説明

薬物、特には免疫療法を使用する治療、特に自己由来の治療のための癌治療薬

本発明は、好ましくはカップリング剤を必要とすることなく、好ましくは生体材料および/または生体分子より選ばれる少なくとも1種類の活性物質が吸着されているか、吸着されるように意図されている、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性の固体担体を含むことを特徴とする薬物に関する。この生体適合性の固体担体は、活性物質を精製することができる。本発明はまた、変性することなく、担体上に活性物質が可逆的に吸着するように、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性の固体担体を、好ましくは生体材料および/または生体分子より選ばれる少なくとも1種類の活性物質に接触させることから実質的に成る、上記の型の薬物の調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、免疫療法治療の分野であり、特に癌の治療法、感染症または自己免疫疾患の治療法、およびそれに関連する手段である。
【0002】
より具体的には、本発明は、免疫刺激を使用する自己由来の治療に関する。更により具体的には、本発明は、患者の腫瘍抗原から得られた抗腫瘍ワクチンを含む、特に癌を治療するための手段に関する。
【0003】
本発明は、特には、生体適合性の無機物(例えばヒドロキシアパタイト)または重合体の微粒子をベースにした薬物、例えば抗腫瘍ワクチンに関する。
【0004】
本発明はまた、免疫系によって認識される形式でそれらを提供するように意図されている、腫瘍抗原を調製する方法、より特には、患者の腫瘍細胞に対する特定の免疫応答を起こす自己免疫化を行うために特定の患者の腫瘍抗原を精製する方法にも関する。
【背景技術】
【0005】
免疫療法を使用する癌に対する治療には、現在、3つの型の形式がある。
【0006】
I.−免疫反応を非特異的に増加させる薬理物質の投与。これは、例えば、悪性の腎腫瘍または黒色腫を有している患者へのインターロイキンまたはインターフェロンの投与を伴う場合がある。別の非特異的療法は、膀胱癌の患者におけるBCGの投与である。これらの療法は変化する毒性度を有し、ある程度の有効性を示すかもしれないが、このように治療された多くの患者は応答が弱い。これらの療法は、多くの免疫機能の増幅を引き起こす。
【0007】
II.−腫瘍細胞の表面に存在する腫瘍抗原に対する特異抗体の使用。一例は、HER−2/neu腫瘍タンパク質に対する単クローン抗体の投与である。この腫瘍タンパク質は、乳癌の患者の低い割合(20〜30%)で発現される。分子の小部分のみがヒト以外の起原であり(抗原を認識する部分はラットによって生産される)、分子の残りの部分はヒト起源であるように、単クローン抗体は遺伝子工学によって改変されている。それは、実際、ヒト化ハイブリッド抗体である。様々なハイブリッド抗体が生産され、評価され、いくつかは、様々な型の悪性腫瘍の治療で臨床的に使用されている。それらの特異抗原への抗体の結合は、腫瘍細胞にその増殖を遅らさせ、その死滅を引き起こす。これらの治療は著しい進歩であるが、それらの有効性は腫瘍細胞の抗原変異性のために制限されている。充実性腫瘍では、診断の際には何百万もの腫瘍細胞があり、この個体群の中で、いくつかの細胞は対象となっている抗原を発現するが、他の細胞は発現しない。
【0008】
III.−T細胞の刺激。この形式の療法が、本発明の対象に関係がある。
【0009】
IIIの型は、患者によって取り入れられる(adopt)ため、そう名付けらえた養子免疫療法を含む。それは生得ではなく、抗腫瘍T細胞の数を増加させる目的で、患者から離れて(生体外で)発生する。これは、生体外で生成され、増幅された細胞障害性T細胞を患者に投与することにより得られる。
【0010】
IIIの型はまた、T細胞の刺激に基づいた能動免疫療法も包含する。これは、マクロファージまたは関連する細胞(例えば、皮膚の樹状細胞:ランゲルハンス細胞など)と接触させられている腫瘍抗原によって起こり、APC(抗原提示細胞)として知られるこれらの細胞がTリンパ球を刺激するように、抗原を提示する。この方法は、生体内または生体外で行うことができる。これらのAPCは、それらがTリンパ球に由来する特定の抗腫瘍免疫を維持する以上に引き起こす。能動免疫療法は、様々な腫瘍についての多数の調査研究の主題である。
Tリンパ球を刺激するためのこれらの薬剤は、ワクチン剤になぞらえることができる。従って、活性な、特定の形態のT系を刺激するためのワクチン剤を生成するために、いくつかの方法A/、B/、C/、D/が存在する。
【0011】
A/ 樹状細胞および他の細胞(生体外)の使用に基づいた免疫療法方法。増殖期にある時に、それらは、生体外で患者の腫瘍抗原(自己由来の腫瘍溶解産物、放射線照射された腫瘍細胞、特定の腫瘍ペプチド)と接触させ、同じ患者に皮内注射する(残りは他の注射剤のために低温保存される)。
【0012】
B/ 特異抗原および刺激分子の使用に基づいた免疫療法方法。モンタナイドISA51等のアジュバントと組み合わせられ、ワクチン中で使用できる多数の特定の腫瘍抗原、例えば、ras、p53またはVHL等の、突然変異遺伝子から生成されるペプチドがある。MART−1(黒色腫)またはPSA(前立腺)等の特定の腫瘍抗原の画分の可溶な合成または組み換えペプチドを使用することも可能である。
【0013】
C/ 腫瘍細胞または腫瘍細胞溶解産物の使用に基づいた免疫療法方法。この方法で使用される腫瘍細胞は、様々な方法(放射線照射、凍結、加熱、紫外線)で不活性化された自己由来または同種異系の細胞、または他の腫瘍細胞溶解産物(細胞が均質化される)でよい。
【0014】
D/ アジュバントとしての熱ショックタンパク質の使用に基づいた免疫療法方法。
【0015】
この場合、gp96またはHSP70等の熱ショックタンパク質(HSP)は、腫瘍から抽出される。これらのタンパク質は、各患者の腫瘍に特異的な分子シャペロンおよび輸送ペプチド(抗原)として作用する。
【0016】
HSPは細胞のプロテオーム全体に実質的に結合する能力があるため、以下の3つの主な理由で、これらの分子は抗腫瘍免疫処置としての良好な選択肢である。
【0017】
・HSPのみを精製することで、それに結合している多くのタンパク質を単離することが可能になるため、腫瘍プロテオーム全体を知る必要がない。
【0018】
・該HSPを注入することで、免疫系によって認識することができる形式で多量の腫瘍タンパク質を生体に導入することが一段階で可能になる。
【0019】
・HSPによって、Tリンパ球に提示されるように、抗原提示細胞による、それに関連するタンパク質の摂取、輸送および改造が可能になる。
【0020】
抗腫瘍ワクチンとしてのこれらのタンパク質の使用の特徴の1つは、それらが該腫瘍の分子足跡を構成し、患者および腫瘍によって異なるので、根絶する腫瘍を起源とするHSPを使用する必要があることである。
【0021】
これは、免疫化するタンパク質が、それらが患者を免疫化しなければならない各腫瘍から精製されなければならないことを意味する。精製プロトコルは長く、工業化するのが難しく、内毒素による多様な汚染を受ける。一連の遠心分離、沈殿析出、ConA上でのクロマトグラフィー、電気泳動分析、およびMono Q FPLC上でのクロマトグラフィーを受けた粉砕腫瘍材料からHSPを精製するのが従来である。
【0022】
米国特許6,447,781(特許文献1)、6,436,404(特許文献2)、6,410,028(特許文献3)、6,383,494(特許文献4)および6,030,618(特許文献5)には、ConA Sepharoseクロマトグラフィーカラムを使用するHSPを精製する方法が記載されている。これらの方法は改善することができる。
【0023】
更に、リン酸カルシウム、特にヒドロキシアパタイト(HA)を使用する精製方法が知られている。タンパク質、核酸、内毒素、更にはウイルスなどの様々な生体分子を精製するために、ヒドロキシアパタイト粉末は約30年間使用されている。この粉末は、精製される分子を含んでいる溶液が通されるクロマトグラフィーカラム中で固定層として使用される。これらの分子は粉末微粒子の表面に結合し、それからリン酸緩衝液または塩化ナトリウム等の様々な濃度の塩類の溶液で脱着され、リン酸緩衝液などの勾配によって、溶液の様々な分子を分離することが可能となる。
【0024】
多孔状のHAセラミックスも、骨組織の代替物として、約20年間使用されている。それらは、互いに続く、以下に列記できる生物学的事象のシーケンスによって骨組織に吸収される。
・細胞を循環することによる孔への侵入。
・疎性結合組織によるコロニー化。
・材料表面における類骨組織の形成および無機物化。
・形成された骨組織の再生およびセラミックスの劣化。
【0025】
米国特許出願2003/0082232(特許文献6)には、任意選択で、精製処理された化合物である活性剤と組み合わせて、リン酸カルシウムベースの担体、特にヒドロキシアパタイトベースの担体をワクチンのアジュバントおよびベクターとして使用することが記載されている。記載された活性剤の中で、以下のものが注目される:精製されたタンパク質(例えば、サイトカイン(GM−CSFまたは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、精製されたジフテリアおよび破傷風毒素、キーホールリンペットヘモシニアン、ダスト、非活性化したヒトHIV−2ウイルス、Plasmodium yoelii(PyCSP)のタンパク質を発現するプラスミド、細菌(Bordetella pertussis)またはワクチン。リン酸カルシウムベースのアジュバント製剤への活性剤の添加は、精製された化合物を用いて常に行われ、該精製はリン酸カルシウムベースの担体を用いないプロトコルを使用して行われる。
【特許文献1】米国特許6,447,781号明細書
【特許文献2】米国特許6,436,404号明細書
【特許文献3】米国特許6,410,028号明細書
【特許文献4】米国特許6,383,494号明細書
【特許文献5】米国特許6,030,618号明細書
【特許文献6】米国特許出願2003/0082232号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の重要な目的の1つは、資格のある生化学者でない人員を使用して、大規模に利用することができるために、免疫系によって認識することができる形式でそれらを提供することを意図した腫瘍抗原を改良する方法を単純化することである。
【0027】
この目的を達成するために、一段階の粉砕腫瘍材料からの調製方法を開発し、それによってベクター材料上のワクチンを提供することを可能にしたことは発明者の功績である。この材料によって、精製、組織中のベクター化および標的細胞:抗原提示細胞(APC)中への活性物質の輸送を同時に行うことが可能になる。
【0028】
この目的を達成するために、これらの分子を分離し、ベクター化する目的で、対象となっている生体材料および/または生体分子を吸着することができる特定の生体適合性の微粒子無機物担体の利点を実証したことは発明者の功績である。
【0029】
本発明の別の重要な目的は、特に、癌、感染症または自己免疫疾患の治療のための新しい免疫療法(例えば、自己由来の免疫療法)薬物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
したがって、本発明は、免疫系によって認識することができる形式でそれらを提供するように意図されている、腫瘍抗原を調製する方法であって、
−腫瘍抽出物を使用し、
−この腫瘍抽出物を、標的腫瘍抗原を選択的に吸着できる微粒子の無機物担体と接触させ、標的腫瘍抗原を免疫系上で活性な物質として生体内でベクター化し、
−微粒子無機物担体が選択的に対象となっている腫瘍抗原を吸着するように処理し、
−担体上で精製および吸着される形式で対象となっている腫瘍抗原を回収するために、非吸着の腫瘍抽出物から無機物担体を分離する、
ことから実質的に成ることを特徴とする方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明による方法は、有利には、担体上で精製および吸着された腫瘍抗原を、免疫系上の腫瘍抗原の作用を促進できる少なくとも1種類の補助因子と混合する付加的工程を含み、該補助因子は、好ましくは腫瘍抽出物、特には粉砕物、凍結乾燥物、透析物または遠心分離ペレットを由来とする。
【0032】
補助因子、それ自体としては、有利には、少なくとも一部分は腫瘍抽出物、より特には、それから標的腫瘍抗原が微粒子無機物担体に吸着することにより精製された腫瘍抽出物を起源とする。この補助因子は、より有利には、サイトカイン、インターロイキン、生長因子またはインターフェロン、あるいはそれらの混合物から選ばれる。
【0033】
本発明による手段および方法により、副作用に結びつくかもしれない腫瘍因子を取り除くことが可能となることは注目されるべきである。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、腫瘍タンパク質を調製する方法は次の工程を含む。
【0035】
−対象となっている腫瘍抗原を懸濁化または可溶化させる腫瘍抽出物を調製する工程、
−微粒子無機物担体を含む少なくとも1本のカラムに通して該懸濁液または溶液を濾過する工程、
−所定のイオン強度および所定のpHの緩衝液でカラムを洗浄する工程、
−腫瘍抗原を吸着した担体を回収する工程。
【0036】
カラム洗浄工程は、免疫原性に必要でない腫瘍抽出物から無機物担体を分離することを可能にする。それは、有利には、濃度を増加させながら、リン酸緩衝液または食塩水で数回行われる。よって、1回目の洗浄を200mM以下の濃度を有するリン酸緩衝液またはNaCl溶液で行い、一方、2回目の洗浄を300〜500mMの間の濃度を有するリン酸緩衝液またはNaCl溶液で行うことができる。
【0037】
実際には、腫瘍抽出物を調製するための工程は、有利には、次の方法で行なわれる。
【0038】
−任意選択で、腫瘍組織を凍結させ、
−腫瘍組織を粉砕し、
−NaHCO溶液中に細胞質腫瘍抗原を可溶化または懸濁化し、
−遠心分離し、
−ペレットおよび上清を分離する。
【0039】
さらに実際には、腫瘍抗原を調製する方法が、微粒子無機物担体上で精製および吸着された腫瘍抗原を補助因子と混合する付加的工程を実施する場合、この補助因子は、有利には、腫瘍抽出物の調製中に得られた遠心分離ペレットから調製される。したがって、このペレットを懸濁し、糖勾配遠心分離、好ましくはショ糖勾配遠心分離によって膜画分を分離することを目的とする工程にかけ、このようにして精製された補助因子を含む膜画分を回収する。
【0040】
本発明による方法は、発明者による、ある特定の担体の利点の実証に基づく。よって、本発明による微粒子無機物担体は、カップリング剤を含まず、活性物質、特に生体因子、より特には腫瘍抗原との特異的結合、および単核食細胞系の細胞へのそれらの輸送を行う表面特性を有する。このため、微粒子無機物担体は、次の特性の全てまたは幾つかを有している無機物から選ばれる。
【0041】
−該材料の表面に、少なくとも1種類のイオン化された、またはイオン化可能な基PO2−、OHおよび/またはCa2+が存在、
−塩基性の表面pH、
−陰性の界面動電位、および/または
−疎水性。
【0042】
そのような化合物は、カルシウム無機塩、好ましくはリン酸カルシウム、更に好ましくはヒドロキシアパタイトを含む群より選ばれる。上記の特徴に対応して好まれる微粒子無機物担体は、セラミック、特にはリン酸カルシウムセラミック、特にはヒドロキシアパタイト、あるいは微粒子状の第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウムまたは第8リン酸カルシウムより選ばれる。
【0043】
セラミックスは、本発明による方法の実施のために好まれる材料である。実際、調整された熱処理を受けたリン酸カルシウムは、処理することなく合成から直接得たリン酸カルシウムよりも、粉砕した組織材料と接触させる、特に浸透させるのにより適している。粉砕組織材料は特に、カルシウムの存在下で重合可能であり、したがって、そのような担体を含むカラムを詰まらせることがあるフィブリンを含んでいる。
【0044】
特定の形状および粒径状態でのそのような担体は、該カラムを詰まらせることなく、カラム中に粉砕腫瘍材料を通すことを可能にする。
【0045】
更に、本発明はまた、部分的には、活性物質を吸着したか、そうすることができる、これらの微粒子は、該微粒子のサイズが十分に小さい場合、マクロファージを含む単核の食細胞群に属する細胞、樹状細胞および他の抗原提示細胞(APC)によって「食細胞可能」という観察に基づく。発明者によってなされた別の発明的な観察では、食細胞可能な大きさのこれらの微粒子の生体内での皮下組織への導入は、単核食細胞系の細胞、特に抗原提示細胞(APC)を引きつけ、それらは本発明による薬物の微粒子がある部位に集中し、該微粒子を食菌する。
【0046】
よって、微粒子無機物担体の微粒子の大きさは、本発明の重要な特徴である。好ましい態様によれば、微粒子無機物担体の粒径は200μm以下、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、完全に好ましくは10〜50μm、理想的には10μm未満であり、比表面積は0.1〜5m/g、好ましくは0.3〜2m/gであることがよい考えである。患者に注入されれば、担体の分解性およびその構造により、粒子はより小さい大きさの微粒子に細分されることになることを明示することは重要である。
【0047】
用語「粒径」は、粒子の平均の大きさ、より具体的には、非球形粒子の最大寸法または球形粒子の直径の平均の大きさを意味するように意図されている。粒径を測定する方法は従来あり、例えばレーザー回折法である。
【0048】
これらの粒径の特徴は、より特に、しかし制限はされないが、好ましくはヒドロキシアパタイトベースの粉末固体担体に関係がある。
【0049】
粒子の形状も重要である。実際、球形をしている粒子が、針形をしている粒子と異なり、本発明による実施に特に適している。
【0050】
1つの変法によれば、本発明による方法は、精製および本発明による担体に結合後に行われ、本発明に従って腫瘍抗原を500mMのNaCl溶液またはリン酸緩衝液中に脱着させ、次いで100〜200mMの間まで希釈し、10μm未満の粒径を有し請求項10〜13で定義されるような担体を含むカラムに再び通す付加的工程を含む。
【0051】
1つの変法によれば、固体担体は粉末でなくてもよい。そのような場合、固体担体は、例えば、粒塊の接触点の溶解により生体内で分解し、異なる数の粒塊から成る粒子を放出することができるセラミックであってよい。それらの大きさが、約200μm以下、さらには90μm以下、さらに良好には50μm以下である場合、粒子は、セラミックが分解する領域で増加するマクロファージおよび巨細胞によって食細胞可能である。
【0052】
固体担体(例えばセラミック)は、粒塊の形で分解された後に、飲作用、エンドサイトーシスおよび食作用により細胞中に進入でき、生体分子、特に腫瘍抗原および補助因子を輸送することができる。
【0053】
固体担体は、例えば、セラミックと、1種類以上の生体適合性の分解性重合体との組み合わせから成る場合がある。それはまた、抗原を表面および/または標的の特定の細胞の型に結合するための有機分子を表面に有する、記載されるような固体でもよい。
【0054】
抗原のような、吸着できる、または吸着された生体材料は、有利には、腫瘍細胞、分子、細胞小器官、細胞転化生成物(例えば粉砕物、凍結乾燥物、透析物、遠心分離ペレットなど)の成分から、更には、ウイルス、バクテリア、内毒素、およびそれらの混合物の成分から選ばれる。
【0055】
好ましくは、抗原、好ましくは腫瘍抗原は、天然でも、合成でもよく、とりわけ化学的および/または物理的および/または遺伝的に改変されていても、されていなくてもよく、膜抗原、細胞質抗原、細胞外抗原、またはそれらの混合物から選択される。
【0056】
吸着できる、または吸着された生体分子は、有利には、以下の補助因子の群:タンパク質−好ましくは熱ショックタンパク質(HSP)−、核酸、脂質、リン脂質、炭水化物および糖タンパク質から選ばれる。
【0057】
これらのHSPは、特に、しかし排他的ではなく、gp96、hsp70、hsp90およびhsp100である。生体適合性の担体上に吸着されたか、吸着できる活性物質は、上記で定義されるような生体分子および/または生体材料をコードする遺伝子、好ましくは抗原提示細胞(APC)を活性化するための腫瘍抗原および/または補助因子−好ましくはサイトカインおよび/またはリンフォカイン−をコードする遺伝子を含んでいてもよい。
【0058】
好ましくは、活性物質は、腫瘍抗原および/または腫瘍抗原をコードする遺伝子、より特には熱ショックタンパク質(HSP)を含むことができる。従って、生体分子は、例えば、HSPと関連していても、していなくてもよい腫瘍抗原である。
【0059】
完全に好ましくは、腫瘍抗原は次のものから選ばれる。
【0060】
−その発現が組織学的に様々な型の癌で共有される抗原、より特には抗原MAGE(黒色腫抗原)、BAGE(膀胱抗原)、GAGE(胃抗原)、RAGE(腎臓抗原)、α−フェトプロテイン、MUC1、HER−2/neu、およびそれらの混合物、
−突然変異遺伝子でコードされる抗原、より特にはras癌遺伝子、抑制遺伝子p53、β−カテニンおよびCdk4、bcr/ab1抗原融合、ウイルス遺伝子(エプスタイン−バー、B型肝炎、乳頭腫)の産物、CASP−8、およびそれらの混合物、
−腫瘍関連抗原、癌胎児性抗原、前立腺抗原、RU2、Alt−M−CSF、チロシナーゼ、melan−A/MART1、Gp100、Gp75、神経膠腫関連癌遺伝子、GLIP1、および/または
−熱ショックタンパク質(HSP)、好ましくはgp96タンパク質および関連するペプチド。
【0061】
本発明はまた、上記の方法によって得られた腫瘍抗原を含むことを特徴とする薬物、好ましくは自家ワクチンに関する。
【0062】
よって、本発明による薬物は、好ましくはカップリング剤を必要とすることなく、好ましくは腫瘍細胞に含まれる抗原、それらの細胞器官、それらの膜、それらの転化生成物(粉砕物、凍結乾燥物、透析物、遠心分離ペレットなど)、ウイルス、バクテリア、抗体、内毒素、およびそれらの混合物の群を含む生体材料より選ばれる、少なくとも1種類の活性物質が吸着されているか、吸着されるように意図されている、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性の固体担体を含み、そして該生体適合性の担体は、該活性物質を精製するために使用されている。
【0063】
用語「薬物」は、例えば、無機物粉末および少なくとも1種類の活性物質を含む医療機器もカバーされることを意味すると解するべきである。用語「カップリング剤」は、生体適合性の固体担体と活性物質を共有結合させる化学的部分をいう。それは、特に、共有結合または有機ラジカルを伴っていてもよい。
【0064】
本発明は、部分的には、活性物質が吸着されているか、そうすることができる、これらの微粒子は、該微粒子のサイズが十分に小さい場合、マクロファージを含む単核の食細胞群に属する細胞、樹状細胞および他の抗原提示細胞(APC)によって「食細胞可能」という観察に基づく。発明者によってなされた別の発明的な観察では、食細胞可能な大きさのこれらの微粒子の生体内での皮下組織への導入は、単核食細胞系の細胞、特にAPCを引きつけ、それらは本発明による薬物の微粒子がある部位に集中し、該微粒子を食菌する。
【0065】
発明者は、食細胞可能な大きさの粒子、例えばHAの粒子上に吸着された分子が、例えばAPC中に急速に進入するという事実を実証した。制限することはないが、この急速な進入は、次の2つの方法で説明できる。吸着された分子は、担体粒子と共に食菌された後、細胞中へ直接放出されるか、または、この分子は、細胞のすぐ近くで脱着・放出され、第2段階で細胞中に進入する。
【0066】
例えば、HSP熱ショックタンパク質gp96がHA粒子に結合している場合、それは、生体内で、細胞内液および細胞外液の中にある濃度である200〜300mMの滴定されたリン酸カルシウムの溶液によって、そこから放出させることができる。
【0067】
有利には、この薬物は、免疫療法による自己由来の治療、特にはワクチンとして、好ましくは抗腫瘍ワクチンとして使用することができる。
【0068】
本発明の注目すべき実施形態によれば、腫瘍抗原は患者の腫瘍から調製され、薬物は自家ワクチンである。
【0069】
本発明の特に驚くべき実施形態の1つによれば、薬物は、腫瘍抽出物からの抗原の精製に使用された微粒子無機物担体上に吸着された腫瘍抗原を含む。
【0070】
本発明による薬物の一部分を構成する活性物質、生体材料、特に生体適合性の担体上に吸着できるか、吸着された腫瘍物質は上記で定義されたものである。
【0071】
本発明の別の実施においては、薬物は、微粒子無機物担体上に吸着された腫瘍タンパク質に加えて、補助因子も含み、該補助因子は、好ましくは腫瘍抽出物、特には粉砕物、凍結乾燥物、透析物または遠心分離ペレットの形態である。完全に好ましくは、補助因子は、少なくとも一部分は腫瘍抽出物、より特には、それから標的腫瘍抗原が微粒子無機物担体に吸着することにより精製された腫瘍抽出物を起源とする。
【0072】
本発明による薬物は、好ましくはリン酸カルシウムの生体適合性の固体微粒子を含み、それは、驚くべきことに、予想外に、マクロファージおよび/または樹状細胞のような他のAPCの増殖および効力を刺激する特性を有する。
【0073】
したがって、本発明は、マクロファージおよび/または他のAPCを活性化するように、即ち、サイトカイン、リンフォカインおよび生長因子を含む群より選ばれる物質の合成を引き起こす、および/または、樹状細胞を成熟させるように意図されていることを特徴とする薬物にも関する。
【0074】
この薬物の別の有利な特徴は、それがマクロファージおよび/または他のAPCおよび/または樹状細胞により貪食されるように意図されているという事実から生じる。
【0075】
本発明による薬物は、1種類以上の活性物質の生体内輸送を行うという点でも注目に値する。
【0076】
言い換えれば、本発明による固体担体(例えばリン酸カルシウム、粉末状または粉末状でなく−バルクで−、セラミックまたはセラミックでなく)は、抗原提示細胞(APC)または他の同様の細胞を使用して、任意の吸着可能な物質/分子をベクター化することを可能にする。
【0077】
使用に関しては、本発明による薬物は、注射により生体内に注入および/または投薬できることを特徴とする。
【0078】
有利な態様によれば、本発明による薬物は、吸着された活性物質を生体内において徐放する(例えば、数時間から数日間)。
【0079】
結合組織に注射されると、本発明による薬物は、担体上に吸着された抗原を提示するためにマクロファージ、樹状細胞および/または他のAPCの局所的流入を引き起こすことができる。
【0080】
本発明による固体担体上への活性物質の吸着は生体内および/または生体外で起こり、この担体は、上記で定義されるように、粉末、好ましくはヒドロキシアパタイトである。
【0081】
よって、本発明による粉末状の固体担体を含む薬物は、粉砕した腫瘍材料を該担体のカラムに通すことができ、該粉末を皮下組織または他のリンパ節に注入できる。
【0082】
実際に、本発明による薬物は腫瘍抗原を含み、その量は粉末の比表面積に正比例する。好ましくは、薬物は、無機物担体粉末の20mg/gの量の腫瘍抗原を含む。
【0083】
薬ユニットの形態で使用される場合、本発明による薬物は、有利には、15〜100μg投薬量/薬ユニットの間の量で使用される。
【0084】
本発明による薬物中で使用される固体担体は、同時に、活性物質を精製し、担体の表面に活性物質を固定し、生体中に活性物質を注射/注入し、生体中で放出し、またはAPCまたは他の同様の細胞へ生物活性物質を輸送するために使用することができる。
【0085】
本発明の対象はまた、上記で定義される好ましくは粉末状の生体適合性固体担体と、任意成分としての上記で定義される少なくとも1種類の活性物質の、上記で定義される薬物を調製するための使用である。
【0086】
本発明の他の対象は、担体上に活性物質が可逆的に吸着するように、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性固体担体を、好ましくは生体材料および/または生体分子より選ばれる少なくとも1種類の活性物質に接触させることから実質的に成ることを特徴とする、特に上記のような薬物の調製方法である。
【0087】
好ましくは、この方法は、免疫反応を引き起こすために使用することができる、場合によれば自己由来の活性物質の精製を含み、
・少なくとも一部分の活性物質、好ましくは少なくとも1種類の免疫因子および/または少なくとも1種類の補助因子を粉末上に固定/吸着するために十分な時間、活性物質をリン酸カルシウム粉末と接触させる工程と、
・例えば、癌、感染症または自己免疫疾患に罹っている患者に投与できる薬物を調製するために、固定された少なくとも一部分の活性物質を有する粉末を回収する、ただし、自己由来の治療の場合、この、またはこれらの活性物質は患者由来でもよい工程と
を実質的な工程として含む。
【0088】
1つの変法では、この方法は、抗腫瘍免疫反応を引き起こすために使用することができる自己由来の因子の精製を含み、
・特定の分子因子、好ましくは少なくとも1種類の免疫因子および/または少なくとも1種類の補助因子を粉末上に固定するために十分な時間、粉砕した腫瘍材料をリン酸カルシウム粉末と接触させる工程と、
・吸着されていない分子を除去するために、様々なモル濃度および/またはpHの1種類以上の塩類の溶液で粉末を洗浄する工程と、
・それから粉砕材料が抽出される腫瘍に罹っている個体の体内に注入できる薬物を調製するために、固定された特定の分子因子を有する粉末を回収する工程と
を実質的な工程として含むことを特徴とする。
【0089】
実際には、接触させることは、例えば、特定の溶液を導入または抜き出すことができるリザーバーシステムで分離されていても、されていなくてもよい1本以上のカラムを使用して行われる精製でよく、粉砕腫瘍材料をカラムに通すことができる。
【0090】
さらに実際には、活性物質の回収は、例えば、適切なモル濃度およびpHの緩衝液、好ましくはリン酸緩衝液を用いたカラムの溶離によって行うことができ、このようにして得られる溶離液は、固定され、求められた腫瘍抗原および/または補助因子を含む。これは、クロマトグラフィーの技術である。
【0091】
それがクロマトグラフィーを伴わない限りでは、活性物質の回収は、固定され、求められた腫瘍抗原および/または補助因子が吸着している粉末の回収によって行われる。
【0092】
本発明によって使用される固体担体の選択的吸着特性によって、脱着の後に吸着された活性物質の分析を行なうことが可能である。
【0093】
この分析は、例えば、ガス吸着(BET測定)によって測定された担体の比表面積の精製によって行うことができる。しかしながら、既知の分析法全てを想定することができる。
【0094】
この選択的吸着能力を説明するために、gp96が、例えば、低いリン酸緩衝液モル濃度でHA粒子の表面に結合することを示すことができる。それは、200mM〜300mMの間で粉末から脱着する。
【0095】
本発明は、加えて、とりわけ、以下の事項に関する。
【0096】
・上記のような腫瘍抗原を調製する方法を含むことを特徴とする薬物の調製方法。好ましくは、この方法は、患者の腫瘍から調製された腫瘍抽出物を使用し、該薬物は自家ワクチンである。この方法の特定の実施形態によれば、少なくとも1種類の補助因子と混合されていてもよい、精製された、微粒子担体上に吸着された腫瘍抗原は、注入可能な製剤の形態である。
【0097】
・上記で定義される型の生体分子/生体材料、特に熱ショックタンパク質HSPおよび/または抗腫瘍抗原を精製する方法であって、選択吸着/脱着手段として上記で定義されるような固体担体を使用することより成る方法。
【0098】
・上記で定義される粉末を含み、特定の溶液を導入または抜き出すことができるリザーバーシステムで分離されていても、されていなくてもよい1本以上のカラムから成る精製システムであって、システム中への粉砕腫瘍材料の導入に基づいて、腫瘍抗原および/または補助因子が吸着された注入可能な粉末を出口で得ることを可能にするシステム。
【0099】
この精製システムは、有利には、生体へ粉末を導入するためのシステムを含み、それは取り外し可能であって、患者の皮下組織への注入または投入を可能にする。
【0100】
・特に癌、感染症または自己免疫疾患の治療および/または予防のために本発明による薬物を投与することから成る治療方法。
【0101】
・免疫療法(例えば、自己由来)による、特に癌、感染症または自己免疫疾患の治療および/または予防のために本発明による薬物を投与することから成る治療方法。
【0102】
・特に癌、感染症または自己免疫疾患の治療および/または予防のための本発明による薬物を含む自己由来のワクチン。
【0103】
以下の例によって示されるように、HA粒子がマクロファージおよび抗原提示細胞中へ熱ショックタンパク質を輸送するための良いベクターであることが、特に本発明の上記開示から明らかとなる。
【実施例】
【0104】
<例1:HA粒子のマクロファージおよび巨細胞中への生体分子の細胞内輸送能力>
この実験の中で、2mgのHA粒子を使用する。粉末の特性は以下の通りである:粒径45〜80μm;比表面積:0.7m/gr;球形;陰性の表面電荷、表面電位−37mV;疎水性。α−ガラクトシダーゼ遺伝子(Lac−Z)を運ぶプラスミドを、次のプロトコルに従って、粉末の表面に吸着させる:25μgのプラスミドを2mlの0.1Mリン酸緩衝液、pH6.8中で希釈する。粉末をプラスミド溶液中、37℃で2時間インキューベートし、その後、乾燥する。
【0105】
2mgの粉末を、ウサギ下顎の切歯靱帯の接合部より作製された骨欠損に注入する。この動物は3週で犠牲にされ、下顎を取り除く。組織学的断面を切り、光学顕微鏡による観察の前に、GaIX反応によって細胞のα−ガラクトシダーゼ活性を明らかにする。
【0106】
粉末の粒子の周辺に、マクロファージおよび巨細胞が蓄積されている(図3Aおよび3B)。粉末の周辺の細胞は全て、α−ガラクトシダーゼ活性を有しており、粉末の表面からマクロファージの核の中へプラスミドが移動したことが示唆される。粒子の破片が細胞質中に見られ、粒子が貪食されたことが示唆される。粒子から離れて、小柱の表面に移動したlac−Z遺伝子を発現している単核または多核細胞が多数存在している。
【0107】
この実験は以下のことを示す。
・HA粒子の表面に固定されたDNAは、抗原を提示する細胞に優先的に輸送される。
・これらの細胞は、それらが含んでいる分子と共に移動する。
【0108】
<例2:粉末の粒子の分解>
例1の特性を備えた10mgの無菌粉末を、原発性ヒト髄質細胞株の融合層を含む培養瓶に投入する。細胞を、4時間、5%CO雰囲気中、37℃で、10%ウシ胎仔血清およびグルタミンを補ったDMEM培地で、粉末に接触しながら培養する。その後、光学顕微鏡によって検査する。それによって、酸性ホスファターゼ活性が示され、これらの細胞が単核食細胞系に属することが示唆される。多数のセラミック粒子または破片を細胞質に接触させるか、含ませる。その後、細胞を4%グルタルアルデヒド溶液中に固定し、EDTA溶液中で脱塩し、エポキシポリマー中に包埋する。200オングストロームの断面を切り、透過電子顕微鏡によって検査する。細胞質中に非常に多くの空の孔があり、それは脱塩前の粒子の位置を示している(図4)。
【0109】
したがって、HA粒子は分解して粒塊を放出し、この粒塊が抗原提示細胞によって貪食されることが立証される。
【0110】
<例3:粒子によるAPCの活性化>
様々なヒドロキシアパタイト粒子を、融合前の原発性ヒト単球株を含む培養瓶に投入する。細胞を、6時間または18時間、粉末に接触させる。接触させる粉末の特性は表2に示す。培養皿に播種する時点で、細胞密度は2×10細胞/mlである。培地は10%ウシ胎仔血清を補ったRPMI−1640である。細胞は、5%CO雰囲気中、37℃で培養する。培養に導入される粉末の質量は、細胞表面/粉末表面の比率が1に等しくなるに必要な質量である。TGF−β mRNAおよびIL−6 mRNAの量を6時間および18時間で分析する(図5および図6)。
【0111】
【表1】

結果は、ヒドロキシアパタイト粒子の特性が、そのヒドロキシアパタイト粒子を貪食したAPCにインターロイキンおよびTGF−βを合成させる能力、即ちAPCを活性化する能力に影響を及ぼすことを示す。針形をしている粒子が最も炎症性である。他の形状に関しては、最も小さな粒子が最も炎症性である。HA粉末の粒子がそれらの組織内植中に分解すること、および、より小さい破片が放出されることが分かり、それによって、マクロファージの活性化を増大することが可能になる。
【0112】
<例4:注入可能なHA粉末床上でのgp96熱ショックタンパク質の精製>
精製は、次の工程によって行われる。
【0113】
<担体の準備>
10gの粉末を、8時間、低イオン強度のリン酸緩衝液(0.01M、pH6.8)中、室温、粉末の体積の4〜5倍と等しい体積で再水和する。過剰の緩衝液を、沈殿していない粒子と共に、除去する。粉末を過剰の緩衝液中に再懸濁させ、下端を閉じたカラム中に流し込む。沈降することにより分離するために数時間放置して、その後、緩衝液をカラムの底から除去する。次に、カラムをリン酸緩衝液(0.01M、pH6.8)中で平衡化させる。そして、カラムを、30mMリン酸緩衝液、pH6.8(カラム体積の20〜30倍)で洗浄する。
【0114】
<HAを含むカラムへの懸濁液の浸透>
タンパク質装入材料(粉砕腫瘍材料の沈殿を30mMリン酸緩衝液、pH6.8に1/10の割合で加えたもの)をカラムに導入する。
【0115】
<カラムの洗浄>
次に、カラムを0〜500mMの勾配のリン酸緩衝液で洗浄する。
【0116】
担体およびタンパク質画分を回収する。
【0117】
<例5:様々なリン酸緩衝液モル濃度を用いた、HAカラム上での分別によって得られるタンパク質画分の制御>
様々な画分の2種類の制御を、よく知られている方法である、スロットブロット電気泳動およびウェスタンブロッティング法によって行った。電気泳動の結果は、大部分のgp96タンパク質が200mMでHAから分離することを示す。ウエスタンブロットは、タンパク質画分がこのモル濃度で実質的に純粋なことを示す(図7および図8)。
【0118】
<例6:自家ワクチンの調製>
次の操作はすべて、無菌条件下で行われる。
【0119】
1.腫瘍組織の準備および凍結
腫瘍組織は、無菌条件下で行われる生検中に取出され(およそ1cm)、直ちに凍結される。
【0120】
2.腫瘍抽出物の粉砕
腫瘍組織を乳鉢中で粉砕し、次いで粉砕物を氷浴上でKahnチューブに移す。
【0121】
3.NaHCO溶液中での粉砕材料の希釈
工程2で得られた粉砕材料を、750μlの30mMのNaHCO、pH7と混合する。その後、組織をナイフミルで均質化する。
【0122】
4.遠心分離によるペレットおよび上清の分離
ホモジェネートをEppendorfチューブに移し、1,000〜2,000gの間で、30分間、4℃で遠心分離する。すると、2つの画分が得られ、それらのうちの1つは懸濁液および溶液中に腫瘍タンパク質を含む上清に相当し、他方はペレットに相当し、膜画分を含む。
【0123】
5.ヒドロキシアパタイト(HA)カラム上への懸濁液の浸透
カラムの準備:
HA粉末のカラムを準備する:粉末をリン酸緩衝液(20mM、pH7)中に懸濁させ、沈殿させるために30秒間放置し、タンパク質溶液を通す間にカラムを詰まらせることがある懸濁液中の微細粒子を取り除くために、上清を捨てる。そして、粉末が示す体積の10倍で、リン酸緩衝液でカラムを洗浄する。
【0124】
HAカラム上への上清の浸透:
工程4で得られた上清のタンパク質を、硫酸アンモニウム溶液を使用して沈殿させ、沈殿を、タンパク質が溶解されるか、懸濁されるリン酸緩衝液の溶液中に溶解させる。懸濁しているか、溶解している腫瘍タンパク質を含む溶液を、熱ショックタンパク質(gp96)を回収するために、セラミック床上に浸透させる。
【0125】
6.カラムの洗浄
タンパク質の溶液がHA床中に浸透すれば、カラムを、その体積の4〜5倍のリン酸緩衝液(20mM、pH7)で洗浄する。その後、カラムを、粉末の体積の4〜5倍で、0〜200mMの勾配のリン酸緩衝液または塩化カルシウムで洗浄する。
【0126】
7.補助因子の調製
工程4で得られたペレットを、400μlのリン酸緩衝液(20mM、pH7)中に再懸濁させる。
【0127】
ショ糖勾配を40%、35%および30%の400μlの部分で調製し、その勾配上に、200μlの工程1で得られたペレットを載せる。次に、腫瘍抽出物が位置している勾配を、1,500g、30分間、4℃で遠心分離する。膜断片を含み、40%ショ糖/35%ショ糖の境界に位置する画分を回収する。
【0128】
8.注入される混合物の調製
次に、工程4の最後で得られた上清からのタンパク質を吸着した懸濁液中の粉末を、工程3で得られた膜の溶液と組み合わせる(100μl当たり20mg)。そして、混合物をシリンジに導入する。NaClの溶液を加える(9/1000)ことで、混合物の体積を調節する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】免疫反応の効果器細胞、Tリンパ球へのAPCによる抗原提示。
【図2】貪食されれば、抗原は、リンパ球によってそれらを認識することができるように、MHCに関連するペプチドに切断される。
【図3A】微粒子周辺のマクロファージおよびAPCの蓄積を示す、Lac−Z遺伝子用のベクタープラスミドを有する、ウサギ下顎中に注入された、リン酸カルシウム微粒子の組織断面。
【図3B】微粒子周辺のマクロファージおよびAPCの蓄積を示す、Lac−Z遺伝子用のベクタープラスミドを有する、ウサギ下顎中に注入された、リン酸カルシウム微粒子の組織断面。ガラクトシダーゼ活性が見られることから、近傍の細胞が全てトランスフェクトされていることが分かる。
【図4】脱塩後にHA粒子と接触させて培養した髄質細胞の透過電子顕微鏡断面。溶解する前に粒子を含んでいた空の細胞質の孔が多数ある。
【図5】TNF−α mRNA/β−アクチンmRNA。
【図6】IL−6 mRNA/β−アクチンmRNA。
【図7】HAカラムの出口で回収された、粉砕腫瘍材料の様々な画分のスロットブロット。200mMのリン酸緩衝液で洗浄することで得られた画分が、gp96(HSP)(電気泳動の一番上のブラックバー)の最も良い収率を示している。
【図8】200mM画分のウエスタンブロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫系によって認識することができる形式でそれらを提供するように意図されている、腫瘍抗原、好ましくは腫瘍タンパク質、より好ましくは自己由来の腫瘍タンパク質を調製する方法であって、
a.腫瘍抽出物を使用し、
b.この腫瘍抽出物を、標的腫瘍抗原を選択的に吸着できる生体適合性の微粒子の無機物担体と接触させ、標的腫瘍抗原を免疫系上で活性な物質として生体内でベクター化し、
c.微粒子無機物担体が選択的に対象となっている腫瘍抗原を吸着するように処理し、
d.担体上で精製および吸着される形式で対象となっている腫瘍抗原を回収するために、非吸着の腫瘍抽出物から無機物担体を分離する、
ことから実質的に成ることを特徴とする方法。
【請求項2】
担体上で精製および吸着された腫瘍抗原を、免疫系上の腫瘍抗原の作用を促進できる少なくとも1種類の補助因子と混合する付加的工程を含み、
該補助因子は、好ましくは腫瘍抽出物、特には粉砕物、凍結乾燥物、透析物または遠心分離ペレットを由来とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
補助因子が、少なくとも一部分は腫瘍抽出物、好ましくは、それから標的腫瘍抗原が微粒子無機物担体に吸着することにより精製された腫瘍抽出物を起源とすることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
補助因子が、サイトカイン、インターロイキン、生長因子またはインターフェロン、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
a.対象となっている腫瘍抗原を懸濁化または可溶化させる腫瘍抽出物を調製する工程と、
b.微粒子無機物担体を含む少なくとも1本のカラムに通して該懸濁液または溶液を濾過する工程と、
c.所定のイオン強度および所定のpHの緩衝液でカラムを洗浄する工程と、
d.腫瘍抗原を吸着した担体を回収する工程と
を含むことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
カラムの洗浄は、濃度を増加させながら、リン酸緩衝液または食塩水で数回行うことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1回目の洗浄を200mM以下の濃度を有するリン酸緩衝液またはNaCl溶液で行い、および/または、2回目の洗浄を300〜500mMの間の濃度を有するリン酸緩衝液またはNaCl溶液で行うことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
腫瘍抽出物の調製は、
a.任意選択で、腫瘍組織を凍結させる工程と、
b.腫瘍組織を粉砕する工程と、
c.NaHCO溶液中に腫瘍抗原を可溶化または懸濁化する工程と、
d.遠心分離する工程と、
e.ペレットおよび上清を分離する工程と
を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
補助因子は、
a.請求項8に記載の方法により得られるペレットを懸濁する工程と、
b.糖勾配遠心分離、好ましくはショ糖勾配遠心分離によって膜画分を分離する工程と、
c.このようにして精製された膜画分を回収する工程と
によって調製されることを特徴とする請求項3および8に記載の方法。
【請求項10】
微粒子無機物担体は、
−該材料の表面に、少なくとも1種類のイオン化された、またはイオン化可能な基PO2−、OHおよび/またはCa2+が存在、
−塩基性の表面pH、
−陰性の表面電荷、
−疎水性
の特性の全てまたは幾つかを有する材料より選ばれることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
微粒子無機物担体は、カルシウム無機塩、好ましくはリン酸カルシウム、更に好ましくはヒドロキシアパタイトを含む群より選ばれることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
微粒子無機物担体は、セラミック、好ましくはリン酸カルシウムセラミック、特にはヒドロキシアパタイト、あるいは微粒子状の第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウムまたは第8リン酸カルシウムより選ばれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項13】
セラミックは、球形の形状をしていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
微粒子無機物担体は、200μm以下、好ましくは90μm以下、更に好ましくは50μm以下、完全に好ましくは10〜50μm、理想的には10μm未満の粒径、および0.1〜5m/g、好ましくは0.3〜2.0m/gの比表面積を有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
腫瘍抗原は、
a.その発現が組織学的に様々な型の癌で共有される抗原、より特には抗原MAGE(黒色腫抗原)、BAGE(膀胱抗原)、GAGE(胃抗原)、RAGE(腎臓抗原)、α−フェトプロテイン、MUC1、HER−2/neu、およびそれらの混合物、
b.突然変異遺伝子でコードされる抗原、より特にはras癌遺伝子、抑制遺伝子p53、β−カテニンおよびCdk4、bcr/ab1抗原融合、ウイルス遺伝子(エプスタイン−バー、B型肝炎、乳頭腫)の産物、CASP−8、およびそれらの混合物、
c.腫瘍関連抗原、癌胎児性抗原、前立腺抗原、RU2、Alt−M−CSF、チロシナーゼ、melan−A/MART1、Gp100、Gp75、神経膠腫関連癌遺伝子、GLIP1、および/または
d.熱ショックタンパク質(HSP)、好ましくはgp96タンパク質および関連するペプチド
を含むことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
精製および請求項10〜14で定義されるような担体に結合後、腫瘍抗原を500mMのNaCl溶液またはリン酸緩衝液中に脱着させ、次いで100〜200mMの間まで希釈し、10μm未満の粒径を有し請求項10〜13で定義されるような担体を含むカラムに再び通すことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法によって得られる腫瘍抗原を含むことを特徴とする薬物、好ましくは自家ワクチン。
【請求項18】
好ましくはカップリング剤を必要とすることなく、好ましくは腫瘍細胞に含まれる抗原、それらの細胞器官、それらの膜、それらの転化生成物(粉砕物、凍結乾燥物、透析物、遠心分離ペレットなど)、ウイルス、バクテリア、抗体、内毒素、およびそれらの混合物の群を含む生体材料より選ばれる、少なくとも1種類の活性物質が吸着されているか、吸着されるように意図されている、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性の固体担体を含み、
該生体適合性の担体は、該活性物質を精製するために使用されている
ことを特徴とする薬物。
【請求項19】
免疫療法による自己由来の治療、特にはワクチンとして、好ましくは抗腫瘍ワクチンとして使用されることを特徴とする請求項17または18に記載の薬物。
【請求項20】
腫瘍抗原は患者の腫瘍から調製され、自家ワクチンであることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項21】
腫瘍抽出物からの抗原の精製に使用された微粒子無機物担体上に吸着された腫瘍抗原を含むことを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項22】
抗原、好ましくは腫瘍抗原(天然でも、合成でもよく、とりわけ化学的および/または物理的および/または遺伝的に改変されていても、されていなくてもよい)は、膜抗原、核抗原、細胞外抗原、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項20または21に記載の薬物。
【請求項23】
生体分子は、以下の補助因子の群:タンパク質およびペプチド−好ましくは熱ショックタンパク質(HSP)およびそれがシャペロンするタンパク質およびペプチド−、核酸、脂質、リン脂質、炭水化物および糖タンパク質から選択されることを特徴とする請求項17〜22のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項24】
活性物質は、上記で定義されるような生体分子および/または生体材料をコードする遺伝子、好ましくはAPCを活性化するための腫瘍抗原および/または補助因子−好ましくはサイトカインおよび/またはリンフォカイン−をコードする遺伝子を含むことを特徴とする請求項17〜23の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項25】
活性物質は、腫瘍抗原、好ましくは自己由来の腫瘍抗原、および/または腫瘍抗原をコードする遺伝子、より特には熱ショックタンパク質(HSP)を含むことを特徴とする請求項17〜24の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項26】
吸着された腫瘍抗原、好ましくは自己由来の吸着された腫瘍抗原は、請求項15で定義される通りであることを特徴とする請求項17〜25の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項27】
補助因子も含み、
該補助因子は、好ましくは腫瘍抽出物、特には粉砕物、凍結乾燥物、透析物または遠心分離ペレットの形態であることを特徴とする請求項17〜26の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項28】
補助因子が、少なくとも一部分は腫瘍抽出物、好ましくは、それから標的腫瘍抗原が微粒子無機物担体に吸着することにより精製された腫瘍抽出物を起源とすることを特徴とする請求項27に記載の薬物。
【請求項29】
マクロファージおよび/または他のAPCを活性化するように、即ち、サイトカイン、リンフォカインおよび生長因子を含む群より選ばれる物質の合成を引き起こす、および/または、樹状細胞を成熟させるように意図されていることを特徴とする請求項17〜28の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項30】
マクロファージおよび/または他のAPCおよび/または樹状細胞により貪食されるように意図されていることを特徴とする請求項17〜29の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項31】
1種類以上の活性物質の生体内輸送を行うことを特徴とする請求項17〜30の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項32】
注射により生体内に注入および/または投薬できることを特徴とする請求項17〜31の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項33】
吸着された物質を生体内において徐放することを特徴とする請求項17〜32の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項34】
結合組織に注射されると、担体上に吸着された抗原を提示するためにマクロファージ、樹状細胞および/または他のAPCの局所的流入を引き起こすことを特徴とする請求項17〜33の少なくとも一項に記載の薬物。
【請求項35】
請求項10〜14で定義されるように、固体担体は粉末、好ましくはヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項17〜34のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項36】
固体微粒子無機物担体は粉末であり、粉砕した腫瘍材料を該担体のカラムに通すことができ、該粉末を皮下組織または他のリンパ節に注射できることを特徴とする請求項17〜35のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項37】
投薬される腫瘍抗原の投与量は比表面積に依存し、好ましくは無機物担体粉末の20mg/gであることを特徴とする請求項17〜36のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項38】
15〜100μg/薬ユニットの間の量で使用されることを特徴とする請求項17〜37のいずれか一項に記載の薬物。
【請求項39】
前記請求項の少なくとも一項で定義される、好ましくは粉末状の生体適合性固体担体と、任意成分としての前記請求項の少なくとも一項に記載の少なくとも1種類の活性物質の、前記請求項の少なくとも一項に記載の薬物を調製するための使用。
【請求項40】
請求項10〜15の少なくとも一項で定義される、好ましくは粉末状の生体適合性固体担体と、請求項17〜39の少なくとも一項に記載の少なくとも1種類の活性物質の、請求項17〜39の少なくとも一項に記載の薬物を調製するための使用であって、
該固体担体は、表面に吸着された生体物質の少なくとも1種類を抗原提示細胞に優先的に輸送することができる使用。
【請求項41】
変性することなく、担体上に活性物質が可逆的に吸着するように、好ましくは粉末状の少なくとも1種類の生体適合性固体担体を、好ましくは生体材料および/または生体分子より選ばれる少なくとも1種類の活性物質に接触させることから実質的に成ることを特徴とする、特に請求項17〜39の少なくとも一項に記載の薬物の調製方法。
【請求項42】
抗腫瘍または抗感染性の免疫反応、あるいは自己免疫疾患に対する免疫反応を引き起こすために使用することができる自己由来の因子の精製を含み、
a.特定の分子因子、好ましくは少なくとも1種類の免疫因子および/または少なくとも1種類の補助因子を粉末上に固定するために十分な時間、粉砕した腫瘍材料または他の生体抽出物をリン酸カルシウム粉末と接触させる工程と、
b.それから粉砕材料が抽出される、腫瘍または他の疾患に罹っている個体の体内に注入できる薬物を調製するために、固定された特定の分子因子を有する粉末を回収する工程と
を実質的な工程として含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
接触させることは、特定の溶液を導入または抜き出すことができるリザーバーシステムで分離されていても、されていなくてもよい1本以上のカラムを使用して行われる精製であり、
粉砕腫瘍材料をカラムに通すことができることを特徴とする請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
活性物質の回収は、適切なモル濃度およびpHの緩衝液、好ましくはリン酸緩衝液を用いたカラムの溶離によって行われ、このようにして得られる溶離液は、固定され、求められた腫瘍抗原および/または補助因子を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
活性物質の回収は、固定され、求められた腫瘍抗原および/または補助因子を吸着した粉末の回収によって行われることを特徴とする請求項41〜44の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項46】
吸着された活性物質の量の分析は、脱着の後、担体の比表面積を制御して行われることを特徴とする請求項41〜45の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法を含むことを特徴とする薬物を調製する方法。
【請求項48】
腫瘍抽出物は患者の腫瘍から調製され、薬物は自家ワクチンであることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1種類の補助因子と混合されていてもよい、精製された、微粒子担体上に吸着された腫瘍抗原は、注入可能な製剤の形態であることを特徴とする請求項47または48に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−540495(P2008−540495A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510595(P2008−510595)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062296
【国際公開番号】WO2006/122914
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507374804)
【出願人】(507375764)
【Fターム(参考)】