説明

薬物送達デバイスおよび組み立て方法

医薬品の用量を投薬するための薬物送達デバイスであって、医薬品含有カートリッジ(16)用のホルダ(14)を含んでなり、カートリッジ(16)が軸方向に摺動可能に配置されたピストン(18)を有し、また、医薬品の用量を投薬するためにカートリッジのピストン(18)と作動可能に係合されるピストンロッド(12) を含んでなり、少なくとも1つのスペーサがピストン(18)とピストンロッド(12)との相対距離に従って選択され、ピストン(18)およびピストンロッド(12)間の軸方向クリアランスを除くためにピストンロッド(12)およびピストン(18)間に配列される、上記薬物送達デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが注射可能な医薬品の一回分または複数回分の投与量を選択し、製品の設定投与量を投薬し、該製品を患者に好ましくは注射によって投与するのを可能にする薬物送達デバイス用の駆動機構に関する。特に、本発明は、患者自身によって取り扱われるこのようなデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体医薬品の必要な投与量の複数回分の投与を可能にし、さらにこのような液体薬剤の患者への投与を提供する薬物送達デバイスは、それ自体従来技術では周知である。一般に、このようなデバイスは、普通の注射器とほぼ同じ目的を有する。
【0003】
この種の薬物送達デバイスは、多数のユーザ特定要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病に罹った人々の場合には、多くのユーザは、身体的に虚弱となり、視力を損なっていることもある。したがって、これらのデバイスは、構造が頑丈であり、しかも、部品の取り扱いに関してもユーザの操作についての理解に関しても使いやすくなければならない。さらに、投与量設定が容易で明確でなければならない。デバイスが再使用可能ではなくて使い捨てである場合、製造コストが安く、廃棄し易くなければならない。これらの要件を満たすためには、デバイスを組み立てるのに必要な部品点数およびデバイスを作る材料の種類の数を最低限に抑えなければならない。
【0004】
代表的には、投与されるべき医薬品は、薬物送達デバイスの駆動機構のピストンロッドと機械的に相互作用する可動ピストンまたは栓を有するカートリッジに備えられる。ピストンに遠位方向のスラストを適用することによって医薬流体の或る所定の量がカートリッジから排出される。
【0005】
避けられない製作公差により、たとえば、カートリッジのピストンとピストンロッドとの間に軸方向のクリアランスが生じる可能性がある。代表的に、デバイスの第一の使用に先立って、エンドユーザーは、駆動機構のいわゆるプライミングを行わなければならない。こうすることで、すでに初期投与量設定がしてあるならば、引き続く投与量投薬ステップにおいて、正確な量の医薬品が所定のやり方で処理される。
【0006】
自己投与ユーザが身体的に虚弱であるかもしれないので、ユーザ実行可能なプライミング手順を簡略化するか、または、このプライミング手順の必要性を完全に排除することすら望ましい。
【0007】
たとえば、後方に延びる円筒形の延長部分の形を有するシリンジ・プランジャ結合エレメントがシリンジ・プランジャの後方面中央に設置されるカプリング機構を特許文献1が開示している。このカプリング・エレメントは内部T字形空所を含んでおり、該空所の壁面に刻みが付けてあってカプリング機構のグリップを助けるようになっている。カプリング機構は、シリンジ・プランジャに近接したプランジャ駆動ラムの前端に設置してあり、2つの爪の形をしている。これらの爪は、スプリングによって、プランジャ駆動ラムの対称軸線から離れる方向に付勢される。モーターの作動で、駆動ラムをその長手軸線に沿って前進させ、カプリング機構の爪をシリンジ・プランジャの円筒形延長部分に向かって移動させてそれと相互係合させる。
【0008】
前進している爪が最初にプランジャ延長部分の空所に入ると、スプリングの外方向付勢に打ち勝って爪の前端が空所の壁面によって、互いに向かって押される。プランジャと駆動ラムの間の初期クリアランスを除去するために、爪は、空所内に完全に入って空所の刻み付き壁面を握持しなければならない。それ以降、シリンジ・プランジャおよび駆動ラムは協働した動きで移動することになる。
【0009】
これら公知の解決策には、ピストンロッドとピストンの間の軸方向クリアランスを除去するためにピストンロッドが軸方向に変位させられなければならないという欠点がある。公知の薬物送達デバイスの実施形態においては、軸方向クリアランス除去およびバックラッシュ除去は、ピストンロッドをカートリッジのピストンと直接当接する位置に持って行くことを意味する。しかしながら、ピストンロッドのこのような軸方向変位は、代表的にはユーザによる投与量設定手段または投与量投薬手段のそれぞれの作動を伴うために、 不利であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,196,999号B1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、改良され、容易になったクリアランスおよび製作公差除去を特徴とする薬物送達デバイス用の駆動機構を提供することが本発明の一目的である。エンドユーザーによって行われるプライミング手順を不要にすることが本発明のさらなる目的である。本発明は、さらに、患者の安全に関連した改良に焦点を合わせており、全般的なデバイス取り扱いを簡略化することを意図している。特に安価に実現でき、薬物送達デバイスおよび/またはその構成要素の現存の設計に対するほんの少しの修正のみを意味する簡単で組み立て容易なクリアランス除去を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0012】
本発明は、医薬品の用量を投薬するための薬物送達デバイスを提供する。
【0013】
ここで用いられる「薬剤」または「医薬品」という用語は、少なくとも1つの薬学的に活性がある化合物を含有する医薬製剤を意味している。
【0014】
この場合、一実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、1500Daまでの分子量を有するか、および/または、ペプチド、プロテイン、ポリサッカリド、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチドまたは上述の薬学的に活性がある化合物の混合物である。
【0015】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した併発症、深静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症のような血栓塞栓症疾患、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症および/または慢性関節リウマチの治療および/または予防のために有用である。
【0016】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した併発症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドで含んでなる。
【0017】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンまたはヒトインスリン類似化合物もしくは派生物、グルカゴン様のペプチド(GLP−1)またはその類似化合物もしくはその派生物またはエキセンジン−3またはエキセンジン−4またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似化合物または派生物含んでなる。
【0018】
インスリン類似化合物は、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28におけるプロリンがAsp, Lys, Leu, Val or Alaで置き変えられ、位置B29において、LysがProで置き変えられ得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0019】
インスリン派生物は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30 ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン; B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0020】
エキセンジン−4は、たとえば、エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−GlyGlu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−PheIle−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0021】
エキセンジン−4派生物は、たとえば、以下の化合物リストから選定される。
H−(Lys)4−des Pro36、des Pro37 エキセンジン−4−(1−39)NH2、
H−(Lys)5−des Pro36、des Pro37 エキセンジン−4−(1−39)NH2、
des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met14のTrp(O)(O2)25(Asp28)]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4派生物のC末端に結びつけられてもよい);
【0022】
または配列
H−(Lys)6−des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2, H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des [Met(O)14, Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5 des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−des Pro36 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)NH2, des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(S1−39)(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)(Lys)6−NH2のエキセンジン−4派生物、
または前述のエキセンジン−4派生物のうちの任意一つの薬学的に許容される塩または溶媒和化合物。
【0023】
ホルモン類は、たとえば、下垂体ホルモン類または視床下部ホルモン類または調節性活性ペプチドおよびゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン、デスモプレッシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンのような、Rote Liste、編集2008、第50章に挙げられるそれらの拮抗剤である。
【0024】
ポリサッカリドは、たとえば、グルコサミノグルカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンまたはその派生物、または、硫酸処理形態、たとえば、ポリ硫酸処理形態の上述ポリサッカリドおよび/またはその薬学的に許容される塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としてはエノキサパリンナトリウムがある。
【0025】
薬学的に許容される塩類は、たとえば、酸添加塩類および塩基性塩である。酸添加塩類は、たとえば、HClまたはHBr塩類である。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ性、たとえば、Na+あるいはK+あるいはCa2+、またはアンモニウム・イオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)の陽イオンであり、ここで、R1−R4は、互いに独立して、水素、随意に置換されたC1−C6−アルキル基、随意に置換されたC2−C6−アルケニル基、随意に置換されたC6−C10−アリール基または随意に置換されたC6−C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩類のさらなる例は、「Remingtonの薬学」17版、Alfonso R. Gennaro(編集)、Mark出版社、Easton、Pa.、U.S.A.、1985年および医薬技術の百科事典に記載されている。
【0026】
薬学的に許容される溶媒和化合物は、たとえば、水和物である。
【0027】
薬物送達デバイスは、製品を収容するカートリッジ、たとえば、カープル、アンプルまたは類似のシリンジ様の容器のためのホルダを含んでなる。該カートリッジは、内部に軸方向に摺動可能に配置されるピストンを含んでなる。遠位方向に向いたスラストを加えたとき、それに応じて、ピストンは遠位方向に変位させられ、代表的には液体医薬品の所定の投与量がカートリッジから排出され得る。薬物送達デバイスは、さらに、カートリッジのピストンと作動状態で係合されることになっているピストンロッドを軸方向に変位させるための駆動機構を含んでなる。ピストンロッドによって、投与量投薬用スラストは、カートリッジのピストンに適用され得る。
【0028】
ピストンロッドおよび駆動機構は、代表的には、ハウジング内部に配置され、組み込まれることになっている。この場合、薬物送達デバイスの最終組み立て構成で、ハウジング自体はカートリッジ・ホルダと相互連結することになる。ピストンとピストンロッドの間に軸方向クリアランスを除去するために、ピストン、ピストンロッド間の相対距離に従って少なくとも1つのスペーサが選ばれる。代表的にはシムの形状および機能を有する該距離スペーサは、 ピストンとピストンロッドの間に配列される。
【0029】
ピストン、ピストンロッド間の軸方向クリアランスのそれぞれサイズおよび大きさに依存して、該スペーサは、代表的には、軸方向寸法の変わるスペーサのセットから選ばれる。前記少なくとも1つのスペーサは、最終的組み立て段階において、カートリッジ・ホルダとハウジングが相互に連結したときに生じるであろう軸方向ギャップを塞ぐかまたは埋めるのに役立つ。
【0030】
特定の距離スペーサを適切に選択してピストン、ピストンロッド間に配置することによって、薬物送達デバイスの最終的組み立てで、すなわちハウジングおよびカートリッジ・ホルダが相互に連結し、互いに関して固定されるときにピストンおよびピストンロッドの実質的にクリアランスのない有効な当接が達成され得る。こうして、プライミング手順が全般的に不必要となり、薬物送達デバイスは組み立て手順が完了したときにその最初の使用についての準備が整う。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのスペーサは、異なった軸方向寸法を有するスペーサのセットから選ばれる。該少なくとも1つのスペーサは、デバイスの最終的組み立て構成におけるピストンロッド、ピストン間の実際に測定されたおよび/または決定されたおよび/または推定された軸方向クリアランスまたはギャップ・サイズに従って選ばれる。少なくとも1つのスペーサは、代表的には、予め構成されたハウジング・アセンブリおよび/またはカートリッジ・ホルダ・アセンブリの組み合わせごとに個別に選ばれる。こうすれば、適切なサイズの距離スペーサを個別に選ぶことによって製造公差および/または組立公差が効果的に補正され得る。
【0032】
さらなる好ましい一実施例においては、少なくとも1つのスペーサは、ピストンロッドの遠位端面および/またはカートリッジのピストンの近位端面のところに配列される。それ故、少なくとも1つのスペーサは、好ましくは、カートリッジ・ホルダおよびハウジングがまだ相互に連結されていない薬物送達デバイスの組み立て前の形態において、ピストンまたはピストンロッドに取り付けられる。該組み立て前の形態において、ピストンロッドおよび駆動機構がハウジングに予め組み込まれ、カートリッジがカートリッジ・ホルダに予め組み込まれる。
【0033】
最終組み立て段階中のカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリまたはハウジング・サブアセンブリの向きに応じて、ピストンまたはピストンロッドのそれぞれの端面の上に少なくとも1つのスペーサをゆるく配置すれば充分であるかもしれない。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのスペーサは、ピストンロッドおよび/またはカートリッジのピストンのいずれかに取り外せないように取り付けられる。スペーサは、該近位端面または遠位端面に接着して取り付けられてもよい。こうすると、薬物送達デバイスのそれぞれのサブアセンブリの融通の利く自在の取り扱いを可能にする。
【0035】
ピストンロッドの端面およびピストンのそれぞれの端面またはその圧力ピースが、共に、シム状またはディスク状の輪郭を有する少なくとも1つの距離スペーサを備えることも考えられる。
【0036】
薬物送達デバイスおよびその構成要素の全体的な寸法に依存して、備えられたスペーサ・セットのうちの少なくとも1つのスペーサの軸方向寸法は、1mm、0.8mm、0.6mm、0.4mm、0.2mmもの小ささであり、または0.2mmよりも小さくさえある。さらにまた、1つだけでなくいくつもの距離スペーサをピストンロッドおよび/またはピストンのそれぞれの端面上に配列することが考えられる。こうすれば、1mmより大きい軸方向ギャップでも効果的に補正し、排除できる。さらに、たとえば0.1mm、0.2mm、0.5mmの軸方向寸法を有するスペーサ・セットを使用することによって、0.1〜1mm間のほとんどいかなる軸方向ギャップ・サイズも利用でき、距離スペーサのそれぞれの組み合わせによって0.1mm毎に段階的に効果的に補正できる。
【0037】
別の独立した局面によれば、本発明は、ヘパリンまたはインスリンのような医薬品の所定の投与量を投薬するようになっている薬物送達デバイスを組み立てる方法にも関する。組み立て方法は、カートリッジ・ホルダに予め組み込んだカートリッジのピストンの近位端面の軸位置が決定する段階を含んでなる。同様のやり方で、ハウジングに予め組み込まれた駆動機構のピストンロッドの遠位端面の軸位置も決定される。ピストンおよびピストンロッドの決定された、または、実際に測定された軸位置によって、ピストン、ピストンロッド間の軸方向クリアランスのサイズが決定され得る、あるいは、少なくとも推定され得る。
【0038】
薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダおよびハウジングがそれらの最終的な組み立て構成に組み立てられたならば、軸方向クリアランスまたはそれぞれの軸方向ギャップが生じることになる。カートリッジ・ホルダおよびハウジングに対するピストンおよびピストンロッドのそれぞれの軸位置を個別に決定することによって、生じる軸方向クリアランスは、ハウジングおよびカートリッジ・ホルダが相互に相互連結される前にすでに決定され得る。ピストン、ピストンロッド間の軸方向クリアランスの決定された、または、推定されたサイズまたは大きさに応じて、少なくとも1つのスペーサが、異なったサイズのスペーサのセットから選ばれる。次に、薬物送達デバイスの最終組み立て中または組み立て前に、適切なサイズの選ばれたスペーサが、ピストンとピストンロッドの間に配置される。
【0039】
好ましくは、該少なくとも1つのスペーサは、ピストンロッドの遠位端面および/またはピストンの近位端面に取り付けられる。少なくとも1つのスペーサの取り付けまたは置換は、大量生産プロセスにおける、予め組み込まれたハウジングおよびカートリッジ・ホルダが相互に連結される前の必須部分であってもよい。
【0040】
好ましい実施形態によれば、ピストンロッドの遠位端面の軸位置は、ハウジングの選定された基準点に関して決定される。
【0041】
したがって、ピストンの近位端面の軸位置も、カートリッジ・ホルダの選定された基準点に関して決定される。それ故、ピストンおよびピストンロッドの軸位置は、好ましくは、ハウジング構成要素またはカートリッジ・ホルダの形状寸法に関して決定される。
【0042】
この状況において、ハウジングおよび/またはカートリッジ・ホルダの該選定基準点が、ハウジングおよびカートリッジ・ホルダを相互に連結するようになっている留め手段の軸位置と実質的に一致すると有利である。ハウジングおよびカートリッジ・ホルダは、代表的には、交互配置で相互連結される。この場合、カートリッジ・ホルダまたはハウジングの挿入部分は、ハウジングまたはカートリッジ・ホルダの対応する受け部に軸方向に挿入される。挿入部分および/または受け部は、付加的に、相互に対応する留め手段または事前固定手段、たとえば、相互に一致する貫通孔およびそれぞれのキャッチ・エレメントまたはラッチ・エレメントを含んでなる。
【0043】
さらにまた、 代表的には実質的に円筒形であるカートリッジ・ホルダまたはハウジング構成要素が、ストッパとして作用し、ハウジングおよびカートリッジ・ホルダの相互挿入移動運動の範囲を定めるようになっているベアリングまたは当接肩部を含んでなることも考えられる。受け部および/または挿入部の自由端は、挿入部および/または受け部のそれぞれのベアリングと軸方向に当接し、それによって、薬物送達デバイスの最終組み立て構成を定めることができる。ハウジングまたはカートリッジ・ホルダの挿入部または受け部の自由端に関する、または、当接肩部に関するピストンロッドおよびピストンの端面間の距離を測定することによって、最終組み立て位置に達したときのピストンロッド、ピストン間の軸方向クリアランスが正確に決定され得る。
【0044】
本発明のさらなる好ましい実施形態においては、ピストンおよび/またはピストンロッドの軸位置は、触覚プローブによって、または、無接触式に光学センサ配置によって決定される。
【0045】
大量生産プロセスにおいて、カートリッジ・ホルダおよび/またはハウジングの選定基準点の絶対位置も変わる事象では、ピストンまたはピストンロッドの端面と選定基準点の間の軸方向距離を精密に決定するためにディジタル画像処理を使用すると有利であるかもしれない。
【0046】
さらなる好ましい実施形態によれば、カートリッジは、カートリッジ・ホルダ内に配列されてカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリを構築する。したがって、ピストンロッドを備える駆動機構も、ハウジング内に配列されてハウジング・サブアセンブリを構築する。両アセンブリは、ピストンおよび/またはピストンロッドの軸位置が決定される前に組み立てられる。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、カートリッジ・ホルダおよびハウジングは、溶接または接着によって、または、摩擦ロック式またはポジティブロッキング式留め手段によって、取り外せないように相互に連結される。ハウジングおよびカートリッジ・ホルダは、好ましくは、適切な距離スペーサがピストンまたはピストンロッドの少なくとも1つの端面に取り付けられた後に相互に連結される。ハウジングおよびカートリッジ・ホルダを相互に組み立て、引き続いて相互に連結することによって、軸方向クリアランスまたはさもなければ駆動機構に存在するバックラッシュが効果的にかつ恒久的に除かれ、そして、デバイス組み立てが完了すると直ぐにデバイスは初期投与量設定および投薬のための準備が整う。
【0048】
事前組み立てされたサブアセンブリ、すなわち、カートリッジ・ホルダ・サブアセンブリおよび/またはハウジング・サブアセンブリは、ピストン、ピストンロッド間の軸方向クリアランスを最小化するためのために、それぞれのサブアセンブリのセットから選定されることも本発明についてさらに考えられる。ここでは、ハウジングに関するピストンロッドの遠位端面の軸位置が決定される。同様に、カートリッジ・ホルダ・サブアセンブリのセットに対して、ピストンの軸位置の決定のためにそれぞれの測定が行われ得る。したがって、実際に測定されたカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリまたはハウジング・サブアセンブリのいかなるセットもピストンロッドおよびピストンの端面の測定された軸位置に関して分類され得る。それぞれの端面の実際に測定された、または決定された位置を使用することによって、ピストン、ピストンロッド間の軸方向クリアランスが最小化または除去すらされるように薬物送達デバイスを組み立てるためにサブアセンブリの対が選ばれ得る。所与の製作公差および組み立て公差に依存して、相互に一致するハウジング・サブアセンブリおよびカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリを適切に選択することによってのみ軸方向クリアランスが除去すらされ得る。こうして、距離スペーサの挿設すら不要となり得る。
【0049】
さらにまた、代替実施形態において、少なくとも1つのスペーサが、必ずしもピストン、ピストンロッド間に配列されなければならないわけではない。ハウジング、カートリッジ・ホルダ間に配置されるならば他の位置及び場所も考えられる。別の例では、スペーサは、カートリッジ・ホルダに関するカートリッジの軸位置を変えるのにすら使用され得る。こうすれば、カートリッジ・ホルダ内へのカートリッジの組み込み前に、スペーサは、カートリッジ・ホルダの遠位ネック部とカートリッジ自体との間にさえ配列され得る。
【0050】
発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明に種々の修正、変更がなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。さらに、添付の請求項で使用される参照符号が発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0051】
好ましい実施形態に関連して図面を参照しながら本発明を限定なしに以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ハウジング・サブアセンブリを横断面で概略的に示す。
【図2】カートリッジ・ホルダ・サブアセンブリを横断面で概略的に示す 。
【図3】ピストンロッドに取り付けられた距離スペーサを備えるハウジング・サブアセンブリを示す。
【図4】ピストンロッドの軸位置を決定するための、そして、可変サイズの距離スペーサを提供するための生産ラインを概略的に示す。
【図5】組み立てられた薬物送達デバイスを縦断面で示す。
【0053】
図1、図2において、ハウジング・サブアセンブリ13およびカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリ15が、それぞれ、示されているハウジング・サブアセンブリ13は、薬物送達デバイスの駆動機構11を受けるハウジング10を含んでなる。駆動機構11およびそのピストンロッド12は、該ハウジング10に事前組み立てされた。
【0054】
図2において、図示のカートリッジ・ホルダ14は、流体薬剤、たとえば、インスリンまたはヘパリンのような医薬品を収容しているカートリッジ16を受けようになっている。 カートリッジ16は、さらに、軸方向に変位可能なピストン18を含んでなり、このピストン18は、所定量の医薬品の排出させるために遠位方向前進ピストンロッド12によって、遠位方向に変位させられるようになっている。
【0055】
図2に示されるように、カートリッジ・ホルダ14の近位方向上端部は、図1に示すハウジング10の遠位方向上端部のところに設置された対応する受け部によって受けられるようになっている挿入ピースまたは挿入部として設計される。それ故、ハウジング10およびカートリッジ・ホルダ14は、交互の少なくとも部分的に重なった配置で組み立てられ得る。 図5に示される最終組み立て構成においては、ピストンロッド12の遠位端面は、ピストン18の近位端面に当接する。
【0056】
避けることのできない製造公差および組み立て公差を補正するために、ピストンロッド12の軸位置および/またはピストン18のそれぞれの軸位置は、サブアセンブリ13、15の相互連結前に、実際に測定または決定される。
【0057】
代表的には、ピストンロッドの遠位端面の軸位置が、選定基準点26までの距離22を測定される。同様にして、ピストンの近位端面の軸位置も、該近位端面とカートリッジ・ホルダ14の選定基準点28との距離を測定することにより決定される。このようにして、ハウジング・サブアセンブリ13およびカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリ15が最終的に相互連結される前に、ピストンロッド12およびピストン18の相互に当接している端面の軸位置または距離22、24が、各サブアセンブリについて個別に決定され得る。
【0058】
相対的な軸位置または距離22、24がわかったならば、軸方向クリアランスのサイズすなわちピストンロッド12、ピストン18間に発生するの軸方向ギャップのサイズが、薬物送達デバイス毎に個別に決定され得る。該軸方向ギャップの決定されたサイズに従って、2つのサブアセンブリ13、15が相互連結される前に、それに応じたサイズの距離スペーサ20が、ピストンロッド12またはピストン18のいずれかに取り付けられ得る。適切なサイズの距離スペーサ20またはシムを選ぶことによって、ピストンロッド12、ピストン18間の軸方向クリアランスが効果的に除かれ得る。こうして、ハウジング10およびカートリッジ・ホルダ14の最終組み立て構成に達したとき、ピストンロッドの遠位端面がピストン18の近位端面に効果的に当接するということが実質的に保証され得る。このようにして、薬物送達デバイスの初めての使用前にエンドユーザーによって行われるべきプライミング手順が完全に補整され、排除され得る。
【0059】
図4において、薬物送達デバイスを製造、組み立てるためのシステムが部分的に示されている。ここで、一連のハウジング・サブアセンブリ10は、製造ライン46に沿って段階的にまたは絶えず移動させられる。測定ユニット40は、接触式または非接触式いずれかの測定手順方法によって、たとえば、光学センサ38のような光学測定ユニットを使用することによって、ピストンロッド12の軸位置すなわち選定基準点までの距離22を決定するようになっている。
【0060】
同様の、だが図示しない方法において、各々特定のハウジング・サブアセンブリ13と相互連結されるべき一連のカートリッジ・ホルダ・サブアセンブリ15のピストン18の軸位置も同様な方法で決定される。
【0061】
ピストンロッド12およびピストン18のこうして得られた軸位置に依存して、適切なサイズおよび形状の少なくとも1つ、または、いくつかの距離スペーサ20が選ばれる。該距離スペーサ20は、各々、異なった軸方向サイズまたは寸法の距離スペーサ20を提供するようになっている4つの異なった供給ステーション48、50、52、54を含んでなる供給ユニットによって提供される。組み立てユニット42は、供給ステーション48、50、52、54のいずれの1つから適切なサイズのスペーサ20を受け取るおよび/または選ぶようになっている。該選択および組み立てユニット42は、さらに、特定のスペーサ20を選択し、ピストンロッド12の遠位端面上に選択したスペーサ20を配置するようになっている供給ヘッド44を含んでなる。好ましくは、ピストンロッド12または該距離スペーサ20のいずれかは、さらなる組み立て過程で距離スペーサの意図しない離脱を防ぐ粘着物質を備える。
【0062】
個別の供給ステーション48、50、52、54によって提供されるような距離スペーサ20は、たとえば0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmその他の軸方向サイズを含んでなるものであってもよい。あるいは、 該スペーサの軸方向サイズが、たとえば、0.1mm、0.2mm、0.5mmまたは1.0mmに等しいことも考えられる。互いに重ねて位置させるようになっているいくつかの距離スペーサ20の組み合わせを使用することさえ考えられる。こうすれば、広い範囲の軸方向ギャップ・サイズが精密に除去され得る。
【0063】
図5は、組み立てられた薬物送達デバイス30を最終的に示す。ここでは、適切な距離スペーサ20が、ピストンロッドの遠位端面とピストン20の近位端面の間に位置させられ、締め付けられている。また、ハウジング10およびカートリッジ・ホルダ14は、たとえば、スナップ嵌めによって相互に確実に係合させられている。したがって、カートリッジ・ホルダ14およびハウジング10は、少なくとも部分的に入れ子になった、または挟み込まれた状態で配置される。
【0064】
参照数字
10 ハウジング
11 駆動機構
12 ピストンロッド
13 ハウジング・サブアセンブリ
14 カートリッジ・ホルダ
15 カートリッジ・ホルダ・サブアセンブリ
16 カートリッジ
18 ピストン
20 スペーサ
22 軸方向距離
24 軸方向距離
26 基準点
28 基準点
30 薬物送達デバイス
38 センサ
40 測定ユニット
42 選択および組み立てユニット
44 供給ヘッド
46 製造ライン
48 供給ステーション
50 供給ステーション
52 供給ステーション
54 供給ステーション
56 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−中に軸方向に摺動可能に配置されたピストン(18)を有する医薬品含有カートリッジ(16)用のホルダ(14);および
−医薬品の用量を投薬するため、カートリッジのピストン(18)と作動可能に係合さされるピストンロッド(12);
を含んでなる医薬品の用量を投薬するための薬物送達デバイスであって、
−ピストン(18)およびピストンロッド(12)間の軸方向クリアランスを除くために、ピストンロッド(12)およびピストン(18)間の相対距離に従って選択された少なくとも1つのスペーサが、ピストンロッド(12)およびピストン(18)間に配列されることを特徴とする、上記薬物送達デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つのスペーサ(20)が、異なった軸方向寸法を有する一セットのスペーサから選ばれ、ここで少なくとも1つのスペーサ(20)が、デバイスの最終組み立て構成におけるピストンロッド(12)およびピストン(18)間の実際に測定された、および/または決定された、および/または推定されたギャップ・サイズに従って選ばれる、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
組み立て前構成において、少なくとも1つのスペーサ(20)が、ピストンロッド(12)の遠位端面および/またはカートリッジ(16)のピストン(18)の近位端面に配列される、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つのスペーサ(20)が、ピストンロッド(12)および/またはカートリッジ(16)のピストン(18)に接着して取り付けられる、請求項3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つのスペーサ(20)の軸方向寸法が、1mm、0.8mm、0.6mm、0.4mmまたは0.2mm未満であるか、またはそれに等しい薬物送達デバイス。
【請求項6】
カートリッジ・ホルダ(14)に事前組み立てされたカートリッジ(16)のピストン(18)の近位端面の軸位置を決定する段階;
ハウジング(10)に事前組み立てされた駆動機構(11)のピストンロッド(12)の遠位端面の軸位置を決定する段階;
カートリッジ・ホルダ(14)およびハウジング(10)が組み立てられた場合のピストン(18)およびピストンロッド(12)間の軸方向クリアランスのサイズを決定するか、または推定する段階;
軸方向クリアランスの決定されたサイズについて一セットの異なるサイズのスペーサ(20)から少なくとも1つのスペーサ(20)を選択し、その選択されたスペーサ(20)をピストン(18)およびピストンロッド(12)間に配置する段階;
を含んでなる、医薬品の用量を投薬するように適合される薬物送達デバイスの組み立て方法。
【請求項7】
スペーサ(20)が、ピストンロッド(12)の遠位端面および/またはピストン(18)の近位端面に取り付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ピストンロッド(12)の遠位端面の軸線方向位置が、ハウジング(10)の選択基準点(26)に対して決定され、そして/またはピストン(18)の近位端面の軸位置が、カートリッジ・ホルダ(14)の選択基準点(28)に対して決定される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
ハウジング(10)および/またはカートリッジ・ホルダ(14)の選択基準点(26、28)が、 ハウジング(10)およびカートリッジ・ホルダ(14)を相互に相互連結するように適合された締結手段の軸位置と実質的に一致する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ピストン(18)および/またはピストンロッド(12)の軸位置が触覚プローブによって、または光学センサ配置(38)により決定される、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ピストン(18)および/またはピストンロッド(12)の軸位置が決定される前に、カートリッジ(16)が、カートリッジ・ホルダ(14)内に配列されてカートリッジ・ホルダ・サブアッセンブリを形成し、ピストンロッド(12)を備えた駆動機構(11)が、ハウジング(10)内に配列されてハウジング・サブアッセンブリを形成する、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
カートリッジ・ホルダ(14)およびハウジング(10)が、溶接もしくは接着によって、または摩擦ロック締結手段もしくはポジティブロッキング締結手段によって、取り外せないように相互連結される、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
カートリッジ・ホルダ・サブアッセンブリ(14)および/またはハウジング・サブアッセンブリ(10)が、ピストン(18)およびピストンロッド(12)間の軸方向クリアランスを最小化するため、一セットのそれぞれのサブアッセンブリから選択される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509214(P2013−509214A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535818(P2012−535818)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066312
【国際公開番号】WO2011/051365
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】