説明

蛇口取り付け型浄活水器

【課題】浄水機能のほかに活水機能を有するとともに、この活水機能を濾過材の洗浄に活用する。
【解決手段】蛇口に取付けられて水の流路を規制する流路規制部12と、流路規制部12に隣接して設けられて水を処理する水処理部13と、これら流路規制部12と水処理部13との間に設けられて水処理部13を起立姿勢と倒立姿勢と横転姿勢への回転することにより浄活水、逆洗浄水、水道水の流路切り替えを行う流路切り替え部を有する蛇口取付け型浄活水器11において、水処理部13内に、水を浄化する活性炭収容部51と水を活性化させるセラミックス収容部52が上下に重ねて備えるとともに、水道水を活性炭収容部51からセラミックス収容部52に流す流路と、水道水をセラミックス収容部52から活性炭収容部51に流す流路を備え、セラミックス74には、粉砕した岩石を造粒して焼成した後に還元雰囲気中にて再焼成した複数個のセラミックス粒子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蛇口から供給される水に対して浄水処理と活水処理をする蛇口取付け型浄活水器に関し、より詳しくは、活水処理を行うセラミックスによる作用をより効果的に利用できるような蛇口取り付け型浄活水器に関する。
【背景技術】
【0002】
蛇口に取り付けられる浄水器として下記特許文献1に開示されているものがある。この浄水器は、蛇口に取付けられて水の流路を規制する流路規制部と、この流路規制部の水平方向に隣接して設けられて導入された水を処理する水処理部と、これら流路規制部と水処理部との間に設けられて水処理部を起立姿勢と倒立姿勢と横転姿勢へ回転することにより浄水、逆洗浄水、水道水の流路切り替えを行う流路切り替え部を有する構成である。
【0003】
つまり、水処理部に収容された濾過材は、使用に伴って汚れが付着して目詰まりを起こす。すると、濾過能力が低下して、処理する水量も次第に減ってくる。このため、濾過材は定期的に交換をしなければならないが、水処理部を倒立姿勢にして水の流れを切り替えるという操作によって濾過材を簡単に洗浄できるので、濾過材をこまめに洗浄することで、目詰まりの発生を抑え、水量低下も起こさず、清潔な状態で良好な使用状態を得られる。
【0004】
しかも、浄水を出すか、濾過材を洗浄するか、水道水をそのまま出すかの選択は、蛇口の脇にある水処理部を回転させるだけでよいので操作性がよく、便利に使用されていた。
【0005】
しかしながら、浄化機能しかなかった。
【0006】
濾過材に加えてセラミックスを備えた水処理部を有する装置が、下記特許文献2に提案されている。この装置は、蛇口から導入した水を上から下に流すものであって、上段に活性炭を備え、下段にセラミックスを備えた構成である。活性炭を通過して不純物が取り除かれた水は、セラミックスの鮮度保持、熟成、脱臭作用を受けて活性化されるというもののである。
【0007】
セラミックスは、活性炭を備えた容器とは別の容器に隙間なく充填されている。また、セラミックスを充填する容器の上面と下面には、全面的に通水孔が形成されており、活性炭を備えた容器の上面と下面にも、全面的に通水孔が形成されている。
【0008】
つまり、活性炭を備えた容器の上に入った水は、活性炭の中をそのまま下に流れて通過し、そのままセラミックスの容器に入り、そのまま下に流れて排出される。
【0009】
また活性炭の容器とセラミックスの容器は、螺合により一体化される構成であり、同じく螺合によって取り付けられる蓋体内に収められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平7−36910号公報
【特許文献2】特開平3−284393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2の装置では、濾過した水をさらにセラミックスに通して活性化を図るというものにすぎず、濾過材を洗浄することはできない。また、セラミックスが隙間なく充填されているので、セラミックスが動かない。このため、セラミックスの隙間に、錆やゴミが溜まったり菌が繁殖したりして、セラミックスの機能が低下するおそれもあった。
【0012】
そこで、この発明は、浄水機能のほかに活水機能を備えるとともに、この活水機能を濾過材の洗浄に活用できるようにすることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのための手段は、蛇口に取付けられて水の流路を規制する流路規制部と、該流路規制部の水平方向に隣接して設けられて導入された水を処理する水処理部と、これら流路規制部と水処理部との間に設けられて水処理部を起立姿勢と倒立姿勢と横転姿勢への回転することにより浄活水、逆洗浄水、水道水の流路切り替えを行う流路切り替え部を有する蛇口取付け型浄活水器であって、前記水処理部内に、水道水を導入する水導入路と、水処理部を通った水を導出する水導出路が、前記起立姿勢のときも倒立姿勢のときも前記水導入路が上で前記水導出部が下になるように、仕切り段部を介して上下に分けて開口され、前記水処理部内には、起立姿勢にある前記仕切り段部部分より上側に位置して浄水を行う活性炭収容部と、前記仕切り段部部分から下側に位置して仕切り段部部分で上下の空間を仕切って活水を行うセラミックス収容部を備えた水処理カートリッジが設けられ、前記活性炭収容部には、中央部で長手方向に延びて前記セラミックス収容部に抜ける通水縦穴と、該通水縦穴を形成する内周面と外側を形成する外周面との間で水の出入りを許容する活性炭側通水面が備えられ、前記セラミックス収容部には、前記通水縦穴側において水の出入りを許容するセラミックス側通水面と、該セラミックス側通水面と反対側の面の中央部において水の出入りを許容する通水底穴が備えられ、前記セラミックスには、粉砕した岩石を造粒して焼成した後に還元雰囲気中にて再焼成した複数個のセラミックス粒子が用いられ、前記セラミックス収容部内で流動可能に収納された蛇口取り付け型浄活水器である。
【0014】
この構成では、蛇口から出る水は流路規制部に入ってから、水処理部の姿勢が起立姿勢か、倒立姿勢か、横転姿勢かによって切り替えられた流路を通る。
【0015】
水処理部が起立姿勢のときには、水は流路規制部から水導入路を経て、仕切り段部より上の空間において水処理部の活性炭収容部を取り囲むように流れる。活性炭収容部は外周面の活性炭側通水面からは水の進入を許容する。活性炭収容部に入った水は、活性炭による浄水作用を受けた後、内周面の活性炭側通水面を通って通水縦穴に集まる。通水縦穴に集まった水は、通水縦穴を円滑に流れて、活性炭収容部の下のセラミックス収容部に入る。
【0016】
セラミックス収容部では、上面のセラミックス側通水面が通水縦穴を流下する水の進入を許容する。水はセラミックス収容部内に流れ込んで広がり、セラミックスを流動させる。セラミックスを流動させた水は収束されて、下面の通水底穴から流出し、仕切り段部より下の空間に流れてから、水導出路を通って、流路規制部から浄活水として排出される。
【0017】
セラミックス収容部においては、還元再焼成により硬く緻密な表面を有するようになった特異なセラミックスの作用により、水の表面張力や酸化還元電位が低下して、浸透しやすい性質に活性化される。
【0018】
水処理部が倒立姿勢のときには、水は流路規制部から水導入路を経て、仕切り段部より上の空間において水処理部のセラミックス収容部を取り囲むように流れる。セラミックス収容部は通水底穴からの水の進入を許容する。つまり、水は絞られてセラミックス収容部に入るとともに広がり、セラミックスを流動させてセラミックスによる作用を受ける。これによって、水の表面張力や酸化還元電位が低下して浸透しやすい性質の水に活性化される。
【0019】
その後、活性炭収容部に対向するセラミックス側通水面を通って、収束されてから活性炭収容部の通水縦穴に入る。通水縦穴に流れ込んだ水は、通水縦穴を形成する内周面の活性炭側通水面から活性炭収容部に入り込んで、水を浄化するときとは逆の方向に流れて活性炭を洗浄しながら、外周面の活性炭側通水面を通って活性炭収容部の周りを流れる。このあと、水導出路を通って流路規制部から排出される。
【0020】
水処理部が横転姿勢のときには、水は流路規制部に入った後、流路規制部からそのまま排出される。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、活性化された水を得ることができるとともに、浄水処理後に水を活性処理するので、活性化の効率がよい。そのうえ、活性炭の洗浄を行うときには、活性化させて表面張力や酸化還元電位の低下した活性水で洗浄するので、洗浄も良好に行え、目詰まりの除去が効果的に行える。
【0022】
しかも、水の流れを前述のように収束させたり広げたり規制することによって、流れに強弱ができ、セラミックスの流動性も高まるので、特異なセラミックスの作用を十分に享受できる。
【0023】
また水の流れでセラミックスは流動するので、ゴミが溜まったり菌が繁殖したりすることもなく、良好な作用環境を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】蛇口取り付け型浄活水器の要部を示す一部破断正面図。
【図2】蛇口取り付け型浄活水器の斜視図。
【図3】蛇口取り付け型浄活水器の正面図。
【図4】水処理部を起立姿勢にした状態の一部破断正面図。
【図5】カバー部材の横断面図。
【図6】活性炭収容部の片側断面図。
【図7】セラミックス収容部の構造を示す平面図と、片側断面図と、蓋部材を取り外した状態の平面図。
【図8】水処理部を倒立姿勢にした状態の一部破断正面図。
【図9】図4の作用状態を示す説明図。
【図10】図8の作用状態を示す説明図。
【図11】活性炭収容部を交換するときに状態を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、蛇口取り付け型浄活水器11(以下「浄活水器」と言う。)の要部を示す一部破断正面図であり、図2は浄活水器11の斜視図、図3はその正面図である。
【0026】
これらの図に示すように、浄活水器11は、蛇口(図示せず)に取り付けられて水の流路を規制する流路規制部12と、この流路規制部12の水平方向に隣接して設けられて導入された水を処理する水処理部13を有する。これら流路規制部12と水処理部13との間には、流路を切り替える流路切り替え部14を備え、この流路切り替え部14を前記水処理部13の回転動作で駆動するように構成されている。
【0027】
すなわち、前記水処理部13は、図1に実線で示した起立姿勢と、二点鎖線で示した倒立姿勢と、一点鎖線で示した横転姿勢の3つの姿勢に回転可能であり、前記流路切り替え部を、前記起立姿勢のときには浄活水を出す流路、前記倒立姿勢のときは逆洗浄水を出す流路、前記横転姿勢のときには水道水を出す流路に切り替えるように構成されている。
【0028】
前記流路規制部12は、蛇口に取り付ける上端受け部21から入った水を前記水処理部13に供給する供給路22と、水処理部13側から出てきた水を下端中央の処理水排出口23に排出する排出路24と、前記上端受け部21から入った水を下端に設けられた前記処理水排出口23の周囲の原水排出口25に直接排出する原水排出路26を備える。
【0029】
前記供給路22の先には、前記水処理部13における水導入路31が連通され、水処理部13内に水道水を導入する。また前記排出路24の上流側には前記水処理部13における水導出路32が連通し、水処理部13を通った水を導出する。これら水導入路31と水導出路32は、水処理部13が前記起立姿勢のときも倒立姿勢のときも、前記水導入路31が上で、前記水導出路32が下になるように、仕切り段部33を介して上下に分けて形成される。すなわち、水処理部の水導入路31と水導出路32が形成される部分には、水処理部13の回転中心軸Pを境に上下に同径の通路穴34が配設されており、回転操作により上に位置した通路穴34が前記水導入路31となり、下に位置した通路穴34が前記水導出路32となる。
【0030】
前記流路切り替え部14には、前述のような流路の切り替えを行うために必要な適宜の弁部材(図示せず)が備えられている。
【0031】
前記水処理部13は、図4に示したように、前記通路穴34と仕切り段部33を有する容体35と、これの上に螺合により着脱可能に取り付けられるカバー部材36と、これらで囲まれた内部空間に収容される水処理カートリッジ37を備える。
【0032】
前記容体35は、平面視円形で、前記仕切り段部33より下側の部分(以下、「下部空間38」という。)がそれより上側の部分(以下、「上部空間39」という。)よりも小径に形成され、内底面が底に向かって凸の緩やかな湾曲を描くように形状に形成されている。前記通路穴34のうち下側の通路穴34は、仕切り段部33より下に開口する。
【0033】
前記上部空間39は前記下部空間38よりも大径に形成され、この部分に前記通路穴34のうち上側の通路穴34が設けられる。
【0034】
この上側の通路穴34と前記仕切り段部33との間には、環状をなすパッキン40を仕切り段部33に載置したときにパッキン40の上面と通路穴34の下面が面一になるように間隔が保持されている。
【0035】
前記上側の通路穴34よりも上側には、閉止段部41を介してさらに大径となる周壁部42が形成され、この周壁部42の内周面に雌ねじ42aが形成されている。前記閉止段部41にも環状をなすパッキン43が載置される。
【0036】
前記カバー部材36は、上端が閉じて下端が開口した略筒状に形成され、図5の横断面図に示したように、内周面は横断面円形であるが、外周面は長手方向に延びる8つの外周平面44を有する平面視略八角形に形成されている。上端面には平らな上端平面45が形成されて、注意を喚起したりカートリッジの交換時期を表示したりする適宜のシールの貼付などに利用できるようにしている。
【0037】
このカバー部材36の下端部の外周面には前記容体35の雌ねじ42aに螺合する雄ねじ46が形成されており、この雄ねじ46を容体35の雌ねじ42aに螺合すると、カバー部材36の下端面47を前記閉止段部45に載置したパッキン43に当接した状態で一体に結合できる構成である。
【0038】
前記水処理カートリッジ37は、起立姿勢にある前記仕切り段部33部分より上側に位置して主に前記カバー部材36内に収まる活性炭収容部51と、この活性炭収容部51の下に位置して前記容体35内に収まり、前記仕切り段部33部分で上下の空間を仕切るセラミックス収容部52で構成され、これらは上下に重ねられる別部材からなる。活性炭収容部51は水を浄化し、セラミックス収容部52は水を活性化する。
【0039】
前記活性炭収容部51は、中央部で長手方向(上下方向)に延びて前記セラミックス収容部に抜ける通水縦穴53と、この通水縦穴53を形成する内周面54と外周面を形成する外周面55との間で水の出入りを許容する活性炭側通水面56を有する。すなわち、図6にも示したように、活性炭収容部51を形作る容器57の内周面54と外周面55である活性炭側通水面56には、多数の隙間が形成され、外周の活性炭側通水面56から内周の活性炭側通水面56へ、またはその逆に、水が流れるように構成されている。
【0040】
また、前記容器57の上端面は水を通さず、下端面のうち前記通水縦穴53以外も水を通さないように構成されている。活性炭58は前記内外の活性炭側通水面56の間に保持されている。活性炭58には、機能性の高いものを使用するとよく、例えば遊離残留塩素、溶解性鉛、CAT(農薬)、濁り、総トリハロメタン、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、ブロモホルム、2−MIB(カビ臭)、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタンの吸着を可能とする13項目対応の活性炭を用いるのが好ましい。
【0041】
この構成により、活性炭収容部51の外から内への流れは、外周の活性炭側通水面56から入って、中央の通水縦穴53から下方の前記セラミックス収容部53方向に流れ、逆に活性炭収容部51の内から外への流れは、前記セラミックス収容部52から中央の通水縦穴53に入って、内周の活性炭側通水面56から外周の活性炭側通水面56に流れるように規制されることになる。
【0042】
前記容器57の下端面の外周縁部には、前記セラミックス収容部52の上端部の被嵌部59に嵌合する嵌合部60が形成されている。この嵌合部60の下端内周60aは外側ほど広がるテーパ状に形成され、前記セラミックス収容部52の被嵌部59に止水のために保持したOリング61を押さえる押圧部60aが形成されている。
【0043】
前記セラミックス収容部52は、図7(b)にも示したように、上端が開口した有底筒状の容器部材65と、この容器部材65の上端に取り付けられる蓋部材66で構成されている。容器部材65は、上端の被嵌部59に、外周に張り出す上部フランジ67を有し、この上部フランジ67の上側に前記Oリング61が保持されている。また、このOリング61を備える部分に相当する部分の内周面には、前記蓋部材66の外周縁66aを係合する係合部68が凹状に形成されている。
【0044】
前記上部フランジ67より下方には、外周に張り出す下部フランジ69が形成されている。下部フランジ69の下面は平らに形成され、前記仕切り段部33に載置したパッキン40に当接するようにしている。下部フランジ69がパッキン40に接触するように形成されているのに対して、前記上部フランジ67は、閉止段部41に載置したパッキン43には接しないように構成される。
【0045】
前記容器部材65の内周面には、起立姿勢または倒立姿勢において上下方向に延びる複数本の内周面リブ70が形成されている(図7(c)参照)。また容器部材65の起立姿勢における下面の中央部に、水の出入りを許容する通水底穴71が形成されている。
【0046】
この通水底穴71には、内側に向けて起立する底穴リブ72が形成される。底穴リブ72は、薄板状で、中心から放射状に延びるように複数枚形成されている。これら底穴リブ72の間が前記通水底穴71で、例えば4枚の底穴リブ72を設けると4個の通水底穴71が形成されることになる。
【0047】
前記蓋部材66は、図7(a)に示したように、全面的に通水を許容するように隙間66bを有する円板状に形成され、外周縁66aが前記容器部材65の係合部68に係合される係合縁である。容器部材65の上面に相当する蓋部材66部分が、水の出入りを許容するセラミックス側通水面73である。また、前記隙間66bは収容するセラミックス74が出ない大きさに形成されるが、必要によっては、図7(b)等に示したように、通水を許容するがセラミックス74の流出を防ぐ目合のメッシュ75を下面に装着することもできる。
【0048】
セラミックス74は粒状であり、複数個を前記容器部材65内に収容する。収容する量は、蓋部材66の下面までの容積を100%とした場合に、水流によりセラミックス74が動くようにするため、80%前後となるように設定する。このため、水処理部13を倒立姿勢にすると、図8に示したように、セラミックス収容部13内でセラミックス74は、この姿勢で下となるセラミックス側通水面73方向に移動する。
【0049】
また、セラミックス74の粒径は、例えば直径2mm前後のものと直径1mm前後のものなど、大きい粒と小さい粒を混在させるとよい。セラミックス74の動きがより円滑になるとともに、水との接触面積が大きくなるからである。
【0050】
この構成により、活性炭収容部51からセラミックス収容部52への水の流れは、セラミックス側通水面73で広がって通水底穴71に向かう流れとなり、逆にセラミックス収容部52から活性炭収容部51に向かう流れは、通水底穴71で一旦絞られて収束した流れが容器部材65内で広がったのち、セラミックス側通水面73を通過し、そのあと前記通水縦穴53で収束されるように規制されることとなる。
【0051】
前記セラミックス74には、粉砕した岩石を造粒して焼成した後に還元雰囲気中にて再焼成したものが用いられる。より具体的には、岩石として、全岩石組成として酸化物換算値において鉄を6%以上、珪素を65%以上含有するものを用いるとよい。さらには、長石や雲母を構成鉱物として含有し、前記焼成は1000℃以上の温度で焼成し、前記再焼成は500℃〜1000℃で行ったものであるとよい。還元雰囲気中にて再焼成することにより、鉄を含む各成分が還元される。還元再焼成することにより、粒の硬度が向上し、表面の緻密性が高まり平滑化される。このようなセラミックス74は、主に水の酸化還元電位や表面張力を低下する作用を行う。
【0052】
このような水処理カートリッジ37は、セラミックス収容部52の下部フランジ69を前記仕切り段部33のパッキン40に載せたのち、このセラミックス収容部52に活性炭収容部51を被せてから、前記カバー部材36を容体35に螺合したときに、図4に白抜き矢印と仮想線で示したように、カバー部材36に押下された活性炭収容部51が押し下げられてセラミックス収容部52のOリング61を圧縮するように、各部材の大きさが設定されている。これによりカバー部材36と容体56との間のねじに反発力が作用するので、水圧がかかり、振動も生じる水処理部13において、容体35とカバー部材36の螺合状態が良好に保持されることとなる。
【0053】
以上のように構成された浄活水器11では、図4に示したように水処理部13を起立姿勢にして流路規制部12の上端受け部21から供給路22に水を流すと、水は水導入路31から水処理部13内の上部空間39に入る。上部空間39に入った水は図9に示したように、上昇してカバー部材36内を流れて、水処理カートリッジ37の活性炭収容部51の外周の活性炭側通水面56から活性炭収容部51内に進入する。そして水は活性炭58でゴミ等が吸着されて浄化され、内周の活性炭側通水面56から通水縦穴53に入り、下方に流れる。
【0054】
通水縦穴53で収束された状態で流下した浄水は、セラミックス側通水面73で広がって、セラミックス収容部52全体に流れ込んで、セラミックス74を動かす。セラミックス収容部52内でセラミックス74と接触した水は、内周面リブ70によって秩序ある流れとなり、活性化されて通水底穴71から下部空間38に出る。このとき、水は再び収束されて通水底穴71を通るが、通水底穴71は底穴リブ72を有するので、セラミックス74が通水底穴71を塞いでしまうことを抑制して、活動的な流動を確保しつつ、水の排出を円滑にすることができる。
【0055】
通水底穴71から下部空間38に出た浄活水は、水導出路32と流路規制部12の排出路24を通って処理水排出口23から放出される。
【0056】
図8に示したように水処理部13を倒立姿勢にして流路規制部12の上端受け部21から供給路22に水を流すと、水は水導入路31から水処理部13内の下部空間38に入る。下部空間38に入った水は図10に示したように、上昇して容体35内を流れて、水処理カートリッジ37のセラミックス収容部52の通水底穴71から容器部材65内に進入する。
【0057】
容器部材65内に入ると、通水底穴71を通過するときに収束された水は広がって、セラミックス74を流動させる。このとき、内周面リブ70によって水の流れが安定し、セラミックス側通水面73から下方に流れ出す。
【0058】
セラミックス側通水面73から出た水は、活性炭収容部51の通水縦穴53で絞られて、通水縦穴53を通って、内周の活性炭側通水面56から外周の活性炭側通水面56に出る。この過程で、セラミックス収容部52で活性化された水が、微細な穴を無数に有する活性炭58に付着したゴミなどを洗浄する。活性水は、表面張力が低く酸化還元電位も低いので、活性炭の洗浄が効果的に行える。
【0059】
ゴミ等を流した水は、カバー部材36の内側を流れて上昇し、水導出路32と、流路規制部12の排出路24を通って、処理水排出口23から排出される。
【0060】
水処理部13を横転姿勢にしたときには、流路規制部12の上端受け部21から入った水は、図1に示したように、そのまま原水排出路26を通って原水排出口25から流れ出る。
【0061】
前述のように水処理部13を起立姿勢にして水を流せば、浄化された上に活性化された水を得ることができる。しかも、浄水処理後に水を活性処理するので、活性化の効率がよい。
【0062】
また活性炭58の洗浄を行うときには、活性化させて表面張力や酸化還元電位の低下した活性水で洗浄するので、洗浄も良好に行え、目詰まりの除去が効果的に行える。
【0063】
しかも、水の流れを前述のように収束させたり広げたり規制することによって、流れに強弱を作るので、セラミックス74の流動性も高まる。このため、還元再焼成した特異なセラミックス74の作用を十分に享受できる。
【0064】
また水の流れでセラミックス74は流動するので、ゴミが溜まったり菌が繁殖したりすることもなく、良好な作用環境を維持できる。
【0065】
さらに、前述のような作用を行うとき、蛇口から出る水の脈動や、これに伴って蛇口を有する管体の振動が生じる上に、高い圧力がかかっても、水処理カートリッジ37を構成する活性炭収容部51とセラミックス処理部52はOリング61を圧縮変形させるようにして、カバー部材36を容体35に対して螺合固定しているので、緩みのない高い結合力が得られる。
【0066】
このため、水処理部13を回転させて流路の切り替えを行う構造であっても、各部での水漏れもなく、一連の流れのなかでの水の混ざり合いも無く、所望の効果が期待できる。
【0067】
また、活性炭収容部51を交換する場合には、図11に示したようにカバー部材36を外すと、活性炭収容部51はセラミックス収容部52にのっているだけであるので上へ引き上げるだけで簡単に取り外せる。このため交換が容易である。
【0068】
しかも、前述のようにカバー部材36は、Oリング61の反発力もあって強固に固定されているが、カバー部材36の外周面は平面視略八角形に形成されているので、水を使って濡れた状態で作業をしても容易に回転力を加えられる。つまり、カバー部材36を取り外す作業も容易である。カバー部材36を取り付けるときもしっかりと回転することができる。
【0069】
またカバー部材36の外周面が八角形であるので、十角形などにした場合にくらべて手で回転させるときの引っ掛かりとなる外周平面44の面積を確保できるとともに、四角形や六角形にした場合と比べて、手で回転力を加えるときに持ち易く、角の出っ張りも小さくてすむ。
【0070】
そのうえ、カバー部材36の上端面には上端平面45が形成されているので、取り外したカバー部材36を、この上端平面45を下に向けて置くことで、カバー部材36の転がりなどを防止できて、この点でも作業性が向上する。
【0071】
前述の効果のうち酸化還元電位の低下について確認すべく、実験を行った。実験は、京都市内の水道水(以下、「原水」という。)を前述の構成の浄活水器に通した浄活水の酸化還元電位を測定するものである。比較例として、原水、活性炭のみに通した浄水、山の湧水のそれぞれについても測定を行った。
【0072】
浄活水と浄水を生成する機器には同一構造のものを用い、使用する活性炭も同じにした。そして浄水を生成する機器には、浄活水を生成する機器のセラミックス収容部を空にしたものを使用した。浄活水を生成する機器のセラミックス収容部には、多数の球状のセラミックスを、セラミックス収容部の容積の約80%の充填量となるように収容した。これらのセラミックスには、直径1mm前後のものと直径2mm前後のものを混合して用いた。
【0073】
測定は、それぞれの水(試料)を150ccずつ採取し、酸化還元電位(ORP)を測定するという作業を一試料あたり5反復ずつ繰り返して行い、その5反復の平均値を算出して、これを一試料の測定1回分として、合計5回行い、その5回の平均値を得ると、次の表1のような結果となった。
【0074】
なお、湧水には京都市左京区の貴船山から湧き出るものを使用した。また、酸化還元電位の測定には、(株)堀場製作所製の「pHメータ D−54」(ORP測定器)を用いた。
【0075】
【表1】

その結果、表1に示したように、平均値では原水が最も高く、次に浄水、湧水、そして最も低いのが浄活水であった。
【0076】
平均値からみると、浄水は原水に比べて−359.2mVと、酸化還元電位の大幅に低下がみられるが、浄活水ではその浄水からさらに−41.0mVも酸化還元電位が低下していることがわかる。しかも、その酸化還元電位の値は、自然の湧水のそれよりも低いものであり、効果が実証されたといえる。
【0077】
この発明の構成と前記一形態の構成との対応において、
この発明におけるセラミックス収容部の内周面のリブは、前記内周面リブ70に対応し、
以下同様に、
通水底穴のリブは、前記底穴リブ72に対応し、
仕切り段部に上から載置されるフランジ部は、前記下部フランジ69に対応し、
パッキンは、前記Oリングに対応し、
カバー部材の8つの平面は、前記外周平面44に対応するも、
この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0078】
例えばセラミックスの大きさや充填量は前記以外のものでもよく、浄活水器の大きさや単位時間あたりの浄水量に応じて適宜設定できる。
【符号の説明】
【0079】
11…蛇口取り付け型浄活水器
12…流路規制部
13…水処理部
14…流路切り替え部
31…水導入路
32…水導出路
33…仕切り段部
36…カバー部材
37…水処理カートリッジ
44…外周平面
51…活性炭収容部
52…セラミックス収容部
53…通水縦穴
54…内周面
55…外周面
56…活性炭側通水面
59…被嵌部
61…Oリング
69…下部フランジ
70…内周面リブ
71…通水底穴
72…底穴リブ
73…セラミックス側通水面
74…セラミックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口に取付けられて水の流路を規制する流路規制部と、該流路規制部の水平方向に隣接して設けられて導入された水を処理する水処理部と、これら流路規制部と水処理部との間に設けられて水処理部を起立姿勢と倒立姿勢と横転姿勢への回転することにより浄活水、逆洗浄水、水道水の流路切り替えを行う流路切り替え部を有する蛇口取付け型浄活水器であって、
前記水処理部内に、水道水を導入する水導入路と、水処理部を通った水を導出する水導出路が、前記起立姿勢のときも倒立姿勢のときも前記水導入路が上で前記水導出部が下になるように、仕切り段部を介して上下に分けて開口され、
前記水処理部内には、起立姿勢にある前記仕切り段部部分より上側に位置して浄水を行う活性炭収容部と、前記仕切り段部部分から下側に位置して仕切り段部部分で上下の空間を仕切って活水を行うセラミックス収容部を備えた水処理カートリッジが設けられ、
前記活性炭収容部には、中央部で長手方向に延びて前記セラミックス収容部に抜ける通水縦穴と、該通水縦穴を形成する内周面と外側を形成する外周面との間で水の出入りを許容する活性炭側通水面が備えられ、
前記セラミックス収容部には、前記通水縦穴側において水の出入りを許容するセラミックス側通水面と、該セラミックス側通水面と反対側の面の中央部において水の出入りを許容する通水底穴が備えられ、
前記セラミックスには、粉砕した岩石を造粒して焼成した後に還元雰囲気中にて再焼成した複数個のセラミックス粒子が用いられ、前記セラミックス収容部内で流動可能に収納された
蛇口取り付け型浄活水器。
【請求項2】
前記セラミックス収容部の内周面に、起立姿勢または倒立姿勢において上下方向に延びるリブが形成された
請求項1に記載の蛇口取り付け型浄活水器。
【請求項3】
前記セラミックス収容部の通水底穴に、内側に向けて起立するリブが形成された
請求項1または請求項2に記載の蛇口取り付け型浄活水器。
【請求項4】
前記水処理カートリッジの活性炭収容部と前記セラミックス収容部が別部材で構成され、
前記セラミックス収容部の外周面に、前記仕切り段部に上から載置されるフランジ部が備えられるとともに、上端部には、前記活性炭収容部の下端を被せる被嵌部がパッキンとともに設けられ、
前記活性炭収容部を囲むカバー部材が螺合により取り付けられたときに活性炭収容部が押圧されて前記パッキンを圧縮するように設定された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の蛇口取り付け型浄活水器。
【請求項5】
前記カバー部材の外周面が、長手方向に延びる8つの平面を有する平面視略八角形に形成された
請求項4に記載の蛇口取り付け型浄活水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−254423(P2012−254423A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129680(P2011−129680)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(504133970)有限会社サージュコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】