藻場増殖礁
【課題】植食動物の接近を阻害するとともに、藻類の成長に必要な日光を継続して十分に確保することができる藻場増殖礁を提供する。
【解決手段】海底に配置して藻類SWを育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁Aであって、藻類SWを育成し活着させ得る育成部材Pと、この育成部材P及びこれに活着した藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物1とを具備するものとした。
【解決手段】海底に配置して藻類SWを育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁Aであって、藻類SWを育成し活着させ得る育成部材Pと、この育成部材P及びこれに活着した藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物1とを具備するものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底に配置して藻類を育成し、藻場を造成するための藻場増殖礁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、藻場の増殖を目的として、藻類の新たな着床基質を供給する藻場増殖礁としては、天然の岩場、テトラポット、コンクリートブロックなどを用いたものや、コンクリート製品を重積してその間に自然石や貝殻等を配したものなどが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
藻場は、沿岸における一次生産の場であるとともに、環境保全の場として生態学的に重要な機能を営むものである。また、水産上有用な魚介類やその他の多様な海中生物にとっては貴重な生息場となり得るものである。このように、藻場の存在は生態系及び地球環境にとって極めて重要なものであり、前述のような藻場増殖礁を適所に配置して藻場を増殖する活動が進められているところである。
【0004】
ところが、近年、浅海の岩礁・転石域において、藻場が季節的消長や多少の経年変化の範囲を越えて著しく衰退又は消失して貧植生状態となる現象であるいわゆる磯焼け現象が深刻な問題となっている。磯焼け現象の原因としては様々なものが挙げられているが、地球温暖化等の環境変化に起因して、藻類の生産量が減少する一方、藻類等の植物を主な餌とするウニやブダイ等の植食動物の摂食量が増加しているということが特に重大な原因と考えられており、植食動物による藻類の食害対策は喫緊の課題となっている。
【0005】
この植食動物による藻類の食害に対する具体的対策としては、網などにより海底に生育する藻類の全面である上面及び周囲(及び下面)を包囲して植食動物の侵入を防御するものや、藻類の全面である上面及び周囲(及び下面)を囲んだFRP製又は鋼製の籠などを用いて植食動物の侵入を防御するものなどが考えられている。
【特許文献1】特開2004−222530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の対策は、網や籠などを用いて藻類の全体を包囲するものであるため、植食魚類の接近を阻害することはできるものの、藻類の生育には必ずしも好適なものではない。すなわち、網や籠などには次第に様々な付着物が堆積するため、特に上面を包囲する箇所の付着物により藻類に必要な日光が遮られてしまい、光合成ができなくなって藻類の生育に支障を来たすという不具合が生じていた。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、植食動物の接近を阻害するとともに、藻類の成長に必要な日光を継続して十分に確保することができる藻場増殖礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の藻場増殖礁は、海底に配置して藻類を育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁であって、藻類を育成し活着させ得る育成部材と、この育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、海中構造物が上面を開放した状態で育成部材及びこれに活着した藻類を包囲するため、藻類に必要な日光が遮られることがなく、藻類の成長に支障を来たすことがないものとなる。
【0010】
ここで、「上面を開放した状態」とは、海中構造物の上面に、海中構造物の内部空間に日光を十分に取り込み得る開口部が形成されている状態である。この「開口部」とは、海中構造物の側面部に形成された孔や網目の広さよりも広いものであればよい。
【0011】
ところで、前記海中構造物は、育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲してなるものであるため、海中構造物に形成された開口部から植食魚類が侵入し、海中構造物の内部空間にある藻類を食べてしまうことが懸念されるが、植食魚類の習性上かかる可能性は極めて少ないものである。
【0012】
すなわち、植食魚類は藻類が自生している海域において、窪地に成育する藻類を食べ残していることが調査により判明しており、次のような理由が考えられている。
【0013】
まず、植食魚類のうち、藻場の藻類を食べ尽くす被害をもたらすものは一定の体長を備えた成魚(以下、「植食成魚」という)であるが、植食成魚は藻類を噛み切る力が一般的に弱いため、藻類を食べるためには藻類を銜えた状態で体を大きく前後左右に運動させ藻類を引き千切る必要がある。したがって、植食成魚が藻類を食べるには一定の運動領域を必要とし、植食成魚の運動領域が制限される場所では藻類を食べることができないと考えられる。
【0014】
次に、植食成魚は常時頭部を下方にした状態を維持して藻類を食することが困難であるため、仮に藻類の上端部を食されたとしてもその被害は極めて少ないものであると考えられる。
【0015】
したがって、海中構造物の開口部及び海中構造物の内部空間が、植食成魚の運動領域を制限し得る大きさであれば、海中構造物の上面を開放した状態であっても、藻類が植食成魚に食べられる可能性は極めて少ないものとなる。
【0016】
なお、ブダイ、アイゴ等に代表される植食成魚の体長が約40cm〜45cmであることを考慮すると、植食成魚の運動領域が制限される海中構造物の開口部の開口端の幅は、50cm以下であることが望ましい。
【0017】
また、海中構造物の内部空間の左右幅は、植食成魚の体長及び内部空間で常時揺れ動く藻類の存在を考慮すると、60cm以下であることが望ましい。
【0018】
ここで、前記海中構造物に配設され、前記海中構造物を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部を更に具備してなるものであると、海底面との接触箇所が脚部のみとなるため、海底面に生息する貝やウニ等の植食動物が、海中構造物に侵入するのを効果的に防ぐことができるとともに、海中構造物の底面に砂等が堆積して育成部材等に悪影響を与えることを防ぐことができる。また、藻場増殖礁を海底面に設置する際に海底面の起伏の影響を受けにくくなり、適所に柔軟に設置することができるものとなる。
【0019】
また、前記脚部は、脚本体と、この脚本体の下端に取り付けられた重し部材とを具備したものであれば、藻場増殖礁が潮流れ等の影響を受けて浮き上がったり、移動したりせず、藻場増殖礁を安定したものとすることができる。
【0020】
前記海中構造物は、前記育成部材への潮通りを許容しうるものであれば、育成部材に活着した藻類に新鮮な海水が供給されるため、藻類の生育に寄与するものとなる。
【0021】
なお、前記育成部材への潮通りを許容しうるものとしては、前記海中構造物の側面部を網目状に形成してなるものなどが挙げられる。その他にも、前記海中構造物の側面部に複数の貫通孔が設けられた板状の部材などが挙げられる。
【0022】
さらに、前記海中構造物は、前記育成部材を取り付け可能な育成部材取り付け部を具備してなるものであれば、海中構成物の内部に育成部材を安定配置することができるため、潮流れ等の影響を受けて海中構造物の内部で育成部材が移動したり転倒したりする恐れが無く、藻類の好適な生育環境を維持し得るものとなる。
【0023】
取り扱いが容易であり、且つ藻類が着床し易い育成部材としては、前記育成部材が、表面に藻類が活着し得る凹凸形状を形成した板状部材を具備してなるものが好ましい。また、前記育成部材に藻類をより確実に着床させ、藻場増殖を確実なものとするためには、予め生育させた藻類である中間育成藻を着床させた育成部材を用いることが望ましい。ここで、「中間育成藻」とは、種々の方法による中間育成によって、数cm〜30cm程度までに成長した藻類であり、育成部材の適所に確実に着床した状態のものである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、植食動物の接近を阻害するとともに藻類の成長に必要な日光を十分に確保することを可能にし、所期の目的を達成し得る藻場増殖礁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態である藻場増殖礁Aは、図1に示すように、藻類SWを育成し活着させ得る育成部材Pと、育成部材P及びこれに活着したアラメ、クロメ、カジメ等の藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害しうる海中構造物1と、海中構造物1に配設され、海中構造物1を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部2とを具備してなる。
【0027】
本発明に係る藻場増殖礁Aは、植食成魚の侵入を効果的に回避するべく、一の藻場増殖礁Aに対し、一の育成部材Pを具備してなるものであることを基本構成としている。
【0028】
育成部材Pは、表面に藻類SWが活着し得る凹凸形状を形成した板状部材P1を具備してなるものである。板状部材P1は、20cm×6cm程度の平面視略長方形をなす板状のコンクリート又は樹脂製のものである。そして、板状部材P1は、表面の所要箇所に上に凸形状をなすように部分的に盛り上げた隆起部P11を備えている。隆起部P11は、藻類SWが確実に着床し、活着し得るためのものであり、例えば人工的なブロック形状や円柱形状の他、自然石を模した形状のものやボルトの頭部や軸を模したものなど種々の形状を採用することできる。また、隆起部P11以外の部分には、砂利の形状を模した凹凸形状を形成させても好適である。一方、この育成部材Pの裏面は略平面状に形成され、後述する海中構造物1のベース部12の所定位置に容易に設置し得るものとなっている。
【0029】
なお、育成部材Pの重量は約1キログラム程度のものとしているため、育成部材Pに活着した藻類SWの重さを考慮しても、一人の人間によって運搬、設置、メンテナンス等を容易に行うことができる使い勝手の良好なものである。
【0030】
海中構造物1は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得るものである。より具体的に説明すると、海中構造物1は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWの側面周囲を包囲してなる側面部たる側面包囲部11と、側面包囲部11の下端に取着されたベース部12と、側面包囲部11の上端側に形成された開口部13とを具備してなる。
【0031】
海中構造物1の側面包囲部11は、例えば直径6mm〜9mm程度の丸鋼棒等を用いた金属製のフレーム部材を複数配し網目状(格子状)に形成したもので、全体形状は略円筒状のものである。側面包囲部11を網目状に形成したものであれば、海中構造物1の内部空間に配設された育成部材Pに潮通りを許容し得るため、育成部材Pに活着した藻類SWに新鮮な海水を供給することができる。また、金属性のフレーム部材を配して形成したものであると、軟質の網を用いたものと比較して海中での耐用期間が飛躍的に長くなり実用性に富んだものとなる。
【0032】
さらに詳述すると、側面包囲部11は、水平方向に配設され平面視環状に形成された複数の第一フレーム部材111と、高さ方向に配設され正面視直線状に形成された複数の第二フレーム部材112とを具備してなるものである。側面包囲部11に形成された正面視略矩形状をなす複数の網目の寸法は、植食成魚の通過できない程度の大きさに設定される。具体的には、並設される第一フレーム部材111同士の間隔(高さ方向の間隔)及び第二フレーム部材112同士の間隔(横方向の間隔)が5cm以下であるものが好適である。なお、本実施形態における網目の寸法は、5cm×5cm程度のものとしている。もちろん、網目の寸法は設置海域の植食成魚の大きさ等に対応して適宜調整してもよい。例えば、網目の寸法をベース部12に近づくにつれて小さくなるように形成すれば、ウニ、巻貝等の植食動物の侵入をも阻害し得るものとなる。また、側面包囲部11は、第一フレーム部材111及び第二フレーム部材112をそれぞれ3〜4本程度用いて円筒状の骨枠を形成し、その側面に網等を包囲してなるものでもよい。
【0033】
海中構造物1のベース部12は、側面包囲部11の下端側に位置してなるもので外部からの植食動物の侵入を防ぐとともに、育成部材Pの設置部としても機能し得るものである。
【0034】
図1に示すベース部12は、平面視略矩形状をなす植食成魚が通過できない網状の部材である。ベース部12は、ベース部12の外枠を形成するベース部外枠部121と、ベース部外枠部121の内側に縦横方向に複数配してなるベース部フレーム部材122とを具備してなる。
【0035】
また、ベース部12の所要箇所には、育成部材Pを取り付け可能な図示しない育成部材取り付け部を備えている。この図示しない育成部材取り付け部は、例えばベース部12の中央部近傍にボルト部材を立設してなるもので、これを育成部材Pに備えた図示しない貫通孔に挿通し、図示しないナット部材等により螺着できるようになっている。このようなものであれば、ベース部12に育成部材Pを安定配置させ、固定することができるため、潮流れ等の影響を受けて育成部材がベース部12の上で移動したり転倒したりする恐れが無くなり、藻類の好適な生育環境を維持し得るものとなる。
【0036】
海中構造物1の開口部13は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWを包囲する側面包囲部11の上端に形成されたものである。
【0037】
この開口部13の大きさは、植食成魚が侵入を嫌う所定の大きさに形成される。具体的には開口部13の開口端の幅が50cm以下であることが望ましい。これは、ブダイ、アイゴ等に代表される植食成魚の体長が40cm〜45cm程度であり、これらの植食成魚が藻類SWを食するために必要とする運動領域を考慮したものである。なお、開口部13の開口端の幅が35cm以上のものであると育成部材Pを両手で保持した状態で、海中構造物1の内部に育成部材Pを設置することができるため好適である。したがって、開口部13の開口端の幅は30〜40cmに形成してなるものがよく、より好ましくは35cm程度のものである。
【0038】
図1に示される第一実施形態では、海中構造物1の形状が略円筒状であるので、開口部13の開口端の幅と海中構造物1の内部空間の左右幅とは略同一である。
【0039】
また、海中構造物1の高さ方向の寸法は、50cm〜70cmのものが好適であり、より好ましくは60cm程度のものである。これは、育成部材Pを手に持って、開口部13から手を入れて設置する人間の作業の便宜を考慮したものである。
【0040】
ここで、「開口部」とは、海中構造物1の側面部に形成された網目や孔の広さよりも広いものであればよい。したがって、図2(a)に示すように開口部13の開口端を架設してなる架設部材131を適所に配したものでも良い。このようなものであれば、開口部を狭いものとすることができ、植食成魚の侵入をより効果的に回避し得るものとなる。なお、図2(b)(c)に示すものは、後述する藻場増殖礁A1のように、平面視略矩形状に形成された開口部13aに、架設部材131aを配したものである。架設部材131、131aは、開口部13、13aに予め取着してなるものでも着脱可能なものでもよいが、育成部材Pの設置作業に支障とならないように配設される。
【0041】
脚部2は、海中構造物1に配設され、海中構造物1を海底面よりも高い位置に嵩上げし得るものである。
【0042】
図1に示される4本の脚部2は、海中構造物1のベース部12から下方に延出する脚本体21と、脚本体21の下端に取り付けられた重し部材22とを具備してなる。
【0043】
脚本体21は、棒状をなす脚部材211と、脚部材211の下端に配してなるベースプレート212とを具備してなる。ベースプレート212は10cm×10cm程度の平面視矩形状をした板状のもので、上面が平面状をなす部材に設置し易いものとしている。また、ベースプレート212の適所には図示しない厚み方向に貫通した挿通孔が設けられ、ボルト部材213を下方に向けて挿通し、重し部材22と接続することができるようになっている。
【0044】
重し部材22は、藻場増殖礁Aが潮流れによって浮上したり転倒したりするのを回避し、藻場の安定に寄与するものである。なお、図1の実施形態では、重し部材22は、モルタル製の半球状のものとしている。
【0045】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を図3を参照して説明する。なお、図中において、第一実施形態のものと同様の部材については同一の符号を付して説明することとする。
【0046】
図3は、第一実施形態にて示した藻場増殖礁Aを、台座部3の上面に複数配置してなる複数配置型藻場増殖礁M1を示したものである。図中、海中構造物1の内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0047】
台座部3は、コンクリート等を用いた直方体のものであり、縦横をそれぞれ2m程度の長さに、高さを30cm程度の長さに形成してなるものである。
【0048】
複数配置型藻場増殖礁M1は、複数の藻場増殖礁Aの脚部2を台座部3の上面に固定させたものとしている。具体的には、脚本体21のベースプレート212の下面と台座部3の上面とを当接させており、ベースプレート212に設けられた図示しない挿通孔からボルト部材213を下方に向けて挿通し台座部3と螺着している。
【0049】
このようなものであれば、複数の藻場増殖礁Aをまとめて海底に設置することが可能であるため、単体の藻場増殖礁Aを個々に海底に配置する作業を大幅に軽減することができ、藻場の造成作業において便宜となる。
【0050】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態を図4を参照して説明する。
【0051】
図4は、第三実施形態である藻場増殖礁A1を示したものである。第一実施形態の藻場増殖礁Aと基本的な構成は変わらないが、海中構造物1aの側面包囲部11aの形状のみが異なるため、この異なる点についてのみを説明する。また、図中において、第一実施形態のものと同様の部材については同一の符号を付すこととする。
【0052】
第三実施形態である藻場増殖礁A1の海中構造物1aは、平面視略矩形状に形成した開口部13aを備え、全体形状をボックス形状に形成してなるものである。
【0053】
海中構造物1aの側面包囲部11aは、第一実施例と同様に、直径6〜9mm程度の丸鋼棒等を用いた金属性のフレーム部材を複数配し、網目状(格子状)に形成してなるものである。具体的に説明すると、側面包囲部11aは、水平方向に配設された複数の第一フレーム部材111aと、高さ方向に配設された複数の第二フレーム部材112aとを備えてなるもので、全体形状を略四角筒状に形成してなるものである。
【0054】
なお、側面包囲部11aは、第一フレーム部材111a及び第二フレーム部材112aを用いて四角筒状の骨枠を形成し、その側面に網等を包囲してなるものでもよい。
【0055】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第一実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0056】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態を図5を参照して説明する。
【0057】
図5は、第三実施形態にて示した藻場増殖礁A1を、台座部3の上面に複数配置してなる複数配置型藻場増殖礁M2を示したものである。図中、海中構造物1aの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0058】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第二実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0059】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態を図6を参照して説明する。
【0060】
図6は、第三実施形態で示した藻場増殖礁A1の海中構造物1aを複数連結し一体的にしたものの下面側の四隅に脚部2を取り付け、台座部3の上面に配置してなる複数連結型藻場増殖礁M3を示したものである。図中、海中構造物1aの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0061】
このようなものであれば、複数の海中構造物1aを連結し一体的にしたものに、脚部2を取り付けることができるので、脚部2の本数を少なくでき、貝やウニ等の植食動物の接近を効果的に防ぐことができる。なお、脚部2の本数や設置箇所は、図6に具体的に示されるものに限られず、海中構造物1aの連結数等に応じて適宜変更することができる。
【0062】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第四実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0063】
<第六実施形態>
次に、本発明の第六実施形態を図7を参照して説明する。
【0064】
図7は、第六実施形態の藻場増殖礁A2を示したものである。第三実施形態の藻場増殖礁A1と基本的な構成は同じであるが、海中構造物1bの側面包囲部11bの構成が若干異なるため、この異なる点についてのみ説明する。すなわち、側面包囲部11bの高さ方向に配される複数の第二フレーム部材112bが、四角筒状の側面包囲部11bを形成するのに必要な四隅を除いて配設されていないものとしている。なお、複数の第一フレーム部材111bは、第一フレーム部材11b同士の幅を5cm以内のものとしており、第三実施形態のものと同様である。このような構成を採用したものでも、植食成魚が海中構造物1bの内部に侵入することは困難であり、海中構造物1bの部品点数を削減することができるとともに藻場増殖礁A2の軽量化を図ることができる。
【0065】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第三実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0066】
<第七実施形態>
次に、本発明の第七実施形態を図8〜図9を参照して説明する。
【0067】
図8は、第六実施形態で示した藻場増殖礁A2の海中構造物1bを複数連結し一体的にしたものの下面側の四隅に脚部2を取り付け、台座部3の上面に配置してなる複数連結型藻場増殖礁M4を示している。図中、海中構造物1bの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0068】
本実施形態における効果等については、第五実施形態に示したものと同様であるため説明は省略する。なお、図9は、図8に示したものの正面図である。
【0069】
<第八実施形態>
次に、本発明の第八実施形態を図10を参照して説明する。
【0070】
図10は、第八実施形態である藻場増殖礁A3を示したものである。なお、第一実施形態である藻場増殖礁Aと基本的な構成は変わらないが、海中構造物1cの形状のみが異なるので、この異なる点についてのみを説明する。
【0071】
すなわち、海中構造物1cは、側面包囲部11cをフレーム部材をコイルスプリング形状に形成したものとしている。また、側面包囲部11cの上端部には開口部13cが形成され、下端部はベース部12と接続している。
【0072】
ここで、コイルスプリング形状をなす側面包囲部11cの側面に形成される上下方向の間隔xは5cm以下としている。このようなものであれば、植食成魚が海中構造物1cの内部に侵入することは困難なものとなる。しかも、海中構造物1cの部品点数の削減に寄与するものなる。
【0073】
また、側面包囲部11cの側面に形成される上下方向の間隔xを、ベース部12の方向に近づくにつれて狭くなるように形成すれば、ウニ等の植食動物の接近を効果的に阻止する機能をも備えたものとすることができる。
【0074】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第一実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0075】
<第九実施形態>
次に、本発明の第九実施形態を図11を参照して説明する。
【0076】
図11は、本発明の第九実施形態を示した藻場増殖礁A4の略式断面図である。
【0077】
藻場増殖礁A4は、海中構造物1dの側面包囲部11dの形状を藻類SWの葉状部SW1及び茎状部SW2の横幅を考慮して形成したものである。すなわち、海中構造物1dの側面包囲部11dは、上面に開口部13dを備え、藻類SWの葉状部SW1を中心に包囲し得る断面視上面を切り落とした釣鐘形状をなす葉状部包囲部e1と、葉状部包囲部e1の下方に連接し育成部材P及び藻類SWの茎状部SW2を中心に包囲し得る育成部材等包囲部e2とを備えたものである。なお、第一実施形態等と同様に、海中構造物1dの側面包囲部11dは、フレーム部材等を用いて網目状に形成される。
【0078】
海中構造物1dの開口部13eの幅は約35cmに形成される。また、側面包囲部11dの葉状部包囲部e1は、藻類SWの葉状部SW1を覆うように開口部13eから下方に向かって次第に内部幅を広げていき、最も広い内部幅w1の長さは約60cmに形成される。一方、側面包囲部11dの育成部材等包囲部e2により形成される内部幅w2の長さは、開口部13dと略同様の長さである約35cmに形成される。
【0079】
側面包囲部11dをこのようなものに形成する理由は次の通りである。
【0080】
すなわち、藻類SWは、潮流れの影響で常に海中を前後左右に揺れ動いているものであるが、本実施形態に係るものであれば、海中構造物1dの葉状部包囲部e1が、藻類SWの葉状部SW1の揺れ動く内部空間を広く形成しているため、藻類SWの葉状部SW1が海中構造物1dの内側と接触して損傷することを回避することができる。しかも、海中構造物1dの内部空間は植食成魚Fの運動領域を制限し得る大きさを維持しているため、植食成魚Fの海中構造物1dへの侵入を防ぐことが可能となる。
【0081】
また、海中構造物1dの育成部材等包囲部e2により形成される内部空間は、葉状部包囲部e1により形成される内部空間よりも狭いものに形成している。このため、一定の大きさに生育した藻類SWの茎状部SW2を適切な内部空間を形成して包囲することができ、しかも、藻類SWの生育が比較的初期の段階である幼体についても適切な内部空間を形成して包囲することができる。すなわち、藻類SWが幼体の段階において仮に植食成魚が海中構造物1dの葉状部包囲部e1により形成された内部空間にまで侵入した場合でも、幼体の側面
は育成部材等包囲部e2により包囲されているので植食成魚の運動領域は確実に制限され、幼体が食べられることを回避することができる。
【0082】
なお、本実施形態では、海中構造物1dのベース部12dが海底Bに直接設置されている態様を示しているが、もちろん、海中構造物1dの所定箇所に貝やウニ等の植食動物の侵入を効果的に回避しうる脚部2を設けても良い。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る藻場増殖礁は、植食動物の接近を阻害するとともに、藻類の成長に必要な日光を継続して十分に確保することができ、所期の目的を達成することができる。
【0084】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0085】
例えば、育成部材は、藻類を育成し、活着させ得るものであればよく本実施形態に示される具体的形状等に限定されるものではない。例えば円盤状のものや、立体的な形状をなすものなど、様々なものが考えられる。
【0086】
海中構造物は、育成部材及び育成部材に活着した藻類を上面を開放した状態で包囲してなるものであればよく、本実施形態に示された形状のものに限定されるものではない。例えば、全体形状が上面を開放してなる球体状のものや、多角筒状のものなど、種々の形状のものが考えられる。
【0087】
また、海中構造物の育成部材取り付け部は、本実施形態にて説明したものに限定されるものではなく、育成部材を海中構造物に固定し得る部材であればどのようなものでもよい。
【0088】
更に、海中構造物の所要箇所に人間が持ち運びをするのに便宜となる吊手部材等を取り付けておけば好適である。
【0089】
脚部は、海中構造物を海底面より高い位置に嵩上げし得るものであればよく、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。重し部材も本実施形態に示したものに限定されるものではなく、金属を用いたものなどや自然石を用いたものでも良い。
【0090】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第一実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図2】本発明の海中構造物の開口部を示す概略図。
【図3】本発明の第二実施形態である複数配置型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図4】本発明の第三実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図5】本発明の第四実施形態である複数配置型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図6】本発明の第五実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図7】本発明の第六実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図8】本発明の第七実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図9】本発明の第七実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す正面図。
【図10】本発明の第八実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図11】本発明の第九実施形態である藻場増殖礁を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0092】
1…海中構造物
A…藻場増殖礁
P…育成部材
SW…藻類
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底に配置して藻類を育成し、藻場を造成するための藻場増殖礁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、藻場の増殖を目的として、藻類の新たな着床基質を供給する藻場増殖礁としては、天然の岩場、テトラポット、コンクリートブロックなどを用いたものや、コンクリート製品を重積してその間に自然石や貝殻等を配したものなどが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
藻場は、沿岸における一次生産の場であるとともに、環境保全の場として生態学的に重要な機能を営むものである。また、水産上有用な魚介類やその他の多様な海中生物にとっては貴重な生息場となり得るものである。このように、藻場の存在は生態系及び地球環境にとって極めて重要なものであり、前述のような藻場増殖礁を適所に配置して藻場を増殖する活動が進められているところである。
【0004】
ところが、近年、浅海の岩礁・転石域において、藻場が季節的消長や多少の経年変化の範囲を越えて著しく衰退又は消失して貧植生状態となる現象であるいわゆる磯焼け現象が深刻な問題となっている。磯焼け現象の原因としては様々なものが挙げられているが、地球温暖化等の環境変化に起因して、藻類の生産量が減少する一方、藻類等の植物を主な餌とするウニやブダイ等の植食動物の摂食量が増加しているということが特に重大な原因と考えられており、植食動物による藻類の食害対策は喫緊の課題となっている。
【0005】
この植食動物による藻類の食害に対する具体的対策としては、網などにより海底に生育する藻類の全面である上面及び周囲(及び下面)を包囲して植食動物の侵入を防御するものや、藻類の全面である上面及び周囲(及び下面)を囲んだFRP製又は鋼製の籠などを用いて植食動物の侵入を防御するものなどが考えられている。
【特許文献1】特開2004−222530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の対策は、網や籠などを用いて藻類の全体を包囲するものであるため、植食魚類の接近を阻害することはできるものの、藻類の生育には必ずしも好適なものではない。すなわち、網や籠などには次第に様々な付着物が堆積するため、特に上面を包囲する箇所の付着物により藻類に必要な日光が遮られてしまい、光合成ができなくなって藻類の生育に支障を来たすという不具合が生じていた。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、植食動物の接近を阻害するとともに、藻類の成長に必要な日光を継続して十分に確保することができる藻場増殖礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の藻場増殖礁は、海底に配置して藻類を育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁であって、藻類を育成し活着させ得る育成部材と、この育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、海中構造物が上面を開放した状態で育成部材及びこれに活着した藻類を包囲するため、藻類に必要な日光が遮られることがなく、藻類の成長に支障を来たすことがないものとなる。
【0010】
ここで、「上面を開放した状態」とは、海中構造物の上面に、海中構造物の内部空間に日光を十分に取り込み得る開口部が形成されている状態である。この「開口部」とは、海中構造物の側面部に形成された孔や網目の広さよりも広いものであればよい。
【0011】
ところで、前記海中構造物は、育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲してなるものであるため、海中構造物に形成された開口部から植食魚類が侵入し、海中構造物の内部空間にある藻類を食べてしまうことが懸念されるが、植食魚類の習性上かかる可能性は極めて少ないものである。
【0012】
すなわち、植食魚類は藻類が自生している海域において、窪地に成育する藻類を食べ残していることが調査により判明しており、次のような理由が考えられている。
【0013】
まず、植食魚類のうち、藻場の藻類を食べ尽くす被害をもたらすものは一定の体長を備えた成魚(以下、「植食成魚」という)であるが、植食成魚は藻類を噛み切る力が一般的に弱いため、藻類を食べるためには藻類を銜えた状態で体を大きく前後左右に運動させ藻類を引き千切る必要がある。したがって、植食成魚が藻類を食べるには一定の運動領域を必要とし、植食成魚の運動領域が制限される場所では藻類を食べることができないと考えられる。
【0014】
次に、植食成魚は常時頭部を下方にした状態を維持して藻類を食することが困難であるため、仮に藻類の上端部を食されたとしてもその被害は極めて少ないものであると考えられる。
【0015】
したがって、海中構造物の開口部及び海中構造物の内部空間が、植食成魚の運動領域を制限し得る大きさであれば、海中構造物の上面を開放した状態であっても、藻類が植食成魚に食べられる可能性は極めて少ないものとなる。
【0016】
なお、ブダイ、アイゴ等に代表される植食成魚の体長が約40cm〜45cmであることを考慮すると、植食成魚の運動領域が制限される海中構造物の開口部の開口端の幅は、50cm以下であることが望ましい。
【0017】
また、海中構造物の内部空間の左右幅は、植食成魚の体長及び内部空間で常時揺れ動く藻類の存在を考慮すると、60cm以下であることが望ましい。
【0018】
ここで、前記海中構造物に配設され、前記海中構造物を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部を更に具備してなるものであると、海底面との接触箇所が脚部のみとなるため、海底面に生息する貝やウニ等の植食動物が、海中構造物に侵入するのを効果的に防ぐことができるとともに、海中構造物の底面に砂等が堆積して育成部材等に悪影響を与えることを防ぐことができる。また、藻場増殖礁を海底面に設置する際に海底面の起伏の影響を受けにくくなり、適所に柔軟に設置することができるものとなる。
【0019】
また、前記脚部は、脚本体と、この脚本体の下端に取り付けられた重し部材とを具備したものであれば、藻場増殖礁が潮流れ等の影響を受けて浮き上がったり、移動したりせず、藻場増殖礁を安定したものとすることができる。
【0020】
前記海中構造物は、前記育成部材への潮通りを許容しうるものであれば、育成部材に活着した藻類に新鮮な海水が供給されるため、藻類の生育に寄与するものとなる。
【0021】
なお、前記育成部材への潮通りを許容しうるものとしては、前記海中構造物の側面部を網目状に形成してなるものなどが挙げられる。その他にも、前記海中構造物の側面部に複数の貫通孔が設けられた板状の部材などが挙げられる。
【0022】
さらに、前記海中構造物は、前記育成部材を取り付け可能な育成部材取り付け部を具備してなるものであれば、海中構成物の内部に育成部材を安定配置することができるため、潮流れ等の影響を受けて海中構造物の内部で育成部材が移動したり転倒したりする恐れが無く、藻類の好適な生育環境を維持し得るものとなる。
【0023】
取り扱いが容易であり、且つ藻類が着床し易い育成部材としては、前記育成部材が、表面に藻類が活着し得る凹凸形状を形成した板状部材を具備してなるものが好ましい。また、前記育成部材に藻類をより確実に着床させ、藻場増殖を確実なものとするためには、予め生育させた藻類である中間育成藻を着床させた育成部材を用いることが望ましい。ここで、「中間育成藻」とは、種々の方法による中間育成によって、数cm〜30cm程度までに成長した藻類であり、育成部材の適所に確実に着床した状態のものである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、植食動物の接近を阻害するとともに藻類の成長に必要な日光を十分に確保することを可能にし、所期の目的を達成し得る藻場増殖礁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態である藻場増殖礁Aは、図1に示すように、藻類SWを育成し活着させ得る育成部材Pと、育成部材P及びこれに活着したアラメ、クロメ、カジメ等の藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害しうる海中構造物1と、海中構造物1に配設され、海中構造物1を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部2とを具備してなる。
【0027】
本発明に係る藻場増殖礁Aは、植食成魚の侵入を効果的に回避するべく、一の藻場増殖礁Aに対し、一の育成部材Pを具備してなるものであることを基本構成としている。
【0028】
育成部材Pは、表面に藻類SWが活着し得る凹凸形状を形成した板状部材P1を具備してなるものである。板状部材P1は、20cm×6cm程度の平面視略長方形をなす板状のコンクリート又は樹脂製のものである。そして、板状部材P1は、表面の所要箇所に上に凸形状をなすように部分的に盛り上げた隆起部P11を備えている。隆起部P11は、藻類SWが確実に着床し、活着し得るためのものであり、例えば人工的なブロック形状や円柱形状の他、自然石を模した形状のものやボルトの頭部や軸を模したものなど種々の形状を採用することできる。また、隆起部P11以外の部分には、砂利の形状を模した凹凸形状を形成させても好適である。一方、この育成部材Pの裏面は略平面状に形成され、後述する海中構造物1のベース部12の所定位置に容易に設置し得るものとなっている。
【0029】
なお、育成部材Pの重量は約1キログラム程度のものとしているため、育成部材Pに活着した藻類SWの重さを考慮しても、一人の人間によって運搬、設置、メンテナンス等を容易に行うことができる使い勝手の良好なものである。
【0030】
海中構造物1は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWを上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得るものである。より具体的に説明すると、海中構造物1は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWの側面周囲を包囲してなる側面部たる側面包囲部11と、側面包囲部11の下端に取着されたベース部12と、側面包囲部11の上端側に形成された開口部13とを具備してなる。
【0031】
海中構造物1の側面包囲部11は、例えば直径6mm〜9mm程度の丸鋼棒等を用いた金属製のフレーム部材を複数配し網目状(格子状)に形成したもので、全体形状は略円筒状のものである。側面包囲部11を網目状に形成したものであれば、海中構造物1の内部空間に配設された育成部材Pに潮通りを許容し得るため、育成部材Pに活着した藻類SWに新鮮な海水を供給することができる。また、金属性のフレーム部材を配して形成したものであると、軟質の網を用いたものと比較して海中での耐用期間が飛躍的に長くなり実用性に富んだものとなる。
【0032】
さらに詳述すると、側面包囲部11は、水平方向に配設され平面視環状に形成された複数の第一フレーム部材111と、高さ方向に配設され正面視直線状に形成された複数の第二フレーム部材112とを具備してなるものである。側面包囲部11に形成された正面視略矩形状をなす複数の網目の寸法は、植食成魚の通過できない程度の大きさに設定される。具体的には、並設される第一フレーム部材111同士の間隔(高さ方向の間隔)及び第二フレーム部材112同士の間隔(横方向の間隔)が5cm以下であるものが好適である。なお、本実施形態における網目の寸法は、5cm×5cm程度のものとしている。もちろん、網目の寸法は設置海域の植食成魚の大きさ等に対応して適宜調整してもよい。例えば、網目の寸法をベース部12に近づくにつれて小さくなるように形成すれば、ウニ、巻貝等の植食動物の侵入をも阻害し得るものとなる。また、側面包囲部11は、第一フレーム部材111及び第二フレーム部材112をそれぞれ3〜4本程度用いて円筒状の骨枠を形成し、その側面に網等を包囲してなるものでもよい。
【0033】
海中構造物1のベース部12は、側面包囲部11の下端側に位置してなるもので外部からの植食動物の侵入を防ぐとともに、育成部材Pの設置部としても機能し得るものである。
【0034】
図1に示すベース部12は、平面視略矩形状をなす植食成魚が通過できない網状の部材である。ベース部12は、ベース部12の外枠を形成するベース部外枠部121と、ベース部外枠部121の内側に縦横方向に複数配してなるベース部フレーム部材122とを具備してなる。
【0035】
また、ベース部12の所要箇所には、育成部材Pを取り付け可能な図示しない育成部材取り付け部を備えている。この図示しない育成部材取り付け部は、例えばベース部12の中央部近傍にボルト部材を立設してなるもので、これを育成部材Pに備えた図示しない貫通孔に挿通し、図示しないナット部材等により螺着できるようになっている。このようなものであれば、ベース部12に育成部材Pを安定配置させ、固定することができるため、潮流れ等の影響を受けて育成部材がベース部12の上で移動したり転倒したりする恐れが無くなり、藻類の好適な生育環境を維持し得るものとなる。
【0036】
海中構造物1の開口部13は、育成部材P及び育成部材Pに活着した藻類SWを包囲する側面包囲部11の上端に形成されたものである。
【0037】
この開口部13の大きさは、植食成魚が侵入を嫌う所定の大きさに形成される。具体的には開口部13の開口端の幅が50cm以下であることが望ましい。これは、ブダイ、アイゴ等に代表される植食成魚の体長が40cm〜45cm程度であり、これらの植食成魚が藻類SWを食するために必要とする運動領域を考慮したものである。なお、開口部13の開口端の幅が35cm以上のものであると育成部材Pを両手で保持した状態で、海中構造物1の内部に育成部材Pを設置することができるため好適である。したがって、開口部13の開口端の幅は30〜40cmに形成してなるものがよく、より好ましくは35cm程度のものである。
【0038】
図1に示される第一実施形態では、海中構造物1の形状が略円筒状であるので、開口部13の開口端の幅と海中構造物1の内部空間の左右幅とは略同一である。
【0039】
また、海中構造物1の高さ方向の寸法は、50cm〜70cmのものが好適であり、より好ましくは60cm程度のものである。これは、育成部材Pを手に持って、開口部13から手を入れて設置する人間の作業の便宜を考慮したものである。
【0040】
ここで、「開口部」とは、海中構造物1の側面部に形成された網目や孔の広さよりも広いものであればよい。したがって、図2(a)に示すように開口部13の開口端を架設してなる架設部材131を適所に配したものでも良い。このようなものであれば、開口部を狭いものとすることができ、植食成魚の侵入をより効果的に回避し得るものとなる。なお、図2(b)(c)に示すものは、後述する藻場増殖礁A1のように、平面視略矩形状に形成された開口部13aに、架設部材131aを配したものである。架設部材131、131aは、開口部13、13aに予め取着してなるものでも着脱可能なものでもよいが、育成部材Pの設置作業に支障とならないように配設される。
【0041】
脚部2は、海中構造物1に配設され、海中構造物1を海底面よりも高い位置に嵩上げし得るものである。
【0042】
図1に示される4本の脚部2は、海中構造物1のベース部12から下方に延出する脚本体21と、脚本体21の下端に取り付けられた重し部材22とを具備してなる。
【0043】
脚本体21は、棒状をなす脚部材211と、脚部材211の下端に配してなるベースプレート212とを具備してなる。ベースプレート212は10cm×10cm程度の平面視矩形状をした板状のもので、上面が平面状をなす部材に設置し易いものとしている。また、ベースプレート212の適所には図示しない厚み方向に貫通した挿通孔が設けられ、ボルト部材213を下方に向けて挿通し、重し部材22と接続することができるようになっている。
【0044】
重し部材22は、藻場増殖礁Aが潮流れによって浮上したり転倒したりするのを回避し、藻場の安定に寄与するものである。なお、図1の実施形態では、重し部材22は、モルタル製の半球状のものとしている。
【0045】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を図3を参照して説明する。なお、図中において、第一実施形態のものと同様の部材については同一の符号を付して説明することとする。
【0046】
図3は、第一実施形態にて示した藻場増殖礁Aを、台座部3の上面に複数配置してなる複数配置型藻場増殖礁M1を示したものである。図中、海中構造物1の内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0047】
台座部3は、コンクリート等を用いた直方体のものであり、縦横をそれぞれ2m程度の長さに、高さを30cm程度の長さに形成してなるものである。
【0048】
複数配置型藻場増殖礁M1は、複数の藻場増殖礁Aの脚部2を台座部3の上面に固定させたものとしている。具体的には、脚本体21のベースプレート212の下面と台座部3の上面とを当接させており、ベースプレート212に設けられた図示しない挿通孔からボルト部材213を下方に向けて挿通し台座部3と螺着している。
【0049】
このようなものであれば、複数の藻場増殖礁Aをまとめて海底に設置することが可能であるため、単体の藻場増殖礁Aを個々に海底に配置する作業を大幅に軽減することができ、藻場の造成作業において便宜となる。
【0050】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態を図4を参照して説明する。
【0051】
図4は、第三実施形態である藻場増殖礁A1を示したものである。第一実施形態の藻場増殖礁Aと基本的な構成は変わらないが、海中構造物1aの側面包囲部11aの形状のみが異なるため、この異なる点についてのみを説明する。また、図中において、第一実施形態のものと同様の部材については同一の符号を付すこととする。
【0052】
第三実施形態である藻場増殖礁A1の海中構造物1aは、平面視略矩形状に形成した開口部13aを備え、全体形状をボックス形状に形成してなるものである。
【0053】
海中構造物1aの側面包囲部11aは、第一実施例と同様に、直径6〜9mm程度の丸鋼棒等を用いた金属性のフレーム部材を複数配し、網目状(格子状)に形成してなるものである。具体的に説明すると、側面包囲部11aは、水平方向に配設された複数の第一フレーム部材111aと、高さ方向に配設された複数の第二フレーム部材112aとを備えてなるもので、全体形状を略四角筒状に形成してなるものである。
【0054】
なお、側面包囲部11aは、第一フレーム部材111a及び第二フレーム部材112aを用いて四角筒状の骨枠を形成し、その側面に網等を包囲してなるものでもよい。
【0055】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第一実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0056】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態を図5を参照して説明する。
【0057】
図5は、第三実施形態にて示した藻場増殖礁A1を、台座部3の上面に複数配置してなる複数配置型藻場増殖礁M2を示したものである。図中、海中構造物1aの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0058】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第二実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0059】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態を図6を参照して説明する。
【0060】
図6は、第三実施形態で示した藻場増殖礁A1の海中構造物1aを複数連結し一体的にしたものの下面側の四隅に脚部2を取り付け、台座部3の上面に配置してなる複数連結型藻場増殖礁M3を示したものである。図中、海中構造物1aの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0061】
このようなものであれば、複数の海中構造物1aを連結し一体的にしたものに、脚部2を取り付けることができるので、脚部2の本数を少なくでき、貝やウニ等の植食動物の接近を効果的に防ぐことができる。なお、脚部2の本数や設置箇所は、図6に具体的に示されるものに限られず、海中構造物1aの連結数等に応じて適宜変更することができる。
【0062】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第四実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0063】
<第六実施形態>
次に、本発明の第六実施形態を図7を参照して説明する。
【0064】
図7は、第六実施形態の藻場増殖礁A2を示したものである。第三実施形態の藻場増殖礁A1と基本的な構成は同じであるが、海中構造物1bの側面包囲部11bの構成が若干異なるため、この異なる点についてのみ説明する。すなわち、側面包囲部11bの高さ方向に配される複数の第二フレーム部材112bが、四角筒状の側面包囲部11bを形成するのに必要な四隅を除いて配設されていないものとしている。なお、複数の第一フレーム部材111bは、第一フレーム部材11b同士の幅を5cm以内のものとしており、第三実施形態のものと同様である。このような構成を採用したものでも、植食成魚が海中構造物1bの内部に侵入することは困難であり、海中構造物1bの部品点数を削減することができるとともに藻場増殖礁A2の軽量化を図ることができる。
【0065】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第三実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0066】
<第七実施形態>
次に、本発明の第七実施形態を図8〜図9を参照して説明する。
【0067】
図8は、第六実施形態で示した藻場増殖礁A2の海中構造物1bを複数連結し一体的にしたものの下面側の四隅に脚部2を取り付け、台座部3の上面に配置してなる複数連結型藻場増殖礁M4を示している。図中、海中構造物1bの内部に配設されている育成部材Pなどは省略している。
【0068】
本実施形態における効果等については、第五実施形態に示したものと同様であるため説明は省略する。なお、図9は、図8に示したものの正面図である。
【0069】
<第八実施形態>
次に、本発明の第八実施形態を図10を参照して説明する。
【0070】
図10は、第八実施形態である藻場増殖礁A3を示したものである。なお、第一実施形態である藻場増殖礁Aと基本的な構成は変わらないが、海中構造物1cの形状のみが異なるので、この異なる点についてのみを説明する。
【0071】
すなわち、海中構造物1cは、側面包囲部11cをフレーム部材をコイルスプリング形状に形成したものとしている。また、側面包囲部11cの上端部には開口部13cが形成され、下端部はベース部12と接続している。
【0072】
ここで、コイルスプリング形状をなす側面包囲部11cの側面に形成される上下方向の間隔xは5cm以下としている。このようなものであれば、植食成魚が海中構造物1cの内部に侵入することは困難なものとなる。しかも、海中構造物1cの部品点数の削減に寄与するものなる。
【0073】
また、側面包囲部11cの側面に形成される上下方向の間隔xを、ベース部12の方向に近づくにつれて狭くなるように形成すれば、ウニ等の植食動物の接近を効果的に阻止する機能をも備えたものとすることができる。
【0074】
その他、本実施形態の構成及び作用効果等は第一実施形態のものと同様であるため説明を省略する。
【0075】
<第九実施形態>
次に、本発明の第九実施形態を図11を参照して説明する。
【0076】
図11は、本発明の第九実施形態を示した藻場増殖礁A4の略式断面図である。
【0077】
藻場増殖礁A4は、海中構造物1dの側面包囲部11dの形状を藻類SWの葉状部SW1及び茎状部SW2の横幅を考慮して形成したものである。すなわち、海中構造物1dの側面包囲部11dは、上面に開口部13dを備え、藻類SWの葉状部SW1を中心に包囲し得る断面視上面を切り落とした釣鐘形状をなす葉状部包囲部e1と、葉状部包囲部e1の下方に連接し育成部材P及び藻類SWの茎状部SW2を中心に包囲し得る育成部材等包囲部e2とを備えたものである。なお、第一実施形態等と同様に、海中構造物1dの側面包囲部11dは、フレーム部材等を用いて網目状に形成される。
【0078】
海中構造物1dの開口部13eの幅は約35cmに形成される。また、側面包囲部11dの葉状部包囲部e1は、藻類SWの葉状部SW1を覆うように開口部13eから下方に向かって次第に内部幅を広げていき、最も広い内部幅w1の長さは約60cmに形成される。一方、側面包囲部11dの育成部材等包囲部e2により形成される内部幅w2の長さは、開口部13dと略同様の長さである約35cmに形成される。
【0079】
側面包囲部11dをこのようなものに形成する理由は次の通りである。
【0080】
すなわち、藻類SWは、潮流れの影響で常に海中を前後左右に揺れ動いているものであるが、本実施形態に係るものであれば、海中構造物1dの葉状部包囲部e1が、藻類SWの葉状部SW1の揺れ動く内部空間を広く形成しているため、藻類SWの葉状部SW1が海中構造物1dの内側と接触して損傷することを回避することができる。しかも、海中構造物1dの内部空間は植食成魚Fの運動領域を制限し得る大きさを維持しているため、植食成魚Fの海中構造物1dへの侵入を防ぐことが可能となる。
【0081】
また、海中構造物1dの育成部材等包囲部e2により形成される内部空間は、葉状部包囲部e1により形成される内部空間よりも狭いものに形成している。このため、一定の大きさに生育した藻類SWの茎状部SW2を適切な内部空間を形成して包囲することができ、しかも、藻類SWの生育が比較的初期の段階である幼体についても適切な内部空間を形成して包囲することができる。すなわち、藻類SWが幼体の段階において仮に植食成魚が海中構造物1dの葉状部包囲部e1により形成された内部空間にまで侵入した場合でも、幼体の側面
は育成部材等包囲部e2により包囲されているので植食成魚の運動領域は確実に制限され、幼体が食べられることを回避することができる。
【0082】
なお、本実施形態では、海中構造物1dのベース部12dが海底Bに直接設置されている態様を示しているが、もちろん、海中構造物1dの所定箇所に貝やウニ等の植食動物の侵入を効果的に回避しうる脚部2を設けても良い。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る藻場増殖礁は、植食動物の接近を阻害するとともに、藻類の成長に必要な日光を継続して十分に確保することができ、所期の目的を達成することができる。
【0084】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0085】
例えば、育成部材は、藻類を育成し、活着させ得るものであればよく本実施形態に示される具体的形状等に限定されるものではない。例えば円盤状のものや、立体的な形状をなすものなど、様々なものが考えられる。
【0086】
海中構造物は、育成部材及び育成部材に活着した藻類を上面を開放した状態で包囲してなるものであればよく、本実施形態に示された形状のものに限定されるものではない。例えば、全体形状が上面を開放してなる球体状のものや、多角筒状のものなど、種々の形状のものが考えられる。
【0087】
また、海中構造物の育成部材取り付け部は、本実施形態にて説明したものに限定されるものではなく、育成部材を海中構造物に固定し得る部材であればどのようなものでもよい。
【0088】
更に、海中構造物の所要箇所に人間が持ち運びをするのに便宜となる吊手部材等を取り付けておけば好適である。
【0089】
脚部は、海中構造物を海底面より高い位置に嵩上げし得るものであればよく、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。重し部材も本実施形態に示したものに限定されるものではなく、金属を用いたものなどや自然石を用いたものでも良い。
【0090】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第一実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図2】本発明の海中構造物の開口部を示す概略図。
【図3】本発明の第二実施形態である複数配置型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図4】本発明の第三実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図5】本発明の第四実施形態である複数配置型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図6】本発明の第五実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図7】本発明の第六実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図8】本発明の第七実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す斜視図。
【図9】本発明の第七実施形態である複数連結型藻場増殖礁を示す正面図。
【図10】本発明の第八実施形態である藻場増殖礁を示す斜視図。
【図11】本発明の第九実施形態である藻場増殖礁を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0092】
1…海中構造物
A…藻場増殖礁
P…育成部材
SW…藻類
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に配置して藻類を育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁であって、
藻類を育成し活着させ得る育成部材と、この育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物とを具備してなることを特徴とする藻場増殖礁。
【請求項2】
前記海中構造物の開口部及び内部空間が、植食成魚の運動領域を制限し得る大きさであることを特徴とする請求項1記載の藻場増殖礁。
【請求項3】
前記海中構造物に配設され、前記海中構造物を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部を更に具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の藻場増殖礁。
【請求項4】
前記脚部は、脚本体と、この脚本体の下端に取り付けられた重し部材とを具備してなるものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の藻場増殖礁。
【請求項5】
前記海中構造物は、前記育成部材への潮通りを許容し得るものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の藻場増殖礁。
【請求項6】
前記海中構造物は、側面部を網目状に形成してなるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の藻場増殖礁。
【請求項7】
前記海中構造物は、前記育成部材を取り付け可能な育成部材取り付け部を具備してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6記載の藻場増殖礁。
【請求項8】
前記育成部材が、表面に藻類が活着し得る凹凸形状を形成した板状部材を具備してなるものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の藻場増殖礁。
【請求項1】
海底に配置して藻類を育成し、藻場を形成するための藻場増殖礁であって、
藻類を育成し活着させ得る育成部材と、この育成部材及びこれに活着した藻類を上面を開放した状態で包囲して植食動物の接近を阻害し得る海中構造物とを具備してなることを特徴とする藻場増殖礁。
【請求項2】
前記海中構造物の開口部及び内部空間が、植食成魚の運動領域を制限し得る大きさであることを特徴とする請求項1記載の藻場増殖礁。
【請求項3】
前記海中構造物に配設され、前記海中構造物を海底面よりも高い位置に嵩上げし得る脚部を更に具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の藻場増殖礁。
【請求項4】
前記脚部は、脚本体と、この脚本体の下端に取り付けられた重し部材とを具備してなるものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の藻場増殖礁。
【請求項5】
前記海中構造物は、前記育成部材への潮通りを許容し得るものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の藻場増殖礁。
【請求項6】
前記海中構造物は、側面部を網目状に形成してなるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の藻場増殖礁。
【請求項7】
前記海中構造物は、前記育成部材を取り付け可能な育成部材取り付け部を具備してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は6記載の藻場増殖礁。
【請求項8】
前記育成部材が、表面に藻類が活着し得る凹凸形状を形成した板状部材を具備してなるものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の藻場増殖礁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−95238(P2009−95238A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266507(P2007−266507)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】
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