説明

薬学的に活性な化合物の製造方法

本発明によれば、式(I)の化合物の新規な製造方法、並びにその方法において使用される重要な中間体に対する新規な合成経路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、化合物プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロ-フェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ-フェニル}-アミド(式1)を得るための合成経路に関する。

式(1)の化合物の合成は、国際公開第2007002433号及び国際公開第2007002325号に記載されている。
【0002】
しかしながら、既知の合成経路は直ちに工業的規模での使用に適合化させることはできない。
本発明は、工業的規模での実施が特に受け入れ可能な反応条件を用いる式(1)の化合物の新規で改良された合成経路を提供する。特に、本発明に係る方法は、出発物質を効率的に使用し、望ましくない副産物の生成量が高くなることを防ぎ、高い処理量と高い製品収率を提供し、大規模な生産において安全に実施できる。それはまたより安価であり、出発物質の効率的な使用により、従来技術に開示された方法より環境にやさしい。
【0003】
本発明の他の実施態様では、本合成方法の副産物である特定の化合物(以下に特定される化合物(A)及び(B))が同定される。式(1)の上記化合物が本方法によって合成された場合、式(1)の化合物の合成の最終工程中に脱保護により、つまり化合物(A)からの2,6-ジクロロベンズアミドの切断により得られる微量の化合物(B)は、HPLCによって同定して、薬学的に許容可能な不純物として、最大0.30%であるが、通常は約0.02%から約0.15%の量で、最終生成物(式(1))中に典型的に見出される。従って、不純物/微量の式(B)は、式(1)の化合物を含む如何なる潜在的な将来の医薬又は薬学的調製物の薬理特性又は毒性特性にも影響を与えないが、それにもかかわらずそれらは、本方法が式(1)の化合物を製造するために使用されたか否かを検出するための明確な特徴(フィンガープリント)となりうる。従って、式(1)の化合物の製造において本方法が使用されたかどうかについて明確な特定が可能になる。
【0004】
従って、他の実施態様では、本発明は、本発明に係る方法が使用されたかどうかを検出するための分析方法において、該分析方法が式(1)の化合物の薬学的調製物中の式(B)の化合物のを検出することを特徴とするものを提供する。
【発明の詳細な説明】
【0005】
本発明によれば、式(1)

の化合物の製造方法において、式(5)

の化合物を4-クロロフェニルボロン酸(5a、スキーム1)及びパラジウム触媒の存在下で反応させて、式(6)

の化合物を得、該式(6)中の2,6-ジクロロベンズアミド基を、アンモニアを使用して切断して式(1)の化合物を得ることを特徴とする方法が提供される。
【0006】
ここで使用される「パラジウム触媒」なる用語は、任意の適切なパラジウム(Pd)触媒、好ましくはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド((PPh)PdCl)及び木炭上Pdを意味する。 好ましくは(PPh)PdClの量は式(5)の化合物に対して約0.0025当量である。
【0007】
式(5)の化合物は、有機化学の分野の当業者には周知の方法に従って得ることができる。本発明に係る特に好ましい実施態様では、式(5)の化合物は、式(2)

の化合物を適当な活性化剤(例えば、塩化オキサリル((COCl)))の存在下で反応させ、続いて5-ブロモ-7-アザインドール(式3)と適当なカップリング剤(例えば、三塩化アルミニウム)を加えて、式(4)

の化合物を得;
式(4)の該化合物を、適切な条件下、2,6-ジクロロベンゾイルクロリドの存在下で更に反応させて、式(5)の化合物を得ることによって得られる。
【0008】
本発明に係る他の特に好ましい実施態様では、
a)式(2)

の化合物を、適切な溶媒(例えば、塩化メチレン(CHCl))中、適当な活性化剤(例えば塩化オキサリル((COCl)及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からその場で調製されるビルスマイヤー塩)の存在下で反応させ、続いて適切な活性化剤の存在下において5-ブロモ-7-アザインドール(式3)と適切な活性化剤(例えば、三塩化アルミニウム)を加えて、式(4)

の化合物を得;
b)式(4)の上記化合物を適切な塩基(例えば、n-トリプロピルアミン(n-PrN))と適切な触媒(例えば、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP))の存在下で2,6-ジクロロベンゾイルクロリドと更に反応させて式(5)

の化合物を得;
c)式(5)の上記化合物を4-クロロフェニルボロン酸及び適切なパラジウム触媒(例えば(PPh)PdCl)の存在下で更に反応させて式(6)

の化合物を得;
d)式(6)の上記化合物を、例えばDMAのような極性非プロトン性溶媒で希釈したアルコール(メタノール又はエタノール)溶液中のアンモニア(NH)又は第一級又は第二級アミン(例えば、ジメチルアミン)と最終的に反応させて、式(1)の化合物を得る、式(I)の化合物の製造方法が提供される。
【0009】
本発に係る好ましい実施態様では、上述の反応工程c)は、例えばアニソール又はトルエンのような非極性非プロトン性溶媒及び水性炭酸ナトリウム又はカリウム(NaCO、KCO)を含む2相反応混合物中で実施される。
【0010】
化合物(4)、(5)及び(6)は新規であり、本発明の他の各実施態様を形成する。
【0011】
本発明に係る方法は、次の反応スキーム(スキーム1)に従ってまとめることができ、ここで、別段の記載がない限りは、全ての略語及び表現は有機化学の技術分野の当業者によく知られている意味を有している。全ての反応の反応対及び補助薬剤(例えば、即ち触媒、溶媒)は市販されている。

【0012】
本発明によれば、工程a)における第一の反応は、式(2)のカルボン酸の酸塩化物の形成である。該反応は、例えば触媒量のDMFを含む塩化メチレン(CHCl)のような適切な媒体中の式(2)の化合物の懸濁液を用いることにより実施することができ、それにCHCl中の塩化オキサリル((COCl))の溶液がゆっくりと加えられる。添加は典型的には室温(RT)で実施され、反応混合物は反応完了まで(約6時間)RTで更に攪拌される。次の反応はフリーデルクラフツアシル化である。新たに得られた酸塩化物の溶液が、CHCl中のAlCl及び5-ブロモ-7-アザインドール(3)の冷却された(T=−12から5℃、好ましくは0−5℃)懸濁液に加えられる。反応混合物は発熱反応の放出熱によって室温まで温められ、約8時間攪拌されて反応が完了する。精製及び分離手順は、氷冷水中に反応混合物を注ぎ、抽出作業後に、THF/塩化メチレン/ヘプタンから式(4)の化合物を結晶化させることを含む。式(4)の化合物は、つまりヘプタンで洗浄することによって更に精製されうる。
【0013】
工程b)の反応は、適切な非プロトン溶媒(例えばトルエン)中で式(4)の化合物の懸濁液の調製で始まる。続いて、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、n-トリプロピルアミン及び2,6-ジクロロベンゾイルクロリドが室温で加えられる。反応混合物が約60分間攪拌される。反応の完了後、水性精製が実施される。続いて、トルエンが有機溶液からゆっくりと蒸発させられて、式(5)の化合物の結晶化が生じ、これを最終的に分離し、更に例えば冷トルエン等で精製する。
【0014】
工程c)の反応は、式(5)の化合物と4-クロロフェニルボロン酸(5a)のPd触媒鈴木カップリング反応である。反応は、アニソールのような非プロトン性溶媒中で4-クロロフェニルボロン酸(5a)と式(5)の化合物の懸濁液の調製で始まり、そこにNaCOの水溶液が加えられる。反応混合物を約85℃の温度までゆっくりと加熱する。加熱中、Pd触媒が室温と約70℃の間の温度で加えられる。如何なる適切なPd触媒も使用可能であるが、ビス(トリフェニルホスフィン) パラジウム(II)ジクロリド((PPh)PdCl)が特に好ましい。反応混合物は約120分間、約85℃で攪拌されて、反応が完了する。熱い二相性の反応混合物を濾過して、可能性のある沈殿Pdを除去する。水性精製後、有機(アニソール)相 を蒸発により濃縮し、メタノールで希釈し、約0℃まで冷却し、式(6)の化合物の結晶化を開始させる。沈殿物を分離し、冷メタノールで数回洗浄し、続いて真空下で乾燥させる。必要ならば、式(6)の化合物をトルエンからの再結晶化によって更に精製することができる。
【0015】
工程d)の反応は2,6-ジクロロベンズアミド保護基の除去である。反応はDMA/メタノール(約1:1−2:1)中の式(6)の化合物の懸濁液/溶液中で約3から7当量の飽和アンモニア溶液(メタノール中NH)を室温で加えることにより実施される。反応混合物を、保護基が完全に切断されるまで(約10時間)約55℃で攪拌する。得られた溶液をメタノールで希釈し、その後アンモニアを減圧下での共沸蒸留により取り除く。残留物をメタノールで希釈し、室温まで冷却して、式(1)の化合物の結晶化を開始させ、これをついで反応混合物から濾過により分離できる。式(1)の化合物は更にメタノールなどで洗浄して精製できる。
【0016】
本発明に係る方法は、式(A)及び(B)の副産物の形成を生じうる。

【0017】
特に、式(A)の化合物は、式(5)の化合物の4-クロロフェニルボロン酸との反応(工程c)、スキーム1)中に形成されうる。式(B)の化合物は上述した反応工程d)の間に得られた式(A)の脱保護形態である(スキーム1をまた参照)。これらの化合物、特に式(B)の化合物は、本発明に係る方法と、当業者に知られている一般的な精製方法を含みさえする方法の完了後にさもないと>99重量%の式(1)の化合物を含む組成物において約0.02重量から約0.15重量%の量で検出されうる。従って、微量の式(B)の化合物でさえ、本方法に従って得られる場合、式(1)の化合物を含む薬学的調製物中において検出可能でありうる。これらの化合物、特に式(B)の化合物は、本方法の使用に対する明確な特徴となりうる。式(A)及び式(B)の化合物は次のNMRシグナルを示す:
化合物A:
H−NMR(500MHz,d6−DMSO):δ0.99(t,J=7.5Hz,3H),1.72−1.82(m,2H),3.15−3.21(m,2H),7.37(t,J=9.0Hz,1H),7.52−7.58(m,2H),7.65−7.74(m,4H),7.76−7.85(m,4H),7.87−7.92(m,2H),8.58(br.s,1H),8.82(d,J=2.5Hz,1H),8.90(br.s,1H),9.85(br.s,1H)。
【0018】
化合物B:
H−NMR(600MHz,d6−DMSO):δ0.97(t,J=7.5Hz,3H),1.70−1.80(m,2H),3.10−3.15(m,2H),7.29(t,J=8.7Hz,1H),7.54−7.63(m,3H),7.78−7.82(m,2H),7.83−7.90(m,4H),8.25(s,1H),8.70(br.s,1H),8.79(d,J=1.8Hz,1H),9.78(br.s,1H),13.02(br.s,1H)。
【0019】
従って、本発明に係る更なる実施態様として、かかる式(A)及び(B)の化合物が提供される。
【0020】
更に他の実施態様では、本発明は、本発明に係る方法が使用されたかどうかを検出するための分析方法であって、ここに開示される検出可能なレベルの式(A)及び/又は(B)の化合物が、ここに開示される合成方法を用いて調製された式(1)の化合物を主に含有する任意の商業的な薬学的調製物中に一般に存在していることを特徴とする方法を提供する。好ましくは、式(B)の化合物を検出するために分析方法が使用される。有機化学者に知られている任意の適切な分析方法を適用することができ、例えば赤外分光法、核磁気共鳴分光法、質量分析法(MS)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。より好ましくは、分析方法は、例えばMS(HPLC−MS)のような第二の分析方法と場合によっては組み合わせられうる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に基づく。
【0021】
式(1)の化合物は、特に国際公開第2007002433号及び国際公開第2007002325号に記載されているように、活性な薬学的成分としての可能性を示す。従って、本発明の更なる実施態様では、式(1)の化合物を少なくとも検出可能な量の式(B)の化合物と共に含有する薬学的な調製物が提供される。より好ましくは、99重量%を越える量の式(1)の化合物と約0.01重量%から0.15重量%の量の式(B)の化合物を含有する組成物が提供される。上記組成物は薬学的に許容可能なアジュバントと共に更にプロセシングされて、とりわけ国際公開第2007002433号及び国際公開第2007002325号に記載されるような任意の種類の薬学的調製物が得られる。
【0022】
本発明に係る方法で使用される出発物質、溶媒、触媒及び補助試薬(即ち、スキーム1参照)は商業的に購入可能である。しかし、大きな工業的規模で製造される場合、良好な品質の多量の出発物質を高い収率で得る必要性が残っている。
【0023】
従って、本発明によれば、その5位がハロゲン化されたアザインドール誘導体、特に5-ブロモ-7-アザインドール((3)、CAS183208-35-7)及び5-クロロ-7-アザインドール(CAS866546-07-8)を作製する改良方法がまた提供される。5-ブロモ-7-アザインドールはスキーム1に従った上述のプロセスの有用な出発物質である。
【0024】
従って、本発明に係る更なる実施態様では、化合物(I)

の製造方法において、
aa)式(II)

の化合物を触媒,ヨウ化銅(I)及び塩基の存在下で式(III)

の化合物と反応させて、式(IV)

の化合物を得、
bb)上記式(IV)の化合物を減圧下、50−90℃で水性アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させて、式(V)

の化合物を得、
cc)上記式(V)の化合物を水性アルカリ金属水酸化物又は強塩基の存在下で反応させて、式(I)の化合物を得;
ここで、
及びRがC1−C4アルキルから独立して選択され、
Xが-Br又は-Clである
方法が提供される。
【0025】
本発明に係る特に好ましい一実施態様では、上記プロセスaa)からcc)はXが-Brであるもので実施され、化合物Ia、IIa、IVa、Vaが得られる。化合物3及びIaはよって同一であり、共に5-ブロモ-7-アザインドールである。
【0026】
本発明に係る他の特に好ましい実施態様では、上記プロセスaa)からcc)はXが-Clであるもので実施され、化合物Ib、IIb、IVb、Vbが得られる。
【0027】
本発明に係るまた別の好ましい実施態様では、R及びRは共にメチルである。
【0028】
上述の式(I)の化合物の合成は逐次プロセスである。工程aa)からcc)に記載された各反応の後、水性精製手順が適用され、形成された中間生成物が場合によっては分離される。別の設定では、反応工程bb)及びcc)を殆ど同時に実施することもまた可能である。これは、化合物(V)の化合物(I)への転換が、化合物(V)が形成されると直ぐに、また化合物(V)(工程bb))を得る反応が終了する前に、始まることを意味する。よって、bb)及びcc)の2つの反応は同じ反応条件下で進みうる。従って、この代替方法によれば、化合物(I)へのその更なる反応の前に化合物(V)の精製処理が必要とされない。
【0029】
従って、更に他の実施態様では、式(V)の化合物の段階で水性精製を行う必要がなく式(IV)から直接式(I)の化合物を得る方法が提供される。これは、を加え、およそ1:1(w/w)の水とN-メチルピロリドン(NMP)の混合物に溶解させた式(IV)の化合物に、約350mbarの圧力を加えながら約75から約85℃で5から10当量の水性水酸化ナトリウムを加え、続いて約75から約85℃で減圧下(<400mbar)、15から20時間攪拌することによって、達成されうる。反応時間全体を通して、蒸留アセトン/水は連続的に水で置き換えられる。反応の終了は15から20時間後に反応混合物から試料を採取し、該試料をHPLCで分析することによってモニターできる。この反応の特定の手順は実施例7bに開示する。
【0030】
ここで使用される「C1−C4アルキル」なる用語は、直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素、例えばメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、n-ブチル、2-ブチル、tert-ブチルを意味するが、メチルが特に好ましい。
【0031】
ここで使用される「アルカリ金属水酸化物」なる用語は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カリウムを意味するが、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0032】
ここで使用される「減圧」なる用語は<500mbar、好ましくは<400mbarを意味する。
【0033】
ここで工程aa)において使用される「触媒」なる用語は、通常、この種の園頭反応に使用される任意のPd(II)−又はPd(0)触媒を意味する。そのような触媒の例はPd(PPh)、PdCl(PPh)、Pd(OAc)、Pd(dba)であり、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド(PdCl(PPh))が特に好ましい。
【0034】
ここで工程aa)において使用される「塩基」なる用語は、弱塩基、例えばN-メチルモルホリン又はトリアルキルアミン類を意味し、トリエチルアミンが特に好ましい。
【0035】
ここで工程cc)において使用される「強塩基」なる用語は、アルカリ金属アルコレート、好ましくはカリウムtert-ブチレートである。
【0036】
本発明に係る特に好ましい実施態様では、上述の反応工程aa)は、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド、ヨウ化銅(I)及びトリエチルアミンの存在下で実施され、反応工程bb)は水性水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムの存在下で実施され、反応工程cc)はカリウムtert-ブチレート又は水性水酸化ナトリウムの存在下で実施される。アセトンの脱離(工程bb)と続く工程cc)の環形成は、好ましくは溶媒としてN-メチルピロリドン中又はN-メチルピロリドンと水の混合物中で実施される。
【0037】
反応工程aa)からcc)に係るプロセスは好ましくは実施例7a)又はb)に与えられた特定の条件及びパラメータに従って実施される。従って、実施例7a)又はb)による特定のプロセスが本発明に係る他の好ましい各実施態様を形成する。
【0038】
式(II)の化合物は、例えば対応する5-ハロゲン化2-アミノ-ピリジン類のヨウ素化によって得ることができる。当業者に知られている多くのヨウ素化条件のなかで、ヨウ素と 過ヨウ素酸の混合物が述べた転換に特に適していることが実証された。
【0039】
式(IV)の化合物を経由する上述の合成経路は、式(I)の他の点はよく知られた化合物、特に5-ブロモ-7-アザインドール(3又はIa)の新規な代替製造法である。この方法の特定の利点は、反応混合物から容易に精製され分離することができる式(IV)の中間体化合物の使用である。また、化合物(IV)の使用は、特に国際公開第2009/016460号及び米国特許出願公開第2006/0183758号に記載されたようなこの種の反応(園頭反応)に対して友情知られている、対応するトリメチルシリル-エチニル誘導体が使用される場合に形成される、環化の際に環境的に危険なSi副産物の放出を避ける。、
【0040】
よって、式(IV)の化合物は、5−ハロゲン化7−アザインドール類(I)を得るための上述の合成法における価値があり新規な中間体である。従って、本発明に係る更に他の実施態様では、かかる式(IV)の化合物が提供される。
【0041】
以下、本発明を次の添付の実施例によって例証する。幾つかの実施例において、「インプロセス制御」なる用語が使用されている。この用語は、プロセスが進行している間に反応混合物から試料が採取され、出発材料の製品への転換の度合いを検出するために、該試料が当業者に知られた標準的な技術、好ましくはHPLCによって分析されることを意味する。
【実施例】
【0042】
実施例1(工程a))
スキーム1によるカルボン酸塩化物(工程a)1)の生成
55.8g のスルホンアミド酸(2)を、窒素雰囲気下に維持した乾燥させた第一反応容器中に投入し、それに
280mL の塩化メチレンを加えた。ついで
619μL のDMFを、得られた懸濁液に加え、得られた混合物を18−22℃の間の温度に維持した。ついで
1.4g の塩化オキサリルを、
66mL の塩化メチレンに溶解させ、この溶液をゆっくりと約30分間で上述の懸濁液に加え、該懸濁液の温度を18−22℃に更に保った。CO及びCOの形成を前述の添加中に観察することができた。反応混合物をついで更に約4から6時間攪拌し、更に懸濁液が略完全に溶液にかわり、気体発生がもはや観察されなくなるまで18−22℃の間の温度に更に維持した。
【0043】
フリーデルクラフトアシル化
上述の酸塩化物の形成に平行して、第二反応容器を用意し、そこに
106.7g の三塩化アルミニウムを、
266mL の塩化メチレンと混合して懸濁液を得、これをついで約−12から2℃まで冷却した。平行して、
39.4g の5-ブロモ-7-アザインドールの
66mL 塩化メチレン中の懸濁液を窒素雰囲気下で第三の乾燥反応容器中で調製した。上記ブロモアザインドール懸濁液をおよそ30分間、−12から2℃の間の温度で三塩化アルミニウム懸濁液に加えた。得られた懸濁液を上述の手順に従って得た酸塩化物溶液をおよそ30分間で加えて更に反応させ、反応混合物を約20−25℃まで、上記酸塩化物溶液の添加時に観察された自発的熱放出を使用して温めた。酸塩化物の添加後、反応混合物を更におよそ8から10時間攪拌した;それによって、混合物が20−25℃の間の温度に維持された。この時間の間に2相への分離が観察された。
【0044】
一方、0−5℃の間の温度に冷却した
400ml の水を含む第4反応容器を用意した。先の工程に従って得られた2相の反応混合物を約30分かけて上記第4反応容器中の上記冷却水中へゆっくりと加え、それによって、得られた混合物を0−20℃の間の温度に維持した。これは発熱反応を生じ、得られた二相の反応混合物から式(4)の化合物が沈殿した。塩化メチエンは不均一混合物から減圧下での蒸留により広く取り除いた。ついで、式(4)の化合物の水性懸濁液を塩化メチレン及びTHFで希釈した。透明な二相混合物が反応混合物を約50℃に加熱することで得られた。相分離後、有機相を約50℃で400mLの半飽和ブラインで2回洗浄した。有機相を減圧下50℃で、約400mLの体積まで濃縮したところ、式(4)の化合物の結晶化が始まった。
600ml のヘプタンを約50℃で30分以内に加えた。得られた懸濁液を約3−5時間で約0℃まで冷却した。結晶化を完了させるために約0℃で少なくとも更に1時間攪拌した後、懸濁液を濾過し、湿った沈殿物を
120mL のn-ヘプタンで2回洗浄した。湿った生成物を真空下、50−60℃の間の温度で乾燥させた。
収量:85g(=90%)淡いベージュ色の結晶性アザインドール(4)。
【0045】
実施例2(工程b))
化合物(5)の生成
45.8g の実施例1に従って得られた化合物(4)を
600mL のトルエンに懸濁させた。懸濁液に含まれる水を60−80℃の間の温度、450−400mbarの減圧下で除去した。続いて、
200mL のトルエンを新たに加え、懸濁液を20−25℃に冷却した。ついで、
1.22g のジメチルアミノピリジンの
20mL のトルエン中の溶液を加えた後に、
15.8g のn-トリプロピルアミンを加えた。続いて、
22.0g の2,6-ジクロロベンゾイルクロリドを、混合物を20から25℃の間に保ちながら、およそ15分の間に滴下漏斗を介してゆっくりと加えた。反応混合物を約1−2時間、20から25℃の間の温度で攪拌したところ、混合物の色が茶色になった。最後の工程で得られた茶色の反応混合物を、
275mL の水と続いて
29.6g の塩酸(37%)で希釈した。得られた二相の混合物を65−70℃に加熱した。二相を約10分間後に分離させた。トルエン相を65から70℃の間の温度で、最初は10%炭酸水素ナトリウムを含む
300mL の水溶液で、ついで
300mL の水で洗浄した。有機相(トルエン)を55から60℃の間の温度で減圧下(200−80mbar)で約200mLの体積まで蒸発により濃縮した。この手順の間に粗生成物(5)は結晶化により沈殿した。ついで、得られた懸濁液をゆっくりと(約5時間以内)−5から0℃まで冷却し、更にその温度で約1時間攪拌した。粗生成物を濾過により分離し、
30mL トルエン(0℃)で2回洗浄し、続いて50−55℃、26−13mbarで乾燥させた。
収量:57g(90%)の式(5)の化合物。
【0046】
実施例3(工程c))
化合物(6)の生成、鈴木カップリング
23.16g の4-クロロフェニルボロン酸(5a)を実施例2に従って得た化合物(5)の
85.00g を乾燥した第一反応容器中で窒素雰囲気下で混合し、得られた懸濁液に
395ml のアニソールを加えた。懸濁液を室温(20−25℃)に保ち、
57.08g の炭酸ナトリウムの
337ml 水中の溶液と混合した。反応混合物をついで70+/−2℃の温度まで加熱した。この温度で、
0.236g のビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリドを
110ml のアニソール共に反応混合物に加え、これを続いてゆっくりと(約60分以内)80−88℃の間の温度まで加熱し(外部の加熱温度は110℃を超えていない)、約2時間攪拌した。反応が終了に向かうと、暗赤色の(有機相)上相を持つ透明な2相の反応混合物の形成が得られた。反応完了後、反応混合物は60−80℃に冷却され、フィルターを介して第二反応容器に移される。第一反応容器とフィルターを温かい
110ml のアニソールで洗浄し、これを第二の反応容器に加えた。得られた2相を分離し、有機相を60−80℃で、先ず10%(w/w)硫酸ナトリウムを含む
375ml の0.1N硫酸と、ついで
375ml の水で洗浄した。最後の抽出中に2相の逆転が観察された。有機相が今度は下相である。完全な相分離を達成するため、少なくとも70℃の温度で最後の抽出を実施した。得られた橙黄色の溶液を約225mL(+/−10%)まで減圧下で濃縮する一方、溶液の温度を60−80℃の間に保った。続いて、得られた懸濁液を約60℃まで冷却した。ついで、30分以上かけて
628ml のメタノールを連続的に加えた。続いて、懸濁液をゆっくりと(約4時間以内に)0℃(+/−2℃)まで冷却し、その温度で約3時間攪拌して式(6)の生成物の結晶化を生じさせた。懸濁液を濾過により分離し、湿った固形残留物を
112mL の冷メタノールで2回洗浄した。湿ったクロロフェニルベンズアミド(6)を70−80℃の間の温度の水浴で、ロータリーエバポレータで減圧下で乾燥させた。
収量:74−76g(82−85%)ほぼ無色の結晶性クロロフェニルベンズアミド(6)。生成物は場合によっては更なる精製のためにトルエンから再結晶化させることができる。
H−NMR(400MHz,CDCl3):δppm1.09(t,J=7.5Hz,3H),1.86−1.99(m,2H),3.10−3.19(m,2H),6.53(s,1H),7.11(dt,J=8.6,1.5Hz,1H),7.39−7.49(m,5H),7.50−7.59(m,2H),7.79(td,J=9.0,5.6Hz,1H),8.32(br.s,1H),8.43(br.s,1H),8.84(d,J=2.3Hz,1H)。
【0047】
実施例4(工程d))
化合物(1)の生成
70.0g のクロロフェニルベンズアミド(6)、
175ml のDMA及び
88ml のメタノールを、窒素雰囲気下で、乾燥した反応容器に入れた。得られた懸濁液を20−25℃に保ち、メタノール(15%)中の
48.0g のアンモニア溶液と混合した。オートクレーブをついで閉じて、反応混合物を50−55℃に加熱し、透明な溶液が形成された。反応混合物を約10−20時間攪拌しながら温度を維持した。続いて、透明な溶液を二重ジャケット反応容器に移し、更に
254ml のメタノールで希釈した。反応混合物をついで減圧下(600−500mbar)で最大60℃のジャケット温度でその元の体積まで濃縮した。続いて
508ml のメタノールを約20−30分の時間をかけてゆっくりと新たに加え、反応混合物の温度を約45−55℃の間に保った。得られた懸濁液をゆっくりと20℃(±3℃)まで冷却し、続いて更に少なくとも1時間攪拌した後、濾過により固形反応生成物(1)を分離した。フィルターケーキを
120mL のメタノールで2回洗浄した。湿った生成物を減圧下で、50−60℃の温度の水浴を適用してロータリーエバポレーターで乾燥させた。
収量:49g(95%)の白色結晶性の式(1)化合物。
H−NMR(600MHz,CDCl3):δppm1.07(t,J=7.5Hz,3H),1.84−1.98(m,2H),3.07−3.17(m,2H),6.41(s,1H),7.06(dt,J=8.6Hz,1.5Hz,1H),7.46−7.51(m,2H),7.60−7.64(m,2H),7.70(td,J=9.0,5.5Hz,1H),7.73(d,J=2.7Hz,1H),8.65(d,J=2.2Hz,1H),8.88(d,J=1.9Hz,1H),9.55(br.s,1H).
純度:≧99(m/m,HPLC);パラジウム含量≦5ppm;化合物(B):約0.1%
【0048】
実施例5
2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン(IIa)の調製

1000mLの二重ジャケット反応器(窒素雰囲気下)において、
38.28g のヨウ素を
21g の酢酸及び
62g のアセトニトリル中に懸濁させる。褐色混合物に
14.6g のスルホン酸96%を20から40℃で加えた。この添加は強い発熱反応である。滴下漏斗を
20g の水で洗浄する。得られた混合物をジャケット温度90℃で加熱する。混合物の温度が70℃である場合、混合物を3から6分間
45.20g の過ヨウ素酸(水中50%)で処理する。この添加は吸熱反応である。漏斗を
10g の水で洗浄する。ついで、溶液を65から75℃で、5から10分以内で、事前に調製した
58.00g の2-アミノ-5-ブロモピリジンの
67g のアセトニトリル及び
31.5g の酢酸中の溶液で処理する。滴下漏斗を
15g のアセトニトリルで洗浄する。得られた溶液を77から82℃まで加熱し、僅かに還流条件下で3から4時間(およそ90℃のジャケット温度)で攪拌する。インプロセス制御(提案された標的値:<2.0%出発材料)。転換の完了時に、混合物を直ちに冷却し、60から70℃で滴下して
66g の亜硫酸水素ナトリウム(水中38−40%)で処理する。添加直後に、混合物を60から70℃で30から60分以内に
360g の水で希釈する。混合物をついで60から70℃で50から90分以内に
約202g の水酸化ナトリウム28%で処理し、pHを7.3から7.6に調節する。所望のpHに達したところで、懸濁液を60から70℃で30から60分撹拌する。懸濁液を20から25℃まで2から5時間かけて冷却し、ついでこの温度で2から5時間攪拌する。結晶を濾過し、
270g の水と
23g のアセトニトリルの混合物で二回に分けて洗浄する。湿った結晶(約120g)を40から50℃/<30mbarで一定の重量となるまで乾燥させる。
収量:90.5gの僅かに褐色の結晶を95.0%(m/m)のアッセイで得た。これは86%の修正収率に相当する。
【0049】
実施例6
a)4-(2-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オールの調製

ジクロロメタン(40mL)中の2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン(10.0g、33.5mmol)、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド(117mg、0.17mmol)、ヨウ化銅(I)(79mg、0.41mmol)及びトリエチルアミン(6.1mL、43.5mmol)の懸濁液を23から30℃で1から2時間以内にジクロロメタン(10mL)中の1,1-ジメチル-2-プロピン-1-オール(3.70g、44mmol)で処理し、得られた混合物を25℃で3時間攪拌した。混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄した。有機相をついで1MのHCl(80mL)で処理した。層を分離し、有機層を1MのHCl(20mL)で抽出した。組み合わせた生成物を含む水性層をジクロロメタン(2×10mL)で洗浄した。水性層のpHを水酸化ナトリウム溶液(水中28%、18g)を滴下して加えてpH7−9に調節した。得られた懸濁液を20℃で2時間攪拌し、結晶をついで濾過除去し、水(2×20mL)で洗浄した。湿った結晶を50℃/<30mbarで乾燥させて、6.99g(82%)の4-(2-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オールを溶融塊として純度99.5%(HPLC、面積%)で得た。H NMR(400MHz,CDCl):δppm1.63(s,6H);4.0(br.,3H);7.59(d,J=2.4,1H);8.03(d,J=2.4,1H)。
【0050】
b)4-(2-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オールの別の調製法。
1000mLの二重ジャケット反応器(窒素雰囲気下)中において、
84.0g の2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン(96.4%(m/m))を
900g のジクロロメタン中に懸濁化させる。懸濁液を還流(45℃のジャケット温度)まで加熱し、15から45分間僅かに還流させて攪拌する。ほの暗い溶液を30から35℃に冷却し、いでポリッシュ濾過する(Decalite Speedexを充填したZetaプラスフィルタープレートを使用)。第一反応器と移送パイプを
130g のジクロロメタン(30から35℃に予熱した)で洗浄する。透明な濾液を260から300mLの残留体積となるまで濃縮する。得られた懸濁液を約30℃で
600mg のビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド、
400mg のヨウ化銅(I)及び
38.0g のトリエチルアミンで処理する。使用したレシーバーを
10g のジクロロメタンで洗浄する。褐色の懸濁液を30から34℃で1から2時間以内に
32.0g の2-メチル-3-ブチン-2-オールの
120g のジクロロメタン中の溶液で処理する。滴下漏斗を
15g のジクロロメタンで洗浄する。混合物を30から34℃で10時間攪拌する。インプロセス制御。転換の完了時に混合物を30から34℃で
240g のジクロロメタン及び
200g の水で希釈し、
100g の水酸化アンモニウム溶液(水中25%)で28から34℃で10から20分以内で処理する。二相溶液(約950mL)を15から30分間28から34℃で攪拌し、層をついで15から30分間で分離させる。有機層を分離し、水性層を28から34℃で
80g のジクロロメタンで抽出する。組み合わせた有機層を
100g の水で30から34℃で希釈し、ついで28から34℃で10から20分以内に
50g の水酸化アンモニウム溶液(水中25%)で処理する。二相溶液を15から30分間28から34℃で攪拌し、層をついで15から30分間分離させる。有機層を分離させ、28から34℃で
100g の水で洗浄する。有機層を減圧下で34℃の最大温度で体積が550から600mLとなるまで濃縮する。有機層を25から32℃で
400g の水で希釈し、15から30分以内に25から32℃で
45g の塩酸(水中37%)で処理する。二相溶液(980mL)を15から30分間25から32℃で攪拌し、層をついで30から60分間分離させる。層を分離させ、有機層を
225g の水で希釈し、ついで25から32℃で15から30分以内に
25g の塩酸(水中37%)で処理する。組み合わせた生成物を含む水性層を25から32℃で
100g のジクロロメタンで洗浄する。水性層からジクロロメタンをついで水で減圧下、32℃の最高内部温度で共沸的に除去する。蒸留の最後に体積が550から600mLとなるよう調節する。得られた水溶液をポリッシュ濾過する(Zetaプラスフィルタープレートを使用)。第一反応器及び移送パイプを
40g の水で洗浄する。透明の溶液をついで22から30℃で60から120分以内におよそ
54g の水酸化ナトリウム(水中28%)でpHがpH7.5から9.5となるまで処理する。これは生成物を沈殿させる。薬注後、得られた懸濁液を20から25℃で4から16時間撹拌する。結晶を濾過し、
300g の水で二回に分けて洗浄する。湿った結晶(約73g)を40から50℃、<30mbarで、一定重量となるまで乾燥する。
収量:65.04g(93%)の黄色結晶で98.6%(m/m)の含有量。この中間体は場合によっては更なる精製のためにイソプロパノール/水から再結晶させることもできる。
H NMR(400MHz,CDCl):δppm1.61(s,6H);2.3(br.,1H);4.9(br.,2H);7.57(d,J=2.4,1H);8.01(d,J=2.4,1H)。
【0051】
実施例7
a)分離された2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジンからの5-ブロモ-7-アザインドール(3又はIa)の調製

ジクロロメタン(20mL)中の2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン(5.0g、16.7mmol)、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド(43mg、0.061mmol)、ヨウ化銅(I)(29.4mg、0.15mmol)及びトリエチルアミン(2.21g、21.8mmol)の懸濁液を23から30℃で、1から2時間以内にジクロロメタン(10mL)中の1,1-ジメチル-2-プロピン-1-オール(1.85g、21.7mmol)で処理し、得られた混合物を25℃で4時間攪拌した。混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、水(2×25mL)で洗浄した。有機相をついで1MのHCl(40mL)で処理した。層を分離し、有機層を1MのHCl(15mL)で抽出した。組み合わせた生成物を含む水性層をジクロロメタン(2×8mL)で洗浄した。水性層のpHをpH7−9となるよう水酸化ナトリウム溶液(水中28%)を滴下して加えて調節した。得られた懸濁液を20℃で一晩攪拌し、結晶をついで濾過除去し、水(2×5mL)で洗浄した。湿った結晶をN-メチルピロリドン(50mL)に溶解し、2時間以内に60℃、50−100mbarにて、水酸化リチウム(2.4M、32mL)の水溶液で処理した。得られた混合物を75℃に加熱し、この温度、減圧下(50−100mbar)で15から20時間、攪拌した。トルエン(20mL)及び水(20mL)をついで加え、層を分離した。水性層をトルエン(3×25mL)で抽出した。組み合わせた有機層を水(3×10mL)で洗浄し、ついで濃縮乾固させた。残留物を N-メチルピロリドン(50mL)に溶解させ、60℃でカリウムtert-ブチレート (3.52g、30.7mmol)で処理した。60℃で3時間攪拌した後、混合物を雰囲気温度まで冷却し、トルエン(40mL)及び水(40mL)で希釈した。水性層を分離し、トルエン(3×50mL)で逆抽出した。組み合わせたトルエン層を水(3×10mL)で洗浄し、ついで濃縮乾固させた。残留物をトルエン及びn-ヘプタン(20mL)の熱い混合物中に溶解させた。透明な溶液を4から6時間以内に−5℃まで冷却したところ、結晶が沈殿した。懸濁液を−5℃で2−4時間攪拌した。結晶を濾過し、ヘプタンで洗浄し、45℃/<30mbarsで一晩乾燥させ、5-ブロモ-7-アザインドール(2.05g、62%収率)を僅かに黄色の結晶として、純度99.6%(HPLC、面積%)で得た。
【0052】
b)分離された4-(2-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オールからの5-ブロモ-7-アザインドールの調製

1000mLの二重ジャケット反応器(窒素雰囲気下)に
80.0g の4-(2-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オール、
320mL のN-メチルピロリドン及び
330mL の水を充填する。混合物を75から80℃に加熱し、約350mbarの真空をかける。溶液をついで75から80℃で30から45分以内で
181mL の水酸化ナトリウム(水中28%)で処理する。滴下漏斗を
5mL の水で洗浄し、混合物を78から81℃で15から20時間攪拌する。攪拌中、ジャケット温度及び真空は、内部温度が78から81℃で、僅かな定常の留出物流が保証されるように調節されなければならない。反応器内の容積がおよそ800mLに達したところで、水を連続的に加えて、残りの反応時間に対して容積を一定に維持する。転換完了時に、反応混合物をおよそ700mLの体積に濃縮し、50から55℃まで冷却する。混合物をこの温度で
200mL のトルエンで処理する。二相混合物(約900mL)を50から55℃で15から30分間攪拌し、層をついで15から30分間で分離させる。水性層を分離し、ついで50から55℃で3×140mL、全体で
420mL のトルエンで抽出する。組み合わせたトルエン層を50から55℃で全体で2×100mL、全体で
200mL の水で洗浄する。450から500mLの残留体積が得られるまで45から55℃で減圧下でトルエン層を濃縮する。残留物を50から55℃で
225g の酢酸エチルで処理し、得られた溶液を50から55℃で3×150mL、全体で
450mL の水で洗浄する。有機層から水及び酢酸エチルを減圧下、45から55℃でトルエンを用いて供沸蒸留する。蒸留の終わりに体積が600から700mLとなるように調節する。混合物を90から95℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌する。溶液を
2.0g の活性炭(Norit SX)で処理し、得られた混合物を15から30分間90から95℃で攪拌する。活性炭を90から95℃の熱濾過によって除去する。第一反応器、フィルター及び移送管を3×100mL、全体で
300mL のトルエンで処理する。濾液を減圧下でおよそ400mLとなるまで濃縮する。得られた懸濁液を90から100℃に加熱して透明な溶液を得る。該溶液を7から10時間以内で−5から−10℃まで冷却し、得られた懸濁液をこの温度で更に3から5時間攪拌する。結晶を濾過し、2回に分けて
120mL のトルエン(<0℃に予冷却)で洗浄する。湿った結晶を55から65℃/<30mbarで一定重量となるまで乾燥させる。
終了:46.5g(75%)の僅かに黄色の結晶で100.1%(m/m)のアッセイ値。
【0053】
実施例8
5-クロロ-7-アザインドール(Ib)の調製
工程1:2-アミノ-5-クロロ-3-ヨードピリジン(IIb)の合成

窒素雰囲気下で1000mLの二重ジャケット反応器において、
38.28g のヨウ素を、
21g の酢酸及び
62g のアセトニトリル中に懸濁させる。褐色混合物に20から40℃で
14.6g のスルホン酸96%を加える。添加は強い発熱性である。滴下漏斗を
20g の水で洗浄する。得られた混合物を90℃のジャケット温度で加熱する。混合物の温度が70℃の場合、混合物を3から6分以内で、
45.20g の過ヨウ素酸(水中50%)で処理する。添加は吸熱性である。滴下漏斗を
10g の水で洗浄する。ついで、溶液を65から75℃で5から10分以内で
43.1g の2-アミノ-5-クロロピリジンが
67g のアセトニトリル及び
31.5g の酢酸に入ったもので洗浄する。滴下漏斗を
15g のアセトニトリルで洗浄する。得られた溶液を77から82℃に加熱し、僅かな還流状態で4時間攪拌する(およそ90℃のジャケット温度)。混合物をついで60−65℃に冷却し、
66g の亜硫酸水素ナトリウム(水中39%)で処理する。添加後、混合物を60から70℃で10分から20分以内に
360g の水で希釈する。混合物をついで
162mL の水酸化ナトリウム28%で処理してpH7.4に調節し、得られた懸濁液を50℃で30から60分間攪拌する。懸濁液を20から25℃に2時間以内に冷却し、ついでこの温度で一晩攪拌する。結晶を濾過し、
270g の水及び
23g のアセトニトリルの混合物で2回に分けて洗浄する。湿った結晶(およそ110g)を40−50℃/<30mbarで乾燥させ、72.5g(85%)の僅かに褐色がかった結晶を純度94.8%(面積)で得る。
【0054】
工程2:4-(2-アミノ-5-クロロ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オールの合成

1000mLの二重ジャケット反応器において、
38.0g の2-アミノ-5-クロロ-3-ヨードピリジンを
120mL のジクロロメタン中に懸濁させる。懸濁液を約30℃で
0.60g のビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)-ジクロリド、
0.41g のヨウ化銅(I)及び
27.5mL のトリエチルアミンで処理する。使用したレシーバーは
10g のジクロロメタンで洗浄する。褐色懸濁液を30℃から34℃で1から2時間以内に
16.8g の2-メチル-3-ブチン-2-オールが
60mL のジクロロメタンに入った溶液で処理する。滴下漏斗を
5mL のジクロロメタンで洗浄する。混合物を3時間30から34℃で攪拌し、ついで30から34℃で
100mL のジクロロメタンと
150mL の水酸化アンモニウム溶液(水中10%)で処理する。二相溶液を10から20分間30から34℃で攪拌し、ついで層を15から45分間放置して分離させる。有機層を分離し、水性層を30から34℃で
40mL のジクロロメタンで抽出する。組み合わされた有機層を28から34℃で
150mL の水酸化アンモニウム溶液(水中10%)とついで
150mL の水で洗浄する。有機層をついで25から32℃で
300mL の塩酸(水中1.0M)で処理する。二相溶液を20から30分間25から32℃で攪拌し、層をついで30から60分間で分離させる。有機層を分離させ、25から32℃で
100mL の塩酸(水中1.0M)で抽出する。組み合わせた生成物を含む水性層を25から32℃で、
100mL のジクロロメタンで洗浄する。ついで、水性層からジクロロメタンを減圧下、30℃の最大内部温度で水で共沸除去する。水溶液をついで22から30℃で69から120分以内におよそ
32mL の水酸化ナトリウム(28%)でpHがpH9に調節されるまで処理する。これにより生成物が沈殿する。薬注後、得られた懸濁液を20から25℃で一晩攪拌する。結晶を濾過し、2回に分けて全体で
150g の水で洗浄する。湿った結晶(40.2g)を40から50℃及び<30mbarで一定重量となるまで乾燥させ、29.2g(92%)の僅かに褐色がかった結晶を純度98.7%(面積)で得る。
【0055】
工程3:5-クロロ-7-アザインドール(Ib)の合成

500mLの二重ジャケット反応器(窒素雰囲気下)に
25.0g の4-(2-アミノ-5-クロロ-ピリジン-3-イル)-2-メチル-ブタ-3-イン-2-オール、
120mL のN-メチルピロリドン及び
130mL の水を充填する。混合物を75から80℃(約95℃のジャケット温度)で加熱し、約350mbarの圧力をかける。溶液をついで75から80℃で30から45分以内に、
85mL の水酸化ナトリウム(水中28%)で処理する。滴下漏斗を
5mL の水で洗浄し、混合物を78から81℃で一晩攪拌する。攪拌中、ジャケット温度と真空は、僅かに定常な留出物流れが保証されるように調節されなければならない。典型的な研究室での実験では、およそ50mLの水/アセトンが2時間で蒸留される。反応中、水を絶えず加えて体積をおよそ270mLの一定に維持する。転換完了時に、反応混合物を50から55℃まで冷却する。混合物を
60mL のトルエンでこの温度で処理する。二相混合物を50から55℃で15から30分間攪拌し、層をついで15から30分間分離させる。水性層を分離させ、ついで、50から55℃で3×50mL、全体で
150mL のトルエンで抽出する。組み合わされたトルエン層を50から55℃で5×40mL、全体で
200mL の水で洗浄する。トルエン層を濃縮乾固する。残留物(17.3g)を90mL のトルエンから結晶化させて13.0g(71%)の5クロロ-7-アザインドール(Ib)を僅かに黄色の結晶として純度96.7%(面積)で得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

の化合物の製造方法において、
式(5)

の化合物を4-クロロフェニルボロン酸及びパラジウム触媒の存在下で反応させて式(6)

の化合物を得、該式(6)の化合物中の2,6-ジクロロベンズアミド基を切断して式(1)の化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項2】
式(5)の化合物を塩化オキサリル((COCl))の存在下で式(2)

の化合物の反応によって得、ついで5-ブロモ-7-アザインドール及び三塩化アルミニウムを加えて式(4)

の化合物を得;
上記式(4)の化合物を2,6-ジクロロベンゾイルクロリドの存在下で更に反応させて請求項1に記載の式(5)の化合物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)式(2)

の化合物をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び塩化オキサリル((COCl))の存在下で塩化メチレン(CHCl)中で反応させ、続いて5-ブロモ-7-アザインドール(式3)及び三塩化アルミニウムを加えて、式(4)

の化合物を得;
b)上記式(4)の化合物を、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、n-トリプロピルアミン(n-PrN)及び2,6-ジクロロベンゾイルクロリドの存在下で更に反応させて式(5)

の化合物を得;
c)上記式(5)の化合物を4-クロロフェニルボロン酸及びパラジウム触媒の存在下で更に反応させて、式(6)

の化合物と副産物として請求項4に記載の式(A)の化合物を得;
d)上記式(6)の化合物を、DMA又はDMF等の極性非プロトン性溶媒で希釈したメタノール又はエタノール溶液中のアンモニア(NH)と最終的に反応させて、請求項1に記載の式(1)の化合物を主生成物として、請求項5に記載の式(B)の化合物を副生成物として得る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(A)

の化合物。
【請求項5】
式(B)

の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の式(1)の化合物を、請求項5に記載の化合物(B)と共に含む組成物。
【請求項7】
式(B)の化合物が式(1)の量に対して約0.02重量%から約0.15重量%で存在することを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の方法が式(1)の化合物の製造に使用されたかどうかを検出するための分析方法において、主に式(1)の化合物を活性成分として含む医薬から試料を得、該試料が式(B)の化合物を含むかどうかを検出するために適切な分析方法を適用することを含む一方、任意の量の式(B)の化合物の存在が、請求項1に記載の方法が使用されたことを示す方法。
【請求項9】
式(I)

の化合物の製造方法において、
aa)式(II)

の化合物を式(III)

の化合物と、触媒,ヨウ化銅(I)及び塩基の存在下で反応させて、式(IV)

の化合物を得、
bb)上記式(IV)の化合物を、50〜90℃及び減圧下、水性アルカリ金属水酸化物の存在下で更に反応させて、式(V)

の化合物を得、
cc)上記式(V)の化合物を、水性アルカリ金属水酸化物又は強塩基の存在下で反応させて、式(I)の化合物を得、
ここで、
及びRはC−Cアルキルから独立して選択され、
Xは−Br又は−Clである
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
Xが−Brである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
及びRが共にメチルである請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
反応工程bb)が、50〜80℃及び100mbar以下の減圧下、水性アルカリ金属水酸化物の存在下で実施される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程aa)の触媒がPdCl(PPhであり、工程bb)のアルカリ金属水酸化物が水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムである請求項9から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
式(IV)の化合物を水とN-メチルピロリドンの混合物に溶解させ、約75から約85℃、減圧下で水性水酸化ナトリウムの存在下、15から20時間反応させ、式(V)の化合物の水性作業を適用する必要なく式(I)の化合物を直接得る、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
請求項9に記載の式(IV)の化合物。
【請求項16】
実質的に明細書に記載されている新規化合物、プロセス、方法及び使用。

【公表番号】特表2013−501024(P2013−501024A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523297(P2012−523297)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061079
【国際公開番号】WO2011/015522
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(306021192)エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】