説明

蛍光体とその製造方法および発光器具

【課題】 アルカリ土類を含む酸窒化物蛍光体に関して従来の希土類付活サイアロン蛍光体より高い輝度を有し、化学的に安定な無機蛍光体を提供する。
【解決手段】 少なくとも窒化ケイ素粉末と、M元素含有無機物質と、A元素含有無機物質からなる原料混合物を、窒素雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することによって、少なくともM元素と、A元素と、ケイ素と、酸素と、窒素を
含有する無機組成物(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素)からなり、A2Si58と同一の結晶構造を有する結晶およびA元素含有結晶を含有する蛍光体を得る

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機化合物を主体とする蛍光体とその製造方法および用途に関する。さらに詳細には、該用途は、該蛍光体の有する性質、すなわち570nmから700nmの長波長の蛍光を発光する特性を利用した照明器具、画像表示装置の発光器具に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDやSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、長期間の使用中に蛍光体の輝度が低下するという問題があり、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体が提案されている。
【0003】
このサイアロン蛍光体は、概略以下に述べるような製造プロセスによって製造される。まず、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ユーロピウム(Eu23)、を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MP
a)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される(例えば、特許文献1参照)。このプロセスで得られるEuイオンを付活したαサイアロンは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。しかしながら、紫外LEDを励起源とする白色LEDやプラズマディスプレイなどの用途には、黄色だけでなく橙色や赤色に発光する蛍光体も求められていた。また、青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、演色性向上のため橙色や赤色に発光する蛍光体が求められていた。
【0004】
赤色に発光する蛍光体として、Ba2Si58結晶にEuを付活した無機物質(Ba2-xEuxSi58:x=0.14〜1.16)がこの出願前に係る学術文献に報告されてい
る(非特許文献1参照)。さらに、「On new rare−earth doped
M−Si−Al−O−N materials」と題する学術文献の第2章には種々の組成のアルカリ金属とケイ素の3元窒化物、MxSiyz(M=Ca、Sr、Ba、Zn
;x、y、zは種々の値)を母体とする蛍光体が報告されている(非特許文献2参照)。同様に、MxSiyz:Eu(M=Ca、Sr、Ba、Zn;z=2/3x+4/3y)
が、特許文献2に報告されている。
【0005】
また、特許文献3、4には、別のサイアロン、窒化物、または酸窒化物蛍光体として、MSi35、M2Si47、M4Si611、M9Si1123、M16Si15632、M13
18Al121836、MSi5Al2ON9、M3Si5AlON10(ただし、MはBa、C
a、Sr、または希土類元素)を母体結晶として、これにEuやCeを付活した蛍光体が記載されており、これらの中には赤色に発光する蛍光体と蛍光体を用いたLED照明ユニットが知られている。このなかで、EuaSrbSicAldef系の化合物として、SrSiAl232:Eu2+とSr2Si4AlON7:Eu2+が知られている。さらに、特許文献5には、Sr2Si58やSrSi710結晶にCeを付活した蛍光体が記載されている。
【0006】
さらにまた、特許文献6には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z(LはCa、Sr、Baな
どの2価元素、MはSi、Geなどの4価元素、ZはEuなどの付活剤)蛍光体に関する記載があり、微量のAlを添加すると残光を抑える効果があることが記載されている。また、この蛍光体と青色LEDとを組み合わせることによる、やや赤みを帯びた暖色系の白色の発光装置が知られている。さらに、特許文献7には、LxMyN(2/3x+4/3y):Z蛍
光体として種々のL元素、M元素、Z元素で構成した蛍光体が記載されている。特許文献8には、L−M−N:Eu、Z系に関する幅広い組み合わせの記述があるが、特定の組成物や結晶相を母体とする場合の発光特性向上の効果は示されていない。
【0007】
以上に述べた特許文献2から8に代表される蛍光体は、種々の異なる結晶相を母体とする蛍光体が報告されており、赤色に発光するものも知られているが、青色の可視光での励起では赤色の発光輝度は十分ではなかった。また、組成によっては化学的に不安定であり、耐久性に問題があった。さらに、出発原料にCaやSrの金属または窒化物を使用するため、空気を遮断した状態で粉末を混合する必要があり、生産性の点で問題があった。
【0008】
【非特許文献1】H.A.Hoppe ほか4名“Journal of Physics and Chemistry of Solids” 2000年、61巻、2001〜2006ページ
【非特許文献2】「On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials」J.W.H.van Krevel著、TU Eindhoven 2000、ISBN 90−386−2711−4
【特許文献1】特開2002−363554号公報
【特許文献2】米国特許第6682663号公報
【特許文献3】特開2003−206481号公報
【特許文献4】米国特許第667−748号公報
【特許文献5】特開2002−322474号公報
【特許文献6】特開2003−321675号公報
【特許文献7】特開2003−277746号公報
【特許文献8】特開2004−10786号公報
【0009】
照明装置の従来技術として、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードが公知であり、各種照明用途に実用化されている。その代表例としては、特許文献9(「発光ダイオード」)、特許文献10(「発光ダイオード」)、特許文献11(「波長変換注型材料及びその製造方法並びに発光素子」)などが例示される。これらの発光ダイオードで、特によく用いられている蛍光体は一般式(Y、Gd)3(Al、Ga)512:Ce3+で表さされる、セリウムで付活したイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体である。
【0010】
しかしながら、青色発光ダイオード素子とイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体とから成る白色発光ダイオードは赤色成分の不足から青白い発光となる特徴を有し、演色性に偏りがみられるという問題があった。
【0011】
このような背景から、2種の蛍光体を混合・分散させることによりイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体で不足する赤色成分を別の赤色蛍光体で補う白色発光ダイオードが検討された。このような発光ダイオードとしては、特許文献12(「白色発光素子」)、特許文献6(「窒化物蛍光体及びその製造方法」)などを例示することができる。しかし、これら発明においても演色性に関してまだ改善すべき問題点は残されており、その課題を解決した発光ダイオードが求められていた。特許文献12に記載の赤色蛍光体はカドミウムを含んでおり、環境汚染の問題がある。特許文献6に記載の、Ca1.97Si58:Eu0.03を代表例とする赤色発光蛍光体はカドミウムを含まないが、蛍光体の
輝度が低いため、その発光強度についてはさらなる改善が望まれていた。
【0012】
【特許文献8】特許第2900928号
【特許文献9】特許第2927279号
【特許文献10】特許第3364229号
【特許文献11】特開平10−163535号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような要望に応えようとするものであり、目的のひとつは、アルカリ土類を含む酸窒化物蛍光体に関して従来の希土類付活サイアロン蛍光体より高い輝度を有し、化学的に安定な無機蛍光体を提供することにある。さらに、大気中で安定な出発原料を用いて工業生産に適した製造方法を提供することにある。本発明のもうひとつの目的として、係る蛍光体を用いた演色性に優れる照明器具および耐久性に優れる画像表示装置の発光器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らにおいては、かかる状況の下で、Mg、Ca、Sr、Baなどの2価のアルカリ土類元素(A)とSiを主たる金属元素とする無機多元窒化物結晶を母体とする蛍光体について詳細な研究を行い、A2Si58と同一の結晶構造を有する結晶およびA元素
含有結晶(なかでもA2SiO4)の2相を含有する無機結晶を母体として、これに、Mn、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybなどの光学活性な金属を付活した蛍光体が大気中で粉末の混合が可能であり、また従来報告されている窒化物や酸窒化物を母体結晶とする蛍光体よりも高輝度の蛍光を発することを見いだした。
【0015】
さらに、本発明の中で赤色に発色する蛍光体を用いることにより、高い発光効率を有する赤み成分に富む演色性の良い白色発光ダイオードや鮮やかな赤色を発色する画像表示装置が得られることを見いだした。
【0016】
本発明の蛍光体の母体結晶は、従来報告されているLxy(2/3x+4/3y)に代表され
る2価と4価の元素の三元窒化物の単相からなる蛍光体とは異なり、A2Si58−A2SiO4系の2相からなる無機結晶を母体とすることにより、従来にない輝度の発光が達成
されることを見いだした。また、本発明は、特許文献3などで従来報告されているM13Si18Al121836、MSi5Al2ON9、M3Si5AlON10(MはCa、Ba、Sr
など)、SrSiAl232:Eu2+、Sr2Si4AlON7:Eu2+や、非特許文献2の第11章に記載されているCa1.47Eu0.03Si9Al316などのサイアロンとはまったく異なる組成および結晶構造を持つ結晶を母体とする新規な蛍光体である。
【0017】
一般に、発光中心元素MとしてMnや希土類元素を無機母体結晶に付活した蛍光体は、M元素の周りの電子状態により発光色と輝度が変化する。例えば、2価のEuを発光中心とするも蛍光体では、母体結晶を換えることにより、青色、緑色、黄色、赤色の発光が報告されている。すなわち、似た組成であっても母体の結晶構造やMが取り込まれる結晶構造中の原子位置を換えると発光色や輝度はまったく違ったものとなり、異なる蛍光体と見なされる。本発明では従来報告されている窒化物や酸窒化物およびサイアロン組成とはまったく異なる結晶を母体としており、このような結晶を母体とする蛍光体は従来報告はない。しかも、本発明の組成を母体とする蛍光体は従来の結晶を母体とするものより輝度が高く、特定の組成では赤色発光を呈する。
【0018】
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、以下(1)〜(22)に記載する構成を講ずることによって特定波長領域で高い輝度の発光現象を示す蛍光体を提供するこ
とに成功した。また、(23)〜(37)の方法を用いて優れた発光特性を持つ蛍光体を製造することに成功した。さらに、この蛍光体を使用し、(38)〜(47)に記載する構成を講ずることによって優れた特性を有する照明器具、画像表示装置を提供することにも成功した。その構成は、以下(1)〜(47)に記載のとおりである。
【0019】
(1)少なくともM元素と、A元素と、ケイ素と、酸素と、窒素を含有する無機組成物(
ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素)であり、少なくともA2Si58
同一の結晶構造を有する結晶およびA元素含有結晶を含有することを特徴とする蛍光体。(2)A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA2Si58またはその固溶体結晶であることを特徴とする前記(1)項に記載の蛍光体。
(3)A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶が酸素を含有するA2Si58の固溶体結晶であることを特徴とする前記(1)項ないし(2)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(4)A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA元素および酸素を含有するA2Si58の固溶体結晶であることを特徴とする前記(1)項ないし(3)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(5)A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA2-zSi5z8-z(0<z<
1)であることを特徴とする前記(1)項ないし(4)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(6)A元素含有結晶が少なくともAとSiとOを含有する結晶であることを特徴とする前記(1)項ないし(5)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(7)A元素含有結晶がA2SiO4またはその固溶体結晶であることを特徴とする前記(1)項ないし(6)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(8)A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶が20質量%以上80質量%以下
であり、A元素含有結晶が20%質量以上80質量%以下であることを特徴とする前記(1)項ないし(7)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(9)A2Si58とA2SiO4の含有量のモル比(A2Si58/A2SiO4)が0.8以上3以下であることを特徴とする前記(1)項ないし(6)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(10)無機組成物のMとAとSiとOとNとの元素の比が組成式MabSicde
ただし、a+b+c+d+e=1)で表され、
0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
0.14 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
0.22 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.14 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
以上の条件を全て満たすことを特徴とする前記(1)項ないし(9)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(11)無機組成物が組成式My2-ySi324(0.0001≦y≦0.3)で示さ
れることを特徴とする前記(1)項ないし(10)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(12)A元素がSrであることを特徴とする前記(1)項ないし(11)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(13)A元素がBaであることを特徴とする前記(1)項ないし(11)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(14)M元素として少なくともEuを含有することを特徴とする前記(1)項ないし(13)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(15)少なくともEuと、Srと、Siと、酸素と、窒素を含有する組成物であり、Sr2Si58またはその固溶体結晶と、Sr2SiO4またはその固溶体結晶を含有するこ
とを特徴とする前記(1)項ないし(14)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(16)Sr2Si58またはその固溶体結晶がSr2-zSi5z8-z(0<z<1)で
あり、Sr2SiO4またはその固溶体結晶がα型Sr2SiO4とβ型Sr2SiO4の混合物であり、それらの含有量のモル比(Sr2-zSi5z8-z/(α型Sr2SiO4+β型Sr2SiO4))が0.8以上3以下であることを特徴とする前記(15)項に記載の蛍光体。
(17)紫外線、可視光線、電子線のいずれかの励起源の照射により、570nm以上700nm以下の波長のオレンジ色または赤色の蛍光を発することを特徴とする前記(1)項から(16)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(18)紫外線、可視光線、電子線のいずれかの励起源の照射による蛍光スペクトルにおいて、450nm以上550nm以下の範囲における発光ピークの極大値が、570nm以上700nm以下の範囲における発光ピークの極大値の1/5以下であることを特徴とする前記(1)項から(17)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(19)前記(1)項ないし(18)項に記載の無機化合物と他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成され、前記(1)項ないし(18)項に記載の無機化合物の含有量が10質量%以上であることを特徴とする蛍光体。
(20)前記(1)項ないし(18)項に記載の無機化合物の含有量が50質量%以上であることを特徴とする前記(19)項に記載の蛍光体。
(21)他の結晶相あるいはアモルファス相が導電性を持つ無機物質であることを特徴とする前記(19)項ないし(20)項のいずれか1項に記載の蛍光体。
(22)導電性を持つ無機物質が、Zn、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする前記(21)項に記載の蛍光体。
【0020】
(23)少なくとも窒化ケイ素粉末と、M元素含有無機物質と、A元素含有無機物質からなる原料混合物を、窒素雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(24)M含有無機物質が、Mの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の郡から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、A含有無機物質が、Aの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の郡から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする前記(23)項に記載の蛍光体の製造方法。
(25)M含有無機物質が、Mの酸化物であり、A含有無機物質がAの酸化物であることを特徴とする前記(23)項または(24)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(26)fSi34−gM23−hAO(ただし、f+g+h=1)で表される混合割合で窒化ケイ素とMの酸化物とA含有無機物質(ただし、Mの酸化物はM23換算、A含有無機物質はAO換算とする)を混合した原料粉末であり
0.00001 ≦ g ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(6)
0.4 ≦ h ≦ 0.8・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
以上の範囲のf、g、hで示される組成を出発原料とすることを特徴とする前記(22)項ないし(25)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(27)原料混合物に焼成温度にて液相を生成するフラックス化合物を添加することを特徴とする前記(23)項ないし(26)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(28)フラックス化合物が、酸化ホウ素、窒化ホウ素、ホウ酸、A元素のフッ化物、塩化物、ホウ酸塩、から選ばれる化合物であることを特徴とする前記(27)項に記載の蛍光体の製造方法。
(29)窒素雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲のガス雰囲気であることを特徴とする前記(23)項ないし(28)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造
方法。
(30)粉体または凝集体形状の原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填した後に、焼成することを特徴とする前記(23)項ないし(29)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(31)容器が窒化ホウ素製であることを特徴とする前記(30)項に記載の蛍光体の製造方法。
(32)該焼結手段がホットプレスによることなく、専ら常圧焼結法またはガス圧焼結法による手段であることを特徴とする前記(23)項から(31)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(33)粉砕、分級 、酸処理から選ばれる1種ないし複数の手法により、合成した蛍光
体粉末の平均粒径を50nm以上50μm以下に粒度調整することを特徴とする前記(23)項から(32)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(34)焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することを特徴とする前記(23)項から(33)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(35)焼成後に生成物を水または酸の水溶液からなる溶剤で洗浄することにより、生成物に含まれるガラス相、第二相、フラックス成分相、または不純物相の含有量を低減させることを特徴とする前記(23)項ないし(34)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
(36)酸が、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸の単体または混合物からなることを特徴とする前記(35)項に記載の蛍光体の製造方法。
(37)酸がフッ化水素酸と硫酸の混合物であることを特徴とする前記(35)項ないし(36)項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【0021】
(38)少なくとも発光光源と蛍光体から構成される照明器具において、少なくとも前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする照明器具。
(39)該発光光源が330〜500nmの波長の光を発する発光ダイオード(LED)レーザダイオード、または有機EL発光素子であることを特徴とする前記(38)項に記載の照明器具。
(40)該発光光源が330〜420nmの波長の光を発するLEDであり、前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体と、330〜420nmの励起光により420nm以上500nm以下の波長の光を放つ青色蛍光体と、330〜420nmの励起光により500nm以上570nm以下の波長の光を放つ緑色蛍光体とを用いることにより、赤、緑、青色の光を混ぜて白色または混合光を発することを特徴とする前記(38)項または(39)項のいずれか1項に記載の照明器具。
(41)該発光光源が420〜500nmの波長の光を発するLEDであり、前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体と、420〜500nmの励起光により500nm以上570nm以下の波長の光を放つ緑色蛍光体とを用いることにより、白色または混合光を発することを特徴とする前記(38)項または(39)項のいずれか1項に記載の照明器具。
(42)該発光光源が420〜500nmの波長の光を発するLEDであり、前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体と、420〜500nmの励起光により550nm以上600nm以下の波長の光を放つ黄色蛍光体とを用いることにより、白色または混合光を発することを特徴とする前記(38)項または(39)項のいずれか1項に記載の照明器具。
(43)該黄色蛍光体がEuを固溶させたCa−αサイアロンであることを特徴とする前記(42)項に記載の照明器具。
(44)該緑色蛍光体がEuを固溶させたβ−サイアロンであることを特徴とする前記(40)項または(41)項のいずれか1項に記載の照明器具。
【0022】
(45)少なくとも励起源と蛍光体から構成される画像表示装置において、少なくとも前記(1)項ないし(22)項のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする画像表示装置。
(46)励起源が、電子線、電場、真空紫外線、または紫外線であることを特徴とする前記(45)項に記載の画像表示装置。
(47)画像表示装置が、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)のいずれかであることを特徴とする前記(45)項ないし(46)項のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明の蛍光体は、2価のアルカリ土類元素(A)とSiと酸素と窒素とを含み、A2
Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶およびA元素含有結晶(なかでもA2SiO4)の2相以上からなる結晶を母体結晶として、これにM元素を固溶させた無機化合物を主成分として含有していることにより、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より長波長での発光を示し、高輝度の蛍光体として優れている。係る組成は空気中で安定な原料であるSi34、MO(Mの酸化物)、AO(Aの酸化物)またはACO3(Aの炭酸塩)を出発
として用いて合成することが可能であり、生産性に優れる。さらに、化学的安定性に優れるため、励起源に曝された場合でも輝度が低下することなく、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される有用な蛍光体を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の蛍光体は、少なくとも付活元素Mと、2価のアルカリ土類元素Aと、ケイ素と、窒素と、酸素とを含有する組成物である。代表的な構成元素としては、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素を挙げることができる。これら元素で構成され、少なくともA2Si58と同
一の結晶構造を有する無機結晶およびA元素含有結晶を含有する。
【0025】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶としては、Mg2Si58、Ca2Si58、Sr2Si58、Ba2Si58結晶およびこれらの固溶体結晶を挙げることができ
る。また、Ca1-xSrxSi58やSr1-xBaxSi58(0<x<1)など、2種以上のA元素の混合組成も含むことができる。なかでも、Ca2Si58、Sr2Si58結晶およびその固溶体結晶を含む組成物は赤色の発光輝度が高いため好ましい。固溶体結晶とは、(1)A2Si58結晶のAの一部を2価元素で置換したもの、(2)全体の電荷が
合うようにSiの一部をAlでNの一部を酸素で置換したもの、(3)全体の電荷が合うようにAの一部を1価元素でNの一部を酸素で置換したもの、(4)全体の電荷が合うようにAの一部を1価の元素と3価以上の元素で置換した化合物などを挙げることができ、結晶構造がA2Si58結晶と同一のものを言う。A2Si58の固溶体結晶の中で酸素を含むものは発光波長が短波長にシフトするため、オレンジ色や黄色の発色が求められる用途には適している。なかでも、A2-zSi5z8-z(0<z<1)で表される結晶は高輝度の短波長発光を呈するため好ましい。ここで、結晶中のNの原子位置の一部に酸素が置換し、同時に電荷を補償するためにA元素の一部が欠損して空孔となる。また、z値は酸素固溶量を表し、この範囲の値で固溶体を形成する。
【0026】
A元素含有結晶とは、A2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶以外のA元素を
含有する無機結晶で主としてシリケートであり、ASiO3、A2SiO4、A3SiO5
どを挙げることができる。また、これらのシリケートに窒素を含有するオキシナイトライ
ドも含まれる。なかでも、A2SiO4は発光輝度が高いため好ましい。
【0027】
無機組成物中に含まれるA2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶相は20質量
%以上80質量%以下が好ましく、A元素含有結晶は20質量%以上80質量%以下が好ましい。この範囲外の組成では発光輝度が低下する。さらに、A2Si58とA2SiO4
の含有量のモル比(A2Si58/A2SiO4)が0.8以上3以下である無機組成物、
中でも等モル(A2Si58/A2SiO4=1)は特に発光輝度が高い。これらの結晶相
の含有量はX線回折を行い、リートベルト法の多相解析により求めることができる。簡易的には、X線回折結果を用いて、2相の最強線の高さの比から含有量を求めることができる。
【0028】
本発明の無機組成物のなかで、構成元素であるMとAとSiとOとNとの元素の比が組成式MabSicde(ただし、a+b+c+d+e=1)で表され、
0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
0.14 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
0.22 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.14 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
以上の条件を全て満たす組成物は発光輝度が高い。中でも、
y2-ySi324(0.0001≦y≦0.3)
組成はより発光輝度が高いので好ましい。
【0029】
本発明のA元素は、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる1種または2種以上の元素であるが、中でもSrとBaは特に発光輝度が高い。それぞれ発色が異なるので、用途により選定すると良い。
【0030】
本発明のM元素は、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素であるが、中でもEuが色純度が良い赤色発光を呈する。
【0031】
本発明の蛍光体は、紫外線、可視光線、電子線のいずれかの励起源の照射により、570nm以上700nm以下の波長のオレンジ色または赤色の蛍光を発する。少なくともEuと、Srと、Siと、酸素と、窒素を含有する組成物であり、Sr2Si58またはそ
の固溶体結晶と、Sr2SiO4またはその固溶体結晶を含有する蛍光体は、高輝度の610〜640nmの赤色発光を呈する。中でも、全体の組成が
EuySr2-ySi324(0.001≦y≦0.05)
であるものは特に輝度が高い。
【0032】
本発明の蛍光体は、A2Si58と同一の結晶構造を有する結晶およびA元素含有結晶
を含有する組成物であるが、その発光機構は次の様に考えられる。本発明のひとつにSr2Si58固溶体とSr2SiO4からなる
Sr2-ySi324:Eu2+
の組成物がある。Sr2Si58:Eu2+は単独では赤色蛍光体であり、Sr2SiO4
Eu2+は単独では緑色蛍光体である。本発明では、これらの混相とすることにより輝度が向上する。輝度向上の機構として、Sr2Si58:Eu2+は励起源で直接に励起される
他に、励起されたSr2SiO4:Eu2+が放つ緑色の光を吸収することによっても励起が可能となるため、効率的に赤色を発光するものと考えられる。結果として、本発明の発光スペクトルにおける450nm以上550nm以下(青色や緑色成分)では発光強度が低く、その範囲の発光ピークの極大値は570nm以上700nm以下の範囲(オレンジ色、赤色)における発光ピークの極大値の1/5以下である。これにより、2相の混相であ
っても高輝度のオレンジあるいは赤色を発する蛍光体となる。
【0033】
Sr2Si58固溶体とSr2SiO4からなる組成物の中でも、Sr2Si58またはその固溶体結晶がSr2-zSi5z8-z(0<z<1)であり、Sr2SiO4またはその固溶体結晶がα型Sr2SiO4とβ型Sr2SiO4の混合物であり、それらの含有量のモル比(Sr2-zSi5z8-z/(α型Sr2SiO4+β型Sr2SiO4))が0.8以上3以下である蛍光体は特に輝度が高い。
【0034】
本発明の蛍光体を粉体として用いる場合は、樹脂への分散性や粉体の流動性などの点から平均粒径が0.1μm以上50μm以下が好ましい。また、粉体をこの範囲の単結晶粒子とすることにより、より発光輝度が向上する。
【0035】
発光輝度が高い蛍光体を得るには、無機化合物に含まれる不純物は極力少ない方が好ましい。特に、Fe、Co、Ni不純物元素が多く含まれると発光が阻害されるので、これらの元素の合計が500ppm以下となるように、原料粉末の選定および合成工程の制御を行うとよい。
【0036】
本発明では、蛍光発光の点からは、その酸窒化物の構成成分たるA2Si58と同一の
結晶構造を有する結晶およびA元素含有結晶からなる無機組成物は、高純度で極力多く含むこと、できれば他の相は含まないことが望ましいが、特性が低下しない範囲で他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成することもできる。この場合、無機組成物の含有量が10質量%以上であることが高い輝度を得るために望ましい。さらに好ましくは50質量%以上で輝度が著しく向上する。本発明において主成分とする範囲は、無機組成物の含有量が少なくとも10質量%以上である。無機組成物の含有量はX線回折を行い、リートベルト法の多相解析により求めることができる。簡易的には、X線回折結果を用いて、無機組成物結晶と他の結晶の最強線の高さの比から含有量を求めることができる。
【0037】
本発明の蛍光体を電子線で励起する用途に使用する場合は、導電性を持つ無機物質を混合することにより蛍光体に導電性を付与することができる。導電性を持つ無機物質としては、Zn、Al、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0038】
本発明の蛍光体と、黄色、緑色、青色などの他の色との混合が必要な場合は、必要に応じてこれらの色を発色する無機蛍光体を混合することができる。
【0039】
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、通常の酸化物蛍光体や既存のサイアロン蛍光体と比べて、電子線やX線、および紫外線から可視光の幅広い励起範囲を持つこと、特定の組成では570nm以上の橙色や赤色の発光をすること、特に特定の組成では600nmから650nmの赤色を呈することが特徴であり、CIE色度座標上の(x、y)の値で、y値が0.44以上0.73以下の色の範囲の赤色の発光を示す。以上の発光特性により、照明器具、画像表示装置に好適である。これに加えて、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
【0040】
本発明の蛍光体は製造方法を規定しないが、下記の方法で輝度が高い蛍光体を製造することができる。
【0041】
少なくとも窒化ケイ素粉末と、M元素含有無機物質と、A元素含有無機物質からなる原料混合物であって焼成することにより、M、A、Si、O、N、で示される組成物を構成しうる原料混合物を、窒素を含有する不活性雰囲気中において1200℃以上2200℃
以下の温度範囲で焼成することにより、高輝度蛍光体が得られる。
【0042】
M含有無機物質としては、Mの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物を挙げることができ、これらの郡から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。なかでも、Mの酸化物が取り扱いが容易であり、反応生成物にMと酸素以外の元素が残留せず高輝度の蛍光体が得られるため好ましい。
【0043】
A含有無機物質としては、Aの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物を挙げることができ、これらの郡から選ばれる1種または2種以上のを用いることができる。なかでも、Aの酸化物が取り扱いが容易であり、反応生成物にAと酸素以外の元素が残留せず高輝度の蛍光体が得られるため好ましい。
【0044】
本発明の中で、特に高輝度が得られる製造方法として次の方法がある。出発原料として、窒化ケイ素粉末と、Mの酸化物M23とAの酸化物AOを用い、
fSi34−gM23−hAO(ただし、f+g+h=1)
0.00001 ≦ g ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(6)
0.4 ≦ h ≦ 0.8・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
で表される組成となるように混合した後に、焼成すると良い。この方法は、空気中で安定な出発原料を用いることができるため、粉末の秤量、混合、乾燥んなどの工程を大気中で行える利点がある。
【0045】
出発原料粉末の混合物に焼成温度にて液相を生成する無機化合物を添加して焼成すると、高温で液相が生成してフラックスとして働き蛍光体の結晶生成を促進効果がある。これにより蛍光体の結晶性が良くなり輝度が向上する。
【0046】
フラックスとなる無機化合物としては、酸化ホウ素、窒化ホウ素、ホウ酸、A元素のフッ化物、塩化物、ホウ酸塩、から選ばれる化合物を挙げることができる。
【0047】
次に、得られた金属化合物の混合物を窒素を含有する不活性雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することにより蛍光体を合成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素を含有する不活性雰囲気であることから、金属抵抗加熱抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であり、炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好適である。焼成の手法は、常圧焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼結手法が、嵩密度を高く保ったまま焼成するために好ましい。
【0048】
窒素雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲のガス雰囲気が好ましい。0.1MPaより低いと焼成中に原料の窒化ケイ素が熱分解を起こす。100MPaより高いと工業生産上好ましくない。
【0049】
上記の混合粉末は、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成するとよい。嵩密度とは粉末の体積充填率であり、一定容器に充填したときの粉末の質量と容器の容積の比を金属化合物の理論密度で割った値である。容器としては、金属化合物との反応性が低いことから、窒化ホウ素焼結体が適している。
【0050】
嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成すると、反応生成物が自由な空間に結晶成長することにより結晶同士の接触が少なくなるため、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来るためである。
【0051】
焼成して得られた粉体凝集体が固く固着している場合は、例えばボールミル、ジェットミル等の工場的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。粉砕は平均粒径50μm以下と
なるまで施す。特に好ましくは平均粒径0.1μm以上5μm以下である。平均粒径が50μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になる。0.1μm以下となると、蛍光体粉体表面の欠陥量が多くなるため蛍光体の組成によっては発光強度が低下する。
【0052】
焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理すると粉砕時などに表面に導入された欠陥が減少して輝度が向上する。
【0053】
焼成後に生成物を水または酸の水溶液からなる溶剤で洗浄することにより、生成物に含まれるガラス相、第二相、フラックス相または不純物相の含有量を低減させることができ、輝度が向上する。この場合、酸は、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸の単体または混合物から選ぶことができ、なかでもフッ化水素酸と硫酸の混合物を用いると不純物の除去効果が大きい。
【0054】
以上説明したように、本発明蛍光体は、従来のサイアロン蛍光体より高い輝度を示し、励起源に曝された場合における蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に有する蛍光体である。
【0055】
本発明の照明器具は、少なくとも発光光源と本発明の蛍光体を用いて構成される。照明器具としては、LED照明器具、蛍光ランプなどがある。LED照明器具では、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609、特開平7−99345、特許公報第2927279号などに記載されているような公知の方法により製造することができる。この場合、発光光源は330〜500nmの波長の光を発するものが望ましく、中でも330〜420nmの紫外(または紫)LED発光素子または420〜500nmの青色LED発光素子が好ましい。
【0056】
これらの発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものがあり、組成を調整することにより、所定の波長の光を発する発光光源となり得る。
【0057】
照明器具において本発明の蛍光体を単独で使用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する照明器具を構成することができる。この一例として、330〜420nmの紫外LED発光素子とこの波長で励起され420nm以上480nm以下の波長に発光する青色蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長に発光する緑色蛍光体と本発明の蛍光体の組み合わせがある。このような青色蛍光体としてはBaMgAl1017:Euを、緑色蛍光体としてはBaMgAl1017:Eu、Mnを挙げることができる。この構成では、LEDが発する紫外線が蛍光体に照射されると、赤、緑、青の3色の光が発せられ、これの混合により白色の照明器具となる。
【0058】
別の手法として、420〜500nmの青色LED発光素子とこの波長で励起されて550nm以上600nm以下の波長に発光する黄色蛍光体および本発明の蛍光体との組み合わせがある。このような黄色蛍光体としては、特許公報第2927279号に記載の(Y、Gd)2(Al、Ga)512:Ceや特開2002−363554に記載のα−サイアロン:Euを挙げることができる。なかでもEuを固溶させたCa−α−サイアロンが発光輝度が高いのでよい。この構成では、LEDが発する青色光が蛍光体に照射されると、赤、黄の2色の光が発せられ、これらとLED自身の青色光が混合されて白色または赤みがかった電球色の照明器具となる。
【0059】
別の手法として、420〜500nmの青色LED発光素子とこの波長で励起されて500nm以上570nm以下の波長に発光する緑色蛍光体および本発明の蛍光体との組み
合わせがある。このような緑色蛍光体としては、Y2Al512:Ceやβ−サイアロン:Euを挙げることができる。この構成では、LEDが発する青色光が蛍光体に照射されると、赤、緑の2色の光が発せられ、これらとLED自身の青色光が混合されて白色の照明器具となる。
【0060】
本発明の画像表示装置は少なくも励起源と本発明の蛍光体で構成され、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍光体は、100〜190nmの真空紫外線、190〜380nmの紫外線、電子線などの励起で発光することが確認されており、これらの励起源と本発明の蛍光体との組み合わせで、上記のような画像表示装置を構成することができる。
【実施例】
【0061】
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例1;
Eu0.0036364Sr0.178182Si0.2727270.1818180.363636
(Sr2-ySi324:Euy2+、y=0.04)を合成すべく、平均粒径0.5μm、
酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化ユーロピウム粉末とを、各々40.03重量%、57.96重量%、2.01重量%となるように秤量し、窒化ケイ素製のボールとポットを用いてヘキサンを添加した遊星ボールミル混合により2時間混合した後に、ロータリーエバポレータを用いて乾燥した。得られた混合物を、窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒を用いて解砕した後に、開口500μmのふるいを通して直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。粉体の充填嵩密度は約25%であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体の重量とるつぼの内容積から計算した。
【0063】
混合粉末が入ったるつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1600℃まで昇温し、1600℃で2時間保持して行った。得られた生成物は、粉体の充填状態をほぼ保ったままの形態であり、緻密化した箇所は見られなかった。
焼成後、得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを通した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は10μmであった。
【0064】
上記合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回
折測定を行い、リートベルト解析を行った。その結果、得られたチャートは図1であり、未反応のSi34やSrOは検出されなかった。解析の結果、図1のX線回折で示される物質は、(1)Sr1.8Si50.47.6(Sr2Si58と同一の結晶構造を有する固溶
体)、(2)α型Sr2SiO4、(3)β型Sr2SiO4の3相から構成されてなるものであることが確認された。各相それぞれの含有量は、0.64、0.16、0.20(質量比)であった。ここで、Sr1.8Si50.47.6はSr2Si58結晶のNの一部がO
で置換され、Srの一部が欠損して空孔となった結晶である。
【0065】
この粉末の均一性を、カソードルミネッセンス(CL)検知器を備えたSEMで観察し、カソードルミネッセンス像(CL像)を評価した。この装置は、電子線を照射して発生
する可視光を検出して二次元情報である写真の画像として得ることにより、どの場所でどの波長の光が発光しているかを明らかにするものである。
【0066】
図2に5kVの加速電圧の電子線で励起した全体像の発光スペクトルを示す。この蛍光
体は電子線で励起されて400〜520nmの微弱な発光(最大値は200カウント)と620nmにピークを持つ(最大値は4800カウント)赤色発光を示すことが確認された。
【0067】
また、620nmの分光器を通して観察したCL像(図3)によれば、赤色に発光している粒子と赤色には発光していない粒子とから構成されることが分かった。なお、CL像で白く観察される部分は620nmの光を発している部分であり、黒色の部分はこの波長の光を発していない部分である。また、白黒濃淡表示で白いほど赤色の発光が強いことを示している。赤色発光する粒子はSr2Si58と同一の結晶構造を有する固溶体(Sr1.8Si50.47.6)であり赤色発光しない粒子はSr2SiO4である。
【0068】
この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
この粉末の発光スペクトルおよび励起スペクトル(図4)を、蛍光分光光度計を用いて測定した結果、励起および発光スペクトルのピーク波長は420nmに励起スペクトルのピークがあり420nmの励起による発光スペクトルにおいて、618nmの赤色光にピークがある蛍光体であることが分かった。ピークの発光強度は、11000カウントであった。なおカウント値は測定装置や条件によって変化するため単位は任意単位である。また、450nmの励起による発光スペクトルから求めたCIE色度は、x=0.62、y=0.38の赤色であった。
【0069】
実施例2;
Eu0.0030769Sr0.227692Si0.2307690.2307690.307692
(Sr3-ySi334:Euy2+、y=0.04)を合成すべく、平均粒径0.5μm、
酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化ユーロピウム粉末とを、各々30.89重量%、67.56重量%、1.55重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成を行った。焼成後、得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを通した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は8μmであった。
【0070】
上記合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回
折測定を行った結果、未反応のSi34やSrOは検出されず、(1)Sr2Si58
同一の結晶構造を有する固溶体、(2)α型Sr2SiO4、(3)β型Sr2SiO4の3相から構成されることが確認された。
発光スペクトルおよび励起スペクトル(図5)が示す様に、高輝度の赤色蛍光体が得られた。
【0071】
次に、合成した化合物に熱処理を施すために、窒化ホウ素製のるつぼに投入し、それを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。熱処理の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとし、毎時500℃で1600℃まで昇温し、1600℃で2時間保持して行った。得られた生成物は、粉体の充填状態をほぼ保ったままの形態であり、緻密化した箇所は見られなかった。
【0072】
次に、合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線
回折測定を行った結果、未反応のSi34やSrOは検出されず、(1)Sr2Si58
と同一の結晶構造を有する固溶体、(2)α型Sr2SiO4、(3)β型Sr2SiO4の3相から構成されることが確認された。
発光スペクトルおよび励起スペクトル(図6)が示す様に、熱処理により発光強度が向上した。
【0073】
比較例3;
Sr2Si58:Eu2+を合成すべく、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量
%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末と窒化ストロンチウム粉末と、窒化ユーロピウム粉末とを、各々54.34重量%、45.08重量%、0.58重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成を行った。焼成後、得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕した。
次に、合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線
回折測定を行った結果、未反応のSi34やSr32は検出されず、Sr2Si58の単
相から構成されることが確認された。
発光スペクトルおよび励起スペクトル(図7)が示す様に、実施例の蛍光体よりも発光強度は低く、また発光ピークが長波長であった。
【0074】
実施例4;
窒化ケイ素粉末と酸化カルシウム粉末と、酸化ユーロピウム粉末とを、各々54.53重量%、42.73重量%、2.74重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Eu0.0036364Ca0.178182Si0.2727270.1818180.363636(Ca3-ySi334:Euy2+、y=0.04)を合成した。
【0075】
実施例5;
窒化ケイ素粉末と酸化バリウム粉末と、酸化ユーロピウム粉末とを、各々31.33重量%、67.1重量%、1.57重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Eu0.0036364Ba0.178182Si0.2727270.1818180.363636(Ba3-ySi334:Euy2+、y=0.04)を合成した。
【0076】
実施例6;
窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化セリウム(CeO2)粉末とを、各
々39.81重量%、58.23重量%、1.95重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Ce0.0036166Sr0.179024Si0.2712480.1844480.361664を合成した。
【0077】
実施例7;
窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化テルビウム(Tb47)粉末とを、各々39.75重量%、58.14重量%、2.12重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Tb0.0036166Sr0.179024
0.2712480.1844480.361664を合成した。
【0078】
実施例8;
窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化ディスプロシウム(Dy23)粉末とを、各々39.75重量%、58.14重量%、2.11重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Dy0.0036166Sr0.179024Si0.2712480.1844480.361664を合成した。
【0079】
実施例9;
窒化ケイ素粉末と酸化ストロンチウム粉末と、酸化イッテルビウム(Yb23)粉末と
を、各々39.7重量%、58.07重量%、2.23重量%となるように秤量し、実施例1と同様の工程で粉末混合、乾燥、焼成、粉砕を行って、Yb0.0036166Sr0.179024
Si0.2712480.1844480.361664を合成した。
【0080】
実施例4〜9で合成した各生成物を夫々メノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った結果、未反応のSi34やAOは検出されず、A2Si5
8と同一の結晶構造を有する固溶体とAを含む酸化物が確認された。発光スペクトルお
よび励起スペクトル(図8〜図13)が示す様に、高輝度の蛍光体が得られた。発色は、実施例4は赤色、実施例5は緑色、実施例6は緑色、実施例7は緑色、実施例8は橙色、実施例9は赤色であった。
【0081】
次ぎに、本発明の窒化物からなる蛍光体を用いた照明器具について説明する。
【0082】
実施例10;
照明器具に用いる緑色の蛍光体(β−サイアロン:Eu)を合成した。
組成式Eu0.00296Si0.41395Al0.013340.004440.56528で示される化合物を得
るべく、窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と酸化ユーロピュウム粉末とを、各々94.77重量%、2.68重量%、2.556重量%となるように混合し、窒化ホウ素製るつぼに入れ、1MPaの窒素ガス中で、1900℃で8時間焼成した。得られた粉末は、β−サイアロンにEuが固溶した無機化合物であり、図14の励起発光スペクトルに示す様に緑色蛍光体である。
【0083】
図15に示すいわゆる砲弾型白色発光ダイオードランプ(1)を製作した。2本のリードワイヤ(2、3)があり、そのうち1本(2)には、凹部があり、青色発光ダイオード素子(4)が載置されている。青色発光ダイオード素子(4)の下部電極と凹部の底面とが導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極ともう1本のリードワイヤ(3)とが金細線(5)によって電気的に接続されている。蛍光体は、第一の蛍光体と第二の蛍光体とを混合した蛍光体である。第一の蛍光体は、本実施例で合成したβ−サイアロン:Euである。第二の蛍光体は実施例2で合成した蛍光体である。第一の蛍光体と第二の蛍光体とを混合したもの(7)を樹脂に分散し、発光ダイオード素子(4)近傍に実装した。この蛍光体を分散した第一の樹脂(6)は、透明であり、青色発光ダイオード素子(4)の全体を被覆している。凹部を含むリードワイヤの先端部、青色発光ダイオード素子、蛍光体を分散した第一の樹脂は、透明な第二の樹脂(8)によって封止されている。透明な第二の樹脂(8)は全体が略円柱形状であり、その先端部がレンズ形状の曲面となっていて、砲弾型と通称されている。
【0084】
本実施例では、第一の蛍光体粉末と第二の蛍光体粉末の混合割合を5対1とし、その混合粉末を35重量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサを用いて適量滴下して、蛍光体を混合したもの(7)を分散した第一の樹脂(6)を形成した。得られた色度はx=0.33、y=0.33であり、白色であった。図16にこの白色発光ダイオードの発光スペクトルを示す。
【0085】
次に、この第一の実施例の砲弾型白色発光ダイオードの製造手順を説明する。 まず、1組のリードワイヤの一方(2)にある素子載置用の凹部に青色発光
ダイオード素子(4)を導電性ペーストを用いてダイボンディングし、リードワイヤと青色発光ダイオード素子の下部電極とを電気的に接続するとともに青色発光ダイオード素子(4)を固定する。次に、青色発光ダイオード素子(4)の上部電極ともう一方のリードワイヤとをワイヤボンディングし、電気的に接続する。あらかじめ緑色の第一の蛍光体粉末と赤色の第二の蛍光体粉末とを混合割合を5対2として混ぜておき、この混合蛍光体粉末をエポキシ樹脂に35重量%の濃度で混ぜる。次にこれを凹部に青色発光ダイオード素
子を被覆するようにしてディスペンサで適量塗布し、硬化させ第一の樹脂部(6)を形成する。最後にキャスティング法により凹部を含むリードワイヤの先端部、青色発光ダイオード素子、蛍光体を分散した第一の樹脂の全体を第二の樹脂で封止する。本実施例では、第一の樹脂と第二の樹脂の両方に同じエポキシ樹脂を使用したが、シリコーン樹脂等の他の樹脂あるいはガラス等の透明材料であっても良い。できるだけ紫外線光による劣化の少ない材料を選定することが好ましい。
【0086】
実施例11;
基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(21)を製作した。
構図を図17に示す。可視光線反射率の高い白色のアルミナセラミックス基板(29)に2本のリードワイヤ(22、23)が固定されており、それらワイヤの片端は基板のほぼ中央部に位置しもう方端はそれぞれ外部に出ていて電気基板への実装時ははんだづけされる電極となっている。リードワイヤのうち1本(22)は、その片端に、基板中央部となるように青色発光ダイオード素子ダイオード素子(24)が載置され固定されている。青色発光ダイオード素子(24)の下部電極と下方のリードワイヤとは導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極ともう1本のリードワイヤ(23)とが金細線(25)によって電気的に接続されている。
【0087】
蛍光体は第一の樹脂と第二の蛍光体を混合したもの(27)が樹脂に分散され、発光ダイオード素子近傍に実装されている。この蛍光体を分散した第一の樹脂(26)は、透明であり、青色発光ダイオード素子(24)の全体を被覆している。また、セラミック基板上には中央部に穴の開いた形状である壁面部材(30)が固定されている。壁面部材(30)は、図8に示したとおりその中央部が青色発光ダイオード素子(24)及び蛍光体(27)を分散させた第一の樹脂(26)がおさまるための穴となっていて、中央に面した部分は斜面となっている。この斜面は光を前方に取り出すための反射面であって、その斜面の曲面形は光の反射方向を考慮して決定される。また、少なくとも反射面を構成する面は白色または金属光沢を持った可視光線反射率の高い面となっている。本実施例では、該壁面部材を白色のシリコーン樹脂(30)によって構成した。壁面部材の中央部の穴は、チップ型発光ダイオードランプの最終形状としては凹部を形成するが、ここには青色発光ダイオード素子(24)及び蛍光体(27)を分散させた第一の樹脂(26)のすべてを封止するようにして透明な第二の樹脂(28)を充填している。本実施例では、第一の樹脂(26)と第二の樹脂(28)とには同一のエポキシ樹脂を用いた。第一の蛍光体と第二の蛍光体の混合割合、達成された色度等は、第一の実施例と略同一である。製造手順は、アルミナセラミックス基板(29)にリードワイヤ(22、23)及び壁面部材(30)を固定する部分を除いては、第一の実施例の製造手順と略同一である。
【0088】
実施例12;
上記とは異なる構成の照明装置を示す。図15の照明装置において、発光素子として450nmの青色LEDを用い、本発明の実施例1の蛍光体と、Ca0.75Eu0.25Si8.625A13.3751.12514.875の組成を持つCa−α−サイアロン:Euの黄色蛍光体とを
樹脂層に分散させて青色LED上にかぶせた構造とする。導電性端子に電流を流すと、該LEDは450nmの光を発し、この光で黄色蛍光体および赤色蛍光体が励起されて黄色および赤色の光を発し、LEDの光と黄色および赤色が混合されて電球色の光を発する照明装置として機能する。
【0089】
実施例13;
上記配合とは異なる構成の照明装置を示す。図15の照明装置において、発光素子として380nmの紫外LEDを用い、本発明の実施例1の蛍光体と、青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu)と緑色蛍光体(BaMgAl1017:Eu、Mn)とを樹脂層に分散させて紫外LED上にかぶせた構造とする。導電性端子に電流を流すと、LEDは380
nmの光を発し、この光で赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体が励起されて赤色と緑色と青色の光を発する。これらの光が混合されて白色の光を発する照明装置として機能する。
【0090】
次ぎに、本発明の蛍光体を用いた画像表示装置の設計例について説明する。
【0091】
実施例14;
図18は、画像表示装置としてのプラズマディスプレイパネルの原理的概略図である。本発明の実施例1の赤色蛍光体と緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn)および青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu)がそれぞれのセル34、35、36の内面に塗布されている。電極37、38、39、40に通電するとセル中でXe放電により真空紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて、赤、緑、青の可視光を発し、この光が保護層43、誘電体層42、ガラス基板45を介して外側から観察され、画像表示として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の窒化物蛍光体は、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より高い波長での発光を示し、赤色の蛍光体として優れ、さらに励起源に曝された場合の蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される窒化物蛍光体である。今後、各種表示装置における材料設計において、大いに活用され、産業の発展に寄与することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】結晶(実施例1)のX線回折チャートを示す図。
【図2】蛍光体(実施例1)の電子線励起による発光スペクトルを示す図。
【図3】蛍光体(実施例1)の発光形態を示す図。
【図4】蛍光体(実施例1)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図5】蛍光体(実施例2)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図6】蛍光体(実施例2の熱処理後)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図7】蛍光体(比較例3)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図8】蛍光体(実施例4)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図9】蛍光体(実施例5)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図10】蛍光体(実施例6)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図11】蛍光体(実施例7)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図12】蛍光体(実施例8)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図13】蛍光体(実施例9)の発光および励起スペクトルを示す図。
【図14】β−サイアロン:Eu緑色蛍光体の発光および励起スペクトルを示す図。
【図15】本発明による照明器具(LED照明器具)の概略図。
【図16】照明器具の発光スペクトルを示す図。
【図17】本発明による照明器具(LED照明器具)の概略図。
【図18】本発明による画像表示装置(プラズマディスプレイパネル)の概略図。
【符号の説明】
【0094】
1.砲弾型発光ダイオードランプ。
2、3.リードワイヤ。
4.発光ダイオード素子。
5.ボンディングワイヤ。
6、8.樹脂。
7.蛍光体。
11.基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ。
12、13.リードワイヤ。
14.発光ダイオード素子。
15.ボンディングワイヤ。
16、18.樹脂。
17.蛍光体。
19.アルミナセラミックス基板。
20.側面部材。
31.赤色蛍光体。
32.緑色蛍光体。
33.青色蛍光体。
34、35、36.紫外線発光セル。
37、38、39、40.電極。
41、42.誘電体層。
43.保護層。
44、45.ガラス基板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともM元素と、A元素と、ケイ素と、酸素と、窒素を含有する無機組成物(ただ
し、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素、Aは、Mg、Ca、Sr、Baからなる郡から選ばれる1種または2種以上の元素)であり、少なくともA2Si58と同一
の結晶構造を有する結晶およびA元素含有結晶を含有することを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA2Si58またはその固溶体結晶であることを特徴とする請求項1項に記載の蛍光体。
【請求項3】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶が酸素を含有するA2Si58の固溶体結晶であることを特徴とする請求項1項ないし2項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項4】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA元素および酸素を含有するA2Si58の固溶体結晶であることを特徴とする請求項1項ないし3項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項5】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶がA2-zSi5z8-z(0<z<1)
であることを特徴とする請求項1項ないし4項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項6】
A元素含有結晶が少なくともAとSiとOを含有する結晶であることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項7】
A元素含有結晶がA2SiO4またはその固溶体結晶であることを特徴とする請求項1項ないし6項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項8】
2Si58と同一の結晶構造を有する無機結晶が20質量%以上80質量%以下であ
り、A元素含有結晶が20%質量以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1項ないし7項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項9】
2Si58とA2SiO4の含有量のモル比(A2Si58/A2SiO4)が0.8以上3以下であることを特徴とする請求項1項ないし6項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項10】
無機組成物のMとAとSiとOとNとの元素の比が組成式MabSicde(ただし
、a+b+c+d+e=1)で表され、
0.00001 ≦ a ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(1)
0.14 ≦ b ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(2)
0.22 ≦ c ≦ 0.32・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.14 ≦ d ≦ 0.22・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.28 ≦ e ≦ 0.44・・・・・・・・・・・・・・(5)
以上の条件を全て満たすことを特徴とする請求項1項ないし9項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項11】
無機組成物が組成式My2-ySi324(0.0001≦y≦0.3)で示されるこ
とを特徴とする請求項1項ないし10項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項12】
A元素がSrであることを特徴とする請求項1項ないし11項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項13】
A元素がBaであることを特徴とする請求項1項ないし11項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項14】
M元素として少なくともEuを含有することを特徴とする請求項1項ないし13項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項15】
少なくともEuと、Srと、Siと、酸素と、窒素を含有する組成物であり、Sr2
58またはその固溶体結晶と、Sr2SiO4またはその固溶体結晶を含有することを特徴とする請求項1項ないし14項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項16】
Sr2Si58またはその固溶体結晶がSr2-zSi5z8-z(0<z<1)であり、
Sr2SiO4またはその固溶体結晶がα型Sr2SiO4とβ型Sr2SiO4の混合物であり、それらの含有量のモル比(Sr2-zSi5z8-z/(α型Sr2SiO4+β型Sr2
SiO4))が0.8以上3以下であることを特徴とする請求項15項に記載の蛍光体。
【請求項17】
紫外線、可視光線、電子線のいずれかの励起源の照射により、570nm以上700nm以下の波長のオレンジ色または赤色の蛍光を発することを特徴とする請求項1項から16項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項18】
紫外線、可視光線、電子線のいずれかの励起源の照射による蛍光スペクトルにおいて、450nm以上550nm以下の範囲における発光ピークの極大値が、570nm以上700nm以下の範囲における発光ピークの極大値の1/5以下であることを特徴とする請求項1項から17項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項19】
請求項1項ないし18項に記載の無機化合物と他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成され、請求項1項ないし18項に記載の無機化合物の含有量が10質量%以上であることを特徴とする蛍光体。
【請求項20】
請求項1項ないし18項に記載の無機化合物の含有量が50質量%以上であることを特徴とする請求項19項に記載の蛍光体。
【請求項21】
他の結晶相あるいはアモルファス相が導電性を持つ無機物質であることを特徴とする請求項19項ないし20項のいずれか1項に記載の蛍光体。
【請求項22】
導電性を持つ無機物質が、Zn、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項21項に記載の蛍光体。
【請求項23】
少なくとも窒化ケイ素粉末と、M元素含有無機物質と、A元素含有無機物質からなる原料混合物を、窒素雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項24】
M含有無機物質が、Mの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の郡から選ばれる1種または2種以上の混合物であり、A含有無機物質が、Aの金属、ケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物または酸窒化物の郡から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項23項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項25】
M含有無機物質が、Mの酸化物であり、A含有無機物質がAの酸化物であることを特徴とする請求項23項または24項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項26】
fSi34−gM23−hAO(ただし、f+g+h=1)で表される混合割合で窒化ケイ素とMの酸化物とA含有無機物質(ただし、Mの酸化物はM23換算、A含有無機物質はAO換算とする)を混合した原料粉末であり
0.00001 ≦ g ≦ 0.03 ・・・・・・・・・・(6)
0.4 ≦ h ≦ 0.8・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
以上の範囲のf、g、hで示される組成を出発原料とすることを特徴とする請求項22項ないし25項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項27】
原料混合物に焼成温度にて液相を生成するフラックス化合物を添加することを特徴とする請求項23項ないし26項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項28】
フラックス化合物が、酸化ホウ素、窒化ホウ素、ホウ酸、A元素のフッ化物、塩化物、ホウ酸塩、から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項27項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項29】
窒素雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲のガス雰囲気であることを特徴とする請求項23項ないし28項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項30】
粉体または凝集体形状の原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填した後に、焼成することを特徴とする請求項23項ないし29項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項31】
容器が窒化ホウ素製であることを特徴とする請求項30項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項32】
該焼結手段がホットプレスによることなく、専ら常圧焼結法またはガス圧焼結法による手段であることを特徴とする請求項23項から31項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項33】
粉砕、分級 、酸処理から選ばれる1種ないし複数の手法により、合成した蛍光体粉末
の平均粒径を50nm以上50μm以下に粒度調整することを特徴とする請求項23項から32項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項34】
焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することを特徴とする請求項23項から33項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項35】
焼成後に生成物を水または酸の水溶液からなる溶剤で洗浄することにより、生成物に含まれるガラス相、第二相、フラックス成分相、または不純物相の含有量を低減させることを特徴とする請求項23項ないし34項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項36】
酸が、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸の単体または混合物からなることを特徴とする請求項35項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項37】
酸がフッ化水素酸と硫酸の混合物であることを特徴とする請求項35項ないし36項のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項38】
少なくとも発光光源と蛍光体から構成される照明器具において、少なくとも請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする照明器具。
【請求項39】
該発光光源が330〜500nmの波長の光を発する発光ダイオード(LED)レーザダイオード、または有機EL発光素子であることを特徴とする請求項38項に記載の照明器具。
【請求項40】
該発光光源が330〜420nmの波長の光を発するLEDであり、請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体と、330〜420nmの励起光により420nm以上500nm以下の波長の光を放つ青色蛍光体と、330〜420nmの励起光により500nm以上570nm以下の波長の光を放つ緑色蛍光体とを用いることにより、赤、緑、青色の光を混ぜて白色または混合光を発することを特徴とする請求項38項または39項のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項41】
該発光光源が420〜500nmの波長の光を発するLEDであり、請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体と、420〜500nmの励起光により500nm以上570nm以下の波長の光を放つ緑色蛍光体とを用いることにより、白色または混合光を発することを特徴とする請求項38項または39項のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項42】
該発光光源が420〜500nmの波長の光を発するLEDであり、請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体と、420〜500nmの励起光により550nm以上600nm以下の波長の光を放つ黄色蛍光体とを用いることにより、白色または混合光を発することを特徴とする請求項38項または39項のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項43】
該黄色蛍光体がEuを固溶させたCa−αサイアロンであることを特徴とする請求項42項に記載の照明器具。
【請求項44】
該緑色蛍光体がEuを固溶させたβ−サイアロンであることを特徴とする請求項40項または41項のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項45】
少なくとも励起源と蛍光体から構成される画像表示装置において、少なくとも請求項1項ないし22項のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする画像表示装置。
【請求項46】
励起源が、電子線、電場、真空紫外線、または紫外線であることを特徴とする請求項45項に記載の画像表示装置。
【請求項47】
画像表示装置が、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)のいずれかであることを特徴とする請求項45項ないし46項のいずれか1項に記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−206729(P2006−206729A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20237(P2005−20237)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】