説明

蛍光ランプ及び蛍光ランプの製造方法

【課題】容易に飛散防止効果の得られる蛍光ランプを提供する。
【解決手段】蛍光ランプ10は、ソケットに連結可能な口金11と、口金11の上部に接合された安定器13を内蔵したケース12と、安定器13に接続され、安定器13から電圧が供給されることにより点灯する蛍光発光管14と、蛍光発光管14を覆うようにケース12と接合されたガラスグローブ15と、袋状に形成され、伸縮性を有し、収縮力でガラスグローブ15の表面を被覆するカバー16と、で構成した。カバー16は、略半球形状に形成された頂部と、円筒状に形成された円筒部と、から構成され、円筒部の下端には開口部が形成され、開口部の直径は、グローブの露出部最下端における直径より小さく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ及び蛍光ランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプには、蛍光管を露出させたグローブのないものもあるが、意匠を白熱電球と同様にするため、グローブを付けたものが普及している。しかし、グローブはガラス製であるため、製品が落下した際に割れて破片が飛び散ってしまう恐れがある。そのため、破片の清掃が困難な製品や機器を扱う環境において対策が望まれていた。
【0003】
そこで従来から、熱収縮性チューブを加熱し、収縮させ、ガラスグローブの外表面を被覆した飛散防止用電球型蛍光ランプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−62608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電球型蛍光ランプは、熱収縮加工が必要なため効率的に生産できない。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、効率的に生産可能であり、飛散防止効果が得られる蛍光ランプ及び蛍光ランプの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1の観点に係る蛍光ランプは、
ソケットに連結可能な口金と、
前記口金に接合され、安定器を内蔵したケースと、
前記安定器に接続され、前記安定器から電圧が供給されることにより点灯する蛍光発光管と、
前記蛍光発光管を覆うように前記ケースと接合されたグローブと、
袋状に形成され、伸縮性を有する材料からなり、収縮力で前記グローブの表面を被覆するカバーと、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の第2の観点に係る蛍光ランプの製造方法は、
グローブ又はグローブを備えた蛍光ランプを準備する工程と、
弾性材料からなり、開口部を有する袋状に形成され、前記開口部の直径は前記グローブの露出部最下端の直径より小さく形成されたカバーを準備する工程と、
前記カバーの開口部を拡開する工程と、
前記カバーの頂部を前記グローブの上部に当接する工程と、
前記カバーの弾性力に抗して前記カバーの開口部を下方に伸張させ、前記グローブの露出部最下端まで被覆する工程と、
前記カバーの開口部を前記グローブの露出部最下端に固着する工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飛散防止効果の得られる蛍光ランプを効率的に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る蛍光ランプのグローブを一部切り欠いて内部を露出させた状態を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)のX部の拡大図である。
【図2】本発明に用いる蛍光ランプの図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【図3】本発明に用いるカバーの図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る蛍光ランプの製造工程を説明するための図であり、カバーを蛍光ランプの上方に配置した図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る蛍光ランプの製造工程を説明するための図であり、カバーの開口部を拡開した状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る蛍光ランプの製造工程を説明するための図であり、カバーの頂部を、ガラスグローブの上部に当接した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る蛍光ランプの製造工程を説明するための図であり、カバーをガラスグローブの最下端まで引き下げ、ガラスグローブに塗布した接着剤に固着する直前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る蛍光ランプとその製造方法を図面を参照して説明する。
【0012】
(実施の形態)
本発明の実施形態に係る蛍光ランプ10は、安定器内蔵蛍光ランプであり、図1に示すように、口金11と、ケース12と、安定器13と、蛍光発光管14と、ガラスグローブ15と、カバー16とから構成されている。尚、下記の説明では、図1の紙面上側を上方といい、その反対側を下方という。
【0013】
口金11は、金属製であり、周囲には螺旋状の凹溝が形成され、照明器具等のソケットに螺合可能に構成されている。ソケットに螺合されると、ソケットからの電圧を安定器13に供給する。
【0014】
ケース12は、硬質樹脂により形成されており、口金11に接着剤等で接続されている。また、ケース12は、安定器13を内蔵している。
【0015】
安定器13は、口金11と、蛍光発光管14に接続されている。また、安定器13は、蛍光発光管14の放電を開始し、放電を安定に維持する。
【0016】
蛍光発光管14は、断面が円形のガラス製の管により形成されている。また、ガラス管の内壁には保護膜層と蛍光体層が形成されている。
【0017】
ガラスグローブ15は、透明なガラスで形成される。また、図2に示すように、ガラスグローブ15は、A部15aと、B部15bと、から構成されている。A部15aは、ガラスグローブ15の略上半部を構成し、所定の曲率を有する略半球形状に形成されている。またB部15bは、ガラスグローブ15の略下半部を構成し、A部15aから連続して形成され、口金11方向に向かう先細り形状に形成されている。また、ガラスグローブ15は、横断面形状が、高さ方向の全領域において円形に形成されている。
【0018】
また、ガラスグローブ15の下端は、ケース12に嵌合している。ガラスグローブ15は、嵌合部より上方に露出しており、露出部の最下端は直径dで形成され、露出部は高さhで形成されている。ガラスグローブ15の形状を、白熱電球と同一形状にすることにより、外観を白熱電球とほぼ同一にすることができる。
【0019】
また、ガラスグローブ15は、蛍光発光管14を覆った状態で、ケース12に嵌合され、ケース12と接着剤等で接合されている。
【0020】
カバー16は、ガラスグローブ15を被覆している。カバー16は、収縮力でガラスグローブ15の全体に密着し、ガラスグローブ15を被覆していることが好ましいが、ガラスグローブ15のほぼ全体に密着した状態であってもよい。
【0021】
カバー16は伸縮性と耐熱性を有するシリコーンゴム等で形成され、図3に示すように、袋状に形成されている。カバー16は、頂部16aと、円筒部16bと、から構成される。被覆前の状態において、頂部16aは、カバー16の略上1/3を構成し、略半球形状に形成され、また、円筒部16bは、カバー16の略下2/3を構成し、円筒状に形成されている。
【0022】
また、カバー16は、ガラスグローブ15を被覆する前の状態において、横断面形状が、高さ方向の全領域において円形に形成されている。また、カバー16の円筒部16bの下端に形成された開口部は、直径Dで形成されている。また、カバー16は、高さHで形成されている。
【0023】
また、カバー16の頂部16aは、所定の曲率を有する略半球形状である。頂部16aは、ガラスグローブ15のA部15aの曲率よりわずかに大きな曲率で形成されている。
【0024】
カバー16の円筒部16bに形成された下端の開口部の直径(寸法D)は、ガラスグローブ15の露出部の最下端の直径(寸法d)より小さく形成されている(D<d)。また、カバー16の高さ(寸法H)は、ガラスグローブ15の露出部分の高さ(寸法h)より小さく形成されている(H<h)。
【0025】
また、カバー16は、光透過率が60〜90%で形成されている。また、カバー16は、残光性蛍光体が混合されており、蓄光機能を具備している。
【0026】
このように構成したので、本実施形態のカバー16は、蛍光ランプ10が落下してガラスグローブ15が割れても、カバー16が収縮することによりガラスの破片がカバー16の中に収容され、外部に飛び散ることがない。
【0027】
また、蛍光ランプ10のガラスグローブ15は、約80〜100°Cと高温になるが、カバー16はシリコーンゴム等の耐熱性の高い材質で形成されているので、熱により燃焼等することがない。
【0028】
また、あらかじめ光透過率が60〜90%の範囲で異なる値に形成された数種類のカバー16を用意しておけば、所望の光透過率のカバーを選択し、輝度の調整が可能である。
【0029】
また、カバー16は光透過率が60〜90%に形成されているので、ガラスグローブ15を透明ガラスで形成しても、ガラスグローブの内部の蛍光発光管を見えにくくすることができる。
【0030】
また、カバー16には残光蛍光体が混合されており、蓄光機能を具備している。したがって、消灯後に、蓄えた光エネルギーを除々に放出してしばらくの間発光するため、暗闇でも物が見え躓かずに歩くことができ、また、ドアの位置や鍵穴の位置などを確認することができるなど利便性が向上する。また、突然停電が起こっても、周りの様子が見えて安心である。
【0031】
次に、上記構成の蛍光ランプ10の製造方法を説明する。
【0032】
まず、ガラスグローブ15で蛍光発光管14を覆い、ガラスグローブ15の下端を、安定器13が内蔵されたケース12に接着剤を用いて接着する。
【0033】
次に、図4に示すように、ガラスグローブ15の露出部分の最下端に接着剤17を塗布する。
【0034】
次に、ガラスグローブ15上に、カバー16を配置する。図4に示すように、カバー16をガラスグローブ15に被覆する前は、カバー16の開口部の直径(寸法D)は、ガラスグローブ15の下端(寸法d)より小さい(D<d)。
【0035】
次に、図5に示すように、カバー16の開口部に外向きの力F(矢印)を与え、カバー16の開口部を拡開する。
【0036】
次に、図6に示すように、カバー16の頂部16aをガラスグローブ15のA部15aに当接する。その後、カバー16の弾性力に抗してカバー16の開口部を力F(矢印)で下方に引き下げ、カバー16をガラスグローブ15のA部15aからB部15bまで被覆する。
【0037】
次に、図7に示すように、カバー16の開口部に内向きの力F(矢印)を与え、開口部をガラスグローブ15の露出部の最下端に当接する。露出部の最下端には接着剤17が塗布されているため、カバー16はガラスグローブ15と固着する。
【0038】
このように、本発明の実施形態における蛍光ランプが製造される。カバー16は、伸縮性を有したシリコンで形成されているので、カバー16を、ガラスグローブ15に被覆することで、飛散防止効果の得られる蛍光ランプを効率的に生産できる。
【0039】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形および応用が可能である。
【0040】
例えば、前記実施の形態では、ガラスグローブ15は、所定の曲率を有する略半球形状のA部15aと、口金11方向に向かう先細り形状のB部15bとから構成されるA型(一般電球形状)であったが、これに限られるものではない。G型(ボール型)であってもよい。
【0041】
例えば、前記実施の形態では、カバー16の頂部16aは、所定の曲率を有する略半球形状であり、頂部16aは、ガラスグローブ15のA部15aの曲率よりわずかに大きな曲率で形成されていたが、これに限られるものではない。頂部16aは、ガラスグローブ15のA部15aの曲率とほぼ同一に形成されてもよい。
【0042】
例えば、前記実施の形態では、グローブはガラスで形成されていたが、これに限られるものではなく、透光性を有する樹脂で形成されていてもよい。
【0043】
例えば、前記実施の形態では、カバー16は、光透過率が60〜90%に形成されているが、これに限られるものではない。光透過率を60%より小さくしてもよく、90%より大きくしてもよい。グローブに所望の光透過率のカバー用意し、グローブに被覆すれば、蛍光ランプの輝度を使用場所に応じて適宜変更することができる。
【0044】
例えば、前記実施の形態では、カバー16の開口部を、ガラスグローブ15の露出部最下端と固着したが、これに限られるものではない。カバー16の開口部をケース12の上端と接着剤等で接合させてもよい。その場合、ガラスグローブ15が破損した場合であっても、カバー16がケース12から外れることがないため、ガラスの飛散を防止することができる。
【0045】
例えば、前記実施の形態では、カバー16の開口部を、ガラスグローブ15の露出部最下端と接着剤で固着したが、これに限られるものではない。公知のテープで固着してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 蛍光ランプ
11 口金
12 ケース
13 安定器
14 蛍光発光管
15 ガラスグローブ
16 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットに連結可能な口金と、
前記口金に接合され、安定器を内蔵したケースと、
前記安定器に接続され、前記安定器から電圧が供給されることにより点灯する蛍光発光管と、
前記蛍光発光管を覆うように前記ケースと接合されたグローブと、
袋状に形成され、伸縮性を有する材料からなり、収縮力で前記グローブの表面を被覆するカバーと、
からなる蛍光ランプ。
【請求項2】
前記カバーは、略半球形状に形成された頂部と、円筒状に形成された円筒部と、から構成され、
前記円筒部の下端には開口部が形成され、
前記開口部の直径は、前記グローブの露出部最下端における直径より小さく形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記カバーはシリコーン樹脂により形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記カバーは光透過率が60〜90%に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記カバーは蓄光機能を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
グローブ又はグローブを備えた蛍光ランプを準備する工程と、
弾性材料からなり、開口部を有する袋状に形成され、前記開口部の直径は前記グローブの露出部最下端の直径より小さく形成されたカバーを準備する工程と、
前記カバーの開口部を拡開する工程と、
前記カバーの頂部を前記グローブの上部に当接する工程と、
前記カバーの弾性力に抗して前記カバーの開口部を下方に伸張させ、前記グローブの露出部最下端まで被覆する工程と、
前記カバーの開口部を前記グローブの露出部最下端に固着する工程と、
を含むことを特徴とする蛍光ランプの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−82053(P2011−82053A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234231(P2009−234231)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】