説明

蛍光検出装置

【課題】蛍光の検出を高感度化する技術を提供する。
【解決手段】蛍光検出装置は、蛍光標識された被測定物を励起させる励起光を発生する励起光源と、前記励起光を前記被測定物に入射する第1の光路と、前記蛍光標識された被測定物が前記励起光により励起されて発生する蛍光を検出する検出器と、前記蛍光を前記検出器に入射する第2の光路と、前記第1の光路を通過する励起光及び前記第2の光路を通過する蛍光を分断し、前記励起光の通過期間と前記蛍光の通過期間との相対的な関係を制御する分断器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光標識された微小試料から蛍光を検出する場合、励起光を試料に入射し、発生する蛍光強度を検出する。例えば、蛍光のみを光学フィルタで分離して検出する方法がある。この方法は、励起光の照射中に発生する蛍光の励起光とのわずかな波長の違いを利用する。また、励起光を遮断してから蛍光を検出する時間分解蛍光検出法がある。この方法は、励起光を遮断した後も、蛍光がしばらく発生する蛍光剤を利用する。
【特許文献1】特開2002−286639号公報
【特許文献2】特開2004−271215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1は、ダイクロイックミラー2を必要とする蛍光検出装置を示す図である。パルス励起光源1が発生する励起光パルスを蛍光標識された微細試料4に入射する。そして、蛍光標識された微細試料4が発生する蛍光を対物レンズで光検出器5に導くことにより、蛍光の強度を検出する。また、パルス励起光源1からのトリガ信号を基に光検出器5の計測開始時間、計測時間範囲を制御する。さらに、励起光パルスの照射は、1回だけでなく、一定時間間隔で複数回(2回から数万回)行う場合がある。その場合、得られる蛍光を積算して計測する。図1の蛍光検出装置では、上記検出方法の両方を使用できる。
【0004】
図1に示すように、パルス励起光源1が発生する励起光パルスをダイクロイックミラー2が反射する。そして、ダイクロイックミラー2が反射した励起光パルスは対物レンズ3を介して蛍光標識された微細試料4に入射される。蛍光標識された微細試料4から発生する蛍光は対物レンズ3により集光される。そして、集光された蛍光は光検出器5により受光される。
【0005】
所定の波長の励起光を蛍光標識された微細試料4に入射するため、フィルタBP6をパルス励起光源1とダイクロイックミラー2との間に設ける。また、蛍光標識された微細試料4から発生する蛍光から所定の波長の蛍光を検出するため、フィルタBP7を光検出器5とダイクロイックミラー2との間に設ける。
【0006】
励起光がダイクロイックミラー2で反射されることにより、光検出器の検出感度は劣化する。また、励起光がフィルタBP6により減衰され、蛍光がフィルタBP7により減衰されることにより、光検出器5の検出感度は劣化する。さらに、励起光と蛍光を透過させる対物レンズ3は、透過帯域は広い必要があり、必然的に高価となる。
【0007】
次に、ダイクロイックミラー2を必要としない蛍光検出装置について説明する。図2は、ダイクロイックミラー2を必要としない蛍光検出装置を示す図である。ダイクロイックミラー2を必要としない蛍光検出装置は、光ファイバ8を用いて励起光を蛍光標識された微細試料4に導いている。励起光は励起用レーザ9から光ファイバ8に導入される。励起光を光チョッパ10で遮断及び透過することにより、励起光パルスを生成している。また、対物レンズ3は、蛍光のみを透過させる。そのため、蛍光標識された微細試料4が発生する蛍光の波長で最大の透過率を持つレンズが使用できる。
【0008】
光ファイバ8の入射角と対物レンズ3の開口数(NA)とから、励起光は対物レンズ3
に入射しない。そのため、励起光をフィルタに通す必要がない。しかし、対物レンズ3を使用するため、将来の小型化が困難である。また、入射効率が対物レンズ3のみで決定される。さらに対物レンズ3を用いる場合、高効率で検出器に入射させることが困難となる。この構成でも上記検出方法の両方を利用できる。しかし、上記のような蛍光検出装置は、励起光の空間伝播、対物レンズ3を用いた蛍光の集光、分光フィルタの導入などにより、装置の構成が大きくなる。本発明は、蛍光検出装置を簡略化及び小型化する技術を提供することを目的とする。また、上記のような蛍光検出装置は、蛍光を高感度に検出するように設計されていない。本発明は、蛍光検出装置において、蛍光の検出を高感度化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明の蛍光検出装置は、蛍光標識された被測定物を励起させる励起光を発生する励起光源と、前記励起光を前記被測定物に入射する第1の光路と、前記蛍光標識された被測定物が前記励起光により励起されて発生する蛍光を検出する検出器と、前記蛍光を前記検出器に入射する第2の光路と、前記第1の光路を通過する励起光及び前記第2の光路を通過する蛍光を分断し、前記励起光の通過期間と前記蛍光の通過期間との相対的な関係を制御する分断器とを備える。本発明は、分断器により第1の光路を通過する励起光の通過期間と第2の光路を通過する蛍光の通過期間との相対的な関係を制御する。その結果、被測定物に対して、適切な時間間隔で励起光を入射することが可能となる。また、被測定物から適切な時間間隔で蛍光を検出することが可能となる
また、本発明の蛍光検出装置は、前記第1の光路は対向する接続端で互いに接続される2つの光路を有し、前記第2の光路は対向する接続端で互いに接続される2つの光路を有し、前記分断器は、前記第1の光路の前記対向する接続端の間および前記第2の光路の前記対向する接続端の間において光の遮断状態と通過状態とを制御する回転式の光チョッパであり、前記光チョッパの回転数を変更することにより前記相対的な関係を変更してもよい。
【0010】
また、本発明の蛍光検出装置は、前記第1の光路及び前記第2の光路が、光ファイバであり、前記光ファイバが前記被測定物に対向する先端は凸形状であってもよい。本発明の蛍光検出装置は、前記第1の光路及び前記第2の光路が、光ファイバであり、前記光ファイバの入射口に広がり角度調整部材を設けてもよい。また、本発明の蛍光検出装置は、前記第1の光路及び前記第2の光路が、光ファイバであり、前記光ファイバが前記被測定物に対向する先端の外周が金属で覆われていてもよい。
【0011】
また、本発明の蛍光検出装置は、前記被測定物を所定方向に移動させる移動装置を更に備え、前記第1の光路は、前記所定方向に移動した被測定物に前記励起光を入射し、前記第2の光路は、前記所定方向に移動した被測定物が発生する蛍光を前記検出器に入射してもよい。また、本発明の蛍光検出装置は、前記移動装置が、前記被測定物を搭載する円盤状の試料台を更に備え、前記円盤状の試料台が回転又は所定方向に移動することにより前記被測定物を所定方向に移動させてもよい。
【0012】
また、本発明の蛍光検出装置は、前記移動装置が、前記被測定物を搭載する円筒状の試料台を更に備え、前記円筒状の試料台が回転又は所定方向に移動することにより前記被測定物を所定方向に移動させてもよい。また、本発明の蛍光検出装置は、前記被測定物が通過する流路を更に備え、前記第1の光路は、前記流路を通過する被測定物に前記励起光を入射し、前記第2の光路は、前記流路を通過する被測定物が発生する蛍光を前記検出器に入射してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明はによれば、蛍光検出装置を簡略化及び小型化することが可能となる。本発明によれば、蛍光検出装置において、蛍光の検出を高感度化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る蛍光検出装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0015】
〈第1実施形態〉
図3に、第1実施形態に係る蛍光検出装置の概略図を示す。図3に示すように、本実施形態の蛍光検出装置は、励起光源301、励起光源用光ファイバ302、蛍光検出用光ファイバ303、回転式の光チョッパ304、被測定物を載置する被測定物搭載基板305及び光検出器306を備えている。励起光源301として、例えばキセノンランプを使用することができる。また、光チョッパ304は、光チョッパコントローラ307と接続されている。光チョッパコントローラ307は、光チョッパ304の回転を制御する。光検出器306は、バス308を介してパーソナルコンピュータ309に接続されている。パーソナルコンピュータ309は、データ収集、各種装置を制御するためのソフトウェアを搭載している。光検出器306が検出した蛍光及び蛍光強度は、バス308を介してパーソナルコンピュータ309に送られる。パーソナルコンピュータ309は、光検出器306が検出した蛍光及び蛍光強度を集計し、解析するために用いられる。また、パーソナルコンピュータ309は、一般的に知られており、その構成及び作用はここでは省略する。
【0016】
まず、励起光源301が発生する励起光は励起光源用光ファイバ302に入射される。励起光源用光ファイバ302に入射された励起光は、被測定物に対向する励起光源用光ファイバ302の先端から出射される。そして、励起光源用光ファイバ302の先端から出射された励起光は、被測定物搭載基板305上の被測定物に入射される。被測定物搭載基板305上の被測定物は、蛍光標識されている。被測定物が発生する蛍光は蛍光検出用光ファイバ303の先端に入射される。蛍光検出用光ファイバ303の先端に入射された蛍光は、蛍光検出用光ファイバ303から光検出器306に入射される。
【0017】
例えば、励起光源用光ファイバ302及び蛍光検出用光ファイバ303として、図4に示すような竹やり型(竹または円柱を斜めに遮断した形状)の光ファイバ401を用いる。図4の光ファイバ401は、先端がメタルコート402に形成されている。図4の光ファイバ401の先端から励起光が出射される。また、図4の光ファイバ401の先端に入射された蛍光は、メタルコート402で反射される。そして、メタルコート402で反射された蛍光は、光ファイバ401内部を通過する。
【0018】
図3では、3個の励起光源301、3本の励起光源用光ファイバ302、3本の蛍光検出用光ファイバ303により蛍光の集光を行っている。図3は例示であって、励起光源301、励起光源用光ファイバ302及び蛍光検出用光ファイバ303の数はこれらに限定されるものではない。
【0019】
また、図3に示すように、励起光源用光ファイバ302と励起光源用光ファイバ302との間に光チョッパ304を設けている。さらに、図3に示すように、蛍光検出用光ファイバ303と蛍光検出用光ファイバ303との間に光チョッパ304を設けている。例えば、光チョッパ304は、スリットを設けた金属板を高速で回転させることで、励起光及び蛍光を所定間隔で遮断する。励起光及び蛍光を所定間隔で遮断することにより、励起光及び蛍光がパルス化される。また、励起光及び蛍光が発散することによる損失を低減するため、図5に示すような結合レンズを構成する。
【0020】
図5に示すように、励起光源用光ファイバ302と励起光源用光ファイバ302との間にレンズ501及びレンズ502を設ける。励起光源用光ファイバ302から出射される励起光は、レンズ501により集光される。レンズにより集光された励起光は、光チョッパ304により所定間隔で遮断されることによりパルス化される。パルス化された励起光はレンズ502により集光され、励起光用光ファイバに入射される。図5に示すレンズ501及びレンズ502を、光チョッパ304と励起光源用光ファイバ302との間に設けることにより、励起光が発散することによる損失を低減する。
【0021】
また、図5に示したと同様に、蛍光検出用光ファイバ303と蛍光検出用光ファイバ303との間にレンズ501及びレンズ502を設ける。図5と同様の構成を用いることにより、蛍光が発散することによる損失を低減する。
【0022】
次に、図6及び図7を用いて、被測定物に入射する励起光の波長について説明する。図6は、被測定物が発生する蛍光の蛍光強度を示す図である。被測定物には、標識剤を蛍光標識しておく。また、標識剤として、ユウロビウム(Eu)、テルビウム(Tb)などの希土類元素を配合したものを使用する。
【0023】
まず、蛍光標識された被測定物に励起光を入射する。この場合、335nm(ナノメートル)の波長の励起光を蛍光標識された被測定物に入射する。図6の縦軸は、蛍光強度を示している。また、図6の横軸は、蛍光標識された被測定物から検出する蛍光の波長を示している。335nmの波長の励起光を蛍光標識された被測定物に入射すると、蛍光標識された被測定物からは570nm〜720nmの波長の蛍光が検出される。図6は、蛍光標識された被測定物から570nm〜720nmの波長の蛍光を検出した場合において、検出した蛍光の蛍光強度を示している。図6に示すように、616nmの波長の蛍光の蛍光強度は高い値を示している。
【0024】
次に、616nmの波長の蛍光を検出するように光検出器306を設定する。そして、蛍光標識された被測定物に200nmから500nmまでの波長の励起光を入射する。図7は、蛍光標識された被測定物に200nmから500nmまでの波長の励起光を入射した場合において、蛍光標識された被測定物から検出される蛍光の蛍光強度の変化を示す図である。図7に示すように、蛍光標識された被測定物に200nmの波長の励起光を入射した場合、蛍光標識された被測定物から検出される蛍光の蛍光強度は1番高い値を示す。また、図7に示すように、蛍光標識された被測定物に325nmの波長の励起光を入射した場合、蛍光標識された被測定物から検出される蛍光の蛍光強度は2番目に高い値を示す。しかし、200nmの波長の励起光を被測定物に入射した場合、DNAチップなどの被測定物は破壊される可能性がある。そこで、本実施形態においては、325nmの波長の励起光を使用する。
【0025】
図8及び図9を用いて、蛍光標識された被測定物にパルス化された励起光を入射した場合の蛍光強度の変化について説明する。図8及び図9の縦軸は蛍光強度を示している。また、図8及び図9の横軸は、経過時間を示している。蛍光標識された被測定物にパルス化された励起光を入射した場合、標識剤及び標識剤以外から蛍光が発生する。
【0026】
図8は、標識剤が発生する蛍光の蛍光強度と経過時間との関係を示す図である。図8に示すように、蛍光標識された被測定物にパルス化された励起光をT1時間まで入射した場合、標識剤が発生する蛍光の蛍光強度はT1時間まで高い値を示す。図8の点線は、蛍光標識された被測定物に対するパルス化された励起光の入射時間を示している。
【0027】
そして、図8に示すように、T1時間を過ぎると、標識剤が発生する蛍光の蛍光強度は緩やかに減少する。図8に示すように、蛍光標識された被測定物にパルス化された励起光
を入射した後、標識剤が蛍光をしばらく発生することを遅延蛍光という。
【0028】
図9は、標識剤以外が発生する蛍光の蛍光強度と経過時間との関係を示す図である。図9に示すように、蛍光標識された被測定物にパルス化された励起光をT1時間まで入射した場合、標識剤以外が発生する蛍光の蛍光強度はT1時間まで高い値を示す。図8の点線は、蛍光標識された被測定物に対するパルス化された励起光の入射時間を示している。そして、図9に示すように、T1時間を過ぎると、標識剤以外が発生する蛍光の蛍光強度は急激に減少する。
【0029】
次に、図10及び図11を用いて、本実施形態の光チョッパ304に設けるスリットについて説明する。図10は、本実施形態の光チョッパ304の一実施例を示す上面図である。光チョッパは、中心点1007を有する略円形の板である。光チョッパ304に対して、スリット1001からスリット1006を設ける。すなわち、光チョッパ304に対して、所定の切り欠きを設ける。
【0030】
図10に示す光チョッパ304は、直径を13cm程度とする。光チョッパ304の中心点1007から光チョッパ304の外周方向に向けて2.5cm程度の場所にスリット1001、スリット1002及びスリット1003を設ける。この場合、スリット1001、スリット1002及びスリット1003が等間隔になるようにそれぞれを設ける。
【0031】
スリット1001、スリット1002、及びスリット1003は、縦2mm程度、横5mm程度とする。スリット1001、スリット1002及びスリット1003の長手方向が、光チョッパ304の中心点1007から光チョッパ304の外周方向(半径方向)と同じ方向となるようにスリット1001、スリット1002及びスリット1003を設ける。
【0032】
また、光チョッパ304の中心点1007から光チョッパ304の外周方向に向けて5.4cm程度の場所に帯状のスリット1004、スリット1005及びスリット1006を設ける。この場合、スリット1004、スリット1005及びスリット1006が中心点1007と中心とする円周上で等間隔になるようにそれぞれを設ける。
【0033】
スリット1004、スリット1005及びスリット1006は、光チョッパ304の外周に接する辺の長さを7cm程度、光チョッパ304の外周と直行する辺の長さを1cm程度とする。また、上記の数値は例示であり、本実施形態の光チョッパ304はこれらの数値に限定されない。
【0034】
図10に示す光チョッパ304は、中心点1007を軸として右回転するように光チョッパコントローラにより制御される。継続接続される2本の励起光源用光ファイバ302,302の一方の接続端から出射された励起光は、図5のレンズ501によって図10のA、B及びCの部分に集光される。光チョッパ304の回転中に、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003が図10のA、B及びCの場所に位置した場合、集光された励起光は、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過し、他方の励起光用光ファイバ302の接続端に入射する。
【0035】
一方、光チョッパ304の回転中に、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003が図10のA、B及びCの場所に位置しない場合、集光された励起光は、光チョッパ304によって遮断される。
【0036】
また、継続接続される2本の蛍光検出用光ファイバ303,303の一方の接続端から出射された蛍光は、図5のレンズ501によって図10のD、E及びFの部分に集光され
る。光チョッパ304の回転中に、図10のスリット1004、スリット1005及びスリット1006が図10のD、E及びFの場所に位置した場合、集光された蛍光は、図10のスリット1004、スリット1005及びスリット1006を通過し、他方の蛍光検出用光ファイバ303の接続端に入射する。
【0037】
一方、光チョッパ304の回転中に、図10のスリット1004、スリット1005及びスリット1006が図10のD、E及びFの場所に位置しない場合、集光された蛍光は、光チョッパ304によって遮断される。
【0038】
図11は、本実施形態の光チョッパ304の一実施例を示す上面図である。図11の光チョッパ304は、励起光が図11のスリット1101、スリット1102及びスリット1103を通過すると同時に、蛍光が図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106を通過するように設計されている。すなわち、図11の光チョッパ304を使用した蛍光検出装置は、励起光を蛍光標識された被測定物に入射すると同時に蛍光の検出を開始することが可能となる。他の構成については、図10に示す光チョッパ304と同様である。
【0039】
図12及び図13は、励起光及び蛍光が各スリットを通過する時間を示す図である。図12の縦軸のA、B及びCは、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過する励起光を示している。図12の縦軸のD、E及びFは、図10のスリット1004、スリット1005及びスリット1006を通過する蛍光を示している。図12の横軸は、経過時間を示している。
【0040】
図13の縦軸のA、B及びCは、図11のスリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過する励起光を示している。図13の縦軸のD、E及びFは、図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106を通過する蛍光を示している。図13の横軸は、経過時間を示している。
【0041】
まず、図12に示すグラフについて説明する。光チョッパ304が回転を開始すると、図10のA、B及びCに集光された励起光は、スリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間がT1に達すると、図10のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図12に示すように、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003にはT0からT1の経過時間分の励起光が通過する。
【0042】
そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図12に示すT4に達するまで、図10のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。光チョッパ304の回転の経過時間が図12に示すT4に達すると、図10のA、B及びCに集光された励起光は、スリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図12に示すT5に達すると、図10のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図12に示すように、図10のスリット1001、スリット1002及びスリット1003にはT4からT5の経過時間分の励起光が通過する。
【0043】
光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT2に達するまで、図10のD、E及Fに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT2に達すると、図10のD、E及びFに集光された蛍光は、スリット1004、スリット1005及びスリット1006を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT3に達すると、図10の、D、E及びFに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図12に示すように、図1
0のスリット1004、スリット1005及びスリット1006にはT2からT3の経過時間分の蛍光が通過する。
【0044】
光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT6に達するまで、図10のD、E及Fに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT6に達すると、図10のD、E及びFに集光された蛍光は、スリット1004、スリット1005及びスリット1006を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図12のT7に達すると、図10のD、E及びFに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図12に示すように、図10のスリット1004、スリット1005及びスリット1006にはT6からT7の経過時間分の蛍光が通過する。
【0045】
次に、図13に示すグラフについて説明する。光チョッパ304が回転を開始すると、図11のA、B及びCに集光された励起光は、図11のスリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間がT1に達すると、図11のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図13に示すように、図11のスリット1001、スリット1002及びスリット1003にはT0からT1の経過時間分の励起光が通過する。
【0046】
そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT3に達するまで、図11のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT3に達すると、図11のA、B及びCに集光された励起光は、図11のスリット1001、スリット1002及びスリット1003を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT4に達すると、図11のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図13に示すように、図11のスリット1001、スリット1002及びスリット1003にはT3からT4の経過時間分の励起光が通過する。
【0047】
光チョッパ304が回転を開始すると、図11のD、E及びFに集光された励起光は、図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT2に達すると、図11のA、B及びCに集光された励起光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図13に示すように、図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106にはT0からT2の経過時間分の励起光が通過する。
【0048】
光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT3に達するまで、図11のD、E及Fに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT3に達すると、図11のD、E及びFに集光された蛍光は、図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106を通過し始める。そして、光チョッパ304の回転の経過時間が図13のT5に達すると、図11の、D、E及びFに集光された蛍光は、光チョッパ304により遮断される。したがって、図13に示すように、図11のスリット1104、スリット1105及びスリット1106にはT3からT5の経過時間分の蛍光が通過する。
【0049】
図10に示す光チョッパ304を使用して励起光をパルス化し、蛍光標識された被測定物に励起光を入射する。この場合、蛍光標識された被測定物に励起光が入射された時には、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光は光チョッパ304により遮断される。そして、所定時間経過後、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光は、図10の光チョッパ304のスリット1004、スリット1005及びスリット1006を通過する。すなわち、蛍光標識された被測定物に励起光を入射し、所定時間経過後から蛍光標識された被測定物
が発生する蛍光を検出することができる。
【0050】
また、パルス化された励起光が蛍光標識された被測定物や被測定物搭載基板305に反射して、蛍光検出用光ファイバ303の先端に入射される場合がある。この場合、被測定物や被測定物搭載基板305に反射した励起光が蛍光検出用光ファイバ303から光検出器306に入射される。図10に示す光チョッパ304を使用して励起光をパルス化し、蛍光標識された被測定物に励起光を入射した場合、被測定物に反射した励起光を光チョッパ304により遮断することができる。そのため、本実施形態によれば、標識剤が発生する蛍光のみを検出することができる。その結果、本実施形態によれば、S/N比の大きい高感度の検出が可能である。
【0051】
本実施形態の光チョッパ304に設けられた各スリットの位置により、励起光源用光ファイバ302を通過する励起光を遮断する時間幅及び時間間隔を制御することができる。その結果、蛍光標識された被測定物に入射する励起光の時間幅や時間間隔を制御することができる。
【0052】
また、本実施形態の光チョッパ304の回転数により、励起光源用光ファイバ302を通過する励起光を遮断する時間幅及び時間間隔を制御することができる。その結果、蛍光標識された被測定物に入射する励起光の時間幅や時間間隔を制御することができる。
【0053】
また、本実施形態の光チョッパ304に設けられたスリットの位置により、蛍光検出用光ファイバ303を通過する励起光を遮断する時間幅や時間間隔を制御することができる。その結果、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光の検出開始時間を制御することができる。また、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光の時間幅や時間間隔を制御することができる。
【0054】
したがって、本実施形態の光チョッパ304によれば、励起光源用光ファイバ302を通過する励起光の通過期間と蛍光検出用光ファイバ303を通過する蛍光の通過期間との相対的な関係を制御することが可能となる。励起光源用光ファイバ302を通過する励起光の通過期間を制御することで、パルス化された励起光が励起光源用光ファイバ302を通過する時間幅、パルス化された励起光が励起光源用光ファイバ302を通過する時間間隔及び蛍光の通過期間との時間間隔が制御される。蛍光検出用光ファイバ303を通過する蛍光の通過期間を制御することで、パルス化された蛍光が蛍光検出用光ファイバ303を通過する時間幅、パルス化された蛍光が蛍光検出用光ファイバ303を通過する時間間隔及び励起光の通過期間との時間間隔が制御される。
【0055】
図14から図18に、光ファイバの先端の構成例を示す。図14に示すように、光ファイバ1401の先端が凸状に形成されている。例えば、球面加工やテーパ先球加工により、光ファイバ1401の先端を凸状に形成する。光ファイバ1401の先端が凸状に形成されることにより、励起光を集光して出射することができる。そして、励起光を集光して出射することにより、微小な被測定物に対して励起光を効率的に入射させることができる。
【0056】
また、光ファイバ1401の先端が凸状(円筒先端に凸レンズを形成した構造)に形成されることにより、入射される蛍光を集光することができる。さらに、光ファイバ1401の先端形状の曲率を変更することにより、光ファイバ1401から出射される励起光の集光位置を任意に設定することができる。また、図14では、光ファイバ1401の先端を凸状に形成したが、光ファイバ1401の先端を凹状(円筒先端に凹レンズを形成した構造)に形成してもよい。
【0057】
また、励起光用の光ファイバ1401を通常よりも細く形成してもよい。例えば、励起光用の光ファイバ1401を蛍光用の光ファイバ1401よりも細く形成してもよい。励起光用の光ファイバ1401を細く形成することにより、出射する励起光の集光率を高めることができる。また、蛍光用の光ファイバ1401を通常よりも太く形成してもよい。例えば、蛍光用の光ファイバ1401を励起光用の光ファイバ1401よりも太く形成してもよい。蛍光用の光ファイバ1401を太く形成することにより、入射される蛍光の集光率を高めることができる。
【0058】
また、図15に示すように、光ファイバ1401の先端に広がり角度調整部材1501を設けてもよい。例えば、広がり角度調整部材1501として、マイクロレンズ、非球面レンズ、ロッドレンズ、プリズム及び集積化光導波路などを用いる。光ファイバ1401の先端に広がり角度調整部材1501を設けることにより、出射する励起光の集光率を高めることができる。また、光ファイバ1401の先端に広がり角度調整部材1501を設けることにより、入射される蛍光の集光率を高めることができる。
【0059】
また、図16に示すように、光ファイバ1401の先端の外周面を金属膜1601でコーティングしてもよい。さらに、図17に示すように、光ファイバ1401の先端の外周面を金属膜1601でコーティングし、光ファイバ1401の先端が金属膜1601よりも突出したものであってもよい。また、図18に示すように、光ファイバ1401の先端の外周面を金属膜1601でコーティングし、金属膜1601が光ファイバ1401の先端よりも突出したものであってもよい。また、図14から図18に示した光ファイバ1401の先端の構成を組み合わせてもよい。
【0060】
本実施形態では、図14から図18に示した光ファイバ1401を、励起光源用光ファイバ302及び蛍光検出用光ファイバ303に適用することが可能である。
【0061】
次に、図19から図21に、本実施形態の蛍光検出装置の具体的な構成例を示す。図19に示す蛍光検出装置は、励起光源301、励起光源用光ファイバ302、蛍光検出用光ファイバ303、光チョッパ304、被測定物搭載基板305、光検出器306、光チョッパコントローラ307、パーソナルコンピュータ309、基板ホルダ310、XYステージ311、Zステージ312及びステージコントローラ313を有している。XYステージ311及びZステージ312は、被測定物が載置された被測定物搭載基板305を所定方向に移動するための試料台である。
【0062】
光チョッパ304は、光チョッパコントローラ307と接続されている。光チョッパコントローラ307は、光チョッパ304の回転を制御する。光検出器306とパーソナルコンピュータとは相互にバス308で接続されている。パーソナルコンピュータ309とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。XYステージ311とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。ステージコントローラ313は、XYステージ311及びZステージ312を制御する。
【0063】
光チョッパ304、基板ホルダ310、XYステージ311、Zステージ312及び被測定物は図示しない暗箱内に配置される。被測定物が載置された被測定物搭載基板305は、基板ホルダ310の上に配置される。基板ホルダ310は、Zステージ312の上に配置される。Zステージ312は、XYステージ311の上に配置される。
【0064】
XYステージ311は、基板ホルダ310を図19に示すX軸方向及びY軸方向に移動させる。すなわち、XYステージ311は、基板ホルダ310を水平方向に移動させる。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、基板ホルダ310の上に配置された被測定物を水平面内で任意方向(水平面内の所望の位置)に移動させることができる。
【0065】
また、Zステージ312は基板ホルダ310を図19に示すZ軸方向に移動させる。すなわち、Zステージ312は、基板ホルダ310を垂直方向に移動させる。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、基板ホルダ310の上に配置された被測定物を垂直方向に移動させることができる。
【0066】
図20に示す蛍光検出装置は、励起光源301、励起光源用光ファイバ302、蛍光検出用光ファイバ303、光チョッパ304、被測定物搭載基板305、光検出器306、光チョッパコントローラ307、パーソナルコンピュータ309、基板ホルダ310及回転ステージ314を有している。
【0067】
光チョッパ304は、光チョッパコントローラ307と接続されている。光チョッパコントローラ307は、光チョッパ304の回転を制御する。パーソナルコンピュータ309とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。回転ステージ314とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。ステージコントローラ313は、回転ステージ314を制御する。回転ステージ314は、被測定物が載置された被測定物搭載基板305を所定方向に移動するための試料台である。
【0068】
光チョッパ304、回転ステージ314及び被測定物は図示しない暗箱内に配置される。回転ステージ314は、円盤状であり、被測定物が載置された被測定物搭載基板305は回転ステージ314の上に配置される。回転ステージ314は、中心点2001を軸として右回転及び左回転を行う。回転ステージ314が回転することにより、被測定物が載置された被測定物搭載基板305を回転ステージ314の回転方向に移動させる。すなわち、被測定物は回転ステージ314の中心点2001を軸として同一円周上を移動する。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、被測定物を回転ステージ314の中心点2001を軸として同一円周上を移動させることができる。
【0069】
さらに、回転ステージ314が図20に示す矢印方向に移動することにより、被測定物が載置された被測定物搭載基板305を図20に示す矢印方向に移動させる。すなわち、回転ステージ314は、被測定物を水平方向に移動させる。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、被測定物を水平方向に移動させることができる。
【0070】
図21に示す蛍光検出装置は、励起光源301、励起光源用光ファイバ302、蛍光検出用光ファイバ303、光チョッパ304、被測定物搭載基板305、光検出器306、光チョッパコントローラ307、パーソナルコンピュータ309及ドラム型ステージ315を有している。
【0071】
光チョッパ304は、光チョッパコントローラ307と接続されている。光チョッパコントローラ307は、光チョッパ304の回転を制御する。パーソナルコンピュータ309とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。ドラム型ステージ315とステージコントローラ313とは相互にバス308で接続されている。ステージコントローラ313は、ドラム型ステージ315を制御する。ドラム型ステージ315は、被測定物が載置された被測定物搭載基板305を所定方向に移動するための試料台である。
【0072】
光チョッパ304、ドラム型ステージ315及び被測定物が載置された被測定物搭載基板305は図示しない暗箱内に配置される。ドラム型ステージ315は、円筒状であり、被測定物を載置した被測定物搭載基板305は、ドラム型ステージ315の上に配置される。
【0073】
ドラム型ステージ315は、中心点2101を軸として右回転及び左回転を行う。ドラム型ステージ315が回転することにより、被測定物をドラム型ステージ315の回転方向に移動させる。すなわち、被測定物はドラム型ステージ315の中心点2101を軸として同一円周上を移動する。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、被測定物をドラム型ステージ315の中心点2101を軸として同一円周上を移動させることができる。
【0074】
さらに、ドラム型ステージ315が図21に示す矢印方向に移動することにより、被測定物を図21に示す矢印方向に移動させる。したがって、本実施形態の蛍光検出装置によれば、被測定物を水平方向に移動させることができる。
【0075】
図19から図21に示したいずれの蛍光検出装置によっても、蛍光が入射される励起光源用光ファイバ302の位置とその位置で検出される蛍光強度との関係を計測できるようにしてもよい。この場合、蛍光が入射される蛍光検出用光ファイバ303の位置とその位置で検出される蛍光強度との関係を計測する計測プログラムをパーソナルコンピュータ309が実行することにより実現可能である。
【0076】
次に、流路の中を通過する蛍光標識された被測定物に励起光を入射し、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光を検出する蛍光検出装置の構成について説明する。図22は、流路2201を形成した被測定物搭載基板305の上面図である。被測定物搭載基板305は、箱型であり内部に空洞を有する。この場合、被測定物搭載基板305はガラスで形成されていてもよい。
【0077】
図22に示すように、被測定物搭載基板305内に流路2201が形成されている。具体的には、被測定物搭載基板305に穴を設けて、空洞を形成すればよい。ガラスの板材で箱水体を組み立ててもよい。さらに、空洞内に流路2201を形成する。また、流路2201は励起光及び蛍光が透過する材料を用いて形成する。
【0078】
被測定物搭載基板305には、パイプ2202及びパイプ2203が設けられている。パイプ2202は、流路2201の入り口と接続されている。また、パイプ2203は、流路の出口と接続されている。パイプ2202から流路2201内に液体状の被測定物が供給される。
【0079】
流路2201の入り口及び流路2201の出口には、透明電極膜2204が設けられている。そして、流路2201の入り口に設けられた透明電極膜2204と流路2201の出口に設けられた透明電極膜2204とは導電線2205を介して電気的に接続されている。導電線2205には、電源電圧が設けられている。電源電圧が導電線2205を介して流路2201内に電圧を印加する。透明電極膜2204として、例えば、金や白金などを使用する。
【0080】
流路2201内に電圧を印加した場合、流路2202内の液体状の被測定物は電気泳動により流路2201の出口まで移動する。そのため、パイプ2202から供給された液体状の被測定物は、流路2201の入り口から流路2201の出口まで移動する。そして、液体状の被測定物はパイプ2202を介して流路2201外に排出される。
【0081】
流路2201に供給する液体状の被測定物のうち特定の物質に蛍光標識剤を付着させる。そして、流路2201内を流れる液体状の被測定物に励起光を入射する。この場合、励起光源用光ファイバ302を使用して励起光を入射する。流路2201内を流れる液体状の被測定物に励起光が入射できる位置に励起光源用光ファイバ302は設置されている。この場合、励起光源用光ファイバ302の先端を流路2201の上面に設置してもよい。
また、蛍光検出用光ファイバ303の先端を流路2201の上面に設置してもよい。
【0082】
蛍光検出用光ファイバ303を使用して蛍光標識された被測定物が発生する蛍光を検出する。すなわち、蛍光標識された被測定物が発生する蛍光は、蛍光検出用光ファイバ303に入射される。そして、蛍光検出用光ファイバ303に入射された蛍光は、光検出器306により検出される。
【0083】
また、励起光源用光ファイバ302と蛍光検出用光ファイバ303との間隔dは、流速(流路2201内を流れる液体状の被測定物の流速)及び蛍光標識剤の蛍光遅延特性に基づいて決定される。本実施形態に示す流路2201を備えた被測定物搭載基板305は、図19に示す蛍光検出装置のZステージ312の上に配置してもよい。本実施形態によれば、特定の物質に付着した蛍光標識剤が発生する蛍光を検出することが可能となる。
【0084】
上記のような構成を用いることにより、本実施形態の蛍光検出装置によれば、装置の簡略化が可能となる。また、上記のような構成を用いることにより、本実施形態の蛍光検出装置によれば、装置の小型化が可能となる。
【0085】
〈第2実施形態〉
本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置を図23に基づいて説明する。本発明の第2実施形態においては、図23に示すように、励起光を被測定物搭載基板305の背面から照射し、蛍光標識された被測定物に励起光を入射してもよい。他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。そこで、同一の構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。また、必要に応じて図3から図22の図面を参照する。
【0086】
また、本発明の第2実施形態においては、必要に応じて蛍光検出用光ファイバ303を更に増やすことができる。そのため、光検出器306への蛍光の入射効率を更に向上することができる。複数本の蛍光検出用光ファイバ303を使用する場合、蛍光検出用光ファイバ303を束ねてバンドル化する。
【0087】
また、複数本の蛍光検出用光ファイバ303を使用する場合、合波器を使用する。蛍光検出用光ファイバ303を束ねてバンドル化したり、合波器を使用したりすることにより、複数本の蛍光検出用光ファイバ303を使用しても、光チョッパ304通過後の蛍光を光検出部に導くことが可能となる。例えば、光電子倍増管や半導体受光素子の受光面にバンドル化した蛍光検出用光ファイバ303を配置することができる。
【0088】
また、図23に示すように、蛍光標識された被測定物を被測定物搭載基板305の背面に配置してもよい。この場合、被測定物搭載基板305の背面に励起光を透過しない励起光カットフィルタ2301を備え付ける。励起光カットフィルタ2301を被測定物搭載基板305の背面に備え付けることにより、蛍光検出用光ファイバ303に励起光が入射されることを低減できる。被測定物搭載基板305は蛍光を透過するため、蛍光検出用光ファイバ303に蛍光が入射される。したがって、蛍光のみを検出することができる。
【0089】
図23では、被測定物搭載基板305に励起光カットフィルタ2301を備え付けた構成を示した。しかし、被測定物搭載基板305に励起光カットフィルタ2301を備え付けない構成であってもよい。
【0090】
〈第3実施形態〉
本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置を図24に基づいて説明する。本発明の第3実施形態においては、1本の蛍光検出用光ファイバ303で蛍光を検出する。他の構成及び作用は第1実施形態と同様である。そこで、同一の構成要素については、第1実施形態
と同一の符号を付し、その説明を省略する。また、必要に応じて図3から図22の図面を参照する。図24に示すように、1本の蛍光検出用光ファイバ303により蛍光を検出する。1本の蛍光検出用光ファイバ303により蛍光を検出することにより、蛍光強度を可変できる。
【0091】
また、被測定物搭載基板305の上に蛍光反射層2401を設けてもよい。蛍光反射層2401として、例えば、アルミニウム蒸着膜を用いる。被測定物搭載基板305の上に蛍光反射層2401を設けることにより、被測定物搭載基板305に励起光及び蛍光が放射されることを低減する。その結果、光検出器306が検出する蛍光強度が強くなり、高感度の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】ダイクロイックミラー2を必要とする蛍光検出装置を示す図である。
【図2】ダイクロイックミラー2を必要としない蛍光検出装置を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る蛍光検出装置の概略図である。
【図4】光ファイバの説明図である。
【図5】結合レンズの説明図である。
【図6】被測定物が発生する蛍光の蛍光強度を示す図である。
【図7】蛍光強度の変化を示す図である。
【図8】標識剤が発生する蛍光の蛍光強度と経過時間との関係を示す図である。
【図9】標識剤以外が発生する蛍光の蛍光強度と経過時間との関係を示す図である。
【図10】本実施形態の光チョッパ304の一実施例を示す上面図である。
【図11】本実施形態の光チョッパ304の一実施例を示す上面図である。
【図12】励起光及び蛍光が各スリットを通過する時間を示す図である。
【図13】励起光及び蛍光が各スリットを通過する時間を示す図である。
【図14】光ファイバの先端の構成例を示す図である。
【図15】光ファイバの先端の構成例を示す図である。
【図16】光ファイバの先端の構成例を示す図である。
【図17】光ファイバの先端の構成例を示す図である。
【図18】光ファイバの先端の構成例を示す図である。
【図19】第1実施形態の蛍光検出装置の具体的な構成例を示す図である。
【図20】第1実施形態の蛍光検出装置の具体的な構成例を示す図である。
【図21】第1実施形態の蛍光検出装置の具体的な構成例を示す図である。
【図22】流路2201を形成した被測定物搭載基板305の上面図である。
【図23】第2実施形態に係る蛍光検出装置の説明図である。
【図24】第3実施形態に係る蛍光検出装置の説明図である。
【符号の説明】
【0093】
301 励起光源
302 励起光源用光ファイバ
303 蛍光検出用光ファイバ
304 光チョッパ
305 被測定物搭載基板
306 光検出器
307 光チョッパコントローラ
308 バス
309 パーソナルコンピュータ
310 基板ホルダ
311 XYステージ
312 Zステージ
313 ステージコントローラ
314 回転ステージ
315 ドラム型ステージ
401 光ファイバ
402 メタルコート
501、502 レンズ
1001、1002、1003、1004、1005、1006、1101、1102、1103 スリット
1401 光ファイバ
1501 広がり角度調整部材
1601 金属膜
2201 流路
2202、2203 パイプ
2204 透明電極膜
2205 導電線
2301 励起光カットフィルタ
2401 蛍光反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光標識された被測定物を励起させる励起光を発生する励起光源と、
前記励起光を前記被測定物に入射する第1の光路と、
前記蛍光標識された被測定物が前記励起光により励起されて発生する蛍光を検出する検出器と、
前記蛍光を前記検出器に入射する第2の光路と、
前記第1の光路を通過する励起光及び前記第2の光路を通過する蛍光を分断し、前記励起光の通過期間と前記蛍光の通過期間との相対的な関係を制御する分断器と、
を備える蛍光検出装置。
【請求項2】
前記第1の光路は対向する接続端で互いに接続される2つの光路を有し、
前記第2の光路は対向する接続端で互いに接続される2つの光路を有し、
前記分断器は、前記第1の光路の前記対向する接続端の間および前記第2の光路の前記対向する接続端の間において光の遮断状態と通過状態とを制御する回転式の光チョッパであり、前記光チョッパの回転数を変更することにより前記相対的な関係を変更する請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項3】
前記第1の光路及び前記第2の光路は、光ファイバであり、
前記光ファイバが前記被測定物に対向する先端は凸形状である請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項4】
前記第1の光路及び前記第2の光路は、光ファイバであり、
前記光ファイバの入射口に広がり角度調整部材を設ける請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項5】
前記第1の光路及び前記第2の光路は、光ファイバであり、
前記光ファイバが前記被測定物に対向する先端の外周が金属で覆われている請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項6】
前記被測定物を所定方向に移動させる移動装置を更に備え、
前記第1の光路は、前記所定方向に移動した被測定物に前記励起光を入射し、
前記第2の光路は、前記所定方向に移動した被測定物が発生する蛍光を前記検出器に入射する請求項1に記載の蛍光検出装置。
【請求項7】
前記移動装置は、前記被測定物を搭載する円盤状の試料台を更に備え、
前記円盤状の試料台が回転又は所定方向に移動することにより前記被測定物を所定方向に移動させる請求項6に記載の蛍光検出装置。
【請求項8】
前記移動装置は、前記被測定物を搭載する円筒状の試料台を更に備え、
前記円筒状の試料台が回転又は所定方向に移動することにより前記被測定物を所定方向に移動させる請求項6に記載の蛍光検出装置。
【請求項9】
前記被測定物が通過する流路を更に備え、
前記第1の光路は、前記流路を通過する被測定物に前記励起光を入射し、
前記第2の光路は、前記流路を通過する被測定物が発生する蛍光を前記検出器に入射する請求項1に記載の蛍光検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−116395(P2008−116395A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301610(P2006−301610)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】