説明

薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物及び薬用ニンジン抽出液含有の飲料

【課題】薬用ニンジンの抽出液を活性炭と接触処理した際に、薬用ニンジンの抽出液中の有効成分も同時に除去又は減量されてしまうおそれがある従来の薬用ニンジンの精製抽出液の課題を解決することにある。
【解決手段】薬用ニンジンの抽出液が含有されている食品添加物であって、前記薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できるように、前記食品添加物中にカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液が含有されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物及び薬用ニンジン抽出液含有の飲料に関し、更に詳細には薬用ニンジンの不快臭や不快味が実質的に解消された薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物及び薬用ニンジン抽出液含有の飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
薬用ニンジンは、古くから滋養・強壮の薬効を呈するものとして薬用或いは健康食品に広く利用されている。現在でも、薬用ニンジンは、抗ストレス・抗疲労作用、抗老化作用、中枢神経興奮・抑制作用を呈するものとして知られている。
このため、薬用ニンジンをアルコール抽出や熱水抽出して得られた抽出液を飲料又は食品添加物として摂取することも行われている。
しかしながら、薬用ニンジンをアルコール抽出や熱水抽出して得られた抽出液は、薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を呈しているため、極めて飲み難いものである。
かかる薬用ニンジンの抽出液の不快臭等を除去すべく、例えば下記特許文献1には、薬用ニンジンの抽出液を活性炭と接触処理することが提案されている。
【特許文献1】特許第3159543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている様に、薬用ニンジンの抽出液を活性炭と接触処理することによって、得られた薬用ニンジンの精製抽出液は、薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を除去できる。
しかし、薬用ニンジンの抽出液を活性炭と接触処理した際に、薬用ニンジンの抽出液中の有効成分も同時に除去されて除去又は減量してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、薬用ニンジンの抽出液を活性炭と接触処理した際に、薬用ニンジンの抽出液中の有効成分も同時に除去又は減量されてしまうおそれがある従来の薬用ニンジンの精製抽出液の課題を解決し、薬用ニンジンの抽出液を精製することなく薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を実質的に解消された薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物及び薬用ニンジン抽出液含有の飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、前記課題を解決すべく種々検討したところ、薬用ニンジンの抽出液に、特定のハーブの抽出液を添加することによって、薬用ニンジンの抽出液を活性炭で精製することなく薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を実質的に解消できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、薬用ニンジンの抽出液が含有されている食品添加物であって、前記薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できるように、前記食品添加物中にカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液が含有されていることを特徴とする薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物にある。
また、本発明は、薬用ニンジンの抽出液が含有されている飲料であって、前記薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できるように、前記飲料中にカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液が含有されていることを特徴とする薬用ニンジン抽出液含有の飲料でもある。
かかる本発明において、飲料として、アルコール飲料とすることによって、ナイトキャップとして好適である。
また、抽出液として、アルコール抽出液又は水抽出液とすることによって、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)中の有効成分を容易に抽出でき、且つ取り扱いが容易である。
尚、本発明にいう「水抽出液」とは、常温水、温水、熱水又は沸騰水で抽出して得た抽出液をいう。
【発明の効果】
【0005】
本発明者等は、薬用ニンジンの抽出液に、種々のハーブ抽出液を添加して薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を解消できるか試みたところ、単独のハーブ抽出液を添加しても薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を緩和できるものの、薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を充分に軽減できないことが判明した。
このため、単独のハーブ抽出液を組み合わせて薬用ニンジンの抽出液に添加することを試みたところ、カンキョウニン(甘杏仁)の抽出液とカルダモン(小豆蒄)の抽出液とを薬用ニンジンの抽出液に添加したとき、薬用ニンジンの抽出液が呈する薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を充分に軽減でき、薬用ニンジンの抽出液が極めて飲み易くなった。
この様に、本発明に係る薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物及び薬用ニンジン抽出液含有の飲料は、薬用ニンジン抽出液を活性炭等を用いて精製することなく薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を実質的に解消でき、極めて飲み易くなると共に、薬用ニンジン抽出液中の有効成分をそっくり摂取できる。
また、添加したカンキョウニン(甘杏仁)には、去咳・去痰作用や肺機能の強化作用を奏する成分が含有されているとされ、カルダモン(小豆蒄)にも、芳香性健胃作用を奏する成分が含有されているとされている。このため、薬用ニンジン抽出液中の有用成分と併せてカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液中の有効成分を摂取できる。
この様に、薬用ニンジンの抽出液にカンキョウニン(甘杏仁)の抽出液とカルダモン(小豆蒄)の抽出液とを添加したとき、薬用ニンジン独特の不快臭や不快味を軽減できることの詳細な理由は不明であるが、薬用ニンジンの抽出液中の特性成分の化学反応又はマスキング或いは両者が相俟って作用しているものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いる薬用ニンジンは、ウコギ科(Araliaceae)に属する多年生の宿根草であって、オタネニンジン[Panax ginseng C.A.Meyer(Panax schinseng Nees)]、トチバニンジン(Panax japonicus C.A.Meyer)、アメリカニンジン(Panax quinquefolia L.)、サンシチニンジン(Panax pseudoginseng Wall.)の根茎を挙げることができる。
また、かかる薬用ニンジンは、生の根茎であってもよく、生の根茎を蒸したもの[例えば、生のオタネニンジンの根部を蒸した紅参(コウジン)]でもよい。更に、薬用ニンジンの根茎を乾燥して必要に応じて粉砕した乾燥薬用ニンジンも用いることができる。
本発明では、薬用ニンジンを抽出した抽出液を用いる。この抽出液は、薬用ニンジンをアルコール溶液中に浸漬して、固形分を分離したアルコール抽出液であってもよく、薬用ニンジンを常温水、温水、熱水又は沸騰水に浸漬して、固形分を分離した水抽出液であってもよい。
薬用ニンジンのアルコール抽出は、薬用ニンジンを大気中でアルコール溶液に浸漬して室温下で保持することによって行うことができる。このアルコール溶液としては、飲酒できるアルコール溶液であって、エタノールを水で希釈したアルコール溶液、焼酎やブランディ等の蒸留酒或いはワインや日本酒等の酒類を用いることができる。
また、薬用ニンジンの水抽出は、大気下で薬用ニンジンを常温水、温水、熱水又は沸騰水に浸漬することによって行うことができる。特に、薬用ニンジンを熱水又は沸騰水に浸漬する熱水抽出によれば、常温水又は温水に浸漬した場合よりも短時間で抽出ができる。
【0007】
かかる薬用ニンジンの抽出液と併用されるカンキョウニン(甘杏仁)としては、バラ科(Rosaceae)に属するホンアンズ(Prunus armeniaca L.)やアンズ(Prunus armeniaca L.var.ansu Maximowicz)の種皮を除いた種子を用いることができる。
また、薬用ニンジン及びカンキョウニン(甘杏仁)と併用されるカルダモン(小豆蒄)としては、ショウガ科(Zingiberaceae)に属するElettaria cardamomum MatonやElettaria cardamomum Maton var. minuscule Burkhillの種子を用いることができる。
かかるカンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の抽出液は、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々をアルコール溶液中に浸漬して、固形分を分離したアルコール抽出液であってもよく、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々を常温水、温水、熱水又は沸騰水に浸漬して、固形分を分離した水抽出液であってもよい。
また、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々のアルコール抽出は、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々を大気中でアルコール溶液に浸漬して室温下で保持することによって行うことができる。このアルコール溶液としては、飲酒できるアルコール溶液であって、エタノールを水で希釈したアルコール溶液、焼酎やブランディ等の蒸留酒或いはワインや日本酒等の酒類を用いることができる。用いるアルコール溶液は、薬用ニンジンの抽出に用いたアルコール溶液と同一溶液でもよく、異なるアルコール溶液であってもよい。
また、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々の水抽出は、大気下でカンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々を常温水、熱水又は沸騰水中に浸漬することによって行うことができる。特に、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々を常温水又は温水に浸漬して抽出を行うことが、抽出程度の制御を容易にできる。
【0008】
この様に、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々の抽出液を混合して本発明に係る食品添加物を得ることができる。かかる各抽出液の混合量は、薬用ニンジンの抽出液の添加量に対して、薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できる量のカンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各抽出液を添加することが好ましい。
混合する薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々の抽出液としては、アルコール抽出液であってもよく、熱水抽出液であってもよい。また、アルコール抽出液と熱水抽出液とを混合してもよい。
この様にして得られた本発明に係る食品添加物は、薬用ニンジンの抽出液の呈する特有の不快臭と不快味とを実質的に解消でき、スッキリとした爽やかな香りと味とを呈するものとなる。
【0009】
得られた食品添加物は、種々の食品に添加することができる。例えば、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各アルコール抽出液を混合した食品添加物を、ブランディや焼酎等のアルコール溶液に添加することによって、スッキリとした爽やかな香りと味とを呈するリキュール等のアルコール飲料を提供できる。かかるアルコール飲料には、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各有効成分が含有されており、且つ薬用ニンジンの不快臭や不快味が実質的に解消されているため、ナイトキャップに好適である。
また、得られた食品添加物を、麦芽飴又は水飴中に添加して混練することによって、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各有効成分が含有され、且つ薬用ニンジンの不快臭や不快味が実質的に解消された飴を得ることができる。
更に、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各熱水抽出液又は沸騰水抽出液を混合した食品添加物を添加した清涼飲料水では、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各有効成分が含有され、且つ薬用ニンジンの不快臭や不快味が実質的に解消された清涼飲料水とすることができる。
尚、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の抽出液を混合した食品添加物に、他のハーブ抽出液を添加してもよいが、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の抽出液の呈する香り及び味のバランスを壊すことのない範囲内で添加する。
【0010】
以上の説明では、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の各々を個別に抽出していたが、三者を一緒にしてアルコール抽出又は熱水抽出を行ってもよい。この場合、薬用ニンジンの使用量に対して、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の最適使用量を予め実験的に求めておくことが好ましい。
ここで、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)をアルコール抽出した場合、得られたアルコール抽出液のアルコール濃度を調整し、必要に応じて甘味料等を添加することによって、アルコール飲料を提供できる。
また、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)を常温水、温水、熱水又は沸騰水で抽出した場合、得られた水抽出液に必要に応じて甘味料や炭酸等を添加することによって、清涼飲料水を提供できる。
尚、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の抽出液を含有する飲料にも、他のハーブ抽出液を添加してもよいが、薬用ニンジン、カンキョウニン(甘杏仁)及びカルダモン(小豆蒄)の抽出液の呈する香り及び味のバランスを壊すことのない範囲内で添加する。
【実施例1】
【0011】
薬用ニンジンとしてのオタネニンジン(根茎)、カルダモン(種子)、カンキョウニン(種皮を除いた種子)、ハッカク(果皮及び種子)、カミツレ(花)、ハッカ(地上部)、ローレル(葉)の各乾燥物を試料に用いた。
各試料を5mm程度に切断した後、切断した各試料の5gを30%アルコール水(エタノール水)の100ml中に浸漬して室温中で7日間保持してアルコール抽出を行った。次いで、アルコール抽出を終了した各試料について、固形分を濾別してアルコール抽出液を得た。
得られた各試料のアルコール抽出液を、下記表1に示す様に、オタネニンジンのアルコール抽出液20mlに対し、他の試料のアルコール抽出液を添加・混和し、別途作成した15%アルコール水(エタノール水)と蒸留水とを加えて100mlのアルコール飲料を作成した。
【0012】
【表1】

表1において、A単1〜A単6は、オタネニンジンのアルコール抽出液20mlに対し、他の試料のアルコール抽出液を単独で添加したアルコール飲料である。また、A複1〜A複5は、オタネニンジンのアルコール抽出液20mlに対し、他の試料のアルコール抽出液を二種類組み合わせて添加したアルコール飲料である。
【0013】
表1の各アルコール飲料について、30〜50才代の一般的なパネラー15名で香りについて官能テストを行った。この官能テストでは、各アルコール飲料20mlを、50mlのプラスチック製カップに入れてパネラーが香りを嗅いで評価した。
評価は5分間のインターバルを置いて行った。この官能テストでの評価は、下記表2に示す評価基準に従って点数化し、パネラーの平均値を求めて比較した。
【0014】
【表2】

また、表1の各アルコール飲料の香りについて行った官能テスト結果を、下記表3に示す。
【0015】
【表3】

表3から明らかな様に、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、他の試料のアルコール抽出液を単独で添加した場合(A単1〜6)には、オタネニンジン独特の不快臭は、カルダモン(A単1)、ハッカク(A単3)、カンキョウニン(A単2)の各アルコール抽出液の順序で軽減されるが、いずれもその程度は不十分である。
特に、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、ハッカのアルコール抽出液を添加した水準(A単5)は、オタネニンジン独特の不快臭が他の水準に比較して強調され易いものと判断される。
これらの水準(A単1〜6)に対し、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、他の試料のアルコール抽出液を二種類組み合わせて添加した水準(A複1〜5)のうち、カルダモンのアルコール抽出液とカンキョウニンのアルコール抽出液とを組み合わせて添加した水準(A複1)では、オタネニンジン独特の不快臭が他の水準に比較して著しく弱くなり、オタネニンジン独特の不快臭が実質的に解消されていることが判る。
【実施例2】
【0016】
実施例1の官能テストによって、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、カルダモンのアルコール抽出液とカンキョウニンのアルコール抽出液とを組み合わせて添加した水準(A複1)が、オタネニンジン独特の不快臭を実質的に解消されていることが判明した。
このため、オタネニンジン、カルダモン、カンキョウニンの熱水抽出液でも、実施例1と同様であるか検討した。
先ず、薬用ニンジンとしてのオタネニンジン(根茎)、カルダモン(種子)、カンキョウニン(種皮を除いた種子)の各乾燥物を試料に用いた。各試料を5mm程度に切断した後、切断した各試料の25gに蒸留水500mlを加えて100℃に加熱して5分間熱水抽出を行った。次いで、熱水抽出を終了した各試料について、固形分を濾別して熱水抽出液を得た。
得られた各試料の熱水抽出液を、下記表4に示す様に、オタネニンジンの熱水抽出液20mlに対し、他の試料の熱水抽出液を添加・混和し、別途作成した15%アルコール水(エタノール水)と蒸留水とを加えて100mlのアルコール飲料を作成した。
【0017】
【表4】

表4に示すアルコール飲料の各水準の香りについて、パネラーを6名とした他は実施例1と同様の官能テストを行って、その結果を下記表5に示す。
【0018】
【表5】

表5から明らかな様に、オタネニンジンの熱水抽出液に対し、カルダモンの熱水抽出液とカンキョウニンの熱水抽出液とを組み合わせて添加した水準(C3)が、カルダモンの熱水抽出液とカンキョウニンの熱水抽出液とを単独で添加した水準(C1,C2)に比較して、オタネニンジン独特の不快臭が著しく弱くなり、オタネニンジン独特の不快臭が実質的に解消されていることが判る。
【実施例3】
【0019】
実施例1において、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、カルダモンのアルコール抽出液とカンキョウニンのアルコール抽出液とを組み合わせて添加した水準(A複1)が、オタネニンジン独特の不快臭を実質的に解消されることが判明した。
このため、かかる水準が、オタネニンジン独特の不快味も実質的に解消できるか検討した。
表1のA単1、A単2及びA複1で得られた各アルコール飲料に、飲み易くすべく、下記表6に示す様に、クエン酸0.3(v/w)%とショ糖20.0(v/w)%とを加え、更に蒸留水を加えて100mlとした。
【0020】
【表6】

次いで、表6に示す各水準の味について、30〜50代のパネラー6名によって上記表2の評価基準に基づいて味の官能テストを行った。
この官能テストでは、各アルコール飲料20mlを、50mlのプラスチック製カップに入れてパネラーが口に含んで味を評価した。 評価は5分間のインターバルを置いて行い、一の水準について口に含んで味の評価を行った後、口の中のアルコール飲料を吐き出し、更に口の中を蒸留水で2〜3回すすいでから、次の水準の評価を行った。この官能テストでの評価は、上記表2に示す評価基準に従って点数化し、パネラーの平均値を求めて比較した。結果を、下記表7に示す。
【0021】
【表7】

表7から明らかな様に、オタネニンジンのアルコール抽出液に対し、カルダモンのアルコール抽出液とカンキョウニンのアルコール抽出液とを組み合わせて添加した水準(B3)が、カルダモンのアルコール抽出液とカンキョウニンのアルコール抽出液とを単独で添加した水準(B1,B2)に比較して、オタネニンジン独特の不快味が著しく弱く、オタネニンジン独特の不快味が実質的に解消されていることが判る。
【実施例4】
【0022】
実施例2において、オタネニンジンの熱水抽出液に対し、カルダモンの熱水抽出液とカンキョウニンの熱水抽出液とを組み合わせて添加した水準(C3)が、オタネニンジン独特の不快臭が著しく弱く、オタネニンジン独特の不快臭が実質的に解消されていることが判明した。
このため、かかる水準が、オタネニンジン独特の不快味も実質的に解消しているか検討した。
表4のC1、C2及びC3で得られた各飲料に、飲み易くすべく、下記表8に示す様に、クエン酸0.3(v/w)%とショ糖20.0(v/w)%とを加え、更に蒸留水を加えて全体として100mlとした。
【0023】
【表8】

次いで、実施例3と同様にして、表8の各水準について味の官能テストを行った。結果を下記表9に示す。
【0024】
【表9】

表9から明らかな様に、オタネニンジンの熱水抽出液に対し、カルダモンの熱水抽出液とカンキョウニンの熱水抽出液とを組み合わせて添加した水準(WB3)が、カルダモンの熱水抽出液とカンキョウニンの熱水抽出液とを単独で添加した水準(WB1,WB2)に比較して、オタネニンジン独特の不快味が著しく弱くなり、オタネニンジン独特の不快味が実質的に解消されていることが判る。
【実施例5】
【0025】
実施例1で得られたオタネニンジン(根茎)、カルダモン(種子)、カンキョウニン(種皮を除いた種子)の各アルコール抽出液を、下記表10に示すように水飴に練り込んで飴を作成した。
【0026】
【表10】

作成したD0〜D3の飴を30〜50才代の一般的なパネラー6名が食して、香りと味とを官能評価を行った。この香りと味との官能評価は、前述した表2に示す評価基準に従って点数化し、パネラーの平均値を求めて比較した。
表10で作成したD0〜D3の飴についての香りと味との官能テスト結果を、下記表11に示す。
【0027】
【表11】

表11から明らかな様に、オタネニンジンのアルコール抽出液、カルダモンのアルコール抽出液及びカンキョウニンのアルコール抽出液を添加した飴(D3)が、カルダモンのアルコール抽出液を添加した飴(D1)及びカンキョウニンのアルコール抽出液を単独で添加した飴(D2)に比較して、オタネニンジン独特の不快臭及び不快味が著しく弱くなり、オタネニンジン独特の不快臭及び不快味が実質的に解消されていることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬用ニンジンの抽出液が含有されている食品添加物であって、前記薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できるように、前記食品添加物中にカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液が含有されていることを特徴とする薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物。
【請求項2】
抽出液が、アルコール抽出液又は水抽出液である請求項1記載の薬用ニンジン抽出液含有の食品添加物。
【請求項3】
薬用ニンジンの抽出液が含有されている飲料であって、前記薬用ニンジンの不快臭や不快味を実質的に解消できるように、前記飲料中にカンキョウニン(甘杏仁)とカルダモン(小豆蒄)との各抽出液が含有されていることを特徴とする薬用ニンジン抽出液含有の飲料。
【請求項4】
抽出液が、アルコール抽出液又は水抽出液である請求項3記載の薬用ニンジン抽出液含有の飲料。
【請求項5】
飲料が、アルコール飲料である請求項3又は請求項4記載の薬用ニンジン抽出液含有の飲料。

【公開番号】特開2009−142247(P2009−142247A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325756(P2007−325756)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(391019728)養命酒製造株式会社 (11)
【Fターム(参考)】