説明

薬用ニンジンを始めとしたサポニン含有生薬服用時に生じるメンゲン反応の防止及び生薬の吸収性を増大させる製法(生薬の有効成分を鶏卵タンパクに吸収させる方法)による医薬組成物及び健康食品

【課題】 薬用ニンジンを始めとしたサポニン含有生薬服用時に生じるメンゲン反応の防止及び生薬の吸収性を増大させる特殊製法(生薬の有効成分を鶏卵タンパクに吸収させる方法)による医薬組成物及び健康食品を提供する。
【解決手段】 生薬の有効成分サポニンは多くの病態(腫瘍予防、生理機能など)に対する効果が確認され報告されている。本発明は有効成分の体内吸収を高め副作用を抑える一方、より早く生体機能を高め生薬サポニンの有益な効果を一層高め、古くから求められてきた効能及び増え続ける癌腫瘍などの予防や治療に期待できるよう検討したい。ヒトタンパク組成に近い鶏卵タンパクに生体親和成分を選択吸収させ、そのタンパクを簡便にに摂取できることを特徴とした医薬組成物及び健康食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
薬用ニンジン等のサポニン高含有生薬は古くからその薬効が認められ広く漢方薬に用いられている。また、万病の妙薬とも言われ、これを裏付ける数多くの研究が発表されている。しかしながらより高い効果を得ようと大量の生薬を服用することでメンゲン反応(生体防御作用である一種の副作用)が発現することがある。
本発明はヒトのタンパク組成に最も近い鶏卵タンパクを使用することで、ヒトに親和性が高い成分と低抗する成分とを選択することができると考えた。さらに鶏卵タンパクに吸収された成分のみを選択的に服用することにより、副作用の発現を抑えつつ、有効成分のみをより効果的に摂取できる医薬組成物及び健康食品の提案に関するものである。
【背景技術】
薬用ニンジンは中国では漢方薬、日本では和漢薬として、東洋医学では古くから用いられているが、西洋薬と比較すると効果が緩慢である場合が多い。しかしながら、より高い効果を期待して大量の生薬を服用すると、メンゲン反応(副作用)が発現することがある。これらのことから歴史的に古くから用いられているにも係らず生薬が期待される程には使用されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況を鑑み、本発明は生薬の副作用を抑えつつ、その効果を最大限発揮できるよう有効な医薬組成物及び健康食品を希求すべく研究を行ったところ、ヒト組成に近いタンパクを用いることで生薬の有効成分のうち生体親和成分と生体抵抗成分を選択することで、その生体親和性成分吸収タンパクをヒトが服用した場合、体内への吸収が増大し副作用が少ないことを発見した。
【課題を解決するための手段】
薬用ニンジンの有効成分サポニン等は多くの病態に対する効果が確認され公表されている。本発明は有効成分の体内吸収を高める一方、副作用を抑えることで、より早く有益な効果が期待できるよう検討した。ヒトタンパク組成に近い鶏卵タンパクに生体親和性成分を選択吸収させ、そのタンパクを簡便に摂取できるよう開発した。
【発明の効果】
【生薬の毒性及び副作用について】
生薬水溶性エキス剤(A)と生薬吸収卵B)のラットに対する経口投与における毒性比較テスト
(A) 生薬水溶性エキス剤:
ラット6匹(平均体重199g)に経口1日量として生薬水溶性エキス剤(生薬4g含有)を与えたところ、1日目〜3日目で全匹死亡した。
(B) 生薬吸収卵(=生薬の卵吸収物):
ラット10匹(平均体重237g)に経口1日量として生薬吸収卵(生薬10g含有)を与え27日間コントロール群と比較観察したところ、全匹が生存していた。また、体重、体温はコントロール群とほとんど差がなく、臓器重量及び血液検査結果も特に異状はなかった。
以上のことから(B)の生薬吸収卵、つまり鶏卵タンパクを介して生薬を摂取することで生薬に含まれる毒性を排除でき、なおかつ副作用の発現を抑制できるものと評価する。
【生薬の効果について】
薬用ニンジンサポニンに関して発表されている効能のうち、特に癌及び女性特有の生理調整作用ついて実施例及び実験例に基づき検討したところ、以下の効果が認められた。
(1)女性に対する生理調整作用について 〔実験例I〕
(2)抗癌作用について 〔実験例II〕〔実験例III〕
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
以下に実施例及び実験例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の使用はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いる生薬には、サポニン高含有生薬以外の生薬も補助生薬として混合した。
鶏卵は市販品を使用した。
〔図1〕に示す

釜に精製水2000mlを入れ加熱沸騰したら混合生薬70gを添加し加熱する。次に弱火にした釜に予め準備していた半茹での鶏卵を入れ、そのまま2時間30分加熱し鶏卵タンパクに生薬成分を吸収させる。出来上がった鶏卵の殻を剥き服用検体とする。
〔実験例I〕 ヒトに対する生理不順改善テスト
服用期間 : 1〜3ヵ月
服用量 : 本発明鶏卵1個〜3個/日

〔服用後の声〕 〔図2〕に示す
・生理不順の方は冷え性や肩こりを訴えていたが、生理機能が順調になるとともにこれらの症状も改善された。
・生理不順の自覚症状が順調に改善し、中には精力も高まり不妊症の方が懐妊した。
・生理機能の改善効果も認められ、体調もよくなり、リュウマチの方が改善した。
したがって、本発明品には生理機能の改善効果を有していると考えられた。
〔実験例II〕
実施例に用いた生薬原料1gを水溶性抽出エキス3gに調製した検体を作成し、そのTNF活性を測定した。
生体内では常に癌のもとになる細胞が発生しているが、生体防御作用のあるマクロファージが腫瘍壊死因子(TNF)を産生し細胞の癌化を防止していることで発癌しない。
しかしながら、免疫力の低下でマクロファージの作用が弱化すると、癌化が促進され発癌すると考えられている。一方、外部因子による刺激が生体内でマクロファージのTNF産生を促進し、細胞の癌化阻止能が高まると考えられることから、本発明品が生体内TNFの産生誘導活性を有するのかを下記の方法で測定した。
(マクロファージ培養し腫瘍細胞障害効果)
吸光度グラフ

測定検体
1、生薬エキス(検体)
2、市販抗癌剤(ポジテブコントロール)
3、コントロール(ネガテイブコントロール)
Y軸は、500nmの吸光度で、低いものほど細胞の死滅を表している。つまり、TNA活性による腫瘍細胞障害効果が高いことを表している。〔図3〕に示す
〔測定結果〕
検体1、の生薬エキスには2、の市販抗癌剤と同等以上のTNF産生誘導活性が認められた。したがって、本発明品には発癌抑制作用を有していると考えられる。
〔実験例III〕
60歳男性の癌患者を用いて本発明品の抗癌作用を検討した。服用量は本発明鶏卵1日1個〜3個であった。本患者は肝臓に巨大転移肝細胞癌(最大12,2×10cm)が数個認められた。原発巣は進行性胃癌であり、根治切除術不能と診断され、シメチジンを含む混合化学療法にて治療が行われた。しかしながら、副作用が強く食欲不振やそれに伴う体重減少などにより化学療法治療継続が困難であった。そこで本発明品を化学療法と併用したしたところ、食欲不振が改善し体重も次第に回復したことにより、社会生活を継続しながら化学療法治療が繰り返し継続して行えるようになった。さらに、本開発品服用後1〜3ヶ月で腫瘍マーカーは正常化し、1年後には巨大肝細胞の消失がCTで確認された。本患者はその後、再発なく7年間生存した。
(治療中の腫瘍マーカー値の推移)


(治療中の体重の推移)

発症前に73kgの体重が、治療開始6ヵ月でもとに戻っている。〔図6〕に示す
したがって、本発明品には抗癌作用を有していると考えられる。〔図4〕、〔図5〕に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生薬に含まれる天然サポニン等の含有成分を鶏卵タンパクに選択吸収させた医薬組成物及び健康食品
【請求項2】
生薬(オタネニンジン、ソウキョウ)10g〜18g中に含まれる有効成分を鶏卵30g〜80gに吸収させた〔請求項1〕の医薬組成物及び健康食品

【公開番号】特開2011−32256(P2011−32256A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191436(P2009−191436)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(509234995)
【Fターム(参考)】