説明

蛍光ランプ

【課題】簡易な構成で、蛍光ランプの点灯中の温度上昇を効果的に抑制し得る最冷部を備え、比較的高い雰囲気温度環境下での発光効率の低下を効果的に抑制する。
【解決手段】発光管3およびステム5a,5bよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る中空の最冷部11を発光管3の外部に備える。この最冷部11を傾斜機能部材19を介してステム5a(または発光管3の管壁)に連結し、最冷部11の内部空間を発光管3の内部空間に連通させる。傾斜機能部材19は、第1の材料と、第1の材料よりも熱伝導率が低く、ステム5a(または発光管3)と容易に接合可能な第2の材料とを組成成分として、それらの含有量の割合を変化させた傾斜機能材料により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプが一般に知られている。
【0003】
この種の蛍光ランプでは、その点灯中の発光効率(蛍光ランプへの供給電力に対する出力光量の割合)が発光管の内部空間に封入された水銀の蒸気圧に応じて変化する。そして、その蒸気圧は、通常、蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が室温(25°C)付近の温度であるときに、該蛍光ランプの発光効率が最大となるような蒸気圧となる。
【0004】
そして、この種の蛍光ランプでは、水銀の蒸気圧を適正にするための技術として、発光管の内部空間の端部や、ステムから導出された排気管の先端部、あるいは、発光管の管壁に形成した突出部を、水銀を凝縮させる最冷部として形成し、該最冷部の温度上昇が生じにくいようにする技術が従来より知られている(例えば特許文献1および特許文献2を参照)。また、比較的高温な雰囲気温度環境下でも水銀が過剰に気化しないようにするために、発光管の端部などに水銀アマルガムを封入する技術が知られている(例えば特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開平11−3682号公報
【特許文献2】特開2001−243875号公報
【特許文献3】特開平10−12191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示器などのバックライト用の蛍光ランプや電球型の外部容器内に収容される蛍光ランプは、熱のこもりやすい空間に配置されることとなるため、蛍光ランプの点灯中に発生する熱などによって、蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が比較的高温になりやすい。そして、このような蛍光ランプでは、水銀の蒸気圧が高くなり過ぎて、発光効率が低下しやすい。
【0006】
この場合、従来のような最冷部を備えた蛍光ランプでは、該最冷部は、発光管あるいはステムと同じ材料であるガラスもしくはセラミックスによって該発光管あるいはステムと一体に形成されているので、放熱性が悪いものとなっていた。このため、上記のように蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が比較的高温になりやすい環境下では、最冷部の温度上昇を十分に抑制することができず、ひいては、水銀の蒸気圧が高くなり過ぎて、発光効率が低下しやすいという不都合があった。そして、最冷部の温度上昇を効果的に抑制するためには、冷却能力の高い冷却器を最冷部に装着する必要があり、その冷却器を含めた蛍光ランプの構成が複雑で高価なものとなるという不都合があった。
【0007】
また、水銀アマルガムを封入する蛍光ランプにあっては、蛍光ランプの点灯初期における水銀の気化、ひいては水銀蒸気圧が不足しやすく、該点灯初期に蛍光ランプから出力される光量が不足するという不都合がある。さらに、水銀アマルガムの表面に不純物が付着しやすく、ひいては、水銀蒸気圧が適正値からずれやすいという不都合があった。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、蛍光ランプの点灯中の温度上昇を効果的に抑制し得る最冷部を備えることができ、比較的高い雰囲気温度環境下での発光効率の低下を効果的に抑制することができる蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蛍光ランプは、3つの態様を有する。その第1の態様の蛍光ランプは、蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る中空の最冷部を前記発光管の外部に備え、該最冷部が、傾斜機能材料により構成された傾斜機能部材を介して前記一対のステムのうちのいずれか一方のステムに連結されると共に、該最冷部の内部空間が、前記傾斜機能部材の内部に形成された第1の通路と、前記一方のステムの内部に形成された第2の通路とを介して前記発光管の内部空間に連通され、前記傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記一方のステムに近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記傾斜機能部材の前記最冷部側の一端と前記一方のステム側の他端との間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする(第1発明)。
【0010】
この第1発明によれば、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る前記最冷部は、前記傾斜機能部材を介して前記一方のステムに連結されているので、その連結状態を長期的に安定して、良好な状態に保持することができる。すなわち、最冷部を構成する第1の材料は、発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高いので、一般には、該熱伝導率だけでなく、熱膨張率、融点などの物理的特性も発光管およびステムの構成材料(例えばガラスもしくはセラミックス)と異なる。このため、一般には、該最冷部を直接的に前記一方のステムに接合し、また、その接合状態を長期的に安定に保つことは難しい。しかるに、第1発明によれば、最冷部と前記一方のステムとの間に前記傾斜機能部材が介在する。この場合、この傾斜機能部材は、最冷部と同じ材料である第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第2の材料とを組成成分とし、これらの第1の材料およい第2の材料の含有量の割合を上記の如く変化させた傾斜機能材料により構成されている。そして、この傾斜機能部材の両端のうち、第2の材料よりも第1の材料の含有量が多い一端に前記最冷部が接合され、第1の材料よりも第2の材料の含有量が多い他端に前記一方のステムが接合されることとなる。このため、最冷部と傾斜機能部材との接合、並びに、傾斜機能部材と前記一方のステムとの接合を、その接合状態が長期的に安定に保たれるように行なうことが可能となる。ひいては、該傾斜機能部材を介した最冷部と前記一方のステムとの連結状態を長期的に安定して、良好な状態に保持することができる。
【0011】
このように前記一方のステムに傾斜機能部材を介して連結された最冷部は、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る。このため、該最冷部の放熱性が発光管やステムよりも高く、該最冷部の温度上昇が生じ難くなる。従って、蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が高くなり易い環境下でも、該最冷部の内部空間に凝集する水銀が、蛍光ランプの点灯中に過剰に気化するのが抑制され、蛍光ランプの発光効率が低下するのが抑制される。
【0012】
よって、第1発明の蛍光ランプによれば、簡易な構成で、蛍光ランプの点灯中の温度上昇を効果的に抑制し得る最冷部を備えることができ、比較的高い雰囲気温度環境下での発光効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0013】
かかる第1発明では、前記第2の通路を介して前記発光管の内部空間に連通して前記一方のステムから前記発光管の外部側に導出された排気管が該一方のステムと一体に設けられており、前記最冷部は、前記傾斜機能部材を介して前記排気管の先端に連結されていることが好ましい(第2発明)。
【0014】
この第2発明によれば、蛍光ランプのステムに一般的に設けられる排気管を利用し、この排気管の先端に傾斜機能部材を介して最冷部を連結するので、最冷部のステムへの連結と、最冷部の内部空間を発光管の内部空間に連通させることとを簡易な構成で容易に行なうことができる。
【0015】
また、本発明の第2の態様の蛍光ランプは、蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る中空の最冷部を前記発光管の外部に備え、該最冷部が、傾斜機能材料により構成された傾斜機能部材を介して前記発光管の管壁に連結されると共に、該最冷部の内部空間が、前記傾斜機能部材の内部に形成された通路と、前記発光管の管壁に穿設された孔とを介して該発光管の内部空間に連通され、前記傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記発光管の管壁に近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記傾斜機能部材の前記最冷部側の一端と前記発光管の管壁側の他端との間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする(第3発明)。
【0016】
この第3発明によれば、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る前記最冷部は、前記傾斜機能部材を介して前記発光管の管壁に連結されているので、該最冷部と発光管の管壁との間に前記傾斜機能部材が介在する。この場合、この傾斜機能部材は、最冷部と同じ材料である第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、これらの第1の材料およい第2の材料の含有量の割合を上記の如く変化させた傾斜機能材料により構成されている。そして、この傾斜機能部材の両端のうち、第2の材料よりも第1の材料の含有量が多い一端に前記最冷部が接合され、第1の材料よりも第2の材料の含有量が多い他端に前記発光管の管壁が接合されることとなる。このため、最冷部と傾斜機能部材との接合、並びに、傾斜機能部材と発光管の管壁との接合を、その接合状態が長期的に安定に保たれるように行なうことが可能となる。ひいては、該傾斜機能部材を介した最冷部と発光管の管壁との連結状態を長期的に安定して、良好な状態に保持することができる。
【0017】
このように前記発光管の管壁に傾斜機能部材を介して連結された最冷部は、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る。このため、前記第1の態様の場合と同様に、蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が高くなり易い環境下でも、該最冷部の内部空間に凝集する水銀が、蛍光ランプの点灯中に過剰に気化するのが抑制され、蛍光ランプの発光効率が低下するのが抑制される。
【0018】
よって、第3発明の蛍光ランプによれば、簡易な構成で、蛍光ランプの点灯中の温度上昇を効果的に抑制し得る最冷部を備えることができ、比較的高い雰囲気温度環境下での発光効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0019】
この第3発明では、前記最冷部は、前記発光管の軸方向での該最冷部の位置が、前記一対の放電電極のうちの一方の放電電極と他方の放電電極との間の範囲内から該発光管の一端部寄りに逸脱する位置になるように、前記傾斜機能部材を介して該発光管の管壁に連結されていることが好ましい(第4発明)。
【0020】
この第4発明によれば、前記一対の放電電極の間の放電に伴い、これらの放電電極の間で発生する光が発光管の外部に放出される際に、前記最冷部によって遮られるのを防止しすることができる。
【0021】
また、本発明の第3の態様の蛍光ランプは、蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る筒状の最冷部と、第1の傾斜機能材料により筒状に構成され、前記最冷部の一端から同軸に延設された第1の傾斜機能部材と、第2の傾斜機能材料により筒状に構成され、前記最冷部の他端から同軸に延設された第2の傾斜機能部材とから成る筒体を備え、該筒体が、前記発光管の一端部に前記第1の傾斜機能材料を介して同軸に連結されると共に、前記一対のステムのうちの該発光管の一端部側の一方のステムが、該筒体の第2の傾斜機能部材側の端部に接合されて、該筒体を介して該発光管の一端部に取り付けられ、前記第1の傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記発光管の一端部に近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記第1の傾斜機能部材の軸方向の両端間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であり、前記第2の傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第3の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第3の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記一方のステムに近いほど、第3の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記第2の傾斜機能部材の軸方向の両端間で該第1の材料の含有量と第3の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする(第5発明)。
【0022】
この第5発明によれば、前記最冷部、第1の傾斜機能部材および第2の傾斜機能部材から構成される前記筒体が第1の傾斜機能部材を介して前記発光管の一端部に同軸に連結されるので、該筒体の最冷部と発光管の一端部との間に第1の傾斜機能部材が介在する。この場合、第1の傾斜機能部材は、最冷部と同じ材料である第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、これらの第1の材料および第2の材料の含有量の割合を上記の如く変化させた第1の傾斜機能材料により構成されている。そして、この第1の傾斜機能部材の両端のうち、第2の材料よりも第1の材料の含有量が多い一端に前記最冷部が接合され、第1の材料よりも第2の材料の含有量が多い他端に前記発光管の一端部が接合されることとなる。このため、最冷部と第1の傾斜機能部材との接合、並びに、第1の傾斜機能部材と発光管の一端部との接合を、その接合状態が長期的に安定に保たれるように行なうことが可能となる。ひいては、該第1の傾斜機能部材を介した最冷部と発光管の一端部との連結状態を長期的に安定して、良好な状態に保持することができる。
【0023】
また、前記一方のステムが、前記筒体の第2の傾斜機能部材側の端部に接合されて、該筒体を介して発光管の一端部に取り付けられるので、該一方のステムと筒体の最冷部との間に前記第2の傾斜機能部材が介在する。この場合、第2の傾斜機能部材は、最冷部と同じ材料である第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第3の材料とを組成成分とし、これらの第1の材料および第2の材料の含有量の割合を上記の如く変化させた第2の傾斜機能材料により構成されている。そして、この第2の傾斜機能部材の両端のうち、第3の材料よりも第1の材料の含有量が多い一端に最冷部が接合され、第1の材料よりも第3の材料の含有量が多い他端に前記一方のステムが接合されることとなる。このため、最冷部と第2の傾斜機能部材との接合、並びに、第2傾斜機能部材と前記一方のステムとの接合を、その接合状態が長期的に安定に保たれるように行なうことが可能となる。ひいては、該第2の傾斜機能部材を介した最冷部と前記一方のステムとの連結状態を長期的に安定して、良好な状態に保持することができる。
【0024】
このように前記発光管の一端部と前記一方のステムとにそれぞれ第1の傾斜機能部材、第2の傾斜機能部材を介して連結された最冷部は、前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る。このため、前記第1の態様の場合と同様に、蛍光ランプの周囲の雰囲気温度が高くなり易い環境下でも、該最冷部の内部空間に凝集する水銀が、蛍光ランプの点灯中に過剰に気化するのが抑制され、蛍光ランプの発光効率が低下するのが抑制される。
【0025】
よって、第5発明の蛍光ランプによれば、簡易な構成で、蛍光ランプの点灯中の温度上昇を効果的に抑制し得る最冷部を備えることができ、比較的高い雰囲気温度環境下での発光効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0026】
なお、第5発明において、前記第2の材料と第3の材料とは、必ずしも互いに異なる材料である必要はなく、互いに同じ材料であってもよい。
【0027】
かかる第5発明では、前記最冷部は、前記発光管の軸方向での該最冷部の位置が、前記一対の放電電極のうちの一方の放電電極と他方の放電電極との間の範囲内から該発光管の一端部寄りに逸脱した位置になるように設けられていることが好ましい(第6発明)。
【0028】
この第6発明によれば、前記一対の放電電極の間の放電に伴い、これらの放電電極の間で発生する光が発光管の外部に放出される際に、前記最冷部によって遮られるのを防止しすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の第1実施形態を図1および図2を参照して説明する。図1は本実施形態の蛍光ランプの断面図、図2は該蛍光ランプに備えた傾斜機能部材の組成成分の含有割合の分布を示す図である。なお、本実施形態は、本発明の第1の態様の一実施形態である。
【0030】
本実施形態の蛍光ランプ1は、発光管3と、この発光管3の両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステム5a,5bと、この一対のステム5a,5bにそれぞれ取り付けられた一対の放電電極7a,7bとを備える。そして、ステム5a,5bのうちの一方、例えばステム5aに傾斜機能部材9を介して最冷部11が連結されている。
【0031】
発光管3は、ガラス製の発光管であり、その管壁の内周面に、蛍光体13が薄膜状に被着されている。なお、発光管3の形状は、直管に限らず、環状のもの、あるいは、U字状やW字状に屈曲した形状のものであってもよい。
【0032】
各ステム5a,5bは、フレア部15を有するガラス製のステムであり、そのフレア部15を発光管3の内部空間に突出させた状態で、該フレア部15の底部(裾部)の外周部が発光管3の各端部に溶着によって接合されている。これにより、各ステム5a,5bは、発光管3の各端部を封止するようにして、該端部に取り付けられている。そして、これらのステム5a,5bにより両端部が封止された発光管3の内部空間には、アルゴンガスなどの不活性ガスと、水銀とが封入されている。
【0033】
なお、本実施形態では、発光管3およびステム5a,5bは、いずれもガラス製であるが、発光管3およびステム5a,5bのいずれか一方、あるいは、両者がセラミックスにより構成されていてもよい。
【0034】
放電電極7a,7bは、それぞれ、発光管3の内部空間のステム5a寄りの箇所、ステム5b寄りの箇所に配置されている。ここで、本実施形態の蛍光ランプ1は、熱陰極蛍光ランプであり、各放電電極7a,7bは、エミッタ(電子放射性物質)を被着したコイル状のフィラメントにより構成されている。また、各ステム5a,5bには、そのフレア部15を発光管3の軸方向に貫通する2本のリード線(導体線)17,17が組み付けられている。そして、ステム5aから発光管3の内部空間側に突出するリード線17,17の端部に、ステム5a側の放電電極7aの両端がそれぞれ導通・固定され、該リード線17,17を介して放電電極7aがステム5aに保持されている。同様に、ステム5bから発光管3の内部空間側に突出するリード線17,17の端部に、ステム5b側の放電電極7bの両端がそれぞれ導通・固定され、該リード線17,17を介して放電電極7bがステム5bに保持されている。
【0035】
また、各ステム5a,5bは、その外端面(フレア部15の底面)の中央部から発光管3の外部側に導出された排気管19をフレア部15と一体に備えており、該排気管19の内部の通路19a(排気管19の軸心部を貫通する通路19a)は、フレア部15に内部に形成された通路21を介して発光管3の内部空間に連通されている。該排気管19は、蛍光ランプ1の製造時に、発光管3の内部空間の排気をしたり、該発光管3の内部空間に不活性ガスおよび水銀を封入するために使用されるものである。
【0036】
本実施形態では、ステム5a,5bのうちのステム5bの排気管19の先端部は、その加熱加工によって閉塞されている。一方、ステム5aの排気管19の先端部には、傾斜機能部材9を介して最冷部11が連結されている。この場合、傾斜機能部材9は、その両端X1,X2で開口する通路9a(貫通孔)を軸心部に有する管状の部材であり、最冷部11は、一端が開口する中空の部材(一端が閉塞された管状の部材)である。そして、該傾斜機能部材9の一端X1に最冷部11の開口端が同軸に接合されると共に、傾斜機能部材9の他端X2がステム5aの排気管19の先端に同軸に接合され、該最冷部11の内部空間が傾斜機能部材9の内部の通路9aと、ステム5aの排気管19の内部の通路19aと、ステム5aのフレア部15の内部の通路21とを介して発光管3の内部空間に連通されている。
【0037】
補足すると、傾斜機能部材9の内部の通路9aと、ステム5aのフレア部15の内部の通路21とはそれぞれ前記第1発明における第1の通路、第2の通路に相当する。
【0038】
前記最冷部11は、発光管3およびステム5a,5bの構成材料(ガラスもしくはセラミックス)よりも熱伝導率の高い第1の材料により構成されている。その第1の材料は、本実施形態では金属材料である。この場合、第1の材料としては、発光管3の内部空間に封入される水銀とアマルガムを作らないか、もしくは作りにくい高融点金属、例えば、白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属が使用されている。
【0039】
ただし、第1の材料(最冷部11の構成材料)として、亜鉛、錫、鉛などの低融点金属を使用し、該第1の材料により構成した最冷部11の内面に上記の高融点金属をメッキするようにしてもよい。また、発光管3およびステム5a,5bの構成材料よりも熱伝導率が高い材料であれば、金属以外の材料を第1の材料として使用してもよい。例えばステム5a,5bの構成材料よりも熱伝導率が高いセラミックスを第1の材料として使用するようにしてもよい。
【0040】
また、傾斜機能部材9は、上記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つステム5aと容易に接合可能な第2の材料、例えばステム5a,5bの構成材料と同じ材料(ガラスもしくはセラミックス)とを組成成分とし、該第1の材料および第2の材料の含有割合が、図2のグラフで示す如く、傾斜機能部材9の一端X1と他端X2との間で軸方向に変化する傾斜機能材料により構成されている。なお、図2のグラフの横軸は、傾斜機能部材9の軸方向位置を示し、縦軸は、傾斜機能部材9の単位体積当たりの各材料の含有量の割合を示している。
【0041】
この場合、図2のグラフに示す如く、傾斜機能部材9の最冷部11側の一端X1における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ100%、0%とされ、排気管19側の他端X2における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ0%、100%とされている。そして、傾斜機能部材9の一端X1から他端X2に近づくに伴い、第1の材料の含有割合が100%から0%まで低下すると共に、第2の材料の含有割合が0%から100%まで増加するように、該第1の材料および第2の材料の含有割合が傾斜機能部材9の軸方向に変化している。従って、傾斜機能部材9における第1の材料および第2の材料の含有割合は、傾斜機能部材9の一端X1に近いほど、第2の材料よりも第1の材料の含有量が多くなり、また、他端X2に近いほど、第1の材料よりも第2の材料の含有量が多くなるように、傾斜機能部材9の軸方向に変化している。
【0042】
このような傾斜機能部材9は、例えば、第1の材料および第2の材料の混合比を段階的に異ならせた複数の環状の層をそれらの軸方向に積層してなる成形体を焼結することによって作成される。この場合、上記成形体の一端側の部分(第1の材料から成る部分)を第1の材料により最冷部11と同じ形状に形成しておくことによって、一端X1に最冷部11を一体的に接合してなる傾斜機能部材9を容易に作成することができる。そして、傾斜機能部材9の他端X2は、例えば排気管19の先端に、溶着によって接合され、あるいはフリットガラスを介して接合される。これにより、最冷部11が傾斜機能部材9を介してステム5aに連結されることとなる。
【0043】
補足すると、傾斜機能部材9の第2の材料は、ステム5a,5bの構成材料と同じである必要はなく、該構成材料と異なる材料であってもよい。例えば、ステム5a,5bの構成材料がガラスである場合に、第2の材料として、セラミックスを使用してもよい。第2の材料がステム5a,5bの構成材料と異なる場合には、第2の材料は、その熱膨張率や熱伝導率、融点などの物理的特性が、ステム5a,5bの構成材料に近い材料(少なくとも第1の材料よりも該物理的特性がステム5a,5bの構成材料に近い材料)であることが好ましい。
【0044】
また、発光管3の内部空間に封入される水銀が最冷部11に凝集しやすいようにする上では、排気管19、傾斜機能部材9および最冷部11の内径は、1.8mm以上、発光管3のステム5a側の一端から最冷部11の先端までの長さは、20mm以下であることが望ましい。
【0045】
本実施形態の蛍光ランプ1では、上記のように、発光管3およびステム5a,5bよりも熱伝導率の高い第1の材料により構成した最冷部11を、傾斜機能部材9を介してステム5aに連結しているので、該最冷部11とステム5aとの連結状態を長期的に安定して、良好な状態(両者の連結箇所に亀裂などの劣化を生じない状態)に保つことができる。そして、最冷部11が熱伝導率の高い第1の材料により構成されているので、該最冷部11の放熱性が蛍光ランプ1の他の部分に比べて高い。このため、蛍光ランプ1が液晶表示器のバックライト用の蛍光ランプ、あるいは電球型の容器内に収容される蛍光ランプとして使用される場合のように、蛍光ランプ1が熱のこもりやすい空間内に設置される場合であっても、蛍光ランプ1の点灯中に最冷部11の温度が過剰に上昇するのを抑制することができる。ひいては、最冷部11に凝集していた水銀が蛍光ランプ1の点灯時に過剰に気化して、発光管3内の水銀蒸気圧が過剰に高くなるのを抑制することができ、蛍光ランプ1の点灯中の発光効率が低下するのを防止することができる。
【0046】
なお、蛍光ランプ1の発光効率を最適に高める上では、最冷部11の温度が室温(25°C)程度になることが好ましい。特に、最冷部11の温度が室温よりも低くなると、水銀の気化が不足して、蛍光ランプ1の発光効率が大幅に低下することから、最冷部11の温度を25°C以上に保つことが好ましい。このことは、本実施形態に限らず、後述する第2〜第5実施形態においても同様である。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態および第3実施形態をそれぞれ図3、図4を参照して説明する。図3は、第2実施形態の蛍光ランプの要部の断面図、図4は第3実施形態の蛍光ランプの一部を破断して示す図である。なお、これらの実施形態の蛍光ランプは、前記第1実施形態と一部の構成のみが相違するので、第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。また、これらの実施形態は、本発明の第1の態様の実施形態である。
【0048】
蛍光ランプが熱のこもりやすい空間内に設置され、最冷部の周囲の雰囲気温度が高くなり易い場合には、蛍光ランプの最冷部を適宜の冷却手段によって積極的に冷却するようにしてもよい。図3に示す第2実施形態の蛍光ランプ23は、そのような蛍光ランプの一例である。該蛍光ランプ23は、ペルチェ素子、ヒートシンク、ヒートパイプなどにより構成された冷却手段25を備え、この冷却手段25が最冷部11に外面部に装着されている。これ以外の蛍光ランプ23の構成は、第1実施形態と全く同じである。
【0049】
また、蛍光ランプの周囲を覆う外ケースもしくはカバーの、外気に対する放熱性が高い部分に最冷部を接触させ、最冷部から外気への放熱性を高めるようにしてもよい。図4に示す第3実施形態の蛍光ランプ27は、そのような蛍光ランプの一例である。該蛍光ランプ27は、金属製の口金部29を一端部に有する電球型の外部容器31に収容されている。なお、この蛍光ランプ27の発光管3は屈曲した形状の発光管である。
【0050】
そして、本実施形態の蛍光ランプ27では、発光管3の一端側のステム5aの排気管19の先端に傾斜機能部材9を介して連結された最冷部11の外周面が、口金部29の内側面に接着されている。なお、本実施形態では、最冷部11の外周面を口金部29の内側面(傾斜面)に沿わせるために、排気管19は、その先端部が屈曲されている。以上説明した以外の蛍光ランプ27の構成は、第1実施形態と同じである。
【0051】
上記した第2実施形態の蛍光ランプ23、あるいは、第3実施形態の蛍光ランプ27によれば、その点灯中における最冷部11の温度上昇を効果的に抑制することができる。また、特に、冷却手段25を備えた第2実施形態の蛍光ランプ23では、最冷部11の温度管理が容易になり、該最冷部11の温度を適切な温度である室温(25°C)付近の温度に保つことが容易になる。
【0052】
なお、以上説明した第1〜第3実施形態では、ステム5a,5bの両者に排気管19が備えられているが、ステム5a,5bの一方側の排気管19(例えばステム5b側の排気管19)を省略してもよい。また、最冷部11を排気管19に連結せずに、ステム5a,5bの一方のフレア部15の底面に傾斜機能部材9を介して最冷部11を連結するようにしてもよい。
【0053】
また、最冷部11は1つである必要はなく、複数備えるようにしてもよい。例えば、ステム5aに連結する最冷部11だけでなく、ステム5bから導出した排気管19、もしくはステム5bに傾斜機能部材を介して連結した最冷部をも備えるようにしてもよい。
【0054】
次に、本発明の第4実施形態を図5を参照して説明する。図5は本実施形態の蛍光ランプの要部の断面図である。なお、本実施形態の蛍光ランプは、前記第1実施形態と一部の構成のみが相違するので、第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。また、本実施形態は、本発明の第2の態様の実施形態である。
【0055】
本実施形態の蛍光ランプ37では、発光管3の管壁に孔39が穿設され、その孔39から、発光管3と一体に形成された補助管41が導出されている。この場合、本実施形態では、孔39は、発光管3の軸方向での該孔39の位置が、ステム5a側の放電電極7aと、図示を省略するステム5b側の放電電極7bとの間の範囲内から発光管3の一端部寄りに(本実施形態では、ステム5a側の端部寄りに)に逸脱した位置になるように発光管3の管壁に穿設されている。そして、補助管41は、孔39から、該発光管3の一端側(ステム5a寄りの一端側)に向かって延在するように導出されている。該補助管41の内部の通路41a(補助管41の軸心部を貫通する通路41a)は、孔39に連通している。
【0056】
本実施形態では、この補助管41の先端に、傾斜機能部材9を介して最冷部11が同軸に連結されている。その傾斜機能部材9および最冷部11のそれぞれの形状と構成材料とは、第1実施形態と同じである。この場合、管状の傾斜機能部材9の両端X1,X2のうち、前記第2の材料から成る他端X2が、補助管41の先端に、溶着によって、あるいはフリットガラスを介して接合されている。また、傾斜機能部材9の、第1の材料(最冷部11と同じ材料)から成る一端X1には、前記第1実施形態と同様に最冷部11が一体に接合されている。これにより、最冷部11が傾斜機能部材9および補助管41を介して発光管3の管壁に連結されていると共に、最冷部11の内部空間が、傾斜機能部材9の内部の通路9aおよび補助管41の内部の通路41a、並びに、孔39を介して発光管3の内部空間に連通している。また、この場合、最冷部11は、発光管3の軸方向での該最冷部11の位置が、放電電極7aと7bとの間の範囲内から発光管3のステム5a側の一端部寄りに逸脱する位置になるように、傾斜機能部材9を介して発光管3の管壁の孔39の箇所に連結されている
なお、本実施形態では、ステム5a側の排気管19の先端は加熱加工によって閉塞されている。以上説明した以外の蛍光ランプ37の構成は、第1実施形態と同じである。
【0057】
補足すると、傾斜機能部材9の他端X2に、補助管41を一体に形成しておき(補助管41を傾斜機能部材9の一部として形成しておく)、その補助管41を、溶着によって、もしくは、フリットガラスを介して発光管3の管壁の孔39の箇所に接合するようにしてもよい。あるいは、傾斜機能部材9の他端X2を、直接的に発光管3の管壁に接合するようにしてもよい。また、発光管3の構成材料とステム5a,5bの構成材料とが異なる場合には、傾斜機能部材9の第2の材料は、発光管3(もしくはこれと一体の補助管41)との接合ができるだけ容易な材料、例えば該発光管3と同じ材料、あるいは、該発光管3の材料と熱膨張率や熱伝導率、融点などの物理的特性が近い材料(少なくとも第1の材料よりも該物理的特性が発光管3の構成材料に近い材料)であることが好ましい。
【0058】
また、発光管3の管壁の孔39を、発光管3の端部寄りの位置で管壁に穿設することは必ずしも必須ではなく、発光管3の軸方向における孔39の位置が、ステム5a側の放電電極7aと、ステム5b側の放電電極7bとの間の範囲内の位置になるように、発光管3の管壁に孔39を穿設してもよい。さらに、発光管3の管壁の孔39の箇所から、傾斜機能部材9および最冷部11を発光管3の径方向に導出するようにしたり、図5の例と逆向きに導出する(発光管3のステム5aと反対側の端部側に向かって導出する)ようにしてもよい。ただし、放電電極7a,7b間の放電に伴い発光管3の内部で発生して外部に放射される光をできるだけ遮らないようにする上では、発光管3の軸方向における孔39や、傾斜機能部材9、最冷部11の位置が、放電電極7aと7b(図示省略)との間の範囲内から発光管3の一端部寄りに逸脱する位置になるように、孔39や傾斜機能部材9および最冷部11を配置することが好ましい。
【0059】
以上説明した本実施形態の蛍光ランプ37では、最冷部11を上記のように傾斜機能部材9を介して発光管3の管壁に連結しているので、該最冷部11と発光管3の管壁との連結状態を長期的に安定に良好な状態(両者の連結箇所に亀裂などの劣化を生じない状態)に保つことができる。そして、第1実施形態と同様に、最冷部11が熱伝導率の高い第1の材料により構成されているので、最冷部11の温度が過剰に上昇するのを抑制することができる。ひいては、最冷部11に凝集していた水銀が蛍光ランプ37の点灯時に過剰に気化して、発光管3内の水銀蒸気圧が過剰に高くなるのを抑制することができ、点灯中の蛍光ランプ37の発光効率が低下するのを防止することができる。
【0060】
なお、本実施形態において、前記第2実施形態と同様に、最冷部11の外面にヒートシンクなどの冷却手段を装着して、該最冷部11を積極的に冷却するようにしてもよい。あるいは、前記第3実施形態で例示した如く、蛍光ランプの周囲を覆う外ケースもしくはカバーの、外気に対する放熱性が高い部分に最冷部11を接触させ、最冷部11から外気への放熱性を高めるようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態においても、最冷部11は1つである必要はなく、複数の最冷部を発光管3の管壁に連結するようにしてもよい。例えば、発光管3の管壁の両端部のそれぞれに各別に傾斜機能部材を介して最冷部を連結するようにしてもよい。
【0062】
次に、本発明の第5実施形態を図6を参照して説明する。図6は本実施形態の蛍光ランプの要部の断面図である。なお、本実施形態の蛍光ランプは、前記第1実施形態と一部の構成のみが相違するので、第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。また、本実施形態は、本発明の第3の態様の実施形態である。
【0063】
本実施形態の蛍光ランプ43では、発光管3の一端、例えばステム5a側の一端に、該発光管3とほぼ同一の内外径を有する筒体45が同軸に連結されている。そして、ステム5aは、この筒体45を介して発光管3の一端部に取り付けられ、該一端部を封止している。この場合、筒体45は、その軸方向の中央部分が筒状の最冷部47となっており、この最冷部47と、該最冷部47の一端から該最冷部47と同軸に延設された筒状の第1の傾斜機能部材49と、該最冷部47の他端から該最冷部47と同軸に延設された筒状の第2の傾斜機能部材51とから一体に構成されている。そして、筒体45は、第1の傾斜機能部材49側の端部が発光管3の一端部に接合されている。さらに、ステム5aは、そのフレア部15の底部の外周部が筒体45の第2の傾斜機能部材51側の端部に接合されている。
【0064】
筒体45の最冷部47は、前記第1実施形態で説明した第1の材料により構成されている。また、筒体45の第1の傾斜機能部材49は、最冷部47の構成材料と同じ第1の材料と、発光管3と容易に接合可能な第2の材料とを組成成分とする傾斜機能材料(第1の傾斜機能材料)により構成され、その第1の材料と第2の材料との含有割合が第1の傾斜機能部材49の軸方向に変化している。また、筒体45の第2の傾斜機能部材51は、最冷部47の構成材料と同じ第1の材料と、ステム5aと容易に接合可能な第3の材料とを組成成分とする傾斜機能材料(第2の傾斜機能材料)により構成され、その第1の材料と第3の材料との含有割合が第2の傾斜機能部材51の軸方向に変化している。
【0065】
ここで、本実施形態では、第1の傾斜機能部材49の第2の材料と、第2の傾斜機能部材51の第3の材料とは、いずれも前記第1実施形態で説明した傾斜機能部材9の第2の材料と同じ材料とされている。そこで、以下の説明では、本実施形態の各傾斜機能部材49,51の第1の材料以外の組成材料を、統一的に「第2の材料」と称する。
【0066】
第1の傾斜機能部材49にあっては、その最冷部47側の一端X3における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ100%、0%とされ、発光管3側の他端X4における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ0%、100%とされている。そして、第1の傾斜機能部材49の一端X3から他端X4に近づくに伴い、第1の材料の含有割合が100%から0%まで低下すると共に、第2の材料の含有割合が0%から100%まで増加するように、該第1の材料および第2の材料の含有割合が第1の傾斜機能部材49の軸方向に変化している。
【0067】
同様に、第2の傾斜機能部材51にあっては、その最冷部47側の一端X5における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ100%、0%とされ、ステム5a側の他端X6における第1の材料および第2の材料の含有割合がそれぞれ0%、100%とされている。そして、第2の傾斜機能部材51の一端X5から他端X6に近づくに伴い、第1の材料の含有割合が100%から0%まで低下すると共に、第2の材料の含有割合が0%から100%まで増加するように、該第1の材料および第2の材料の含有割合が第2の傾斜機能部材51の軸方向に変化している。
【0068】
これらの傾斜機能部材49,51は、前記傾斜機能部材9と同様に、第1の材料および第2の材料の混合比を段階的に異ならせた複数の環状の層をそれらの軸方向に積層してなる成形体を焼結することによって作成される。この場合、第1の傾斜機能部材49の一端X3側の部分および第2の傾斜機能部材51の一端X5側の部分を第1の材料によって、最冷部47と同じ形状に形成しておくことによって、最冷部47、第1の傾斜機能部材49および第2の傾斜機能部材51を一体的に接合した筒体45を容易に作成することができる。
【0069】
そして、この筒体45の第1の傾斜機能部材49の他端X4が、発光管3の一端に溶着によって接合され、あるいはフリットガラスを介して発光管3の一端に接合される。また、筒体45の第2の傾斜機能部材51の他端X6に、ステム5aのフレア部15の外周部が溶着によって接合され、あるいはフリットガラスを介して接合される。これにより、ステム5aが、発光管3の一端部に筒体45を介して取り付けられることとなる。
【0070】
なお、本実施形態では、ステム5a側の排気管19の先端は加熱加工によって閉塞されている。また、筒体45の最冷部47は、その発光管3の軸方向での位置が、ステム5a側の放電電極7aと、ステム5b側の放電電極7bとの間の範囲内よりも発光管3の一端部寄り(本実施形態ではステム5a側の端部寄り)の位置になるように設けられている。以上説明した以外の蛍光ランプ43の構成は、第1実施形態と同じである。
【0071】
補足すると、発光管3の構成材料とステム5a,5bの構成材料とが異なる場合には、第1の傾斜機能部材49の第2の材料と、第2の傾斜機能部材51の第2の材料とが互いに異なる材料であってもよい。第1の傾斜機能部材49の第2の材料は、発光管3との接合ができるだけ容易な材料、例えば該発光管3と同じ材料、あるいは、発光管3の材料と熱膨張率や熱伝導率、融点などの物理的特性が近い材料(少なくとも第1の材料よりも該物理的特性が発光管3の構成材料に近い材料)であることが好ましい。また、第2の傾斜機能部材51の第2の材料は、ステム5aとの接合ができるだけ容易な材料、例えば該ステム5aと同じ材料、あるいは、ステム5aの材料と熱膨張率や熱伝導率、融点などの物理的特性が近い材料(少なくとも第1の材料よりも該物理的特性がステム5aの構成材料に近い材料)であることが好ましい。
【0072】
また、最冷部47の内側に放電電極7aが存するようにしてもよい。ただし、放電電極7a,7b間の放電に伴い発光管3の内部で発生して外部に放射される光をできるだけ遮らないようにする上では、最冷部47は、その発光管3の軸方向での位置が、ステム5a側の放電電極7aと、ステム5b側の放電電極7bとの間の範囲内から発光管3の一端部寄りに逸脱する位置になるように設けられていることが好ましい。
【0073】
以上説明した本実施形態の蛍光ランプ43では、最冷部47を、上記のように第1の傾斜機能部材49を介して発光管3に連結すると共に、第2の傾斜機能部材51を介してステム5aに連結しているので、該最冷部47と発光管3およびステム5aとの連結状態を長期的に安定に良好な状態(両者の連結箇所に亀裂などの劣化を生じない状態)に保つことができる。そして、第1実施形態と同様に、最冷部47が熱伝導率の高い第1の材料により構成されているので、最冷部47の温度が過剰に上昇するのを抑制することができる。ひいては、蛍光ランプ43の点灯時に、最冷部47に凝集していた水銀が過剰に気化して、発光管3内の水銀蒸気圧が過剰に高くなるのを抑制することができ、蛍光ランプ43の発光効率が低下するのを防止することができる。
【0074】
なお、本実施形態において、前記第2実施形態と同様に、最冷部47の外面にヒートシンクなどの冷却手段を装着して、該最冷部47を積極的に冷却するようにしてもよい。あるいは、前記第3実施形態で例示した如く、蛍光ランプの周囲を覆う外ケースもしくはカバーの、外気に対する放熱性が高い部分に最冷部47を接触させ、最冷部47から外気への放熱性を高めるようにしてもよい。
【0075】
また、最冷部47を有する筒体45は発光管3の一端部だけに設ける必要はなく、発光管3の両端部に各別に筒体を備えるようにしてもよい。
【0076】
また、以上説明した第1〜第5実施形態では、熱陰極蛍光ランプを例に採って説明したが、冷陰極蛍光ランプにおいても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態の蛍光ランプの断面図。
【図2】第1実施形態の蛍光ランプに備えた傾斜機能部材の組成成分の含有割合の分布を示す図。
【図3】本発明の第2実施形態の蛍光ランプの要部の断面図。
【図4】本発明の第3実施形態の蛍光ランプの一部を破断して示す図。
【図5】本発明の第4実施形態の蛍光ランプの要部の断面図。
【図6】本発明の第5実施形態の蛍光ランプの要部の断面図。
【符号の説明】
【0078】
1,23,27,37,43…蛍光ランプ、3…発光管、5a,5b…ステム、7a,7b…放電電極、9…傾斜機能部材、9a…傾斜機能部材の内部の通路、11…最冷部、
19…排気管、21…ステムの内部の通路、39…発光管の管壁の孔、45…筒体、47…最冷部、49…第1の傾斜機能部材、51…第2の傾斜機能部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、
前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る中空の最冷部を前記発光管の外部に備え、
該最冷部が、傾斜機能材料により構成された傾斜機能部材を介して前記一対のステムのうちのいずれか一方のステムに連結されると共に、該最冷部の内部空間が、前記傾斜機能部材の内部に形成された第1の通路と、前記一方のステムの内部に形成された第2の通路とを介して前記発光管の内部空間に連通され、
前記傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記一方のステムに近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記傾斜機能部材の前記最冷部側の一端と前記一方のステム側の他端との間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記第2の通路を介して前記発光管の内部空間に連通して前記一方のステムから前記発光管の外部側に導出された排気管が該一方のステムと一体に設けられており、前記最冷部は、前記傾斜機能部材を介して前記排気管の先端に連結されていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項3】
蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、
前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る中空の最冷部を前記発光管の外部に備え、
該最冷部が、傾斜機能材料により構成された傾斜機能部材を介して前記発光管の管壁に連結されると共に、該最冷部の内部空間が、前記傾斜機能部材の内部に形成された通路と、前記発光管の管壁に穿設された孔とを介して該発光管の内部空間に連通され、
前記傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記発光管の管壁に近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記傾斜機能部材の前記最冷部側の一端と前記発光管の管壁側の他端との間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項4】
請求項3記載の蛍光ランプにおいて、前記最冷部は、前記発光管の軸方向での該最冷部の位置が、前記一対の放電電極のうちの一方の放電電極と他方の放電電極との間の範囲内から該発光管の一端部寄りに逸脱する位置になるように、前記傾斜機能部材を介して該発光管の管壁に連結されていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項5】
蛍光体を内周面に被着した発光管と、該発光管の両端部を封止するように該両端部にそれぞれ取り付けられた一対のステムと、該一対のステムにそれぞれ取り付けられ、前記発光管の内部空間の各端部寄りの位置にそれぞれ配置された一対の放電電極とを備え、該発光管の内部空間に水銀と不活性ガスとが封入された蛍光ランプにおいて、
前記発光管および一対のステムよりも熱伝導率が高い第1の材料から成る筒状の最冷部と、第1の傾斜機能材料により筒状に構成され、前記最冷部の一端から同軸に延設された第1の傾斜機能部材と、第2の傾斜機能材料により筒状に構成され、前記最冷部の他端から同軸に延設された第2の傾斜機能部材とから成る筒体を備え、
該筒体が、前記発光管の一端部に前記第1の傾斜機能材料を介して同軸に連結されると共に、前記一対のステムのうちの該発光管の一端部側の一方のステムが、該筒体の第2の傾斜機能部材側の端部に接合されて、該筒体を介して該発光管の一端部に取り付けられ、
前記第1の傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記発光管に接合可能な第2の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第2の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記発光管の一端部に近いほど、第2の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記第1の傾斜機能部材の軸方向の両端間で該第1の材料の含有量と第2の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であり、
前記第2の傾斜機能材料は、前記第1の材料と、該第1の材料よりも熱伝導率が低く、且つ前記一方のステムに接合可能な第3の材料とを組成成分とし、前記最冷部に近いほど、第1の材料の含有量が第3の材料の含有量よりも多くなり、且つ、前記一方のステムに近いほど、第3の材料の含有量が第1の材料の含有量よりも多くなるように、前記第2の傾斜機能部材の軸方向の両端間で該第1の材料の含有量と第3の材料の含有量との割合を変化させた傾斜機能材料であることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項6】
請求項5記載の蛍光ランプにおいて、前記最冷部は、前記発光管の軸方向での該最冷部の位置が、前記一対の放電電極のうちの一方の放電電極と他方の放電電極との間の範囲内から該発光管の一端部寄りに逸脱した位置になるように設けられていることを特徴とする蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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