説明

薬物送達組成物

薬物送達組成物が開示されている。前記組成物は、半透性被膜と、医薬粒子と、可溶化剤とを含む組成物であって、前記医薬粒子は、約2μm又はそれ未満の有効平均粒径を有し、医薬粒子の表面に表面安定化剤が吸着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は米国特許法119条(e)項に基づき米国仮出願No.61/168040、2009年4月9日の利益を主張し、その開示は、引用により全体として本明細書に取り込まれる。
【0003】
経口の薬物送達組成物のいくつかの種類は、徐放性か、放出制御性か、又は持続放出性組成物として説明できる。これらの用語は、しかし、本技術分野において一貫して用いられていない。これらの組成物を集合的に説明するためのより一貫した用語は、「放出調節」組成物である。放出調節組成物は、「従来の投与製剤によって提供されない治療又は利便性の目的を達成するための時間経過及び/又は場所の前記薬物放出特性が選択される組成物。」と定義することができる。
【0004】
一般的に、経口投与を意図される放出調節組成物は、一定に、断続的に、又は摂取時から遅れて(after a lag time)、多くの時間にわたり薬物を放出するための薬物送達技術を利用する。かかる効果は、例えば、マトリックスコア内に含まれた薬物放出遅延剤か、又は、代替的に、コアを包む放出調節フィルム被膜の使用を通じて達成することができる。放出調節フィルム被膜の例は、消化管(例えば、腸溶性被膜)の環境内でのpHの変化に応答する放出調節フィルム被膜か、又は濃度勾配若しくは人工的に作られた浸透圧勾配の形成において薬物放出を支配する微孔性被膜を含む。
【0005】
放出調節フィルム被膜及び/又は腸溶性被膜を組み込んだ典型的な放出調節組成物は、米国特許第6228398号公報明細書に例示され、引用により本明細書に取り込まれているElan Pharma International社のSODAS(登録商標)(Spheroidal Oral Drug Absorption System)多粒子薬物送達システムを含む。
【0006】
活性剤を送達するための、人工的に作られた浸透圧勾配を利用した典型的組成物は、それぞれ引用により本明細書に取り込まれており、及び、それぞれ使用環境に対して有益な薬物を送達するための浸透圧システムに関する、特許文献1−3で説明されているAlza社のOROS(登録商標)Push Pull(商標)浸透圧薬物送達システムを含む。そこで説明されている前記浸透圧システムは、(a)外側の半透性の壁、(b)中間の浸透圧的に活性な層、(c)有益な薬物を含むカプセル、及び、(d)前記浸透圧システムから前記有益な薬剤を分注するための通路を含む。別の浸透圧投与製剤が、薬物、中性ハイドロゲル及びイオン性ハイドロゲルを含む組成物に関する米国特許第4971790号公報明細書(引用により本明細書に取り込まれる)で教示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5413572号公報
【特許文献2】米国特許第5324280号公報
【特許文献3】米国特許第6419952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、本技術分野において、使用環境の液体で、低い本来の溶解度を示す難溶性薬物を送達する必要性がまだある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半透性被膜と、医薬粒子と、前記医薬を可溶化する薬剤とを有する薬物送達組成物が提供される。前記医薬粒子は、約2μm又はそれ未満の有効平均粒子径を有し、前記医薬粒子の表面に表面安定化剤が吸着される。
【0010】
1つの実施態様において、前記医薬は使用環境の液体で、低い本来の溶解度しか有さない化合物である。
【0011】
別の実施態様において、前記可溶化剤は、前記使用環境への前記医薬の送達前に、前記組成物内の前記医薬粒子の溶解に十分な種類と量が存在する。
【0012】
別の実施態様において、前記可溶化剤は、界面活性剤、又は、pH調節剤である。
【0013】
別の実施態様において、前記半透性被膜は、前記薬物送達組成物の外への医薬粒子の通過を実質的に妨げるが、溶解された医薬の通過を可能にする。
【0014】
別の実施態様において、前記半透性被膜は、難溶性又は不溶性ポリマー類及び水溶性細孔形成添加剤類を含む微多孔制御被膜である。
【0015】
別の実施態様において、前記微多孔制御被膜ポリマーは、例えばエチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース系ポリマー類と、メタクリル酸エステル類と及びフタル酸エステル類とからなる群から選択され、前記細孔形成添加剤は、HPMC、PVP、及び、例えばマンニトール、キシリトール及びソルビトールなどの多価アルコール類、及び、例えばショ糖などの糖類からなる群から選択される。
【0016】
1つの実施態様において、前記薬物送達組成物は、多粒子ビーズを含むカプセル投与製剤であり、それぞれのビーズは複数の層を含み、前記ビーズの中心から、放射状に外側へ説明すると、不活性のコアを含む中心と、可溶化剤の層と、約2μm又はそれ未満の有効平均粒径を有し前記医薬粒子の表面に表面安定化剤が吸着されている医薬粒子の層と、半透性被膜とを有する。
【0017】
本発明の実施態様によれば、前記組成物は、複数のビーズを含む多粒子医薬品投与製剤を含む。不活性物質、界面活性剤層を含むそれぞれのビーズは、前記不活性物質と半透性被膜の周りに配置されている。前記界面活性剤層と前記半透性被膜の間に、医薬粒子が配置されている。前記医薬粒子は、約2μm又はそれ未満の有効平均粒径を有し、前記粒子の表面に表面安定化剤が吸着されている。
【0018】
別の実施態様において、前記医薬は、クラスII又はクラスIV(BCS(生物薬剤学分類システム)によって同定される)の化合物であり、例えばタクロリムス、シロリムス、フェノフィブラート、カルベジロール、セレコキシブ、及び、ナプロキセン等の化合物を含むが、これらに限られない。
【0019】
別の実施態様において、前記医薬は、例えばクロザピンのような弱塩基性化合物である。
【0020】
本発明のさらに別の実施態様は、ビーズを含む多粒子医薬品投与製剤と、不活性物質のコアを有するそれぞれのビーズと、約2μm又はそれ未満の有効平均粒径を有し、前記粒子の表面に表面安定化剤が吸着されている医薬粒子の層と、半透性被膜とを含む。前記医薬層と前記半透性被膜の間に、pH調節剤層が配置されている。
【0021】
別の実施態様において、pH調節剤層は、1又は場合により2以上の有機酸を含む。
【0022】
別の実施態様において、有機酸は、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、没食子酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸、マイレン酸、コハク酸、酒石酸、及び、経口投与用の医薬品における使用に適切なその他の有機酸からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と合わせ読めば最もよく理解される。一般の慣行に従って、図面のさまざまな形状は原寸に比例していないことを強調しておく。それどころか、見やすいように、様々な形状の寸法は任意に拡大又は縮小されている。図面においては、以下の図が含まれる。
【0024】
【図1】本発明の薬物送達組成物の典型的な投与製剤であるビーズを表す。
【図2】図1で表された前記ビーズの動作原理を表す。
【図3】界面活性剤を含んだ組成物A(本発明の実施態様である)及び界面活性剤を含んでいない組成物C(本発明実施態様ではない)についての、経時的な、溶解された中性の薬物の百分率での比較プロットである。
【図4】本発明の典型的な薬物送達組成物中に処方された弱塩基性の化合物についての溶解された薬物のmg量の経時的なプロットである。
【図5】弱酸性のpH調節剤を有する典型的な弱塩基性の医薬の溶解プロフィールである。
【図6】弱酸性のpH調節剤を有する典型的な塩基性の医薬の溶解プロフィールである。
【図7】pH調節剤として弱塩基を有する典型的な弱酸性の医薬の溶解プロフィールである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「約」は当業者によって理解され、使用される文脈によってある程度変化するであろう。使用される文脈を与えられた当業者にとって明らかでない用語の使用があった場合、「約」は特定の値プラス又はマイナス10%を意味するであろう。
【0026】
「有効平均粒径」は、質量又は体積を基に測定された際に、xという値の与えられた粒径について、集合における前記粒子の50%がxより小さい大きさであり、集合における前記粒子の50%がxより大きい大きさであることを意味する。例えば、「2000nmの有効平均粒径」を有する医薬粒子を含む組成物は、質量又は体積を基に測定された際に、前記医薬粒子の50%が2000nmより小さく、前記医薬粒子の50%が2000nmより大きいことを意味する。
【0027】
「ナノ粒子/ナノ微粒子医薬」は、有限質量を有する固体粒子の形態の医薬を指し、約2000nm又はそれ未満の有効平均粒径により特徴付けられる粒子の集合を指す。ナノ粒子/ナノ微粒子医薬は、サイズ減少処理(いわゆる「トップダウン」処理)を受けた非ナノ微粒子活性医薬成分(API:Active Pharmaceutical Ingredient)からか、又は医薬の分子蒸着(いわゆる「ボトムアップ」処理)によるいずれかで調製される。代替的に、ナノ粒子/ナノ微粒子医薬はナノ微粒子を生じるのに意図される技術を用いて生産されるものである。かかる技術の例は、以下でより詳細に説明される。ナノ粒子/ナノ微粒子医薬は減少した粒径を典型的に有しない非ナノ微粒子から区別される。
【0028】
実施態様に従って、非ナノ微粒子活性医薬成分はナノ微粒子医薬へ加工され粒径を低減される。1つの実施態様において、粒径低減加工はミルで粉砕する工程である。ミルで粉体化されたナノ微粒子医薬は、粒径値順のリスト又は存在する粒子の相対量を定義する数学的機能として典型的に特徴化され、大きさに従って仕分けされる。ナノ微粒子医薬の粒径の分布は、当業者に周知のいかなる従来の粒径測定技術であってもよい。そのような技術は、例えば、沈降場流動分画法、光子相関分光法、光散乱及びディスク遠心分離法を含む。1つの典型的な光散乱装置は、Horibaレーザー回折/散乱式粒径分布測定装置LA−950(堀場製作所、京都市南区、日本)である。粒径分布の測定結果は、典型的に当業者に理解されているウェイブル分布又はロジンラムラー分布を使用して報告される。これらの報告技術は、研磨、臼でのミル化、落下、及び、粉砕作業によって発生する材料の粒径分布の特徴化に有用である。
【0029】
その後に数が続く「D」という用語は、粒径分布のその数のパーセンタイル示す。例えば、D50は質量又は体積名目で測定された際、粒径分布の粒子の50%が小さく、粒子の50%が大きい粒径である。別の例では、D90という粒径分布は、質量又は体積名目で測定された際、粒子の90%が下に存在し、粒子の10%のみが上に存在する粒径である。
【0030】
「溶解度」とは、環境の液体の与えられた量で溶解された医薬の量を指す。環境の液体への医薬の添加が、溶解された医薬量の正味の変化を生じない場合、医薬及び環境の液体は「平衡」状態で存在する。その結果生じる、環境の液体内での医薬の溶解性はその「平衡溶解度」で定義される。
【0031】
「本来の溶解度」とは、溶解助剤がない場合の、特定の液体環境における医薬の平衡溶解度である。
【0032】
「過飽和」とは、その平衡溶解度を超えた医薬の可溶状態を指し、与えられた液体環境における医薬の本来の溶解度により定義されたものよりも大きい溶解度によって特徴付けられる。
【0033】
「使用環境」、「環境の液体」又は「液体環境」は典型的な、経口で投与された製剤が曝露される生理的又は局部環境条件を説明するために、本明細書中で用いられる。環境の液体は胃液からなる場合がある。典型的な胃の生理的条件は、絶食状態でpH値が1と2の間であると典型的に報告されることを含む。別の環境の液体は、小腸の液体である場合がある。小腸のpH値は約4.7から7.3にわたる。十二指腸のpHは、約4.7から6.5と報告されており、上部空腸のpHは約6.2から6.7にわたり、下部空腸のpHは約6.2から7.3にわたる。
【0034】
「治療上有効な量」とは、特定の薬理学的応答にかかる治療を必要としている意味のある患者の数だけ薬物が投与される際に、特定の薬理学的応答を提供する薬物投与量を意味する。かかる投与量が当業者によって治療上有効な量であると考えられたとしても、特定の例における特定の患者へ投与される薬物の治療上有効な量が、本明細書中で説明されている状態/疾患を治療する際に、常に有効というわけではないだろうということが強調される。
【0035】
本発明の薬物送達組成物は、可溶化剤と、医薬粒子と、半透性被膜とを含む。前記薬物送達組成物は、薬物送達組成物の内部での医薬粒子の急速な可溶化を提供し、浸透圧的促進対流及び/又は受動的拡散により溶解された医薬が組成物を外に出すことを可能にするように意図されている。
【0036】
本発明の薬物送達組成物が、医薬を送達するために標的部位に存在する際、例えば、約1から2のpHを有する胃のような場合、医薬粒子は胃酸では不十分な溶解性がある及び/又は低い本来の溶解度を有するので、薬物送達組成物の医薬粒子は実質的に薬物送達組成物の内部から解離せずに、半透性被膜を通過しない。むしろ、標的部位に存在する際、例えば胃酸のような標的部位の液体環境は、前記半透性被膜を透過し、薬物送達組成物内部へ入ってくる。本明細書中で、胃酸は医薬粒子及び可溶化剤と接触する。可溶化剤は胃酸で溶解する。今溶解された可溶化剤の存在は(以前に不溶性であった)医薬粒子を溶解するためのメカニズムを提供する。一旦可溶化剤の存在下で薬物送達組成物の内部で溶解されると、可溶化された薬物は薬物送達組成物の外へ、半透性被膜を通過し医薬は輸送され、標的とされた使用環境へ輸送される。
【0037】
医薬粒径と、環境の液体において、薬物送達組成物を透過する医薬の溶解性を増大する可溶化剤の能力の両方が組成物からの医薬送達の割合に影響を与えるのに役立つと考えられている。特定の理論に拘束されないが、輸送メカニズムは浸透圧的促進対流及び/又は受動的拡散勾配と考えられている。
【0038】
図1はビーズ型の薬物送達組成物典型的な実施態様を図示する。この実施態様において、薬物送達組成物100は多層ビーズである。多数のビーズが最終製剤である、多粒子カプセルを製造するためのカプセル内に配置されるであろうということは当業者によって理解されるであろう。前記ビーズの中心に不活性物質110がある。不活性物質110を囲んでいるのが可溶化剤層120である。この実施態様において示されているように、前記ビーズの最も外側の層が半透性被膜140である。可溶化剤層120と半透性被膜140の間に配置されているのがナノ微粒子医薬層130である。医薬粒子135は図示目的にのみのため点画パターン(stippling pattern)で表される。
【0039】
図2は、図1で表された前記ビーズの動作原理の図である。特定の理論に拘束されないが、使用環境の液体210は、細孔142を通じて半透性被膜140を透過すると考えられている。液体210は、実質的に医薬粒子135を溶解することなくナノ微粒子医薬層130を通過し、可溶化剤層120に接触する。可溶化剤層120は液体210に溶解される。溶解された可溶化剤は、組成物100を透過した液体210中で(以前に不溶性であった)医薬粒子135を溶解するためのメカニズムを補助及び/又は提供する。可溶化剤220で今可溶化された医薬は、矢印225によって示されるように浸透圧的促進対流及び/又は受動的拡散による駆動によって薬物送達組成物100から出て行く。
【0040】
本発明の薬物送達組成物は、さまざまな経口製剤で処方される場合がある。適切な経口製剤は、ビーズ又はカプセルの中に分注されたペレットか、顆粒剤か、丸剤か、懸濁剤か、全ての錠剤か、又はウェーハかを含むが、これらに限られない。前記の製剤の非限定的な定義に関しては、CDER Data Standards Manual(2006)で見出されるかもしれない。好ましい実施態様によれば、本発明はビーズ又はペレットを含むカプセルである。
【0041】
ビーズの実施態様によれば、前記組成物は不活性物質と、可溶化剤と、医薬粒子と、1層又は2層以上の半透性被膜とを含む。
【0042】
ビーズの実施態様において、ビーズの中心は不活性物質を含む。「不活性」は、物質が薬物送達デバイス中で医薬と化学反応を起こさないことを意味する。不活性物質は、可溶化剤層のサポートを提供する。不活性物質は、半透性被膜を横切る、確立された浸透圧勾配に寄与する場合がある。物質は1個の担体物質又は担体物質の組み合わせによって作られる。担体の物質は、溶解性又は非溶解性のいずれかであり、例えばショ糖又は澱粉などの生物学的に許容可能な物質である。典型的な担体物質は、例えば、JRS Pharma社、パターソン、ニューヨーク州により生産された均一の直径を有する糖球NFのNON−PAREIL(登録商標)seedsである。
【0043】
前記ビーズの代替的な実施態様において、不活性物質は可溶化剤か、結合剤又は担体と混合された可溶化剤の組み合わせか、医薬粒子か、結合剤又は担体と混ぜられた医薬粒子の組み合わせかによって置き換えられる。
【0044】
その他の製剤の実施態様において、例えば、不活性物質は、例えば圧縮された錠剤又はマトリックス錠剤のように完全に省かれる場合がある。
【0045】
薬物送達組成物は可溶化剤を含む。可溶化剤は、使用環境の液体中で医薬粒子を溶解するのに十分な種類と量が存在する。以前に説明されているように、薬物送達組成物を透過した液体中で可溶化剤は溶解する。溶解された可溶化剤の存在は、医薬粒子(不十分な溶解性がある又は環境の液体中で低い本来の溶解度を有する)を溶解するメカニズムを提供する。
【0046】
さまざまな製剤の実施態様によれば、可溶化剤は結合剤と混ぜられ、ビーズのコアの一部を形成し、近接した層であり、不活性物質(例えば、糖小球コア)として配置され、薬物層と半透膜の間に配置された層であり、又は製剤が圧縮された錠剤又はマトリックス錠剤である場合の組成物のその他の構成要素と混ぜられる。
【0047】
可溶化剤がビーズの別の層を囲む又はビーズの別の層に配置される層である1つの実施態様において、可溶化剤層はわずかな欠損か、隙間か、亀裂か、割れ目か、又は穴を有する場合があり、完全に及び徹底的に囲んでいる必要はないことが認識される。
【0048】
一部の実施態様において、可溶化剤は界面活性剤か又はpH調節剤である。
【0049】
可溶化剤が界面活性剤である実施態様において、それが医薬を溶解するメカニズムは医薬粒子の溶解を増大することにより、ミセルを形成すること、又はコロイド状の自己会合構造を形成することであることが理論化されている。そうでなければ、医薬が本来低い溶解度の医薬を溶解するメカニズムを提供することによって、本発明の薬物送達組成物は、液体環境中の医薬の本来の溶解度により定義されるものより高濃度を有する医薬の溶液を使用環境へ輸送する。
【0050】
ミセルは、自発的に会合する疎水性及び親水性の部分(いわゆる両親媒性分子)を有する分子の水溶性凝集体である。かかるミセルは、小球体、楕円体又は長円柱の形態であることができ、両親媒性分子の平行の層を有する二重層からなることもできる。かかる二重層のミセルは、通常内部の水溶性区画を有する球状のベシクルの形をとる。界面活性剤は、医薬の固定量を溶解するのに必要とされる量であるミセル取り込み率に基づいて、一部、特定の界面活性剤が選択される。
【0051】
典型的な界面活性剤はイオン性(例えば、陰イオン性、陽イオン性、及び、両イオン性)界面活性剤、及び、非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限られない。典型的な陰イオン性(硫酸、スルホネート又はカルボキシレート陰イオンに基づく)界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びその他のアルキル硫酸塩類、ラウレス硫酸ナトリウム、別名ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、アルキルベンゼンスルホネート、さまざまな石けん類、及び、脂肪酸塩類を含む.典型的な陽イオン性(第4級アンモニウム陽イオンに基づく)界面活性剤は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)別名ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及び、その他のアルキルトリメチルアンモニウム塩類、セチルピリジニウム塩化物(CPC)、ポリエトキシ化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、及び、塩化ベンゼトニウム(BZT)を含む。典型的な両イオン性(両性)界面活性剤は、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及び、ココナツアンフォグリシナートを含む.典型的な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)の共重合体類(商業的にポロキサマー又はポロキサミンと呼ばれる)、オクチルグルコシドを含むアルキルポリグルコシド類、及び、デシルマルトシド、セチルアルコール、及び、オレイルアルコールを含む脂肪アルコール類、コカミドMEA、コカミドDEA、及び、ポリソルベート類(商業的には、Tween(登録商標)という商標名で販売されている)を含む。
【0052】
適切な界面活性剤の選択は、例えば電離化できる官能基類の存在及び種類、pKa値、溶解度及びpH−溶解度プロフィール、塩形成特性、疎水性、分子サイズ、錯体形成特性、化学的安定性、並びに、医薬投与環境及び標的送達環境などの適切な医薬物理化学的要素の考察に基づいてなされる。医薬が胃腸管の生理的pH範囲内で電離化できる官能基を含まない場合、界面活性剤は、ミセル化か、分子包接か、ヒドロトロピーか、錯体化か、分子会合かによる医薬の疎水性と医薬の分子サイズと医薬を可溶化する界面活性剤の能力とに基づいて選択される。医薬が電離化できる官能基を含む場合、界面活性剤の選択における追加の考察は、そのpH−電荷−溶解度プロフィール及び界面活性剤によって運ばれた電荷のいずれかを含む。適切な界面活性剤の同定はインビトロでの当業者に公知の医薬溶解性及び化学的安定性のスクリーニング技術を用いて決定することができる。
【0053】
界面活性剤は組成物を透過する環境の液体における医薬の溶解性を増大するのに十分な量が組成物に存在する。界面活性剤は組成物の重量あたり約1%、約3%、約5%、約7%、約10%、約12%、約14%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約32%、約34%、約36%、約38%、約40%、約43%、約46%、約49%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、及び、約90%の量で存在する。組成物内の界面活性剤の量は上記個別の百分率いずれかの間の範囲で表される場合もある。
【0054】
可溶化剤がpH調節剤である実施態様において、医薬粒子の溶解メカニズムは薬物送達組成物内の液体のpHの変更を含むことが理論化される。pH調節剤は、それによって(別に液体中で低い本来の溶解度を有するであろう)医薬の溶解が可能な医薬の電離型が好ましい薬物送達組成物に入った液体のpHを修飾する。溶解された医薬は製剤を前記半透性被膜の細孔を通じて通過し、あらかじめ溶解された型の使用環境へと出す。
【0055】
医薬に依存して、pH調節剤は、弱酸性又は弱塩基性である。好ましくは、pH調節剤は、薬学的に許容可能な有機又は無機の弱酸性又は弱塩基性である。
【0056】
pH調節剤が酸である実施態様において、少なくとも1以上、場合により2以上の有機酸がpH調節剤として存在する。医薬の物理的及び化学的要素及び所望の送達プロフィールに依存して、3以上のpH調節剤が認識される。典型的なpH調節剤である有機酸類の種類は、例えばWO01/032149で説明されており、引用により本明細書に取り込まれているアジピン酸と、アスコルビン酸と、クエン酸と、フマル酸と、没食子酸と、グルタル酸と、乳酸と、リンゴ酸と、マイレン酸と、コハク酸と、酒石酸と、及び、経口投与用の医薬品における調製に適切なその他の有機酸類とを含むが、これらに限られない。
【0057】
pH調節剤が塩基である実施態様において、少なくとも1以上、場合により2以上の塩基がpH調節剤として存在する。医薬の物理的及び化学的要素及び所望の送達プロフィールに依存して、3以上のpH調節剤が認識される。典型的なpH調節剤である塩基類の種類は、アルギニン、リジン、トロメタミン(TRIS)、メグルミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び、薬学的に許容可能な弱酸類(上記を含む)の重合塩基類、例えば、炭酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムと、リン酸カルシウムと、クエン酸三ナトリウムと、アスコルビン酸ナトリウムとを含むが、これらに限られない。
【0058】
適切なpH調節剤の選択は、例えば電離化できる官能基類(酸又は塩基)の数及び種類、官能基(類)のpKa値、溶解度及びpH−溶解度溶解度及びpH−溶解度プロフィール、塩形成特性、Ksp、化学的安定性、及び、医薬投与環境及び標的送達環境などの適切な医薬物理化学的要素の考察に基づいてなされる。弱塩基性の官能基を含む医薬にとって、pH調節剤は好ましくは典型的に弱塩基性の医薬官能基のpKa値より少なくとも1 log単位低いpKa値を有する有機又は無機の弱酸である。同様に、弱酸性の官能基を含む医薬にとって、pH調節剤は好ましくは典型的に弱酸性の医薬官能基のpKa値より少なくとも1 log単位高いpKa値を有する有機又は無機の弱塩基である。医薬とpH調節剤の間の塩形成が可能である場合は、高い溶解度積定数(Ksp)を有する塩を形成する薬剤が好ましい。
【0059】
pH調節剤は、組成物を透過する環境の液体における医薬の溶解性を増大するのに十分な量が組成物に存在する。pH調節剤は組成物の重量あたり約1%、約3%、約5%、約7%、約10%、約12%、約14%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約43%、約46%、約49%、約50%55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、及び、約90%の量から存在する。組成物内のpH調節剤の量は上記個別の百分率いずれかの間の範囲で表される場合もある。
【0060】
一部の実施態様において、組成物は同一の使用環境における医薬の本来の溶解度により定義されるよりも高い濃度で医薬の溶液を使用環境へ送達する。言い換えれば、本発明の薬物送達組成物は、同一の液体環境における医薬の本来の溶解度と比べるときに、有効に過飽和する溶液の形で環境へ医薬を送達することを可能にする。
【0061】
別の実施態様において、本発明の典型的な組成物は実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような非ナノ微粒子活性医薬成分を含む類似した組成物よりも高い濃度で医薬の溶液を使用環境へ送達する。
【0062】
さらに別の実施態様において、本発明の典型的な組成物は実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような可溶化剤の欠損した類似の組成物よりも高い濃度で医薬の溶液を使用環境へ送達する。
【0063】
使用環境における医薬の本来の溶解度の、又は、実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような、非ナノ微粒子活性医薬成分を含む類似した組成物によって達成された本来の溶解度の、又は、実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような可溶化剤の欠損した類似した組成物によって達成された本来の溶解度の101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%、510%、520%、530%、540%、550%、560%、570%、580%、590%、600%、700%、800%又は1000%の濃度で本発明の薬物送達組成物は、溶解された医薬を送達する。
【0064】
代替的に述べると、使用環境における医薬の本来の溶解度の、又は、実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような非ナノ微粒子活性医薬成分を含む類似した組成物によって達成された本来の溶解度の、又は実施例5の診断処方モデルシステムで説明されるような可溶化剤の欠損した類似した組成物によって達成された本来の溶解度の1.00、1.25、1.50、1.75、2.00、2.25、2.50、2.75、3.00、3.25、3.50、3.75、4.00、4.25、4.50、4.75、5.00、5.25、5.50、5.75、6.00、6.25、6.50、6.75、7.00、7.25、7.50、7.75、8.00、8.25、8.50、8.75、9.00、9.25、9.50、9.75、又は10.0倍を使用環境へ、本発明の薬物送達組成物は、医薬を送達できる。
【0065】
本発明の医薬類は、難溶性の化合物類を含む(「化合物(類)」及び「医薬(類)」という用語は、本明細書中で互換的に使用される。)これらの化合物は37°Cの水で約10mg/mlよりも大きくない溶解度を有する。別の実施態様において、化合物の溶解度は約1mg/mlよりも大きくない。別の実施態様において、化合物の溶解度は約0.1mg/mlよりも大きくない。「難溶性」と同義の用語が「低水溶性」である。多くの薬物類の水での溶解度は、例えば、The Merck Index、 13th ed.、2001(Merck & Co社、ラーウェイ、ニュージャージー州、により出版);the United States Pharmacopoeia、24th ed.(USP24)、 2000; The Extra Pharmacopoeia、 29th ed.、1989(Pharmaceutical Press社、ロンドン、により出版);及び、the Physicians Desk Reference(PDR)、2005 ed.(Medical Economics社、モントベール、ニュージャージー州により出版)などの標準的な薬学の参照文献から、容易に測定できる。
【0066】
本明細書中で定義される個別の低溶解性の化合物類はUSP24、NF19、U.S.Pharmacopeia、pp.2254−2298で「わずかに溶解性がある」「たいへんわずかに溶解性がある」「ほとんど溶解性がない」及び「溶解性がない」と分類されたそれらの薬物類を含み、USP24、NF19、U.S.Pharmacopeia、pp.2299−2304で列挙されるように、1gの薬物を溶解するために100ml又はそれ以上の水を必要とすると分類されたそれらの薬物類を含む。
【0067】
本発明の化合物類はまた、使用環境の液体で低い本来の溶解度の化合物を含む。例えば、使用環境はpHが変化する特定の領域の液体を含む胃腸管である場合がある。絶食時の胃液のpHは1から2の範囲で典型的に報告される。小腸の液体のpHは約4.7から7.3の範囲で典型的に報告される。十二指腸の液体のpHは約4.7から6.5と報告されており、上部空腸のpHは約6.2から6.7の範囲であり、下部空腸のpHは約6.2から7.3の範囲である。本発明の化合物類は前述の使用環境のいずれか1つでは低い本来の溶解度を示すが、別の使用環境では高い本来の溶解度を有する場合があるそれらの医薬類であることができる。例えば、クロザピンなどの弱塩基性の化合物は中性のpH環境では低い本来の溶解度を有すると考えられるが、酸性のpH環境でははるかに高い本来の溶解度を有する。
【0068】
本発明での使用に適切な医薬類は、一般的に、例えばBCS(バイオ医薬品分類システム)に従うとクラスII又はクラスIVなどのような薬物クラスによって同定することもできる。本発明の典型的な医剤類は、人工妊娠中絶剤、ACE阻害剤、α−及びβ−アドレナリン作動剤、α−及びβ−アドレナリン遮断剤、副腎皮質抑制剤、副腎皮質刺激ホルモン、嫌酒剤、アルドース還元酵素阻害剤、アルドステロン拮抗剤、蛋白同化剤、鎮痛剤(麻薬性及び非麻薬性鎮痛剤を含む)、アンドロゲン、アンギオテンシンII受容体拮抗剤、食欲抑制剤、制酸剤、駆虫剤、抗アクネ剤、抗アレルギー剤、抗脱毛症剤、抗アメーバ剤、抗アンドロゲン剤、抗狭心症剤、抗不整脈剤、抗動脈硬化剤、抗関節炎/抗リウマチ剤、抗喘息剤、抗菌剤、抗菌補助剤、抗コリン剤、抗凝固剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、止瀉剤、抗利尿剤、解毒剤、抗ジスキネジア剤、抗湿疹剤、制吐剤、抗エストロゲン剤、抗線維化剤、抗鼓腸剤、抗真菌剤、抗緑内障剤、抗ゴナドトロピン剤、抗痛風剤、抗ヒスタミン剤、抗多動性剤、抗高脂血症剤、抗高リン血症剤、抗高血圧剤、抗甲状腺剤、昇圧剤、抗甲状腺機能低下剤、抗炎症剤、抗マラリア剤、抗躁剤、抗メトヘモグロビン血症剤、抗片頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物剤及び補助剤、抗好中球減少剤、抗骨粗しょう症剤、抗ページェット病剤、抗パーキンソン病剤、抗褐色細胞腫剤、抗ニューモシスティス剤、抗前立腺肥大症剤、抗原虫剤、鎮痒剤、抗乾癬剤、抗精神病剤、解熱剤、抗リケッチア剤、抗脂漏剤、消毒剤/殺菌剤、鎮痙剤、駆梅剤、抗血小板血症剤、抗血栓剤、鎮咳剤、抗潰瘍剤、抗尿結石症剤、抗蛇毒素、抗ウイルス剤、抗不安剤、アロマターゼ阻害剤、収斂剤、ベンゾジアゼピン拮抗剤、骨吸収阻害剤、抗徐脈剤、ブラジキニン拮抗剤、気管支拡張剤、カルシウムチャンネル遮断剤、カルシウム調節剤、炭酸脱水酵素阻害剤、強心剤、CCK拮抗剤、キレート剤、胆石溶解剤、利胆剤、コリン作動剤、コリンエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ再活性化剤、中枢神経刺激剤、避妊剤、COX−I及びCOX−II阻害剤、清拭剤、うっ血除去剤、脱色剤、疱疹状皮膚炎抑制剤、消化補助剤、利尿剤、ドパミン受容体作動剤、ドパミン受容体拮抗剤、外部寄生生物撲滅剤、催吐剤、エンケファリナーゼ阻害剤、酵素、酵素補因子、エストロゲン、去痰剤、フィブリノーゲン受容体拮抗剤、フッ素サプリメント、胃及び膵臓分泌刺激剤、胃細胞保護剤、胃プロトンポンプ阻害剤、胃分泌阻害剤、胃腸管運動促進剤、グルココルチコイド、α−グルコシダーゼ阻害剤、性腺刺激因子、成長ホルモン阻害剤、成長ホルモン放出因子、成長刺激物質、造血剤(hematinics)、造血剤(hematopoietics)、溶血剤、止血剤、ヘパリン拮抗剤、肝酵素誘発剤、肝保護剤、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、免疫調節物質、免疫抑制物質、インスリン増感剤、イオン交換樹脂、角質溶解剤、乳汁分泌刺激ホルモン、緩下剤/下剤、ロイコトリエン拮抗剤、LH−RH作動剤、脂肪作用剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、エリテマトーデス抑制剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、鉱質コルチコイド、縮瞳剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、粘液溶解剤、筋弛緩剤、散瞳剤、麻剤拮抗剤、神経保護剤、向知性剤、非ステロイド性抗炎症剤、卵巣ホルモン、分娩誘発剤、ペプシン阻害剤、色素沈着物質、血漿容積膨張剤、カリウムチャンネル活性化剤/オープナー、プロゲストゲン、プロラクチン阻害剤、プロスタグランジン、プロテアーゼ阻害剤、放射医剤品、5α−レダクターゼ阻害剤、呼吸刺激剤、逆転写酵素阻害剤、鎮静剤/催眠剤、抗攻撃性剤(serenics)、セロトニンノルアドレナリン再取込阻害剤、セロトニン受容体作動剤、セロトニン受容体拮抗剤、セロトニン取込阻害剤、ソマトスタチン類似体、血栓溶解剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤、甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、子宮収縮抑制剤、トポイソメラーゼI及びII阻害剤、尿酸排泄促進剤、血管拡張剤及び血管収縮剤を含む血管調節剤、血管保護剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、及び、それらの組みあわせである医薬類を含む治療分類により同定することもできるが、これらに限られない。
【0069】
適切な医薬類のさらなる例は、アセトヘキサミド、アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アロプリノール、アトロピン、ベンゾチアジド、カルプロフェン、カルベジロール、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロニジン、クロザピン、コデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、デラコキシブ、ジアセレイン、ジクロフェナク、ジルチアゼム、ドセタキセル、エストラジオール、エトドラク、エトポシド、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンプロフェン、フェンチアザク、フルルビプロフェン、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロラゼパム、酢酸メドロキトプロゲステロン、メゲストロール、メロキシカム、メトキサレン、メチルプレドニゾン、モルヒネ、硫酸モルヒネ、ナプロキセン、ニセルゴリン、ニフェジピン、ニフルミク、オランザピン、オキサプロジン、オキサゼパム、オキシフェンブタゾン、パクリタキセル、パルペリドン、フェニンジオン、フェノバルビタール、ピロキシカム、ピルプロフェン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカイン、プロゲステロン、ピリメタミン、リスペリドン、ロフェコキシブ、アセナピン、スルファジアジン、スルファメラジン、スルフイソキサゾール、スリンダク、スプロフェン、タクロリムス、テマゼパム、チアプロフェン酸、チロミソール、トルメチク、バルデコキシブ、ボリノスタット、及び、ジプラシドン含むが、これらに限られない、
【0070】
さらにより典型的な医薬類は、アセノクマロール、アセチルジギトキシン、アネトール、アニレリジン、ベンゾカイン、ベンゾナテート、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ビサコジル、ブロモジフェンヒドラミン、ブタンベン、クロラムブシル、クロラムフェニコール、クロルジアゼポキシド、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロルプロマジン、パルミチン酸クリンダマイシン、クリオキノール、クロピドグレル、酢酸コルチゾン、塩酸シクリジン、塩酸シプロヘプタジン、デメクロサイクリン、ジアゼパム、ジブカイン、ジギトキシン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、ジメチステロン、ジスルフィラム、ドキュセートカルシウム、ジヒドロゲステロン、エナラプリラート、酒石酸エルゴタミン、エリスロマイシン、エストール酸エリスロマイシン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオロメトロン、エナント酸フルフェナジン、フルランドレノリド、グアイフェネシン、ハラゾン、ヒドロコルチゾン、レボチロキシンナトリウム、メチルクロチアジド、ミコナゾール、硝酸ミコナゾール、ニトロフラゾン、ニトロメルソール、オキサゼパム、ペンタゾシン、ペントバルビタール、プリミドン、硫酸キニーネ、スタノゾロール、硝酸スルコナゾール、スルファジメトキシン、スルファエチドール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、タクロリムス、テストステロン、トリアゾラム、トリクロルメチアジド、及び、トリオキサレンを含むが、これらに限られない。
【0071】
組成物中の医薬の量は、例えば20%と40%の間のように重量あたり約10%から約90%の量にわたる。一部の実施態様では、医薬の量は総組成物の重量あたり0.1%、0.5%、0.75%、1%、1.25%、1.5%、1.75%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、及び、90%である。組成物中の医薬の量は、上記個別の百分率のいずれかの間の範囲として表される場合もある。
【0072】
ビーズを含むカプセルの製剤の典型的な実施態様において、ビーズは1層又は2層以上の分離層を含む場合もある。分離層はその他の構成要素層から医薬層保護するために役立つ。典型的な分離層構成成分は、Colorcon社、ウエストポイント、ペンシルバニア州によりOpadry(登録商標)という商標名で販売されている水溶性フィルム被膜システムを含む。
【0073】
本発明の医薬粒子は、その表面上に吸着されている少なくとも1つの表面安定化剤を有する。本明細書中で有用である表面安定化剤はナノ微粒子医薬の表面に物理的に付着する、又は、一体化するが、医薬粒子と化学反応を起こさない。表面安定化剤は、粒子形成の間、及び/又は、使用環境での医薬粒子の再分散の際に医薬の集合又は凝集を実質的に妨げるのに十分な量で存在する。本発明の表面安定化剤として適切な特定の化合物類は、本発明の可溶化剤として適切である場合もあるが、表面安定化剤としての機能に必要とされるかかる化合物類の量は、使用環境の液体での医薬粒子の実質的な溶解の達成には一般的に不十分である。さらに、本明細書中で定義されるように、本発明の表面安定化剤は医薬粒子の表面に吸着される。
【0074】
典型的な表面安定化剤は、公知の有機及び無機の薬学的な添加剤と、ペプチド類及びタンパク質類を同様に含むが、これらに限られない。かかる賦形剤はさまざまなポリマー類、低分子量オリゴマー類、天然物、及び、界面活性剤を含む。有用な表面安定化剤は非イオン性表面安定化剤、陰イオン性表面安定化剤、陽イオン性表面安定化剤、及び、両イオン性表面安定化剤を含む。1以上の表面安定化剤の組み合わせが本発明で使用できる。
【0075】
典型的な表面安定化剤の例は前述の単体又は組み合わせを含むが、これらに限られない:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS);別名ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)として知られるラウリル硫酸ナトリウム(SLS);ヒドロキシプロピルセルロースのSLグレードであるHPC−SL(2.0〜2.9mPa.sの粘度、2質量%の水溶性溶液、20℃、日本曹達社);例えばISP Technologie社(アメリカ)によって販売されている別名Plasdone(登録商標)C−12として知られるBASF社によって販売されているKollidone(登録商標)K12、やISP Technologie社(アメリカ)によって販売されている別名Plasdone(登録商標)C−17として知られるBASF社によって販売されているKollidone(登録商標)K17、ISP Technologie社(アメリカ)によって販売されている別名Plasdone(登録商標)C−29/32として知られるBASF社によって販売されているKollidone(登録商標)K29/32などのポリビニルピロリドン(PVP);デオキシコール酸ナトリウム;BASF社によってPluronic(登録商標)という商標名で販売され(EUではLutrol(登録商標)という商標名で販売されている)、別名ポロキサマー188として知られるPluronic(登録商標)F68、別名ポロキサマー338として知られるPluronic(登録商標)F108、別名ポロキサマー407として知られるPluronic(登録商標)F127を含むポロキサマーとして一般的に知られるエチレンオキシド及び酸化プロピレンに基づくブロック共重合体類;別名塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムとして知られる塩化ベンザルコニウム;ISPTechnologies、Inc. (USA)社により商標名Plasdone(登録商標)S−630で販売されているコポビドン(copovidone)として一般的に知られるビニルピロリドン及び酢酸ビニルの共重合体類;レシチン;ICIAmericas社によってそれぞれ、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、及び、Tween(登録商標)80という商標名で販売されている、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート別名「ポリソルベート20」、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート別名「ポリソルベート40」、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレアート別名「ポリソルベート80」として一般的に知られるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アルブミン;リゾチーム;ゼラチン;BASF社によってSolutol(登録商標)15として販売されている15−ヒドロキシステアリン酸マクロゴール;チロキサポール、及び、BASF社によって商標名Cremophor(登録商標)ELとして販売されているポリエトキシル化ヒマシ油類、を含む。
【0076】
その他の表面安定化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのランダム共重合体類、カゼイン、デキストラン、アカシア樹脂、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル);ポリエチレングリコール類(例えば、Carbowaxes3550(登録商標)及び934(登録商標)(UnionCarbide社))、ステアリン酸ポリオキシエチレン類、コロイド性二酸化ケイ素、リン酸類、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドとの4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スーペリオン、トリトンとして知られる);ポロキサミン(例えば、Tetronic908(登録商標)、Poloxamine908(登録商標)としても公知、これは、エチレンジアミンへのプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの連続付加から誘導される四官能性ブロックコポリマーである(BASFWyandotteCorporation社,Parsippany,ニュージャージー州.));Tetronic1508(登録商標)(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation社)、アルキルアリールポリエーテルスルホネートであるTritonsX−200(登録商標)、(Dow社);ステアリン酸スクロース及びジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestasF−110(登録商標)、(Croda社);Olin−10G(登録商標)又はSurfactant10−G(登録商標)としても知られる(Olin Chemicals,Stamford,Conn.)p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール);CrodestasSL−40(登録商標)(Croda社);及び、C1837CH(C(O)N(CH))−CH(CHOH)(CHOH)である(Eastman Kodak Co.)SAOHCO;デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、及び、PEG−ビタミンEなどを含むが、これらに限られない。
【0077】
追加の有用な表面安定化剤の例は、ポリマー類、バイオポリマー類、多糖類、セルロース類、アルギン酸類、リン脂質類、ポリ−n−メチルピリジニウムクロリド、アンスリウル塩化ピリジニウム(anthryul pyridinium chloride)、陽イオン性リン脂質、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、及び、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル硫酸を含むが、これらに限られない。
【0078】
そのうえさらに有用である安定剤の例は、陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、及び、四級アンモニウム化合物類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウム、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、C1215ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド又はブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド又はブロミド、N−アルキル(C1218)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C1418)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C1214)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、及び、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、及び/又は、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C1214)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、及び、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド類、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド((Henkel社)のALIQUAT(登録商標)336という商標名で販売されている)、ポリクオタニウム−10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル類(例えば脂肪酸のコリンエステル類)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物類(例えばステアリルトリモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリド)、セチルピリジニウムブロミド又はクロリド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミン類のハロゲン塩類、アルキルピリジニウム塩類;アミン類、例えばアルキルアミン類、ジアルキルアミン類、アルカノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類、N、N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート類、及び、ビニルピリジン、アミン塩類、例えば酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、及び、アルキルイミダゾリウム塩、及び、アミンオキシド類、イミドアゾリニウム塩類、プロトン化四級アクリルアミド類、メチル化四級ポリマー類、例えばポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]及びポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];及び、陽イオン性グアールを含むが、これらに限られない。
【0079】
追加の典型的な表面安定化剤は、the American Pharmaceutical Associationとthe Pharmaceutical Society of Great Britain、 the Pharmaceutical Pressにより共同で2005年に出版されたHandbook of Pharmaceutical Excipientsで詳細に説明される。表面安定化剤は商業的に利用可能である及び/又は当業者に公知の技術によって調製することができる。典型的な表面安定化剤の紹介が、McCutcheon、 Detergents and Emulsifiers、 Allied Publishing社、ニュージャージー、2004、及び、Van Os、Haak and Rupert、Physico−chemical Properties of Selected Anionic、Cationic and Nonionic Surfactants、Elsevier社、アムステルダム、1993;Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker、1994);P. and D.Rubingh (Editor)、Cationic Surfactants:Physical Chemistry(Marcel Dekker、1991);and J.Richmond、Cationic Surfactants:Organic Chemistry、(MarcelDekker、1990)でなされている;全ては引用として取り込まれている。
【0080】
典型的な化合物ナノ粒子作製方法は、米国特許公開第5145684号公報で説明され、全内容は本明細書中で引用として取り込まれる。所望の有効な本発明の平均粒径は例えば粉砕時間及び表面安定化剤添加量を調節することなどの粒径減少処理を調節することにより得ることができる。結晶の成長及び粒子の集合は、低温下で組成物を粉砕又は沈降し、サイズ減少後に表面安定化剤の存在下又は添加した状態で粉砕し、最終組成物を最低温下で貯蔵することにより最小化できる。
【0081】
ナノ微粒子の分散を得るための水溶性溶液中での医薬の粉砕は、水中に化合物を分散し、その後、所望の有効平均粒径の化合物の粒径を減少するための粉砕媒体存在下で機械的手段を適用することを含む。医薬は表面安定化剤の存在下でサイズを有効に減少することができる。代替的に、医薬は摩擦後に2種又はそれ以上の表面安定化剤と接触することができる。他の化合物類、例えば増量剤は、粒径低減加工の間、医薬/表面安定化剤混合物に加えることができる。分散は連続的に又は一括で生産することができる。結果として生じたナノ微粒子医薬分散は、噴霧、乾燥、及び、所望の製剤へ処方することができる。
【0082】
典型的に有用なミルは、例えばローラーミル、摩擦ミル、振動ミル、及び、ボールミルなどの低エネルギーミル、並びに、例えばDynoミル、Netzschミル、DCミル、及び、Planetaryミルなどの高エネルギーミルを含む。媒体ミルは、サンドミル及びビーズミルを含む。媒体粉砕において、医薬は分散媒(例えば、水)及び少なくとも2種の表面安定化剤とともにリザーバーに配置される。混合物は、媒体を含むチャンバー及び回転する軸/インペラを通じて再循環される。回転軸は化合物に衝撃力及び回転する力(sheerforces)を与えそれによって粒径を減らす媒体を攪拌する。
【0083】
典型的な細砕媒体は、例えば基本的にポリマー樹脂からなるビーズなどの実質的に形が球状の媒体を含む。別の実施態様において、細砕媒体はその上に付着したポリマー樹脂の被膜を有するコアを含む。その他の細砕媒体の例はガラス、金属酸化物、又は、セラミックを含む基本的に球状の粒子を含む。
【0084】
一般的に、適切なポリマー樹脂類は化学的及び物理的に不活性であり、実質的に金属類、溶媒、及び、モノマー類を含まず、細砕の間それらが削られる又は砕かれるのを回避するのを可能にする十分な硬度及び破砕性がある。適切なポリマー樹脂類は、以下を含む:例えば、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン等の架橋されたポリスチレン類;例えば、Polyミル(登録商標)粉砕媒体(Elan Pharma International社)などのスチレン共重合体類;例えば、Delrin(登録商標)粉砕媒体(E.I. du Pont de Nemours社)などのポリカーボネート類;ポリアセタール類;塩化ビニルポリマー類及び共重合体類;ポリウレタン類;ポリアミド類;、例えば、Teflon(登録商標)ポリマー類(E.I. du Pont de Nemours社)などのポリ四フッ化エチレン類、及び、その他のフルオロポリマー類;高密度ポリエチレン類;ポリプロピレン類;例えば酢酸セルロースなどのセルロースエーテル類及びエステル類;ポリヒドロキシメタクリレート;ポリヒドロキシエチルアクリレート;及び、例えばポリシロキサンなどのシリコン含有ポリマー類。ポリマーは生分解性であることができる。典型的な生分解性ポリマー類は、乳酸類及びグリコライドのポリ乳酸類、ポリグルコライド共重合体類、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリイミノカーボネート類、ポリ−N−アシルヒドロキシプロリンエステル類、ポリ(N−パルミトイルヒドロキシプロリン)エステル類、エチレン−酢酸ビニル共重合体類、ポリ(オルトエステル)類、ポリ(カプロラクトン)類、及び、ポリ(ホスファゼン)類を含むが、これらに限られない。生物分解性ポリマー類の場合には、媒体自身からの汚染は、体から除去できる生物学的に許容される生成物にインビボで都合良く代謝できる。
【0085】
細砕媒体は好ましくは粒径が約10μmから約3mmにわたる。微細砕の場合には、典型的な細砕媒体は約20μmから約2mmである。別の実施態様において、典型的な細砕媒体はサイズが約30μmから約1mmである。別の実施態様において、細砕媒体はサイズが約500μmである。ポリマー樹脂は約0.8から約3.0g/mlの密度を有することができる。
【0086】
別の所望のナノ微粒子医薬を形成する方法は微量沈降法である。これは、いかなる微量の毒性溶媒又は可溶化された重金属不純物も含まない、表面安定化剤及び1種類又は2種類以上のコロイド安定性増強剤の存在下で、医薬類の安定した分散体を調製する方法である。典型的な方法は、(1)化合物を適切な溶媒中に溶解する工程;(2)工程(1)の処方を、透明の溶液を形成するための表面安定化剤を含む溶液に添加する工程;及び(3)工程(2)からの、適当な非溶媒を用いて処方を沈降させる工程を含む。この方法は、何らかの生成された塩が存在するならば、これを従来の手段による分散体の透析又は透析濾過法、及び、濃縮により除去する工程を続けることができる。結果として生じたナノ微粒子医薬分散は噴霧、乾燥、及び、所望の製剤へ処方することができる。
【0087】
別の所望のナノ微粒子医薬を形成する方法は均質化である。沈降のように、本技術は粉砕媒体に使用しない。その代わり、医薬、表面安定化剤(類)及び担体の「混合物」(又は、代替的な実施態様では、その後に続く粒径の減少で加えられた表面安定化剤を有する医薬及び担体)はMicrofluidizer(登録商標)噴霧剤(Microfluidics社)においてはインターアクションチャンバーと呼ばれる処理区域内に押し出された処理の流れを構成する。処理される混合物はポンプに誘導され、排出される。Microfluidizer(登録商標)の初期注入バルブは、ポンプの外へ空気を排出する。一旦ポンプが混合物で満たされると、初期注入バルブは閉じられ、混合物はインターアクションチャンバーを通過させられる。インターアクションチャンバーの幾何学的形状は粒径を減少するシア力、衝撃、キャビテーションを生成する。インターアクションチャンバーの内部で、加圧された混合物は2つの流れに分かれ、きわめて高い速度で加速される。形成された噴流は、互いに向かい合い、インターアクション区域で衝突する.その結果生じる生成物は微細かつ均一の粒径を有する。
【0088】
上記の典型的な技術のいずれかにより形成された医薬粒子類の分布は、約2000nm(2μm)又はそれ未満、約1900nm又はそれ未満、約1800nm又はそれ未満、約1700nm又はそれ未満、約1600nm又はそれ未満、約1500nm又はそれ未満、約1400nm又はそれ未満、約1300nm又はそれ未満、約1200nm又はそれ未満、約1100nm又はそれ未満、約1000nm(1μm)又はそれ未満、約900nm又はそれ未満、約800nm又はそれ未満、約700nm又はそれ未満、約600nm又はそれ未満、約500nm又はそれ未満、約400nm又はそれ未満、約300nm又はそれ未満、約200nm又はそれ未満、約150nm又はそれ未満、約100nm又はそれ未満、約75nm又はそれ未満、及び、約50nm(nm=ナノメートル又は10−9m)又はそれ未満の有効平均粒径を有する。
【0089】
医薬粒子類の分布はD90によっても特徴付けられる。本発明の実施態様によれば医薬粒子類の分布のD90は、約5000nm又はそれ未満、約4900nm又はそれ未満、約4800nm又はそれ未満、約4700nm又はそれ未満、約4600nm又はそれ未満、約4500nm又はそれ未満、約4400nm又はそれ未満、約4300nm又はそれ未満、約4200nm又はそれ未満、約4100nm又はそれ未満、約3000nm又はそれ未満、約3900nm又はそれ未満、約3800nm又はそれ未満、約3700nm又はそれ未満、約3600nm又はそれ未満、約3500nm又はそれ未満、約3400nm又はそれ未満、約3300nm又はそれ未満、約3200nm又はそれ未満、約3100nm又はそれ未満、約3000nm2900nm又はそれ未満、約2800nm又はそれ未満、約2700nm又はそれ未満、約2600nm又はそれ未満、約2500nm又はそれ未満、約2400nm又はそれ未満、約2300nm又はそれ未満、約2200nm又はそれ未満、約2150nm又はそれ未満、約2100nm又はそれ未満、約2075nm又はそれ未満、約2000nm(2μm)又はそれ未満、約1900nm又はそれ未満、約1800nm又はそれ未満、約1700nm又はそれ未満、約1600nm又はそれ未満、約1500nm又はそれ未満、約1400nm又はそれ未満、約1300nm又はそれ未満、約1200nm又はそれ未満、約1100nm又はそれ未満、約1000nm(1μm)又はそれ未満、約900nm又はそれ未満、約800nm又はそれ未満、約700nm又はそれ未満、約600nm又はそれ未満、約500nm又はそれ未満、約400nm又はそれ未満、約300nm又はそれ未満、約200nm又はそれ未満、約150nm又はそれ未満、約100nm又はそれ未満、約75nm又はそれ未満、及び、約50nm又はそれ未満である。
【0090】
薬物送達組成物は、薬物、動物の体、又は宿主に悪影響を及ぼさない1種又は2種以上の半透性被膜を含む。前記半透性被膜は薬物送達組成物の医薬粒子の外への通過を実質的に妨げるが、放出される組成物の中から溶解された医薬類が放出されるのを可能にする。1つの実施態様において、前記半透性被膜は組成物の最も外側の層である。
【0091】
前記半透性被膜は薬物送達組成物中に1%から50%にわたる量で存在し、例えば、薬物送達組成物の総重量に基づいて1%、3%、5%、7%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、25%、30%、35%、40%、及び、50%の間の量で存在する。組成物中の半透性被膜の量は上記個別の百分率のいずれかの間の範囲でも表される場合がある。
【0092】
一部の実施態様において、前記半透性被膜は微多孔制御被膜、1種類又は2種類以上の水膨潤性ポリマー類、又は、それらの組み合わせである。
【0093】
制御微小多孔性被膜は以下を含む:(1)使用環境において不溶性のポリマー、(2)使用環境において溶解性があり、微孔性被膜中に分散される細孔形成剤、(3)その他の賦形剤。適切な典型的な、制御微小多孔性被膜は国際公開第WO2001/032149号公報明細書で説明され、本明細書中で引用として取り込まれる。
【0094】
制御微小多孔性被膜は、視覚的に、走査型電子顕微鏡で見た場合、空隙の断続的に織り混ざった網状のものを形成する多数の開いた及び閉じたセルのスポンジ様構造からなるように見える。制御微小多孔性被膜の物理的特性は、すなわち、開いた及び閉じたセルの網状のものは、環境の液体の入り口と溶解された医薬の出口の両方として役立つ。細孔は、制御微小多孔性被膜の両面(すなわち、薬物送達組成物の中心に面している内側の表面及び使用環境に面している外側の表面)での開口を有する連続的な細孔であることができる。細孔は曲がった、一部曲がった、ランダムな方向の連続的な細孔と、干渉して(hindered)連結された細孔と及び顕微鏡実験によって認識可能なその他の多孔性通路とを含む、規則的に又は不規則的形態で蛇行した通路を通じて相互に連結される場合がある。一般的に、制御微小多孔性被膜は細孔のサイズ、細孔の数、微孔性通路の蛇行性、及び、細孔のサイズ及び数と関連する多孔性によって定義される。制御微小多孔性被膜の細孔のサイズは、電子顕微鏡下での物質の表面で観察された細孔の直径を測定することによって容易に確かめられる。一般的に、約5%から約95%の細孔を有し、約10オングストロームから約100ミクロンの細孔のサイズを有する物質類を使用することができる。使用環境で構成された制御微小多孔性被膜は小さい溶質反射係数σを有し、標準的な浸透性セルに配置する際に弱い半透性の特性を示す。
【0095】
使用環境で不溶性の及び制御微小多孔性被膜を含む典型的なポリマー類は、セルロース系ポリマー類、メタクリル酸、及び、フタル酸エステルを含む。
【0096】
より特徴的には、典型的なポリマー類は、ポリマーの無水糖単位上の置換基が置換された水酸基の平均数を意味する置換度D.S.が1以下であってアセチル基量21%以下を有する酢酸セルロース類;1から2のD.S.であってアセチル基量21から35%を有する二酢酸セルロース;2から3のD.S.であってアセチル基量35及び44.8%を有する三酢酸セルロース;1.5から7%のアセチル量であり、39.2及び45%のプロピオニル基量で2.8から5.4%の水酸基量を有するプロピオン酸セルロース;1.8のD.S.であり、13から15%のアセチル基量及び34から39%のビチリル基量の酢酸ブチル酸セルロース;アセチル基量2から99.5%、ブチリル基量17から53%、及び、0.5から4.7%の水酸基量の酢酸セルロース;三吉草酸セルロース、三ラウリル酸セルロース、三パルミチン酸セルロース、三コハク酸セルロース、三ヘプチル酸セルロース、三カプリル酸セルロース、三オクタン酸セルロース及び三プロピオン酸セルロースなどのD.S.2.9から3の三酢酸セルロース類;二カプリル酸セルロース及び二ペンタン酸セルロースなどの2.2から2.6のD.S.を有する二アシルセルロース類を生じる対応する三エステルの加水分解によって製造される低置換度の二エステルセルロース類、並びに酢酸吉草酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉草酸パルミチン酸セルロース、酢酸パルミチン酸セルロース及び酢酸ヘプタン酸セルロースなどの、同一のセルロースポリマーに結合する異なったアシル置換基を含むエステル類をエステル化反応中で生じる無水アシル類又はアシル酸から製造されるエステル類を含む。
【0097】
追加の典型的なポリマー類は、酢酸セルロースアセトアセテート、酢酸セルロースクロロアセテート、酢酸セルロースフロエート、ジメトキシエチルセルロースアセテート、酢酸セルロースカルボキシメトキシ−プロピオネート、酢酸セルロースベンゾエート、セルロースブチレートナフチレート、メチルセルロースアセテートメチルシアノエチルセルロース、酢酸セルロースメトキシアセテート、酢酸セルロースエトキシアセテート、酢酸セルロースジメチルスルファメート、エチルセルロース、エチルセルロースジメチルスルファメート、酢酸セルロースp−トルエンスルホネート、酢酸セルロースメチルスルホネート、酢酸セルロースジプロピルスルファメート(cellulose acetate dipropylsulfamate)、酢酸セルロースブチルスルホネート、酢酸セルロースラウレート、セルロースステアレート、酢酸セルロースメチルカルバメート、寒天アセテート、三酢酸アミロースベータグルカンアセテート、三酢酸ベータグルカン、アセトアルデヒドジメチルアセテート、酢酸セルロースエチルカルバメート、酢酸セルロースフタレート、酢酸セルロースジメチルアミノアセテート、酢酸セルロースエチルカーボネート、ポリ(ビニルメチル)エーテル共重合体類、アセチル化ヒドロキシ−エチルセルロースヒドロキシル化エチレンビニルアセテートを有する酢酸セルロース、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、半透性のポリグリコール酸又はポリ乳酸及びその誘導体、選択的透過性随伴高分子電解質、アクリル酸及びメタクリル酸及びそのエステル類のポリマー類、現在のところ好ましくは30パーセント未満の水分収着を有する、雰囲気温度で重量あたり1から50パーセント水分収着を有する膜形成物質、アシル化多糖類、アシル化澱粉類、水溶性液体類の透過性を示す高分子素材類を含む芳香族窒素、高分子エポキシ化合物類で製造された膜、アルキレンオキシドのアルキルグリシジルエーテル共重合体類、及び、ポリウレタン類等を含む。さまざまなポリマー類の混合物類も使用される場合がある。
【0098】
説明されている前記ポリマー類は当業者に公知であるか、ニューヨークのInterscience Publishers社によって出版Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、325から354及び459及び549ページ、オハイオ州クリーブランドのCRC Press社によって出版Handbook of Common Polymers by Scott、J.R.及びRoff、 W. J.、 1971、クリーブランド、オハイオ;及び、米国特許第3133132;3173876;3276586;3541055;3541006;及び、3546142号公報の操作に従って調製することができる。
【0099】
前記細孔形成添加剤は、制御放出微孔性被膜の多孔性を規定する。制御放出微孔性被膜の多孔性はシステムの作動中に細孔形成添加剤が溶出又は浸出して微孔性被膜を形成することによりインサイチュで形成される場合がある。硬化性ポリマー溶液内にガスを形成して被膜の最終形状の空隙と細孔を形成することによりシステムの作動前に細孔が形成される場合もある。細孔形成添加剤は固体又は液体であることができる。
【0100】
典型的な実施態様によれば、使用環境で溶解性がある典型的な細孔形成添加剤は、ペンシルバニア州ウエストポイントのColorcon社によってOpadry(登録商標)という商標名で販売されている細孔形成添加剤である。
【0101】
その他の実施態様によれば、細孔形成添加剤は、HPMC、PVP、多価アルコール類、又は、糖類を含むが、これらに限られない。
【0102】
さらにその他の実施態様において、細孔形成添加剤は無機又は有機化合物である。本発明について適切な細孔形成添加剤はポリマーにあらゆる化学変化を生じずに抽出できる細孔形成添加剤を含む。固体添加剤は塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム等のアルカリ金属塩類、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩類。塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸亜鉛、塩化第2銅等の遷移金属塩類が挙げられる。水は細孔形成添加剤として使用される場合がある。細孔形成添加剤はサッカライド類などの有機化合物類を含む。サッカライド類はスクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ラクトース、単糖類、二糖類及び水溶性多糖類等の糖類を含む。更に、ソルビトール、マンニトール、有機脂肪族、及び、例えば多価アルコール類、ポリ(アルキレングリコール)、ポリグリコール、アルキレングリコール、ポリ(単−共)アルキレンジオール類、エステル類又はアルキレングリコールポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び、水溶性高分子材料などによって例示されたジオール及びポリオールを含む芳香族オールも含む。ポリマー溶液中で成分を蒸発させるか又はポリマー溶液中の化学反応によりコアに溶液を塗布する前又は塗布中にガスを発生させ、本発明の微孔性被膜として機能するポリマーフォームを形成することにより孔が微孔性被膜に形成される場合もある。細孔形成添加剤は無毒性であり、除去すると液体を満たすチャンネルを形成する。好ましい実施態様では、無毒性気細孔形成添加剤は生体環境で使用される無機及び有機塩、炭水化物、ポリアルキレングリコール類、ポリ(単−共)アルキレンジオール類、アルキレングリコール類とグリコール類のエステル類からなる群から選択される。
【0103】
微孔性被膜の準備過程は、McGraw Hill社から出版、R.E.KestingによるSynthetic Polymer Membranes,第4章及び5章,1971、Chemical Reviews,Ultrafiltration,Vol.18,373〜455頁,1934、Polymer Eng.And Sci.,Vol.11,No.4,284〜288頁,1971、J.Appl.Poly.Sci.,Vol.15,811〜829頁,1971、並びに米国特許第3565259号、3615024号、3751536号、3801692号、3852224号及び3849528号で説明されている。
【0104】
微多孔制御被膜中の細孔形成添加剤の重量あたりパーセントは、約0.5%、約0.75%、約1.0%、約1.3%、約1.5%、約1.7%、約1.9%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約12%、約13%、約15%、約17%、約19%、約21%、約22%、約24%、約26%、約28%、約30%、約32%、約34%、約36%、約38%、約41%、約43%、約45%、約47%、約49%、及び、約50%からである。組成物中の細孔形成添加剤量は上記個別の百分率のいずれかの間の範囲で表される場合もある。
【0105】
本発明のさらに別の実施態様において、前記半透性被膜は1種類又は2種類以上の水膨潤性ポリマー類を含む。水膨潤性ポリマー類は、医薬粒子の放出を実質的に妨げ、同時に使用環境で溶解された医薬の通過を可能にする親水性マトリックスを形成する。使用環境と接触する際に、これらのポリマー類は液体を吸収し、粘性ゲルを形成するために膨らむ。
【0106】
典型的な水膨潤性ポリマー類は、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社によって販売されているMethocel(商標)という水溶性セルロースエーテルのメチルセルロース及びヒプロメロースシステムを含む。
【実施例】
【0107】
以下の実施例は本発明の様々な実施態様を示すことが意図される。
実施例1
本発明による中性の化合物の典型的な薬物送達組成物は以下を含み:
【0108】
【表1】


以下のように製造された:
【0109】
20乃至30質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)溶液おおよそ1100g乃至2300gが30乃至35のメッシュ糖球体1000gに噴霧された。ナノ微粒子タクロリムスは被膜供給分散体(CFD)へと変換された。CFDはタクロリムスの水溶性コロイド状の分散、追加の安定剤、及び、分散剤を含んだ。5質量%の被膜供給分散体おおよそ1200gがSLSで被膜されたビーズに噴霧された。最終ステップにおいて、15質量%の不溶性ポリマーおおよそ1600gの分散体及び細孔形成添加剤(不溶性ポリマー対細孔形成添加剤の比が90:10)がCFDで被膜されたビーズ1500gに適用された。被膜されたビーズはオーブン内で3時間硬化された。
【0110】
実施例2
実施例2は可溶化剤を含む薬物送達組成物と、可溶化剤を含まない薬物送達組成物と、及び可溶化剤、又は、半透性被膜のないナノ微粒子型の薬物の投与処方との間の比較である。
【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
【表4】



組成物A、B及びCは実施例1で説明されたように製造された。
【0114】
組成物A、B及びCはそれらの処方が異なった;組成物Aは可溶化剤を含んだが、一方、組成物B及びCは含まなかった;A及びBの両方の組成物が90%の不溶性ポリマーと10%の細孔形成剤からなる10%の半透性被膜を含んだ。組成物Cは半透性被膜を含まなかった。
【0115】
組成物A、B及びCは、USP<711>、apparatusI(2009)、100rpmのバスケット法(溶解媒体)に従い0.005%のHPC、pH4.5に配置された。三つの組成物の異なる放出プロフィールの実施例として、組成物Aから放出された医薬の量は120分で92.07%であった。組成物Bから放出された医薬の量は360分で10%未満であった(実寸によりグラフからは除外された)。組成物Cから放出された医薬の量は120分で43.55%であった。参考のため、この溶解媒体におけるタクロリムス本来の溶解度はおおよそ43%の溶解と同等である。A及びBの組成物について経時的に溶解された薬物の百分率のプロットは、図3に示されている。
【0116】
実施例3
実施例3は本発明の薬物送達組成物の医薬タクロリムス処方対ナノ微粒子タクロリムス処方の薬物動態比較を示す。
【0117】
実施例2で組成物Cとして説明されている参照組成物及び実施例1で説明されている薬物送達組成物(本明細書中では“組成物D”を指す)が薬物動態特性について試験された。
【0118】
組成物D及び組成物Cの薬物動態は雄性ビーグル犬への経口クロスオーバー投与で評価された。投薬の前、動物は一晩絶食された。研究前健康診断が行われ、投与前血液試料が採取された。血液試料は投与後5、10、20、30、45、60、90分、及び、2、3、4、6、8、12、24及び48時間に採取された。タクロリムス濃度分析のために生化学分析実験室へ移動されるまで全ての血液試料は−70°Cで凍結された。タクロリムスの血漿濃度は、0.100ng/mLの定量限界の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)によって測定された。薬物動態分析がPharsight(登録商標)、Mountain View、California companyによって販売されているWinNonlin(登録商標)というソフトウエアを用いた非コンパートメント分析を用いて行われた。
【0119】
下記の表は この評価の重要なPK定数であるCmax及びAUClastの処理−参照比の比較が説明される。この比較において、組成物Cは参照産物(R)であり、組成物Dは処理産物(T)である。Cmax及びAUClastの処理−参照比を比較すると、組成物Dが高いCmaxと大きいAUClastを生じたことが明らかである。
【0120】
【表5】

【0121】
実施例4
実施例4は、例えば、商業的に利用可能である速放性のクロザピン錠剤等のクロザピン対照処方と比較した際の弱塩基性の化合物、クロザピン、及び、pH調節剤を含む典型的な薬物送達組成物を用いた液体環境での溶解薬物量を示す。
【0122】
クロザピンの確定した固有溶解度は0.016mg/mlである。クロザピンのpKa値は3.98及び7.62である。pH6.8でのこれらのクロザピン活性医薬成分原薬においての既知の値に基づいて理論上算出された飽和溶解度が0.12mg/mlと推定された。
【0123】
本発明の薬物送達組成物から液体環境へ送達されたクロザピンの濃度は人間の小腸の液体環境で典型的なpH6.8の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤中で測定される。この実施例4の薬物送達組成物の処方は下記の表に記載されている。
【0124】
【表6】

【0125】
上記組成物が、クロザピン200mg、600mg及び1200mgの3つの個別量に対応して検討された。これらの組成物はUSP<711>、apparatus II(2009)、75rpmのパドル法に従い0.1Mリン酸ナトリウム1000mL中に、pH6.8で配置された。対照実験が速放錠の処方でクロザピン200mg、600mg及び1200mgを用いて行われた。本発明の組成物の結果として生じる比較溶出及び対照クロザピン処方は以下の表に列挙される。このデータのグラフ表示図4で表される。線(1)、(2)及び(3)はクロザピン対照錠剤200mg、600mg及び1200mgの試料で得られたプロフィールを示す。線(4)はクロザピン名目200mgで得られたプロフィールを示す。線(5)はクロザピン名目600mgで得られたプロフィールを示す。線(6)はクロザピン名目1200mgで得られたプロフィールを示す。
【0126】
【表7】

*クロザピンは本発明の薬物送達組成物に処方された。
【0127】
20時間後に測定された環境の液体中の対照クロザピン処方濃度は200mg、600mg及び1200mgの試料量で予想された飽和溶解度に近づいたが、届かなかった。むしろ、対照クロザピン処方600mg及び1200mgの試料量がそれぞれ0.094mg/ml及び0.102mg/mlの値を達成した。本発明の薬物送達組成物からpH6.8のリン酸ナトリウム緩衝剤へ送達されたクロザピンの濃度は対照クロザピン錠剤処方の同等量を用いた実験で達成された濃度をはるかに超えた。
【0128】
名目200mgの試料の本発明の薬物送達組成物は、0.171mg/ml(理論上の飽和溶解度の140%)のクロザピン濃度又は対照クロザピン錠剤処方の同等量で達成された1.96倍の濃度を送達した。
【0129】
名目600mgの試料の本発明の薬物送達組成物は、0.453mg/ml(理論上の飽和溶解度の371%)のクロザピン濃度又は対照クロザピン錠剤処方の同等量で達成された4.82倍の濃度を送達した。
【0130】
名目1200mgの試料の本発明の薬物送達組成物は、0.787mg/ml(理論上の飽和溶解度の645%)のクロザピン濃度又は対照クロザピン錠剤処方の同等量で達成された7.69倍の濃度を送達した。
【0131】
実施例5
本発明の薬物送達組成物をサポートするための診断処方モデルシステムが確立された。このモデルシステムは、半透性膜と、医薬粒子と、可溶化剤とを包含した。前記モデルシステムは、本発明の薬物送達組成物をサポートするのに必要とされるかもしれない、広くさまざまな処方変数及び異なるインビトロ放出調節実験に対処する柔軟性を提供するために多数の特徴を伴って設計された。
【0132】
前記モデルシステムを用いた弱酸性のpH調節剤を伴う弱塩基性の化合物であるジピリダモールの溶解プロフィールが図5で示されている。プロットは溶解時間に対するmlあたりの溶解mg量を示す。線(1)は酸pH調節剤であるL2を伴うジピリダモールの非ナノ微粒子活性医薬成分の溶解プロフィールを示す。線(2)は酸のpH調節剤であるL2を伴うジピリダモールのナノ微粒子活性医薬成分の溶解プロフィールを示す。線(3)はpH調節剤であるL1を伴わないジピリダモールの非ナノ微粒子活性医薬成分の溶解プロフィールを示す。線(4)はpH調節剤であるL1を伴うジピリダモールのナノ微粒子医薬型の溶解プロフィールを示す。線(5)は酸pH調節剤を伴わないジピリダモールのナノ微粒子医薬型の溶解プロフィールを示す。及び、線(6)は酸pH調節剤を伴わないジピリダモールの医薬原薬型の溶解プロフィールを示す。
【0133】
実施例6
本実施例では、塩基性薬物、カルベジロール、及び、適切な弱酸性のpH調節剤を含む実施例5によるモデルシステムが検討された。図6は溶解時間に対するmlあたりの溶解mg量のプロフィールプロットを示す。
【0134】
線(1)は酸pH調節剤を伴わないカルベジロールの非ナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。線(2)は酸pH調節剤を伴わないカルベジロールのナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。線(3)は酸pH調節剤を伴うカルベジロールの非ナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。線(4)は酸pH調節剤を伴うカルベジロールのナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。
【0135】
実施例7
本実施例では、弱酸性薬物であるボリノスタット及び弱塩基pH調節剤を利用する実施例5による代替システムが検討された。図7は溶解時間に対するmlあたりの溶解mg量の溶解プロフィールプロットを示す。
【0136】
線(1)は弱塩基pH調節剤を伴わないボリノスタットの非ナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。線(2)は弱塩基pH調節剤を伴うボリノスタットの非ナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。線(3)は弱塩基pH調節剤を伴わないボリノスタットのナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。そして、線(4)は弱塩基pH調節剤を伴うボリノスタットのナノ微粒子活性医薬成分型の溶解プロフィールを示す。
【符号の説明】
【0137】
100: 多層ビーズ
110: 不活性物質
120: 溶解剤層
130: ナノ微粒子クロザピン層
135: 溶解中のクロザピン粒子
140: 半透性被膜
142: 細孔
210: 液体
220: 溶解剤で溶解されたクロザピン
225: 矢印で示されている浸透圧で促進された対流及び/又は受動拡散のクロザピンの流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透性被膜と、医薬粒子と、可溶化剤とを含む組成物であって、前記医薬粒子は、約2μm又はそれ未満の有効平均粒径を有し、医薬粒子の表面に表面安定化剤が吸着されていることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記半透性被膜は、微多孔制御被膜と、水膨潤性被膜と、それらの混合物及び組み合わせとからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記半透性被膜は、使用環境において不溶性のポリマーと、前記使用環境において溶解性の細孔形成添加剤とを含む微多孔制御被膜であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーは、セルロース系ポリマー類と、メタクリル酸類と、フタル酸エステル類とからなる群から選択されること、及び、前記細孔形成添加剤が、HPMCと、PVPと、多価アルコール類と、糖類とからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記微多孔制御被膜中の前記細孔形成添加剤の重量あたり百分率は、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、13%、15%、17%、19%、21%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、41%、43%、45%、47%、49%、及び、50%からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記医薬は、人工妊娠中絶剤、ACE阻害剤、α−及びβ−アドレナリン作動剤、α−及びβ−アドレナリン遮断剤、副腎皮質抑制剤、副腎皮質刺激ホルモン、嫌酒剤、アルドース還元酵素阻害剤、アルドステロン拮抗剤、蛋白同化剤、鎮痛剤(麻薬性及び非麻薬性鎮痛剤を含む)、アンドロゲン、アンギオテンシンII受容体拮抗剤、食欲抑制剤、制酸剤、駆虫剤、抗アクネ剤、抗アレルギー剤、抗脱毛症剤、抗アメーバ剤、抗アンドロゲン剤、抗狭心症剤、抗不整脈剤、抗動脈硬化剤、抗関節炎/抗リウマチ剤、抗喘息剤、抗菌剤、抗菌補助剤、抗コリン剤、抗凝固剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、止瀉剤、抗利尿剤、解毒剤、抗ジスキネジア剤、抗湿疹剤、制吐剤、抗エストロゲン剤、抗線維化剤、抗鼓腸剤、抗真菌剤、抗緑内障剤、抗ゴナドトロピン剤、抗痛風剤、抗ヒスタミン剤、抗多動性剤、抗高脂血症剤、抗高リン血症剤、抗高血圧剤、抗甲状腺剤、昇圧剤、抗甲状腺機能低下剤、抗炎症剤、抗マラリア剤、抗躁剤、抗メトヘモグロビン血症剤、抗片頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物剤及び補助剤、抗好中球減少剤、抗骨粗しょう症剤、抗ページェット病剤、抗パーキンソン病剤、抗褐色細胞腫剤、抗ニューモシスティス剤、抗前立腺肥大症剤、抗原虫剤、鎮痒剤、抗乾癬剤、抗精神病剤、解熱剤、抗リケッチア剤、抗脂漏剤、消毒剤/殺菌剤、鎮痙剤、駆梅剤、抗血小板血症剤、抗血栓剤、鎮咳剤、抗潰瘍剤、抗尿結石症剤、抗蛇毒素、抗ウイルス剤、抗不安剤、アロマターゼ阻害剤、収斂剤、ベンゾジアゼピン拮抗剤、骨吸収阻害剤、抗徐脈剤、ブラジキニン拮抗剤、気管支拡張剤、カルシウムチャンネル遮断剤、カルシウム調節剤、炭酸脱水酵素阻害剤、強心剤、CCK拮抗剤、キレート剤、胆石溶解剤、利胆剤、コリン作動剤、コリンエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ再活性化剤、中枢神経刺激剤、避妊剤、COX−I及びCOX−II阻害剤、清拭剤、うっ血除去剤、脱色剤、疱疹状皮膚炎抑制剤、消化補助剤、利尿剤、ドパミン受容体作動剤、ドパミン受容体拮抗剤、外部寄生生物撲滅剤、催吐剤、エンケファリナーゼ阻害剤、酵素、酵素補因子、エストロゲン、去痰剤、フィブリノーゲン受容体拮抗剤、フッ素サプリメント、胃及び膵臓分泌刺激剤、胃細胞保護剤、胃プロトンポンプ阻害剤、胃分泌阻害剤、胃腸管運動促進剤、グルココルチコイド、α‐グルコシダーゼ阻害剤、性腺刺激因子、成長ホルモン阻害剤、成長ホルモン放出因子、成長刺激物質、造血剤(hematinics)、造血剤(hematopoietics)、溶血剤、止血剤、ヘパリン拮抗剤、肝酵素誘発剤、肝保護剤、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、インスリン増感剤、イオン交換樹脂、角質溶解剤、乳汁分泌刺激ホルモン、緩下剤/下剤、ロイコトリエン拮抗剤、LH−RH作動剤、脂肪作用剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、エリテマトーデス抑制剤、マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、鉱質コルチコイド、縮瞳剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、粘液溶解剤、筋弛緩剤、散瞳剤、麻剤拮抗剤、神経保護剤、向知性剤、非ステロイド性抗炎症剤、卵巣ホルモン、分娩誘発剤、ペプシン阻害剤、色素沈着物質、血漿容積膨張剤、カリウムチャンネル活性化剤/オープナー、プロゲストゲン、プロラクチン阻害剤、プロスタグランジン、プロテアーゼ阻害剤、放射医剤品、5α−レダクターゼ阻害剤、呼吸刺激剤、逆転写酵素阻害剤、鎮静剤/催眠剤、抗攻撃性剤、セロトニンノルアドレナリン再取込阻害剤、セロトニン受容体作動剤、セロトニン受容体拮抗剤、セロトニン取込阻害剤、ソマトスタチン類似体、血栓溶解剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤、甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、子宮収縮抑制剤、トポイソメラーゼI及びII阻害剤、尿酸排泄促進剤、血管拡張剤及び血管収縮剤を含む血管調節剤、血管保護剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤からなる群から選択される医薬の分類から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記医薬は、使用環境において難溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記有効平均粒径は、約1900nm又はそれ未満、約1800nm又はそれ未満、約1700nm又はそれ未満、約1600nm又はそれ未満、約1500nm又はそれ未満、約1400nm又はそれ未満、約1300nm又はそれ未満、約1200nm又はそれ未満、約1100nm又はそれ未満、約1000nm(1μm)又はそれ未満、約900nm又はそれ未満、約800nm又はそれ未満、約700nm又はそれ未満、約600nm又はそれ未満、約500nm又はそれ未満、約400nm又はそれ未満、約300nm又はそれ未満、約200nm又はそれ未満、約150nm又はそれ未満、約100nm又はそれ未満、約75nm又はそれ未満、及び、約50nm又はそれ未満からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記医薬粒子のD90が、約5000nm又はそれ未満、4900nm又はそれ未満、約4800nm又はそれ未満、約4700nm又はそれ未満、約4600nm又はそれ未満、約4500nm又はそれ未満、約4400nm又はそれ未満、約4300nm又はそれ未満、約4200nm又はそれ未満、約4100nm又はそれ未満、約3000nm又はそれ未満、約3900nm又はそれ未満、約3800nm又はそれ未満、約3700nm又はそれ未満、約3600nm又はそれ未満、約3500nm又はそれ未満、約3400nm又はそれ未満、約3300nm又はそれ未満、約3200nm又はそれ未満、約3100nm又はそれ未満、約3000nm又はそれ未満、約2900nm又はそれ未満、約2800nm又はそれ未満、約2700nm又はそれ未満、約2600nm又はそれ未満、約2500nm又はそれ未満、約2400nm又はそれ未満、約2300nm又はそれ未満、約2200nm又はそれ未満、約2150nm又はそれ未満、約2100nm又はそれ未満、約2075nm又はそれ未満、及び、約2000nm又はそれ未満からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記表面安定化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)と、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)と、ヒドロキシプロピルセルロースと、ポリビニルピロリドンと、デオキシコール酸ナトリウムと、エチレンオキシド及び酸化プロピレンに基づくブロック共重合体類と、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルの共重合体類と、レシチンと、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類と、アルブミンと、リゾチームと、ゼラチンと、マクロゴール15ヒドロキシステアリン酸と、チロキサポールと、ポリエトキシル化ヒマシ油とからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記可溶化剤は、使用環境への前記医薬の送達前に、前記組成物内の前記医薬粒子を溶解するのに十分な種類と量が存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記可溶化剤は、界面活性剤、又は、pH調節剤であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両イオン性、及び、非イオン性界面活性剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記可溶化剤はpH調節剤であり、前記使用環境の液体へ曝露されるときに、前記医薬の電離型に好ましいように前記組成物内のpH環境を調節することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記可溶化剤は、弱酸又は弱塩基から選択されるpH調節剤であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記弱酸は、アジピン酸と、アスコルビン酸と、クエン酸と、フマル酸と、没食子酸と、グルタル酸と、乳酸と、リンゴ酸と、マイレン酸と、コハク酸と、酒石酸と、これらの混合物及び組み合わせとからなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記弱塩基は、アルギニン、リジン、トロメタミン(TRIS)、メグルミン、ジエタノールアミン、及び、トリエタノールアミンと、薬学的に許容可能な弱酸類との共役塩基類と、それらの混合物及び組み合わせとからなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記薬学的に許容可能な弱酸との共役塩基類は、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、及び、アスコルビン酸ナトリウムと、それらの混合物又は組み合わせとからなる群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記薬物送達組成物は、使用環境における前記医薬の本来の溶解度によって定義されるよりも高い濃度で医薬の溶液を使用環境へ送達することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記濃度が、使用環境における医薬の本来の溶解度によって定義されるよりも、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%、510%、520%、530%、540%、550%、560%、570%、580%、590%、600%、700%、800%、又は、1000%高いことを特徴とする、請求項19に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−523427(P2012−523427A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504860(P2012−504860)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030387
【国際公開番号】WO2010/118228
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511243624)アルカーメス ファーマ アイルランド リミテッド (3)
【Fターム(参考)】