蛍光標識された粒子を分析するチップ・ベースのフロー・サイトメータ型システム
生物学的試料又は環境試料を処理し、分析する可搬システムばかりでなくチップ・ベースのフロー・サイトメータの異なる構成も提供される。可搬システムは、試料を蛍光標識された粒子を有する流体アッセイに処理するように構成された自動化アッセイ調製モジュールと、流体アッセイモジュールに結合された微小流体分析モジュールと含み、微小流体分析モジュールはチップ・ベースのフロー・サイトメータを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体試料を処理し、分析するシステムに関する。幾つかの実施態様は、蛍光標識された粒子を含む試料の測定を実施するように構成された、チップ・ベースのフロー・サイトメータ(flow cytometer)型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、これらがこの節に含まれることをもって従来技術であると受け取られるべきではない。
【0003】
一般に、フロー・サイトメータは、デバイスを通って流れる流体中の粒子又は細胞の1つ又は複数の特徴を測定するために光学的技法を使用するように構成されたデバイスである。この粒子又は細胞の検査は、様々な化学的及び生物学的分子に対するアッセイ試験のような幾つかの目的のために活用される。フロー・サイトメータには幾つかの利点があるが、これらのデバイスは幾つかの欠点を有する。例えば、フロー・サイトメータは一般に、その環境に対して敏感である光学的構成要素を利用する。さらには、フロー・サイトメータは典型的に、製造に時間が掛かり、動作が複雑であり、かつ高価である。これらの特徴はしばしば、フロー・サイトメータの使用を高度に訓練された技術者に限定する。しかも、幾つかの試料は、フロー・サイトメータに通して流される前に処理される必要があり、したがって、かなりの研究所施設や他の設備がアッセイの分析に必要とされることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、流体中の粒子又は細胞の特徴を測定し、かつ相対的に動作が容易であるシステムを開発することが有利である。加えて、試料流体を前処理するためにそれほど大がかりな研究所施設を必要とすることなく、このようなシステムが測定を実施できれば有益である。さらには、これらのシステムがその環境に実質的に敏感ではない構成要素を含めば有利である。しかも、このようなシステムが相対的に経済的であり、かつ製造に時間が掛からなければ有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
システム及びチップ・ベースのフロー・サイトメータの様々な実施態様に関する以下の説明は、いずれの様態においても、添付された特許請求の範囲の主題を限定していると考えられるべきではない。
【0006】
生物学的試料又は環境試料を処理し、分析するシステムの実施態様が、試料を蛍光標識された粒子を有する流体アッセイに処理するように構成された自動化アッセイ調製モジュールと、この自動化アッセイ調製モジュールに結合された微小流体分析モジュールとを含み、その微小流体分析モジュールはチップ・ベースのフロー・サイトメータを含む。
【0007】
流体試料を分析するシステムの実施態様が、磁性粒子を有する流体試料を本システムに通して経路指定する流路と、磁性粒子が流体試料の所定の領域内を流れるように、流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段とを含む。
【0008】
流体試料を分析するシステムの別の実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料を本システムに通して経路指定する流路と、光を流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを含む照明サブシステムとを含む。本システムは、磁性粒子から放出された蛍光を集めるように構成された非球面ミラーと、集光された蛍光を分析する試験システムとを有する測定サブシステムをさらに含む。
【0009】
チップ・ベースのフロー・サイトメータの実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料を受け入れる第1の入力導管と、シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバとを含む。流体フロー・チャンバは、シース流体の内部に閉じ込められた試料流体を有する流体ストリームを生成するように構成され、流体ストリームは、この流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを有する。
【0010】
チップ・ベースのフロー・サイトメータの別の実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料をフロー・サイトメータに通して経路指定する流路を含む。加えて、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、光源システム内部の個々の光源が光を検査領域内の異なるスポットに向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを有する照明サブシステムを含む。さらには、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、異なるスポットのそれぞれにおいて磁性粒子から放出された蛍光光が集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成された集光システムと、集光された蛍光を分析する試験システムとを有する測定サブシステムを含む。
【0011】
本発明の他の利点が、好ましい実施形態の以下の詳細な説明の助けで、かつ添付の図面を参照すると当業者には明白になりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明には様々な変更及びに別の形態の余地があるが、本発明の特定の実施形態は、図面に例示として示されており、本明細書で詳細に説明される。図面は、尺度に合わせたものではない。図面及びそれに対する詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定しようとするものではなく、反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨及び範囲内に入るすべての変更、均等物、及び別法によるものを網羅しようと企図されていることが理解されるべきである。
【0013】
ここで図面に注目すると、流体試料を処理し、分析するシステムが提供されている。一般に、本明細書で説明されるシステムは、限定されるものではないが、体液、環境試料、及び/又は生物学的組織や物質を含む試料を処理し及び/又は分析するために使用される。さらには、以下で詳細に説明されるように、本明細書で説明されるシステムは、蛍光標識された粒子が内部に注入された試料を処理するように構成される。幾つかの実施形態では、粒子が磁性を有する。図面は必ずしも尺度にしたがって描かれているわけではないことに留意されたい。特に、幾つかの図面における幾つかの要素の尺度は、これらの要素を強調するために大幅に誇張されている。加えて、図は同じ尺度で描かれていないことにさらに留意されたい。同様に構成される2つ以上の図面に示される要素は、同じ参照数字を使用して示されている。
【0014】
図1は、流体試料を処理し、分析する典型的な可搬システムを例示する。一般に、本明細書で説明される可搬システムは、処理モジュールと、分析モジュールと、支援モジュールとを含む。支援モジュールは、限定されるものではないが、流体工学的装置、流体貯蔵装置、電源、コンピュータ・ハードウェア(及びソフトウェア)、表示装置、人間とのインターフェースを含む。図1は、蓋が開けられた可搬システム12を例示し、本システムの基部と蓋内部のモジュールの典型的な仕分け及び配置を例示する。しかし、本明細書で説明される可搬システムは、必ずしもそれに限定されるものではないことに留意されたい。特に、図1を参照して説明されるモジュールよりも少ないか又は多いモジュールを有する他の可搬システムも考えられる。加えて又は別法として、可搬システム12を参照して説明される1つ又は複数のモジュールが、その他のモジュールに対して異なる位置に配置されてもよい。例えば、幾つかの場合では、可搬システム12は、本システムの蓋の中に異なるモジュールを含んでよく、又は含まなくてもよい。他の場合では、可搬システム12は蓋を含まなくてもよい。いずれの場合でも、本明細書に説明されるシステムの「可搬性」とは、使用者によって運搬されるシステムを指す。
【0015】
図1に示されているように、可搬システム12は、コンピュータ1、表示装置2、蓄電池3、人間とのインターフェース9を含み、これらのすべてが、対応するデバイスに関して当業で知られた任意適切な構成要素を含む。幾つかの場合は、コンピュータ1は、微小流体分析モジュール5によって採取された測定値(例えば、蛍光測定値、光散乱測定値など)を、試料中に存在する検体の量を反映する値に変換するために使用される。加えて又は別法として、コンピュータ1を使用して、限定されるものではないが、処理モジュール6及び微小流体分析モジュール5の内部にある構成要素のような、可搬システム12の内部にある他の構成要素の動作を制御することができる。いずれの場合においても、表示装置2を使用して、測定値及び/又は変換値を使用者に提示することができる。蓄電池3を含むことに加えて又は別法として、可搬システム12にAC/DC変換器が装備されてもよい。人間とのインターフェース9は、流体の処理又は分析の開始を制御し、及び/又は分析時に獲得される測定値を動作するように構成される。さらに示されているように、図1では、可搬システム12が、試薬カートリッジ貯蔵部4、処理モジュール6、微小流体分析モジュール5、シース流体モジュール7、ポンプモジュール8を含むことが可能であり、これらのそれぞれが、本明細書にさらに説明されるように構成可能である。幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムは、本システムが異なる用途に使用されるように交換可能な1つ又は複数の互換性のあるモジュールを含んでもよい。本明細書に説明される実施形態の可能な用途には、限定されるものではないが、医学的な診断デバイス又は環境生物学的な試料抽出器が含まれる。本実施形態のモジュール的性質は、1つの用途から別の用途に容易かつ経済的な再構成を可能とする
【0016】
幾つかの実施形態では、微小流体分析モジュール5が、高度に集積されたチップ・ベースのフロー・サイトメータを含む。さらに詳細には、微小流体分析モジュール5は、半導体デバイスとして製造される以下の構成要素の一部又は全部の固定構成を含む。それらは、微小流路、光増倍管、アバランシェ・フォトダイオード、ピン・フォトダイオード、磁気変換素子、光学フィルタ、レンズ、ミラー、共鳴器、光利得媒体を含み、さらに、発光ダイオード、共振空洞発光ダイオード、ダイオード・レーザ、垂直共振器表面発光ダイオード・レーザ、燐光物質、放射性物質、プラズマ、音響源のような励起源をも含む。微小流体分析モジュール5に関する構成要素の典型的な構成が図2に例示されている。特に、図2は、流体流路、流体集束構成要素、集光要素が半導体基板10の内部に固定配置される微小流体分析モジュール5の実施形態を例示する。幾つかの実施形態では、微小流体分析モジュール5は、光源(例えば、図2の光源14、16)と、相互にかつ半導体基板10に対して固定配置された光学構成要素(例えば、図2のビーム分割器18)とを含む。別の場合では、光源14、16及び/又はビーム分割器18は、半導体基板10の内部に一体化される。
【0017】
一般に、微小流体分析モジュール5のチップ・ベースのフロー・サイトメータは、このフロー・サイトメータを通って流れる流体の内部に注入される蛍光標識された粒子の1つ又は複数の特徴を測定するように構成される。さらに詳細には、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、試料内部の粒子によって放出された蛍光を測定し、この測定値を使用して粒子に関連する試薬の存在を判定するように構成される。この試薬の存在又は非存在に基づいて、本システムは、試料中の1つ又は複数の検体の存在又は非存在を判定することが可能であり、また試料内部の濃度のような1つ又は複数の検体の他の特徴を判定することもできる。幾つかの場合では、粒子の光散乱特徴が、試料内部の検体存在/非存在及び/又は粒子の分類を判定するために、チップ・ベースのフロー・サイトメータによって追加的に測定される。
【0018】
一般に、本明細書で使用される「粒子」という用語は、化学的、生物学的、環境アッセイの分析に使用される任意の基質を指し、限定されるものではないが、キナーゼ活性を含む対象となる検体の定性化及び/又は定量化のために、分子反応を起こし及び/又は支えるために使用される分子を特定的に指す。さらには、「粒子」という用語は、限定されるものではないが、約1nmと約300μmとの間の寸法を有する粒子のような、広範なサイズの粒子を指す。したがって、「粒子」という用語は、限定されるものではないが、粒子、ビード、ポリスチレン・ビード、微小粒子、金のナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、複合粒子(例えば、金属−重合体粒子又は磁鉄鉱−重合体粒子)、ナノシェル、ナノロッド、ナノチューブ、ナノビード、ラテックス粒子、ラテックス・ビード、蛍光ビード、蛍光粒子、着色粒子、着色ビード、組織、細胞、微小有機体、胞子、有機物、任意の非有機物、又はこれらの任意の組合せを含む、幾つかの異なる物質と構成を指す。したがって、このような用語のいずれもが本明細書で使用される「粒子」という用語と互換性がある。
【0019】
近年の技術革新により、区別可能な担体粒子の使用によって多アッセイの同時分析が可能になった。このようなアッセイシステムの1つの例が、テキサス州オースティン(Austin)市所在のルミネックス・コーポレーション社(Luminex Corporation)から市販されているxMAP(登録商標)技術である。xMAP技術は、1つ又は複数のアッセイ特有の試薬が表面上に塗布される(例えば、粒子の表面上に1つ又は複数の官能基を結合することによって)染色された粒子の系を使用する。粒子プラットフォーム(particle platform)には、蛍光によって区別可能な粒子の異なるセットが使用される。例えば、粒子のセットは、蛍光の波長、蛍光の強度、異なる波長における蛍光の強度比率などによって区別可能である。一般に、蛍光の様々な種類が、粒子に組み込まれた異なる染料及び/又は蛍光体によって一体化され、及び/又は粒子の表面に結合される。幾つかの実施形態では、粒子のセットは、サイズ及び/又は形状によって追加的に区別可能である。いずれの場合においても、区別可能な担体粒子を有する粒子プラットフォームは、それが流体に基づく動態学的特徴を使用して幾つかの異なる検体をアッセイ特有の試薬に結合するので一般に有利である。特に、これらの粒子を使用して試料中の100を超える異なる検体を試験することができる。
【0020】
一般に、粒子の異なるセットのそれぞれが、粒子に結合された異なる試薬を有する。異なる試薬は、流体試料中の異なる検体と選択的に反応する。換言すれば、異なる試薬のそれぞれが、試料中の1つの検体と反応できるが、その試料中の他のいかなる検体とも実質的に反応することができない。幾つかの場合では、1つ又は複数の追加的な検出可能な試薬は、1つ又は複数の検体との反応が許容される。この1つ又は複数の追加的な試薬は、蛍光(例えば、蛍光の波長、蛍光の強度など)によって検出可能(恐らく区別可能)である。増強された反応動態学的特性に加えて、複合化された粒子プラットフォームの使用によって、有利なことに、使用者は、パネルにおいて実施されているテストを変更するために、試料が暴露される粒子集団に対して、粒子の1つ又は複数のサブセットを簡単に追加又は除去することが可能になる。
【0021】
図2に戻ると、フロー・サイトメータの動作は、アッセイが実施されている試料を入力導管22の中に導入することを含む。試料は、照明される前に、幾つかの実施形態で、図2に示されているように流体フロー・チャンバ24の中のシース流体と組み合わされる。シース流体は、シース流体モジュール7からポンプモジュール8によって汲み上げられ、入力導管26を通って分析モジュールに入り、かつシース流体流路28を通って流体フロー・チャンバ24に流れる。したがって、試料流体とシース流体は、別個の入力口に通してフロー・サイトメータの中に注入される。2つの流体は流体フロー・チャンバ24の中で合流する。このチャンバは、試料流体を包囲するシース流体を含む流体ストリームが生成されるように構成されている。流体フロー・チャンバ24の典型的な構成が、図3に例示されている。しかし、限定されるものではないが、流体力学的集束、界面動電的集束、音響波集束、磁気集束を含めて、他の流体組合せ技法が、本明細書に説明されるシステムに使用可能であることに留意されたい。したがって、本明細書に説明されるシステムは、必ずしも図2及び3の図示に限定されるものではない。例えば、微小流体分析モジュール5のフロー・サイトメータに追加的に又は別法として使用される流体組合せデバイスが、流路20、28の接合境界面に配置される流体力学的キュベットである。このキュベットは、試料ストリームの高度に均一な集束と閉込めを、キュベットの軸に直交して位置するすべての方向で実施することができる。
【0022】
図3に示されているように、流体フロー・チャンバ24は、垂直及び水平の両方向で試料流体をシース流体の内部に閉じ込めるように構成される。このような様態で、シース流体は、試料流体をすべての側から包囲することができる。この物理的な閉込め技法は、試料流体を流体フロー・チャンバ24から生成されたストリームのほぼ中心に閉じ込め、幾つかの場合では、試料流体をその以前の直径の何分の1かに細める。試料流体の直径を小さくすることによって、この流れの中の粒子が、流体流路に沿ってより遠く引き離され、より容易な検査を可能にする。しかし、フロー・サイトメータ内部に固定チップ・ベースの構成要素を組み込むことによって、相対的に幅広い流体ストリームに関してさえも顕著な測定精度を与えることが判明した。したがって、流体フロー・チャンバ24は、試料流体の直径を細くする程度が従来システムにおけるよりも低いように構成される。例えば、流体フロー・チャンバ24は、流路25内部の試料流体の直径を流路20内部の直径の1/10未満、又はより詳細には、流路20内部でその直径の約1/5に小さくなるように構成可能である。試料流体をより小さく細めると、有利なことに、必要とされるシース流体の量を削減して、費用及び廃棄物を減少させることができる。
【0023】
流体フロー・チャンバ24の閉込め適合性を説明する別の様態は、試料流体を生成するように構成される流体ストリーム内部における試料ストリームの典型的な寸法を特定することである。例えば、流体フロー・チャンバ24は、試料流体が、流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向へ約80ミクロンまでの第1の寸法(すなわち、流体の流れがx−方向にあるとき、z−方向に約80ミクロンまでの第1の寸法)を有するように構成可能である。さらには、流体フロー・チャンバ24は、試料流体が、流体ストリームの流れに対して直交する水平方向へ約25ミクロンまでの第2の寸法(すなわち、流体の流れがx−方向にあるとき、y−方向に約25ミクロンまでの第2の寸法)を有するように構成可能である。しかし、試料流体に関するより大きな又はより小さい寸法も、フロー・サイトメータの設計仕様に応じて考えられる。
【0024】
いずれの場合においても、流体フロー・チャンバ24で生成される流体ストリームは、図2及び3に示された流路25を通って流れる。さらに詳細には、流体フロー・チャンバ24から生成される流体ストリームは、図2の流路25に沿って集光要素30として示された、フロー・サイトメータの光検査領域に流れる。光検査領域を通過した後、組み合わされた試料とシース流体は、出口32を通って分析モジュールを出る。幾つかの実施形態では、流体流路25は取り外し不可であるように構成される。換言すれば、可搬システム25は、使い捨てではない流体流路を含む。対照的に、既存のチップ・スケール技術における流体流路は、流体流路が使い捨て可能であるように取り外し可能な基板の中に形成されるように設計される。したがって、本明細書に説明される実施形態の顕著な特徴構造は、流体流路が取り外し可能でもなく、また使い捨て可能でもないことである。幾つかの実施形態では、生成された流体ストリームの試料流体を流体流路25の所定の位置に配置することが有利である。さらに詳細には、フロー・サイトメータの最適動作のために、光が粒子に向かって誘導され、かつ発光が粒子から集光される角度が予想可能であるように、流路25中の相対的に予測可能な位置(例えば、流体流路のほぼ中心)に配置された試料流体の内部に粒子を有することが有利である。
【0025】
流路25の所定位置内における粒子の配置に適応するために、本明細書に説明されるシステムは、幾つかの実施形態で、図2に示された流路25の少なくとも一部に沿って磁界を含む手段27を具備する。例えば、微小流体分析モジュール5のフロー・サイトメータは、流体流路25の回りに巻かれたソレノイド・コイルを含む。本明細書に説明されるシステムは、必ずしもこのような磁界誘導機構に限定されるものではないことに留意されたい。特に、流路25の少なくとも一部に沿って磁界を誘導する他の手段が、追加的に又は別法として使用されてもよい。いずれの場合においても、手段27は、幾つかの実施形態で、流路25全体に沿って(すなわち、流体フロー・チャンバ24と出力32との間に)延びる。さらに他の実施形態では、手段27が流体流路25の限定区域に沿って延びてもよい。例えば、手段27は、幾つかの実施形態で、流体フロー・チャンバ24の間に、かつ集光要素30によって示された検査領域を通って延びる流体流路25の一部に制約される。さらに他の実施形態では、手段27は、幾つかの実施形態で、検査領域の直近にかつその領域を含むような、流体流路25のより短い部分に制約される。いずれの場合においても、手段27は、幾つかの実施形態で、流体流路25の周囲に磁界を生成するように構成される。別法として、手段27は、流体流路25の円周よりも小さい周囲に沿って磁界を生成するように構成されてもよい。
【0026】
上で留意したように、シース流体によって包囲された試料流体は、流体フロー・チャンバ24から流体流路25の光検査領域に流れる。光検査領域では、光源14、16が試料流体を照明する。試料流体内部の粒子によって放出された蛍光は、集光要素30によって集光され、発光に関して予想された角度で基板10に対して固定配置されるフロー・サイトメータの1つ又は複数の検出器に誘導される。したがって、流体流路25の光検査領域は、光ビームによって照明される流体流路に沿った位置と、集光要素が光(例えば、蛍光、散乱光、又はその何らかの組合せ)を集光する流体流路に沿った位置とによって決まる。図2に示されたように、光源14、16からの光は、相互に離間されている、流体流路25に沿った異なる位置に誘導される。このような位置は、本明細書では検査スポットと呼ばれる。検査スポットは、フロー・サイトメータの設計仕様に応じて任意適切な間隔を含む。
【0027】
多検査スポットに便利であるように、フロー・サイトメータは、幾つかの実施形態で、図2のビーム分割器18の具備で示されたように、1つ又は複数の光源14、16と流体流路25との間にビーム分割器を有する。一般に、ビーム分割器18は、光を2つ以上の異なる光ビームに分割するように構成される1つ又は複数の任意適切な光要素を含む。したがって、ビーム分割器18は、図2に例示されたように光を3つのビームに分割する図に制約されない。さらには、図2に示されたサイトメータは、光源14に対してビーム分割器18を使用することに限定されない。特に、フロー・サイトメータは、追加的に又は別法として、光源16から誘導された光を分割するように位置決めされたビーム分割器を含む。幾つかの実施形態では、フロー・サイトメータの内部に多光源を、特に、各検査スポットに1つの光源を含むことが有利である。したがって、幾つかの場合では、フロー・サイトメータはビーム分割器を含まなくてもよい。特に、チップ・ベースのフロー・サイトメータ内部のデバイス構成要素を小型化することにより、フロー・サイトメータの検出器は、特定の流路の蛍光を適切に測定するために検査スポットから全発光を集光する必要がある。その結果として、フロー・サイトメータは、各検査スポットに異なる光源を含むことに加えて、各検査スポットに異なる検出器を含む。さらには、フロー・サイトメータは、限定されるものではないが、ミラー、レンズ、及び/又はフィルタを含む光学構成要素の異なるセットを各検査スポットに含む。本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の典型的な配置が図4に示されており、以下にさらに詳細に説明される。
【0028】
いずれの場合においても、図2は、そこに示されたフロー・サイトメータには2つの光源が含まれることを示すが、フロー・サイトメータはその照明サブシステムの内部に任意の数の光源を含んでよいことが理解されるべきである。限定されるわけではないが、発光ダイオード(LED)、レーザ、アーク灯、光ファイバ照明器、電球、白熱灯、又は当業で知られた他の任意適切な光源のような、任意適切な光源がフロー・サイトメータの内部で使用可能である。さらには、1つ又は複数の光源は、単色光、多色光、広帯域光、又はその何らかの組合せを放出するように構成される。さらには、1つ又は複数の光源からの光は、任意適切な方向へ(例えば、光源の適切な位置決めによって、及び/又は適切な光誘導光学要素の使用によって)流体流路25に誘導される。したがって、図2が、光を実質的に両方向から流体流路25に向かって誘導する光源14、16を例示するが、本明細書に説明されるシステムは、必ずしもそのように限定されるものではない。
【0029】
上で留意されたように、図4は、本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の典型的な配置を例示する。この典型的な配置は、4つの分離した集光要素42と4つの分離した検出器44とに実質的に垂直に位置合わせされる4つの光源38を含む。換言すれば、集光要素42は、光源38からの光が誘導される方向に対して実質的に直交する方向に沿って、試料流体の内部の粒子から放出された光を集光するように配置される。集光要素42は1つ又は複数の屈折光学要素を含むが、これらのそれぞれが、流体流路に沿った対応する位置から蛍光発光され及び/又は散乱された光を集光するように構成される。検出器44は、限定されるものではないが、シリコン・アバランシェ・フォトダイオードのような任意適切な検出器を含む。幾つかの場合では、光源38のそれぞれが、実質的に同じ波長を有する光を放出するように構成可能である。しかし他の実施形態では、1つ又は複数の光源38が、光源38の他の光源によって放出された光とは異なる波長で光を放出するように構成される。
【0030】
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムは、集光要素42と検出器44との間の中に位置決めされたフィルタ48を含む。フィルタ48は、限定されるものではないが、検出器44によって検出された光の1つ又は複数の波長を限定するように構成されるスペクトル・フィルタのような、当業で知られた任意適切な光学要素を含む。図4でさらに示されたように、典型的な配置は、照明光学要素50を含む。照明光学要素50は、当業で知られた任意適切な屈折光学要素を含む、幾つかの屈折光学要素を含む。照明光学要素50の屈折光学要素のそれぞれが、半導体光放出体の光源38によって生成された光ビーム52の1つをコリメートするように構成される。この様態で、光ビームは、相互に実質的に平行な方向に沿って流路25に誘導される。図4は構成要素の4つのセットを含むように示されているが、本明細書に説明されるシステムは任意適切な数の構成要素のセットを含んでよいことが理解されるべきである。
【0031】
図5は、本明細書で90度軸外れ照明と呼ばれる構成を使用する、本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の異なる典型的な配置を例示する。このような構成では、本システムは、光源38が流体流路に光を誘導するように構成される角度から約90度である角度で光を流体流路25に誘導するように構成された光学要素を含む。別法として、光源38は、流体流路25に対して90度の角度で光を誘導するように配置される。さらに具体的には、流体流路と、光の90°側方散乱成分が光検査方法で集光され検出されるように集光要素42と検出器44を含む光学スタックとの両方に対して実質的に直交する方向で、光源38から誘導された光が流体流路25に当たるように、ミラー又は他の適切な光学要素が配置される。このような構成を例示するために、図5はx−z平面に沿った構成要素の典型的な配置を示すが、そこでは流路25中の流体ストリームがx−方向にあり、かつ光学要素と検出器の位置が流路25に対してz−方向にある。このような実施形態では、1つ又は複数の光源は流路25に対してy−方向へ配置され、したがって図5には示されていない。さらに正確に言えば、図5のページから出てくる、1つ又は複数の光源から誘導された光ビーム54が示されており、90度軸外れ照明を示す。図5は単一セットの構成要素を例示するが、本明細書に説明されるシステムは、図4に示された構成に関して説明されたように、任意適切な数の個別セットの構成要素を含んでよいことが理解されるべきである。
【0032】
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるフロー・サイトメータは、蛍光発光され及び/又は散乱された光を集めるための非球面ミラーを含む。特に、非球面ミラーは、集光された光を検出器が検出できる光の範囲内の水準に有利に歪めることができる。さらに具体的には、検出器の検出範囲は、一般にチップ・ベースのフロー・サイトメータ中の他のデバイスと同じ様態で縮小可能ではなく、したがって、集光された光を検出器の能力内にある範囲に変更するために非球面ミラーを組み込むことが有益である。幾つかの実施形態では、非球面ミラーは、不要な波長の除去を補助するために抗反射性被覆(ARC)で被覆可能であり、集光された光の信号対雑音比を向上させる。幾つかの実施形態では、散乱光ではなく蛍光発光を反射するように構成されるARCが使用される。他の実施形態では、蛍光発光に加えて散乱光を反射するように構成されるARCが使用される。このような構成は、ARCが反射するように構成される波長範囲によって促進される。図5に示されたように、非球面ミラー56は、集光要素42に対向する流体流路25、フィルタ48、検出器44の側に配置される。このような様態で、非球面ミラー56は、フロー・サイトメータによって集光された光の量を増大させることが可能である。図4を参照して説明された構成要素の構成も非球面ミラーを含んでもよいことに留意されたい。
【0033】
励起に対応して、試料流中の粒子は蛍光発光し、それによって試料流体を有する以下の物質、すなわち、限定されるものではないが、粒子同定染料、酵素、タンパク質、アミノ酸、DNA、RNA、抗体、抗原を含む物質の少なくとも1つの存在を知らせる。直接的な蛍光を標識として使用することに加えて、磁界の存在を利用して粒子の励起又は粒子からの発光をさらに変調することができる。分析モジュールの1つの有利な特徴構造は、この分析モジュールの多流路によって生成された出力を使用して実時間で蛍光粒子を測定又は「読み取り」かつ分類する能力である。
【0034】
幾つかの実施形態では、試料が流体流路25中の検査領域を通って流れるときに照明に対する粒子の応答をゲート制御することによって、測定を実施するように構成可能である。例えば、試料が分析モジュールの光検査領域を通って流れるとき、照明に対する粒子の応答をゲート制御することが、集光要素及び1つ又は複数の検出器を使って、蛍光及び/又は散乱光を集光しかつ検出して、1つ又は複数の検出器の出力を所定の閾値に比較することによって実施可能である。出力が所定の閾値を超えれば、本システムは、細粒が蛍光及び/又は散乱光を発生させ、したがってこの細粒が検査領域を通過していると判定することができる。よって、細粒に対応する蛍光及び/又は散乱光は記録されるか、又は本システムによって処理される(例えば、実時間の分類のために処理される)。
【0035】
別の実施形態では、本システムは、流体流路25の検査領域を通って流れる単一の粒子と、実質的に同時に検査領域を通って流れる多粒子とを区別することによって測定を実施するように構成される。例えば、分析モジュールの1つ又は複数の検出器によって検出された散乱光は、1つ又は複数の光源によって照明される粒子の容積に概ね比例する。したがって、1つ又は複数の検出器の出力を使用して、光検査領域内にある粒子の直径及び/又は容積を求めることができる。さらには、1つ又は複数の検出器の出力と粒子の既知のサイズ若しくは容積を使用して、積み重ね合わされるか、又はほぼ同時に光検査領域を通って流れている2個以上の細粒を同定することができる。したがって、このような粒子は、他の試料粒子や較正粒子から区別される。さらには、試料粒子や較正粒子が異なるサイズを有する場合には、1つ又は複数の検出器の出力を使用して、試料粒子と較正粒子とを区別することができる。
【0036】
上で留意されたように、可搬システム12は、幾つかの実施形態で、処理モジュール6を含む。このようなモジュールは一般に、試料が微小流体分析モジュール5に導入される前に試料を処理するように構成される。この処理には、粒子サイズ濾過、遠心処理、検体単離、検体増幅、試料洗浄、細胞溶解、凝固因子中和、pH調節、温度サイクル、試薬混合、アッセイ反応のいずれか1つ又は複数の処理が含まれる。他の処理工程も考えられうる。処理モジュール6に使用されるシステムの典型的な構成が図6〜9に例示されており、以下にさらに詳細に説明される。このようなシステムを支えるために使用される典型的な構成要素が図10〜11c及び16〜18に例示されている。さらには、このような処理モジュールを動作させる方法が、図12〜15の流れ図に概説されている。さらに他の実施形態では、可搬システム12は処理モジュール6を含まなくてもよい。このような場合では、可搬システム12は、生の試料(すなわち、前処理されていない試料)又は可搬システム12とは関わりなく前処理されている試料を分析するように構成される。
【0037】
図6は流体アッセイ調製システム51の模式図を例示し、図7は流体アッセイ調製システム51のための典型的な構成の斜視図を例示する。図6、7に示されているように、流体アッセイ調製システム51は、流体試料をシステム51に導入するための試料入口53を含む。幾つかの実施形態では、流体アッセイ調製システム51は、入口53に導入される前に試料を処理するための試料前処理システム54を含む。この前処理システムは、図13を参照して以下に説明される工程のいずれか又はいずれかの状態変態工程を実施するように構成される。例えば、気体試料を液体に凝縮するために濡壁サイクロンが考えられる。流体アッセイ調製システム51は、それぞれに異なる試薬が充填された複数の容器を含む試薬パック56をさらに含む。試薬パック56はまた、システム51によって実施された流体アッセイ調製からの廃棄物ストリームを受け入れるための1つ又は複数の容器を含む。図6で留意された試薬は典型であり、流体アッセイ調製システム51は必ずしもそのように限定されるものではないことに留意されたい。試料の処理では、試薬パック56は、試薬パック入れ64(図7に示す)の内部に配置されて多口弁58に結合され、この弁は次ぎに流体管路によって反応容器60に結合される。さらに、入力53が多口弁58に結合される。別法の実施形態では、流体アッセイ調製システム51は、試薬パック56の容器及び/又は入力53にそれぞれ結合された1つ又は複数の個別弁を含む。いずれの場合でも、試薬パック56は、処理モジュール6によって使用される前に、可搬システム12の試薬貯蔵モジュール4の内部に貯蔵される。
【0038】
図6、7に示されたように、流体アッセイ調製システム51は、制御電子機器66と、多口弁58に結合されたポンプ62とをさらに含む。別法として、流体アッセイ調製システム51は、可搬システム12のポンプモジュール8を使用することができる。どちらの場合でも、制御電子機器66、ポンプ62又はポンプモジュール8、多口弁58は、入力53の内部に導入された試料と試薬パック56内部の試薬とが、好ましくは流体アッセイ調製処理中の別の段階で、反応容器に導入されかつそこから引き出されるように一括構成される。反応容器60に対する出入りの典型的な経路指定のさらに詳細な説明が、以下で図12〜15を参照して行われる。
【0039】
図7に示されたように、流体アッセイ調製システム51は、制御電子機器66に結合された記憶媒体68をさらに含む。一般に、記憶媒体68は、限定されるものではないが、図12〜15に示された流れ図を参照して以下に説明される工程のような、流体アッセイの調製を自動化するためにプロセッサによって実行可能であるプログラム命令を含む。記憶媒体には、限定されるものではないが、読取り専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気若しくは光ディスク、又は磁気テープが含まれる。プログラム命令は、とりわけ、プロシージャ・ベースの技法、コンポーネント・ベースの技法、及び/又はオブジェクト指向の技法を含む様々な方式のいずれかで実装される。例えば、プログラム命令は、所望であれば、アクティブXコントロール、C++オブジェクト、ジャバビーンズ、マイクロソフト・ファウンデーション・クラス(「MFC」)、又は他の技術若しくは方法を使用して実装されてもよい。幾つかの実施形態では、記憶媒体68は、プログラム命令を実行するためのプロセッサを含む。しかし、他の実施形態では、記憶媒体68は、プロセッサに結合されるように構成される(例えば、伝送媒体によって)。どちらの場合においても、プロセッサは、パーソナル・コンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、ワークステーション、ネットワーク・アプライアンス、インターネット・アプライアンス、携帯情報端末(PDA)、デジタル信号処理(DSP)、書替え可能ゲート・アレイ(FPGA)、又は他のデバイスを含めて、様々な形態を取りうる。一般に、「コンピュータ・システム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ又は複数のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義される。記憶媒体68は、接続が固定又は切離し可能でもよいことを示すために、図7の点線によって、制御電子機器66に結合された状態で示されていることに留意されたい。
【0040】
幾つかの実施形態では、流体アッセイ調製システム51は多試料動作用に構成され、したがって再使用可能である。特に、流体アッセイ調製システム51は、同じか又は異なる構成のアッセイを含めて、多流体アッセイを調製するように構成される。他の実施形態では、流体アッセイ調製システム51は単一使用動作用に構成され、したがって使い捨てであるように構成される。どちらの場合でも、試薬パック56は、単一又は多使用動作用に構成可能である。したがって、試薬パック56は、使い捨て(すなわち、単一流体アッセイが調製された後で廃棄される)であるように構成されてもよく、又は再使用可能(すなわち、多アッセイを調製するのに十分な試薬量を含む)でもよい。後者の場合では、試薬パック56の容器は、1つ又は複数の試薬の消費後に廃棄されるように構成されるか、又は再充填されるように構成される。どちらの実施形態でも、試薬パック56は容易な交換を可能にし、一般に維持及び製造が経済的である。
【0041】
反応容器60の典型的な構成が図8に示されている。図8に示されたように、反応容器60は、流体アッセイ調製モジュール50の試薬パック56及び入力53から/へのように、溶液を反応容器60まで送り出しかつそこから受け取るために使用される注入/吸引針を含む。反応容器60は、溶液を微小流体分析モジュール5に送り出すために使用される分析モジュール吸引針をさらに含む。反応容器60は、図8に示されたように通気口、磁石アクチュエータ、磁石70をさらに含む。幾つかの実施形態では、反応容器60は音波処理システムをさらに含んでもよく、又はより一般的に、流体アッセイ調製システム51は、反応容器60の近傍に音波システムを含んでもよい。流体アッセイを調製するために磁石アクチュエータと磁石を利用する典型的な様態が、図9に示されている。特に、図9は、反応容器容積が空であり、したがってその中に流体試料又は試薬が挿入されていないスナップショットIを含む。図9は、反応容器容積に流体試料、磁性粒子、及び幾つかの場合では、1つ又は複数の試薬が充填されるスナップショットIIをさらに例示する。図9のスナップショットIIIは、磁性粒子を固定化するために反応容器容積の近傍で駆動される磁石70を例示し、図9のスナップショットIVは、磁性粒子が固定化されるときに流体が除去された状態の反応容器容積を例示する。流体アッセイ調製手順中の動作のような可能なステージングのより詳細な説明が、図12〜15を参照して以下に行われる。
【0042】
図10は、試薬パック入れ64に関する典型的な構成を例示する。特に、図10は、試薬パック56を受け入れるための細穴を含む試薬パック入れ64を例示する。図10に示されたように、この細穴は、試薬パック56の容器に穴を開けるために隔壁突刺し針を含み、試薬が多口弁58及び/又はそれに結合された任意の弁にそれぞれ経路指定される。細穴と突刺し針は容易な取外し及び取付けが可能であり、他方ではオペレータが流体接続を行う必要がない。幾つかの実施形態では、試薬パック入れ64を前後に傾動させるように構成することが有利である。特に、幾つかの実施形態では、試薬パック56内部の1つ又は複数の試薬を撹拌することが有利である。例えば、試薬パック容器内部の凝集を少なくするために溶液中の粒子を撹拌することが有利である。このような撹拌は、傾動機構72によって試薬パック入れ64の内部に組み込まれる。この機構の様々な位置が、図11a〜11cの試薬パック入れ64の断面図に例示されている。幾つかの実施形態では、試薬パック56は、傾動機構72の振動中にそれぞれの試薬内部の成分が懸濁を維持するために、1つ又は複数の試薬容器内部に小さい気泡を含む。気泡の存在は、粒子を含有する試薬が、随伴するスラリ内部でその懸濁を維持するために特に有利である。一般に、傾動機構72の動作は、連続的、周期的、又は散発的である。
【0043】
図12〜15に注目すると、流体アッセイを調製する典型的な方法の流れ図が示されている。上で留意されたように、本明細書に説明されるシステムの記憶媒体は、限定されるものではないが、図12〜15に示されている流れ図を参照して以下に説明される工程のように、流体アッセイの調製を自動化するプロセッサによって実行可能であるプログラム命令を含む。したがって図12〜15を参照して説明される方法は、「コンピュータ実施方法」と呼ばれる。「方法」及び「コンピュータ実施方法」という用語は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。本明細書に説明されるシステムのコンピュータ実施方法及びプログラム命令は、幾つかの場合に、流体アッセイ調製に関連する処理以外の処理を実施するように構成されてもよく、したがって本明細書に説明されるシステムのコンピュータ実施方法及びプログラム命令は、必ずしも図12〜15の図示に限定されないことにも留意されたい。
【0044】
図12に示されたように、流体アッセイを調製する方法は、流体試料が磁性粒子の第1のセットと混合されるブロック80を含む。図12のシステム51を参照すると、ブロック80の処理は、流体試料を入力53に注入し、流体を多口弁58に通して反応容器60まで経路指定することを含む。それに引き続いて又は並行して、試薬パック56からの磁性粒子の第1のセットが、流体試料と混合するために、多口弁58を通して反応容器60まで経路指定される。流体試料は、幾つかの実施形態で、図13を参照して以下で説明される処理工程によってのように、前処理される(すなわち、本システムに導入される前に処理される)。追加的に又は別法として、試料の状態が、本システムに導入される前に変形される。例えば、生物学的な組織のような固体試料が緩衝液内部に懸濁されてもよいし、又は空気試料が液体に凝縮されてもよい。他の実施形態では、流体試料が、本システムに導入される前に処理されなくてもよい。このような場合では、システム51は、幾つかの実施形態で、図13を参照して以下で説明される工程の幾つかを実施するように構成される。例えば、入力53は、幾つかの実施形態で、フィルタを含む。追加的に又は別法として、試薬パック56は、流体試料内部の細胞を溶解するために溶解剤を含んでよい。このような場合では、細胞が一定の定温放置時間後に溶解されるのを保証するために、システム51が音波処理システムを含むことが特に有利である。
【0045】
流体試料を処理するための知られている、限定されるものではないが、組織又は流体試料の処理に特有の試薬のような他の試薬が、追加的に又は別法として、ブロック80の間に磁性粒子及び流体試料と混合するために試薬パック56の内部に含まれてもよいことに留意されたい。したがって、本明細書に説明される方法及びシステムは、必ずしも前述の処理に限定されるものではない。いずれの場合でも、前述の処理工程をシステム51に組み込むと、2つの処理、すなわち、試料処理の自動化及びアッセイ調製の自動化を実施するための処理モジュール6の機能性を拡大することができる。試料処理は、生の試料を所望のアッセイと適合性のある形態に変換するものである。アッセイ調製は、変換された試料を採取して粒子ベースのアッセイを形成する。
【0046】
一般に、ブロック80で流体試料と混合するための言及された磁性粒子の第1のセットは、磁性粒子上に所望の作用物質を捕獲するために流体試料と反応するように構成される。例えば、幾つかの場合に、磁性粒子の第1のセットは、流体試料から核酸を捕獲するように構成されてもよい。このような過程が図14に示されている核酸アッセイ流れ図に例示されており、以下でさらに詳細に説明される。別法として、磁性粒子の第1のセットは、生物学的な試料(組織又は体液のような)中にある抗原を捕獲するように構成される。このような過程が、図15に示されている免疫学的アッセイの流れ図に例示されており、以下でさらに詳細に説明される。磁性粒子が本明細書で試薬と呼ばれ、したがって、試薬パック56は、流体アッセイの調製のために貯蔵するように構成される試薬を構成することに留意されたい。より具体的には、本明細書で使用される「試薬」という用語は、本明細書で、その化学的又は生物学的活性の故に、一般的に生成物を調製するために使用される物質を指す。
【0047】
ブロック80で説明される処理のための所定の定温放置時間(これはアッセイ特有である)に引き続いて、本方法は、磁性粒子の第1のセットが磁界で固定化されるブロック81に続く。このような処理は、システム51の1つ又は複数の磁石が反応容器60の近傍で結合されるアクチュエータを動作させることを含む。それに引き続いて、本方法は、流体が磁性粒子の第1のセットから分離されるブロック82に続く。特に、システム51は、不反応流体試料を反応容器60から除去するために動作可能である。幾つかの実施形態では、ブロック84に示されているように、本方法は、磁性粒子を流体試料から分離することに引き続いて、異なる流体試薬を磁性粒子の第1のセットと混合することに続く。このような場合では、磁性粒子と混合した後で、本方法は、異なる流体試薬を磁性粒子から分離するために、磁性粒子を固定化する工程を繰り返すことができる。例えば、幾つかの場合で、先に磁性粒子と混合された流体試料の不反応成分をいずれも除去するために、洗浄溶液が磁性粒子の第1のセットと混合される。追加的に又は別法として、例えば、核酸アッセイのための核酸のような、分析に所望される成分を除去するために、他の試薬が磁性粒子の第1のセットと混合されてもよい。他の実施形態では、例えば、免疫学的アッセイのような後段の分析で成分を磁性粒子に追加するために、磁性粒子の第1のセットと混合される。
【0048】
どちらの場合でも、磁性粒子の第1のセットは、幾つかの実施形態で、ブロック82とブロック89との間のパスによって示されたように分析される。このような場合では、ブロック89の処理は、磁性粒子の第1のセットを微小流体分析モジュール5に移動することを含む。他の実施形態では、本方法は、別法として、磁性粒子の第1のセットから分離された溶液(ブロック82を参照して論じられた)を、図12に示された流れ図のブロック86で示されたように磁性粒子の第2の別個のセットと混合することができる。例えば、幾つかの実施形態では、核酸アッセイで磁性粒子の第1のセットから分離された核酸(ブロック82を参照して説明された)が、図14を参照して以下でさらに詳細に説明されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)処理を開始するためにPCR試薬と混合される。このような場合では、本方法は、流体が磁性粒子の第2のセットから分離されるブロック87に続くが、それは磁性粒子の第2のセットを固定化すること及び残留流体を除去することを含む。幾つかの場合では、磁性粒子の第2のセットを固定化することは、磁性粒子の第1のセットを固定化するために使用された同じ磁石によって行われる。しかし、他の実施形態では、磁性粒子の第2のセットが、システム51内部の異なる磁石によって固定化される。それに引き続いて、磁性粒子の第2のセットは、ブロック52とブロック89との間のパスによって示されたように分析される。磁性粒子の第2のセットを分析するための手順は一般に、磁性粒子の第1のセットを分析するために説明された範囲内である。
【0049】
上で留意されたように、図13は、システム51に導入される前か又は引き続いて、流体試料を処理するために使用される典型的な工程の流れ図を例示する。特に、図13は、流体試料がどのように処理されるかに関して検討される幾つかの判定を概説する。例えば、この流れ図は、集められた試料が濃縮される必要があるかどうか判定されるブロック90を含む。試料が濃縮される必要がある実施形態の例は、試料容積が低減される必要があり及び/又は試料内部の検体の濃度が低すぎることが予想されるときである。図13は、集められた試料が濾過される必要があるかどうか判定されるブロック92をさらに含む。濾過処理は、対象外であるか又は試料の分析を妨げる恐れがある粒子を除去するために有利である。このような処理に加えて、図13は、細胞内部の物質が分析のために利用されるように、調製されるべきアッセイに集められた試料の細胞を溶解する必要があるかどうか判定されるブロック94を含む。図12を参照して上で説明されたように、溶解処理は、流体試料を磁性粒子のセットと混合する前に又は引き続いて実施される。ブロック90、92、94の判定に続いて、流れ図は、どんな種類のアッセイが実施されるべきかを判定するブロック96を含む。図13に示された流れ図は、核酸アッセイ又は免疫学的アッセイ(タンパク質ベースの)が調製されること概説する。両種類のアッセイのための典型的な方法を概説する流れ図が、図14、15にそれぞれ示されており、以下でさらに詳細に説明される。図14、15を参照して説明される方法は、本明細書に説明されるシステム構成のいずれかによって実施されることに留意されたい。
【0050】
図14のブロック100に示されたように、核酸アッセイの調製は、固定化されるか又は固定化される磁性粒子のような担体上に核酸を捕獲することを含む。その後で、核酸担体は固定化されて、残りの試料はブロック102に示されるように廃棄される。幾つかの場合では、核酸担体が試料の廃棄後に洗浄される。このような処理が図14には示されていないが、それは必ずしもこの図から除外されているわけではない。ブロック104、106では、核酸が担体から分離されるべきかどうかの判定が行われ、該当すれば、核酸は担体から分離される。このような場合では、核酸を粒子から除去するために溶液が加熱されてもよく、したがって、システム51は、幾つかの実施形態で、補助的な加熱器を含む。ブロック100、102、104、106に関する処理は、反応容器60での処理を参照して上で説明されたように、一般にシステム51によって実施される。ブロック104、106の後で、本方法は、RNAをDNAに変換するための逆転写が実施される必要があるかどうかを判定し、該当すれば、ブロック110で実施されるブロック108、110に続く。
【0051】
その後で、ブロック112に概説されるように、実時間監視(分析)がDNA増幅に関して実施されるべきかどうかの判定が行われる。この判定が実時間監視に進めば、PCR処理が、テキサス州オースティン市所在のルミネックス・コーポレーション社によって提供されるPCR溶液で実施される。PCR処理はブロック114で概説されており、DNAを増幅し、粒子上にレポータ標識(例えば、PE)を導入し、かつ粒子を分析する複数の工程116で並行して形成される。判定が実時間監視を取り止めるように行われれば、PCR処理は実施されないが、複数の工程116は実施され、粒子の分析準備が整うとき、それらは微小流体分析モジュール5によって分析される。どちらの場合でも、分析結果が、ブロック119に示されたように表示装置2の上に表示される。一般に、前述のRNAからDNAへの逆転写処理、PCR処理、複数の工程116が、反応容器60での処理を参照して上で説明されたように、システム51によって実施される。システム51が多使用動作用に構成される場合では、本方法は、新たな試料のために流体アッセイ調製システム/モジュール(APM)を再設定するためのブロック118に続く。
【0052】
図15は、免疫学的アッセイを調製するための典型的な処理の流れ図を例示する。図15に示されているように、本方法は、流体試料が、抗体が付着されている磁性粒子と混合されるブロック120を含む。アッセイ特有の定温放置期間後に、磁性粒子は固定化され、ブロック112で留意されたいように洗浄されて、引き続いて、ブロック124で留意されたいように磁性粒子に追加される。それに引き続いて、本方法は、磁性粒子が固定化されて、再び洗浄されるブロック126に続く。抗体が標識される必要があるかどうかに関する判定がブロック128に示されており、該当すれば、適切な工程が後に続く。その後で、粒子は、ブロック130に示されるように、微小流体分析モジュール5に送られる。一般に、ブロック130に至る処理工程のそれぞれ(すなわち、ブロック120、122、124、126、128)が、反応容器60における処理を参照して上で説明されたように、システム51によって実施される。システム51が多使用動作用に構成される場合には、本方法は、ブロック130の後で、新たな試料のために流体アッセイ調製システム/モジュール(APM)を再設定することを含む。
【0053】
図6〜10を参照して説明された試薬カートリッジは、処理モジュール6に使用されることに加えて、試料を取得するためにも使用される。例えば、図16は、カートリッジで直接的な試料抽出を可能にする反応カートリッジの変型を例示する。図16に示されているカートリッジは、微小針アレイ98を患者の皮膚に押し当てることによって血液集光容積96にわたって試料を取得するように構成される。シース流体が、シース入口100に通して反応容器に導入可能であり、試料は、反応容器から試料出口102に通して除去される。シース入口100と試料出口102は、当業で知られた任意適切な構成を有する。反応カートリッジはまた、本明細書に説明されるように構成される除去可能シール104も含む。試料は、微小針アレイから試薬カートリッジ入れによって抽出するための保持チャンバに流入するが、このカートリッジ入れの1つの実施形態が図17に示されている。特に、図17は、微小針を有する反応カートリッジの動作を示す。特に、微小針カートリッジは、微小カートリッジ106によって示されたように、最初に封止される。微小カートリッジの上部封止体108は、微小針110を露出するために除去される。次いでカートリッジの微小針領域が患者の皮膚に押し当てられる。微小針カートリッジは、微小カートリッジ112によって示されているように、試料の取得後に再封止される。次いで、微小針カートリッジは、分析のために受容器モジュール114の中に配置される。カートリッジを受容器の中に配置すると、カートリッジの封止体を突き刺す2本の針116、118を駆動する。一方の針はシース流体をカートリッジの中に注入し、他方ではもう一方の針が試料とシース流体との組み合わせられた流れを受け入れる。図16に示されたカートリッジは、試料を上で言及されたカートリッジのような反応カートリッジの上に単に試料を通す試料採取構成要素であってもよいし、又は試料を処理するための試薬を内部に含んでもよい。
【0054】
生物学的検出で使用される試薬は、貯蔵時に冷蔵又は冷凍されなければならない場合が多い。本明細書に説明される実施形態は、このような試薬に使用される場合には、試薬貯蔵モジュール4のために可搬システム12搭載の冷蔵ユニットを含む。試薬貯蔵モジュールの1つの実施形態が図18に示されているが、それは試薬の貯蔵と冷蔵が可能であり、使用済みの試薬が偶発的に2回以上使用されないように、インターロック及び表示器システムとなる。例えば、図18に示されたように、試薬貯蔵モジュールは、当業で知られた任意適切な構成を有する検出器試薬貯蔵部120を含む。図18では、試薬貯蔵モジュールが、カートリッジ122が取り出された状態(左側)とカートリッジ122が挿入された状態(右側)とで示されている。さらには、試薬貯蔵モジュールは、各反応カートリッジ用の1つ又は複数の表示器を含む表示器パネル124を含む。例えば、表示器パネルは、各反応カートリッジ用の表示器126を含む。この表示器は、試薬貯蔵モジュール中の試薬カートリッジの状態に応じて変更される。例えば、赤色光が使用済みカートリッジを表示し、点灯しない表示器が欠損している試薬カートリッジを表示し、かつ緑色表示器が新たな試薬カートリッジを表示する。図18に示された試薬貯蔵モジュールは特定の数の反応カートリッジを貯蔵するように構成されているが、試薬貯蔵モジュールは任意適切な数の反応カートリッジを貯蔵するように構成されてもよいことを理解すべきである。
【0055】
本明細書に説明された実施形態は、試料の測定を実施するように構成された他のシステムに勝る幾つかの利点を与える。例えば、本明細書に説明された実施形態は、実質的にその環境に対して敏感ではない。さらには、本明細書に説明された実施形態は製造に時間が掛からない。さらには、本明細書に説明された実施形態は、相対的に動作が平易であり、かつ相対的に未熟な使用者によって使用される。さらには、本明細書に説明された実施形態は、相対的に経済的であり、1つ又は複数の試料を前処理するためにそれほど大がかりな研究所施設を必要とすることなく測定を実施することが可能である。しかも、本明細書に説明された実施形態は、単一システムが実質的に異なる用途に使用されるように設計が相対的に柔軟である。
【0056】
本発明様々な態様の他の変更及び別法による実施形態は、本明細書を検討すれば当業者には明白である。したがって、本明細書は、例示としてのみ考えられるべきであり、それは本発明を実施する一般的な様態を当業者に教示する目的のためにある。本明細書に示されかつ説明された本発明の形態は、現時点における好ましい実施形態として受け取られるべきであると理解されるべきである。本発明の本明細書の利益を有すると、当業者にはすべてが明白であるように、要素及び材料が、本明細書に例示及び説明されたものに代用されてよく、部品及び処理が逆転されてよく、本発明の幾つかの特徴構造が別個に利用されてもよい。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に説明された要素に変更が実施される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】流体試料を処理及び測定するように構成された可搬システムの模式図である。
【図2】図1で参照された可搬システムの中に含まれうる微小流体分析モジュールの典型的な実施形態の等角投影図である。
【図3】図2で参照された微小流体分析モジュールの中に含まれる流体集束サブシステムの典型的な実施形態の等角投影図である。
【図4】図2で参照された微小流体分析モジュールの中に含まれた光源、集光要素、検出器の典型的な集合の側面図である。
【図5】流体アッセイを調製するために構成された典型的なシステムの断面図である。
【図6】流体アッセイを調製するために構成された異なる典型的なシステムの模式図である。
【図7】図6の模式的な配置の後に続く典型的なシステムの斜視図である。
【図8】図7に示された本システムの中に含まれた反応容器の拡大斜視図である。
【図9】流体アッセイのための一連の処理工程の間における、図8に示された反応容器の反応容積の断面図である。
【図10】図7に示された本システムの試薬パック入れと試薬パックとの拡大斜視図である。
【図11】図10に示された試薬パック入れの断面図であり、その内部に試薬パックが配置され、試薬パックの振動を描写するために様々な位置にある。
【図12】流体アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図13】流体試料を所定のアッセイと適合性がある形態に処理する典型的な方法の流れ図である。
【図14】核酸アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図15】免疫学的アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図16】本明細書に説明されるシステム実施形態の中に含まれうる反応カートリッジの典型的な実施形態の等角投影上面図である。
【図17】本明細書に説明されるシステム実施形態の中に含まれうる反応カートリッジの動作中の様々な時点における、反応カートリッジの別の典型的な実施形態の等角投影上面図である。
【図18】本明細書に説明される可搬システムに含まれうる試薬貯蔵モジュールの等角投影図及び上面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体試料を処理し、分析するシステムに関する。幾つかの実施態様は、蛍光標識された粒子を含む試料の測定を実施するように構成された、チップ・ベースのフロー・サイトメータ(flow cytometer)型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、これらがこの節に含まれることをもって従来技術であると受け取られるべきではない。
【0003】
一般に、フロー・サイトメータは、デバイスを通って流れる流体中の粒子又は細胞の1つ又は複数の特徴を測定するために光学的技法を使用するように構成されたデバイスである。この粒子又は細胞の検査は、様々な化学的及び生物学的分子に対するアッセイ試験のような幾つかの目的のために活用される。フロー・サイトメータには幾つかの利点があるが、これらのデバイスは幾つかの欠点を有する。例えば、フロー・サイトメータは一般に、その環境に対して敏感である光学的構成要素を利用する。さらには、フロー・サイトメータは典型的に、製造に時間が掛かり、動作が複雑であり、かつ高価である。これらの特徴はしばしば、フロー・サイトメータの使用を高度に訓練された技術者に限定する。しかも、幾つかの試料は、フロー・サイトメータに通して流される前に処理される必要があり、したがって、かなりの研究所施設や他の設備がアッセイの分析に必要とされることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、流体中の粒子又は細胞の特徴を測定し、かつ相対的に動作が容易であるシステムを開発することが有利である。加えて、試料流体を前処理するためにそれほど大がかりな研究所施設を必要とすることなく、このようなシステムが測定を実施できれば有益である。さらには、これらのシステムがその環境に実質的に敏感ではない構成要素を含めば有利である。しかも、このようなシステムが相対的に経済的であり、かつ製造に時間が掛からなければ有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
システム及びチップ・ベースのフロー・サイトメータの様々な実施態様に関する以下の説明は、いずれの様態においても、添付された特許請求の範囲の主題を限定していると考えられるべきではない。
【0006】
生物学的試料又は環境試料を処理し、分析するシステムの実施態様が、試料を蛍光標識された粒子を有する流体アッセイに処理するように構成された自動化アッセイ調製モジュールと、この自動化アッセイ調製モジュールに結合された微小流体分析モジュールとを含み、その微小流体分析モジュールはチップ・ベースのフロー・サイトメータを含む。
【0007】
流体試料を分析するシステムの実施態様が、磁性粒子を有する流体試料を本システムに通して経路指定する流路と、磁性粒子が流体試料の所定の領域内を流れるように、流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段とを含む。
【0008】
流体試料を分析するシステムの別の実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料を本システムに通して経路指定する流路と、光を流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを含む照明サブシステムとを含む。本システムは、磁性粒子から放出された蛍光を集めるように構成された非球面ミラーと、集光された蛍光を分析する試験システムとを有する測定サブシステムをさらに含む。
【0009】
チップ・ベースのフロー・サイトメータの実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料を受け入れる第1の入力導管と、シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバとを含む。流体フロー・チャンバは、シース流体の内部に閉じ込められた試料流体を有する流体ストリームを生成するように構成され、流体ストリームは、この流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを有する。
【0010】
チップ・ベースのフロー・サイトメータの別の実施態様が、蛍光標識された粒子を有する流体試料をフロー・サイトメータに通して経路指定する流路を含む。加えて、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、光源システム内部の個々の光源が光を検査領域内の異なるスポットに向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを有する照明サブシステムを含む。さらには、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、異なるスポットのそれぞれにおいて磁性粒子から放出された蛍光光が集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成された集光システムと、集光された蛍光を分析する試験システムとを有する測定サブシステムを含む。
【0011】
本発明の他の利点が、好ましい実施形態の以下の詳細な説明の助けで、かつ添付の図面を参照すると当業者には明白になりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明には様々な変更及びに別の形態の余地があるが、本発明の特定の実施形態は、図面に例示として示されており、本明細書で詳細に説明される。図面は、尺度に合わせたものではない。図面及びそれに対する詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定しようとするものではなく、反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨及び範囲内に入るすべての変更、均等物、及び別法によるものを網羅しようと企図されていることが理解されるべきである。
【0013】
ここで図面に注目すると、流体試料を処理し、分析するシステムが提供されている。一般に、本明細書で説明されるシステムは、限定されるものではないが、体液、環境試料、及び/又は生物学的組織や物質を含む試料を処理し及び/又は分析するために使用される。さらには、以下で詳細に説明されるように、本明細書で説明されるシステムは、蛍光標識された粒子が内部に注入された試料を処理するように構成される。幾つかの実施形態では、粒子が磁性を有する。図面は必ずしも尺度にしたがって描かれているわけではないことに留意されたい。特に、幾つかの図面における幾つかの要素の尺度は、これらの要素を強調するために大幅に誇張されている。加えて、図は同じ尺度で描かれていないことにさらに留意されたい。同様に構成される2つ以上の図面に示される要素は、同じ参照数字を使用して示されている。
【0014】
図1は、流体試料を処理し、分析する典型的な可搬システムを例示する。一般に、本明細書で説明される可搬システムは、処理モジュールと、分析モジュールと、支援モジュールとを含む。支援モジュールは、限定されるものではないが、流体工学的装置、流体貯蔵装置、電源、コンピュータ・ハードウェア(及びソフトウェア)、表示装置、人間とのインターフェースを含む。図1は、蓋が開けられた可搬システム12を例示し、本システムの基部と蓋内部のモジュールの典型的な仕分け及び配置を例示する。しかし、本明細書で説明される可搬システムは、必ずしもそれに限定されるものではないことに留意されたい。特に、図1を参照して説明されるモジュールよりも少ないか又は多いモジュールを有する他の可搬システムも考えられる。加えて又は別法として、可搬システム12を参照して説明される1つ又は複数のモジュールが、その他のモジュールに対して異なる位置に配置されてもよい。例えば、幾つかの場合では、可搬システム12は、本システムの蓋の中に異なるモジュールを含んでよく、又は含まなくてもよい。他の場合では、可搬システム12は蓋を含まなくてもよい。いずれの場合でも、本明細書に説明されるシステムの「可搬性」とは、使用者によって運搬されるシステムを指す。
【0015】
図1に示されているように、可搬システム12は、コンピュータ1、表示装置2、蓄電池3、人間とのインターフェース9を含み、これらのすべてが、対応するデバイスに関して当業で知られた任意適切な構成要素を含む。幾つかの場合は、コンピュータ1は、微小流体分析モジュール5によって採取された測定値(例えば、蛍光測定値、光散乱測定値など)を、試料中に存在する検体の量を反映する値に変換するために使用される。加えて又は別法として、コンピュータ1を使用して、限定されるものではないが、処理モジュール6及び微小流体分析モジュール5の内部にある構成要素のような、可搬システム12の内部にある他の構成要素の動作を制御することができる。いずれの場合においても、表示装置2を使用して、測定値及び/又は変換値を使用者に提示することができる。蓄電池3を含むことに加えて又は別法として、可搬システム12にAC/DC変換器が装備されてもよい。人間とのインターフェース9は、流体の処理又は分析の開始を制御し、及び/又は分析時に獲得される測定値を動作するように構成される。さらに示されているように、図1では、可搬システム12が、試薬カートリッジ貯蔵部4、処理モジュール6、微小流体分析モジュール5、シース流体モジュール7、ポンプモジュール8を含むことが可能であり、これらのそれぞれが、本明細書にさらに説明されるように構成可能である。幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムは、本システムが異なる用途に使用されるように交換可能な1つ又は複数の互換性のあるモジュールを含んでもよい。本明細書に説明される実施形態の可能な用途には、限定されるものではないが、医学的な診断デバイス又は環境生物学的な試料抽出器が含まれる。本実施形態のモジュール的性質は、1つの用途から別の用途に容易かつ経済的な再構成を可能とする
【0016】
幾つかの実施形態では、微小流体分析モジュール5が、高度に集積されたチップ・ベースのフロー・サイトメータを含む。さらに詳細には、微小流体分析モジュール5は、半導体デバイスとして製造される以下の構成要素の一部又は全部の固定構成を含む。それらは、微小流路、光増倍管、アバランシェ・フォトダイオード、ピン・フォトダイオード、磁気変換素子、光学フィルタ、レンズ、ミラー、共鳴器、光利得媒体を含み、さらに、発光ダイオード、共振空洞発光ダイオード、ダイオード・レーザ、垂直共振器表面発光ダイオード・レーザ、燐光物質、放射性物質、プラズマ、音響源のような励起源をも含む。微小流体分析モジュール5に関する構成要素の典型的な構成が図2に例示されている。特に、図2は、流体流路、流体集束構成要素、集光要素が半導体基板10の内部に固定配置される微小流体分析モジュール5の実施形態を例示する。幾つかの実施形態では、微小流体分析モジュール5は、光源(例えば、図2の光源14、16)と、相互にかつ半導体基板10に対して固定配置された光学構成要素(例えば、図2のビーム分割器18)とを含む。別の場合では、光源14、16及び/又はビーム分割器18は、半導体基板10の内部に一体化される。
【0017】
一般に、微小流体分析モジュール5のチップ・ベースのフロー・サイトメータは、このフロー・サイトメータを通って流れる流体の内部に注入される蛍光標識された粒子の1つ又は複数の特徴を測定するように構成される。さらに詳細には、チップ・ベースのフロー・サイトメータは、試料内部の粒子によって放出された蛍光を測定し、この測定値を使用して粒子に関連する試薬の存在を判定するように構成される。この試薬の存在又は非存在に基づいて、本システムは、試料中の1つ又は複数の検体の存在又は非存在を判定することが可能であり、また試料内部の濃度のような1つ又は複数の検体の他の特徴を判定することもできる。幾つかの場合では、粒子の光散乱特徴が、試料内部の検体存在/非存在及び/又は粒子の分類を判定するために、チップ・ベースのフロー・サイトメータによって追加的に測定される。
【0018】
一般に、本明細書で使用される「粒子」という用語は、化学的、生物学的、環境アッセイの分析に使用される任意の基質を指し、限定されるものではないが、キナーゼ活性を含む対象となる検体の定性化及び/又は定量化のために、分子反応を起こし及び/又は支えるために使用される分子を特定的に指す。さらには、「粒子」という用語は、限定されるものではないが、約1nmと約300μmとの間の寸法を有する粒子のような、広範なサイズの粒子を指す。したがって、「粒子」という用語は、限定されるものではないが、粒子、ビード、ポリスチレン・ビード、微小粒子、金のナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、複合粒子(例えば、金属−重合体粒子又は磁鉄鉱−重合体粒子)、ナノシェル、ナノロッド、ナノチューブ、ナノビード、ラテックス粒子、ラテックス・ビード、蛍光ビード、蛍光粒子、着色粒子、着色ビード、組織、細胞、微小有機体、胞子、有機物、任意の非有機物、又はこれらの任意の組合せを含む、幾つかの異なる物質と構成を指す。したがって、このような用語のいずれもが本明細書で使用される「粒子」という用語と互換性がある。
【0019】
近年の技術革新により、区別可能な担体粒子の使用によって多アッセイの同時分析が可能になった。このようなアッセイシステムの1つの例が、テキサス州オースティン(Austin)市所在のルミネックス・コーポレーション社(Luminex Corporation)から市販されているxMAP(登録商標)技術である。xMAP技術は、1つ又は複数のアッセイ特有の試薬が表面上に塗布される(例えば、粒子の表面上に1つ又は複数の官能基を結合することによって)染色された粒子の系を使用する。粒子プラットフォーム(particle platform)には、蛍光によって区別可能な粒子の異なるセットが使用される。例えば、粒子のセットは、蛍光の波長、蛍光の強度、異なる波長における蛍光の強度比率などによって区別可能である。一般に、蛍光の様々な種類が、粒子に組み込まれた異なる染料及び/又は蛍光体によって一体化され、及び/又は粒子の表面に結合される。幾つかの実施形態では、粒子のセットは、サイズ及び/又は形状によって追加的に区別可能である。いずれの場合においても、区別可能な担体粒子を有する粒子プラットフォームは、それが流体に基づく動態学的特徴を使用して幾つかの異なる検体をアッセイ特有の試薬に結合するので一般に有利である。特に、これらの粒子を使用して試料中の100を超える異なる検体を試験することができる。
【0020】
一般に、粒子の異なるセットのそれぞれが、粒子に結合された異なる試薬を有する。異なる試薬は、流体試料中の異なる検体と選択的に反応する。換言すれば、異なる試薬のそれぞれが、試料中の1つの検体と反応できるが、その試料中の他のいかなる検体とも実質的に反応することができない。幾つかの場合では、1つ又は複数の追加的な検出可能な試薬は、1つ又は複数の検体との反応が許容される。この1つ又は複数の追加的な試薬は、蛍光(例えば、蛍光の波長、蛍光の強度など)によって検出可能(恐らく区別可能)である。増強された反応動態学的特性に加えて、複合化された粒子プラットフォームの使用によって、有利なことに、使用者は、パネルにおいて実施されているテストを変更するために、試料が暴露される粒子集団に対して、粒子の1つ又は複数のサブセットを簡単に追加又は除去することが可能になる。
【0021】
図2に戻ると、フロー・サイトメータの動作は、アッセイが実施されている試料を入力導管22の中に導入することを含む。試料は、照明される前に、幾つかの実施形態で、図2に示されているように流体フロー・チャンバ24の中のシース流体と組み合わされる。シース流体は、シース流体モジュール7からポンプモジュール8によって汲み上げられ、入力導管26を通って分析モジュールに入り、かつシース流体流路28を通って流体フロー・チャンバ24に流れる。したがって、試料流体とシース流体は、別個の入力口に通してフロー・サイトメータの中に注入される。2つの流体は流体フロー・チャンバ24の中で合流する。このチャンバは、試料流体を包囲するシース流体を含む流体ストリームが生成されるように構成されている。流体フロー・チャンバ24の典型的な構成が、図3に例示されている。しかし、限定されるものではないが、流体力学的集束、界面動電的集束、音響波集束、磁気集束を含めて、他の流体組合せ技法が、本明細書に説明されるシステムに使用可能であることに留意されたい。したがって、本明細書に説明されるシステムは、必ずしも図2及び3の図示に限定されるものではない。例えば、微小流体分析モジュール5のフロー・サイトメータに追加的に又は別法として使用される流体組合せデバイスが、流路20、28の接合境界面に配置される流体力学的キュベットである。このキュベットは、試料ストリームの高度に均一な集束と閉込めを、キュベットの軸に直交して位置するすべての方向で実施することができる。
【0022】
図3に示されているように、流体フロー・チャンバ24は、垂直及び水平の両方向で試料流体をシース流体の内部に閉じ込めるように構成される。このような様態で、シース流体は、試料流体をすべての側から包囲することができる。この物理的な閉込め技法は、試料流体を流体フロー・チャンバ24から生成されたストリームのほぼ中心に閉じ込め、幾つかの場合では、試料流体をその以前の直径の何分の1かに細める。試料流体の直径を小さくすることによって、この流れの中の粒子が、流体流路に沿ってより遠く引き離され、より容易な検査を可能にする。しかし、フロー・サイトメータ内部に固定チップ・ベースの構成要素を組み込むことによって、相対的に幅広い流体ストリームに関してさえも顕著な測定精度を与えることが判明した。したがって、流体フロー・チャンバ24は、試料流体の直径を細くする程度が従来システムにおけるよりも低いように構成される。例えば、流体フロー・チャンバ24は、流路25内部の試料流体の直径を流路20内部の直径の1/10未満、又はより詳細には、流路20内部でその直径の約1/5に小さくなるように構成可能である。試料流体をより小さく細めると、有利なことに、必要とされるシース流体の量を削減して、費用及び廃棄物を減少させることができる。
【0023】
流体フロー・チャンバ24の閉込め適合性を説明する別の様態は、試料流体を生成するように構成される流体ストリーム内部における試料ストリームの典型的な寸法を特定することである。例えば、流体フロー・チャンバ24は、試料流体が、流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向へ約80ミクロンまでの第1の寸法(すなわち、流体の流れがx−方向にあるとき、z−方向に約80ミクロンまでの第1の寸法)を有するように構成可能である。さらには、流体フロー・チャンバ24は、試料流体が、流体ストリームの流れに対して直交する水平方向へ約25ミクロンまでの第2の寸法(すなわち、流体の流れがx−方向にあるとき、y−方向に約25ミクロンまでの第2の寸法)を有するように構成可能である。しかし、試料流体に関するより大きな又はより小さい寸法も、フロー・サイトメータの設計仕様に応じて考えられる。
【0024】
いずれの場合においても、流体フロー・チャンバ24で生成される流体ストリームは、図2及び3に示された流路25を通って流れる。さらに詳細には、流体フロー・チャンバ24から生成される流体ストリームは、図2の流路25に沿って集光要素30として示された、フロー・サイトメータの光検査領域に流れる。光検査領域を通過した後、組み合わされた試料とシース流体は、出口32を通って分析モジュールを出る。幾つかの実施形態では、流体流路25は取り外し不可であるように構成される。換言すれば、可搬システム25は、使い捨てではない流体流路を含む。対照的に、既存のチップ・スケール技術における流体流路は、流体流路が使い捨て可能であるように取り外し可能な基板の中に形成されるように設計される。したがって、本明細書に説明される実施形態の顕著な特徴構造は、流体流路が取り外し可能でもなく、また使い捨て可能でもないことである。幾つかの実施形態では、生成された流体ストリームの試料流体を流体流路25の所定の位置に配置することが有利である。さらに詳細には、フロー・サイトメータの最適動作のために、光が粒子に向かって誘導され、かつ発光が粒子から集光される角度が予想可能であるように、流路25中の相対的に予測可能な位置(例えば、流体流路のほぼ中心)に配置された試料流体の内部に粒子を有することが有利である。
【0025】
流路25の所定位置内における粒子の配置に適応するために、本明細書に説明されるシステムは、幾つかの実施形態で、図2に示された流路25の少なくとも一部に沿って磁界を含む手段27を具備する。例えば、微小流体分析モジュール5のフロー・サイトメータは、流体流路25の回りに巻かれたソレノイド・コイルを含む。本明細書に説明されるシステムは、必ずしもこのような磁界誘導機構に限定されるものではないことに留意されたい。特に、流路25の少なくとも一部に沿って磁界を誘導する他の手段が、追加的に又は別法として使用されてもよい。いずれの場合においても、手段27は、幾つかの実施形態で、流路25全体に沿って(すなわち、流体フロー・チャンバ24と出力32との間に)延びる。さらに他の実施形態では、手段27が流体流路25の限定区域に沿って延びてもよい。例えば、手段27は、幾つかの実施形態で、流体フロー・チャンバ24の間に、かつ集光要素30によって示された検査領域を通って延びる流体流路25の一部に制約される。さらに他の実施形態では、手段27は、幾つかの実施形態で、検査領域の直近にかつその領域を含むような、流体流路25のより短い部分に制約される。いずれの場合においても、手段27は、幾つかの実施形態で、流体流路25の周囲に磁界を生成するように構成される。別法として、手段27は、流体流路25の円周よりも小さい周囲に沿って磁界を生成するように構成されてもよい。
【0026】
上で留意したように、シース流体によって包囲された試料流体は、流体フロー・チャンバ24から流体流路25の光検査領域に流れる。光検査領域では、光源14、16が試料流体を照明する。試料流体内部の粒子によって放出された蛍光は、集光要素30によって集光され、発光に関して予想された角度で基板10に対して固定配置されるフロー・サイトメータの1つ又は複数の検出器に誘導される。したがって、流体流路25の光検査領域は、光ビームによって照明される流体流路に沿った位置と、集光要素が光(例えば、蛍光、散乱光、又はその何らかの組合せ)を集光する流体流路に沿った位置とによって決まる。図2に示されたように、光源14、16からの光は、相互に離間されている、流体流路25に沿った異なる位置に誘導される。このような位置は、本明細書では検査スポットと呼ばれる。検査スポットは、フロー・サイトメータの設計仕様に応じて任意適切な間隔を含む。
【0027】
多検査スポットに便利であるように、フロー・サイトメータは、幾つかの実施形態で、図2のビーム分割器18の具備で示されたように、1つ又は複数の光源14、16と流体流路25との間にビーム分割器を有する。一般に、ビーム分割器18は、光を2つ以上の異なる光ビームに分割するように構成される1つ又は複数の任意適切な光要素を含む。したがって、ビーム分割器18は、図2に例示されたように光を3つのビームに分割する図に制約されない。さらには、図2に示されたサイトメータは、光源14に対してビーム分割器18を使用することに限定されない。特に、フロー・サイトメータは、追加的に又は別法として、光源16から誘導された光を分割するように位置決めされたビーム分割器を含む。幾つかの実施形態では、フロー・サイトメータの内部に多光源を、特に、各検査スポットに1つの光源を含むことが有利である。したがって、幾つかの場合では、フロー・サイトメータはビーム分割器を含まなくてもよい。特に、チップ・ベースのフロー・サイトメータ内部のデバイス構成要素を小型化することにより、フロー・サイトメータの検出器は、特定の流路の蛍光を適切に測定するために検査スポットから全発光を集光する必要がある。その結果として、フロー・サイトメータは、各検査スポットに異なる光源を含むことに加えて、各検査スポットに異なる検出器を含む。さらには、フロー・サイトメータは、限定されるものではないが、ミラー、レンズ、及び/又はフィルタを含む光学構成要素の異なるセットを各検査スポットに含む。本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の典型的な配置が図4に示されており、以下にさらに詳細に説明される。
【0028】
いずれの場合においても、図2は、そこに示されたフロー・サイトメータには2つの光源が含まれることを示すが、フロー・サイトメータはその照明サブシステムの内部に任意の数の光源を含んでよいことが理解されるべきである。限定されるわけではないが、発光ダイオード(LED)、レーザ、アーク灯、光ファイバ照明器、電球、白熱灯、又は当業で知られた他の任意適切な光源のような、任意適切な光源がフロー・サイトメータの内部で使用可能である。さらには、1つ又は複数の光源は、単色光、多色光、広帯域光、又はその何らかの組合せを放出するように構成される。さらには、1つ又は複数の光源からの光は、任意適切な方向へ(例えば、光源の適切な位置決めによって、及び/又は適切な光誘導光学要素の使用によって)流体流路25に誘導される。したがって、図2が、光を実質的に両方向から流体流路25に向かって誘導する光源14、16を例示するが、本明細書に説明されるシステムは、必ずしもそのように限定されるものではない。
【0029】
上で留意されたように、図4は、本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の典型的な配置を例示する。この典型的な配置は、4つの分離した集光要素42と4つの分離した検出器44とに実質的に垂直に位置合わせされる4つの光源38を含む。換言すれば、集光要素42は、光源38からの光が誘導される方向に対して実質的に直交する方向に沿って、試料流体の内部の粒子から放出された光を集光するように配置される。集光要素42は1つ又は複数の屈折光学要素を含むが、これらのそれぞれが、流体流路に沿った対応する位置から蛍光発光され及び/又は散乱された光を集光するように構成される。検出器44は、限定されるものではないが、シリコン・アバランシェ・フォトダイオードのような任意適切な検出器を含む。幾つかの場合では、光源38のそれぞれが、実質的に同じ波長を有する光を放出するように構成可能である。しかし他の実施形態では、1つ又は複数の光源38が、光源38の他の光源によって放出された光とは異なる波長で光を放出するように構成される。
【0030】
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるシステムは、集光要素42と検出器44との間の中に位置決めされたフィルタ48を含む。フィルタ48は、限定されるものではないが、検出器44によって検出された光の1つ又は複数の波長を限定するように構成されるスペクトル・フィルタのような、当業で知られた任意適切な光学要素を含む。図4でさらに示されたように、典型的な配置は、照明光学要素50を含む。照明光学要素50は、当業で知られた任意適切な屈折光学要素を含む、幾つかの屈折光学要素を含む。照明光学要素50の屈折光学要素のそれぞれが、半導体光放出体の光源38によって生成された光ビーム52の1つをコリメートするように構成される。この様態で、光ビームは、相互に実質的に平行な方向に沿って流路25に誘導される。図4は構成要素の4つのセットを含むように示されているが、本明細書に説明されるシステムは任意適切な数の構成要素のセットを含んでよいことが理解されるべきである。
【0031】
図5は、本明細書で90度軸外れ照明と呼ばれる構成を使用する、本明細書に説明されるフロー・サイトメータに使用される光源、光学要素、検出器の異なる典型的な配置を例示する。このような構成では、本システムは、光源38が流体流路に光を誘導するように構成される角度から約90度である角度で光を流体流路25に誘導するように構成された光学要素を含む。別法として、光源38は、流体流路25に対して90度の角度で光を誘導するように配置される。さらに具体的には、流体流路と、光の90°側方散乱成分が光検査方法で集光され検出されるように集光要素42と検出器44を含む光学スタックとの両方に対して実質的に直交する方向で、光源38から誘導された光が流体流路25に当たるように、ミラー又は他の適切な光学要素が配置される。このような構成を例示するために、図5はx−z平面に沿った構成要素の典型的な配置を示すが、そこでは流路25中の流体ストリームがx−方向にあり、かつ光学要素と検出器の位置が流路25に対してz−方向にある。このような実施形態では、1つ又は複数の光源は流路25に対してy−方向へ配置され、したがって図5には示されていない。さらに正確に言えば、図5のページから出てくる、1つ又は複数の光源から誘導された光ビーム54が示されており、90度軸外れ照明を示す。図5は単一セットの構成要素を例示するが、本明細書に説明されるシステムは、図4に示された構成に関して説明されたように、任意適切な数の個別セットの構成要素を含んでよいことが理解されるべきである。
【0032】
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるフロー・サイトメータは、蛍光発光され及び/又は散乱された光を集めるための非球面ミラーを含む。特に、非球面ミラーは、集光された光を検出器が検出できる光の範囲内の水準に有利に歪めることができる。さらに具体的には、検出器の検出範囲は、一般にチップ・ベースのフロー・サイトメータ中の他のデバイスと同じ様態で縮小可能ではなく、したがって、集光された光を検出器の能力内にある範囲に変更するために非球面ミラーを組み込むことが有益である。幾つかの実施形態では、非球面ミラーは、不要な波長の除去を補助するために抗反射性被覆(ARC)で被覆可能であり、集光された光の信号対雑音比を向上させる。幾つかの実施形態では、散乱光ではなく蛍光発光を反射するように構成されるARCが使用される。他の実施形態では、蛍光発光に加えて散乱光を反射するように構成されるARCが使用される。このような構成は、ARCが反射するように構成される波長範囲によって促進される。図5に示されたように、非球面ミラー56は、集光要素42に対向する流体流路25、フィルタ48、検出器44の側に配置される。このような様態で、非球面ミラー56は、フロー・サイトメータによって集光された光の量を増大させることが可能である。図4を参照して説明された構成要素の構成も非球面ミラーを含んでもよいことに留意されたい。
【0033】
励起に対応して、試料流中の粒子は蛍光発光し、それによって試料流体を有する以下の物質、すなわち、限定されるものではないが、粒子同定染料、酵素、タンパク質、アミノ酸、DNA、RNA、抗体、抗原を含む物質の少なくとも1つの存在を知らせる。直接的な蛍光を標識として使用することに加えて、磁界の存在を利用して粒子の励起又は粒子からの発光をさらに変調することができる。分析モジュールの1つの有利な特徴構造は、この分析モジュールの多流路によって生成された出力を使用して実時間で蛍光粒子を測定又は「読み取り」かつ分類する能力である。
【0034】
幾つかの実施形態では、試料が流体流路25中の検査領域を通って流れるときに照明に対する粒子の応答をゲート制御することによって、測定を実施するように構成可能である。例えば、試料が分析モジュールの光検査領域を通って流れるとき、照明に対する粒子の応答をゲート制御することが、集光要素及び1つ又は複数の検出器を使って、蛍光及び/又は散乱光を集光しかつ検出して、1つ又は複数の検出器の出力を所定の閾値に比較することによって実施可能である。出力が所定の閾値を超えれば、本システムは、細粒が蛍光及び/又は散乱光を発生させ、したがってこの細粒が検査領域を通過していると判定することができる。よって、細粒に対応する蛍光及び/又は散乱光は記録されるか、又は本システムによって処理される(例えば、実時間の分類のために処理される)。
【0035】
別の実施形態では、本システムは、流体流路25の検査領域を通って流れる単一の粒子と、実質的に同時に検査領域を通って流れる多粒子とを区別することによって測定を実施するように構成される。例えば、分析モジュールの1つ又は複数の検出器によって検出された散乱光は、1つ又は複数の光源によって照明される粒子の容積に概ね比例する。したがって、1つ又は複数の検出器の出力を使用して、光検査領域内にある粒子の直径及び/又は容積を求めることができる。さらには、1つ又は複数の検出器の出力と粒子の既知のサイズ若しくは容積を使用して、積み重ね合わされるか、又はほぼ同時に光検査領域を通って流れている2個以上の細粒を同定することができる。したがって、このような粒子は、他の試料粒子や較正粒子から区別される。さらには、試料粒子や較正粒子が異なるサイズを有する場合には、1つ又は複数の検出器の出力を使用して、試料粒子と較正粒子とを区別することができる。
【0036】
上で留意されたように、可搬システム12は、幾つかの実施形態で、処理モジュール6を含む。このようなモジュールは一般に、試料が微小流体分析モジュール5に導入される前に試料を処理するように構成される。この処理には、粒子サイズ濾過、遠心処理、検体単離、検体増幅、試料洗浄、細胞溶解、凝固因子中和、pH調節、温度サイクル、試薬混合、アッセイ反応のいずれか1つ又は複数の処理が含まれる。他の処理工程も考えられうる。処理モジュール6に使用されるシステムの典型的な構成が図6〜9に例示されており、以下にさらに詳細に説明される。このようなシステムを支えるために使用される典型的な構成要素が図10〜11c及び16〜18に例示されている。さらには、このような処理モジュールを動作させる方法が、図12〜15の流れ図に概説されている。さらに他の実施形態では、可搬システム12は処理モジュール6を含まなくてもよい。このような場合では、可搬システム12は、生の試料(すなわち、前処理されていない試料)又は可搬システム12とは関わりなく前処理されている試料を分析するように構成される。
【0037】
図6は流体アッセイ調製システム51の模式図を例示し、図7は流体アッセイ調製システム51のための典型的な構成の斜視図を例示する。図6、7に示されているように、流体アッセイ調製システム51は、流体試料をシステム51に導入するための試料入口53を含む。幾つかの実施形態では、流体アッセイ調製システム51は、入口53に導入される前に試料を処理するための試料前処理システム54を含む。この前処理システムは、図13を参照して以下に説明される工程のいずれか又はいずれかの状態変態工程を実施するように構成される。例えば、気体試料を液体に凝縮するために濡壁サイクロンが考えられる。流体アッセイ調製システム51は、それぞれに異なる試薬が充填された複数の容器を含む試薬パック56をさらに含む。試薬パック56はまた、システム51によって実施された流体アッセイ調製からの廃棄物ストリームを受け入れるための1つ又は複数の容器を含む。図6で留意された試薬は典型であり、流体アッセイ調製システム51は必ずしもそのように限定されるものではないことに留意されたい。試料の処理では、試薬パック56は、試薬パック入れ64(図7に示す)の内部に配置されて多口弁58に結合され、この弁は次ぎに流体管路によって反応容器60に結合される。さらに、入力53が多口弁58に結合される。別法の実施形態では、流体アッセイ調製システム51は、試薬パック56の容器及び/又は入力53にそれぞれ結合された1つ又は複数の個別弁を含む。いずれの場合でも、試薬パック56は、処理モジュール6によって使用される前に、可搬システム12の試薬貯蔵モジュール4の内部に貯蔵される。
【0038】
図6、7に示されたように、流体アッセイ調製システム51は、制御電子機器66と、多口弁58に結合されたポンプ62とをさらに含む。別法として、流体アッセイ調製システム51は、可搬システム12のポンプモジュール8を使用することができる。どちらの場合でも、制御電子機器66、ポンプ62又はポンプモジュール8、多口弁58は、入力53の内部に導入された試料と試薬パック56内部の試薬とが、好ましくは流体アッセイ調製処理中の別の段階で、反応容器に導入されかつそこから引き出されるように一括構成される。反応容器60に対する出入りの典型的な経路指定のさらに詳細な説明が、以下で図12〜15を参照して行われる。
【0039】
図7に示されたように、流体アッセイ調製システム51は、制御電子機器66に結合された記憶媒体68をさらに含む。一般に、記憶媒体68は、限定されるものではないが、図12〜15に示された流れ図を参照して以下に説明される工程のような、流体アッセイの調製を自動化するためにプロセッサによって実行可能であるプログラム命令を含む。記憶媒体には、限定されるものではないが、読取り専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気若しくは光ディスク、又は磁気テープが含まれる。プログラム命令は、とりわけ、プロシージャ・ベースの技法、コンポーネント・ベースの技法、及び/又はオブジェクト指向の技法を含む様々な方式のいずれかで実装される。例えば、プログラム命令は、所望であれば、アクティブXコントロール、C++オブジェクト、ジャバビーンズ、マイクロソフト・ファウンデーション・クラス(「MFC」)、又は他の技術若しくは方法を使用して実装されてもよい。幾つかの実施形態では、記憶媒体68は、プログラム命令を実行するためのプロセッサを含む。しかし、他の実施形態では、記憶媒体68は、プロセッサに結合されるように構成される(例えば、伝送媒体によって)。どちらの場合においても、プロセッサは、パーソナル・コンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、ワークステーション、ネットワーク・アプライアンス、インターネット・アプライアンス、携帯情報端末(PDA)、デジタル信号処理(DSP)、書替え可能ゲート・アレイ(FPGA)、又は他のデバイスを含めて、様々な形態を取りうる。一般に、「コンピュータ・システム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ又は複数のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義される。記憶媒体68は、接続が固定又は切離し可能でもよいことを示すために、図7の点線によって、制御電子機器66に結合された状態で示されていることに留意されたい。
【0040】
幾つかの実施形態では、流体アッセイ調製システム51は多試料動作用に構成され、したがって再使用可能である。特に、流体アッセイ調製システム51は、同じか又は異なる構成のアッセイを含めて、多流体アッセイを調製するように構成される。他の実施形態では、流体アッセイ調製システム51は単一使用動作用に構成され、したがって使い捨てであるように構成される。どちらの場合でも、試薬パック56は、単一又は多使用動作用に構成可能である。したがって、試薬パック56は、使い捨て(すなわち、単一流体アッセイが調製された後で廃棄される)であるように構成されてもよく、又は再使用可能(すなわち、多アッセイを調製するのに十分な試薬量を含む)でもよい。後者の場合では、試薬パック56の容器は、1つ又は複数の試薬の消費後に廃棄されるように構成されるか、又は再充填されるように構成される。どちらの実施形態でも、試薬パック56は容易な交換を可能にし、一般に維持及び製造が経済的である。
【0041】
反応容器60の典型的な構成が図8に示されている。図8に示されたように、反応容器60は、流体アッセイ調製モジュール50の試薬パック56及び入力53から/へのように、溶液を反応容器60まで送り出しかつそこから受け取るために使用される注入/吸引針を含む。反応容器60は、溶液を微小流体分析モジュール5に送り出すために使用される分析モジュール吸引針をさらに含む。反応容器60は、図8に示されたように通気口、磁石アクチュエータ、磁石70をさらに含む。幾つかの実施形態では、反応容器60は音波処理システムをさらに含んでもよく、又はより一般的に、流体アッセイ調製システム51は、反応容器60の近傍に音波システムを含んでもよい。流体アッセイを調製するために磁石アクチュエータと磁石を利用する典型的な様態が、図9に示されている。特に、図9は、反応容器容積が空であり、したがってその中に流体試料又は試薬が挿入されていないスナップショットIを含む。図9は、反応容器容積に流体試料、磁性粒子、及び幾つかの場合では、1つ又は複数の試薬が充填されるスナップショットIIをさらに例示する。図9のスナップショットIIIは、磁性粒子を固定化するために反応容器容積の近傍で駆動される磁石70を例示し、図9のスナップショットIVは、磁性粒子が固定化されるときに流体が除去された状態の反応容器容積を例示する。流体アッセイ調製手順中の動作のような可能なステージングのより詳細な説明が、図12〜15を参照して以下に行われる。
【0042】
図10は、試薬パック入れ64に関する典型的な構成を例示する。特に、図10は、試薬パック56を受け入れるための細穴を含む試薬パック入れ64を例示する。図10に示されたように、この細穴は、試薬パック56の容器に穴を開けるために隔壁突刺し針を含み、試薬が多口弁58及び/又はそれに結合された任意の弁にそれぞれ経路指定される。細穴と突刺し針は容易な取外し及び取付けが可能であり、他方ではオペレータが流体接続を行う必要がない。幾つかの実施形態では、試薬パック入れ64を前後に傾動させるように構成することが有利である。特に、幾つかの実施形態では、試薬パック56内部の1つ又は複数の試薬を撹拌することが有利である。例えば、試薬パック容器内部の凝集を少なくするために溶液中の粒子を撹拌することが有利である。このような撹拌は、傾動機構72によって試薬パック入れ64の内部に組み込まれる。この機構の様々な位置が、図11a〜11cの試薬パック入れ64の断面図に例示されている。幾つかの実施形態では、試薬パック56は、傾動機構72の振動中にそれぞれの試薬内部の成分が懸濁を維持するために、1つ又は複数の試薬容器内部に小さい気泡を含む。気泡の存在は、粒子を含有する試薬が、随伴するスラリ内部でその懸濁を維持するために特に有利である。一般に、傾動機構72の動作は、連続的、周期的、又は散発的である。
【0043】
図12〜15に注目すると、流体アッセイを調製する典型的な方法の流れ図が示されている。上で留意されたように、本明細書に説明されるシステムの記憶媒体は、限定されるものではないが、図12〜15に示されている流れ図を参照して以下に説明される工程のように、流体アッセイの調製を自動化するプロセッサによって実行可能であるプログラム命令を含む。したがって図12〜15を参照して説明される方法は、「コンピュータ実施方法」と呼ばれる。「方法」及び「コンピュータ実施方法」という用語は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。本明細書に説明されるシステムのコンピュータ実施方法及びプログラム命令は、幾つかの場合に、流体アッセイ調製に関連する処理以外の処理を実施するように構成されてもよく、したがって本明細書に説明されるシステムのコンピュータ実施方法及びプログラム命令は、必ずしも図12〜15の図示に限定されないことにも留意されたい。
【0044】
図12に示されたように、流体アッセイを調製する方法は、流体試料が磁性粒子の第1のセットと混合されるブロック80を含む。図12のシステム51を参照すると、ブロック80の処理は、流体試料を入力53に注入し、流体を多口弁58に通して反応容器60まで経路指定することを含む。それに引き続いて又は並行して、試薬パック56からの磁性粒子の第1のセットが、流体試料と混合するために、多口弁58を通して反応容器60まで経路指定される。流体試料は、幾つかの実施形態で、図13を参照して以下で説明される処理工程によってのように、前処理される(すなわち、本システムに導入される前に処理される)。追加的に又は別法として、試料の状態が、本システムに導入される前に変形される。例えば、生物学的な組織のような固体試料が緩衝液内部に懸濁されてもよいし、又は空気試料が液体に凝縮されてもよい。他の実施形態では、流体試料が、本システムに導入される前に処理されなくてもよい。このような場合では、システム51は、幾つかの実施形態で、図13を参照して以下で説明される工程の幾つかを実施するように構成される。例えば、入力53は、幾つかの実施形態で、フィルタを含む。追加的に又は別法として、試薬パック56は、流体試料内部の細胞を溶解するために溶解剤を含んでよい。このような場合では、細胞が一定の定温放置時間後に溶解されるのを保証するために、システム51が音波処理システムを含むことが特に有利である。
【0045】
流体試料を処理するための知られている、限定されるものではないが、組織又は流体試料の処理に特有の試薬のような他の試薬が、追加的に又は別法として、ブロック80の間に磁性粒子及び流体試料と混合するために試薬パック56の内部に含まれてもよいことに留意されたい。したがって、本明細書に説明される方法及びシステムは、必ずしも前述の処理に限定されるものではない。いずれの場合でも、前述の処理工程をシステム51に組み込むと、2つの処理、すなわち、試料処理の自動化及びアッセイ調製の自動化を実施するための処理モジュール6の機能性を拡大することができる。試料処理は、生の試料を所望のアッセイと適合性のある形態に変換するものである。アッセイ調製は、変換された試料を採取して粒子ベースのアッセイを形成する。
【0046】
一般に、ブロック80で流体試料と混合するための言及された磁性粒子の第1のセットは、磁性粒子上に所望の作用物質を捕獲するために流体試料と反応するように構成される。例えば、幾つかの場合に、磁性粒子の第1のセットは、流体試料から核酸を捕獲するように構成されてもよい。このような過程が図14に示されている核酸アッセイ流れ図に例示されており、以下でさらに詳細に説明される。別法として、磁性粒子の第1のセットは、生物学的な試料(組織又は体液のような)中にある抗原を捕獲するように構成される。このような過程が、図15に示されている免疫学的アッセイの流れ図に例示されており、以下でさらに詳細に説明される。磁性粒子が本明細書で試薬と呼ばれ、したがって、試薬パック56は、流体アッセイの調製のために貯蔵するように構成される試薬を構成することに留意されたい。より具体的には、本明細書で使用される「試薬」という用語は、本明細書で、その化学的又は生物学的活性の故に、一般的に生成物を調製するために使用される物質を指す。
【0047】
ブロック80で説明される処理のための所定の定温放置時間(これはアッセイ特有である)に引き続いて、本方法は、磁性粒子の第1のセットが磁界で固定化されるブロック81に続く。このような処理は、システム51の1つ又は複数の磁石が反応容器60の近傍で結合されるアクチュエータを動作させることを含む。それに引き続いて、本方法は、流体が磁性粒子の第1のセットから分離されるブロック82に続く。特に、システム51は、不反応流体試料を反応容器60から除去するために動作可能である。幾つかの実施形態では、ブロック84に示されているように、本方法は、磁性粒子を流体試料から分離することに引き続いて、異なる流体試薬を磁性粒子の第1のセットと混合することに続く。このような場合では、磁性粒子と混合した後で、本方法は、異なる流体試薬を磁性粒子から分離するために、磁性粒子を固定化する工程を繰り返すことができる。例えば、幾つかの場合で、先に磁性粒子と混合された流体試料の不反応成分をいずれも除去するために、洗浄溶液が磁性粒子の第1のセットと混合される。追加的に又は別法として、例えば、核酸アッセイのための核酸のような、分析に所望される成分を除去するために、他の試薬が磁性粒子の第1のセットと混合されてもよい。他の実施形態では、例えば、免疫学的アッセイのような後段の分析で成分を磁性粒子に追加するために、磁性粒子の第1のセットと混合される。
【0048】
どちらの場合でも、磁性粒子の第1のセットは、幾つかの実施形態で、ブロック82とブロック89との間のパスによって示されたように分析される。このような場合では、ブロック89の処理は、磁性粒子の第1のセットを微小流体分析モジュール5に移動することを含む。他の実施形態では、本方法は、別法として、磁性粒子の第1のセットから分離された溶液(ブロック82を参照して論じられた)を、図12に示された流れ図のブロック86で示されたように磁性粒子の第2の別個のセットと混合することができる。例えば、幾つかの実施形態では、核酸アッセイで磁性粒子の第1のセットから分離された核酸(ブロック82を参照して説明された)が、図14を参照して以下でさらに詳細に説明されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)処理を開始するためにPCR試薬と混合される。このような場合では、本方法は、流体が磁性粒子の第2のセットから分離されるブロック87に続くが、それは磁性粒子の第2のセットを固定化すること及び残留流体を除去することを含む。幾つかの場合では、磁性粒子の第2のセットを固定化することは、磁性粒子の第1のセットを固定化するために使用された同じ磁石によって行われる。しかし、他の実施形態では、磁性粒子の第2のセットが、システム51内部の異なる磁石によって固定化される。それに引き続いて、磁性粒子の第2のセットは、ブロック52とブロック89との間のパスによって示されたように分析される。磁性粒子の第2のセットを分析するための手順は一般に、磁性粒子の第1のセットを分析するために説明された範囲内である。
【0049】
上で留意されたように、図13は、システム51に導入される前か又は引き続いて、流体試料を処理するために使用される典型的な工程の流れ図を例示する。特に、図13は、流体試料がどのように処理されるかに関して検討される幾つかの判定を概説する。例えば、この流れ図は、集められた試料が濃縮される必要があるかどうか判定されるブロック90を含む。試料が濃縮される必要がある実施形態の例は、試料容積が低減される必要があり及び/又は試料内部の検体の濃度が低すぎることが予想されるときである。図13は、集められた試料が濾過される必要があるかどうか判定されるブロック92をさらに含む。濾過処理は、対象外であるか又は試料の分析を妨げる恐れがある粒子を除去するために有利である。このような処理に加えて、図13は、細胞内部の物質が分析のために利用されるように、調製されるべきアッセイに集められた試料の細胞を溶解する必要があるかどうか判定されるブロック94を含む。図12を参照して上で説明されたように、溶解処理は、流体試料を磁性粒子のセットと混合する前に又は引き続いて実施される。ブロック90、92、94の判定に続いて、流れ図は、どんな種類のアッセイが実施されるべきかを判定するブロック96を含む。図13に示された流れ図は、核酸アッセイ又は免疫学的アッセイ(タンパク質ベースの)が調製されること概説する。両種類のアッセイのための典型的な方法を概説する流れ図が、図14、15にそれぞれ示されており、以下でさらに詳細に説明される。図14、15を参照して説明される方法は、本明細書に説明されるシステム構成のいずれかによって実施されることに留意されたい。
【0050】
図14のブロック100に示されたように、核酸アッセイの調製は、固定化されるか又は固定化される磁性粒子のような担体上に核酸を捕獲することを含む。その後で、核酸担体は固定化されて、残りの試料はブロック102に示されるように廃棄される。幾つかの場合では、核酸担体が試料の廃棄後に洗浄される。このような処理が図14には示されていないが、それは必ずしもこの図から除外されているわけではない。ブロック104、106では、核酸が担体から分離されるべきかどうかの判定が行われ、該当すれば、核酸は担体から分離される。このような場合では、核酸を粒子から除去するために溶液が加熱されてもよく、したがって、システム51は、幾つかの実施形態で、補助的な加熱器を含む。ブロック100、102、104、106に関する処理は、反応容器60での処理を参照して上で説明されたように、一般にシステム51によって実施される。ブロック104、106の後で、本方法は、RNAをDNAに変換するための逆転写が実施される必要があるかどうかを判定し、該当すれば、ブロック110で実施されるブロック108、110に続く。
【0051】
その後で、ブロック112に概説されるように、実時間監視(分析)がDNA増幅に関して実施されるべきかどうかの判定が行われる。この判定が実時間監視に進めば、PCR処理が、テキサス州オースティン市所在のルミネックス・コーポレーション社によって提供されるPCR溶液で実施される。PCR処理はブロック114で概説されており、DNAを増幅し、粒子上にレポータ標識(例えば、PE)を導入し、かつ粒子を分析する複数の工程116で並行して形成される。判定が実時間監視を取り止めるように行われれば、PCR処理は実施されないが、複数の工程116は実施され、粒子の分析準備が整うとき、それらは微小流体分析モジュール5によって分析される。どちらの場合でも、分析結果が、ブロック119に示されたように表示装置2の上に表示される。一般に、前述のRNAからDNAへの逆転写処理、PCR処理、複数の工程116が、反応容器60での処理を参照して上で説明されたように、システム51によって実施される。システム51が多使用動作用に構成される場合では、本方法は、新たな試料のために流体アッセイ調製システム/モジュール(APM)を再設定するためのブロック118に続く。
【0052】
図15は、免疫学的アッセイを調製するための典型的な処理の流れ図を例示する。図15に示されているように、本方法は、流体試料が、抗体が付着されている磁性粒子と混合されるブロック120を含む。アッセイ特有の定温放置期間後に、磁性粒子は固定化され、ブロック112で留意されたいように洗浄されて、引き続いて、ブロック124で留意されたいように磁性粒子に追加される。それに引き続いて、本方法は、磁性粒子が固定化されて、再び洗浄されるブロック126に続く。抗体が標識される必要があるかどうかに関する判定がブロック128に示されており、該当すれば、適切な工程が後に続く。その後で、粒子は、ブロック130に示されるように、微小流体分析モジュール5に送られる。一般に、ブロック130に至る処理工程のそれぞれ(すなわち、ブロック120、122、124、126、128)が、反応容器60における処理を参照して上で説明されたように、システム51によって実施される。システム51が多使用動作用に構成される場合には、本方法は、ブロック130の後で、新たな試料のために流体アッセイ調製システム/モジュール(APM)を再設定することを含む。
【0053】
図6〜10を参照して説明された試薬カートリッジは、処理モジュール6に使用されることに加えて、試料を取得するためにも使用される。例えば、図16は、カートリッジで直接的な試料抽出を可能にする反応カートリッジの変型を例示する。図16に示されているカートリッジは、微小針アレイ98を患者の皮膚に押し当てることによって血液集光容積96にわたって試料を取得するように構成される。シース流体が、シース入口100に通して反応容器に導入可能であり、試料は、反応容器から試料出口102に通して除去される。シース入口100と試料出口102は、当業で知られた任意適切な構成を有する。反応カートリッジはまた、本明細書に説明されるように構成される除去可能シール104も含む。試料は、微小針アレイから試薬カートリッジ入れによって抽出するための保持チャンバに流入するが、このカートリッジ入れの1つの実施形態が図17に示されている。特に、図17は、微小針を有する反応カートリッジの動作を示す。特に、微小針カートリッジは、微小カートリッジ106によって示されたように、最初に封止される。微小カートリッジの上部封止体108は、微小針110を露出するために除去される。次いでカートリッジの微小針領域が患者の皮膚に押し当てられる。微小針カートリッジは、微小カートリッジ112によって示されているように、試料の取得後に再封止される。次いで、微小針カートリッジは、分析のために受容器モジュール114の中に配置される。カートリッジを受容器の中に配置すると、カートリッジの封止体を突き刺す2本の針116、118を駆動する。一方の針はシース流体をカートリッジの中に注入し、他方ではもう一方の針が試料とシース流体との組み合わせられた流れを受け入れる。図16に示されたカートリッジは、試料を上で言及されたカートリッジのような反応カートリッジの上に単に試料を通す試料採取構成要素であってもよいし、又は試料を処理するための試薬を内部に含んでもよい。
【0054】
生物学的検出で使用される試薬は、貯蔵時に冷蔵又は冷凍されなければならない場合が多い。本明細書に説明される実施形態は、このような試薬に使用される場合には、試薬貯蔵モジュール4のために可搬システム12搭載の冷蔵ユニットを含む。試薬貯蔵モジュールの1つの実施形態が図18に示されているが、それは試薬の貯蔵と冷蔵が可能であり、使用済みの試薬が偶発的に2回以上使用されないように、インターロック及び表示器システムとなる。例えば、図18に示されたように、試薬貯蔵モジュールは、当業で知られた任意適切な構成を有する検出器試薬貯蔵部120を含む。図18では、試薬貯蔵モジュールが、カートリッジ122が取り出された状態(左側)とカートリッジ122が挿入された状態(右側)とで示されている。さらには、試薬貯蔵モジュールは、各反応カートリッジ用の1つ又は複数の表示器を含む表示器パネル124を含む。例えば、表示器パネルは、各反応カートリッジ用の表示器126を含む。この表示器は、試薬貯蔵モジュール中の試薬カートリッジの状態に応じて変更される。例えば、赤色光が使用済みカートリッジを表示し、点灯しない表示器が欠損している試薬カートリッジを表示し、かつ緑色表示器が新たな試薬カートリッジを表示する。図18に示された試薬貯蔵モジュールは特定の数の反応カートリッジを貯蔵するように構成されているが、試薬貯蔵モジュールは任意適切な数の反応カートリッジを貯蔵するように構成されてもよいことを理解すべきである。
【0055】
本明細書に説明された実施形態は、試料の測定を実施するように構成された他のシステムに勝る幾つかの利点を与える。例えば、本明細書に説明された実施形態は、実質的にその環境に対して敏感ではない。さらには、本明細書に説明された実施形態は製造に時間が掛からない。さらには、本明細書に説明された実施形態は、相対的に動作が平易であり、かつ相対的に未熟な使用者によって使用される。さらには、本明細書に説明された実施形態は、相対的に経済的であり、1つ又は複数の試料を前処理するためにそれほど大がかりな研究所施設を必要とすることなく測定を実施することが可能である。しかも、本明細書に説明された実施形態は、単一システムが実質的に異なる用途に使用されるように設計が相対的に柔軟である。
【0056】
本発明様々な態様の他の変更及び別法による実施形態は、本明細書を検討すれば当業者には明白である。したがって、本明細書は、例示としてのみ考えられるべきであり、それは本発明を実施する一般的な様態を当業者に教示する目的のためにある。本明細書に示されかつ説明された本発明の形態は、現時点における好ましい実施形態として受け取られるべきであると理解されるべきである。本発明の本明細書の利益を有すると、当業者にはすべてが明白であるように、要素及び材料が、本明細書に例示及び説明されたものに代用されてよく、部品及び処理が逆転されてよく、本発明の幾つかの特徴構造が別個に利用されてもよい。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に説明された要素に変更が実施される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】流体試料を処理及び測定するように構成された可搬システムの模式図である。
【図2】図1で参照された可搬システムの中に含まれうる微小流体分析モジュールの典型的な実施形態の等角投影図である。
【図3】図2で参照された微小流体分析モジュールの中に含まれる流体集束サブシステムの典型的な実施形態の等角投影図である。
【図4】図2で参照された微小流体分析モジュールの中に含まれた光源、集光要素、検出器の典型的な集合の側面図である。
【図5】流体アッセイを調製するために構成された典型的なシステムの断面図である。
【図6】流体アッセイを調製するために構成された異なる典型的なシステムの模式図である。
【図7】図6の模式的な配置の後に続く典型的なシステムの斜視図である。
【図8】図7に示された本システムの中に含まれた反応容器の拡大斜視図である。
【図9】流体アッセイのための一連の処理工程の間における、図8に示された反応容器の反応容積の断面図である。
【図10】図7に示された本システムの試薬パック入れと試薬パックとの拡大斜視図である。
【図11】図10に示された試薬パック入れの断面図であり、その内部に試薬パックが配置され、試薬パックの振動を描写するために様々な位置にある。
【図12】流体アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図13】流体試料を所定のアッセイと適合性がある形態に処理する典型的な方法の流れ図である。
【図14】核酸アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図15】免疫学的アッセイを調製する典型的な方法の流れ図である。
【図16】本明細書に説明されるシステム実施形態の中に含まれうる反応カートリッジの典型的な実施形態の等角投影上面図である。
【図17】本明細書に説明されるシステム実施形態の中に含まれうる反応カートリッジの動作中の様々な時点における、反応カートリッジの別の典型的な実施形態の等角投影上面図である。
【図18】本明細書に説明される可搬システムに含まれうる試薬貯蔵モジュールの等角投影図及び上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料又は環境試料を処理し、分析する可搬システムであって、
試料を蛍光標識された粒子を有する流体アッセイに処理するように構成された自動化アッセイ調製モジュールと、
前記自動化アッセイ調製モジュールに結合された微小流体分析モジュールと、
を備え、
前記微小流体分析モジュールは、
前記流体アッセイを備える流体ストリームを前記フロー・サイトメータに通して経路指定するために流路が配置される固定型基板と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムとを有するチップ・ベースのフロー・サイトメータを備える、可搬システム。
【請求項2】
前記チップ・ベースのフロー・サイトメータは、
前記流体アッセイを受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバと、
を備え、
前記流体フロー・チャンバは、前記流体アッセイを前記シース流体の内部に閉じ込めることによって前記流体ストリームを生成するように構成される、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項3】
前記流体フロー・チャンバは、前記流体ストリームの流れ対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、前記流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを有する、前記流体アッセイを備える前記流体ストリームを生成するように構成される、請求項2に記載の可搬システム。
【請求項4】
前記チップ・ベースのフロー・サイトメータは、
前記蛍光標識された粒子から放出される蛍光を集めるように構成された集光システムと、
前記集光された蛍光を分析するために結合された試験システムと、
を備える測定サブシステムをさらに備える、請求項2に記載の可搬システム。
【請求項5】
前記第1の導管、第2の導管、流体フロー・チャンバ、流路、前記集光システムの少なくとも幾つかの光学要素が、前記固定型基板の上に固定配置される、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項6】
前記照明サブシステム及び前記測定サブシステムは、相互にかつ前記固定型基板に対して固定配置される、請求項5に記載の可搬システム。
【請求項7】
前記集光システムは、前記蛍光標識された粒子から放出される光を前記集光システムの検出器に誘導するために非球面ミラーを備える、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項8】
前記アッセイ調製モジュールは、前記試料を蛍光標識された磁性粒子を有する流体アッセイに処理するように構成され、前記フロー・サイトメータは、前記蛍光標識された磁性粒子が前記流体ストリームの所定領域内を流れるように、前記流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段を備える、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項9】
前記流路、光源システム、光学システムは、相互に垂直に配置される、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項10】
前記光源システムは、前記光源システム内部の個々の光源が、前記検査領域内の異なるスポットにおける光を誘導するように構成され、前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて前記蛍光標識された粒子から放出された前記蛍光光が、前記集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成される、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項11】
前記個々の光源の少なくとも1つが、前記個々の光源の別の光源とは異なる波長範囲内の光を放出する、請求項10に記載の可搬システム。
【請求項12】
前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて放出された前記光を前記集光システムの異なる検出器に誘導するために、集光要素の異なるセットを備える、請求項10に記載の可搬システム。
【請求項13】
流体試料を分析するシステムであって、
磁性粒子を備える流体試料を前記システムに通して経路指定する流路と、
前記磁性粒子が、前記流体試料の所定の領域内を流れるように前記流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記磁性粒子から放出された蛍光を集めるように構成された集光システムを備えるとともに前記集光された蛍光を分析する試験システムを備える測定サブシステムと、
を備えるシステム。
【請求項14】
前記磁界を誘発する前記手段は、前記流体流路の周囲に巻かれたソレノイド・コイルを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記流体試料を受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバと、
をさらに備え、
前記流体フロー・チャンバは、前記試料流体を前記シース流体の内部に閉じ込めるように構成され、
前記流体フロー・チャンバは、前記流路が前記アマルガム化された流体を受け入れるように前記流路にさらに結合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁界を誘発する前記手段は、前記流体フロー・チャンバ間にかつ前記検査領域を通って延びる前記流路の一部分に沿って前記磁界を誘発するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記流体フロー・チャンバは、前記入力導管からの前記試料流体の直径を10分の1未満に細めるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
チップ・ベースのフロー・サイトメータであって、
蛍光標識された粒子を備える流体試料を受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバであって、
前記流体フロー・チャンバは、前記シース流体の内部に閉じ込められた前記試料流体を有する流体ストリームを生成するように構成され、前記閉じ込められた試料流体は、前記流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、前記流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを備える、流体フロー・チャンバと、
前記流体フロー・チャンバに結合され、前記流体ストリームを前記フロー・サイトメータに通して経路指定する流路と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記蛍光標識された粒子から放出された蛍光を集めるように構成された集光システムを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、を備え、
前記第1の導管、第2の導管、流体フロー・チャンバ、流路、前記集光システムの少なくとも幾つかの光学要素が、前記チップ・ベースのフロー・サイトメータの内部に含まれた固定型基板上に固定配置される、チップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項19】
前記照明サブシステム及び前記測定サブシステムは、相互にかつ前記基板に対して固定配置される、請求項18に記載のチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項20】
流体試料を分析するシステムであって、
蛍光標識された粒子を備える流体試料を前記システムに通して経路指定する流路と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記蛍光標識された粒子から放出される蛍光を集めるように構成された非球面ミラーを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、
を備えるシステム。
【請求項21】
前記非球面ミラーが抗反射被覆で被覆される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記抗反射被覆は、蛍光放射を反射するが、散乱光を反射しないように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記抗反射被覆は、散乱光及び蛍光放射を反射するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
チップ・ベースのフロー・サイトメータであって、
蛍光標識された粒子を前記フロー・サイトメータに通して経路指定する流路と、
光源システム内部の個々の光源が検査領域内の異なるスポットに向かって光を誘導するように一括構成された前記光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記異なるスポットのそれぞれにおいて前記蛍光標識された粒子から放出された前記蛍光光が集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成された前記集光システムを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、
を備えるチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項25】
光源システムが、4つ以上の異なる光源を備える、請求項24に記載のチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項26】
前記個々の光源は、前記個々の光源の別の光源とは異なる波長範囲内の光を放出する、請求項24に記載の可搬システム。
【請求項27】
前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて放出された前記光を前記集光システムの異なる検出器に誘導するために、集光要素の異なるセットを備える、請求項24に記載の可搬システム。
【請求項1】
生物学的試料又は環境試料を処理し、分析する可搬システムであって、
試料を蛍光標識された粒子を有する流体アッセイに処理するように構成された自動化アッセイ調製モジュールと、
前記自動化アッセイ調製モジュールに結合された微小流体分析モジュールと、
を備え、
前記微小流体分析モジュールは、
前記流体アッセイを備える流体ストリームを前記フロー・サイトメータに通して経路指定するために流路が配置される固定型基板と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムとを有するチップ・ベースのフロー・サイトメータを備える、可搬システム。
【請求項2】
前記チップ・ベースのフロー・サイトメータは、
前記流体アッセイを受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバと、
を備え、
前記流体フロー・チャンバは、前記流体アッセイを前記シース流体の内部に閉じ込めることによって前記流体ストリームを生成するように構成される、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項3】
前記流体フロー・チャンバは、前記流体ストリームの流れ対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、前記流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを有する、前記流体アッセイを備える前記流体ストリームを生成するように構成される、請求項2に記載の可搬システム。
【請求項4】
前記チップ・ベースのフロー・サイトメータは、
前記蛍光標識された粒子から放出される蛍光を集めるように構成された集光システムと、
前記集光された蛍光を分析するために結合された試験システムと、
を備える測定サブシステムをさらに備える、請求項2に記載の可搬システム。
【請求項5】
前記第1の導管、第2の導管、流体フロー・チャンバ、流路、前記集光システムの少なくとも幾つかの光学要素が、前記固定型基板の上に固定配置される、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項6】
前記照明サブシステム及び前記測定サブシステムは、相互にかつ前記固定型基板に対して固定配置される、請求項5に記載の可搬システム。
【請求項7】
前記集光システムは、前記蛍光標識された粒子から放出される光を前記集光システムの検出器に誘導するために非球面ミラーを備える、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項8】
前記アッセイ調製モジュールは、前記試料を蛍光標識された磁性粒子を有する流体アッセイに処理するように構成され、前記フロー・サイトメータは、前記蛍光標識された磁性粒子が前記流体ストリームの所定領域内を流れるように、前記流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段を備える、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項9】
前記流路、光源システム、光学システムは、相互に垂直に配置される、請求項1に記載の可搬システム。
【請求項10】
前記光源システムは、前記光源システム内部の個々の光源が、前記検査領域内の異なるスポットにおける光を誘導するように構成され、前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて前記蛍光標識された粒子から放出された前記蛍光光が、前記集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成される、請求項4に記載の可搬システム。
【請求項11】
前記個々の光源の少なくとも1つが、前記個々の光源の別の光源とは異なる波長範囲内の光を放出する、請求項10に記載の可搬システム。
【請求項12】
前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて放出された前記光を前記集光システムの異なる検出器に誘導するために、集光要素の異なるセットを備える、請求項10に記載の可搬システム。
【請求項13】
流体試料を分析するシステムであって、
磁性粒子を備える流体試料を前記システムに通して経路指定する流路と、
前記磁性粒子が、前記流体試料の所定の領域内を流れるように前記流路の少なくとも一部分に沿って磁界を誘発する手段と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記磁性粒子から放出された蛍光を集めるように構成された集光システムを備えるとともに前記集光された蛍光を分析する試験システムを備える測定サブシステムと、
を備えるシステム。
【請求項14】
前記磁界を誘発する前記手段は、前記流体流路の周囲に巻かれたソレノイド・コイルを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記流体試料を受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバと、
をさらに備え、
前記流体フロー・チャンバは、前記試料流体を前記シース流体の内部に閉じ込めるように構成され、
前記流体フロー・チャンバは、前記流路が前記アマルガム化された流体を受け入れるように前記流路にさらに結合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁界を誘発する前記手段は、前記流体フロー・チャンバ間にかつ前記検査領域を通って延びる前記流路の一部分に沿って前記磁界を誘発するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記流体フロー・チャンバは、前記入力導管からの前記試料流体の直径を10分の1未満に細めるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
チップ・ベースのフロー・サイトメータであって、
蛍光標識された粒子を備える流体試料を受け入れる第1の入力導管と、
シース流体を受け入れる第2の別個の導管と、
前記第1及び第2の入力導管に結合された流体フロー・チャンバであって、
前記流体フロー・チャンバは、前記シース流体の内部に閉じ込められた前記試料流体を有する流体ストリームを生成するように構成され、前記閉じ込められた試料流体は、前記流体ストリームの流れに対して直交する垂直方向に約80ミクロンまでの第1の寸法と、前記流体ストリームの流れに対して直交する水平方向に約25ミクロンまでの第2の寸法とを備える、流体フロー・チャンバと、
前記流体フロー・チャンバに結合され、前記流体ストリームを前記フロー・サイトメータに通して経路指定する流路と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記蛍光標識された粒子から放出された蛍光を集めるように構成された集光システムを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、を備え、
前記第1の導管、第2の導管、流体フロー・チャンバ、流路、前記集光システムの少なくとも幾つかの光学要素が、前記チップ・ベースのフロー・サイトメータの内部に含まれた固定型基板上に固定配置される、チップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項19】
前記照明サブシステム及び前記測定サブシステムは、相互にかつ前記基板に対して固定配置される、請求項18に記載のチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項20】
流体試料を分析するシステムであって、
蛍光標識された粒子を備える流体試料を前記システムに通して経路指定する流路と、
光を前記流路の検査領域に向かって誘導するように一括構成された光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記蛍光標識された粒子から放出される蛍光を集めるように構成された非球面ミラーを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、
を備えるシステム。
【請求項21】
前記非球面ミラーが抗反射被覆で被覆される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記抗反射被覆は、蛍光放射を反射するが、散乱光を反射しないように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記抗反射被覆は、散乱光及び蛍光放射を反射するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
チップ・ベースのフロー・サイトメータであって、
蛍光標識された粒子を前記フロー・サイトメータに通して経路指定する流路と、
光源システム内部の個々の光源が検査領域内の異なるスポットに向かって光を誘導するように一括構成された前記光源システム及び光学システムを備える照明サブシステムと、
前記異なるスポットのそれぞれにおいて前記蛍光標識された粒子から放出された前記蛍光光が集光システムの異なる検出器によって集光されるように構成された前記集光システムを備え、かつ前記集光された蛍光を分析する試験システムをさらに備える測定サブシステムと、
を備えるチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項25】
光源システムが、4つ以上の異なる光源を備える、請求項24に記載のチップ・ベースのフロー・サイトメータ。
【請求項26】
前記個々の光源は、前記個々の光源の別の光源とは異なる波長範囲内の光を放出する、請求項24に記載の可搬システム。
【請求項27】
前記集光システムは、前記異なるスポットのそれぞれにおいて放出された前記光を前記集光システムの異なる検出器に誘導するために、集光要素の異なるセットを備える、請求項24に記載の可搬システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−537826(P2009−537826A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511233(P2009−511233)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/069147
【国際公開番号】WO2007/137119
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504187249)ルミネックス・コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/069147
【国際公開番号】WO2007/137119
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504187249)ルミネックス・コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】
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