薬液の加温装置
【課題】 簡単な構成で薬液チューブ内の薬液を所望の温度まで加温できる加温装置を提供する。
【解決手段】 薬液チューブ20に保温カバー10を被せ、この保温カバー内に温風を通すことで薬液チューブ内の薬液を加温する。具体的には、保温カバーは、薬液チューブの外径より大きい内径を持つ筒状のカバー体11を有してその所定箇所に温風入口10−1が設けられ、筒状のカバー体内に薬液チューブを通すようにされる。そして、筒状のカバー体内に温度制御された温風を通すことで薬液チューブ内の薬液を所望の温度まで加温する。
【解決手段】 薬液チューブ20に保温カバー10を被せ、この保温カバー内に温風を通すことで薬液チューブ内の薬液を加温する。具体的には、保温カバーは、薬液チューブの外径より大きい内径を持つ筒状のカバー体11を有してその所定箇所に温風入口10−1が設けられ、筒状のカバー体内に薬液チューブを通すようにされる。そして、筒状のカバー体内に温度制御された温風を通すことで薬液チューブ内の薬液を所望の温度まで加温する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴、輸血、診断等に際して点滴液、血液、造影剤等を供給するための注入チューブを加温する加温装置に関する。なお、本明細書では、点滴液、血液、造影剤等、医療のために人体に注入される液体を薬液と総称する。
【背景技術】
【0002】
やさしい医療が叫ばれているおり、点滴液を体温に近い温度まで加温したうえで注入することが行われるようになってきている。これは、通常、点滴は体力の衰えた病人等に行うことで体力の回復、栄養補給等を図るものであるところ、点滴液の温度が体温よりも低いと、体内に入った点滴液を体温まで上げることにエネルギーが費やされてしまい、体力の消耗につながるという問題点があるからである。
【0003】
例えば特許文献1には、薬液を体温に近似した温度に加温して体内に供給する流通液加温装置が開示されている。この装置は、フィルムシートに連続的な液通路(蛇行状通路)を形成した仕切を設けると共に、液通路に出口チューブと入口チューブを連結してなる加温バッグの両面を加熱板で挟み込んで液通路を流通する薬液の加温を行うようにしている。
【0004】
しかしながら、このような加温装置は以下のような問題点を有している。
【0005】
1.装置内を薬液が直に流通する構造であるために、異なる種類の薬液に共用しにくい。
【0006】
2.加熱源として電熱ヒーターが内蔵されており、電気系統が装置と一体になっているので安全上好ましくない。
【0007】
3.この種の装置は、その構成上、注射針に近い場所よりはむしろ薬袋に近い場所に設置されるのが好ましく、点滴の場合、供給速度が遅いために加温された液が注射針に到達するまでに温度が低下し易い。
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3056439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、できるだけ簡単な構成で上記のような問題点を解消できるような加温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、薬液を通すチューブに保温カバーを被せ、該保温カバー内に温風を通すことでチューブ内の薬液を加温するようにしたことを特徴とする加温装置が提供される。
【0011】
本発明による加温装置においては、前記保温カバーは、前記チューブの外径より大きい内径を持つ筒状体を有してその所定箇所に温風入口が設けられ、該筒状体内に前記チューブを通すようにされ、該筒状体内に温度制御された温風を通すことで前記チューブ内の薬液を所望の温度まで加温するようにされる。
【0012】
本発明による加温装置においてはまた、前記保温カバーが、前記筒状体の中間部に近い位置に前記温風入口を有し、前記温風入口から導入された温風は、前記筒状体の両端側に向けて分流されて該筒状体の端部から排出されることが好ましい。
【0013】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体の両端がそれぞれ、前記チューブを通した状態で塞がれ、該筒状体の前記両端に近い箇所にそれぞれ、前記温風を排出するための1つ以上の穴が設けられていても良い。
【0014】
本発明による加温装置においては更に、前記保温カバーが、前記温風入口を有すると共に該温風入口を間にした両側に接続部を持つ中空のコネクタと、該接続部に一端側を接続される2本の筒状のカバー体とで着脱自在に構成されて成り、これら2本のカバー体と前記コネクタとを通すように前記チューブが配置され、前記温風入口から導入された温風は、前記2本のカバー体に分流されて各カバー体の他端側から排出されるようにしても良い。
【0015】
本発明による加温装置においては更に、前記コネクタの内壁には、該コネクタを通された前記チューブが前記温風入口の通路を塞ぐことを防止するために、前記チューブを前記温風入口の通路から離れた状態で保持するための固定リングが設けられていても良い。
【0016】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体の内壁には、前記チューブを前記内壁から離間させるためのガイドフィンが設けられることが好ましい。
【0017】
本発明による加温装置においては更に、前記保温カバーから離れた箇所に温風発生装置が配置され、該温風発生装置で発生された温風は前記温風入口に接続可能な温風チューブを介して当該保温カバーに導入されることが好ましい。
【0018】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体が、前記チューブのほぼ全長にわたるようにされることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の加温装置によれば、薬液を、チューブを介して間接的に加温する構造であるために、異なる種類の薬液にも共用できる。また、加熱源を別場所に配置できるので、電気系統を加温装置と別体にすることができ、安全上好ましい。
【0020】
本発明による加温装置を使用することにより、点滴の場合、常温でストックされていた点滴パック又はボトルは加温せずそのまま使用しても薬液出口(注射針)近くでは体温に近い温度を保つことができる。
【0021】
また、アンギオにおける造影剤注入の場合、耐圧チューブを保温することで造影剤の粘度を下げることができ、注入立上げ時のチューブ内圧力を低減させることができる。これは造影剤注入時のチューブの破裂を防ぎ、より細い造影カテーテルを使用することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明による薬液加温装置は、薬液を供給するための薬液チューブをその外側から温風で加温するものであり、薬液チューブに筒状の保温カバーを被せ、その保温カバー内に温度制御された温風を流して加温するように構成している。
【0023】
以下に、図面を参照しながら加温原理について説明する。図1は、薬液チューブとその加温に用いられる保温カバーとの関係を示す。保温カバー10は両端を開放した筒状であり、その中に薬液チューブ20を通すために保温カバー10の内径は薬液チューブ20の外径より大きい。断面で示した保温カバー10の中央部には温風入口10−1が設けられている。
【0024】
温風入口10−1から温風が注入され、注入された温風は保温カバー10内で二手に分かれ、両端の開放部から排出される。この過程で薬液チューブ20内の薬液は加温される。加温の効果を上げるには温風の入口−出口間の温度差を小さくしなければならない。保温カバー10内の空気抵抗が増大すると流速が落ちて保温カバー10の外に熱が逃げてしまい温度差が増大してしまう。この温度差を小さくするには空気抵抗を下げ流量を増大させれば良い。
【0025】
図2は、保温カバー10内の温風の流れ方向を拡大して示した断面図である。保温カバー10の中央部(中間部)に温風入口10−1を設けた理由は、空気抵抗を下げるためである。つまり、温風入口10−1から供給された温風を保温カバー10内で矢印で示すように左右に分流させ、分流された温風をそれぞれ保温カバー10の開放端部から排出する。このようにして空気抵抗を低下させることで保温カバー10内の温風の流速、流量を増大させ、もって温風出口での温度低下を軽減させるようにしている。
【0026】
図3(a)〜図3(c)は、保温カバー10内での薬液チューブ20の状態を示す断面図である。保温カバー10の内面が円筒状であり、そこに薬液チューブ20がうねりをもった状態で挿通されていたとしても、図3(b)、図3(c)の断面図で理解できる様に、どのような状態であっても保温カバー10と薬液チューブ20との間には一定の温風流通空間があることがわかる。薬液チューブ20の一部が保温カバー20の内面に接触するが、適度な温風流量が確保されれば入口−出口間で大きな温度差を発生する要因にはならない。
【0027】
図4(a)、図4(b)は、保温カバー10内にガイドフィン10−2を設けるようにした改良例を断面図で示す。保温カバー10内に、長さ方向及び周方向に間隔(ここでは、90度)をおいてガイドフィン10−2を取付けることによって薬液チューブ20をガイドするようにし、薬液チューブ20が保温カバー10の内面に接触しないようにして温風温度低下防止の改善がされている。
【0028】
図5は、温風を一方向のみに流通させるようにした例を示す。つまり、本例では、一端側に薬液チューブ20の挿入口と温風入口10−1’を設け、反対側の端部を開放とした保温カバー10’を用いることにより、薬液チューブ20の一端側から温風を入れ、その反対側から排出するようにしている。この例では、図1に示した例に比べ空気抵抗が約2倍となり温風のトータル流量も25%程度となる。しかし、保温カバー10’の内径を大きくするか温風の圧力を高くすることで、図1の例に近づけることができる。
【0029】
図6〜図16を参照して、本発明による加温装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0030】
図6はもっとも簡単な構造で安価にて提供することのできる形態を示す。本形態では、図1で説明したように、保温カバー10として筒状体の中間部に温風入口(チューブ接続部)10−1を一体に形成したものを用いる。なお、薬液チューブ20の両端には薬液チューブコネクタ21が取り付けられ、一方の薬液チューブコネクタ21には薬袋へ差し込むための針が、他方の薬液チューブコネクタ21には人体への注射針がそれぞれ装着される。薬液チューブコネクタ21は保温カバー10の内径よりも大きいので、保温カバー10にこれより少し長い薬液チューブ20を通した後、薬液チューブ20の両端に薬液チューブコネクタ21を取り付けるようにする。つまり、本加温装置は、ユーザーに対しては保温カバー10に薬液チューブ20が組み込まれた図6に示す状態で提供される。保温カバー10は、透明な材料、例えば樹脂材料で作ることにより、薬液チューブ20内の気泡の有無を確認することができる。
【0031】
温風入口10−1には、後述する温風発生装置と連結された温風チューブ(図示せず)から温風が導入される。
【0032】
図7は、図6の形態の変形例を示す。図6の形態では温風入口10−1から導入した温風を保温カバー10の両側の開放端から排出するようにしている。これに対し、本例では保温カバー10の両端は薬液チューブ20を通した状態で塞ぎ、代わりに両端近傍に1個以上の穴(ここでは、長さ方向及び周方向に間隔をおいて合計8個)10aを設け、穴10aから温風を排出するようにしている。このようにした理由は以下の通りである。
【0033】
(1)例えば、図中右側の薬液チューブコネクタ21に注射針が装着される場合、注射針が挿入された患部へ温風が当たることを防止できる。
【0034】
(2)穴10aの径を調節することで保温カバー10内の温風の圧力を所望の値に設計できる。これにより、保温カバー10をつぶれないように適度に膨らませた状態で使用することができる。
【0035】
図8は、図7の左側の破線の円内を拡大した断面図で示しており、保温カバー10の端部には薬液チューブ20との間を塞ぐための詰物22が充填されている。薬液チューブコネクタ21は保温カバー10の内径よりも大きいので、保温カバー10にこれより少し長い薬液チューブ20を通した後、薬液チューブ20の両端に薬液チューブコネクタ21を取り付けるとともに、保温カバー10の端部を詰物22で塞ぐようにする。つまり、ユーザーには、保温カバー10に薬液チューブ20が組み込まれた図7に示す状態で提供される。
【0036】
図9〜図15を参照して更に別の実施の形態について説明する。本形態では、保温カバー10を着脱式の分解可能な構造としている。
【0037】
図9〜図11において、保温カバー10は、2つの筒状のカバー体11と、これらをつなぎ合わせるためのカバー取付コネクタ(以下、コネクタと略称する)12とから成る。コネクタ12は中空体であって、その中間部に温風供給用の温風チューブ(図示せず)を接続するための温風入口(チューブ接続部)10−1を有し、両側にはそれぞれカバー体11を接続するためのカバー接続部12−1を有する。特に、カバー接続部12−1の先端はカバー体11を嵌め込み易くするためにテーパとしている。
【0038】
図12をも参照して、コネクタ12は、テフロン(登録商標)等の高分子材で成型され、内径は薬液チューブ20側の薬液チューブコネクタ21の最大径より若干大きめに作られて薬液チューブコネクタ21付きの薬液チューブ20を挿入し易くしている。
【0039】
温風入口10−1には、後述する温風発生装置と連結された温風チューブ(図示せず)から温風が導入される。
【0040】
図9に示すように、保温カバー10には薬液チューブ20が挿通される。コネクタ12内で薬液チューブ20が温風入口10−1側の内壁に接して温風入口10−1の通路を塞がないようにするために、以下のような工夫がされている。
【0041】
図13(a)、図13(b)を参照して、コネクタ12の内壁には温風入口10−1を間にした2箇所に固定リング13が設けられる。
【0042】
固定リング13は、図14(a)、図14(b)にも示すように、リング状体の一部を切り欠いてばね性を持たせ、この切り欠き部と反対側の部分を円弧状に窪ませて形成されている。固定リング13は、薬液チューブ20をコネクタ12に通した後、切り欠き部を温風入口10−1側に向け、リング状の部分がコネクタ12の内壁に沿うように装着される。そうすると、固定リング13の円弧状の窪みに薬液チューブ20が入り込み、その結果、薬液チューブ20が固定リング13の窪みで保持されるので温風入口10−1の通路を塞ぐことを防止できる。
【0043】
本形態による保温カバー10の組み立て及び薬液チューブ20への組み付けは以下のようにして行われる。
【0044】
図12に示すように、コネクタ12に薬液チューブコネクタ21付きの薬液チューブ20を通す。次に、コネクタ12に固定リング13を装着して薬液チューブ20をコネクタ12に固定する。続いて、コネクタ12の両側のカバー接続部12−1にカバー体11を装着する。薬液チューブ20の一端側の薬液チューブコネクタ21に薬袋へ差し込むための針を、他端側の薬液チューブコネクタ21には注射針をそれぞれ接続する。温風入口10−1に温風チューブを接続する。温風発生装置で発生した温風を温風チューブを通して導入すると、導入された温風はコネクタ12内で二手に分けられ、2つのカバー体11の開放端部から排出される。
【0045】
なお、カバー体11は、透明な材料、例えば樹脂材料で作ることにより、薬液チューブ20内の気泡の有無を確認することができる。また、本形態による加温度装置も図9に示される状態でユーザーに提供されるが、薬液チューブコネクタ21は、薬液チューブ21を保温カバー10に通した後に取り付けられても良い。
【0046】
図15は、図10の線A−Aによる断面図である。
【0047】
次に、図16を参照して温風発生装置の一例について説明するが、温風チューブを通して保温カバー10に温風を供給する温風供給源はどのようなものであっても良い。
【0048】
図16は、着脱式の保温カバー10にセットされた薬液チューブ20内の薬液を温風で加温する温風発生装置の一例を示す。この温風発生装置100は安全を第一に考えて製作されている。
【0049】
図16において、電源はアイソレーショントランス101を介して供給され、商用電源とは分離されている。アイソレーショントランス101の前段にはノイズフィルター102が装着されておりノイズを入れない、出さない構造となっている。電源スイッチはブレーカー兼用で異常発生時即断される。アイソレートされた電源は電動式空気ポンプ103と制御用電源部104に供給される。
【0050】
電動式空気ポンプ103はモーターの回転運動を直線運動に変換しテフロン(登録商標)製蛇腹ポンプを駆動して、圧縮空気を得ている。蛇腹ポンプは低速運動で適度な流量と圧力、低騒音が得られ空気取入口にはエアーフィルター105が設けられて取り入れた空気を簡易ろ過するようにしている。
【0051】
電動式空気ポンプ103からの圧縮空気は熱交換器106に導入される。
【0052】
熱交換器106は電熱ヒーター106−1からの発生熱を放熱フィンで放熱して導入された圧縮空気を温め温風に変換する。温風温度はサーミスタ106−2で検出され温度制御ユニット107に送られる。温度制御ユニット107は、検出された温風温度と設定温度とを比較し、比較結果に応じて電熱ヒーター106−1をオン、オフ制御することで温風温度を設定温度に維持する制御動作を実行する。何らかの異常が発生して温風温度が設定温度以上に上昇した時は、これを過熱防止素子106−3で検知する。過熱防止素子106−3は温度上昇を検知すると、電熱ヒーター106−1を即オフとする。
【0053】
このようにして温度制御された温風は、温風チューブ110を経て保温カバー10に供給される。
【0054】
温度制御ユニット107は温風温度を任意に設定でき(例えば、体温に近い35〜37℃)、サーミスタ106−2で検出された温度検出信号で電熱ヒーター106−1をオン、オフさせ最適な温度を維持するようになっている。過熱防止素子106−3が作動すると電熱ヒーター106−1はオフにロックされる。また、何らかの異常が発生してコントロール不能状態に陥ったときは、ヒーター電源が自動的に遮断されるように設計されている。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、図11に示したカバー体11にも、図4で説明したようなガイドフィンを設けるようにしても良い。また、保温カバー10(カバー体11)は可とう性を有することが好ましく、注入される薬液の温度を所望温度に維持するためには薬袋から注射針に至る薬液チューブ20の全長にわたって設けられることが望ましい。この場合、コネクタ12は薬袋から注射針に至る薬液チューブ20の中間部に位置することになる。しかし、保温カバー10の材料は、樹脂材、可とう性材、透明材に限られないし、長さも自由に設定できる。また、薬液を入れたパックを加温したうえで薬袋としてセットする場合には、本加温装置は保温装置として使用することができる。
【0056】
本発明の加温装置によれば、以下の効果が得られる。
【0057】
1.薬液を薬液チューブを介して間接的に加温する構造であるために、異なる種類の薬液にも共用できる。
【0058】
2.加熱源としての温風発生装置は加温装置と別に設置され、加温装置自体は電気系統を持たないので、安全上好ましい。つまり、加温装置に使用する部材はテフロン(登録商標)等の高分子絶縁体で、電気絶縁に優れ温風のみ使用のため電気系統とは完全に分離される。
【0059】
3.加温装置の保温カバー、カバー体はどのような長さにも設定でき、薬液チューブの全長にわたるようにすることができるので、点滴のような場合、供給速度が遅くても加温された液が注射針に到達するまでに温度が低下することが無い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明による加温装置は、点滴、輸液ポンプ、血管造影インジェクター用エクステンションチューブ等、チューブ内薬液の加温等、様々な形態で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明による加温装置の加温原理を説明するための図である。
【図2】図2は、図1において破線で示された円内の部分を拡大して示した断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図1に示された保温カバー内での薬液チューブの状態を説明するための断面図である。
【図4】図4は、図1に示された保温カバーの改良例を示した断面図である。
【図5】図5は、保温カバーの他の例を一部破断して示した図である。
【図6】図6は、本発明による加温装置の好ましい実施の形態を示した図である。
【図7】図7は、図6の形態の変形例を示した図である。
【図8】図8は、図7の一部を拡大し、更にその一部を拡大して示した図である。
【図9】図9は、本発明による加温装置の別の実施の形態を示した図である。
【図10】図10は、図9に示された加温装置を構成するカバー取付コネクタを示した図である。
【図11】図11は、図9に示された加温装置を構成するカバー体を示した図である。
【図12】図12は、図10に示されたカバー取付コネクタに薬液チューブを通した状態を示した図である。
【図13】図13(a)、(b)は、図10に示されたコネクタに装着される固定リングについて説明するための図である。
【図14】図14(a)、(b)は、図13(b)に示された固定リングについて説明するための図である。
【図15】図15は、図10のA−A線による断面図である。
【図16】図16は、本発明による加温装置に温風を供給するための温風発生装置の一例を示したブロック構成図である。
【符号の説明】
【0062】
10 保温カバー
10a 穴
10−1 温風入口
10−2 ガイドフィン
11 カバー体
12 カバー取付コネクタ
13 固定リング
20 薬液チューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴、輸血、診断等に際して点滴液、血液、造影剤等を供給するための注入チューブを加温する加温装置に関する。なお、本明細書では、点滴液、血液、造影剤等、医療のために人体に注入される液体を薬液と総称する。
【背景技術】
【0002】
やさしい医療が叫ばれているおり、点滴液を体温に近い温度まで加温したうえで注入することが行われるようになってきている。これは、通常、点滴は体力の衰えた病人等に行うことで体力の回復、栄養補給等を図るものであるところ、点滴液の温度が体温よりも低いと、体内に入った点滴液を体温まで上げることにエネルギーが費やされてしまい、体力の消耗につながるという問題点があるからである。
【0003】
例えば特許文献1には、薬液を体温に近似した温度に加温して体内に供給する流通液加温装置が開示されている。この装置は、フィルムシートに連続的な液通路(蛇行状通路)を形成した仕切を設けると共に、液通路に出口チューブと入口チューブを連結してなる加温バッグの両面を加熱板で挟み込んで液通路を流通する薬液の加温を行うようにしている。
【0004】
しかしながら、このような加温装置は以下のような問題点を有している。
【0005】
1.装置内を薬液が直に流通する構造であるために、異なる種類の薬液に共用しにくい。
【0006】
2.加熱源として電熱ヒーターが内蔵されており、電気系統が装置と一体になっているので安全上好ましくない。
【0007】
3.この種の装置は、その構成上、注射針に近い場所よりはむしろ薬袋に近い場所に設置されるのが好ましく、点滴の場合、供給速度が遅いために加温された液が注射針に到達するまでに温度が低下し易い。
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3056439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、できるだけ簡単な構成で上記のような問題点を解消できるような加温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、薬液を通すチューブに保温カバーを被せ、該保温カバー内に温風を通すことでチューブ内の薬液を加温するようにしたことを特徴とする加温装置が提供される。
【0011】
本発明による加温装置においては、前記保温カバーは、前記チューブの外径より大きい内径を持つ筒状体を有してその所定箇所に温風入口が設けられ、該筒状体内に前記チューブを通すようにされ、該筒状体内に温度制御された温風を通すことで前記チューブ内の薬液を所望の温度まで加温するようにされる。
【0012】
本発明による加温装置においてはまた、前記保温カバーが、前記筒状体の中間部に近い位置に前記温風入口を有し、前記温風入口から導入された温風は、前記筒状体の両端側に向けて分流されて該筒状体の端部から排出されることが好ましい。
【0013】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体の両端がそれぞれ、前記チューブを通した状態で塞がれ、該筒状体の前記両端に近い箇所にそれぞれ、前記温風を排出するための1つ以上の穴が設けられていても良い。
【0014】
本発明による加温装置においては更に、前記保温カバーが、前記温風入口を有すると共に該温風入口を間にした両側に接続部を持つ中空のコネクタと、該接続部に一端側を接続される2本の筒状のカバー体とで着脱自在に構成されて成り、これら2本のカバー体と前記コネクタとを通すように前記チューブが配置され、前記温風入口から導入された温風は、前記2本のカバー体に分流されて各カバー体の他端側から排出されるようにしても良い。
【0015】
本発明による加温装置においては更に、前記コネクタの内壁には、該コネクタを通された前記チューブが前記温風入口の通路を塞ぐことを防止するために、前記チューブを前記温風入口の通路から離れた状態で保持するための固定リングが設けられていても良い。
【0016】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体の内壁には、前記チューブを前記内壁から離間させるためのガイドフィンが設けられることが好ましい。
【0017】
本発明による加温装置においては更に、前記保温カバーから離れた箇所に温風発生装置が配置され、該温風発生装置で発生された温風は前記温風入口に接続可能な温風チューブを介して当該保温カバーに導入されることが好ましい。
【0018】
本発明による加温装置においては更に、前記筒状体が、前記チューブのほぼ全長にわたるようにされることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の加温装置によれば、薬液を、チューブを介して間接的に加温する構造であるために、異なる種類の薬液にも共用できる。また、加熱源を別場所に配置できるので、電気系統を加温装置と別体にすることができ、安全上好ましい。
【0020】
本発明による加温装置を使用することにより、点滴の場合、常温でストックされていた点滴パック又はボトルは加温せずそのまま使用しても薬液出口(注射針)近くでは体温に近い温度を保つことができる。
【0021】
また、アンギオにおける造影剤注入の場合、耐圧チューブを保温することで造影剤の粘度を下げることができ、注入立上げ時のチューブ内圧力を低減させることができる。これは造影剤注入時のチューブの破裂を防ぎ、より細い造影カテーテルを使用することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明による薬液加温装置は、薬液を供給するための薬液チューブをその外側から温風で加温するものであり、薬液チューブに筒状の保温カバーを被せ、その保温カバー内に温度制御された温風を流して加温するように構成している。
【0023】
以下に、図面を参照しながら加温原理について説明する。図1は、薬液チューブとその加温に用いられる保温カバーとの関係を示す。保温カバー10は両端を開放した筒状であり、その中に薬液チューブ20を通すために保温カバー10の内径は薬液チューブ20の外径より大きい。断面で示した保温カバー10の中央部には温風入口10−1が設けられている。
【0024】
温風入口10−1から温風が注入され、注入された温風は保温カバー10内で二手に分かれ、両端の開放部から排出される。この過程で薬液チューブ20内の薬液は加温される。加温の効果を上げるには温風の入口−出口間の温度差を小さくしなければならない。保温カバー10内の空気抵抗が増大すると流速が落ちて保温カバー10の外に熱が逃げてしまい温度差が増大してしまう。この温度差を小さくするには空気抵抗を下げ流量を増大させれば良い。
【0025】
図2は、保温カバー10内の温風の流れ方向を拡大して示した断面図である。保温カバー10の中央部(中間部)に温風入口10−1を設けた理由は、空気抵抗を下げるためである。つまり、温風入口10−1から供給された温風を保温カバー10内で矢印で示すように左右に分流させ、分流された温風をそれぞれ保温カバー10の開放端部から排出する。このようにして空気抵抗を低下させることで保温カバー10内の温風の流速、流量を増大させ、もって温風出口での温度低下を軽減させるようにしている。
【0026】
図3(a)〜図3(c)は、保温カバー10内での薬液チューブ20の状態を示す断面図である。保温カバー10の内面が円筒状であり、そこに薬液チューブ20がうねりをもった状態で挿通されていたとしても、図3(b)、図3(c)の断面図で理解できる様に、どのような状態であっても保温カバー10と薬液チューブ20との間には一定の温風流通空間があることがわかる。薬液チューブ20の一部が保温カバー20の内面に接触するが、適度な温風流量が確保されれば入口−出口間で大きな温度差を発生する要因にはならない。
【0027】
図4(a)、図4(b)は、保温カバー10内にガイドフィン10−2を設けるようにした改良例を断面図で示す。保温カバー10内に、長さ方向及び周方向に間隔(ここでは、90度)をおいてガイドフィン10−2を取付けることによって薬液チューブ20をガイドするようにし、薬液チューブ20が保温カバー10の内面に接触しないようにして温風温度低下防止の改善がされている。
【0028】
図5は、温風を一方向のみに流通させるようにした例を示す。つまり、本例では、一端側に薬液チューブ20の挿入口と温風入口10−1’を設け、反対側の端部を開放とした保温カバー10’を用いることにより、薬液チューブ20の一端側から温風を入れ、その反対側から排出するようにしている。この例では、図1に示した例に比べ空気抵抗が約2倍となり温風のトータル流量も25%程度となる。しかし、保温カバー10’の内径を大きくするか温風の圧力を高くすることで、図1の例に近づけることができる。
【0029】
図6〜図16を参照して、本発明による加温装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0030】
図6はもっとも簡単な構造で安価にて提供することのできる形態を示す。本形態では、図1で説明したように、保温カバー10として筒状体の中間部に温風入口(チューブ接続部)10−1を一体に形成したものを用いる。なお、薬液チューブ20の両端には薬液チューブコネクタ21が取り付けられ、一方の薬液チューブコネクタ21には薬袋へ差し込むための針が、他方の薬液チューブコネクタ21には人体への注射針がそれぞれ装着される。薬液チューブコネクタ21は保温カバー10の内径よりも大きいので、保温カバー10にこれより少し長い薬液チューブ20を通した後、薬液チューブ20の両端に薬液チューブコネクタ21を取り付けるようにする。つまり、本加温装置は、ユーザーに対しては保温カバー10に薬液チューブ20が組み込まれた図6に示す状態で提供される。保温カバー10は、透明な材料、例えば樹脂材料で作ることにより、薬液チューブ20内の気泡の有無を確認することができる。
【0031】
温風入口10−1には、後述する温風発生装置と連結された温風チューブ(図示せず)から温風が導入される。
【0032】
図7は、図6の形態の変形例を示す。図6の形態では温風入口10−1から導入した温風を保温カバー10の両側の開放端から排出するようにしている。これに対し、本例では保温カバー10の両端は薬液チューブ20を通した状態で塞ぎ、代わりに両端近傍に1個以上の穴(ここでは、長さ方向及び周方向に間隔をおいて合計8個)10aを設け、穴10aから温風を排出するようにしている。このようにした理由は以下の通りである。
【0033】
(1)例えば、図中右側の薬液チューブコネクタ21に注射針が装着される場合、注射針が挿入された患部へ温風が当たることを防止できる。
【0034】
(2)穴10aの径を調節することで保温カバー10内の温風の圧力を所望の値に設計できる。これにより、保温カバー10をつぶれないように適度に膨らませた状態で使用することができる。
【0035】
図8は、図7の左側の破線の円内を拡大した断面図で示しており、保温カバー10の端部には薬液チューブ20との間を塞ぐための詰物22が充填されている。薬液チューブコネクタ21は保温カバー10の内径よりも大きいので、保温カバー10にこれより少し長い薬液チューブ20を通した後、薬液チューブ20の両端に薬液チューブコネクタ21を取り付けるとともに、保温カバー10の端部を詰物22で塞ぐようにする。つまり、ユーザーには、保温カバー10に薬液チューブ20が組み込まれた図7に示す状態で提供される。
【0036】
図9〜図15を参照して更に別の実施の形態について説明する。本形態では、保温カバー10を着脱式の分解可能な構造としている。
【0037】
図9〜図11において、保温カバー10は、2つの筒状のカバー体11と、これらをつなぎ合わせるためのカバー取付コネクタ(以下、コネクタと略称する)12とから成る。コネクタ12は中空体であって、その中間部に温風供給用の温風チューブ(図示せず)を接続するための温風入口(チューブ接続部)10−1を有し、両側にはそれぞれカバー体11を接続するためのカバー接続部12−1を有する。特に、カバー接続部12−1の先端はカバー体11を嵌め込み易くするためにテーパとしている。
【0038】
図12をも参照して、コネクタ12は、テフロン(登録商標)等の高分子材で成型され、内径は薬液チューブ20側の薬液チューブコネクタ21の最大径より若干大きめに作られて薬液チューブコネクタ21付きの薬液チューブ20を挿入し易くしている。
【0039】
温風入口10−1には、後述する温風発生装置と連結された温風チューブ(図示せず)から温風が導入される。
【0040】
図9に示すように、保温カバー10には薬液チューブ20が挿通される。コネクタ12内で薬液チューブ20が温風入口10−1側の内壁に接して温風入口10−1の通路を塞がないようにするために、以下のような工夫がされている。
【0041】
図13(a)、図13(b)を参照して、コネクタ12の内壁には温風入口10−1を間にした2箇所に固定リング13が設けられる。
【0042】
固定リング13は、図14(a)、図14(b)にも示すように、リング状体の一部を切り欠いてばね性を持たせ、この切り欠き部と反対側の部分を円弧状に窪ませて形成されている。固定リング13は、薬液チューブ20をコネクタ12に通した後、切り欠き部を温風入口10−1側に向け、リング状の部分がコネクタ12の内壁に沿うように装着される。そうすると、固定リング13の円弧状の窪みに薬液チューブ20が入り込み、その結果、薬液チューブ20が固定リング13の窪みで保持されるので温風入口10−1の通路を塞ぐことを防止できる。
【0043】
本形態による保温カバー10の組み立て及び薬液チューブ20への組み付けは以下のようにして行われる。
【0044】
図12に示すように、コネクタ12に薬液チューブコネクタ21付きの薬液チューブ20を通す。次に、コネクタ12に固定リング13を装着して薬液チューブ20をコネクタ12に固定する。続いて、コネクタ12の両側のカバー接続部12−1にカバー体11を装着する。薬液チューブ20の一端側の薬液チューブコネクタ21に薬袋へ差し込むための針を、他端側の薬液チューブコネクタ21には注射針をそれぞれ接続する。温風入口10−1に温風チューブを接続する。温風発生装置で発生した温風を温風チューブを通して導入すると、導入された温風はコネクタ12内で二手に分けられ、2つのカバー体11の開放端部から排出される。
【0045】
なお、カバー体11は、透明な材料、例えば樹脂材料で作ることにより、薬液チューブ20内の気泡の有無を確認することができる。また、本形態による加温度装置も図9に示される状態でユーザーに提供されるが、薬液チューブコネクタ21は、薬液チューブ21を保温カバー10に通した後に取り付けられても良い。
【0046】
図15は、図10の線A−Aによる断面図である。
【0047】
次に、図16を参照して温風発生装置の一例について説明するが、温風チューブを通して保温カバー10に温風を供給する温風供給源はどのようなものであっても良い。
【0048】
図16は、着脱式の保温カバー10にセットされた薬液チューブ20内の薬液を温風で加温する温風発生装置の一例を示す。この温風発生装置100は安全を第一に考えて製作されている。
【0049】
図16において、電源はアイソレーショントランス101を介して供給され、商用電源とは分離されている。アイソレーショントランス101の前段にはノイズフィルター102が装着されておりノイズを入れない、出さない構造となっている。電源スイッチはブレーカー兼用で異常発生時即断される。アイソレートされた電源は電動式空気ポンプ103と制御用電源部104に供給される。
【0050】
電動式空気ポンプ103はモーターの回転運動を直線運動に変換しテフロン(登録商標)製蛇腹ポンプを駆動して、圧縮空気を得ている。蛇腹ポンプは低速運動で適度な流量と圧力、低騒音が得られ空気取入口にはエアーフィルター105が設けられて取り入れた空気を簡易ろ過するようにしている。
【0051】
電動式空気ポンプ103からの圧縮空気は熱交換器106に導入される。
【0052】
熱交換器106は電熱ヒーター106−1からの発生熱を放熱フィンで放熱して導入された圧縮空気を温め温風に変換する。温風温度はサーミスタ106−2で検出され温度制御ユニット107に送られる。温度制御ユニット107は、検出された温風温度と設定温度とを比較し、比較結果に応じて電熱ヒーター106−1をオン、オフ制御することで温風温度を設定温度に維持する制御動作を実行する。何らかの異常が発生して温風温度が設定温度以上に上昇した時は、これを過熱防止素子106−3で検知する。過熱防止素子106−3は温度上昇を検知すると、電熱ヒーター106−1を即オフとする。
【0053】
このようにして温度制御された温風は、温風チューブ110を経て保温カバー10に供給される。
【0054】
温度制御ユニット107は温風温度を任意に設定でき(例えば、体温に近い35〜37℃)、サーミスタ106−2で検出された温度検出信号で電熱ヒーター106−1をオン、オフさせ最適な温度を維持するようになっている。過熱防止素子106−3が作動すると電熱ヒーター106−1はオフにロックされる。また、何らかの異常が発生してコントロール不能状態に陥ったときは、ヒーター電源が自動的に遮断されるように設計されている。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、図11に示したカバー体11にも、図4で説明したようなガイドフィンを設けるようにしても良い。また、保温カバー10(カバー体11)は可とう性を有することが好ましく、注入される薬液の温度を所望温度に維持するためには薬袋から注射針に至る薬液チューブ20の全長にわたって設けられることが望ましい。この場合、コネクタ12は薬袋から注射針に至る薬液チューブ20の中間部に位置することになる。しかし、保温カバー10の材料は、樹脂材、可とう性材、透明材に限られないし、長さも自由に設定できる。また、薬液を入れたパックを加温したうえで薬袋としてセットする場合には、本加温装置は保温装置として使用することができる。
【0056】
本発明の加温装置によれば、以下の効果が得られる。
【0057】
1.薬液を薬液チューブを介して間接的に加温する構造であるために、異なる種類の薬液にも共用できる。
【0058】
2.加熱源としての温風発生装置は加温装置と別に設置され、加温装置自体は電気系統を持たないので、安全上好ましい。つまり、加温装置に使用する部材はテフロン(登録商標)等の高分子絶縁体で、電気絶縁に優れ温風のみ使用のため電気系統とは完全に分離される。
【0059】
3.加温装置の保温カバー、カバー体はどのような長さにも設定でき、薬液チューブの全長にわたるようにすることができるので、点滴のような場合、供給速度が遅くても加温された液が注射針に到達するまでに温度が低下することが無い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明による加温装置は、点滴、輸液ポンプ、血管造影インジェクター用エクステンションチューブ等、チューブ内薬液の加温等、様々な形態で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明による加温装置の加温原理を説明するための図である。
【図2】図2は、図1において破線で示された円内の部分を拡大して示した断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図1に示された保温カバー内での薬液チューブの状態を説明するための断面図である。
【図4】図4は、図1に示された保温カバーの改良例を示した断面図である。
【図5】図5は、保温カバーの他の例を一部破断して示した図である。
【図6】図6は、本発明による加温装置の好ましい実施の形態を示した図である。
【図7】図7は、図6の形態の変形例を示した図である。
【図8】図8は、図7の一部を拡大し、更にその一部を拡大して示した図である。
【図9】図9は、本発明による加温装置の別の実施の形態を示した図である。
【図10】図10は、図9に示された加温装置を構成するカバー取付コネクタを示した図である。
【図11】図11は、図9に示された加温装置を構成するカバー体を示した図である。
【図12】図12は、図10に示されたカバー取付コネクタに薬液チューブを通した状態を示した図である。
【図13】図13(a)、(b)は、図10に示されたコネクタに装着される固定リングについて説明するための図である。
【図14】図14(a)、(b)は、図13(b)に示された固定リングについて説明するための図である。
【図15】図15は、図10のA−A線による断面図である。
【図16】図16は、本発明による加温装置に温風を供給するための温風発生装置の一例を示したブロック構成図である。
【符号の説明】
【0062】
10 保温カバー
10a 穴
10−1 温風入口
10−2 ガイドフィン
11 カバー体
12 カバー取付コネクタ
13 固定リング
20 薬液チューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を通すチューブに保温カバーを被せ、該保温カバー内に温風を通すことでチューブ内の薬液を加温するようにしたことを特徴とする加温装置。
【請求項2】
前記保温カバーは、前記チューブの外径より大きい内径を持つ筒状体を有してその所定箇所に温風入口が設けられ、該筒状体内に前記チューブを通すようにされ、該筒状体内に温度制御された温風を通すことで前記チューブ内の薬液を所望の温度まで加温することを特徴とする請求項1に記載の加温装置。
【請求項3】
前記保温カバーは、前記筒状体の中間部に近い位置に前記温風入口を有し、前記温風入口から導入された温風は、前記筒状体の両端側に向けて分流されて該筒状体の端部から排出されることを特徴とする請求項2に記載の加温装置。
【請求項4】
前記筒状体の両端はそれぞれ、前記チューブを通した状態で塞がれ、該筒状体の前記両端に近い箇所にそれぞれ、前記温風を排出するための1つ以上の穴が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の加温装置。
【請求項5】
前記保温カバーは、前記温風入口を有すると共に該温風入口を間にした両側に接続部を持つ中空のコネクタと、該接続部に一端側を接続される2本の筒状のカバー体とで着脱自在に構成されて成り、これら2本のカバー体と前記コネクタとを通すように前記チューブが配置され、前記温風入口から導入された温風は、前記2本のカバー体に分流されて各カバー体の他端側から排出されることを特徴とする請求項2に記載の加温装置。
【請求項6】
前記コネクタの内壁には、該コネクタを通された前記チューブが前記温風入口の通路を塞ぐことを防止するために、前記チューブを前記温風入口の通路から離れた状態で保持するための固定リングが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の加温装置。
【請求項7】
前記筒状体の内壁には、前記チューブを前記内壁から離間させるためのガイドフィンが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項8】
前記保温カバーから離れた箇所に温風発生装置が配置され、該温風発生装置で発生された温風は前記温風入口に接続可能な温風チューブを介して当該保温カバーに導入されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項9】
前記筒状体が、前記チューブのほぼ全長にわたるようにされることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項1】
薬液を通すチューブに保温カバーを被せ、該保温カバー内に温風を通すことでチューブ内の薬液を加温するようにしたことを特徴とする加温装置。
【請求項2】
前記保温カバーは、前記チューブの外径より大きい内径を持つ筒状体を有してその所定箇所に温風入口が設けられ、該筒状体内に前記チューブを通すようにされ、該筒状体内に温度制御された温風を通すことで前記チューブ内の薬液を所望の温度まで加温することを特徴とする請求項1に記載の加温装置。
【請求項3】
前記保温カバーは、前記筒状体の中間部に近い位置に前記温風入口を有し、前記温風入口から導入された温風は、前記筒状体の両端側に向けて分流されて該筒状体の端部から排出されることを特徴とする請求項2に記載の加温装置。
【請求項4】
前記筒状体の両端はそれぞれ、前記チューブを通した状態で塞がれ、該筒状体の前記両端に近い箇所にそれぞれ、前記温風を排出するための1つ以上の穴が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の加温装置。
【請求項5】
前記保温カバーは、前記温風入口を有すると共に該温風入口を間にした両側に接続部を持つ中空のコネクタと、該接続部に一端側を接続される2本の筒状のカバー体とで着脱自在に構成されて成り、これら2本のカバー体と前記コネクタとを通すように前記チューブが配置され、前記温風入口から導入された温風は、前記2本のカバー体に分流されて各カバー体の他端側から排出されることを特徴とする請求項2に記載の加温装置。
【請求項6】
前記コネクタの内壁には、該コネクタを通された前記チューブが前記温風入口の通路を塞ぐことを防止するために、前記チューブを前記温風入口の通路から離れた状態で保持するための固定リングが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の加温装置。
【請求項7】
前記筒状体の内壁には、前記チューブを前記内壁から離間させるためのガイドフィンが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項8】
前記保温カバーから離れた箇所に温風発生装置が配置され、該温風発生装置で発生された温風は前記温風入口に接続可能な温風チューブを介して当該保温カバーに導入されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加温装置。
【請求項9】
前記筒状体が、前記チューブのほぼ全長にわたるようにされることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の加温装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−130236(P2007−130236A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326210(P2005−326210)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504053966)ディーブイエックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504053966)ディーブイエックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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