説明

蛍光灯

【課題】発光面が平面型でコンパクトでありながら高い全光束と斑のない明るさを実現し、点灯回路を内蔵した汎用性を有する蛍光灯を提供する。
【解決手段】管の両端部4a、4bに一対の電極3a、3bが配置され、電極3a、3b間に形成される放電路を導く管が平面内の渦巻状に巻回された蛍光ランプ2と、蛍光ランプ2の一対の電極3a、3bに高周波電圧を供給して、蛍光ランプ2を点灯させるインバータ回路5と、インバータ回路5を電源に接続する口金6と、を備える。好ましくは、口金6は規格GX53に適合し、インバータ回路5は、口金6の2つの端子の間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点灯回路を有する蛍光灯に関する。より詳しくは、商用の交流電源に口金を介して接続して点灯する蛍光灯に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯には、器具側に点灯回路を備え発光管(蛍光ランプ)のみを交換する蛍光灯器具と、インバータ回路などの点灯回路と発光管が一体になった蛍光灯がある。点灯回路と発光管が一体になった蛍光灯は、器具側に点灯回路を設ける必要がないので、照明器具の設計の制約が少ないという利点がある。点灯回路と発光管が一体になった蛍光灯には、従来の白熱電球と同じねじ込み式の口金を備えるものが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、インバータ回路と発光管が一体の蛍光灯が記載されている。特許文献1の蛍光灯は、複数の丸形の蛍光ランプと、複数の蛍光ランプに直列に高周波電圧を供給して各蛍光ランプを点灯させるインバータ回路と、インバータ回路を収納するためのインバータ収納部と、インバータ収納部の上部に一体的に形成された1つの口金と、インバータ収納部の周辺部分に一体的に形成されかつ複数の蛍光ランプを保持するための複数の保持部とから構成されたことを特徴とする。
【0004】
また、特許文献2は、平面二重渦巻形蛍光ランプを提供する技術が記載されている。特許文献2の技術は、両管端部に一対の電極が配置され、前記電極間に形成される放電路が管中央部を中心として略一平面を渦巻状に旋回する発光管と、前記発光管を保持する保持部材とを備え、前記発光管における管端部間の少なくとも一箇所と、前記両管端部とが、前記保持部材に固定されている蛍光ランプとしている。
【0005】
特許文献3には、蛍光ランプを渦巻き状に形成する方法が記載されている。特許文献3の技術は、略同一平面内で渦巻き状の形状を有し内壁には蛍光体が塗布されると共に内部に放電ガスが封入されてなるバルブと、そのバルブの両端内部に配設された電極を備えてなる渦巻き状蛍光ランプの製造方法であって、バルブを、直管状に形成した後に略円錐状の巻き枠の斜面に沿って巻回して螺旋状体を形成し、その螺旋状体を全体的に加熱することにより自重により変形させて略同一面内に渦巻き状の形状を形成する。
【特許文献1】実開昭61−63719号公報
【特許文献2】特開2006−49272号公報
【特許文献3】特開平09−92154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の蛍光灯ではブリッジ接続した発光管を横並びに配置している。その場合、どうしてもキャビネットランプの円形形状では隙間が生じるため、明るさに斑ができる。蛍光灯のブリッジ加工した発光管では、ブリッジ工程があるために作業効率が損なわれる。さらに、ブリッジ部がランプ発熱の熱収縮によりクラックが発生する可能性がある。
【0007】
また、特許文献2又は3の蛍光ランプでは、照明器具側に点灯回路が必要である。電球型蛍光灯では、白熱電球と同じ口金を用いるので、電球の高さが大きくなってしまう。そのため点灯回路と一体の蛍光灯で高さの小さいフラットキャビネットランプを構成することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発光面が平面型でコンパクトでありながら高い全光束と斑のない明るさを実現し、点灯回路を内蔵し汎用性を有する蛍光灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る蛍光灯は、
管の両端部に一対の電極が配置され、前記電極間に形成される放電路を導く前記管が平面内の渦巻状に巻回された発光管と、
前記発光管の前記一対の電極に予熱電流と該電極間に電圧を供給して、該発光管を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を電源に接続する口金と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記発光管は、その片側先端部を中心とする渦巻き状に形成されることを特徴とする。
【0011】
前記発光管は、その両端部を外側にして、該発光管の中央部を中心に2重渦巻き状に形成されてもよい。
【0012】
好ましくは、前記口金は、口金GX53であることを特徴とする。
【0013】
特に、前記点灯回路は、口金GX53の2つの端子の間に備えられることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記点灯回路は、高周波電圧を供給して前記発光管を点灯させるインバータ回路である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の蛍光灯によれば、均一な間隔で発光管を配置することができ、キャビネットランプの円形形状を有効に利用することができる。そのため、スペースを有効に活用できる。また、ブリッジ加工工程がないので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る蛍光灯1の構成例を示す平面図である。図2は、図1の蛍光灯1の側面図である。蛍光灯1は、蛍光ランプ2、インバータ回路5、口金6及び保持板7を備える。蛍光ランプ2、インバータ回路5及び口金6は、保持板7に固定されている。保持板7は、蛍光ランプ2から発生する光の反射板を兼ねている。なお、理解を容易にするために、図1では蛍光ランプ2を覆うカバーを省略している。蛍光ランプ2を覆う樹脂製又はガラス製のカバーが保持板7の周囲に取り付けられてもよい。
【0018】
蛍光ランプ2は、内面に蛍光物質が塗装されたガラス管から構成されている。蛍光ランプ2の内部には、低圧の希ガス、例えばアルゴンガスと、微量の水銀が封入されている。蛍光ランプ2は、図1に示すとおり、一方の端部4aを中心とする渦巻き状の管で形成されている。蛍光ランプ2の両方の端部4a、4bに、それぞれ、電極3a、3bが配置されている。電極3a、3bは、蛍光ランプ2の管の内部に封止されていて、それぞれコイル状のフィラメントの両端に導線が接続されて管の外に引き出されている。
【0019】
電極3a、3bはインバータ回路5に接続されている。インバータ回路5は、交流電源を整流平滑して高周波に変換し、電極3a、3bに高周波電圧を印加して蛍光ランプ2を点灯させる。蛍光ランプ2の点灯回路として、インバータ回路の外、点灯管を用いるスタータ式、又は、安定器に電極予熱回路と昇圧回路を付加したラピッドスタート式の点灯回路を用いてもよい。機器をコンパクトにするには、インバータ回路5が有利である。
【0020】
インバータ回路5の電源端子は、口金6に接続されている。口金6は、規格GX53に適合している。口金6を規格GX53のソケット(図示せず)に挿入することによって、インバータ回路5を交流電源に接続する。ソケットの交流電源側には通常、スイッチが設けられ、スイッチをオン・オフすることによって、蛍光灯1を点灯・消灯することができる。
【0021】
蛍光灯1の点灯は次のように行われる。インバータ回路5によって、電極3a、3bが予熱されて電子を放出する。その後、インバータ回路5から印加される高周波電圧によって電極3a、3b間に継続して放電が起こる。放電は蛍光ランプ2のガラス管の内部に沿って発生する。放電による電子と水銀原子の衝突によって生じる紫外線が、蛍光塗料に当たって可視光を発生する。
【0022】
蛍光ランプ2は、平面の渦巻き状で管の継ぎ目がなく、等間隔に配設することができる。その結果、円形平面で、斑のない発光面が得られる。そして、コンパクトでかつ光束が高い。
【0023】
図3は、蛍光灯1の背面図である。図2及び図3に示すように、インバータ回路5は、口金6の2つの端子の間に設けられている。その結果、蛍光灯1の高さを小さくすることができる。
【0024】
なお、口金はGX53以外の2端子のものを用いることができる。平面形状の蛍光灯で高さを小さくするにはGX53が有利である。
【0025】
以上、説明したように、本発明の蛍光灯1によれば、均一な間隔で発光管を配置することができ、キャビネットランプの円形形状を有効に利用することができる。そのため、同じ光束の蛍光ランプ等と比較してスペースを有効に活用できる。また、ブリッジ加工工程がないので、作業効率が向上する。
【0026】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2に係る蛍光灯1の構成例を示す平面図である。実施例2では、蛍光ランプ2の形状が、管の両端を外側にして、管の中央部を中心に2重渦巻き状に形成される。実施例2の蛍光灯1の側面と背面は、実施例1とほぼ同じ形状である。
【0027】
蛍光灯1は実施例1と同様に、蛍光ランプ2、インバータ回路5、口金6及び保持板7を備え、蛍光ランプ2、インバータ回路5及び口金6は、保持板7に固定されている。保持板7は、蛍光ランプ2から発生する光の反射板を兼ねている。
【0028】
本実施例2の蛍光ランプ2は、実施例1と同様、両方の端部4a、4bに、それぞれ、電極3a、3bが配置されている。蛍光ランプ2は、図4に示すように、両端部4a、4bが蛍光灯1の外側に位置する。そして、蛍光ランプ2の中央部を中心に2重渦巻き状に形成されている。
【0029】
電極3a、3bは、蛍光ランプ2の両端、すなわち蛍光灯1の周縁近くに配置される。電極3a、3bから引き出された導線は蛍光灯1の周縁近くから保持板7に沿って配線されて、インバータ回路5に接続される。
【0030】
実施例2においても、規格GX53に適合した口金6を用いる。インバータ回路5は、口金6の2つの端子の間に配置される。
【0031】
実施例2の蛍光ランプ2も、平面の渦巻き状で管の継ぎ目がなく、等間隔に配設することができる。その結果、円形平面で、斑のない発光面が得られる。そして、コンパクトでかつ光束が高い。さらに、実施例2では、蛍光ランプ2を点対称形状にできるので、点対称の光束が得られる。
【0032】
以上、説明したように、本発明の蛍光灯1によれば、均一な間隔で発光管を配置することができ、キャビネットランプの円形形状を有効に利用することができる。そのため、同じ光束の蛍光ランプ等と比較してスペースを有効に活用できる。また、ブリッジ加工工程がないので、作業効率が向上する。
【0033】
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1に係る蛍光灯の構成例を示す平面図である。
【図2】図1の蛍光灯の側面図である。
【図3】図1の蛍光灯の背面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る蛍光灯の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 蛍光灯
2 蛍光ランプ
3a、3b 電極
4a、4b 端部
5 インバータ回路
6 口金
7 保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の両端部に一対の電極が配置され、前記電極間に形成される放電路を導く前記管が平面内の渦巻状に巻回された発光管と、
前記発光管の前記一対の電極に予熱電流と該電極間に電圧を供給して、該発光管を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を電源に接続する口金と、
を備えることを特徴とする蛍光灯。
【請求項2】
前記発光管は、その片側先端部を中心とする渦巻き状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光灯。
【請求項3】
前記発光管は、その両端部を外側にして、該発光管の中央部を中心に2重渦巻き状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光灯。
【請求項4】
前記口金は、口金GX53であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光灯。
【請求項5】
前記点灯回路は、口金GX53の2つの端子の間に備えられることを特徴とする請求項4に記載の蛍光灯。
【請求項6】
前記点灯回路は、高周波電圧を供給して前記発光管を点灯させるインバータ回路であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蛍光灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−300241(P2008−300241A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145991(P2007−145991)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】