説明

蜂蜜用濃縮装置

【課題】 従来、蜜蜂巣箱から採蜜した蜂蜜の糖度が発酵阻止点である糖度79度に達しないと常温では発酵するので、熱を掛けて、発酵菌である酵母菌を殺したり、糖類を加えたり、沸騰によって水分を蒸発させ、糖度を上げたりしていた。しかしそれでは、蜂蜜に含まれる酵素やビタミン類を破壊し、風味を落とし、極端な場合、蜂蜜をガラス化させ、蜂蜜を劣化させる恐れがあった。
それを避けるためには、蜂蜜に熱を加えないで水分を抜く方法が求められる。真空装置によって水分を抜く方法はあるが、その装置は零細な養蜂家が入手するには高価すぎる。
【解決手段】 安価に蜂蜜から水分を抜く方法として、本発明は、市販の除湿剤を使用しようとするものである。除湿剤として一般的なものはシリカゲルと生石灰である。
大型の気密室あるいは小型の気密箱に、除湿剤と共に、底の浅い容器に蜂蜜を入れて重ね、気密室(箱)に閉じ込める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蜂蜜に含まれる水分を抜いて蜂蜜の糖度を上げる装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、蜜蜂巣箱から採取した蜂蜜の糖度が、常温での発酵限界点である糖度79度に達していない場合、保存は、発酵を抑えるために冷蔵庫で行う以外になかった。
【0003】
常温での保存ができなければ商品としての価値が下がるので、常温での保存ができるように、低温の熱(60度が基準)を加えて発酵菌である酵母菌を殺したり、糖類を加えて糖度を上げたりしてきた。さらに蜜を沸騰させて水分を蒸発させる方法すら採られてきた。
【発明の表示】

【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしそれでは、蜂蜜に含まれる酵素やビタミン類を破壊したり、風味を落としたり、混ざり物の蜂蜜にしたりする結果になった。
【0005】
それを避けるためには、蜂蜜に熱を掛けたり、糖類を加えたりしないで糖度を上げる方法が求められる。
【0006】
大規模加工工場では真空装置によって蜂蜜から水分を抜く方法が用いられているが、その装置は零細な養蜂家が入手するには高価すぎる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
安価に蜂蜜から水分を抜く方法として、本発明は、安価に市販されている除湿剤を使用しようとするものである。
【0008】
除湿剤として最も一般的なものはシリカゲルと生石灰である。どちらも入手は容易である。
【0009】
気密室あるいは気密箱を作り、その中に、除湿剤と共に、表面積が大きく水分の抜けやすい底の浅い容器に蜂蜜を入れ、その容器を幾段にも重ねて、気密室に閉じ込める。
【0010】
夜の気温低下、あるいは季節による気温低下による気密室内部の温度低下によって濃縮効率が落ちるので、温度の一定化を図るための少量の加熱と空気循環装置が必要になる。
【0011】
除湿剤が気密室内の水分を吸収すると、室内は気圧が下がり、真空状態に近づく。すると蜂蜜に含まれる水分の蒸発を促し、さらなる蜂蜜の濃縮が促進される。
【0012】
実験の結果、内部の理想的な温度は38℃で、蜂蜜と除湿剤の割合を重量比で5対1にすると、採蜜当初の糖度76度の蜂蜜が4日で83度に濃縮される。
【0013】
容器に入った蜂蜜の水分は、表層から水分は抜かれていくので、表層から濃縮は進むが、濃縮が進むほど比重は大きくなるので、下層へと沈下し、比重の小さい下層は表層に上がってくる。そのために上層と下層は常に入れ替わっており、濃縮作用は効率的に行われる。
【0014】
図1は、本発明、請求項1の正面図である。内部の説明のために扉は外してある。(1)は気密室の壁で断熱効果を高めるために2重になっている。(2)は蜂蜜容器を乗せる棚である。(3)は蜂蜜容器。(4)は除湿剤用容器。(5)は小型発熱体つき扇風機。(6)はその外部調節機。(7)は温度計モニター。
【0015】
請求項1は大型の濃縮装置で、そのために扉が側面についている。
【0016】
図2は本発明の扉の側面図である。(8)は気密を確保するための弾力性のあるパッキンである。(9)は本発明の気密室に扉を密着させて取り付けるときに用いるゴム紐あるいはコイルバネをひっかける突起である。
【0017】
図3は、請求項2の斜視図である。本発明の小型で、蜂蜜容器と除湿剤を上から出し入れする。上に蓋を乗せるので気密も容易になる。
【発明の効果】
【0018】
蜂蜜を劣化させることなく濃縮できるので、純粋の生蜜を常温で保存できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を図1と図3の形態のまま、ベニア板で安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明請求項1の正面図
【図2】 図1の扉の側面図。
【図3】 本発明請求項2の斜視図。蓋を上面に被せる設計である。
【図4】 図3の蓋の側面図。
【符号の説明】
1 気密室の断熱壁
2 棚
3 蜂蜜容器
4 除湿剤容器
5 発熱体つき扇風機
6 外部温度調節機
7 温度計のモニター
8 気密用パッキン
9 気密室に扉を取り付ける時の引っかけ用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の温度を一定に保つために壁が断熱性を持ち、微小な発熱体と扇風装置を内蔵し、除湿剤と共に蜂蜜を閉じ込める気密室で、側面に扉を持つ蜂蜜用濃縮装置。
【請求項2】
内部の温度を一定に保つために壁が断熱性を持ち、微小な発熱体と扇風装置を内蔵し、除湿剤と共に蜂蜜を閉じ込める気密箱で、上面に蓋を持つ蜂蜜用濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−24552(P2011−24552A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187885(P2009−187885)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(396021715)
【Fターム(参考)】