説明

蛍光基準部材、および蛍光検査装置

【課題】この発明は、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】蛍光検査装置1は、検査対称となる媒体Mを搬送路3を介して矢印T方向に搬送する搬送ローラ対2、搬送路3の一側に配置された紫外光源4、搬送路3を挟んで紫外光源4に対向して配置された蛍光基準板6、および搬送路3を搬送される媒体Mからの蛍光を受光するとともに媒体Mが搬送されていない状態で蛍光基準板6からの蛍光を受光する読み取りセンサ5を有する。蛍光基準板6は、全ての面が光学研磨によって鏡面処理されており、搬送路3に対向した面6aを除く全ての面が光吸収材料により被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば検査対称となる蛍光物質を含む媒体に励起光を照射して媒体から発光される蛍光を検出する蛍光検査装置、およびこの蛍光検査装置に組み込まれる蛍光基準部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光検査装置として、搬送路を介して搬送される紙幣に紫外線を照射して紙幣表面から放出される蛍光を検出する紙幣検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、搬送路の一側に、発光素子と受光素子を収容配置した蛍光センサを有し、搬送路の他側に、検出基準を与えるための蛍光ガラスを有する。そして、紙幣を検査するとき、紙幣を搬送していない状態で蛍光ガラスの蛍光量を検出し、その検出値に基づいて発光素子の発光量を補正する。
【0003】
しかし、蛍光ガラスは、紫外線が照射される照射面や蛍光を発光する発光面に限らず、その表面の状態に応じて励起光に対する蛍光の発光量が変化する。このため、蛍光ガラスを保持するための持具や接着剤の反射率、表面に付着したほこりや傷などの影響により、出荷時の状態で或いは経時的に、個体間で発光量にバラツキを生じてしまう。特に、蛍光ガラスの発光量を大きくするためサンドブラストにより表面を粗くした場合、個体間のバラツキをコントロールすることが難しくなる。
【特許文献1】特開2004−265104号公報(要約、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の蛍光基準部材は、励起光が照射される照射面、および上記照射された励起光に基づいて蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、この受光部で受光した第2の蛍光に基づいて該受光部の出力を補正する補正部と、この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有する。
【0007】
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記第1受光部の出力を補正する補正部と、この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有する。
【0008】
また、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、この受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、上記受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有する。
【0009】
さらに、本発明の蛍光検査装置は、検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、この第1受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有する。
【0010】
上記発明によると、検査基準を与えるための蛍光基準部材が、励起光の照射面および蛍光の発光面を除く全ての面に光吸収材料を被覆してなるため、蛍光基準部材を保持するための持具や接着剤からの光反射による影響や、傷やほこりによる反射率変動の影響が蛍光基準部材の表面に作用することがない。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、信頼性の高い検出基準を与えることができる蛍光基準部材、およびこの蛍光基準部材を備えた蛍光検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の第1の実施の形態に係る蛍光検査装置1の要部の構成を概略的に示してある。また、図2にはこの蛍光検査装置1の平面図を示してあり、図3にはこの蛍光検査装置1を媒体Mの搬送方向(図中矢印T方向)下流側から見た側面図を示してある。
【0013】
蛍光検査装置1は、検査対称となる媒体Mを図中矢印T方向に搬送する複数組の搬送ローラ対2を有する。例えば、媒体Mが紙幣である場合、紙幣に印刷されるインクに検出対称となる蛍光物質が含まれており、蛍光検査装置1は、この蛍光物質に紫外光を照射して蛍光物質から励起発光される蛍光を検出して紙幣の真偽を判別する。蛍光物質は、特定の波長帯域を有する紫外光によって励起され、特定の波長帯域を有する蛍光を発光する特性を有する。
【0014】
複数組の搬送ローラ対2によって規定される搬送路3の一側(図1で手前側)には、搬送路3に沿って搬送される媒体Mに紫外光(励起光)を照射するための2つの紫外光源4(光源)が搬送方向Tに沿って併設されている。紫外光源4として、媒体Mの全面を照明可能なように、媒体Mの搬送方向Tと交差する方向に延びた管軸を有するブラックライトやUVランプなどが用いられる。
【0015】
搬送路3に対して紫外光源4と同じ側には、紫外光の照射によって媒体Mに含まれる蛍光物質から励起発光された蛍光(第1の蛍光)を受光するための読み取りセンサ5(受光部、第1受光部)が設けられている。また、搬送路3を挟んで読み取りセンサ5に対向する位置には、検出基準を与えるための蛍光基準板6(蛍光基準部材)が設けられている。
【0016】
搬送路3を介して媒体Mが搬送されていない状態で、紫外光源4からの紫外光が蛍光基準板6に照射され、紫外光によって蛍光基準板6に含まれる蛍光物質が励起され、その蛍光(第2の蛍光)が図示しないレンズ等の光学系を介して読み取りセンサ5に集光されるようになっている。つまり、本実施の形態の読み取りセンサ5は、この発明の第2受光部としても機能する。
【0017】
図4に示すように、蛍光基準板6は、例えば、紫外光源4からの紫外光を入射する面6aを有する直方体形状の蛍光ガラス(本体)により形成されている。蛍光基準板6は、このような6面体に限らず多面体とすることができる。蛍光基準板6の全ての面(本実施の形態では6面)は、光学研磨により鏡面処理がなされている。蛍光ガラスとして、例えば、(株)住田光学ガラス製のルミラス(商品名)が知られている。この蛍光基準板6は、面6aが搬送路3に対向する姿勢で図示しない持具等により搬送路3に隣接して取り付けられる。なお、本実施の形態の蛍光基準板6は、紫外光が入射する面6a以外の5つの面を光吸収材料7で被覆したことを特徴としている。
【0018】
光吸収材料7として、例えば、市販されている「レンズ墨塗り用剤」(商品名:マックロン等)が知られており、このような材料を蛍光基準板6の面6aを除く全ての面に蒸着等の手段により被覆して無反射・無透過処理をした。本実施の形態では、この光吸収材料7の被覆により、紫外線波長域〜可視波長域の光を吸収させるようにした。このため、蛍光基準板6に対して面6a以外の面を介して外部から不所望な波長を有する光が入ることを防止でき、周辺の環境変化による発光量の変動を無くすことができる。
【0019】
しかして、紫外光源4からの紫外光が面6aを介して蛍光基準板6に照射されると、蛍光基準板6に含まれる蛍光物質が励起されて蛍光を発光する。蛍光基準板6の蛍光物質が均一に分散されているため、蛍光物質から発光した蛍光は全ての方向に均一に拡散する。しかし、面6a以外の全ての面が光吸収材料7によって被覆されているため、蛍光は面6aを介してのみ蛍光基準板6から放出されることになる。つまり、蛍光基準板6の面6aは、紫外光が照射されるこの発明の照射面として機能するとともに、蛍光を発光するこの発明の発光面として機能する。
【0020】
このように、蛍光基準板6に面6aを介して紫外光が照射されたとき、他の全ての面が鏡面加工されているとともに5つの面が光吸収材料7によって被覆されているため、蛍光基準板6の表面の状態に応じて蛍光の発光量が変化することがなく、励起光の照射量にのみ依存して発光量を安定させることができる。例えば、蛍光基準板6を保持するための図示しない持具や接着剤からの反射光が蛍光基準板6内に入射することがなく、蛍光基準板6の表面に付着したほこりや傷による影響で表面の反射率が変わることがなく、当該蛍光基準板6からの発光量は励起光の照射量と蛍光ガラスの厚さによってのみ決まることになる。つまり、本実施の形態の蛍光基準板6を用いることで、励起光の照射量にのみ依存した発光量とすることができ蛍光の発光量を安定させることができ、信頼性の高い検出基準を与えることができる。また、本実施の形態の蛍光基準板6は、その厚さをコントロールすることで発光量を容易に制御できる。
【0021】
図5には、上述した蛍光検査装置1により処理動作を制御するための制御系のブロック図を示してある。
蛍光検査装置1の制御系は、媒体M(検査対象物)からの第1の蛍光を受光するとともに蛍光基準板6からの第2の蛍光を受光する読み取りセンサ5、これら受光した蛍光に基づいて読み取りセンサ5から出力されるセンサ信号を増幅するアンプ11、上記第2の蛍光に基づくセンサ信号に基づいて上記第1の蛍光に基づくセンサ信号の増幅率を変更して補正するゲイン可変アンプ12(補正部)、補正された第1の蛍光に基づくセンサ信号をA/D変換するA/D変換器13、およびA/D変換されたセンサ信号を判定基準メモリ14に予め用意された判定基準に照合して検査し、当該媒体Mの真偽を判定する判定処理回路10(検査部)を有する。
【0022】
上記構成によると、蛍光基準板6からの第2の蛍光に基づくセンサ信号に基づいて、読み取りセンサ5の出力、すなわち媒体Mからの第1の蛍光に基づくセンサ信号を補正するようにしたため、紫外光源4の経時的な劣化に基づくセンサ出力の変動を正確に補正できる。つまり、本実施の形態の蛍光基準板6を用いることで、紫外光源4の光量の変動を高いS/N比で検出でき、信頼性の高い検出基準を与えることができる。
【0023】
なお、上述した第1の実施の形態では、蛍光基準板6を用いて信頼性の高い検出基準を与えてセンサ出力を補正する場合について説明したが、例えば、図6に示すように、読み取りセンサ5のセンサ信号を増幅するアンプ11の出力側に発光量補正回路18を接続して、センサ信号を補正基準メモリ19に予め用意した補正基準に照合し、紫外光源4の発光量を補正することもできる。
【0024】
次に、図7乃至図11を参照して、この発明の第2の実施の形態に係る蛍光検査装置20について説明する。なお、ここでは、上述した第1の実施の形態の蛍光検査装置1と同様に機能する構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0025】
図7乃至図9に示すように、蛍光検査装置20は、紫外光源4に対して搬送路3の反対側で媒体Mの搬送経路から外れた位置(図9で図中上方に外れた位置)に蛍光基準板22を備えている。そして、この蛍光基準板22から励起発光された蛍光(第2の蛍光)を受光する、読み取りセンサ5とは別の紫外線モニタ用センサ24を有する。
【0026】
図10に示すように、本実施の形態の蛍光基準板22は、紫外光源4からの紫外光が照射される照射面22a、および紫外光の励起により蛍光を発光する発光面22bを互いに対向する関係で有する直方体形状の蛍光ガラスにより形成されている。これら照射面22aおよび発光面22bを除く全ての面(本実施の形態では4面)には上述した光吸収材料7が被覆されている。
【0027】
この蛍光基準板22は、紫外光源4に照射面22aが対向する姿勢で装置20に取り付けられ、反対側の発光面22bに紫外線モニタ用センサ24が対向するように取り付けられる。しかして、紫外光源4からの紫外光は、搬送路3を介して搬送される媒体Mに照射されるとともに搬送路3から外れた位置にある蛍光基準板22に照射され、蛍光基準板22から励起発光される蛍光が紫外線モニタ用センサ24によって受光される。
【0028】
このようにして紫外線モニタ用センサ24で受光した第2の蛍光は、センサ信号としてアンプ16(図11)に出力され、ここでセンサ出力が増幅されてゲイン可変アンプ12へ出力される。そして、媒体Mからの蛍光に基づくセンサ信号が第1の実施の形態と同様に補正され、A/D変換器13を介して判別処理回路10へ出力され、判定基準に照合して検査される。
【0029】
以上、第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、第2の実施の形態では、媒体Mを搬送中にいつでもセンサ信号を補正でき、より信頼性を高めることができる。さらに、図12に示すように、紫外線モニタ用センサ24のセンサ信号を増幅するアンプ16の出力側に上述した発光量補正回路18を接続して、センサ信号を補正基準メモリ19に予め用意した補正基準に照合し、紫外光源4の発光量を補正することもできる。
【0030】
図13には、この発明の第3の実施の形態に係る蛍光検査装置30の要部の構成を概略的に示してある。ここでも、上述した第1および第2の実施の形態の蛍光検査装置と同様に機能する構成要素について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0031】
この蛍光検査装置30は、媒体Mの搬送方向Tと略直交する方向に延びた細長い蛍光基準板32を有し、読み取りセンサとして例えばCCDラインセンサ34を配置した。蛍光基準板32の搬送路3に対向した面32a以外の全ての面は、上述した光吸収材料7により被覆されていることは言うまでも無い。
【0032】
本実施の形態によると、媒体Mの幅方向に沿った蛍光の強度分布を検査する際、媒体Mの幅方向に沿って信頼性の高い検査基準を与えることができる。
【0033】
以下、図14乃至図17を参照して蛍光基準板の変形例を説明する。
上述した第1乃至第3の実施の形態の蛍光基準板6、22、32はそれぞれ多面体に形成されている。このため、励起光の照射面および蛍光の発光面を除く全ての面に光吸収材料7を被覆する際、隣接する面の間に形成される角部に光吸収材料7がうまく被覆されない場合がある。このように、光吸収材料7が被覆されない部位が生じると、この部位を介して外部から付所望な波長成分を有する光が蛍光基準板内に侵入し、蛍光の発光量が励起光量のみに依存しなくなってしまう。
【0034】
このため、例えば、図14に示すように、励起光の照射面および蛍光の発光面を除く全ての面が形成する角部を面取りすることで、角部であっても光吸収材料7を被覆し易くした。また、図15乃至図17に示すように、照射面および発光面(同一面である場合もある)を除く全ての面を1つの連続した曲面によって形成し、光吸収材料7を被覆し易くした。例えば、図15に示す例では、蛍光基準板として半球状の蛍光ガラス(蛍光基準部材)44を採用し、円形の面44aを除く1つの連続した曲面(球の表面)に光吸収材料7を被覆した。また、図16に示す例では、球体を2箇所でカットした2つの面46a、46bを小斜面および発光面とし、他の連続した曲面(球体の表面)に光吸収材料7を被覆した。さらに、図17に示す例では、円柱形状の蛍光ガラスを用意してその周面に光吸収材料7を被覆した。
【0035】
以上、図14乃至図17に示した変形例のように光吸収材料7を被覆する面を曲面にすることで、光吸収材料7の被覆を確実にでき、光吸収材料7が被覆されない部位を無くすことができ、外部から付所望な光が蛍光基準部材に入り込むことを防止でき、励起光量にのみ依存した安定した発光量で蛍光を発光でき、安定した検査基準を与えることができる蛍光基準部材を提供できる。
【0036】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0037】
例えば、上述した実施の形態では、主に6面体からなる蛍光基準板について説明したが、これに限らず、4面体や10面体などの他の多面体形状とすることもできる。また、上述した実施の形態では、紙幣に含まれる蛍光物質を検査する場合について説明したが、これに限らず、検査対象となる媒体Mはいかなるものであっても良い。さらに、上述した実施の形態では、励起光として紫外光を用いた場合について説明したが、これに限らず、他の波長帯域を有する光を励起光として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る蛍光検査装置の要部の構成を示す概略斜視図。
【図2】図1の蛍光検査装置の平面図。
【図3】図1の蛍光検査装置を媒体の搬送方向下流側から見た側面図。
【図4】図1の蛍光検査装置に組み込まれた蛍光基準板の概略構造を示す斜視図。
【図5】図1の蛍光検査装置の処理動作を制御するための制御系を示すブロック図。
【図6】紫外光源の光量を補正する例を説明するためのブロック図。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る蛍光検査装置の要部の構成を示す概略斜視図。
【図8】図7の蛍光検査装置の平面図。
【図9】図7の蛍光検査装置を媒体の搬送方向下流側から見た側面図。
【図10】図7の蛍光検査装置に組み込まれた蛍光基準板の概略構造を示す斜視図。
【図11】図7の蛍光検査装置の処理動作を制御するための制御系を示すブロック図。
【図12】紫外光源の光量を補正する例を説明するためのブロック図。
【図13】この発明の第3の実施の形態に係る蛍光検査装置の要部の構成を示す概略図。
【図14】他の実施の形態に係る蛍光基準部材を示す概略斜視図。
【図15】他の実施の形態に係る蛍光基準部材を示す概略斜視図。
【図16】他の実施の形態に係る蛍光基準部材を示す概略斜視図。
【図17】他の実施の形態に係る蛍光基準部材を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0039】
1、20、30…蛍光検査装置、2…搬送ローラ対、3…搬送路、4…紫外光源、5…読み取りセンサ、6、22、32…蛍光基準板、7…光吸収材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光が照射される照射面、および上記照射された励起光に基づいて蛍光を発光する発光面を有する本体と、
この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料と、を具備したことを特徴とする蛍光基準部材。
【請求項2】
上記本体の照射面および発光面は同じ面を構成していることを特徴とする請求項1に記載の蛍光基準部材。
【請求項3】
上記本体の照射面および発光面を含む全ての面は光学研磨されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光基準部材。
【請求項4】
上記本体の照射面および発光面を除く全ての面は1つの連続した曲面により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
【請求項5】
上記本体は、上記照射面および発光面を有する多面体に形成され、上記照射面および発光面を除く全ての面が形成する角部は面取りされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蛍光基準部材。
【請求項6】
検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、
上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、
この受光部で受光した第2の蛍光に基づいて該受光部の出力を補正する補正部と、
この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有することを特徴とする蛍光検査装置。
【請求項7】
検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、
上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、
この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、
この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記第1受光部の出力を補正する補正部と、
この補正部で補正した上記第1の蛍光を検査する検査部と、を有することを特徴とする蛍光検査装置。
【請求項8】
検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、
上記光源から照射された励起光に基づいて、上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光、および上記蛍光基準部材から発光される第2の蛍光を選択的に受光する受光部と、
この受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
上記受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有することを特徴とする蛍光検査装置。
【請求項9】
検査対称となる媒体に励起光を照射する光源と、
この光源から照射された励起光に基づいて上記媒体に含まれる蛍光物質から励起発光される第1の蛍光を受光する第1受光部と、
この第1受光部で受光した上記第1の蛍光を検査する検査部と、
上記光源からの励起光が照射される照射面、およびこの照射面を介して照射された上記励起光に基づいて励起発光される第2の蛍光を発光する発光面を有する本体と、この本体の上記照射面および発光面を除く全ての面に被覆された光吸収材料とを具備した蛍光基準部材と、
この蛍光基準部材の上記発光面を介して発光される上記第2の蛍光を受光する第2受光部と、
この第2受光部で受光した第2の蛍光に基づいて上記光源の発光量を補正する補正部と、を有することを特徴とする蛍光検査装置。
【請求項10】
上記蛍光基準部材の本体の照射面および発光面を含む全ての面は光学研磨されていることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の蛍光検査装置。
【請求項11】
上記蛍光基準部材の本体の照射面および発光面を除く全ての面は1つの曲面により形成されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の蛍光検査装置。
【請求項12】
上記蛍光基準部材の本体は、上記照射面および発光面を有する多面体に形成され、上記照射面および発光面を除く全ての面が形成する角部は面取りされていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の蛍光検査装置。
【請求項13】
上記蛍光基準部材の本体の照射面および発光面は同じ面を構成していることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の蛍光検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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