説明

蛍光寿命測定装置、蛍光寿命測定方法及びプログラム

【課題】簡易な構成で蛍光寿命を取得し得る蛍光寿命測定装置、蛍光寿命測定方法及びプログラムを提案する。
【解決手段】測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させ、一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射し、励起光により発する蛍光の残光を撮像し、撮像された画像を用いて、対象とすべき残光位置における蛍光位置からの経過時間と、残光強度とを検出し、蛍光寿命を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光寿命測定装置、蛍光寿命測定方法及びプログラムに関し、励起光の照射により発する光の寿命を検出する技術を用いる分野に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セルに保持される試料に対してパルス状の励起光を照射し、該励起光により発する蛍光の時間波形を光電子増倍管やストリークカメラを用いて測定し、当該測定結果から蛍光寿命を得る蛍光寿命測定装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−349833公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがかかる蛍光寿命測定装置は、光電子増倍管やストリークカメラ自体が比較的大型なものであるため全体として大型となる。またこの蛍光寿命測定装置では、パルス状の励起光を照射する光源が用いれられ、該光源からの照射タイミングに合わせて、光電子増倍管やストリークカメラを駆動ことが必要となるため、光電子増倍管やストリークカメラの調整過程が複雑かつ長時間を要していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で蛍光寿命を取得し得る蛍光寿命測定装置、蛍光寿命測定方法及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明は、蛍光寿命測定装置であって、測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させる移動手段と、移動手段により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射する照射手段と、励起光により発する蛍光の残光を撮像する撮像手段と、撮像部が撮像した画像を用いて、蛍光位置から、対象とすべき残光位置における経過時間と残光強度を検出し、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段とを設ける。
【0007】
また本発明は、蛍光寿命測定方法であって、測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させる移動制御ステップと、移動制御ステップでの制御により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射する照射ステップと、励起光により発する蛍光の残光を撮像する撮像ステップと、撮像ステップで撮像された画像を用いて、蛍光位置から、対象とすべき残光位置における経過時間と残光強度を検出し、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出ステップとを経る。
【0008】
また本発明は、プログラムであって、移動制御手段に対して、測定対象の蛍光体が配されるステージを移動すべきこと、照射手段に対して、移動制御手段により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射すべきこと、撮像手段に対して、励起光により発する蛍光の残光を撮像すべきこと、演算部に対して、撮像手段で撮像された画像を用いて、蛍光位置から、対象とすべき残光位置における経過時間と残光強度を検出し、蛍光寿命を算出すべきことを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、蛍光寿命を、移動方向における残光像として捉えるため、短時間に生じる光の強度変化を、光電子増倍管やストリークカメラを用いずに一般的なカメラによって得ることができ、この結果、蛍光寿命を簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】蛍光寿命測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ディスクステージの構造を概略的に示す図である。
【図3】光学系の構成例を示す図である。
【図4】受光面でのビーム形状を概略的に示す図である。
【図5】測定部の構成を示すブロック図である。
【図6】励起光の照射時における撮像結果を示す写真である。
【図7】残光強度の時間変化を示すグラフである。
【図8】蛍光寿命測定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
<1.実施の形態>
[1−1.蛍光寿命測定装置の構成]
[1−2.測定部の具体的な構成]
[1−3.蛍光寿命測定処理手順]
[1−4.効果等]
<2.他の実施の形態>
【0012】
<1.実施の形態>
発明を実施するための形態として蛍光寿命測定装置を説明する。
[1−1.蛍光寿命測定装置の構成]
図1において、蛍光寿命測定装置1の概略的な構成を示す。この蛍光寿命測定装置1は、円盤状のステージ(以下、これをディスクステージとも呼ぶ)2、レーザ光源3、光学系4、フォーカス制御部5、撮像部6及び測定部7を含む構成とされる。
【0013】
ディスクステージ2は、その中心に設けられる貫通孔を介して、回転軸SAに対して着脱可能に支持される。このディスクステージ2の構造を図2に示す。ディスクステージ2は、ディスク基板2Aの一方の面に対して、反射膜2Bと、蛍光膜2Cとを順に成膜した層構造でなる。
【0014】
ディスク基板2Aは、蛍光励体2Cを励起する光(以下、これを励起光とも呼ぶ)に対して透明となる材料により形成され、例えば1.3[mm]程度の厚みとされる。具体的な材料として例えば石英が用いられる。
【0015】
反射膜2Bは、所定量の界面反射を発生させ得る材料が用いられ、例えば100[nm]程度の厚みで均一に成膜される。具体例として酸化チタンがあり、該酸化チタンでは、励起光の波長を405[nm]とし、ディスク基板2Aを石英とした場合、20[%]程度の界面反射が発生する。
【0016】
蛍光膜2Cは、蛍光寿命を測定すべき有機又は無機の被測定材料でなり、例えば100[nm]程度の厚みで均一に成膜される。
【0017】
レーザ光源3は、ディスク基板2Aのうち反射膜2Bが成膜される面とは逆側の面に対向され、蛍光膜2Cに対する励起光を照射するようになされている。この実施の形態では、波長が405[nm]、出力が1[mW]、横モードTEM00の励起光を照射するレーザ光源3が用いられる。
【0018】
光学系4は、レーザ光源3から照射される励起光を、ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に集光し、該界面において反射する反射光をフォーカス制御部5に導くようになされている。この光学系4の具体的な構成例を図3に示す。
【0019】
光学系4は、紙面に対して平行となる直線偏光としてレーザ光源3から出射されるレーザ光を、コリメーターレンズ11により平行光として、偏光ビームスプリッター12に導く。光学系4は、この偏光ビームスプリッター12を透過するレーザ光を、1/4波長板13により円偏光とし、対物レンズ14によりディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に集光するようになされている。
【0020】
この反射膜2Bを透過して蛍光膜2Cに励起光が達した場合、蛍光膜2Cとして成膜される被測定蛍光体は励起して空間的に等方に蛍光を放出することとなる。
【0021】
一方、光学系4は、ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面で反射する反射光を、対物レンズ14を介して1/4波長板13に導き、該1/4波長板13によりs偏光とする。光学系4は、このs偏光とされる反射光を、偏光ビームスプリッター12により90[°]方向に反射させ、集光レンズ15及びシリンドリカルレンズ16を介して測定部5(図1)に導くようになされている。
【0022】
フォーカス制御部5は、光学系4から導かれる光を受光する受光部を有する。ここで、受光部における受光面での、光学系4から導かれる光の形状を図4に示す。ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に焦点がある場合には、破線で示す円形となる。一方、界面から焦点がずれた場合、シリンドリカルレンズ16で発生する収差により、一点鎖線で示す楕円形状となる。具体的には、ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に対して焦点が手前であるか奥であるかに応じて、楕円形状の長軸短軸が入れ替わる。
【0023】
フォーカス制御部5は、4分割される各領域での光電変換結果として受光部から得られる信号を用いてフォーカス制御信号を生成する。具体的には図4を例にすると、A〜Dの領域の信号を取得し、(A+D)−(B+C)の演算によりフォーカス制御信号を生成する。
【0024】
フォーカス制御部5は、このフォーカス制御信号に応じて光軸方向に移動可能なアクチュエーターを制御することで、該アクチュエーターに設けられる対物レンズ14(図3)を、ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に焦点が位置するよう追従させる。
【0025】
撮像部6は、ディスクステージ2の蛍光膜2Cと対向する側に設けられ、該蛍光膜2Cから発する蛍光を撮像し、該撮像結果を撮像データとして測定部7に与えるようになされている。
【0026】
測定部7は、撮像部6から与えられる撮像データに基づいて蛍光寿命を算出するようになされている。
【0027】
[1−2.測定部の構成]
次に、測定部7について具体的に説明する。図5において、測定部7の概略的な構成を示す。この測定部7は、CPU(Central Processing Unit)21に対して各種ハードウェアをバス22を介して接続することにより構成される。
【0028】
ハードウェアとして、ROM(Read Only Memory)23、CPU21のワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)24及びインターフェイス25が少なくとも採用される。この実施の形態では、ユーザの操作に応じた命令を入力する入力部26、表示部27及び記憶部28も採用される。
【0029】
ROM23には、蛍光寿命を測定する処理を実行するためのプログラム(以下、これを蛍光寿命測定プログラムとも呼ぶ)が格納される。インターフェイス25には、回転軸SAに取り付けられるスピンドルモータSM(図1)と、レーザ光源3、フォーカス制御部4及び撮像部6(図1)とが接続される。
【0030】
CPU21は、操作入力部27から、蛍光寿命を測定する命令が与えられた場合、ROM23に格納される蛍光寿命測定プログラムをRAM24に展開し、駆動部31、前処理部32及び蛍光寿命算出部33として機能する。
【0031】
駆動部31は、励起光を所定周期で照射するようレーザ光源3を駆動させるとともに、ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に焦点が位置するようフォーカス制御部4を駆動させる。また駆動部31は、線速度一定に回転するようスピンドルモータSMを駆動させるとともに、所定周期で撮像するよう撮像部6を駆動させる。
【0032】
ここで、回転状態のディスクステージ2において照射すべき位置での蛍光ディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面の所定位置に励起光を瞬間的に照射したときの撮像結果を図6に示す。なお、この図6では撮像部6として、焦点距離が6.33〜19[mm]のレンズ、810万画素インターレース型でなる1/2.5インチのCCD(Charge Coupled Device)を有する14[bit]のデジタルスチルカメラが用いられた。
【0033】
この図6からも明らかなように、回転状態のディスクステージ2における蛍光膜2Cを照射位置で瞬間的に励起させた場合、該照射位置で発する蛍光が回転方向に残光として映ることとなる。
【0034】
前処理部32は、撮像部6から与えられる撮像データに示される画像において、照射位置で発する蛍光の残光の先端位置(図6では照射位置に最も近い黒丸部分)に対する末端位置(図6では照射位置から最も離れた黒丸部分)の強度の割合を算出する。
【0035】
そして前処理部32は、この割合が規定範囲内となるよう、インターフェイス25を介してディスクステージ2の回転数又は撮像部6の画角を調整する。この結果、照射位置から目的とすべき強度をもつ位置(例えば消失直前の位置)までの残光が撮像範囲に納められることとなる。
【0036】
蛍光寿命算出部33は、ディスクステージ2の回転数又は撮像部6の画角が調整された場合、残光の先端位置から末端位置までの強度と経過時間とを所定間隔(図6では黒丸部分)ごとに算出し、当該算出結果から残光の時間変化を示す表(以下、これを残光変化表とも呼ぶ)を作成する。なお、図6における残光変化表を図7に示す。
【0037】
ちなみに、経過時間は、残光の位置情報、ディスクステージの半径及び回転数から求めることができる。
【0038】
そして蛍光寿命算出部33は、次式
【0039】
【数1】

【0040】
に基づいて蛍光寿命を算出する。この(1)式における「I(t)」は着目すべき位置での残光強度(残光強度の時間変化)、「I」は照射位置での強度、「t」は着目すべき位置での経過時間、「τ」は蛍光寿命である。また「(−t/τ)」は、残光変化表(図6)の傾きを意味する。
【0041】
ところで、ディスクステージ2に成膜される蛍光膜2C(図2)は、単一の励起状態に限らず、複数の励起状態を有するものもある。複数の励起状態を有する蛍光膜2Cである場合、残光変化表は、図7に示される直線状態を呈することはなく、該励起状態の数に応じた直線が混合した状態を呈することになる。
【0042】
この場合、蛍光寿命算出部33は、残光変化表におけるスロープのうち、傾斜の異なる直線部分や曲線を呈する部分を、着目すべき位置としてそれぞれ決定することで、複数の励起状態を有する蛍光膜2Cの蛍光寿命を算出することができる。
【0043】
なお、図6に示されるスロープを呈した蛍光膜2Cの蛍光寿命は、図5に示す撮像時のディスクステージ2の線速度が1[m/sec]である場合、1.8[msec]として算出される。
【0044】
[1−3.蛍光寿命測定処理手順]
次に、測定部7の蛍光寿命測定処理手順について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
すなわちCPU21は、蛍光寿命を測定する命令が与えられた場合、この蛍光寿命測定処理手順を開始して第1ステップSP1に移行する。CPU21は、この第1ステップSP1では、スピンドルモータSMを駆動してディスクステージ2を線速度一定に回転させ、第2ステップSP2に移行する。
【0046】
CPU21は、この第2ステップSP2では、レーザ光源3を駆動してディスクステージ2に対して励起光を所定周期で照射させ、第3ステップSP3に移行する。CPU21は、この第3ステップSP3では、フォーカス制御部4を駆動してディスク基板2Aと反射膜2Bとの界面に焦点を位置させ、第4ステップSP4に移行する。
【0047】
CPU21は、この第4ステップSP4では、撮像部6を駆動して、ディスクステージ2に対して励起光が照射された時点の画像の取り込みを開始し、第5ステップSP5に移行する。
【0048】
CPU21は、この第5ステップSP5では、第4ステップSP4で取り込んだ画像において、照射位置から目的とすべき強度をもつ位置(例えば消失直前の位置)までの残光を撮像範囲に納めて、第6ステップSP6に移行する。具体的には、上述したように、照射位置で発する蛍光の残光の先端位置に対する末端位置での強度の割合が規定範囲内となるよう、ディスクステージ2の回転数又は撮像部6の画角が調整される。
【0049】
CPU21は、この第6ステップSP6では、残光の先端位置から末端位置までの強度と経過時間とを所定間隔ごとに算出し、第7ステップSP7に移行する。CPU21は、この第7ステップSP7では、第6ステップSP6で算出した結果から残光変化表を作成し、第8ステップSP8に移行する。
【0050】
CPU21は、この第8ステップSP8では、(1)式に基づいて蛍光寿命を算出した後、この蛍光寿命測定処理手順を終了する。なお、第7ステップSP7で作成したスロープが非直線となる場合、CPU21は、第8ステップSP8において、残光変化表に示されるスロープのうち、傾きの異なる直線部分や曲線を呈する部分ごとに蛍光寿命を算出するようになされている。
【0051】
[1−4.効果等]
以上の構成において、この蛍光寿命測定装置1は、回転するディスクステージ2に配される蛍光体に対して励起光を照射し、該励起光により発する蛍光の残光を撮像部6で撮像する。そして蛍光寿命測定装置1は、蛍光位置から、対象とすべき残光位置における経過時間と残光強度を検出し、該残光強度及び経過時間を用いて蛍光寿命を算出する。
【0052】
この蛍光寿命測定装置1は、蛍光寿命を、回転方向における残光像として捉えるため、ストリークカメラを用いることなく短時間に生じる光の強度変化を得ることができ、この結果、蛍光寿命を簡易な構成とすることができる。
【0053】
またこの蛍光寿命測定装置1は、回転するディスクステージ2に配される蛍光体に対して、所定周期単位で瞬間的にレーザ光を照射する。したがってこの蛍光寿命測定装置1は、パルスレーザ光を用いる場合に比してその構成を簡易化することができる。また、測定中にパルスレーザ光を照射し続ける場合に比して、励起光による蛍光体の物性変化を抑えることができ、この結果、該蛍光体の蛍光寿命を正しく測定することが可能となる。
【0054】
またこの蛍光寿命測定装置1は、残光強度の時間変化を示す線が非直線となる場合、該線のうち、傾きの異なる直線部分乃至曲線を呈する部分ごとに蛍光寿命を算出する。
【0055】
したがってこの蛍光寿命測定装置1は、蛍光体が複数の励起状態を有する場合であっても、該蛍光体の蛍光寿命を算出することができる。
【0056】
以上の構成によれば、この蛍光寿命測定装置1は、蛍光寿命を、回転方向における残光像として捉えるようにしたことにより、ストリークカメラを用いることなく短時間に生じる光の強度変化を得ることができ、この結果、蛍光寿命を簡易な構成とすることができる。
【0057】
<2.他の実施の形態>
上述の実施の形態では、蛍光寿命を算出する前に、撮像される残光の先端位置に対する末端位置での強度の割合が規定範囲内となるよう、ディスクステージ2の回転数又は撮像部6の画角が調整された。
【0058】
この実施の形態に代えて、ディスクステージ2全体が撮像範囲内に納まるよう撮像部6の画角を固定としてもよい。このようにすれば、上記調整をしなくとも、撮像範囲での蛍光強度と残光強度との割合を一定にしつつ、上述の実施の形態と同様にして蛍光寿命を算出することができる。ただし、残光感度の観点では、ディスクステージ2の回転数又は撮像部6の画角を調整する上述の実施の形態のほうが好ましい。
【0059】
また上述の実施の形態では、測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させる移動手段として、回転移動させるスピンドルモータSMが適用された。しかしながら移動手段は、回転移動させるものに限定されるものではない。例えば、直線移動させるものを適用することができる。要は、一定の移動速度を、全体として又はある過程において実現可能な移動手段であればよい。
【0060】
また上述の実施の形態では、測定すべき蛍光体が、ディスクステージ2全体に膜として配置された。しかしながら配置位置はステージ全体に限定されるものではなく、また膜以外の態様で配するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、遺伝子実験、医薬の創製又は患者の経過観察などのバイオ産業上において利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1……蛍光寿命測定装置、2……ディスクステージ、2A……ディスク基板、2B……反射膜、2C……蛍光膜、3……レーザ光源、4……光学系、5……フォーカス制御部、6……撮像部、7……測定部、21……CPU、22……バス、23……ROM、24……RAM、31……駆動部、32……前処理部、33……蛍光寿命算出部、SM……スピンドルモータ、SA……回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させる移動手段と、
上記移動手段により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射する照射手段と、
上記励起光により発する蛍光の残光を撮像する撮像手段と、
上記撮像部が撮像した画像を用いて、対象とすべき残光位置における蛍光位置からの経過時間と、残光強度とを検出し、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段と
を有する蛍光寿命測定装置。
【請求項2】
上記蛍光寿命算出手段は、
残光強度の時間変化を示す線が非直線となる場合、該線のうち、傾きの異なる直線部分乃至曲線を呈する部分ごとに蛍光寿命を算出する、請求項1に記載の蛍光寿命測定装置。
【請求項3】
撮像される残光の先端位置に対する末端位置での強度の割合が規定範囲内となるよう、上記移動手段の移動速度又は上記撮像手段の画角を調整する調整手段をさらに有し、
上記蛍光寿命算出手段は、
上記調整手段が調整した以降の画像を用いて、上記蛍光寿命を算出する、請求項2に記載の蛍光寿命測定装置。
【請求項4】
上記移動手段は、測定対象の蛍光体が配されるステージを回転移動させる、請求項3に記載の蛍光寿命測定装置。
【請求項5】
測定対象の蛍光体が配されるステージを移動させる移動制御ステップと、
上記移動制御ステップでの制御により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射する照射ステップと、
上記励起光により発する蛍光の残光を撮像する撮像ステップと、
上記撮像ステップで撮像された画像を用いて、対象とすべき残光位置における蛍光位置からの経過時間と、残光強度とを検出し、蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出ステップと
を有する蛍光寿命測定方法。
【請求項6】
移動制御手段に対して、測定対象の蛍光体が配されるステージを移動すべきこと、
照射手段に対して、上記移動制御手段により一定の速度で移動されるステージに配される蛍光体に対して励起光を照射すべきこと、
撮像手段に対して、上記励起光により発する蛍光の残光を撮像すべきこと、
演算部に対して、上記撮像手段で撮像された画像を用いて、対象とすべき残光位置における蛍光位置からの経過時間と、残光強度とを検出し、蛍光寿命を算出すべきこと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164468(P2010−164468A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7722(P2009−7722)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】