説明

藻類の培養システム

【課題】藻類の培養システムを提供する。
【解決手段】本発明の藻類の培養システムは、培養藻類液121を循環して流すために用いられ、底部受液培養槽110と、培養装置120と、流体循環装置130と、を備える。底部受液培養槽110には培養藻類液121が収容され、培養装置120が底部受液培養槽110の上方に配置され、流体循環装置130が底部受液培養槽110の培養藻類液121を抽出し、同循環装置130により持続的に培養藻類液121が培養装置120に導入されることにより、培養装置120内の培養藻類液121が底部受液培養槽110まで溢流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は培養システムに関し、特に藻類の培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇は、その危機に直面しているため、如何にバイオテクノロジーを利用して新しい代用エネルギーを生成するかということが極めて重要な課題となりつつある。バイオテクノロジーにより生成される生物燃料の種類としては、例えば嫌気性発酵過程を介してメタンガスまたは水素ガスを生成し、マイクロ藻類により水素ガス(青−緑藻類)またはバイオディーゼル(ケイ藻、緑藻類)などを生成することがある。1980年以来、バイオディーゼル燃料でディーゼル燃料を代用する研究が始まっている。1930年から1940年までの間、野菜油がディーゼル燃料として利用されてきたが、バイオディーゼル燃料は、ディーゼル燃料に比較して主に低濃度にて温室効果を発生する気体(特に、二酸化炭素)及び汚染物が得られるという利点がある。
【0003】
アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)及び太陽エネルギー研究会は、1979年から同じく藻類を利用した液体燃料の生産の研究を着手し始めている。他の植物と比較して、藻類には油脂が多く含まれているため、潜在能力のある生物原料、例えばガソリンまたはディーゼル燃料のような燃料として転換することができる。マイクロ藻類が含む脂肪または油の含有量の組成は野菜油とほぼ同じであるが、藻類の何れからも平均して20〜40wt%の油脂が得られ、ある藻類では80wt%の油脂量が得られる。そして、藻類の発酵によるメタンガスまたはエタノールの発生に比較して、藻類中の油脂を直接に抽出または精製することは燃料を得るには最も効果的な方法である。従って、その場で成長する相応しい高含有量にて油脂含む藻類を選択できれば、藻類中の油脂をバイオディーゼル燃料に転換することにて代用エネルギーとすることができるのみならず、経済的付加価値の増加も実現することができる。藻類油脂の生産量を増加させるために、バイオディーゼル燃料の燃料源として戸外にて藻類を大量に培養する大型の養殖システムが必要となる。そのため、新規かつ高能率の藻類培養光合成反応システムを開発し、従来の藻類の培養システムを改善することは、代用性エネルギーの発展における重要な課題となりつつである。
【0004】
藻類は自生生物であり、二酸化炭素をその成長を助けるための炭素源としているので、最も効果的な培養システムであり、また、その藻類が二酸化炭素を利用する効率も高い。藻類の培養システムは、略開放式システム及び密閉式システムの二種類に分けられ、従来の開放式培養システムには主に円形状培養池(Circular pond)及びレースウェイ型ポンド(Race−way pond)の二種類がある。円形状培養池は、早い時期から日本及び台湾にて盛んに使用されていた。しかしながら、撹拌が不均一であり、撹拌に要するエネルギーの消費が高く、気体が混合しにくく、また土地の利用が十分ではないなどの欠点があったため、現在では限られた場所にて使用されているのみであり、その殆どが既にレースウェイポンドに取って代わられている。そして、レースウェイポンドでは、撹拌の不均一性またはエネルギー消耗が高いこと等の問題は既に改善されているが、気体の混合が不均一であること、及び光の利用能率の低いことから広い培養地が必要であること、等の問題が依然存在している。そのため、光の利用能率が高く、温度及び濃度が制御しやすく、かつ藻類に作用する剪断応力の低減または規模が拡大しやすい培養システムの開発が急がれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、主に藻類の培養システムを提供することを目的とする。同システムの設計により藻類の養殖の問題を解決して藻類の培養面積を増加させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う藻類の培養システムは培養する藻類液の循環的流動に用いられ、底部受液培養槽と、培養装置と、流体循環装置と、が含まれる。底部受液培養槽には培養藻類液が収容され、培養装置が底部受液培養槽の上方に配置されている。流体循環装置は、底部受液培養槽の培養藻類液を抽出して培養藻類液を培養装置に持続的に導入させることによって、培養装置内の培養藻類液を底部受液培養槽まで溢出させる。培養藻類液が培養装置と底部受液培養槽の間にて循環され、それにより藻類の培養において光照射面積を一層増加させることが可能となるので、培養装置が深すぎることによる光照射経路が長くなるとともに光線の分布が不均一となる等の問題を克服すると共に、培養期間を短縮させ、生産量を向上することができる。
【0007】
本発明の実施形態に従う培養装置は少なくとも一つの培養池を含んでいる。同培養池の縁部は複数の突出構造を備えることができる。更に、同突出構造はV字状または四角形とすることができる。
【0008】
本発明の実施形態に従う培養装置は複数の培養池を備えることができ、その際、底部受液培養槽の上方に重ねて配列することができる。このような配列において、各培養池は、その面積が上方から下方へ向かって漸増しており、それにより下方の培養池が上方の培養池から溢流された培養藻類液を受けることができる。
【0009】
本発明の実施形態に従う培養装置には培養気体を提供するための気体源が含まれており、また、流体循環装置は気体分配装置を備え、気体分配装置が気体源に接続され、培養気体を培養藻類液に導入することにより、同培養藻類液の培養気体の濃度を増加させ、気体の流れる経路を向上させるとともに、反応容積を増加させることができる。
【0010】
本発明の実施形態における底部受液培養槽の底部の中心は最下点にあるために、流体循環装置を最下点にて接続可能であり、よって、培養藻類液の藻類が最下点まで循環し、流体循環装置を介して培養装置に送入することによって、藻類の培養面積を増加する目的を実現できる。更に、底部受液培養槽はV字状とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明に従って藻類の培養システムが提供され、同システムにより藻類の培養面積が増加され、それにより培養期間が短縮されるとともに生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の目的、特徴及びその効果をより詳しく理解するために、下記において詳細に説明する。
本発明の実施形態に従う藻類の培養システムは、培養藻類液の循環に使用されるものである。図1には、本発明の実施形態の概略図が示されている。本発明の培養システムは、底部受液培養槽110と、培養装置120と、流体循環装置130と、気体源140と、を備える。底部受液培養槽110には培養藻類液121が収容され、培養装置120が底部受液培養槽110の上方に配置される。流体循環装置130は、前記底部受液培養槽110の培養藻類液121を抽出し、同培養藻類液121を培養装置120に導入させつつ、培養装置120内の培養藻類液121を底部受液培養槽110まで溢流させる。
【0013】
図1に示すように、培養装置120は三つの培養池を備え、底部受液培養槽110の上方に重ねて配列されている。上方から下方に向かうに従って各培養池の面積が増加し、それにより、下の培養池は上の培養池から溢流された藻類液121を受承することができると共に、上方より溢流された藻類液121は、その重力流方式により下方の培養池をかく乱させることができるので、藻類液121内に含まれる藻類の懸濁流をより均一に混合することができる。以上により、単位面積当りの藻類培養数を増加させると同時に、生産量がさらに増加され得る。
【0014】
前記のように、培養池はリング状であるため、流体循環装置130が各培養池を貫通して底部受液培養槽110の培養藻類液121を抽出し、さらに同流体循環装置130は培養藻類液121を最上部にある培養池に導入する。そして、上方の培養池の培養藻類液が下方の培養池まで溢流して、最後は底部受液培養槽110まで流れる。流体循環装置130には、さらに気体分配装置131が備えられており、この気体分配装置131が気体源140に接続されることにより、培養気体が培養藻類液121に導入され、培養藻類液121の培養気体濃度を増加させると共に、気体の流動経路を向上させ反応容積を増加させることができる。底部受液培養槽110をV字状に設計することによって、底部の中心が最下点となり、流体循環装置130をこの最下点にて接続させることにより、藻類が堆積して沈澱することが回避され、培養藻類液121を流体循環装置130を介して流体の培養装置120に送出することができる。
【0015】
また培養池の縁部は複数の突起構造を有しており、培養藻類液が培養池から底部受液培養槽まで溢流された際に、均一に流出することができる。図2(A)及び図2(B)に記載の本発明に従う実施形態の突出構造の概略図に示されるように、突出構造122はV字状または四角形でも良い。
【0016】
本発明のより好ましい実施形態を開示したが、同実施形態は本発明を限定するものではなく、当該技術分野の当業者が本発明の精神または範囲内を逸脱することなくなされた種々の変更または修正もまた、本発明の範囲に包含されるものである。従って、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲にて限定されるものに準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の概略図である。
【図2】(A)及び(B)は本発明における実施形態の突出構造の概略図である。
【符号の説明】
【0018】
110…底部受液培養槽、120…培養装置、121…培養藻類液、122…突出構造、130…流体循環装置、131…気体分配装置、140…気体源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養藻類液を循環して流動させるために用いられる藻類の培養システムにおいて、
前記培養藻類液を収容する底部受液培養槽と、
前記底部受液培養槽の上方に配置された培養装置と、
前記底部受液培養槽の培養藻類液を抽出し、前記培養藻類液を前記培養装置に導入しつつ前記培養装置内の前記培養藻類液を前記底部受液培養槽内まで溢流させる流体循環装置と、
を備えることを特徴とする藻類の培養システム。
【請求項2】
前記培養装置は少なくとも一つの培養池を備えることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項3】
前記培養池の縁部は複数の突出構造を備えることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項4】
前記突出構造はV字状または四角形であることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項5】
前記培養装置は複数の培養池をそなえており、前記底部受液培養槽の上方に重ねて配列されることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項6】
前記培養装置の前記培養池の各々は、その面積が上方から下方へ向かって漸増しており、それにより下方の培養池が上方の培養池から溢流された培養藻類液を受けることができることを特徴とする請求項5記載の藻類の培養システム。
【請求項7】
前記流体循環装置は、培養藻類液を培養装置の最底部に導入させ、再び最上部の培養池に導入させることを特徴とする請求項5記載の藻類の培養システム。
【請求項8】
請求項1に記載の藻類の培養システムは、さらに気体源を含み、培養気体を提供することを特徴とする藻類の培養システム。
【請求項9】
前記流体循環装置は気体分配装置を備え、前記気体分配装置は前記気体源に接続され、それにより前記培養気体が培養藻類液に導入されることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項10】
前記底部受液培養槽の底部の中心は最下点であることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。
【請求項11】
前記流体循環装置は前記最下点にて接続されていることを特徴とする請求項10記載の藻類の培養システム。
【請求項12】
前記底部受液培養槽はV字状であることを特徴とする請求項1記載の藻類の培養システム。

【図1】
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【図2】
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