作パラメータまたはポンプパラメータを注入ポンプにプログラムして過誤を回避するようにする更に高精度のシステム及び方法が必要であることを認識している。本発明はこれらの要求及び他の要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
要約しかつ概括すると、本発明は薬剤管理用識別システム及び方法に関するものである。本発明のシステムによれば、複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々が薬剤情報のデータセットを定義する、薬剤ライブラリと、薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な情報手段から薬剤情報を取得するとともに、患者に装着された機械読み取り可能な情報手段から患者情報を取得し、薬剤情報及び患者情報を送信するように構成された識別モジュールと、識別モジュールと通信するコントローラと、が提供され、コントローラは、薬剤ライブラリにアクセスして薬剤ライブラリプロファイルをコントローラで使用可能とし、患者情報を識別モジュールから受信し、薬剤を投与する患者に関する患者情報を含む薬剤情報を識別モジュールから受信し、患者が装着する機械読み取り可能な情報手段から識別モジュールを通して受信した患者情報が、識別モジュールから受信した薬剤情報に含まれる患者情報と一致するかどうかを判断し、識別モジュールから受信した薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルと一致するかどうかを判断するように構成されている。
【0012】
更に詳細な態様では、コントローラは、識別モジュールから受信した患者情報が薬剤または薬剤容器からの患者情報と一致しない場合に警告メッセージを表示するように構成されている。コントローラは更に、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤情報のデータセットに含まれていない薬剤識別子を含む場合に警告メッセージを表示するように構成されている。コントローラは更に、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤情報のデータセットに一致しない薬剤濃度を含む場合に警告メッセージを表示するように構成されている。別の態様では、コントローラは、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤情報のデータセットに一致しない薬剤用量を含む場合に警告メッセージを表示するように構成されている。
【0013】
更に別の態様では、システムは更にコントローラと通信するサーバを備え、サーバはコントローラに選択患者の薬剤オーダーを送信するように構成されている。薬剤ライブラリはコントローラに組み込まれる。別の態様では、コントローラはリモートサーバを通じて薬剤ライブラリにアクセスすることができる。更に別の態様では、識別モジュールはコントローラから選択的に取り外すことができる。
【0014】
他の詳細な態様では、識別モジュールはバーコード型の情報手段を読み取り可能なバーコードリーダを含み、識別モジュールはRFID型の情報手段を読み取り可能なRFIDリーダを含み、識別モジュールは、識別モジュールから離れて位置する情報手段を読み取るように構成された携帯型モバイルリーダを含む。他の詳細によれば、識別モジュールは更に、識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するバーコード型の情報手段を読み取り可能なバーコードリーダと、識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するRFID型の情報手段を読み取り可能なRFIDリーダと、を含む。携帯型モバイルリーダは識別モジュールに有線または無線接続により接続される。
【0015】
システムの別の詳細な態様では、注入ポンプがコントローラに接続され、コントローラは、薬剤または薬剤容器の情報手段から識別モジュールを通じて受信したプログラミングパラメータを注入ポンプに供給するように構成されている。
【0016】
本発明による更に別の態様では、注入ポンプに使用される薬剤管理用識別システムが提供される。システムは、注入ポンプと、複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々が、薬剤識別子、薬剤濃度及び薬剤用量のセットを定義する、薬剤ライブラリと、ポンプパラメータを注入ポンプに供給し、薬剤ライブラリプロファイルを使用すべく薬剤ライブラリにアクセスするように構成されたコントローラと、薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から薬剤情報を取得するとともに、患者が装着する機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を取得し、薬剤情報及び患者識別情報を送信するように構成された識別モジュールと、コントローラ及び識別モジュールと通信する通信インターフェースプロセッサとを備え、通信インターフェースプロセッサは、患者識別情報を識別モジュールから受信し、患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を識別モジュールから受信し、識別モジュールから受信した患者識別情報が、識別モジュールから受信した薬剤情報の患者識別子と一致するかどうかを判断し、識別モジュールから受信した薬剤情報が薬剤ライブラリプロファイルと一致するかどうかを、少なくとも、受信した患者識別情報と受信した薬剤情報とコントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの情報との比較結果に基づいて判断し、コントローラに注入ポンププログラミングパラメータを供給するように構成されている。別の態様では、注入ポンプはコントローラから選択的に取り外すことができる。
【0017】
本発明の態様による方法では、薬剤管理用識別方法が提供される。方法は、患者が装着する機械読み取り可能な識別手段を読み取って患者識別情報を取得すること、選択された薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段を読み取って患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を取得すること、患者が装着する識別手段からの患者識別情報を薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの患者識別子と比較すること、患者識別情報が患者識別子に一致しない場合に第1エラーメッセージを送信すること、薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの薬剤識別子を薬剤ライブラリプロファイルの薬剤識別子セットと比較すること、薬剤識別子が薬剤ライブラリプロファイルの識別子セットに含まれていない場合に第2エラーメッセージを送信すること、薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの薬剤濃度を薬剤ライブラリプロファイルの薬剤濃度セットと比較すること、読み取られた薬剤濃度が薬剤ライブラリプロファイルの濃度セットに含まれていない場合に第3エラーメッセージを送信すること、薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段から読み取られた薬剤用量を薬剤ライブラリプロファイルの薬剤用量セットと比較すること、読み取られた薬剤用量が薬剤ライブラリプロファイルの薬剤用量セットに含まれていない場合に第4エラーメッセージを送信すること、読み取られた薬剤用量に対応する注入ポンププログラミングパラメータを供給することを備える。
【0018】
本方法の更に詳細な態様において、本方法は更に、注入ポンププログラミングパラメータが患者に関する薬剤オーダーと一致することを手動で確認することを備える。別の態様では、読み取りを行ういずれかのステップは更に、その近傍に移動させた情報または識別手段を読み取り可能に位置決め固定されたバーコードリーダを用いて読み取りを行うことを含む。別の態様では、読み取りを行ういずれかのステップは更に、読み取り対象の情報または識別手段の近傍まで移動可能な携帯型かつ小型の携帯型リーダを用いて読み取りを行うことを含む。読み取りを行ういずれかのステップは更に、その近傍に移動させた情報または識別手段を読み取り可能に位置決め固定されたバーコードリーダか、もしくは、読み取り対象の情報または識別手段の近傍まで移動可能な携帯型かつ小型の携帯型リーダを用いて読み取りを行うことを含み、バーコードリーダ及び携帯型リーダのうちの一方は光学式リーダであり、他方は光学式以外の無線式リーダである。
【0019】
システムの他の態様では、注入ポンプ及び生理学モニタに使用される薬剤管理用識別システムが提供される。システムは、注入ポンプと、コントローラがアクセスすることができ、かつ複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々が、薬剤識別子、薬剤濃度、薬剤用量及び生理学的濃度から成るセットを定義する、薬剤ライブラリと、生理学的濃度の情報を提供する生理学モニタと、薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から薬剤情報を取得するとともに、患者が装着する機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を取得し、薬剤情報及び患者識別情報を送信するように構成された識別モジュールと、識別モジュール及び生理学モニタと通信するコントローラと、インターフェース通信プロセッサと、を備え、インターフェース通信プロセッサは、患者が装着する機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を識別モジュールを通じて受信するとともに、薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から、患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を識別モジュールを通じて受信し、生理学的濃度の情報を生理学モニタから受信し、薬剤情報が、選択された患者に装着された機械読み取り可能な識別手段からの患者識別情報と一致しない患者識別子を含む場合に第1エラー信号を送信し、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤識別子セットに含まれていない薬剤識別子を含む場合に第2エラー信号を送信し、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤濃度セットに含まれていない薬剤濃度を含む場合に第3エラー信号を送信し、薬剤情報が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの薬剤用量セットに含まれていない薬剤用量を含む場合に第4エラー信号を送信し、生理学モニタからの生理学的濃度が、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度と一致しない場合に第5エラー信号を送信し、コントローラに注入ポンププログラミングパラメータを供給するように構成されている。
【0020】
更に詳細な態様では、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度は患者固有である。別の態様では、コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度は薬剤固有である。更に別の態様では、注入ポンププログラミングパラメータは選択された薬剤用量に対応する。
【0021】
本発明による別の態様では、医療機器用識別装置が提供される。装置は、ハウジングと、ハウジングに位置決め固定された第1光学スキャナを含む第1光学式リーダであって、第1光学スキャナは、該第1光学スキャナの第1視野がハウジングの外側に向かって方向付けられた状態でハウジングの外側と対面するように位置決め固定されており、第1光学スキャナの第1視野内の位置で識別手段を読み取り可能な第1光学式リーダと、ハウジング内に設けられた第2光学式リーダであって、ハウジングに対し移動可能かつ第2光学視野を有する第2光学スキャナを含み、該第2光学スキャナを識別手段まで移動させて第2光学視野内に位置する識別手段を読み取り可能な第2光学式リーダと、携帯型の第2光学スキャナを第2光学式リーダに相互接続する通信装置と、ハウジングに位置決め固定され、ハウジングから外側に向かって方向付けられた光学視野以外の無線式視野を有する非光学式無線識別リーダであって、光学視野以外の無線式視野内に位置する識別手段を読み取り可能な非光学式無線識別リーダと、を備える。
【0022】
更に詳細な態様では、非光学式のリーダは、RFID手段を読み取り可能なRFIDリーダを含む。別の態様では、非光学式のリーダは、RFID手段を読み取り可能及びRFID手段に書き込み可能なRFIDリーダを含む。識別装置は更に、リーダをオンして識別手段を読み取るための第1位置とハウジングにおけるリーダをオフするための第2位置とを有する制御スイッチを更に備える。通信装置は、携帯型のスキャナとハウジングとの間の配線構造を含む。別の態様では、通信装置は、携帯型のスキャナとハウジングとの間の無線通信システムを含む。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、添付の図に関連付けて本発明の原理を例示する好適な実施形態についての以下の更に詳細な記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】モジュール式注入ポンプシステムを示す簡易図であり、ポンプシステムは、シリンジポンプを左側に、コントローラを中央に、自動識別モジュール(「IDモジュール」)を右側に有し、IDモジュールはこの場合、薬剤シリンジに貼付されたバーコード、及び患者の手首に装着されたバーコードを読み取って両方のバーコードを識別する携帯型モバイルバーコードリーダと、IDモジュールのハウジングに固く取り付けられた第2のバーコードリーダと、同様にIDモジュールのハウジングに固く取り付けられたRFIDバーコードリーダと、を含む。
【図2】モジュール式注入ポンプシステムのブロック図であり、ポンプシステムは更に、中央コントローラと、2つの注入ポンプ(大容量ポンプ(「LVP」)、及びシリンジ/PCA(patient controlled analgesia:患者自己管理鎮痛法)ポンプ)と、ETCOモジュール及びSpOモジュールである生理学的モニタペアと、IDモジュールと、を有し、これらのポンプシステム構成要素の全てが、リモートサーバに有線または無線リンクを通して接続される共通コントローラに接続される。
【図3】図1及び図2のIDモジュールの一つの実施形態の斜視図であり、フロントパネルに固定されたバーコードリーダ、携帯型モバイルバーコードリーダの相補型コネクタを受け入れるコネクタ、及び固く取り付けられたRFIDインテロゲータ、即ち「リーダ」を示している。
【図4】図3に示すIDモジュールのフロントパネルポートに接続されるケーブルを使用することができ、携帯型スキャナをIDモジュールに「ケーブルで接続する」ことができる携帯型モバイルバーコードリーダまたはスキャナの例である。
【図5】図1〜図3に示すIDモジュールを備えるシステムの一つの実施形態のブロック図であり、中央コントローラが薬剤ライブラリと通信し、通信インターフェース(「CI」)ボードが無線通信インターフェースプロセッサを有する様子を示し、この場合、CIボードはIDモジュール及びリモートサーバと通信する。
【図6】本発明の種々の態様による例示としての識別システム及び方法のワークフローのフローチャートであり、シリンジに貼付されたバーコードのスキャン済み薬剤情報を、患者の手首からのスキャン済み患者情報、及び図5の薬剤ライブラリから取得された情報と比較してチェックを自動的に行なった後に注入パラメータを確認する様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を例示する目的に使用される図であって、種々の図の中で同様の参照番号が該当する、または同様の要素を指す構成の図を更に詳細に参照すると、図1には、モジュール式注入ポンプシステム20の模式図が示され、ポンプシステム20は、シリンジポンプ22と、コントローラ24と、自動識別システムまたはモジュール(「IDモジュール」)26と、を有する。この場合、IDモジュールは薬剤シリンジ30に貼付されるバーコード28、及び患者34のリストバンド36に貼付されるバーコード32を読み取って両方のバーコードを識別するバーコードリーダを含む。
【0026】
図に含まれる要素を明瞭に確認することができるように、シリンジ30は輸液セット38に接続されない形で示されており、輸液セット38は普通、セットのノズルに、かつ患者34に接続される。しかしながら、輸液セット38がシリンジポンプ22(シリンジポンプでは、シリンジはシリンジの内容物を注入するために取り付けられる)から患者への接続手段となっている様子が図に示されている。この場合、「ケーブル付き」または携帯用バーコードリーダ40を使用して2つのバーコード28及び32を読み取る。ケーブル付きバーコードリーダ40の配線42はIDモジュール26に、当該モジュールのフロントパネル46のコネクタ44の位置で接続されるが、無線接続手段を含む他の接続手段を使用することもできる。携帯用バーコードリーダは移動することができ、かつIDモジュールから離れた位置に移動してシリンジに貼付されたバーコードを読み取る。なお、破線で示すように、患者の識別リストバンドに貼付されたバーコードを読み取る様子が示されている。
【0027】
この実施形態では、IDモジュール26は更に、IDモジュールのフロントパネルに固く取り付けられる固定バーコードリーダ48を含む。バーコードタグのようなバーコード情報手段(bar code information devices)をこの固定リーダで読み取るために、バーコード情報手段を、この固定バーコードリーダの近傍にまで移動させる必要がある。モバイルバーコードリーダの場合と同じように、固定バーコードリーダは視野が小さい光学スキャナを含む。この場合、固定バーコードリーダの視野はIDモジュールハウジングの外側に振り向けられる。バーコード情報手段は該当するスキャナの光学視野に納まる位置に移動させてバーコードリーダによって読み取られるようにする必要がある。
【0028】
IDモジュールのフロントパネル46はRFIDアンテナ50も含み、RFIDアンテナは内部RFIDリーダまたはインテロゲータ(interrogator)に使用される。リーダは、RFIDタグのようなRFID情報手段を読み取るために有用であり、RFID情報手段は、バーコード28,32の各々の代わりに、またはこれらのバーコードと共に、シリンジ30に貼付されるか、または患者34に装着される形で使用することができる。このようなRFID情報手段は読み取り専用デバイスとすることもできるし、または書き込み型デバイスとすることもでき、また、当業者には公知のように、自己給電型とすることもできるし、またはRFID情報手段にRFIDリーダがエネルギーを供給することもできる。適切なRFIDタグを、フロントパネルのアンテナの近傍に、かつアンテナの通信範囲内に、例えば2.5〜8センチメートル(1〜3インチ)の範囲に位置させることにより、内部RFIDリーダによるタグの読み取りが可能になり、このように配置される場合には、タグへの書き込みも可能になる。この場合、このRFIDリーダもIDモジュールに固く取り付けられ、情報手段をリーダの位置にまで移動させて当該デバイスを読み取る必要がある。RFIDリーダは、IDモジュールのハウジングから外に振り向けられる視野であって、光以外の無線媒体に対する視野を持ち、そしてRFID情報手段をこの視野の範囲内に位置するように移動させて当該デバイスを読み取る必要がある。
【0029】
中央コントローラ24を有するモジュール式注入システム20に関する更なる詳細については、Eggerらによる米国特許第5,713,856号に記載されており、この文献をここで参照することにより当該文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。IDモジュール26はコントローラ24に接続される。情報はコントローラとIDモジュールとの間で直接送受することができる。別の構成として、以下に更に詳細に説明するように、通信インターフェースボードをコントローラとIDモジュールとの間に挿入することができる。
【0030】
IDモジュール26は、直線状の2次元バーコード記号及び他のバーコード記号を読み取り可能な組み込み式バーコードスキャナ48の他に、薬剤ラベル28だけでなく、患者34及び臨床担当者用の識別手段49を読み取るRFIDリーダ及びアンテナ50を含む。図示はしないが、モジュール式ポンプシステム20を操作する臨床担当者は、図示のIDモジュールの実施形態によって、または異なる実施形態によって読み取ることができるバーコード形式またはRFID形式、または両方の形式、或いは他の形式の臨床担当者用識別情報を含む、バッジのような識別手段を所持することもできる。
【0031】
次に、図2を参照すると、中央コントローラ24(「PCU」と表記される場合がある)と、2つの注入ポンプ(LPV56及びシリンジ/PCAポンプ22)と、ETCO(呼気終末における呼吸終末二酸化炭素濃度)モジュール58及びSpO(血液酸素飽和度)モジュール60を含む2つの生理学的モニタと、を有するモジュール式注入システム20のブロック図が示され、これらの構成要素は全て一人の患者34に共通コントローラによって接続され、共通コントローラはリモートサーバ62に有線または無線リンク64を通して接続される。静脈輸液セット66は薬剤をポンプと患者との間で流し、ETCOセンサ68及びSpOセンサ70は生理学データをこれらのセンサの該当するモジュールに送信する。ETCOモジュールに関する更なる情報は、バンダービーン(Vanderveen)による米国特許出願公開第2003/0106553号に記載され、SpOモジュールに関する更なる情報は、ボリッシュ(Bollish)らによる米国特許第5,957,885号に記載され、これらの文献を共にここで参照することにより、これらの文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。IDモジュール26は更に、IVモジュール及び生理学検出モジュールから成るセットに、コントローラ24の右側で接続される。この単一のIDモジュールは、コントローラによって制御される全てのポンプモジュール及び生理学的モニタに適用することができ、これについては以下に更に詳細に説明する。
【0032】
コントローラ24はリモートサーバ62に有線または無線接続手段によって接続されるものとして示される。種々のデータをコントローラとサーバとの間で送受信することができ、種々のデータとして、これらには制限されないが、サーバからコントローラに送信される患者34の薬剤オーダー、及びコントローラからサーバに送信される、患者に対する薬剤投与状況を挙げることができる。他のデータをサーバからコントローラに送信することもでき、他のデータとして、薬剤ライブラリセット、薬剤プロファイル、及び他のデータを挙げることができる。注入システム20は、注入システムが基本的にモジュールであるので他の形態を採ることもでき、他の形態として、2つのシリンジポンプ及び2つのLVP、または4つのLVP、または4つのシリンジポンプ、或いは他のいずれかの組み合わせを挙げることができる。図2に示す組み合わせは単なる一つの実施形態の例示に過ぎず、かつ本発明を制限するためのものではない。
【0033】
次に、図3によれば、図1及び2のIDモジュール26の実施形態の斜視図が示され、この斜視図は、フロントパネル固定型バーコードリーダ48、携帯型モバイルバーコードリーダ40(図1)の相補型コネクタを受け入れるコネクタ44、及びこれもまたIDモジュールに固く取り付けられるRFIDリーダのアンテナ50を示している。更に、IDモジュール26を他のモジュールに、IUI(Inter−Unit Interface:ユニット間インターフェース)コネクタ72,74、及びチャネルリリースラッチ102を通して接続する手段に関する更なる情報は、ダフィー(Duffy)らによる米国特許第5,941,846号に記載され、この文献をここで参照することにより、この文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。2つのIUIコネクタによって、IDモジュールを必要に応じてIDモジュールの左側(図1及び2に示すように)または右側のいずれかで接続することができる。
【0034】
IDモジュール26はコントロールパネル76も含む。コントロールパネルは他の形態を採ることができるが、この場合、コントロールパネルは「スキャン(SCAN)」スイッチ75を含む。このスイッチが押下されると、リーダを起動して、情報手段を読み取ることができるようになる。例えば、SCANスイッチ75を押下することにより、臨床担当者はバーコード情報手段を、固く取り付けられたバーコードリーダ48の視野内に移動させて、情報手段を読み取ることができるようになる。同様に、SCANスイッチを押下することにより、携帯型モバイルバーコードリーダ40及びRFIDリーダ50を起動することができる。一つの実施形態では、SCANスイッチはポンプ22(図1)が注入を行なっているときにはロックされる。このような構成では、SCANスイッチを押下しても、どのリーダも起動することがない。
【0035】
次に、図4を参照すると、携帯型バーコードリーダ40またはスキャナの例が示される。このバーコードリーダは当業者には公知の一般的なタイプのバーコードリーダであるので、バーコードリーダの構造または動作について更に詳細に説明することはしない。図4には示さないが、図1に示すケーブル42を使用してバーコードリーダをIDモジュール26に接続することができる。別の構成として、バーコードリーダは自動ID(AutoID)と無線通信することができる。携帯型スキャナはトリガー41を有し、スキャナはトリガーが押されると起動して、バーコード情報手段を読み取ることができるようになる。しかしながら、この実施形態では、トリガーを押す前に、フロントパネルのSCANスイッチ75を最初に起動する必要がある。
【0036】
本明細書において使用するように、「情報手段」は、当該情報手段の設計に対応して開発された特定の技術によって読み取ることができる情報を含むデバイスである。例えば、バーコードはバーコード情報手段であり、RFIDタグはRFID情報手段と考えられる。両方の手段は、これらの手段の該当する技術を利用したリーダが読み取ることができる情報を含む。情報手段及び識別手段は共に情報を含む。
【0037】
次に、図5を参照すると、IDモジュール26が通信インターフェースボード(「CIボード」)78と2つの予備通信ラインを通して直接通信する構成のシステムが示される。図5は、スキャン済み薬剤情報80及びスキャン済み患者識別情報82を送信するIDモジュールを示している。薬剤情報は薬剤名及び薬剤濃度を含むことができ、そして別の実施形態では、注入する薬液の流量及び薬剤の用量を含むこともできる。図示しないが、IDモジュールを使用して臨床担当者の識別情報をスキャンし、スキャンした当該臨床担当者識別情報をCIボードに送信することもできる。
【0038】
CIボード78は制御信号84をIDモジュール76に送信する。制御信号の一例がIDモジュールへのディスエーブル制御信号であり、この制御信号によって、バーコードスキャンは注入ポンプの手動プログラミングの間は行なうことができない。このディスエーブル制御信号によって、SCANスイッチ75が無効にされる。コントローラ24及びCIボードは同じように互いに通信する。図示の実施形態では、例えばコントローラはチャネル選択信号86を送信して、モジュール式注入システム20(図2)のどのポンプチャネル22,56に識別薬剤が収容されているかを特定する。
【0039】
コンフィグレーションデータ88もコントローラからCIボード78に送信される。このようなデータは、CIボードに転送されることになるデータフォーマットのような、データのコンフィグレーションに関する情報を含むことができる。注射オーダーをリモートサーバ62または他のソースから受信すると、CIボードはオーダー90をコントローラに送信する。CIボードは通信インターフェースプロセッサとして動作する。
【0040】
コントローラ24は薬剤ライブラリ92にもアクセスする。薬剤ライブラリについての更なる情報は、フォード(Ford)による米国特許第5,681,285号に記載されており、この文献をここで参照することにより当該文献の内容全体が本明細書に組み込まれる。薬剤ライブラリは、コントローラ内において、ローカルにアクセスされるメモリに格納することができる。または、薬剤ライブラリは、システムネットワークの他の場所に配置されるがコントローラがアクセスすることができるようにする。薬物または薬剤、及び許容濃度、及び許容ポンプパラメータが設定される「薬剤ライブラリプロファイル」を構築することができ、薬剤ライブラリプロファイルとして、例えばICU(集中治療室)プロファイル、小児用プロファイル、新生児用プロファイル、及び他のプロファイルを挙げることができる。使用許可薬剤のデータセット、及び当該使用の限界値を含むポンプパラメータの設定(configuration)は各薬剤ライブラリプロファイルに利用することができる。従って、薬剤ライブラリプロファイルは、必ずではないが、病院の異なる患者ケアエリアに対応させることができる。従って、小児病棟に配置されるコントローラは、例えば小児用薬剤ライブラリプロファイルを利用し、この薬剤ライブラリプロファイルは、小児科に分類される、即ち、小児病棟に位置する患者に固有の1セットの許可薬剤、ポンプパラメータ、及びポンプ機能限界値を含む。同様に、ICU(集中治療室)に配置されるコントローラはICU薬剤ライブラリプロファイルを利用し、この薬剤ライブラリプロファイルは、集中治療環境に置かれた患者、及び集中治療を必要とする他の患者に固有の異なるセットの許可薬剤、ポンプパラメータ、及びポンプ機能限界値を含む。
【0041】
コントローラ24の更新、変更、または他のメンテナンス作業を実行するメンテナンスPCまたはサーバ94が示される。最終的に、上記にて暗示されるように、CIボード78は、管理プログラムを有するリモートサーバ62に接続され、管理プログラムによって、薬剤オーダーのようなデータ96及び他のデータをCIボードにアップロードすることができる。CIボードは図5の個別要素として示されるが、別の実施形態では、CIボードはコントローラ24に組み込むことができる。
【0042】
スキャン情報80及び82はIDモジュール26から直接CIボード78に送信されて処理される。次に、CIボードがスキャンデータを変換し、薬剤投与データ98またはエラーメッセージ100をコントローラ24に送信する。この場合の利点は、コントローラ24にスキャンデータを更にコンピュータ処理するための負荷を課すことなく、処理負荷がCIボード及びIDモジュールに課されることである。これは、このような構成によって注入モジュールまたはセンサモジュールとコントローラとの間の通信の中断を回避することができるという点で有利である。
【0043】
一つの実施形態では、上に説明したシステム及び方法のワークフローが図6に示す例示としてのプロセスに示される。以下の記述では、「スキャン」や「スキャニング」、または「リード」や「リーディング」という用語は、バーコードスキャニングまたはRFIDスキャニング、または他のデータ収集方法または技術を指すことができる。
【0044】
注入システム20(図2)がまず起動すると、注入システムは臨床担当者に催促してコントローラ24を患者34に接続させる。患者は患者番号、または識別用の他の手段を持つことができる。同様に、薬剤には識別目的に薬剤の別名または番号を付けることができる。組み込み式スキャナ48、ケーブル付きスキャナ40またはRFIDユニット50を使用して、臨床担当者は患者ID82をスキャンする。この患者IDは、患者識別子、患者EMAR(electronic medication administration record:電子薬剤投与レコード)、アレルギー、または他の情報を含む種々の患者情報を有することができる。ステップ200では、スキャン済み患者IDはIDモジュール26からCIボード78に送信され、次にCIボード78がステップ202でメッセージをコントローラに送信して、コントローラに、コントローラがこの時点でスキャン済み患者IDに関連付けられたことを通知する。薬剤を投与するために、臨床担当者は患者の識別情報を上記説明した方法によりスキャンする。CIボードがスキャン済み臨床担当者IDをステップ204で受信し、そして臨床担当者が薬剤を投与するための正当な権限を有しているとして臨床担当者を認識した後、CIボードはステップ206でコントローラに通知して、注入システムの薬剤プログラミングパターンをステップ208で利用することができるようにする。他の実施形態では、臨床担当者情報手段は必要ではない。次に、臨床担当者は、例えば薬剤容器ラベル28をスキャンして、例えば患者ID、薬剤名、薬剤濃度、及び薬剤用量を含む、ラベルのスキャン済み薬剤情報80を取得する。次に、この情報をCIボードにステップ210で渡し、この場合、CIボードは、
1)スキャン済み薬剤情報が、コントローラに関連付けられた同じ患者IDを含むかどうかをチェックして、「正しい患者」をステップ212で確認し、
2)スキャン済み薬剤名に関する薬剤ライブラリ92記入項目をステップ214で自動的に選択し、そしてスキャン済み薬剤名及び薬剤濃度が薬剤ライブラリに一致することをステップ216でチェックして、「正しい薬剤」及び濃度が投与されることを確認し、
3)薬剤用量パラメータを自動的にステップ226で、例えば注入モジュールの動作メモリに収集して、注入薬剤の「正しい用量」が投与されることを確認する。
【0045】
薬剤用量パラメータを注入モジュールに自動的に収集する前に、コントローラに関連付けられた患者ID、及び薬剤ラベルがステップ212で一致しない場合、またはスキャン済み薬剤名が、コントローラがステップ216で使用される薬剤ライブラリプロファイルに含まれていない場合、警告メッセージを臨床担当者に対してステップ220で表示することができる。
【0046】
警告メッセージは、例えばシリンジ30に貼付されたラベル28に基づくスキャン済み薬剤情報80が、特定ID番号を持つ「John Smith」という名前の患者に当該シリンジを使用する必要があるということを示しているが、「John Smith」という名前を持つ別の患者34が着用するブレスレット32に基づくスキャン済み患者ID82が異なるID番号またはコードを示す場合に、コントローラ24に表示することができる。別の例として、警告メッセージは、シリンジに貼付されたラベルに基づくスキャン済み薬剤情報が、成人患者に適する特定濃度の薬剤がシリンジに充填されているということを示しているが、コントローラが小児科病棟に配置されるか、または接続されており、スキャン済み薬剤名及び/又はスキャン済み薬剤濃度が、コントローラがアクセスする薬剤ライブラリ92の小児用プロファイルのどの記入項目にも一致しない場合に表示することができる。
【0047】
スキャン済みパラメータの全てが有効である場合、CIボード78は、スキャン済み薬剤投与データ98をコントローラ24にステップ222で送信する。ステップ224では、臨床担当者は、スキャン済み薬剤の投与に使用される予定のチャネルを選択し、適切な注入ポンプまたはチャネルに関する薬剤ライブラリ92記入項目だけでなく、プログラミングパラメータをステップ226で自動的に収集する。臨床担当者は、これらのパラメータが正しいことをステップ228において手動で確認する必要がある。ネットワーク環境では、これらのパラメータをオーダーエントリシステム230で、可能ならば薬局にてチェックして、正しいオーダーが正しい患者に対して出されていることをステップ232で確認することができる。
【0048】
単一のバーコードスキャナまたはRFIDスキャナは、コントローラによって制御される全ての機能ユニットに、ユニットの種類に関係なく使用される。スキャナによって生成されるデータはIDモジュールからコントローラに直接渡され、次にコントローラがデータを、データがポンプユニットまたは他のユニットに到達する前に処理する。シリンジポンプ22、LVP56、または生理学センサであるかどうかに拘らず、単一のバーコードリーダまたは他のスキャナを使用して患者の識別情報、及び他の情報を必要に応じて供給する。従って、単一のスキャナが複数の異なる医療ユニットまたは医療機器に対応する形で機能する。更に、バーコードスキャナは個別のハウジングに収納され、ハウジングは、リリースラッチ102(図3)によって可能になるように、モジュール式であり、かつコントローラから取り外すことができ、更にバーコードスキャナは治療を患者に施すどの医療機器のハウジングにも、または患者の生理学パラメータを測定するどの機器のハウジングにも収納されることがない。従って、スキャナまたはIDモジュールは、ポンプ固有または「機器」固有ではなく、患者固有である。バーコードスキャニングまたはRFIDスキャニングを希望するヘルスケア施設では、IDモジュールが注入システム20に容易に取り付けられ、そしてこのようなスキャニングに関心を持たないヘルスケア施設では、注入システム20を機能させ続けることになっても、IDモジュールが施設の在庫品の一部分とならずに済む。
【0049】
バーコードスキャニングを希望するヘルスケア施設では、本発明のIDモジュール26の一つの実施形態は2つのバーコードスキャナを有することができる。一方のスキャナはフロントパネル48に組み込まれ、他方のスキャナ40はIDモジュール26にコネクタ44を使用して、必要に応じて接続することができる。この冗長性によって、IDモジュールの有用性が更に高くなる。一方の、または他方のスキャナが修理を必要とする場合にこの冗長性が有用になるだけでなく、患者の識別情報タグまたは識別手段32を組み込み式バーコードスキャナの近傍に移動させることができない場合に、ケーブル付き、またはケーブル無しのスキャナを使用して患者の傍に持って行き、そして患者の識別情報タグまたは識別手段をスキャンすることができる。
【0050】
再度、図6によれば、CIボード78は薬剤を投与するための限界値を薬剤ライブラリ92からステップ214で取得することができる。その後、ステップ216では、CIボードは、スキャン済み薬剤情報80が薬剤ライブラリ92から取得した限界値と一致していることをチェックする。2つのセットの情報が一致しない場合、警告メッセージが生成され、そしてCIボードによってステップ218で送信され、コントローラ24によってステップ220で表示される。例えば、警告メッセージは、小児科患者に使用される予定のシリンジ30に貼付されたスキャンラベル28から得られた薬剤用量パラメータが、コントローラがアクセスする薬剤ライブラリの小児用プロファイルに事前定義された薬剤限界投与量を超えている場合に表示される。従って、投与過誤は、バーコード、RFIDタグ、または他の機械読み取り可能な手段であるかどうかに関係なく、スキャンされたラベルが間違って印刷されている、またはプログラムされている、汚れている、または破れていて不正なデータが提供されている、或いは単純に間違っている恐れがある場合に回避することができる。
【0051】
更に、薬剤ライブラリプロファイルは、患者の生理学的濃度に依存する注入限界量を含むことができる。ETCOモニタ58及びSpOモニタ60を示す図2に示されるモニタのような生理学的モニタまたはモニタ群を使用する場合、患者の特定の被モニタ生理学的濃度を薬剤ライブラリプロファイルの限界値と比較し、そしてその結果として、注入を制御することができる。プロファイルのこのような生理学的濃度限界値は薬剤固有または患者固有とすることができる。例えば、薬剤ライブラリプロファイルは、特定の患者であるかどうかに関係なく、特定薬剤に関する患者の生理学的濃度限界値を有することができる。別の事例では、一例として最近の薬物治療歴またはアレルギーのような患者固有の特徴を、当該特定患者の測定生理学的濃度が特定薬剤の注入に与えると考えられる影響を考慮に入れる場合に考慮する必要がある。別の実施形態では、薬剤固有考慮事項及び患者固有考慮事項の両方を、患者の生理学的濃度をモニタリングする場合に考慮に入れる必要がある。
【0052】
本発明の種々の特定の形態について例示し記載したが、種々の変更を本発明の技術範囲から逸脱しない範囲において加え得ることは明らかである。開示する実施形態の特定の特徴及び態様を種々の形で組み合わせる、または部分的に組み合わせる、或いは特徴及び態様のこれらの組み合わせを互いに置き換えて、本発明の種々のモードを構成することも考えられる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲により規定される場合を除き、制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤管理用識別システムであって、
複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々が病院の一以上の患者ケアエリアおよび患者の分類に従って使用が許可された薬剤に関する薬剤識別子のリストと、各許可薬剤に関する許容濃度および用量のうちの少なくとも一つとを定義する、薬剤ライブラリと、
薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な情報手段から前記薬剤情報を取得するとともに、患者に装着された機械読み取り可能な情報手段から患者情報を取得し、前記薬剤情報及び前記患者情報を送信するように構成された識別モジュールと、
前記識別モジュールと通信するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
薬剤ライブラリプロファイルを前記コントローラで使用するために前記薬剤ライブラリにアクセスし、
患者に装着された前記機械読み取り可能な情報手段からの第1の患者情報を前記識別モジュールから受信し、
薬剤を投与すべき患者と、薬剤識別子と、薬剤濃度および用量のうちの少なくとも一つとを示す第2の患者情報を含む薬剤情報を前記識別モジュールから受信し、
前記第1の患者情報と前記第2の患者情報とが一致するかどうかを判断し、
前記識別モジュールから受信した薬剤識別子が薬剤識別子の前記リストに含まれるかどうかを判断するとともに、前記識別モジュールから受信した薬剤濃度および用量のうちの少なくとも1つが、前記コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルと一致するかどうかを判断し、
前記識別モジュールから受信した薬剤情報が、前記コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの前記リストに無い薬剤識別子を含む場合、または
前記識別モジュールから受信した薬剤情報が、前記コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルと一致しない薬剤濃度および用量のうちの少なくとも1つを含む場合、
警告メッセージを表示するように構成されている、薬剤管理用識別システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1の患者情報が前記第2の患者情報と一致しない場合に警告メッセージを表示するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラと通信するサーバであって、選択された患者用の薬剤オーダーを前記コントローラに送信するように構成されたサーバを更に備える、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記薬剤ライブラリは前記コントローラに組み込まれる、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラはリモートサーバを通して前記薬剤ライブラリにアクセス可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記識別モジュールは前記コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記識別モジュールはバーコード型の情報手段を読み取り可能なバーコードリーダを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記識別モジュールはRFID型の情報手段を読み取り可能なRFIDリーダを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記識別モジュールは該識別モジュールから離れて位置する情報手段を読み取るように構成された携帯型モバイルリーダを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記識別モジュールは更に、
前記識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するバーコード型の情報手段を読み取り可能なバーコードリーダと、
前記識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するRFID型の情報手段を読み取り可能なRFIDリーダと、
を含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記携帯型モバイルリーダは前記識別モジュールに有線または無線接続により接続される、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラに接続された注入ポンプを更に備え、
前記コントローラは、薬剤または薬剤容器に貼付された前記機械読み取り可能な情報手段から前記識別モジュールを通して受信するプログラミングパラメータを前記注入ポンプに供給するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
注入ポンプに使用される薬剤管理用識別システムであって、
注入ポンプと、
複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々が病院の一以上の患者ケアエリアおよび患者の分類に従って使用が許可された薬剤に関する薬剤識別子のセットと、各許可薬剤に関する薬剤濃度及び薬剤用量のうちの少なくとも1つとを定義する、薬剤ライブラリと、
ポンプパラメータを前記注入ポンプに供給し、薬剤ライブラリプロファイルを使用するために前記薬剤ライブラリにアクセスするように構成されたコントローラと、
薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から薬剤情報を取得するとともに、患者に装着された機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を取得し、前記薬剤情報及び前記患者識別情報を送信するように構成された識別モジュールと、
前記コントローラ及び前記識別モジュールと通信する通信インターフェースプロセッサと、を備え、
前記通信インターフェースプロセッサは、
前記患者識別情報を前記識別モジュールから受信し、
患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む前記薬剤情報を前記識別モジュールから受信し、
前記識別モジュールから受信した患者識別情報が前記識別モジュールから受信した薬剤情報の患者識別子と一致するかどうかを判断するとともに、前記識別モジュールから受信した薬剤情報が前記薬剤ライブラリプロファイルと一致するかどうかを、少なくとも、受信した患者識別情報と受信した薬剤情報と、薬剤識別子の前記セットと、前記コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルからの許可薬剤濃度および許可薬剤用量との比較結果に基づいて判断し、
前記患者識別情報が前記患者識別子と一致するとともに、前記受信した薬剤情報が前記薬剤ライブラリプロファイルと一致する場合、前記コントローラに注入ポンププログラミングパラメータを供給するように構成されている、薬剤管理用識別システム。
【請求項14】
前記識別モジュールは前記コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記識別モジュールはバーコード型の情報及び識別手段を読み取り可能なバーコードリーダを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
前記識別モジュールはRFID型の情報及び識別手段を読み取り可能なRFIDリーダを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記識別モジュールは該識別モジュールから離れて位置する情報手段を読み取るように構成された携帯型モバイルリーダを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項18】
前記識別モジュールは更に、
前記識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するバーコード型の情報及び識別手段を読み取り可能なバーコードリーダと、
前記識別モジュールに位置決め固定され、その近傍に位置するRFID型の情報及び識別手段を読み取り可能なRFIDリーダと、
を含む、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記注入ポンプは前記コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項13記載のシステム。
【請求項20】
薬剤管理用識別方法であって、
薬剤ライブラリプロファイルと注入ポンプとを関連付けることであって、前記薬剤ライブラリプロファイルが病院の一以上の患者ケアエリアおよび患者の分類に従って使用が許可された薬剤に関する薬剤識別子セットと、各許可薬剤に関する許容濃度および用量セットとを含む、前記関連付けること、
患者に装着された機械読み取り可能な識別手段の読み取りを行って患者識別情報を取得すること、
選択された薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段の読み取りを行って患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を取得すること、
前記患者に装着された識別手段からの前記患者識別情報を、前記薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの前記患者識別子と比較すること、
前記患者識別情報が前記患者識別子に一致しない場合に第1エラーメッセージを送信すること、
前記薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの前記薬剤識別子を、前記薬剤ライブラリプロファイルの前記薬剤識別子セットと比較すること、
前記識別手段からの前記薬剤識別子が前記薬剤ライブラリプロファイルの前記薬剤識別子セットに含まれていない場合に第2エラーメッセージを送信すること、
前記薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段からの前記薬剤濃度を、前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤濃度セットと比較すること、
前記識別手段からの前記薬剤濃度が前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤濃度セットに含まれていない場合に第3エラーメッセージを送信すること、
前記薬剤または薬剤容器に貼付された識別手段から読み取られた前記薬剤用量を、前記薬剤ライブラリプロファイルの薬剤用量セットと比較すること、
前記識別手段からの薬剤用量が前記薬剤ライブラリプロファイルの薬剤用量セットに含まれていない場合に第4エラーメッセージを送信すること、
前記患者情報が患者識別子と一致し、前記識別手段からの前記患者識別子が前記薬剤ライブラリプロファイルの前記薬剤識別子セットに含まれ、前記識別手段からの薬剤濃度が前記薬剤ライブラリプロファイルの前記許容薬剤濃度セットに含まれ、前記識別手段からの薬剤用量が前記薬剤ライブラリプロファイルの前記薬剤用量セットに含まれる場合、前記識別手段からの薬剤用量に対応する注入ポンププログラミングパラメータを供給すること、
を備える方法。
【請求項21】
前記注入ポンププログラミングパラメータが患者に関する薬剤オーダーと一致することを手動で確認することを更に備える請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記読み取りを行ういずれかのステップは更に、その近傍に移動させた情報または識別手段を読み取り可能に位置決め固定されたバーコードリーダを用いて読み取りを行うことを含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記読み取りを行ういずれかのステップは更に、読み取り対象の情報または識別手段の近傍まで移動可能な携帯型かつ小型の携帯型リーダを用いて読み取りを行うことを含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記読み取りを行ういずれかのステップは更に、
その近傍に移動させた情報または識別手段を読み取り可能に位置決め固定されたバーコードリーダか、もしくは、読み取り対象の情報または識別手段の近傍まで移動可能な携帯型かつ小型の携帯型リーダを用いて読み取りを行うことを含み、
前記バーコードリーダ及び前記携帯型リーダのうちの一方は光学式リーダであり、他方は光学式以外の無線式リーダである、請求項20記載の方法。
【請求項25】
注入ポンプ及び生理学モニタに使用される薬剤管理用識別システムであって、
コントローラによりアクセス可能であり、複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々は、病院の一以上の患者ケアエリアおよび患者の分類に従って使用が許可された薬剤に関する薬剤識別子のセット、薬剤濃度および薬剤用量のうちの少なくとも1つのセット、及び生理学的濃度限界のセットを定義する、薬剤ライブラリと、
生理学的濃度信号を提供する生理学モニタと、
薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から薬剤情報を取得するとともに、患者に装着された機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を取得し、前記薬剤情報及び前記患者識別情報を送信するように構成された識別モジュールと、
前記識別モジュールと通信するコトローラおよびインターフェース通信プロセッサを含む注入ポンプと、を備え、
前記インターフェース通信プロセッサは、
患者に装着された機械読み取り可能な識別手段から前記識別モジュールを通じ患者識別情報を受信し、
薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から前記識別モジュールを通じ患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を受信し、
生理学的濃度信号を前記生理学モニタから受信し、
前記薬剤情報が、患者に装着された前記機械読み取り可能な識別手段からの患者識別情報と一致しない患者識別子を含む場合に第1エラー信号を前記コントローラに送信し、
前記薬剤情報が、前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの薬剤識別子セットに含まれていない薬剤識別子を含む場合に第2エラー信号を前記コントローラに送信し、
前記薬剤情報が、前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤濃度セットに含まれていない薬剤濃度を含む場合に第3エラー信号を前記コントローラに送信し、
前記薬剤情報が、前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤用量セットに含まれていない薬剤用量を含む場合に第4エラー信号を前記コントローラに送信し、
前記生理学モニタからの生理学的濃度限界が、前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度信号と一致しない場合に第5エラー信号を送信するように構成され、
前記コントローラは、
前記第1乃至第5のエラー信号のうちの一つ以上が前記インターフェース通信プロセッサから受信された場合、前記インターフェース通信プロセッサから受信された一以上のエラー信号を表示すうように構成され、
前記インターフェース通信プロセッサは、薬剤情報が患者識別子と一致し、前記識別手段からの薬剤識別子が前記薬剤ライブラリプロファイルの薬剤識別子セットに含まれ、前記識別手段からの薬剤濃度が前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤濃度セットに含まれ、前記識別手段からの薬剤用量が前記薬剤ライブラリプロファイルの許容薬剤用量セットに含まれる場合、前記コントローラに注入ポンププログラミングパラメータを供給するように構成されている、薬剤管理用識別システム。
【請求項26】
前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度限界は患者固有である、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラで使用される前記薬剤ライブラリプロファイルの生理学的濃度限界は薬剤固有である、請求項25記載のシステム。
【請求項28】
前記注入ポンプは中央コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項25記載のシステム。
【請求項29】
前記生理学モニタは前記コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項25記載のシステム。
【請求項30】
前記識別モジュールは前記コントローラから選択的に取り外し可能である、請求項25記載のシステム。
【請求項31】
前記注入ポンププログラミングパラメータは選択された前記薬剤用量に対応する、請求項25記載のシステム。
【請求項32】
薬剤管理用自動識別システムであって、
注入ポンプと、
複数の薬剤ライブラリプロファイルを含む薬剤ライブラリであって、複数の薬剤ライブラリプロファイルの各々は病院の一以上の患者ケアエリアおよび患者の分類に従って使用が許可された薬剤に関する薬剤識別子、各許可薬剤に関する許容薬剤濃度及び薬剤用量のうちの少なくとも1つのセットを定義する、薬剤ライブラリと、
薬剤または薬剤容器に貼付された機械読み取り可能な識別手段から薬剤情報を取得するとともに、患者に装着された機械読み取り可能な識別手段から患者識別情報を取得し、前記薬剤情報及び前記患者識別情報を送信するように構成された識別モジュールと、
前記注入ポンプ及び前記識別モジュールと通信するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記コントローラで使用するための薬剤ライブラリにアクセスして薬剤ライブラリプロファイルを取得し、
患者識別情報を前記識別モジュールから受信し、
患者識別子と薬剤識別子と薬剤濃度と薬剤用量とを含む薬剤情報を前記識別モジュールから受信し、
薬剤または薬剤容器の中身が前記薬剤ライブラリプロファイルと一致するかどうかを、少なくとも、受信した患者識別情報と受信した薬剤情報と前記コントローラで使用される薬剤ライブラリプロファイルの情報との比較結果に基づいて判断し、
受信した前記患者識別情報が前記患者識別子と一致するとともに、前記識別手段からの前記薬剤識別子、前記薬剤濃度、および薬剤用量が前記薬剤ライブラリプロファイルと一致する場合、注入ポンププログラミングパラメータを供給するように構成されている、自動識別システム。
【請求項33】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記識別モジュールは、
ハウジングと、
前記ハウジングに位置決め固定された第1光学スキャナを含む第1光学式リーダであって、前記第1光学スキャナは、該第1光学スキャナの第1視野が前記ハウジングの外側に向かって方向付けられた状態で前記ハウジングの外側と対面するように前記位置決め固定されており、前記第1光学スキャナの第1視野内の位置で識別手段を読み取り可能な第1光学式リーダと、
前記ハウジング内に設けられた第2光学式リーダであって、前記ハウジングに対し移動可能かつ第2光学視野を有する第2光学スキャナを含み、該第2光学スキャナを識別手段まで移動させて前記第2光学視野内に位置する識別手段を読み取り可能な第2光学式リーダと、
携帯型の前記第2光学スキャナを前記第2光学式リーダに相互接続する通信装置と、
前記ハウジングに位置決め固定され、前記ハウジングから外側に向かって方向付けられた光学視野以外の無線式視野を有する非光学式無線識別リーダであって、前記光学視野以外の無線式視野内に位置する識別手段を読み取り可能な非光学式無線識別リーダと、
を備えるシステム。
【請求項34】
前記非光学式のリーダはRFID手段を読み取り可能なRFIDリーダを含む、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
前記非光学式のリーダはRFID手段を読み取り可能及びRFID手段に書き込み可能なRFIDリーダを含む、請求項33記載のシステム。
【請求項36】
リーダをオンして識別手段を読み取るための第1位置と前記ハウジングにおけるリーダをオフするための第2位置とを有する制御スイッチを更に備える請求項33記載のシステム。
【請求項37】
注入ポンプを更に備え、
前記制御スイッチは、前記ポンプが注入を行っているときに、該制御スイッチが前記リーダをオンしないようにロックされる、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
前記通信装置は、前記携帯型のスキャナと前記ハウジングとの間の配線構造を含む、請求項33記載のシステム。
【請求項39】
前記通信装置は、前記携帯型のスキャナと前記ハウジングとの間の無線通信システムを含む、請求項33記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−148117(P2012−148117A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79772(P2012−79772)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2007−555300(P2007−555300)の分割
【原出願日】平成18年2月11日(2006.2.11)
【出願人】(505403186)ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】