説明

融着多孔質材料熱交換器

【課題】冷却気体により、熱を効率よく除去するとともに、渦電流の発生を最小にする。
【解決手段】熱交換器は、非常に高い熱伝導率を示すように選択される材料でできており、かつ非平面を有するペレット60からなる多孔質マトリックスを備え、それによって多孔性となる。ペレット60は、水力直径Dの0.05〜0.25倍の直径を有し、表面コーティング62により互いに接着されるとともに、熱交換ハウジング64の内部に接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温応用のための熱交換器装置の分野に関し、特に極低温冷却NMRプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
解析的NMR測定の実施において、RFチャネルは、極低温での動作によって高められる。例えば、RFコイルのQは、周囲温度で10の数倍であるのに比べて、ほぼ10となる。熱が温度調節の目的のために制御された形でコールドヘッドに与えられ、かつ別に、熱が共鳴RF励起工程の結果としてRF回路から発生するような装置では、多くの極低温工学問題に直面する。超低温冷凍装置は、コールドヘッドに発生する熱出力を分散させるが、システムの効率は、熱交換工程によって制限され、それによってコールドヘッドの熱出力は、冷凍装置に(クローズドシステムで)戻される作動流体(通常ヘリウム気体)に伝達される。
【0003】
熱交換器は、熱伝達装置において必要な部品である。多数の設計のなかで、本出願は、NMR装置の状況から生じる特定要求において、介在構造を通して流動気体まで熱伝達するためのものである。先行技術の極低温冷却NMRプローブは、熱交換器を使用してコールドヘッドを25Kまで冷却し、そこで冷凍機からの冷ヘリウム気体が、コールドヘッド構造に熱接着された金属(Cu)体の溝付チャネルを通して流れる。そのような先行技術の一例は、バリアン・インコーポレイテッド(Varian, Inc.)のコールドプローブシステム(Cold Probe System)である(www.varianinc.com)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
任意のNMRプローブにおいて、感受域に近接して配設される構造材料の磁化率に注目すれば、多くの場合、感受域に近接するいくつかの部品の体積磁化率は、合金、選択めっきなどによって実現される。感受域からいくらか距離をおいて配設される電気伝導材料は、そのような導体で誘導される渦電流を通して有害な影響を測定に導入することがあり、その導体は、感受域で擬似磁場成分を生成する。このような影響を改善するために補償技術が使用されるが、最良の実施は、渦電流部位を、通常、それを変調された磁場から、特にパルス状磁場勾配から遠ざけることによって最小にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特に極低温冷却NMRプローブでの動作について最適化された熱交換器を利用している。熱交換器は、熱交換器ハウジングに詰め込まれるペレットの集合体を備え、隣接するそのようなペレットは、いっしょにかつ熱交換器ハウジングの隣接する内壁に相互接着される。ペレットは、非常に低い(0に近い)電気伝導度、高い熱伝導度、および高い熱容量を示す。結果として生じるマトリックスを流れる冷却気体は、そのマトリックスから熱を除去する。マトリックスは、0.01D〜0.25Dの範囲の特徴的なペレット寸法として優れた多孔性を示し、ここでDは、熱交換機シェルまたはハウジングの水力直径である。極低温冷却NMRプローブのためのコールドヘッド熱交換器は、そのプローブの感受域内に配設されるサンプルを励起するためのRFコイルから離れて熱を効率的に輸送するように位置決めされる。その条件は、熱交換器を、RFコイルにある程度近接して置く。本熱交換器は、感受域から十分離されて、感受域の静止磁気特性と直接干渉しないようにしているが、感受域の寄生磁場成分の一因となる渦電流の発生率を最小にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】凍結探針NMRシステムにおける本熱交換器の全体を示す図である。
【図2】コールドヘッドのいくつかの主な部品の配置を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は本熱交換器構造の断面図であり、図3(b)は図3(a)の熱交換器の一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、NMRシステム内での本発明の状況を概念的に図示する。NMRプローブ12は、超伝導磁石10のボア11内に配設される。(NMRプローブの配設が、NMRプローブの部品に空間的制約を課すことに注目すべきである。分析用のサンプルは、プローブ12に挿入されるサンプル容器(図示せず)に与えられる。プローブ12は、RFソース16から少なくとも第1RF励起チャネルを通して励起/取得するために、かつ別にRF受信機17まで受信機チャネルを通して信号取得するために、サンプルの核スピン(図示せず)に誘導的に結合する。励起および共鳴信号受信機能は、相関器15を通して非同期動作するために共通のプローブコイルをしばしば利用するが、多数のコイルが、異なる機能を果たすために頻繁に使用され、あるいは同じコイルが、さまざまな機能、例えばスピンデカップリング、フィールド周波数ロックなどを提供するために多重同調回路に使用されてもよい。受信チャネルは、通常、本明細書では簡略化のためにまとめてRF受信機17として示すが、前置増幅器およびRF復調器、位相検出器、アナログーディジタル変換器(ADC)、およびさまざまな信号処理装置を含む。ディジタル処理装置14は、平均化、フーリエ変換、記憶、励起制御、および一般的な装置モニター機能を果たす。最近になって、これらの機能の中には、直接ディジタル受信機に統合されるものがあるが、このような変形例は、本プローブ回路調整装置の理解または操作にとって重要ではない。入力/出力モジュールは、処理装置14の命令、データ表示の準備、および一般的なオペレータ介入を提供する。プローブは、図示した冷凍装置13によって、極低温で動作する。プローブ12の冷却は、プローブ12内に位置決めされる熱交換器を通して冷却剤(通常ヘリウム)の循環に伴って生じる。プローブ12全体は、軸伸張して、そのプローブのRFコイルを最大磁場均一性の位置に置く一方で、他のプローブ部品をその位置から遠ざける。
【0008】
図2は、極低温冷却NMRプローブを構成する各部品の模式図である。真空気密ハウジング40は、RFコイル44および熱センサ46を支持するコールドヘッドベース42を含むコールドヘッドを取り囲む。ヒータ48は、熱交換機50におけるベース42に熱接合される。熱規制装置は、信号Tを利用して、熱交換器50を通るコールドヘッドベース42からの熱伝達の熱的平衡をとるためにヒータ48を制御し、それによって選択された温度で動的熱平衡を確立する。熱規制回路(図示せず)および極低温冷凍機(図示せず)の詳細は、本発明の範囲外であり、かつ周知である。
【0009】
NMR測定中、数ワットまでの範囲のRF出力が、持続期間においてマイクロ秒からミリ秒に及ぶパルスとして、RFコイル44に与えられる。(本熱交換器は、記載した範囲のRF出力を連続的に与えることができるが、このことは最新NMR研究ではめったに実施されない。)RFコイル44に使われるRF出力のかなりの割合は、ハウジング40の室温ブラインドボア52内のサンプルに結合しない。この浮遊出力は、コールドヘッドによって吸収されかつ熱交換器50を通して流動冷却剤(He)流まで伝達される熱出力として最後に現れる。熱条件が本来定常状態であるかむしろゆっくりと変化する多くの熱交換器の応用とは対照的に、この環境が、多くを時間に依存していることに気づくことが重要である。NMR応用では、設計された規制仕様内の熱条件を維持する能力は、繰り返しRFパルスシーケンスにさらされる熱交換器の効率によって制限される。
【0010】
本熱交換器50の断面およびその詳細を図3(a)および図3(b)に示す。ここでは表面コーティング(湿潤剤)62を支えている隣接するペレット60が、いっしょにかつ熱交換ハウジング64の内壁に接着されている。表面コーティング62は、湿潤剤であって、その湿潤剤が活性化すると所望の接着が確保される。選択された実施形態では、金属の溶融温度で融着される薄い金属化フィルムを含む。ここでの「ペレット」という語句は、その個々の本体について、何ら具体的な幾何学的形状自体を意味していない。この本体は、球形、楕円形、円筒形、凹凸形等であってもよい。しかしながら、著しい平面領域を有する多角形の本体は、明らかにほとんどの目的にとって好ましくない。本目的のために、いくつかの平面部分、例えば、円筒の端面を有するペレットは、実質的な非平面を含むが、それはそのような面において、そのペレットが詰め込まれた集合体が隣接するペレットに点でまたは線に沿って接触する。これらのペレットは、「水力直径」(hydraulic diameter)Dの断面を規定する寸法を有するハウジング内に配設される。水力直径は、非円形形状または凹凸形状の通路で流体流特性を分析しかつ比較する際には周知の計算上便利なものである。寸法に関しては、ペレットは、0.05D〜0.25Dの範囲の最大幅を有する。
【0011】
プロトタイプ熱交換器は、直径0.04”(”はインチを表す。以下同じ。)、軸長0.05”の円筒形銅セグメントを用いて構成されている。各セグメントは、薄膜(融着の前には厚さ0.0003”)の形の湿潤剤コーティングを支持している。被覆ペレットは、ハウジング(この例では、直径0.375”、総寸法2.5”の円筒)を充填する。詰め込まれたペレットは、錫の溶融温度、すなわち湿潤剤を活性化するのに十分な温度にさらされ、一方適度な圧縮力(約10psi)が、熱交換器ハウジングの平面に印加される。錫が溶融するにつれて、隣接するペレットは、密接な点接触をし、かつかけられた圧力および表面張力は、各接合点に近接する溶融錫の一部分を引っ張って、そのような接合点を錫ジャケットで囲む。これらの結果、そのような点および周囲の錫ジャケットを通して優れた熱伝導が生じる。ジャケット点接触間のペレット表面領域では、被覆厚みはさらに減じられ、それによってペレット間のボイドの容積を増す。例えば、ボイドのマトリックスを流れている流体冷却剤についての熱伝達面積を増す。望ましくは、マトリックスの容積成分は、55〜70%の範囲のペレット材料で、その残りがボイドである。ランダムなペレット形状および/または配向により、マトリックスを通して流体伝導度に等方性が得られる。便宜上、本プロトタイプにおいて円筒形ペレットが、使用されている。
【0012】
NMRプローブ内に配設するための好ましい実施形態では、ペレットは、非常に低い電気伝導率、高い熱伝導率、および高い熱容量を示す材料を含む。(低電気伝導特性は、急速に変化しているRFおよび/または磁場に近接して熱交換器が配設されるような応用をある程度高める一因となる。)ペレット特性は、相互接触しているペレットの集合体全体で総熱伝導度を達成するために、他のペレットとの相互接着または表面付着を(おそらく湿潤剤とともに)形成する能力を有する。本発明では、隣接するペレットの接触面間ならびに熱交換器ハウジングとそれに隣接するペレット面との間の接着を行う方法について区別しない。融着、ろう付けなどは、隣接するペレットの接触面の表面接合を得るための等価な工程とみなされる。実際には、この後者の特性は、表面コーティング材料が、ペレット材料として満足できる湿潤剤でありかつペレット材料の融点に対して低い融点を示す場合には、表面コーティング62をペレット60に施すことによって得られる。ペレット60のマトリックスは、コーティング材料62を溶融することあるいは冷間圧接または他の適切な接着により、ハウジング内のペレット60の集合体を互いにかつ熱交換器ハウジング64の内面に融着することによって形成される。接着されたペレットの結果として生じるマトリックスは、ペレット材料の高熱伝導率によって特徴づけられる多孔質容積を示す。
【0013】
複合体として、被覆ペレット60を、所望の電気伝導性および熱伝導性を全体すなわちバルク特性として得ることができる。本アプローチの例となるのは、ペレット材料としてのサファイアの使用であり、それによってケルビン温度25Kで5×10ワット/メートル・K、25Kで0.7ジュール/キログラムの熱伝導率で電気伝導率0を得る。ペレット面に施される金属化が実際に使用されてきたことは上に述べた。本発明では、銅ペレット上に0.0003”の厚さまでめっきされた錫の膜は、湿潤剤として、代表的なかつ容易に管理されるコーティングとして使用されてきた。金属化は、低い電気伝導率が必要であることと矛盾するが、その結果確実な接着剤が生じる。金属化面は、サンプルのパルス化RF励起によって誘導される(望ましくない)渦電流を支持することができる。これらの渦電流は一方、次にサンプルの位置での磁場均一性を妨げることがある寄生磁場成分を支持することができる。したがって、この領域に近接する伝導性材料の存在を減じるのが望ましく、かつそのような減少は、(伝導性)材料の伝導率および量のいずれかまたは両方で達成される。
【0014】
銅は、このプロトタイプについてペレット材料として使用されたが、その選択は、NMRプローブのパルス化RFおよび/または勾配磁場に近接する電気伝導性材料の量の減少が必要であることに鑑み、優先すべきではない。低電気伝導率特性は、NMRプローブとの関連で経験されるような、変化しているRF場または磁場に近接する伝導性材料の質量の望ましい減少の代用として好ましい。過渡的なRF場または磁場の有害な影響がない、あるいは無関係であるという状況では、ペレット材料の電気伝導率特性は重要ではない。
【0015】
本発明の多孔質熱交換器は、固体銅体を用いたこの特定の環境における先行技術の熱交換器の代わりに、流体からその本体までの熱伝達のための機械加工流体通路溝を用いる。先行技術は、RFコイルに近接する固体電気導体の量を特徴付けるが、導体のこの量は、そのような先行技術と比較して、本発明の熱交換器について大きく減じられることがすぐ認識される。当業者は、RFコイルに近い伝導材料の減少には、そのような近接伝導構造に誘導される寄生渦電流の減少が伴うことを理解するだろう。結果として、渦電流効果(熱交換器構造に誘導される)から広がる寄生磁場から生じるRF共鳴背景信号は、著しく減じられる。本発明では、本熱交換器の効率が、先行技術の固体銅熱交換器の効率を超えて高められたことにより、RFコイルに近接する伝導性材料の量が大きく減じられる。このことから、NMRスペクトルについての信号対雑音パラメータが高められる。
【実施例】
【0016】
本熱交換器を極低温冷却NMRプローブに導入する前に、さまざまな設計の熱交換器が構築され、かつ効率についてベンチテストされた。この目的のために、効率は、熱負荷/(Theat exchanger - Tout)と定義される。すなわち、効率的な熱交換器は、気体を熱交換器の温度のもっと近くまで加熱する。これらの候補設計は、総寸法が同じであることを特徴とし、かつ主に熱伝達媒体が異なっていた。熱交換媒体の面積が、流動気体と接触することによって熱交換を促進することは明らかである。4つの異なる熱交換器:(1)本明細書で開示する「ペレット」構成;(2)機械加工螺旋溝通路装置、例えば、先行技術;(3)遮蔽通路装置;および(4)「ウール」装置を比較した。
【0017】
機械加工螺旋溝は、記載したように、密接嵌着されかつ気密封止された銅ハウジングに収納された銅シリンダ上の溝として機械加工された第1および第2組の螺旋巻きを含んでいた。溝の総長さにより、冷却剤流にさらされる測定総面積が得られた。遮蔽装置は、類似の複数の穿孔開口板によって間隔が開けられた複数の銅織布板を含む。ウール装置は、熱交換器ハウジングに詰め込まれる銅線の測定された重量(直径0.002”)を使用した。表1は、熱交換媒体面積および測定効率を示す。
【0018】
【表1】

【0019】
これらの例の各々の面積は、簡単な幾何学形状から得られ、あるいは銅ウールの例についての面積は、総重量および銅繊維寸法から得られる。本発明のペレット型熱交換器については、(均一な公知寸法の)被覆ペレットが、利用可能な最大潜在熱交換面積を得るように重み付けされた。熱測定は、校正熱センサ46から、かつ温ヘリウム出口に配設される他の熱センサ(図示せず)から得られた。
【0020】
熱伝達係数は、ほぼすべての例について同じであり、かつ驚くべきことに、効率は、熱伝達媒体の面積における傾向をたどらない。銅ウール以外のいくつかの例の熱伝達要素は、すべて部品要素間の伝導性結合を享受するが、ペレット実施形態を超える(7倍より大きい)ウール装置の面積の非常に強い数的優位は、相対熱効率をより大きくすると予想される。その代わりに、本発明のペレット設計は、銅ウールの例を超える熱効率の2つの利点の倍以上を示す。本発明の熱交換器は、螺旋溝の先行技術に対して、熱効率で264%の利点を示す。このことは、現在のペレット型設計について利用可能なより大きい表面積に起因すると考えられている。ペレット型熱交換器について、上の表1に挙げた面積は、最大値であり、かつ説明したような融着工程の完了後減少すると予想されている。
【0021】
先行技術と比較して、本熱交換器により、NMRプローブについて2.6倍大きい熱伝達効率が容易になり、一方同時に伝導性材料の質量が減じられて、改良された信号対雑音特性をNMRスペクトラに提供する。
本多孔質熱交換器によって達成される熱効率の高まりは、NMRプローブの範囲内で使用するように限定されない。本発明は、本機器の極低温冷凍システムの他の態様における動作のための熱交換器に役立つ。最新のNMR研究は、高強度の磁場および超伝導磁石を用いて達成されるすぐれた均一性を必要とする。極低温で動作する熱交換器の高効率という利点は、そのようなシステムのための極低温式冷凍システムに役立つ。この使用態様では、ペレット部品の電気伝導率の厳しい制約は、熱交換器がRFフィールドからかなり遠く離れることができるので緩和される。しかしながら、熱交換器について熱効率の高まりを実現することにより、より厳しい(小さい)寸法的制約が可能である装置が得られる。よって、所望の高熱伝導性は、好適に被覆される別個の銅ペレットから得られてもよい。極低温装置の他の態様において使用するためのそのような熱交換器は、厚さがほぼ0.0003”の錫膜で被覆された、直径0.04”、長さ0.08”の銅ペレットを用いて構成されてきた。本実施形態は、螺旋流体通過機械加工溝を支えている、外径が4.3”、内径が2.4”、長さが2.4”の固体銅シリンダに基づく先行技術の熱交換器に取って代わった。等しいまたはよりよい熱出力伝達は、軸長が0.6”、すなわち400%減少したならびに6.9ポンドから1.8ポンドまで重量が減少した装置で達成された。よって、本熱交換器に必要なコストおよび質量が大きく減じられる一方、熱交換効率が8ワット/K〜90ワット/Kまで増加された。
【0022】
本発明を、特定の実施形態および実施例を参照して説明してきたが、他の修正および変更例は、上述の教示に鑑みて当業者に生じるだろう。熱交換機ペレットについての金属化面の使用は、簡単な製造方法について本明細書で説明しているが、ペレット対ペレット接着の他の形が可能である。添付の請求の範囲内で、本発明は、具体的に説明した以外で実施されてもよいことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0023】
40 真空機密ハウジング
42 コールドヘッドベース
44 RFコイル
46 熱センサ
48 ヒータ
50 熱交換機
52 室温ブラインドボア
60 ペレット
62 表面コーティング
64 熱交換ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温冷却装置において動作する熱交換器であって、
水力寸法Dの断面を規定する内面を有する熱伝導性のハウジングと、
前記ハウジングに詰め込まれた複数のペレットとを備え、
各ペレットは、熱伝導性でありかつ隣接するペレットに接着される関係にある実質的な非平面を備え、前記内面は、それに隣接するペレットの表面の一部分と接着される関係にあり、
前記ペレットは、0.05D〜0.25Dの範囲の特徴寸法を備える多孔質マトリックスを形成することを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器は、NMRプローブのコールドヘッドに配設される、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
各前記ペレットは、電気伝導率の熱伝導率との比が1より小さい材料を備える、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
各前記ペレットは、表面コーティングを有し、前記表面コーティングは、隣接するペレットとの接着を確保するための湿潤剤を備える、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記表面コーティングは、前記ペレット材料の融点より低い融点を有する材料を備える、請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
熱伝導ペレットの多孔質アレイを備える熱交換器を製造する方法であって、前記ペレットは、実質的な非平面を備え、
a)熱交換器ハウジングを提供する工程と、
b)前記ハウジングを充填するのに十分な複数の前記ペレットを提供する工程と、
c)前記ペレットの接触面を相互接着して、ペレットのアレイを形成し、かつ前記アレイの表面を前記ハウジングの前記内面に接着する工程とを含む、方法。
【請求項7】
前記c)の接着工程は、前記ペレットの前記表面および前記ハウジングの前記内面に湿潤剤を塗布する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ペレットに圧力をかけつつ、前記ハウジングおよび前記ペレットを、前記湿潤剤を活性化するのに十分な温度まで同時に加熱する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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