説明

蛍光ランプ、バックライトユニットおよび液晶表示装置

【課題】簡易な構成でランプ外部に紫外線が漏れ出ることを抑制する。
【解決手段】ガラスバルブ(30)内に水銀が封入され、ガラスバルブ(30)の内面に蛍光体層(32)が形成された蛍光ランプ(20)であって、前記蛍光体層(32)は、紫外線により励起されて、それぞれ赤色、緑色及び青色に発光する三種類の赤色蛍光体(32R)、緑色蛍光体(32G)及び青色蛍光体(32B)を含んでおり、前記三種類の蛍光体の内、二種類の蛍光体(32B),(32G)が波長313nmの紫外線を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ及びバックライトユニットに関し、特に蛍光ランプ外部に紫外線が漏れ出ることを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)バックライトユニットは、液晶パネルの背面に取り付けられて、液晶ディスプレイ装置の光源として使用されるものである。バックライトユニットの方式は、大別して、エッジライト方式と直下方式とがある。
この中でも直下方式のバックライトユニットは、光を取り出す液晶パネル側の面が開口した筐体と、筐体内に配置された複数本の冷陰極蛍光ランプを備えている。上記開口は、樹脂製の拡散板、拡散シート、レンズシート等で覆われている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプは、小径のガラスバルブを用いることができるので、薄型化、軽量化が要請されるバックライトユニットに用いられることが多い。また、ガラスバルブの内部には発光物資として水銀が封入されている。
ランプの放電の際には、水銀から輝線スペクトル254nm,313nm,365nmなどにピークを有する紫外線が放射される。これらの紫外線の一部は、ガラスバルブ外部に通り抜け、バックライトユニットの構成部材に照射される。このため、拡散板などの樹脂製の部材が、紫外線の影響により劣化・変色して透明性・透光性が低下し、その結果バックライトユニットの表面輝度が低下し装置としての寿命に達してしまうという問題がある。
【0004】
なお、特に影響が大きいのは、波長254nm,313nmの紫外線である。365nmの紫外線はさほど影響ないと考えられている。
これに関して、特許文献1では、ガラスバルブの内壁面に、酸化チタンなどの金属酸化物からなる被膜を形成することにより、紫外線をランプ外部に漏れ出ることを抑制できるとした冷陰極蛍光ランプが開示されている。
【0005】
(2)一般に、冷陰極蛍光ランプ等の蛍光ランプでは、ガラスバルブ等からなる透光性容器の内面に蛍光体を含む蛍光体層が形成されている。
このガラスバルブ内には、水銀と、一種以上の希ガスを含む可電離性のガスが充填されている。ガラスバルブ内には、ガラスバルブの両端近傍において電極が配置されている。
この電極間で陽光柱放電が開始されると、ガラスバルブ内の水銀が励起および電離され、水銀の励起に伴って共鳴線(波長185nm、254nm、313nm、365nm)が発生する。
【0006】
この共鳴線は、ガラスバルブ内面に形成された蛍光体層により可視光に変換される。
近年、環境保護の観点から、蛍光ランプに使用される水銀量を削減する要請が高まっている。そのため、ガラスバルブ内の水銀消費量を抑制する技術の開発が求められている。しかし、蛍光ランプ内の水銀は、下記現象が原因で使用時間の経過とともに次第に消費されることが知られている。蛍光ランプを点灯すると、水銀はガラスバルブ内へ拡散したり、ガラスバルブから蛍光体へ拡散したナトリウム(Na)と反応してアマルガムを形成したり、蛍光体へ吸着されることにより消費される。消費された水銀は可視光を吸収し易く、輝度の低下原因の1つとなる。
【0007】
図21には、水銀消費の問題を解決しようとする構造を有する従来の蛍光ランプの蛍光体層の部分断面を示している(例えば、特許文献2,3参照)。図21に示すように、蛍光体層500は、ガラスバルブ530上に、蛍光体粒子520が堆積して形成されており、蛍光体粒子520の表面の一部は金属酸化物510により覆われている。金属酸化物510は、隣り合う蛍光体粒子間に配置されてこれら連結しており、蛍光体粒子間の空隙を狭小化している。この金属酸化物510の存在により、蛍光体層500内に侵入する水銀が減少され、蛍光体への吸着等による水銀の消費が抑制されている。
【特許文献1】特開2003-7252号公報
【特許文献2】国際公開第WO2002/047112号パンフレット
【特許文献3】特開2004−6399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記(1)のように、上記金属酸化物の被膜を形成したランプでは、被膜形成のための工程が必要となるため、その分手間を要することとなる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でランプ外部に紫外線が漏れ出ることを抑制することが可能な蛍光ランプ、及びこの蛍光ランプを備えたバックライトユニットを提供することを第1の目的としている。
【0009】
また、上記(2)のようなランプにおいては、金属酸化物510は塊状であるため、蛍光体層によって変換された光が、上記塊状をした金属酸化物510によって遮られてしまいガラスバルブ530の外側に透過し難い。したがって、上記従来の蛍光ランプには、水銀の消費を抑制できる反面、初期輝度が低くなるという問題がある。
本発明は、水銀の消費の抑制と高輝度との両立がなされた蛍光ランプ等を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプは、ガラスバルブと、前記ガラスバルブに封入された水銀と、前記ガラスバルブの内面に形成された蛍光体とを有する蛍光ランプであって、前記ガラスバルブは、アルカリ金属酸化物の含有率が3mol%以上20mol%以下の範囲内であり、前記蛍光体層は、紫外線により励起されて、それぞれ赤色、緑色及び青色の光に変換する三種類の赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子及び青色蛍光体粒子を含み、
前記三種類の蛍光体粒子の内、少なくとも二種類の蛍光体粒子が波長313nmの紫外線を吸収する特性を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、放電時に発生する波長313nmの紫外線は、蛍光体層において吸収されるため、従来のように、別途紫外線防止用の被膜を形成することなく、ランプ外部に波長313nmの紫外線が漏れ出ることを防止できる。このため、本発明に係る蛍光ランプを、例えばバックライトユニットに用いた場合、バックライトユニットの構成部材における波長313nmの紫外線による劣化を抑制できつつ、暗黒始動性を改善することができる。
【0012】
また、波長313nmの紫外線を吸収する二種類の蛍光体粒子の一は青色蛍光体粒子であり、当該青色蛍光体粒子はユウロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体の粒子であることを特徴とする。
また、波長313nmの紫外線を吸収する二種類の蛍光体粒子の一は緑色蛍光体粒子であり、当該緑色蛍光体粒子はユウロピウム,マンガン付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体の粒子であることを特徴とする。
【0013】
また、波長313nmの紫外線を吸収する二種類の蛍光体粒子は、前記三種類の蛍光体粒子に対する重量組成比率で50%以上であることを特徴とする。
この構成によれば、確実に、ランプ外部に波長313nmの紫外線が漏れ出ることを防止できる。
また、前記蛍光体層の厚みが、14μm〜25μmであることを特徴とする。
また、前記ガラスバルブは、波長254nmの紫外線を吸収する特性のホウケイ酸ガラスであることを特徴とする。
【0014】
また、前記蛍光体粒子の間及びその表面に酸化イットリウム保護膜が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係るバックライトユニットは、前記蛍光ランプを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る液晶表示装置は、液晶ディスプレイパネルと、前記バックライトユニットとを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る直下方式のバックライトユニットは、複数本の前記蛍光ランプと、光取り出し側に配置されるポリカーボネイト樹脂製の拡散板とを備えることを特徴としている。
また、上記第2の目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は、前記蛍光体粒子の粒子間を架橋し、金属酸化物材料を含む棒状体を有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、蛍光体層に含まれる蛍光体粒子が、金属酸化物を含んだ棒状体によって架橋されるので、蛍光体層によって変換された光がガラスバルブの外側に透過し易い。蛍光体層内への水銀の浸入は、棒状の金属酸化物によって抑制でき、蛍光体への吸着等による水銀の消費も抑制できる。よって、係る構成によれば、水銀の消費の抑制と高輝度との両立がなされた蛍光ランプ提供できる。
【0017】
また、前記蛍光体粒子の内の、隣接する一対の蛍光体粒子は、複数の前記棒状体によって架橋されていることを特徴とする。
また、前記棒状体の太さは、1.5μm以下であることを特徴とする。
また、前記金属酸化物は、Y,La,Hf,Mg,Si,Al,P,B,VおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記金属酸化物は、Y23を含むことを特徴とする。
また、前記ガラスバルブの内径は、1.2mm〜13.4mmであることを特徴とする。
また、本発明に係る蛍光ランプの製造方法は、蛍光体粒子が溶媒に分散され、かつ金属化合物が前記溶媒に溶解された塗料を、透光性容器の内面に塗布し、塗布された前記塗料に含まれる溶媒を気化した後、前記塗料を加熱して、前記金属化合物を金属酸化物とし前記蛍光体粒子が前記金属酸化物を含む棒状体によって架橋された蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、前記蛍光体層の形成後に、前記透光性容器内に水銀を封入する水銀封入工程とを含み、前記溶媒が、沸点の異なる2種以上の溶媒を含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記金属化合物は、有機金属化合物であることを特徴とする。
また、前記有機金属化合物は、カルボン酸イットリウムを含むことを特徴とする。
また、前記蛍光体層形成工程において、前記溶媒の気化を、前記透光性容器内に25℃における湿度が10%〜40%の気体を供給しながら行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
1.実施の形態1
1.1 冷陰極型蛍光ランプの構成
図1を参照しながら本実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプ20の構成について説明する。図1は、冷陰極型蛍光ランプ20の概略構成を示す一部切欠図であり、蛍光体層の一部拡大図である。
【0021】
冷陰極型蛍光ランプ20は、略円形横断面で直管状をしたガラスバルブ30を有する。このガラスバルブ30は、例えば、ホウケイ酸ガラスからなる。なお、ガラスバルブ30のサイズは、長さ720mm、外径4.0mm、内径3.0mmである。
なお、ホウ珪酸ガラスに限らず、鉛ガラス、鉛フリーガラス、ソーダガラス等を用いてもよい。この場合に、暗黒始動性が改善できる。すなわち、上記したようなガラスは、酸化ナトリウム(NaO)に代表されるアルカリ金属酸化物を多く含み、例えば、酸化ナトリウムの場合はナトリウム(Na)成分が時間の経過とともにガラスバルブ内面に溶出する。ナトリウムは電気陰性度が低いため、(保護膜の形成されていない)ガラスバルブ内側端部に溶出したナトリウムが、暗黒始動性の向上に寄与するものと思われるからである。
【0022】
また、自然環境保護を考慮した場合、鉛フリーガラスを用いるのが好ましい。ただ、鉛フリーガラスは、製造過程で不純物として鉛を含んでしまう場合がある。そこで、0.1wt%以下といった不純物レベルで鉛を含有するガラスも鉛フリーガラスと定義することと
する。
なお、内径は1.2mm〜5.5mm、外径は1.6mm〜6.5mmが好ましい。
【0023】
ガラスバルブ30の端部には、ビードガラス23を介してリード線21が封着されている。このリード線21は、例えば、タングステンからなる内部リード線と、ニッケルからなる外部リード線とからなる継線であり、内部リード線の先端部には冷陰極型の電極22が固着されている。
なお、ビードガラス23とガラスバルブ30とは融着されていると共に、ビードガラス23とリード線21とはフリットガラスによって固着されることで、ガラスバルブ30の内部が気密にされている。また、電極22とリード線21とは、例えばレーザ溶接等を利用して固着されている。
【0024】
電極22は、有底筒状をしたいわゆるホロー型電極である。ここで、ホロー型の電極を採用した理由は、ランプ点灯時の放電によって生じる電極におけるスパッタリングの抑制に有効だからである。
ガラスバルブ30の内部には、水銀が、ガラスバルブ30の容積に対して所定の比率、例えば、0.6(mg/cc)で封入され、また、アルゴン、ネオン等の希ガスが所定の封入圧、例えば、60(Torr)で封入されている。
【0025】
なお、ここでは、希ガスは、アルゴンとネオンの混合ガスが用いられ、これらの比率は、Arが5%、Neが95%である。
蛍光体層32は、水銀から放射された紫外線により励起され、それぞれ赤色・緑色・青色の光に変換する三種類の蛍光体32R,32G,32Bを含んでいる。
図2は、三種類の蛍光体の物質名と、波長313nm紫外線の吸収の有無、組成重量比率を示す表であり、図2(a)は従来技術に係る蛍光体を例示し、図2(b)は本実施の形態に係る蛍光体を示している。
【0026】
図2(a)に示すように、例示した従来の蛍光体は、青色蛍光体として、BaMgAl1627:Eu2+(BAM,ユウロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体)、緑色蛍光体として、LaPO:Ce3+,Tb3+(LAP)、赤色蛍光体として、Y:Eu3+(YOX)が用いられている。この三種類の蛍光体の内、青色蛍光体のBAMのみが波長313nmの紫外線を吸収する性質を有している(波長313nmの紫外線で励起される。)。
【0027】
三種類の蛍光体の組成重量比率は、要求される色温度などにより定められるが、BAMの組成重量比率は高々40%程度である。このため、従来の冷陰極蛍光ランプは、ガラスバルブ外部に波長313nmの紫外線が漏れ出てしまうという問題がある。
これに対して、図2(b)に示すように、本実施の形態に係る蛍光体は、例示した従来のものとは異なり、緑色蛍光体粒子として、BaMgAl1627:Eu2+,Mn
2+(BAM:Mn2+、ユウロピウム,マンガン付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体)が用いられている。この緑色蛍光体も青色蛍光体のBAMと同様に波長313nmの紫外線を吸収する性質を有する。このように、二種類の蛍光体粒子が、波長313nmの紫外線を吸収する性質を有するので、波長313nmの紫外線を蛍光体層32において吸収し(紫外線がガラスバルブ30に到達することを防止し)、紫外線、ガラスバルブ30の外部(冷陰極蛍光ランプ20の外部)に波長313nmの紫外線が漏れ出ることを防止できる。
【0028】
また、図1の下部拡大図に、波長313nmの紫外線を黒塗り矢印で示している。波長313nmの紫外線は、ガラスバルブ30に到達することなく、蛍光体層32においてほぼ遮断されることとなる。このため、ガラスバルブ30のソラリゼーションも抑制することができる。
1.2 波長313nmを吸収する蛍光体の好適な割合について
次に、波長313nmを吸収する蛍光体の総重量に対する割合が、紫外線遮断効果に与える影響について調べた実験について説明する。
【0029】
図3に、本実験結果のグラフを示す。グラフの横軸は波長313nmを吸収する蛍光体粒子全量の、全蛍光体粒子の総量に対する重量百分率(%)であり、縦軸は波長313nmの放射強度(任意単位)である。
実験は、図1を用いて説明した冷陰極蛍光ランプ20と同様の構成をしたランプ(外径3mm,内径2mm)を、6mAの一定電流で点灯させた場合に、ランプの長手方向の中央部においてランプ外に放射される313nmの強度を測定することによって行った。
【0030】
測定に用いたランプの蛍光体層の膜厚(この膜厚の測定方法は後述。)は、14μm〜25μmであった。
図3のグラフに示すように、313nmを吸収する蛍光体の重量組成比率を高くするにつれて遮断の効果が大きくなり、特にその比率が50%以上となると顕著にランプ外へ313nm紫外線が漏洩することを防止できたことがわかる。
【0031】
なお、グラフ上は上記比率が50%以上になると313nmの放射強度はゼロとなっているように見えるが、実際には放射強度が完全にゼロになるわけではなく、微量の放射強度が測定された。
また、本実施の形態において313nmを吸収する蛍光体とは、254nm付近の励起波長スペクトル(励起波長スペクトル:蛍光体を波長変化させながら励起発光させ、励起波長と発光強度をプロットしたものであり、最大ピーク高さの励起波長100と相対値を示すものである。)の強度を100%としたときに、313nmの励起波長スペクトルの強度が80%以上のものと定義する。即ち、上記313nmを吸収する蛍光体は、313nmを吸収して可視光に変換できる蛍光体である。
【0032】
なお、図2(b)に示すように313nmを吸収する特性の青色及び緑色蛍光体を用いた場合の、蛍光体の重量組成比率の上限は90%である。もっとも、この上限値は、3色の蛍光体を混合したときの設定すべき色範囲に応じて変化し得る。
1.3 外部電極型蛍光ランプの構成
本発明は、冷陰極蛍光ランプのみならず、外部電極型の蛍光ランプにも適用することが可能である。
【0033】
図4は、本実施の形態に係る外部電極型蛍光ランプ50の構成を示す図であって、図4(a)は外部電極型蛍光ランプの概略図であり、図4(b)は、外部電極型蛍光ランプ50の端部を、管軸を含む平面で切断したときの拡大断面図である。
図4(a)に示すように、外部電極型蛍光ランプ50は、直管円筒状のガラス管の両端が封止されてなるガラスバルブ60と、このガラスバルブ60の両端部外周に形成された外部電極51,52とを備える。
【0034】
ガラスバルブ60は、例えば、ホウ珪酸ガラスからなり、その横断面形状は、略円状をしている。外部電極51,52は、アルミニウムの金属箔からなり、例えば、シリコーン樹脂に金属粉体を混合した導電性粘着剤によって、ガラスバルブ60の外周を覆うように貼着されている。
なお、ホウ珪酸ガラスに限らず、鉛ガラス、鉛フリーガラス、ソーダガラス等を用いてもよい。この場合に、暗黒始動性が改善できる。すなわち、上記したようなガラスは、酸化ナトリウム(NaO)に代表されるアルカリ金属酸化物を多く含み、例えば、酸化ナトリウムの場合はナトリウム(Na)成分が時間の経過とともにガラスバルブ内面に溶出する。ナトリウムは電気陰性度が低いため、(保護膜の形成されていない)ガラスバルブ内側端部に溶出したナトリウムが、暗黒始動性の向上に寄与するものと思われるからである。
【0035】
特に、外部電極をガラスバルブ端部外周面に覆うように形成した外部電極型蛍光ランプでは、ガラスバルブ材料におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、3mol%以上20mol%以下が好ましい。
例えば、アルカリ金属酸化物が酸化ナトリウムの場合、その含有率は、5mol%以上2
0mol%以下が好ましい。5mol%未満であると暗黒始動時間が1秒を超える確率が高くなり(換言すると、5mol%以上であれば暗黒始動時間が1秒以内になる確率が高くなる)
、20mol%を超えると、長時間の使用によりガラスバルブが白色化して輝度の低下を招
いたり、ガラスバルブの強度が低下したりするなどの問題が生じるからである。
【0036】
また、自然環境保護を考慮した場合、鉛フリーガラスを用いるのが好ましい。ただ、鉛フリーガラスは、製造過程で不純物として鉛を含んでしまう場合がある。そこで、0.1wt%以下といった不純物レベルで鉛を含有するガラスも鉛フリーガラスと定義することと
する。
なお、導電性粘着剤としては、シリコーン樹脂の代わりにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を用いてもよい。また、金属箔を導電性粘着剤でガラスバルブ60に貼着する代わりに、銀ペーストをガラスバルブ60の電極形成部分の全周に塗布することによって外部電極51,52を形成してもよい。さらに、外部電極51,52の形状は、円筒状をしていてもよいし、また、ガラスバルブ60の端部を覆ったキャップ状をしていてもよい。
【0037】
図4(b)に示すように、ガラスバルブ60の内面には、例えば、酸化イットリウム(Y)からなる保護層62が形成されている。保護層62は、ガラスバルブ60内に封入された水銀と、ガラスバルブ60に含まれるナトリウム(Na)とが反応するのを抑制する機能を有している。
保護層62には、蛍光体層64が被着されている。この蛍光体層64は、図4(a)に示すように、外部電極51,52のランプ中央側の端部の位置をBとすると、ガラスバルブ60内においてB−B間に相当する領域に形成されている。
【0038】
蛍光体層64には、青色蛍光体粒子64Bとして、BaMgAl1627:Eu2+(BAM)、緑色蛍光体粒子64Gとして、BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+(BAM:Mn2+)、赤色蛍光体粒子64Rとして、Y:Eu3+(YOX)が用いられている。
1.4 バックライトユニットの構成
本発明に係る冷陰極蛍光ランプ20は、直下方式やエッジライト方式(導光板方式)のバックライトユニットに用いることができる。以下、順に説明する。
【0039】
1.4.1 直下方式のバックライトユニット
図5は、本実施の形態に係る直下方式のバックライトユニット1の構成を示す概略斜視図である。図5においては内部の構造がわかるように前面パネル16の一部を切り欠いて示している。
直下方式のバックライトユニット1は、複数の冷陰極蛍光ランプ20と、光を取り出す液晶パネル側の面だけが開口しており、複数の冷陰極蛍光ランプ20を収納する筐体10と、この筐体の開口を覆う前面パネル16とを備えている。
【0040】
冷陰極型蛍光ランプ20は直管状をしており、本実施の形態では、14本の冷陰極型蛍光ランプ20が、その軸心が水平に延伸する状態で、筐体10の短手方向に並列配置されている。なお、これらの冷陰極型蛍光ランプ20は、図外の駆動回路により点灯される。
筐体10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製であって、その内面11に銀などの金属が蒸着されて反射面が形成されている。なお、筐体は、樹脂以外の材料、例えば、アルミニウム等の金属材料により構成しても良い。
【0041】
筐体10の開口部は、透光性の前面パネル16で覆われており、内部にちりや埃などの異物が入り込まないように密閉されている。前面パネル16は、拡散板13、拡散シート14およびレンズシート15を積層してなる。
拡散板13及び拡散シート14は、冷陰極型蛍光ランプ20から発せられた光を散乱・拡散させるものであり、レンズシート15は、当該シート15の法線方向へ光をそろえるものであって、これらにより冷陰極型蛍光ランプ20から発せられた光が前面パネル16の表面(発光面)の全体に亘り均一に前方を照射するように構成されている。
【0042】
なお、拡散板13の材料は、PC(ポリカーボネイト)樹脂製である。PC樹脂は、耐湿性、機械強度、耐熱性および光透過性に優れており、PC樹脂製の板は吸湿によって反りを生じることがほとんどないため、画面サイズが大型(例えば、17インチ以上)な液晶テレビ用の拡散板に使用されることが多い。
この反面、PC樹脂は、小型液晶テレビ用として使用されるアクリル樹脂製の拡散板と比べると、紫外線の影響により劣化・変色し易いという問題点を有している。
【0043】
本発明者らの検討によれば、アクリル樹脂製の拡散板では、313nmの紫外線による影響はほとんど問題にならない程度であるのに対して、PC樹脂製の拡散板では、313nmの紫外線により著しく劣化・変色する場合があることを確認している。
本実施の形態に係る冷陰極型蛍光ランプ20は、313nm紫外線を吸収する蛍光体を含んでいるため、313nm紫外線の漏洩を防止することができ、特に313nm紫外線により劣化しやすいPC樹脂製の拡散板を用いたとしても、バックライトユニットとしての特性を長時間維持することが可能となる。
【0044】
1.4.2 エッジライト方式のバックライトユニット
図6は、エッジライト方式のバックライトユニット80の概略構成を示す断面図である。
バックライトユニット80は、透光性を有するアクリル樹脂製の導光板82、導光板82の両端面に設けられた2本の冷陰極蛍光ランプ20、冷陰極蛍光ランプ20から放射された光を導光板82側に反射させる反射板84、導光板82の主面(光取り出し側の面)に設けられたシート層86を備えている。
【0045】
このバックライトユニット80の前面には液晶パネル90が配されている。
シート層86は、輝度を向上させるためのプリズムシート[例えば、3M社製のBEF(Brightness Enhancement Firm)]や、視野角拡大を目的とした光拡散シート等の複数のシートが積層されたものである。
シート層86を構成するシートの中には、波長313nmの紫外線による劣化が生じやすい材質が含まれることがある。本実施の形態に係る冷陰極蛍光ランプ20を用いれば、上記劣化を抑制することが可能となる。
【0046】
1.5 その他の事項
1.5.1 波長313nmの紫外線を吸収して励起発光する蛍光体の例
実施の形態においては、青色、緑色の二種類の蛍光体が波長313nmの紫外線を吸収する性質を有していたが、さらに、赤色蛍光体も同様の性質を有するものを用いてもよい。具体的には、赤色蛍光体として、Y(P,V)O:Eu3+または3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+(MFG)を用いることができる。三種類全ての蛍光体が波長313nmの紫外線を吸収する性質を有すると、より効果的にランプ外に波長313nmの紫外線が漏れ出ることを防止できる。
【0047】
また、用いることができる波長313nmの紫外線を吸収する蛍光体の例は次の通りであり、蛍光体の種類の組み合わせに制約はない。
青色蛍光体・・・BaMgAl1627:Eu2+ Sr10(POCl:Eu2+ 、 (Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+ 、 Ba1−x−ySrEuMg1−zMnAl1017(但し、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4,0.07≦y≦0.25,0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦z≦0.5であることが特に好ましい。)
緑色蛍光体・・・BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+ MgGa
:Mn2+ 、 CeMgAl1119:Tb3+
赤色蛍光体・・・YVO4:Eu3+ 、 YVO:Dy3+(緑と赤の発光)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いるとしてもよい。例えば、青色にBAMのみ、緑色にLAP(313nmを吸収しない。)とBAM:Mn2+、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO4:Eu3+の蛍光体を用
いても構わない。このような場合においては、前述のように波長313nmを吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50%より大きくなるように調整することで、確実に紫外線がガラスバルブ外部に漏れ出ることを防止できる。
【0048】
1.5.2 蛍光体層の膜厚について
実施の形態で述べたように、蛍光体層32(図1参照)の膜厚は、14μm〜25μm(より好ましくは、16μm〜22μm。)であることが好ましい。
ここでいう膜厚は、SEM(走査型電子顕微鏡)でガラスバルブ30を横断面を観察した場合において、中心点から例えば0度、90度、180度、270度といった任意の4方向の部位における膜厚値(各部位の蛍光体層に凹凸が見られるときは、最も厚い部分を膜厚値とする。)の平均値である。
【0049】
膜厚が14μm未満であると、ガラスバルブ30内で発生する紫外線の、可視光に変換されることなくそのままガラスバルブ外へ抜ける割合が高くなり、十分な変換効率が得られないからである。また、膜厚が25μmより厚いと、蛍光体層32に遮られる光の割合が高くなり、必要な変換効率が得られなくなるからである。
1.5.3 波長254nmの紫外線について
実施の形態においては、特に詳細を述べなかったが、波長254nmの紫外線もバックライトユニットの構成部材を劣化させることがある。このような事態を避けるために、本実施の形態におけるガラスバルブ30(図1参照)は、波長254nmの紫外線を吸収する性質のホウケイ酸ガラスを用いている。
【0050】
上記性質は、遷移金属の酸化物をその種類によって所定量をドープすることにより実現することができる。例えば、酸化チタン(TiO)の場合には、組成比率0.05mol%程度以上ドープすることにより上記性質を実現することができる。ただし、酸化チタンの組成比率が5.0mol%より多い場合には、ガラスが失透してしまうため、組成比率0.0
5mol%以上5.0mol%以下程度ドープすることが好ましい。
【0051】
また、酸化セリウム(CeO)の場合は、組成比率0.05mol%以上程度ドープすることにより上記性質を実現することができる。ただし、酸化セリウムの組成比率が0.5mol%より多い場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化セリウムを組成比率0.05mol%以上0.5mol%以下程度ドープすることが好ましい。なお、酸化セリウムに加えて酸化スズ(SnO)をドープすることにより、酸化セリウムによるガラスの着色を抑えることができるため酸化セリウムを組成比率5.0mol%以下までドープすることができる。ただし、この場合においても酸化セリウムが組成比率5.0mol%より多い場合には、ガラスが失透してしまう。
【0052】
また、酸化亜鉛(ZnO)の場合は、組成比率2.0mol%以上程度ドープすることにより上記性質を実現することができる。ただし、酸化亜鉛の組成比率が10mol%より多い
場合には、ガラスの膨張係数が大きくなり、リード線にタングステン(W)を用いてた場合にリード線(タングステンの熱膨張係数44×10ー7ー1)とガラスの熱膨張係数に差異が生じ封着が困難となるため、酸化亜鉛を2.0mol%以上10mol%程度ドープす
ることが好ましい。
【0053】
また、酸化鉄(Fe)の場合には、組成比率0.01mol%以上程度ドープすることにより上記性質を実現することができる。ただし、酸化鉄の組成比率が2.0mol%より多い場合には、ガラスが着色してしまうため、酸化鉄を0.01mol%以上2.0mol%程度ドープすることが好ましい。
1.5.4 蛍光体層の形成方法について
本実施の形態においては、青色蛍光体としてBAM蛍光体を用いている。この蛍光体は、シンター工程において特に劣化しやすいことが知られている。
【0054】
そこで、次に、シンター工程におけるBAM蛍光体の劣化を抑制できる蛍光体層の形成方法について述べる。
一般に、蛍光体層は、(A)蛍光体サスペンション(蛍光体懸濁液)の調整、(B)ガラスバルブへのサスペンションの塗布、(C)乾燥、(D)シンター(焼成)、の工程を経て形成される。
【0055】
本発明者らの検討によると、上記シンター工程におけるBAM蛍光体の劣化は、温度300℃〜500℃のシンター工程時に、この蛍光体へ水分が吸着して、蛍光体が劣化することが原因であることがわかった。
なお、200℃〜300℃程度に再加熱することで、蛍光体に吸着した水分をある程度は除去できるが、再加熱後に、例えば室温まで温度が低下すると、再び水分が吸着することがあり十分な効果が得られない。
【0056】
本発明者らの検討によると、この問題の解決方法として、上記(A)の調整工程において、蛍光体サスペンションにカルボン酸金属塩を蛍光体に付着させる調整を行い、(D)のシンター工程において、熱分解温度範囲が300℃〜600℃であるカルボン酸金属塩を水分と反応させて金属酸化物へと化合させれば良いとわかった。
上記カルボン酸金属塩としては、カプリル酸イットリウム、2-エチルヘキサン酸イッ
トリウム、オクチル酸イットリウムが好ましい。
【0057】
例えばカプリル酸イットリウムを用いた場合の、上記シンター工程におけるカプリル酸Yの反応の変遷を示す反応式は次のようになる。
Y(C15COO)+ H
→ Y-(OH)+3C15COOH
→ Y+HO+CO
カプリル酸イットリウムは、シンター工程中、蛍光体への水分吸着が起こる温度領域において、水分を吸収して酸化イットリウムを形成するため、シンタ時における蛍光体への水分吸着を防止することができる。また、蛍光体表面の水分吸着しやすい部分と反応して、当該部分に酸化イットリウムの被膜を形成する(この被膜については図8を用いて後述する)。
【0058】
このため、蛍光体表面に水分が再付着することも著しく軽減することができる(例えば、シンターが終わった後、室温中で放置しても水分の吸着はほとんど生じない。)。
続いて、カプリル酸Yを用いた場合の、蛍光体層の水分残留の程度を調べた実施例について述べる。
図7は、このシンターの過程におけるOH基の量(水分残留量)の時間変化を示すグラフを示す図である。カプリル酸Yを実線で、Yアルコキシドを破線で示している。水分残留量は、FT−IR分光分析装置を使用し、OH基吸収帯[4300(1/cm)]における吸光度の大きさにより評価した。それぞれ化合物は酢酸ブチル溶解した。そして、シリコンウエハ上に膜厚0.1μmとなるようにスピンコートして、100℃で30分間乾燥した。その後、シンター時の温度550℃で残留水分量の時間変化を調べた。
【0059】
図7に示すように、カプリル酸Yを用いた場合には、数分間という極めて短時間で水分が除去できた。このことは、本願発明における製法が、ランプ量産における蛍光体焼き付け工程で成膜が可能であることを意味する。
Yアルコキシドを用いた場合に、水分残留量が低減できなかったのは、加水分解反応時に、金属原子であるイットリウム(Y)がOH基の攻撃を受けることが原因となったものと考えられる。
【0060】
これに対して、カプリル酸Yを用いた場合には、イットリウム(Y)に結合した有機官能基がOH基に対する立体障害として効果的に作用し、イットリウムとOH基との反応を抑制できたものと考えられる。
以上説明した蛍光体層の形成方法によれば、従来よりHgの吸着等により輝度維持率の低下が大きいとされていたBAM系蛍光体をより多く含んでも長寿命でかつ高輝度維持率のランプが実現できる。
【0061】
本願発明者らが確認したところ、3000hrsで5〜10%の輝度維持率の改善が確認できている。
また、3000hrsでの色シフト(色度x,yの変化量)は1/2まで低減でき、長時間使用しても色再現性が劣化することを防止できる。
上記蛍光体層の形成方法は、BAM系の蛍光体に限らず、他の種類の蛍光体についても適用でき同様の特性改善の効果を得られる。
【0062】
次に、上述の蛍光体層の形成方法によって、形成された焼成工程を経た後の、蛍光体層の状態について説明する。
図8は、形成された蛍光体層の断面を示す図である。図8は、図1に対応しており、冷陰極蛍光ランプ20の蛍光体層を示している。
ガラスバルブ72の内面の蛍光体層73は、蛍光体粒子74と蛍光体粒子74の粒子間や表面を覆う酸化イットリウム被膜(保護膜)76とからなる。
【0063】
酸化イットリウム被膜76は、蛍光体層73の表面を覆うと共に、蛍光体粒子74の表面を覆い、蛍光体粒子74間を橋掛けている。
この酸化イットリウム被膜76は、ランプ内に封入された水銀を蛍光体粒子74やガラスバルブ72から隔離する作用を有する。
このため、蛍光体粒子74が水銀と化学的に反応して劣化することや、ガラスバルブ72に水銀が吸着して放電空間内の水銀が消費されることを防止することができる。

2.実施の形態2
以下、本実施の形態について説明する。
【0064】
2.1 蛍光ランプの構成と製造方法の概要
本発明の蛍光ランプの一例では、蛍光体粒子間方向の長さが径方向の長さより長い棒状体の太さは1.5μm以下である。また、隣接する一対の蛍光体粒子が複数の棒状体によって架橋されている場合もある。ここで、棒状体の「太さ」は、高分解能走査顕微鏡(HRSEM)で観察したときに見える、棒状体の長手方向長さ(棒状体によって架橋される蛍光体粒子間方向の長さ)の2分の1の箇所における太さを意味する。
【0065】
金属酸化物は、具体的には、Y,La,Hf,Mg,Si,Al,P,B,VおよびZrから選ばれる少なくとも一種を含んでいると好ましい。特に好ましい金属はYである。金属酸化物が、Yの酸化物として例えばY23を含むと、よりいっそう水銀消費が少なくなる。
本発明の蛍光ランプの一例では、透光性容器は管状ガラスであり、その内径は1.2mm〜13.4mmと小さい。このように内径が小さい蛍光ランプに対して、金属酸化物からなる棒状体によって架橋された蛍光体粒子を含む蛍光体層を採用することは、非常に有益である。
【0066】
本発明の蛍光ランプの製造方法の一例では、金属化合物として、例えば、カルボン酸イットリウム等の有機金属化合物を用いると好ましい。この場合、蛍光体層形成工程における溶媒の気化を、透光性容器内に25℃における湿度(相対湿度)が10%〜40%の気体を供給しながら行うと好ましい。透光性容器内の湿度が低すぎると、その理由は明らかではないが、蛍光体層の厚み等の均一性が悪くなり、高すぎると、溶媒の気化に時間がかかりすぎ生産効率が悪くなる。溶媒の気化を、透光性容器内に25℃における湿度が10%〜40%の気体を供給しながら行えば、均一性が優れた蛍光体層を効率的に形成できる。溶媒を気化する際の雰囲気温度は、塗料に含まれる溶媒の種類によって異なるが、通常25℃〜50℃が適当である。
【0067】
本発明の蛍光ランプの一例は、例えば、発光装置を構成する光源として好ましく用いられる。上記発光装置の一例は、例えば、本発明の蛍光ランプの一例を複数備え、これらは、蛍光ランプが放つ光を透過させることが可能な窓部を備えた外囲器内に収納されている。
上記発光装置の一例は、例えば、液晶ディスプレイ装置等の表示装置を構成するバックライトユニットとして好ましく用いられる。上記液晶ディスプレイ装置の一例では、例えば、ディスプレイパネルの背面に上記発光装置が配置される。
【0068】
2.2 冷陰極型蛍光ランプの構成
以下、図面を参照しながら冷陰極型蛍光ランプの構成について具体的に説明する。図9は、本実施形態の蛍光ランプの一例を示した断面図であり、図10は、図9に示した蛍光ランプを構成する蛍光体層の拡大概念図である。
図9に示すように、冷陰極型蛍光ランプ100において、円形断面を有するガラスバルブ(透光性容器)104の両端部は、それぞれリード線103で気密封止されており、リード線103のガラスバルブ104内に在る端部には、それぞれ、電極106が接合されている。ガラスバルブ104内面の所定の領域には、蛍光体層102が形成されている。
【0069】
図10に示すように、蛍光体層102は、蛍光体粒子102aを含み、蛍光体粒子同士は金属酸化物を含んだ棒状体102bによって互いに架橋されている。棒状体102bの太さは、例えば1.5μm以下である。隣接する一対の蛍光体粒子102aが複数の棒状体102bによって架橋されている場合もある。この棒状体102bの存在により、蛍光体粒子102a間の間隙が狭小化しており、蛍光体層102の内部への水銀の浸入が抑制されている。
【0070】
よって、蛍光体粒子102aへ吸着することによる水銀の消費が抑制されている。
また、蛍光体粒子102a間に配置され、蛍光体粒子102a同士を架橋する金属酸化物は棒状であるので、蛍光体層102によって変換された光はガラスバルブ104の外側に透過し易い。
以上のことより、本実施形態の蛍光ランプ1は、後述の実施例でも示すように、水銀の消費の抑制と高輝度との両立がなされている。
【0071】
金属酸化物は、具体的には、例えば、Y,La,Hf,Mg,Si,Al,P,B,VおよびZrから選ばれる少なくとも一種を含んでいると好ましい。なかでも、Zr,Y,Hf等は、酸素原子との結合エネルギーが10.7×10-9Jを超えるので好ましい。10.7×10-9Jは、水銀の励起に伴って発生する共鳴線のうちの波長185nmの紫外線が有する光量子エネルギーに相当する。酸素原子との結合エネルギーが10.7×10-9Jを超える金属を含む金属酸化物、例えば、ZrO2,Y23,HfO2を用いれば、波長185nmの紫外線の照射に対する金属酸化物の耐久性が向上する。また、金属酸化物がY23を含むと、よりいっそう水銀消費が少なくなり好ましい。
【0072】
金属酸化物として、例えば、SiO2,Al23,HfO2を用いてもよい。これらは波長254nmの光の透過率がほぼ100%と高い。蛍光体は254nmの光を受けて発光する。よって、波長254nmの光の透過率が高い金属酸化物を用いれば、発光効率が高くなり好ましい。
なお、棒状体102bは、針状体とも言い得る。
【0073】
尚、波長254nmの光の透過率は、ZrO2については約95%であり、V25,Y23,NbO5については約85%である。Y23、ZrO2については、波長200nm
以下の光の透過率が低く、それぞれ、30%未満、20%未満である。そのため、これらは、蛍光体を劣化させる波長185nmの光の遮断効果が大きく好ましい。
蛍光体層102は、例えば、ガラスバルブ104の両端部の内面を残してガラスバルブ104の内面に形成される。ガラスバルブ104の端面から蛍光体層102までの距離Mについて、特に制限はないが、例えば、4mm〜7mmが適当である。
【0074】
蛍光体層102に含まれる蛍光体の組成は、例えば、青色蛍光体として、BaMgAl1627:Eu2+(BAM)、緑色蛍光体粒子として、BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+(BAM:Mn2+)、赤色蛍光体として、Y:Eu3+
YOX)が用いられている。
なお、蛍光体層102に含まれる蛍光体の組成については、波長313nmの紫外線を吸収する蛍光体を2種類以上含んでいれば、特に制限はない。用いる事ができる波長313nmの紫外線を吸収する蛍光体の例は次の通りである。
【0075】
青色蛍光体・・・BaMgAl1627:Eu2+ Sr10(POCl:Eu2+ 、 (Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+ 、 Ba1−x−ySrEuMg1−zMnAl1017(但し、x,y,zはそれぞれ0≦x≦0.4,0.07≦y≦0.25,0.1≦z≦0.6なる条件を満たす数であり、zは0.4≦z≦0.5であることが特に好ましい。)
緑色蛍光体・・・BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+ MgGa
:Mn2+ 、 CeMgAL1119:Tb3+
赤色蛍光体・・・YVO4:Eu3+ 、 YVO:Dy3+(緑と赤の発光)
なお、一種類の発光色に対して、異なる化合物の蛍光体を混合して用いるとしてもよい。例えば、青色にBAMのみ、緑色にLAP(313nmを吸収しない。)とBAM:Mn2+、赤色にYOX(313nmを吸収しない。)とYVO4:Eu3+の蛍光体を用
いても構わない。このような場合においては、前述のように波長313nmを吸収する蛍光体が、総重量組成比率で50%より大きくなるように調整することで、確実に紫外線がガラスバルブ外部に漏れ出ることを防止できる。
【0076】
蛍光体層102は、蛍光体粒子および金属酸化物以外に、必要に応じて増粘剤や結着剤等を含んでいてもよい。
ガラスバルブ104の材料は、例えば、下記組成の硬質ホウケイ酸ガラスである。
SiO2 68〜77%
Al23 1〜6%
23 14〜18%
Li2O 0〜0.6%
Na2O 1〜5%
2O 1〜6%
MgO 0.3〜0.6%
CaO 0.6〜1%
SrO 0〜0.05%
BaO 0〜1.3%
Sb23 0〜0.7%
As23 0〜0.2%
TiO2 0.4〜6%
ZrO2 0〜0.2%
なお、ホウ珪酸ガラスに限らず、鉛ガラス、鉛フリーガラス、ソーダガラス等を用いてもよい。この場合に、暗黒始動性が改善できる。すなわち、上記したようなガラスは、酸化ナトリウム(NaO)に代表されるアルカリ金属酸化物を多く含み、例えば、酸化ナトリウムの場合はナトリウム(Na)成分が時間の経過とともにガラスバルブ内面に溶出する。ナトリウムは電気陰性度が低いため、(保護膜の形成されていない)ガラスバルブ内側端部に溶出したナトリウムが、暗黒始動性の向上に寄与するものと思われるからである。
【0077】
特に、外部電極をガラスバルブ端部外周面に覆うように形成した外部電極型蛍光ランプでは、ガラスバルブ材料におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、3mol%以上20mol%以下が好ましい。
例えば、アルカリ金属酸化物が酸化ナトリウムの場合、その含有率は、5mol%以上2
0mol%以下が好ましい。5mol%未満であると暗黒始動時間が1秒を超える確率が高くなり(換言すると、5mol%以上であれば暗黒始動時間が1秒以内になる確率が高くなる)
、20mol%を超えると、長時間の使用によりガラスバルブが白色化して輝度の低下を招
いたり、ガラスバルブの強度が低下したりするなどの問題が生じるからである。
また、自然環境保護を考慮した場合、鉛フリーガラスを用いるのが好ましい。ただ、鉛フリーガラスは、製造過程で不純物として鉛を含んでしまう場合がある。そこで、0.1wt%以下といった不純物レベルで鉛を含有するガラスも鉛フリーガラスと定義することと
する。
【0078】
ガラスバルブ104の寸法について特に制限はないが、管長Lは、例えば39mm〜1300mmが適当である。ガラスバルブ104がホウケイ酸ガラスからなる場合、コスト等を考慮すると、その内径は1.2mm〜3.8mmが好ましく、外径は1.8mm〜4.8mmが好ましい。ガラスバルブ104がソーダガラスからなる場合は、機械的強度等を考慮すると、その内径は3.0mm〜13.4mmが好ましく、外径は4.0mm〜15.0mmが好ましい。
【0079】
このように内径が小さいガラスバルブ104を用いた蛍光ランプ100では、より内径が大きいガラスバルブを用いた蛍光ランプよりも、ランプ電流密度が大きい。このような細径化および大電流化は、水銀の励起に伴って発生する共鳴線のうちの波長185nmの紫外線の放射割合を増大させる。特に、短波長側共鳴線は蛍光体を劣化させるので、短波長側共鳴線の放射割合の増大は、点灯時間に伴う輝度の低下割合を大きくする。また、水銀の消費割合も増大させ、さらに輝度の低下割合を大きくする。
【0080】
そのため、蛍光体粒子が棒状の金属酸化物によって架橋された構造の蛍光体層の採用は、ガラスバルブ104の内径が例えば1.2mm〜13.4mmと小さい蛍光ランプ100に対して非常に有益である。
ガラスバルブ104内には、例えば、適量の水銀(不図示)と1種または2種以上の希ガスが封入されている。水銀の封入量は、例えば、1mg〜4.8mgが適当である。希ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガス等が用いられる。これらのガスの混合割合は、例えばNeガス90〜95体積%に対してArガス5〜10体積%が適当である。蛍光ランプ1が点灯していない状態でのガス圧は、例えば6.3〜20kPaが適当である。
【0081】
リード線103は、例えば、ガラスバルブ104内に配置された内部リード線103aと、内部リード線103aに接合されガラスバルブ104外に配置された外部リード線103bとからなる。内部リード線103aは、例えばタングステンからなり、外部リード線103bは、例えばニッケルからなる。
電極106は、例えば有底筒状をしており、ホロー型電極とも言われる。電極106は、レーザ溶接等の方法によってリード線103に接合されている。電極106は有底筒状物の内面にエミッタ(図示せず)が保持された構造をしている。有底筒状物は、例えば、NbまたはNi等からなり、エミッタには、例えば、Cs2AlO3等が用いられる。
【0082】
電極106のサイズは、放電に寄与する有効表面積が所望の大きさとなるように設定されるが、例えば、電極106の軸方向の長さNを3.1mm〜5.6mm、内径を1mm〜2.8mmとすればよい。ガラスバルブ104の端面から電極106までの距離Rは、例えば5mm〜8.3mmが適当である。
図11に示すように、蛍光体層102のガラスバルブ104と向い合う面の反対面において、蛍光体粒子102aは露出していないと好ましい。すなわち、蛍光体粒子102aの表面が上記反対面の一部を成さないように、蛍光体粒子102aが蛍光体層102内に埋入された状態にあり、上記反対面は金属酸化物等によって形成されていると好ましい。この場合、蛍光体粒子102aが水銀から隔離され、蛍光体粒子102aへの水銀の吸着がより効果的に抑制される。
【0083】
上記金属酸化物として、波長254nmの光に対する透過率が、例えば、85%以上と高い金属酸化物を用いれば、波長254nmが蛍光体粒子2aに到達して蛍光体粒子を発光させることができる。この場合、金属酸化物は、例えば、SiO2,Ai23,HfO2,ZrO2,V25,Y23,NbO5等であると好ましい。
図11に示すように、ガラスバルブ104と蛍光体層102との間には、連続した金属酸化物層105が形成されていてもよい。この場合も、ガラスバルブ104は水銀から隔離され、水銀がガラスバルブ104に拡散して消費されることを抑制できる。ガラスバルブ104がNaを多く含む例えばソーダガラスからなる場合は、Naと水銀とが反応してアマルガムが生成されることを抑制できる。この金属酸化物層105を構成する金属酸化物は、例えば、Y,La,Hf,Mg,Si,Al,P,B,VおよびZrから選ばれる少なくとも一種が用いられる。金属酸化物層105を構成する金属酸化物は、蛍光体層102に含まれる金属酸化物と同じであってもよいし、異なるものであってもよいが、なかでも、SiO2、Al23等が特に好ましい。
【0084】
以上、本実施の形態に係る蛍光ランプについて、冷陰極型蛍光ランプを例に挙げて説明したが、本発明はこれに制限されず、例えば、外部電極型蛍光ランプ、熱陰極型蛍光ランプ、電球型蛍光ランプ、外部の誘電コイルなどを用いる無電極蛍光ランプ等に対しても同様に適用できる。
2.3 冷陰極型蛍光ランプの製造方法
続いて、上記説明した蛍光ランプの製造方法の一例について説明する。
【0085】
図12に示すように、まず、蛍光体層102を形成するための塗料を調整する。塗料の調整は、溶媒に所定量の蛍光体粒子を分散させ、得られた懸濁液に、所定量の金属化合物を投入して溶解させる。ここで用いる溶媒は、沸点の異なる2種以上の有機溶媒を含んでいる。具体的には、酢酸ブチル(沸点120〜126.5℃),エタノール(沸点78.3℃),メタノール(沸点64.6℃),テレピン油(沸点150〜200℃)等から、沸点の異なる2種以上の溶媒を適宜選択すればよい。
【0086】
2種以上の溶媒の配合割合については、低沸点溶媒100wt%に対して、高沸点溶媒が0.1wt%〜10wt%であると適当であり、2wt%〜6wt%であるとより適当である。低沸点溶媒と高沸点溶媒との配合割合を調整すれば、棒状体の平均太さを所望の値に調整できる。
金属化合物の添加量について特に制限はないが、例えば、金属化合物の反応により得られる金属酸化物が、蛍光体粒子100重量部に対して、0.1〜0.6重量部程度蛍光体層に含まれるように、金属化合物が添加されることが好ましい。金属化合物が反応して得られる金属酸化物が少なすぎると蛍光体層が強度不足となり、多すぎると輝度が不十分となる。金属酸化物が、蛍光体粒子100重量部に対して0.1〜0.6重量部程度含まれるように、金属化合物を添加すれば、強度および輝度の両立がなされた蛍光体層を得ることができる。溶媒の添加量ついても特に制限はないが、例えば、蛍光体粒子100重量部に対して45〜120重量部程度が適当である。
【0087】
塗料は、必要に応じて結着剤や増粘剤等を含んでいてもよい。結着剤としては、例えば、リン系結着剤またはホウ素系結着剤等が、増粘剤等としては、ニトロセルロース等が用いられる。この場合、結着剤の添加量は、例えば、蛍光体粒子100重量部に対して0.1〜2重量部程度が適当であり、増粘剤の添加量は、例えば、蛍光体粒子100重量部に対して0.3〜2.5重量部程度が適当である。
【0088】
次に、塗料をガラス管の内面に塗布する。ガラス管への塗料の塗布は、例えば、直立されたガラス管の上方から液を吸い上げる方法で行う。塗料の塗布量について特に制限はないが、蛍光体層に蛍光体が例えば2〜5mg/cm2含まれるように調整される。
次いで、塗布された塗料に含まれる有機溶媒を気化して、塗料層を乾燥させる。この際、塗料中の溶媒が気化するにつれて、塗料における金属化合物の濃度が上昇し(金属化合物溶液が濃縮され)、やがて金属化合物が蛍光体粒子間に析出する。気化の進行とともに、表面張力により溶液は蛍光体粒子間においてより狭い空隙へと移動していく。その結果、金属化合物は、蛍光体粒子間の間隔が狭い部分に偏って析出する。
【0089】
塗料の乾燥は、例えば、ガラス管を直立させた状態、すなわち、塗料の塗布後ガラス104の姿勢を変化させないで行う。または、直立されたガラス管を回転させながら行ってもよい。
塗料の乾燥は、ガラス管内を溶媒が気化しやすい雰囲気に保持して行えばよい。例えば、気体をガラス管内に連続供給すればよい。気体の供給量について特に制限はないが、供給量が少なすぎると生産性が悪くなり、供給量が多すぎると均一性の高い蛍光体層の形成を阻害してしまう。そのため、気体の供給量は、0を越え64ml/min/cm2が適
当であり、16〜48ml/min/cm2であるとより好ましい。尚、溶媒は完全に除
去される必要はなく、若干残っていてもかまわない。
【0090】
塗料の乾燥は、後述する実施例2において示すように、ガラス管内に25℃における湿度が10%〜40%の気体を供給しながら行うと好ましい。ガラス管内の湿度が低すぎると、その理由は明らかではないが、蛍光体層102の厚み等の均一性が悪くなる。具体的には、塗料が乾燥中にずれ落ちたかのように蛍光体層102に空隙が発生して、これにより蛍光体層102に凹凸が生じる。一方、湿度が高すぎると、溶媒の気化に時間がかかり生産効率が悪くなる。溶媒の気化を、ガラス管内に上記気体を供給しながら行えば、厚み等の均一性が優れた蛍光体層102を効率的に形成できる。また、蛍光体層102の均一性の向上により、輝度ムラの少ない蛍光ランプ100を提供できる。
【0091】
次に、乾燥された塗料を焼成する。焼成温度は、ガラス管内の温度が約600℃〜700℃となるように、例えば、シンター炉、電気炉等を用いて行えばよい。
次に、通常行われているように、ガラス管内を排気した後、ガラス管内に水銀および希ガスを充填し、次いで、ガラス管の両端部を封止してガラスバルブ104を得る。
塗料を構成する金属化合物には、例えば、カルボン酸イットリウム(Y(Cn2n+1
OO)3,n=5〜8)、イットリウムイソプロポキシド(Y(OC373)、テトラエトキシシラン(Si(OC254)等の有機金属化合物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金
属カルボン酸塩、金属β-ジケトナート錯体等を用いることができる。
【0092】
以下に、金属化合物として、カプリル酸イットリウム(Y(C715C00)3)を用いた場合を例に挙げて、金属化合物が金属酸化物となる反応を説明する。
図13に示すように、カプリル酸イットリウムは、加水分解によりカプリル酸基(−OOCC715)が、水酸基(−OH)により置換され、同時にC715COOHが生成される。得られたイットリウム化合物は脱水して重合する。この反応が繰り返された後、重合体は焼成されてアニール処理される。このようにして、カプリル酸イットリウムは酸化イットリウム(Y23)となる。
【0093】
尚、図11に示したように、蛍光体層102のガラスバルブ104と向い合う面の反対面において、蛍光体粒子102aが露出しないようにするためには、例えば、蛍光体層形成用の塗料に含まれる金属化合物等の割合等を調整すればよい。または、蛍光体層形成用の塗料とは別に、蛍光体粒子を含まない上記金属化合物含有塗料を用意し、蛍光体層形成用塗料の乾燥後焼成前に金属化合物含有塗料を塗布して形成してもよい。金属酸化物層105の形成方法についても同様である。金属化合物含有塗料は、例えば、蛍光体層形成用の塗料から蛍光体粒子を除いた残余の成分を含む。
【0094】
2.4 バックライトユニットの構成
外部電極型蛍光ランプを備えた発光装置の一例について説明する。下記に、発光装置の一例として、液晶ディスプレイ(LCD)装置を構成するバックライトユニットを例に挙げて説明する。しかし、本発明の発光装置はこれに限定されず、発光装置を必要とする公知の表示装置のいずれに用いられるものであってもよい。また、下記では、LCDパネルの背面に複数本の蛍光ランプを当該背面に並行に配列する直下方式のバックライトユニットについて説明するが、本実施形態の発光装置は、LCDパネルの背面に置かれた導光板の端面に蛍光ランプを配置するエッジライト方式のバックライトユニットであってもよい。
【0095】
図14は、本実施形態のバックライトユニット110の概略構成を示す平面図であり、図15は、図14のA−A拡大断面図であり、図16は本実施形態のバックライトユニット110の斜視図である。尚、図14および図16では、図15に示した透光板122と、当該透光板122が取り付けられる取り付け枠124等を除いた状態を示している。また、図14〜図16において、各構成部材間の縮尺は統一していない。
【0096】
図14および図15に示すように、バックライトユニット110は、外囲器112を備え、外囲器112内には本発明の蛍光ランプ114の一例が複数本収納されている。蛍光ランプ114は、U字状をした屈曲型の外部電極型蛍光ランプ(EEFL:External Electrodes Fluorescent Lamp)である。
外囲器112は、例えば、反射板118と、反射板118の周縁部から立設された側壁120と、反射板118と対向するように側壁120に取り付けられた取り付け枠124と、透光板122とを備えている。透光板122は、取り付け枠124内に嵌めこまれており、反射板118に対して平行に配置されている。透光板122は、反射板118側(蛍光ランプ114側)から、光拡散板126、光拡散シート128、およびレンズシート130がこの順に積層されて構成されている。取り付け枠124は不透光材料で形成されているので、蛍光ランプ114から発せられた光は、図14において二点鎖線で囲んだ、透光板122が存在する領域から取り出されることとなる。すなわち、透光板122は蛍光ランプ114が放つ光を透過させることが可能な窓部として機能する。
【0097】
蛍光ランプ114は、ガラスバルブ134の両端部分の外周に外部電極136,138が取り付けられ、ガラスバルブ壁をキャパシタンスとして利用する誘電体バリア放電蛍光ランプである。外部電極136,138は、例えば、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔をガラスバルブ134の外周に巻回し、ガラスバルブ表面に金属を蒸着し、または導電性ペーストを塗布し焼成して、形成されている。
【0098】
蛍光体層140は、ガラスバルブ134の内面に形成されている。ただし、ガラスバルブ134内に封入された水銀の著しい消耗を抑制するために、蛍光体層140は、ガラスバルブ134の外部電極136,138と接した部分の内面を避けて形成されている。蛍光体層140の材料およびその形成方法は、前述の冷陰極型蛍光ランプ100における場合と同様である。ガラスバルブ134内には、水銀に加え、放電物質(放電ガス)としてネオンとアルゴンとを含む混合気体が封入されている(いずれも、不図示)。
【0099】
ガラスバルブ134は、U字状に屈曲された屈曲部142と、屈曲部142から平行に延設されてなる第1直線状部144および第2直線状部146を有する。後述する第2コネクタ158の配置位置に合わせて、第2直線状部146は、第1直線状部144よりも長くなっている。
図16に示すように、反射板118上面には、細長い2枚の絶縁板(第1絶縁板148および第2絶縁板150)が略平行して敷設されている。第1絶縁板148および第2絶縁板150は、例えば、ポリカーボネートからなる。尚、本例では、第1絶縁板148および第2絶縁板150に代えて、この2枚の合計面積と同程度の面積を有する1枚の絶縁板を用いてもよい。第1絶縁板148上面には、第1外部電極136に給電するための第1給電部材152が設けられ、第2絶縁板150上面には、第2外部電極138に給電するための第2給電部材154が設けられている。
【0100】
第1給電部材152は、複数の第1コネクタ156と、これら第1コネクタ156を物理的に連結すると共に電気的に接続する第1プレート157とから成る。第1コネクタ156の数は、蛍光ランプ114の数に対応している。第1プレート157は、第1絶縁板148上面に貼着されている。各第1コネクタ156には、外部電極136(以下、外部電極138との区別のために「第1外部電極136」と称する場合もある。)が嵌着されている。第1コネクタ156は、挟持片156a,156bと、両挟持片156a,156bを連結する板状部分(連結部156c)とで構成され、第1コネクタ156以外の残余の板材部分が第1プレート157を構成している。各挟持片156a,156bは、例えば、リン青銅等の導電性材料からなる細長い板材を下記のように加工することにより形成できる。上記板材に、その長手方向に2個連続する長方形の隣り合う一辺を残すように切り込みを入れる。こうして形成された1対の片持片を板材に対してほぼ垂直折り曲げ、各片持片の先端側を蛍光ランプの外周に沿う形に加工する。第1コネクタ156に、第1外部電極136が嵌着される際には、両挟持片156a,156bは、外側に撓み、その復元力によって第1外部電極136が第1コネクタ156に保持される。
【0101】
同様に、第2給電部材154も、複数の第2コネクタ158と、これら第2コネクタ158を物理的に連結すると共に電気的に接続する第2プレート160とから成る。
第1プレート157のうちの、ガラスバルブ134の第2直線状部146と立体交差する領域は、絶縁シート182により覆われている。絶縁シート182は、例えば、ポリカーボネート等の絶縁性材料からなる。
【0102】
図16に示した例では、ガラスバルブ134の第2直線状部146のうちの第2外部電極138に近い部分が、第1外部電極136と電気的に接続された第1プレート157と立体交差している。そのため、第2直線状部146と第1プレート157とが交差する箇所の電位差は大きなものとなる。したがって、絶縁シート182を設けないと、第2直線状部146と第1プレート157とが交差する箇所で、電位の高い方から低い方へと漏れ電流が流れてしまい、これが原因で蛍光ランプ114の輝度が低下してしまう。そこで、当該漏れ電流を可能な限り抑制するため、上記交差箇所に絶縁シート182を配置すると好ましい。
【0103】
バックライトユニット110は、インバータ162を備え、インバータ162は2本のリード線168,170を介して第1プレート157と第2プレート160に電気接続されている。電源回路ユニットであるインバータ162は、商用電源(不図示)からの50/60Hzの交流電力を、高周波電力に変換して、蛍光ランプ114に給電する。これにより、2条の導電ラインによって、第1プレート157、第2プレート160を介して蛍光ランプに給電でき、一台のインバータ162で複数の蛍光ランプ114を並列点灯させることができる。
【0104】
側壁120には、各蛍光ランプ114に対応して「C」(U)字状部を有する屈曲部支持部材180が取り付けられている。屈曲部支持部材180は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂からなる。蛍光ランプ114の外囲器112内への組み付けは、「C」字状部にガラスバルブ134の屈曲部142がはめ込んだ後、ガラスバルブ134の両端部外周に形成された第1外部電極136および第2外部電極138をそれぞれ、第1コネクタ156、第2コネクタ158に嵌着するだけでよいので、簡便である。
【0105】
図17に、上記実施形態のバックライトユニット110を用いた表示装置の一例として、液晶テレビの一例を示している。図17において、説明の都合上、液晶テレビ270はその前面の一部が切り欠かれている。液晶テレビ270は、例えば、32インチサイズの液晶テレビであり、バックライトユニット110の他に液晶ディスプレイパネル272等を備えている。液晶ディスプレイパネル272は、カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等からなり、外部からの画像信号に基づき、駆動モジュール(不図示)で駆動されて、カラー画像を形成する。
【0106】
バックライトユニット110の外囲器112は、前記液晶ディスプレイパネル272の背面側に配置されており、バックライトユニット110は背面から液晶ディスプレイパネル272に光を照射する。インバータ162は、例えば、液晶テレビ270の筐体274内であって、外囲器112外に配置される。
2.5 冷陰極型蛍光ランプの製造方法の実施例
以下、実施例を用いて本発明の一例をより具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0107】
実施例1では、図9に示した構造の冷陰極型蛍光ランプを下記のとおり作製した。まず、三波長蛍光体として、YVO4:Eu3+、(BaMgAl1627:Mn2+
Eu2+、BaMg2Al1627:Eu2+を準備した。これらの配合割合は、色度が、
x=0.220、y=0.205となるよう調整した。この三波長蛍光体1kgを、酢酸ブチルとテレピン油とからなる混合溶媒に分散させて懸濁液を得た。混合溶媒には、蛍光体の分散前に予めNC(ニトロセルロース)を15g、ホウ酸系結着剤1.5gを溶解させておいた。混合溶媒における酢酸ブチルとテレピン油との混合割合は、酢酸ブチル900gに対してテレピン油4gとした。この懸濁液に、カプリル酸イットリウムを添加し、攪拌して溶解させ、蛍光体層形成用の塗料を得た。カプリル酸イットリウムは、蛍光体粒子1kgに対して15g添加した。
【0108】
次に、上記塗料を、管内径2.4mm、長さ400mm、肉厚0.2mmのガラス管の内面に塗布した。ガラス管への塗料の塗布は、直立されたガラス管の上方から液を吸い上げる方法で行った。ガラス管の組成は下記のとおりである。
SiO2 69.3%
Al23 5.1%
23 15.5%
Li2O 0.48%
Na2O 1.4%
2O 4.8%
MgO 0.5%
CaO 0.9%
SrO 0.04%
BaO 1.2%
Sb23 0.1%
As23 0%
TiO2 0.6%
ZrO2 0.1%
次いで、ガラス管内に、温度25℃相対湿度12%の空気を約8分間供給して、塗布された塗料からなる層を乾燥させた。上記層の乾燥は、直立されたガラス管を回転させながら行った。温風の供給量は30ml/min/cm2とした。その後、670℃に設定し
た電気炉内で焼成を行った。焼成時間は10分間とした。このとき、ガラス管内の温度を、熱電対を用いて測定したところ650℃に達していた。
【0109】
次に、ガラス管内の排気をし、水銀3mgおよびガス(Ne:Ar=95:5;約8kPa)の封入、ガラス管の封止を順次行って、蛍光ランプ(a)を得た。
尚、電極の材料にはNbを用いた。電極の軸方向の長さNは5.5mm、内径は1.7mm、肉厚は0.1mm、ガラス管の端面から電極までの距離Mは8.2mmとした。エミッタには、Cs2AlO3を用いた。
【0110】
蛍光体層について、300μm四方をHRSEMで観察したところ、蛍光体粒子同士は、太さ0.2μm〜1.5μmの棒状の金属酸化物(棒状体)によって架橋されていた。また、部分的には、1対の蛍光体粒子同士が複数の棒状体によって架橋されていた。棒状体の平均太さは0.5μmであった。
尚、上記棒状体の「平均太さ」は、300μm四方をHRSEMで観察したときに見受けられた複数の棒状体の各棒状体について、長手方向長さの2分の1の箇所における太さを測定し、それらを相加平均した値である。
【0111】
色彩輝度計(TOPCON社製、SR−3型番)を用いてランプ輝度を測定したところ、初期輝度は22950cd/mであった。図18、初期輝度を100%として、点灯時間の経過による輝度維持率を図上に●(黒丸)で表している。なお、比較のために、金属酸化物の架橋がないことを除いて同じ仕様のランプ(初期輝度は22480cd/m)の点灯時間の経過による輝度維持率を図上に□(四角)で表している、図18に示すように2400時間点灯時における輝度維持率が金属酸化物の架橋がない場合については80%程度であるのに対し、本実施例の場合には85%程度であり、輝度維持率が向上していることがわかる。
【実施例2】
【0112】
実施例2では、塗料層を乾燥させる際にガラス管内に供給する気体の湿度を変化させたこと以外は実施例1と同様にして、蛍光ランプ(c)〜(g)を作製した。
上記気体には、25℃の時のときに湿度が40%、15%、10%、8%、5%の気体を用いた。本実施例では25℃の気体を用いたため、気体が供給されている間のガラス管内の湿度は、40%、15%、10%、8%、5%に保たれていることになる。
【0113】
蛍光ランプ(c)〜(g)について、蛍光体層の厚みの均一性を調べた。まず、HRSEMで各蛍光ランプの長手方向の全長に渡って蛍光体層を観察した。25℃における湿度が10%未満の気体を用いて塗料の乾燥を行った蛍光ランプ(f)、(g)については、25℃における湿度が10%〜40%の気体を用いて塗料の乾燥を行った蛍光ランプ(c)〜(e)よりも、蛍光体層について大きい厚みムラが観察された。具体的には、塗料が乾燥中にずれ落ちたかのような空隙が蛍光体層に発生しており、これにより蛍光体層に凸凹が観察された。一方、蛍光ランプ(c)〜(e)については、蛍光体層の厚みは、長手方向の全長に渡ってほぼ一定(18μm±2μm)であった。
【0114】
3.その他の事項(赤色蛍光体YVO4:Eu3+について)
実施の形態1,2においては特に詳細を述べなかったが、赤色蛍光体としてYVO4
Eu3+(YVO)を用いる場合には、Fe,Si,Caを主体とする不純物の濃度が所定値以下のYVO4:Eu3+(YVO)を用いることが好ましい。
【0115】
赤色蛍光体YVOは、色度(chromaticity)が(x=0.661,y=0.328)であり、色再現性(color reproducibility)を良化するために用いられている。
ところが、本願発明者らの検討によれば、従来のYVOはランプ電流値の上昇にも関わらず、赤色の放射強度が他の緑色青色と比べる十分に上昇しない傾向にあることがわかった。
【0116】
このため、ランプ電流の上昇にも関わらずそれに見合う輝度が得られない上、ランプ電流の上昇に伴って赤色緑色青色の3色の内で赤色成分だけが弱くなり、ランプからの光に色ズレが生じてしまうことが明らかになっている。
図19は、単色の蛍光体からなる蛍光体層を形成したことを除く他は、冷陰極蛍光ランプ100と同様の構成のランプを作成し、点灯させた場合の、ランプ電流(mA)とピーク波長強度との関係を示すグラフである。
【0117】
図19のグラフにおいて、「輝度低下YVO」は、不純物濃度が33ppmのYVOであり、単なる「YVO」は、不純物濃度が9ppmのYVOである。
なお、図19および後述の図20の不純物濃度は、島津製作所製のICP発光分析装置(ICPSー8000)を用いて測定した。
図19のグラフに示すように、「輝度低下YVO」は電流の上昇にも関わらずピーク波長強度がそれ程上昇しないため、青色蛍光体(BAM),緑色蛍光体(BAM:Mn2+),緑色蛍光体(LAP)の上昇割合から外れてしまう。このため、これらの3色を蛍光体として用いたランプにおいて、色ズレが生じやすい。
【0118】
これに対して、「YVO」は電流値の上昇に伴ってピーク波長強度が上昇しているため上記色ズレを抑えることが可能である。
なお、冷陰極蛍光ランプにおける電流値は、4.0mA〜8.0mAの範囲が実用的に
用いられる。それゆえに、特にこの範囲における赤色蛍光体の上昇割合が、他色の蛍光体の上昇割合から離れないことが色ズレ防止のために必要である。
【0119】
図20は、赤緑青の3色の内の赤色蛍光体YVO4:Eu3+からなる蛍光体層を形成
したことを除く他は、冷陰極蛍光ランプ100と同様の構成のランプを作成し、ランプ電流6mAでもって点灯させた場合の、赤色蛍光体YVO4:Eu3+におけるFe,Si
,Caのそれぞれの不純物濃度(ppm)と相対輝度(%)との関係を示すグラフである。この相対輝度(%)は、不純物濃度が10ppmのときの輝度を基準としている。
【0120】
図20に示すように、不純物濃度が20ppmの場合は相対輝度が90%であるのに対し、不純物濃度が30ppmとなると相対輝度が50%となり急激に低下していることがわかる。
実用上のランプ電流値の範囲や、上述した色ズレの問題などを鑑みると、不純物濃度は20ppm以下であることが好ましい。不純物濃度は低ければ低い程良いと考えられるが、不純物除去のための精製技術や、製造工程上の問題を考慮すると、下限値は例えば3ppm程度である。
【0121】
従って、YVOにおいて、Fe,Si,Caの不純物濃度は、各々3ppm以上20ppm以下であることが好ましい。
なお、YVOにおいて、特にFe,Si,Caの濃度を減らすと結果が良好となった原因としては、次のように考えられる。
すなわち、赤色蛍光体YVOに、Fe,Si,Caが多く混入していると、Fe,Si,Caは、電気陰性度(electronegativity)が比較的高いため(電気陰性度は、順に、
1.8,1.8,1.0である。)、赤色蛍光体YVO表面のFe,Si,Caが、負電荷
(negative charge)を帯び易い。
【0122】
このため、Hg+が赤色蛍光体の表面にトラップされ、放電空間内の水銀の量が減少し
、上記のような色ズレの問題が生じたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る蛍光ランプによれば、ランプ外部に波長313nmの紫外線が漏れ出ることを防止することが可能となり、バックライトユニットなどに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1の上部は、冷陰極型蛍光ランプ20の概略構成を示す一部切欠図であり、下部は蛍光体層の一部拡大図である。
【図2】三種類の蛍光体粒子の物質名と、波長313nm紫外線の吸収の有無、組成重量比率を示す表であり、図2(a)は従来技術に係る蛍光体を例示し、図2(b)は本実施の形態に係る蛍光体を示している。
【図3】波長313nmを吸収する蛍光体の総重量に対する割合が、紫外線遮断効果に与える影響について調べた実験結果を示すグラフである。
【図4】実施の形態1に係る外部電極型蛍光ランプ50の構成を示す図であって、図4(a)は外部電極型蛍光ランプの概略図であり、図4(b)は、外部電極型蛍光ランプ50の端部を、管軸を含む平面で切断したときの拡大断面図である。
【図5】実施の形態1に係る直下方式のバックライトユニット1の構成を示す概略斜視図である。
【図6】エッジライト方式のバックライトユニット80の概略構成を示す断面図である。
【図7】シンターの過程における水分残留量の時間変化のグラフを示す図である。
【図8】蛍光体層の断面を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る蛍光ランプの一例を示す断面図である。
【図10】蛍光体層の一例を示す拡大概念図である。
【図11】蛍光体層の他の一例を示す拡大概念図である。
【図12】蛍光ランプの製造方法の一例を説明するフローチャートである。
【図13】カプリル酸イットリウムを用いた場合の化学反応を説明するための図である。
【図14】発光装置の一例を示す平面図である。
【図15】図14のA−A断面図である。
【図16】発光装置の一例を示す斜視図である。
【図17】表示装置の一例を示す斜視概念図である。
【図18】点灯時間の経過による輝度維持率の変化を示したグラフである。
【図19】蛍光体を異ならせた場合の、ランプ電流(mA)とピーク波長強度との関係を示すグラフである。
【図20】不純物濃度(ppm)と相対輝度(%)との関係を示すグラフである。
【図21】従来の蛍光ランプを構成する蛍光体層の一例を示す拡大概念図である。
【符号の説明】
【0125】
1 直下方式のバックライトユニット
13 拡散板
20,100 冷陰極蛍光ランプ
30,60 ガラスバルブ(透光性容器)
32,64,73,102 蛍光体層
32B,64B 青色蛍光体粒子
32G,64G 緑色蛍光体粒子
32R,64R 赤色蛍光体粒子
50 外部電極型蛍光ランプ
76 酸化イットリウム被膜(保護膜)
80 エッジライト方式のバックライトユニット
102a 蛍光体粒子
102b 棒状体
104,134 ガラスバルブ
105 金属酸化物層
110 バックライトユニット
270 液晶テレビ
272 液晶ディスプレイパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスバルブと、前記ガラスバルブに封入された水銀と、前記ガラスバルブの内面に形成された蛍光体とを有する蛍光ランプであって、
前記ガラスバルブは、アルカリ金属酸化物の含有率が3mol%以上20mol%以下の範囲内であり、
前記蛍光体層は、紫外線により励起されて、それぞれ赤色、緑色及び青色の光に変換する三種類の赤色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子及び青色蛍光体粒子を含み、
前記三種類の蛍光体粒子の内、少なくとも二種類の蛍光体粒子が波長313nmの紫外線を吸収する特性を有することを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
波長313nmの紫外線を吸収する前記二種類の蛍光体粒子は、前記三種類の蛍光体粒子に対する重量組成比率で50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
波長313nmの紫外線を吸収する前記二種類の蛍光体粒子の一は緑色蛍光体粒子であり、当該緑色蛍光体粒子はユウロピウム,マンガン付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体の粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記蛍光体層の厚みが、14μm〜25μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記蛍光体粒子の間及びその表面に酸化イットリウム保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光ランプを備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項7】
液晶ディスプレイパネルと、請求項6に記載のバックライトユニットとを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
複数本の請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光ランプと、 光取り出し側に配置されるポリカーボネイト樹脂製の拡散板とを備えることを特徴とする直下方式のバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−59708(P2009−59708A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269930(P2008−269930)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【分割の表示】特願2007−551405(P2007−551405)の分割
【原出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】