説明

蛇昇り防止具

【課題】蛇の習性を利用して簡単な構造により蛇の昇り防止効果を高めることができる支線などの線状体に取り付ける蛇昇り防止具を提供する。
【解決手段】平板をひねってひねり形の縁が形成されたひねり板の上端および下端に、ひねり板を線状体に取り付ける取付片が設けられている電柱支線などの線状体に取り付ける蛇昇り防止具。ひねり板の上端と下端とのひねり角度は180度程度が好ましく、また、取付片を線状体に固定されたストッパに回転可能に支持してひねり板を回転可能とすることができ、さらに、ひねり板を蛇が滑りやすい平滑面とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱などの支線、引込線、電柱以外のアンテナなどの支線などの線状体に取り付けて、蛇が線をつたってはい上がることを防止する蛇昇り防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱は、道路、農道の法面など蛇が生息する草地などに設けられことがある。蛇がこの電柱の支線をはい上がり、電線に接触することで、停電事故を起こすことがある。このため、蛇が支線をはい上がるのを防止するため各種の蛇昇り防止具が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、支線に取り付けられる筒状体の上部に蓋が付いており、この筒状体の外側に蛇が乗った時に、筒状体が支線を軸にして回転する機構を備え、さらに、筒状体の下部は、蛇が筒状体外部から筒状体下部への侵入が極めて容易であり、筒状体下部から筒状体外部への脱出が極めて困難な構造に形成されている蛇昇り防止具が開示されている。
【0004】
また、支線に取り付けられる筒状の蛇の昇り防止具として、特許文献2には、発泡体又は表面に孔のある中空体からなり、内部に揮発性蛇類忌避材を含ませたものが開示されている。
【0005】
また、傘形の蛇昇り防止具として、特許文献3や特許文献4には、対をなす半割体に形成してその一側端を蝶着させると共に他側端で閉止させるように碗形状に形成した蛇昇り防止具が開示されている。
【特許文献1】特開2001−309532号公報
【特許文献2】実開昭54−120227号公報
【特許文献3】特開平5−231043号公報
【特許文献4】実開昭52−73935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1や特許文献2に記載の円筒型の蛇昇り防止具は、支線に取り付けるための内部構造が複雑となり、また、リベットなどのような固定具があると、そこに蛇が体を引っ掛けて昇ることができる。また、固定具がない場合でも、ある程度の直径がなければ蛇の昇柱防止効果が低い。さらに、滑り材を塗布しても経年劣化によりその効果を持続させることが難しい。
【0007】
また、前記特許文献3や特許文献4に記載の傘型の蛇昇り防止具は、ある程度以上の大きさがなければ蛇の昇柱防止効果が低い。
【0008】
そこで、本発明は、蛇の習性を利用して簡単な構造により支線などの線状体から蛇が昇ることを防止することができる蛇昇り防止具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蛇昇り防止具は、平板をひねった構造をもつひねり板からなる。ひねり板により、ひねり板を蛇が昇っているときに途中で下方になり、蛇は自重で落下する。ひねり板の上端と下端とのひねりの角度は、蛇が昇っているときに途中で下方になる角度とし、180度程度のひねりが好ましい。
【0010】
また、ひねり板を線状体に取り付ける取付片を回転できる構造とすることで、蛇の自重でひねり板が回転して蛇が下方になり、落下するようになる。
【0011】
さらに、ひねり板は蛇が滑りやすい平滑なものとすることにより、蛇が引っ掛からずに上れないようにする。
【0012】
また、ひねり板に線状体を通すために、ひねり板の長手方向に線状体をひねり板に入れ込むためのスリットを形成して、線状体へのひねり板の取り付けを容易に行うことができるようにする。なお、スリットは塞いで平滑にすることにより蛇が引っ掛からずに滑りやすいようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛇昇り防止具は、平板をひねった単純な形状のひねり板により、蛇が体で挟める角のあるところを昇る習性があることから、引っかかりを求めてひねり板の縁を昇る際に、下端からひねり板を昇り始めても途中ではひねり構造により下向きになるために蛇が自重で落下するので、はい上がりを防止することができる。
【0014】
また、ひねり板が支線を軸に回転可能な構造とすることにより、蛇の自重による落下の作用が促進され、蛇の昇り防止効果をより高めることができる。
【0015】
また、ひねり板を蛇が滑りやすい平板とすることにより、蛇がひねり板の縁を昇るようになり、蛇の昇り防止効果を高めることができる。また、ひねり構造や平滑な面により、蔓性植物の巻き上がりも防止することができる。
【0016】
また、ひねり板の縁を蛇が体で掴みにくい薄さすることにより、蛇が滑り易くなるようにすることができる。
【0017】
また、ひねり板の長手方向に線状体をひねり板に入れ込むスリットを形成することにより、容易に支線へ取り付けることができる。
【0018】
本発明の蛇昇り防止具により、通年して発生している蛇や蔓性植物による停電事故を防止し、供給信頼度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の蛇昇り防止具を線状体に取り付けた状態を示す斜視図である。図2(a)はひねり板の一例を示す斜視図、(b)及び(c)は線状体のへの取付片の取り付け例を示す斜視図である。図3は蛇が本発明の蛇昇り防止具を昇る状態を示す斜視図である。
【0021】
図1において、本発明の蛇昇り防止具は、平板をひねった形状のひねり板1からなる。蛇は滑りやすい平面状のものでは、蛇は体で挟める角のあるところを昇る習性があるので、ひねりの角度は、蛇がひねり形の縁2を昇る際に体の表面が下側へ向いて自重で落下するひねりを形成する角度にする。ひねり板1の上端と下端とのひねり角度を180度にすると、ひねり形の縁2を昇っている蛇は途中で体の上面が下向きとなり、自重を支えきれずに落下し、蛇の昇りを防止することができる。
【0022】
ひねり板1の長さは蛇の全長の1/2強あればひねりにより、蛇は自重を支えきれずに落下してしまうので、日本の蛇の長さから、1〜2m程度で足りる。また、平板の幅は、5〜40cmあれば蛇は、ひねり板1に巻きつくことなくひねり形の縁2を昇るようになる。また、縁は薄くすることにより、蛇が体で掴み難くして滑り易いようにする。
【0023】
ひねり板1の材質には、蛇は滑りやすい平面を昇ることができないために、滑りやすく耐候性の高いもの、例えば、表面を平滑に仕上げたプラスチック板などを使用することができる。
【0024】
ひねり板1の上端および下端には、ひねり板1を支線などの線状体4に取り付ける取付片3が設けられる。
【0025】
ひねり板1には長手方向に沿って中央部に、図2に示すように、支線などの線状体4を通す中空部1aが形成される。中空部1aに沿って、スリット1bが形成され、スリット1bから線状体4を入れ込んでひねり板1に線状体4を通す。なお、スリット1bはテープや接着剤で塞いで平滑にすることにより蛇5が引っ掛からずに滑りやすいようにしておくことが好ましい。また、ひねり構造や平滑な面により、蔓性植物の巻き上がりも防止することができる。
【0026】
線状体4へのひねり板1の取り付けは、蛇昇り防止具の支線への取り付けは、周知の取り付け手段、例えば、平板の上下の中央を針金や耐候性のある丈夫な紐で支線にとめたり、平板の上下に帯板で支線を挟んでビスで止めたりして行うことができる。図2(b)に示す例では、ひねり板1の中空部1aに線状体4を通した後、線状体4を2割された取付片3a、3bで挟んでひねり板1が下方に移動しないようにする。また、図2(c)に示すように、線状体4を2割された取付片3a、3bで挟み、さらに取付片3a、3bとひねり板1と連結片1cで固定してもよい。なお、図2では、取り付け片が、ひねり板の端部の外側に設けられているが、外側でなく、ひねり板内に設けてもよい。
【0027】
図3において、線状体4をつたって昇ってきた蛇5は、その習性からひねり板1の縁2を昇り始めるが、蛇5は、ひねった形状の縁2を移動するにつれて下側になるため、自重により落下してしまう結果、蛇5の昇りを防止することができる。
【実施例2】
【0028】
図4は本発明の回転可能な蛇昇り防止具を線状体に取り付けた状態を示す斜視図である。図5は回転可能なひねり板と取付片の取り付けの一例を示す一部断面図である。
【0029】
ひねり板1の上端および下端には、断面が環状の取付片3が固定される。取付片3は線状体4に固定された断面環状のストッパ6に回転可能に支持される。
【0030】
ストッパ6は、対となる半割された半環状体7の下部に半環状体7どうしを対向させて線状体4を挟んで固定するためのボルト6aを通すボルト孔を設けた固定用フランジ8が形成されている。
【0031】
取付片3は、線状体4を通すために上下が貫通しており、取付片3の両側に設けられたフランジ9を利用してひねり板1にビスや接着剤で固定される。
【0032】
ひねり板1の線状体4への取り付けは、ストッパ6を線状体4に固定し、ストッパ6に取付片3を支持する。まず線状体4に半環状体7どうしを対向させ、固定用フランジ8のボルト孔へボルトを通し、ナットで締め付けることによりストッパ6を固定する。次いで、取付片3をストッパ6に載せ、ひねり板1に取付片3の両側に設けられたフランジ9を固定する。
【0033】
本実施例では、蛇5がひねり板1を昇っている際に、蛇5の自重で蛇昇り防止具が回転することにより、蛇5が落下して蛇5の昇り防止効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の蛇昇り防止具を線状体に取り付けた状態を示す斜視図である
【図2】(a)はひねり板の一例を示す斜視図、(b)及び(c)は線状体のへの取付片の取り付け例を示す斜視図である。
【図3】蛇が本発明の蛇昇り防止具を昇る状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の回転可能な蛇昇り防止具を線状体に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】回転可能なひねり板と取付片の取り付けの一例を示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:ひねり板
1a:中空部
1b:スリット
1c:連結片
2:縁
3:取付片
4:線状体
5:蛇
6:ストッパ
7:半環状体
8:固定用フランジ
9:フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状体に取り付ける蛇昇り防止具において、平板状のものをひねってひねり形が形成された構造をもつひねり板からなることを特徴とする蛇昇り防止具。
【請求項2】
ひねり板に、線状体に取り付ける取付片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の蛇昇り防止具。
【請求項3】
取付片が線状体に固定されたストッパにひねり板が回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の蛇昇り防止具。
【請求項4】
ひねり板が平滑面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛇昇り防止具。
【請求項5】
ひねり板の縁を蛇が体で掴みにくい薄さとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蛇昇り防止具。
【請求項6】
ひねり板の長手方向に線状体をひねり板に入れ込むスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蛇昇り防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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