融雪舗装ブロック及び融雪舗装構造
【課題】路面の舗装層に埋設した配管に加温された熱媒体を流すことによって路面の融雪ないし凍結防止を行い、更に当該配管に流した冷水に路面の熱を伝達して給湯を行うことを可能にする技術に関し、熱媒体管の設置が容易であると共に施工時間も短縮でき、また熱媒体管が損傷したときの路面の部分的な補修も容易に可能な融雪舗装構造を得る。
【解決手段】路面を舗装する舗装ブロックを基礎ブロック1と上蓋ブロック2とに二分し、基礎ブロック1には熱媒体管の位置を規定する管受部6を設け、この管受部に嵌め込んだ状態で配設した熱媒体管4を上蓋ブロック2によって上から押えて固定する。上蓋ブロック2には、熱媒体管4を押える部分に伝熱材層を設ける。又は、平面方向に熱を分散させる伝熱部材3を埋設して当該伝熱部材を熱媒体管4を押える部分に露出させる。
【解決手段】路面を舗装する舗装ブロックを基礎ブロック1と上蓋ブロック2とに二分し、基礎ブロック1には熱媒体管の位置を規定する管受部6を設け、この管受部に嵌め込んだ状態で配設した熱媒体管4を上蓋ブロック2によって上から押えて固定する。上蓋ブロック2には、熱媒体管4を押える部分に伝熱材層を設ける。又は、平面方向に熱を分散させる伝熱部材3を埋設して当該伝熱部材を熱媒体管4を押える部分に露出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、路面の舗装層に埋設した配管に加温された熱媒体を流すことによって路面を加温して当該路面の融雪ないし凍結防止を行い、更に、当該配管に流した水に太陽熱で加熱された路面の熱を伝達して給湯を行うことを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやアスファルトで舗装された路面の当該コンクリートやアスファルトの層内に金属管や樹脂管を埋設し、地上の温度が低くなって路面に積雪や凍結のおそれが生じたときに、埋設した金属管や樹脂管に温水その他の熱媒体を流すことにより、舗装面を内部から加温し、その熱で路面の融雪や凍結防止を行う技術は公知である。
【0003】
この従来の融雪舗装構造は、平らな基礎面を形成して、その上に金属管や樹脂管からなる熱媒体管をジグザグ状に配置し、これを埋め込むように下地コンクリート層を施工し、その上に表面舗装を施すというものである。路面に積雪や凍結のおそれがあるときは、ボイラなどで加温した水その他の熱媒体を熱媒体管に流して路面を内部から暖め、その熱で路面の融雪や凍結防止を行う。
【特許文献1】特開2003−239215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の融雪舗装構造は、基盤上に熱媒体管を配置するときの管の位置決めや固定が面倒で時間がかかること、熱媒体管を埋設した下地コンクリート層が硬化した後でなければ路面の転圧仕上げを行うことができないことなどのために、施工が面倒で時間がかかるという問題があった。また、地盤の不等沈下や不等隆起によって熱媒体管が損傷したとき、これを部分的に補修することが非常に困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、熱媒体管の設置が容易であると共に施工時間も短縮でき、また熱媒体管が損傷したときの路面の部分的な補修も容易に可能な融雪舗装構造を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、基盤上に敷設することによって路面を舗装する舗装ブロックを基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)とその上に覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とに二分し、基礎ブロック1には路面下に配置される熱媒体管の位置を規定する管受部6(6a、6b)を設けておき、この管受部に嵌め込んだ状態で配設した熱媒体管4を基礎ブロック1上に覆着される上蓋ブロック2によって上から押えて固定する構造の融雪舗装ブロックを提供するものである。
【0007】
熱媒体管4は、基礎ブロック1の上面周縁部に設けた管受部6により基礎ブロック1上で位置決めされている。管受部6は、基礎ブロック1の周縁部に成形した凹部6aや、基礎ブロック1の周縁部に植立され又は固定されたピンや金具6bにより形成できる。上蓋ブロック2には、管受部6で位置決めされた熱媒体管4の周面に面接触する伝熱溝10を形成する。
【0008】
上蓋ブロック2には、熱媒体管4の間の伝熱を促進する構造を備えさせる。また、基礎ブロック1側には、断熱性を高める構造を付与する。これにより、熱媒体管4を流れる熱媒体の熱が効率よく路面に伝達され、太陽光による路面の熱が効率よく熱媒体管を流れる熱媒体に伝えられる。
【0009】
基礎ブロック1に断熱性を付与する構造としては、例えば、ブロックのコンクリートに微細気泡や断熱材を混入し、あるいは熱媒体管4との間に断熱材層26や空気層5を設ける。また、基礎ブロック1の底面に断熱材層や浅い凹所27を設けることにより、基盤と基礎ブロック1との間の断熱性を高めることができる。上蓋ブロック2の伝熱性を高める構造としては、例えば、金属粉などの熱良導体を混入したコンクリートで上蓋ブロック2を成型する構造、熱媒体管4を押える伝熱溝10の周面に瀝青、タールなどの可塑性を備えた伝熱材層30を設ける構造が採用できる。更に、熱媒体管4を押える伝熱溝10の溝面に露出する円弧屈曲部11を設けた熱良導体の伝熱板3を埋設成型することにより、熱媒体管4と路面との間の効率の良い伝熱を図ることができる。
【0010】
基礎ブロック1及び上蓋ブロック2は、必ずしも平面形状を同一にしなくてもよいが、共に一又は複数種の平面形状のものを敷き並べることによって、隣接する基礎ブロック相互及び隣接する上蓋ブロック相互並びに基礎ブロック1とその上に覆着される上蓋ブロック2との位置関係が規定される形状とする。また、上蓋ブロック2は、一種又は複数種の形状の組合せによって目地を除いて隙間なく敷き並べることができる平面形状とする。
【0011】
隣接する基礎ブロック相互及び上蓋ブロック相互は、その外周辺の当接ないし嵌合により位置決めされる。基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)とその上に覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とは、その当接面、すなわち基礎ブロックの上面と上蓋ブロックの下面とに設けた凹凸5、9の嵌合により、又は両ブロック間で位置固定されている熱媒体管4を介して水平方向に位置決めされる。
【0012】
本願の請求項1の発明に係る融雪舗装ブロックは、平面に敷設される基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とを備え、基礎ブロック1は上蓋ブロック2との間に配置される熱媒体管4の配管位置を規定する管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記管受部で位置設定された熱媒体管4の周面に接触する伝熱溝10を備えている融雪舗装ブロックである。
【0013】
本願の請求項2の発明に係る融雪舗装ブロックは、多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とからなり、基礎ブロック1はその周縁2箇所に管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝10を備えており、前記伝熱溝の溝面に可塑性伝熱材層30を備えている融雪舗装ブロックである。
【0014】
また、本願の請求項3の発明に係る融雪舗装ブロックは、多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とからなり、基礎ブロック1はその周縁2箇所に管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝10を備えており、前記伝熱溝の溝面に上蓋ブロック内に埋設された伝熱板3(3a、3c)の円弧屈曲部11が露出している融雪舗装ブロックである。
【0015】
本願の請求項6の発明に係る融雪路面構造は、敷設された多数の基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着された上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)と、基礎ブロック1と上蓋ブロック2とで挟持された状態で当該多数の基礎ブロック上に配設された熱媒体管4とを備え、前記上蓋ブロックは、前記熱媒体管の周面に接触する伝熱溝10を備えている融雪路面構造である。
【0016】
本願の請求項7の発明に係る融雪路面構造は、上記請求項6記載の構造を備えた融雪路面構造において、前記上蓋ブロックに埋設設置されて前記伝熱溝の溝面に露出して前記熱媒体管の周面に接触する伝熱板3(3a、3c)を備えていることを特徴とする融雪路面構造である。
【0017】
この発明の融雪舗装構造は、平面に仕上た基盤面上に基礎ブロック1を敷き並べ、それによって形成される複数の管受部6に熱媒体管4を嵌め込んで配置し、その上に上蓋ブロック2を覆着して目地7をモルタル等で埋めることによって施工される。熱媒体管4として可撓性のある樹脂管を用いることにより、敷設された基礎ブロック1上への熱媒体管4の配置及び位置決めを極めて迅速かつ容易に行うことができる。
【0018】
基礎ブロック1上に配置された熱媒体管4は、その外周上面を上蓋ブロック2の伝熱溝10の周面に面接触した状態で固定される。伝熱溝10の周面に可塑性の伝熱材層30を設けることにより、上蓋ブロック2と熱媒体管4との良好な密着性が得られる。また、上蓋ブロック2に埋設した伝熱部材3の露出部分11によって上から押接されて固定される。熱媒体管4の外周上面と伝熱部材3とが直接接触しているため、熱媒体管4に流した媒体の熱が伝熱部材3に伝えられて上蓋ブロック2に平面的に拡散される。
【0019】
本願の請求項4の発明に係る融雪舗装ブロックは、平面に敷設される基礎ブロック1cと、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック2cとを備え、基礎ブロック1cは上面に光電変換器15を収納した凹所5を備えてその周縁に熱媒体管4の配管位置を規定する管受部6と前記光電変換器のケーブルを挿通する配線溝18とを備え、上蓋ブロック2cは前記位置規定された熱媒体管の周面に接触する伝熱部材3cと前記凹所に対向する透明体窓20とを備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また本願の請求項5の発明に係る融雪舗装ブロックは、上記請求項3記載の手段を備えた融雪舗装ブロックにおいて、前記透明体窓20の透明体が、通過する光を屈折ないし全反射させて前記光電変換器15に集光させることを特徴とするものである。光を屈折させる透明体は、例えばロッドレンズであり、光を全反射させる透明体は、例えばプリズムである。
【0021】
上記構造のブロックを用いて施工した舗装構造は、寒冷時には熱媒体管4にボイラなどで加熱した温水などを流してその熱を路面に伝えることにより融雪ないし凍結防止を行い、夏季には路面の熱を熱媒体管4を流れる冷水などに伝熱して給湯の熱源として用いることができ、また晴天時には光電変換器(ソーラーパネル)15で太陽熱発電を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の融雪舗装ブロックを用いた舗装構造によれば、寒冷地には熱媒体管4に加温媒体を流すことによって路面を加温して、積雪や凍結を防止することができ、一方、夏季においては、太陽熱で加熱された路面の熱を熱媒体管4を流れる水、その他の熱媒体に吸収させて給湯などの熱源として利用できると共に、路面の温度上昇が抑えられてヒートアイランド現象を抑制することができる。
【0023】
この発明の路面舗装構造は、基盤上に敷き並べた基礎ブロック1管受部6に嵌め込むことによって熱媒体管4の位置決めが行われるので、熱媒体管4の設置作業が極めて迅速かつ容易に行うことができると共に、熱媒体管4の設置後、すぐに上蓋ブロック2の敷設を行うことができ、従来のように熱媒体管を埋設したコンクリート層の硬化を待つ必要がないので、施工時間も大幅に短縮できる。
【0024】
また、熱媒体管4が損傷したときに、路面の一部の上蓋ブロック2を除去し、更に必要があれば一部の基礎ブロック1を除去して、基盤面を補修して要すれば新たな基礎ブロック1敷設し、切断除去した熱媒体管4を繋ぎ直して新しい上蓋ブロック2を敷設するという作業で、部分的な路面の補修を行うことができるという効果がある。
【0025】
また、上蓋ブロック2に設けた伝熱溝10に可塑性の伝熱材層30を設けることにより、上蓋ブロック2と熱媒体管4とが密着して両者の間の良好な伝熱が得られる。また、上蓋ブロック2内に埋設した熱良導体からなる伝熱部材3で熱媒体管4の上面を押圧して固定する構造を採用することにより、路面と熱媒体管4を流れる熱媒体との間の伝熱効率を向上させて、熱効率の向上を図ることができる。
【0026】
また、上蓋ブロック2cに透明体窓20を設けて、基礎ブロック1cの凹所5に配置した光電変換器15に太陽光を照射する構造とすれば、晴天時に路面に降り注ぐ太陽光で発電を行うことができ、広大な面積を占める道路面にこのような舗装構造を施工することによって、相当量の電力の供給を賄うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図1は第1実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図で、1a及び1xは基礎ブロック、2a及び2xは上蓋ブロックであり、これらは共にコンクリート成型工場内で成型されたコンクリート二次製品である。基礎ブロック1aの斜視図を図2に、上蓋ブロック2aの断面図を図3に、上蓋ブロック2aに埋設されている伝熱板3aの斜視図を図4にそれぞれ示してある。
【0028】
基礎ブロック1a、1x及び上蓋ブロック2a、2xは、平面視で同形の正方形である。基礎ブロック1a、1xの上面には、熱媒体管4の径より僅かに深い正方形状の凹所5が形成されている。基礎ブロック1aの縁部分の対向2辺の中央には、最低部がこの凹所5の底面と同一深さとなるU字状の管受部6aが形成されている。舗装構造の両側辺に配置される基礎ブロック1xの管受部6aは、隣接する2辺に設けられ、熱媒体管4は、これらの基礎ブロック1xの凹所5内で90度屈曲している。
【0029】
熱媒体管4は、これらの基礎ブロック1a、1xの管受部6aで途中を位置決めされた状態で、舗装構造の基礎ブロック1a、1xと上蓋ブロック2a、2xとの間にジグザグ状に配置されている。熱媒体管4と接する管受部6aの底部には、発泡コンクリートなどの半円環状の断熱体を埋設しておくのが好ましい。
【0030】
基礎ブロック1a、1xの管受部6aを設けた部分の外側側面に、ブロックを敷設するときの目地7の幅に相当する突出部8が成型されている。
【0031】
上蓋ブロック2a、2xは、基礎ブロックの凹所5に嵌合する、熱媒体管4の半径と略等しい高さの突部9を備えている。この突部9と凹所5との嵌合により、上蓋ブロック2a、2xは基礎ブロック1a、1x上に位置決めして載置される。上蓋ブロック2a、2xの突部9には、対向する凹所5内の熱媒体管4の延在方向に沿う方向、すなわち、上蓋ブロック2aにおいては直線状で、上蓋ブロック2xにおいては90度円弧状の逆U字方の伝熱溝10が形成されている。この伝熱溝10の深さは、上蓋ブロック2a、2xを基礎ブロック1a、1xに覆着したときに、管受部6a及び凹所5の底面との間で熱媒体管4の上下を挟持する深さである。
【0032】
上蓋ブロックの突部9は、凹所5の底面に達する高さを備えていなくてもよい。凹所5の底面と突部9の下面との間に形成される空間は断熱空間となる。
【0033】
伝熱溝10は、少なくとも熱媒体管4の外周上半分を覆う深さで形成され、その周面には図4に示す伝熱板3aの円弧屈曲部11が露出している。すなわち、伝熱板3aは、その円弧屈曲部11が伝熱溝10の底面に露出するうようにして、かつその両側に延びる伝熱羽根12を上蓋ブロック2aに埋設した状態で設けられている。
【0034】
伝熱板3aは、上蓋ブロック2の補強を兼ねた鉄板製とし、中央に伝熱管4の上面に面接触する円弧屈曲部11を形成し、その両側に一体に延びる伝熱羽根12を上蓋ブロック2a内に埋設して、円弧屈曲部11の熱が上蓋ブロック2a全体に伝熱されるようにする。伝熱羽根12には、上向きの多数の切起し13を設けて、ブロック上面側への伝熱面積を大きくしている。
【0035】
図1に示す舗装構造体は、平面に転圧した基盤上に基礎ブロック1a、1xを底面を敷きモルタルで固定して敷設し、その上に熱媒体管4を管受部6aに嵌装して、構造体側辺の基礎ブロック1xの部分で90度ずつ屈曲してUターンさせながら、ジグザグに配置し、その上に上蓋ブロック2a、2xをモルタルで接合して覆着し、ブロックの隙間に目地モルタルを埋めることにより構築される。熱媒体管4の端部は、従来構造と同様な接続ブロックを用いて、温水ボイラ等への配管と接続する。
【0036】
図5は第2実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図で、1b、1yは基礎ブロック、2b、2yは上蓋ブロックである。図6は上蓋ブロック2bを下方から見た斜視図、図7は熱媒体管4が配置されている部分の部分断面図である。
【0037】
第2実施形態における基礎ブロック1b、1y及び上蓋ブロック2b、2yは、平面視で同形の矩形で、基礎ブロック1b、1yの短辺中央には、ブロックを持上げるときの手掛けとなる凹所25が形成されている。基礎ブロック1b、1yの上面は、断熱材層26を設けた平らな平面であり、下面には断熱空気層となるブロック長手方向の浅い凹所27が形成されている。断熱材層26は、例えば微細気泡を含むセラミックコーティング層、発泡樹脂の塗布層、樹脂シート等である。断熱材層26及び凹所27は、熱媒体管4から基盤ブロック1b、1xや道路基盤に熱が伝わることにより生ずる熱損失を減らすために設けたものである。
【0038】
基礎ブロック1a、1x上に伝熱管4を位置決めする管受部6bは、基礎ブロック1a、1xの周縁に成形した一対のピン孔28に差込んだ一対のピンで形成している。
【0039】
上蓋ブロック2a、2xの下面には、管受部6bで基礎ブロック1a、1x上に位置決めされた熱媒体管4の延在方向に沿う方向、すなわち、上蓋ブロック2aでは2本の平行な直線状で、舗装構造の端辺の上蓋ブロック2xではU字状又は互いに背反する方向に90度屈曲する2本の円弧状の伝熱溝10が形成されている。
【0040】
第2実施形態の伝熱溝10は、図7に示すように断面台形で、熱媒体管4の半径よりも深い深さである。伝熱溝10の両端の管受部6bと対抗する部分には、溝幅を拡げた形状の凹部31が設けられている。伝熱溝10の内面には可塑性がある瀝青やピッチなどを塗着した伝熱材層30が設けられ、この伝熱材層30が伝熱溝10と熱媒体管4の間に充填されて、両者の間に形成される空気層により伝熱効率が低下するのを防止している。
【0041】
基盤上に基礎ブロック1b、1yに敷設してその上に熱媒体管4を配置し、そのあと上蓋ブロック2b、2yがモルタルなどで接合した状態で覆着される。上蓋ブロック2b、2yは、基礎ブロック1b、1yに覆着されるときに、対応する基礎ブロックの管受部6bで位置決めされた熱媒体管4に伝熱溝10が嵌合することにより、位置決めされる。伝熱溝10を台形断面とすることにより、上蓋ブロック2b、2yの正確な位置決めが可能である。
【0042】
図8は、第3実施形態の舗装構造を一部破壊して示す部分斜視図である。この第3実施形態は、路面下への熱媒体管4の配設と太陽熱発電を行うための光電変換器15を内蔵している。図9及び図10はこの第3実施形態の上蓋ブロック2cの斜視図及び断面図、図11は基礎ブロック1cの斜視図、図12は上蓋ブロックに埋設される伝熱板3cの斜視図である。
【0043】
基礎ブロック1cには、第1実施形態と同様な凹所5が設けられており、その対向2辺(舗装構造の側辺に配置される基礎ブロックでは隣接2辺)には、熱媒体管4用の管受部6aと配線溝18との2個の溝部が設けられている。管受部6aには、第1実施形態と同様に、熱媒体管4が配置され、配線溝18は、光電変換器15に接続される電気ケーブル19の通路となっている。凹所5の底面には、光電変換器(ソーラパネル)15が固定されており、このソーラパネル15に接続されるケーブル19が配線溝18を通って配線されている。
【0044】
上蓋ブロック2cは、第1実施形態と同様に、下面に基礎ブロックの凹所5と嵌合する突部9を備えており、この突部に基礎ブロックの管受部6aと対向する位置を両端とする伝熱溝10が設けられている。上蓋ブロック2cは、この伝熱溝10の両側部分に、ポリカーボネートなどの透明樹脂や強化ガラス製の透明体を嵌め込んだ透明体窓20を備えている。上蓋ブロック2cに埋設される伝熱板3cは、図12に示すように、透明体窓20部分に切抜き窓21を設けた形状となっている。
【0045】
この第3実施形態のブロックで施工された融雪舗装構造は、寒冷時に熱媒体管4に温媒体を流して路面の融雪や凍結防止を行い、夏季には路面の熱を熱媒体管4を流れる冷媒体に伝熱して給湯設備などの熱源とするほか、晴天時には光電変換器15の発電電気をバッテリーに蓄えて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図
【図2】第1実施形態の基礎ブロックの斜視図
【図3】同上蓋ブロックの断面図
【図4】同上蓋ブロックに埋設されている伝熱板の斜視図
【図5】第2実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図
【図6】第2実施形態の上蓋ブロックを下方から見た斜視図
【図7】第2実施形態の熱媒体管配置部分の部分断面図
【図8】第3実施形態の舗装構造を一部破壊して示す部分斜視図
【図9】第3実施形態の上蓋ブロックの斜視図
【図10】同断面図
【図11】第3実施形態の基礎ブロックの斜視図
【図12】第3実施形態の上蓋ブロックに埋設されている伝熱板の斜視図
【符号の説明】
【0047】
1a〜1c,1x,1y 基礎ブロック
2a〜2c,2x,2y 上蓋ブロック
3a,3c 伝熱板
4 熱媒体管
5 凹所
6a,6b 管受部
9 突部
10 伝熱溝
11 円弧屈曲部
15 光電変換器
18 配線溝
20 透明体窓
26 断熱材層
27 凹所
30 伝熱材層
【技術分野】
【0001】
この発明は、路面の舗装層に埋設した配管に加温された熱媒体を流すことによって路面を加温して当該路面の融雪ないし凍結防止を行い、更に、当該配管に流した水に太陽熱で加熱された路面の熱を伝達して給湯を行うことを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやアスファルトで舗装された路面の当該コンクリートやアスファルトの層内に金属管や樹脂管を埋設し、地上の温度が低くなって路面に積雪や凍結のおそれが生じたときに、埋設した金属管や樹脂管に温水その他の熱媒体を流すことにより、舗装面を内部から加温し、その熱で路面の融雪や凍結防止を行う技術は公知である。
【0003】
この従来の融雪舗装構造は、平らな基礎面を形成して、その上に金属管や樹脂管からなる熱媒体管をジグザグ状に配置し、これを埋め込むように下地コンクリート層を施工し、その上に表面舗装を施すというものである。路面に積雪や凍結のおそれがあるときは、ボイラなどで加温した水その他の熱媒体を熱媒体管に流して路面を内部から暖め、その熱で路面の融雪や凍結防止を行う。
【特許文献1】特開2003−239215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の融雪舗装構造は、基盤上に熱媒体管を配置するときの管の位置決めや固定が面倒で時間がかかること、熱媒体管を埋設した下地コンクリート層が硬化した後でなければ路面の転圧仕上げを行うことができないことなどのために、施工が面倒で時間がかかるという問題があった。また、地盤の不等沈下や不等隆起によって熱媒体管が損傷したとき、これを部分的に補修することが非常に困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、熱媒体管の設置が容易であると共に施工時間も短縮でき、また熱媒体管が損傷したときの路面の部分的な補修も容易に可能な融雪舗装構造を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、基盤上に敷設することによって路面を舗装する舗装ブロックを基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)とその上に覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とに二分し、基礎ブロック1には路面下に配置される熱媒体管の位置を規定する管受部6(6a、6b)を設けておき、この管受部に嵌め込んだ状態で配設した熱媒体管4を基礎ブロック1上に覆着される上蓋ブロック2によって上から押えて固定する構造の融雪舗装ブロックを提供するものである。
【0007】
熱媒体管4は、基礎ブロック1の上面周縁部に設けた管受部6により基礎ブロック1上で位置決めされている。管受部6は、基礎ブロック1の周縁部に成形した凹部6aや、基礎ブロック1の周縁部に植立され又は固定されたピンや金具6bにより形成できる。上蓋ブロック2には、管受部6で位置決めされた熱媒体管4の周面に面接触する伝熱溝10を形成する。
【0008】
上蓋ブロック2には、熱媒体管4の間の伝熱を促進する構造を備えさせる。また、基礎ブロック1側には、断熱性を高める構造を付与する。これにより、熱媒体管4を流れる熱媒体の熱が効率よく路面に伝達され、太陽光による路面の熱が効率よく熱媒体管を流れる熱媒体に伝えられる。
【0009】
基礎ブロック1に断熱性を付与する構造としては、例えば、ブロックのコンクリートに微細気泡や断熱材を混入し、あるいは熱媒体管4との間に断熱材層26や空気層5を設ける。また、基礎ブロック1の底面に断熱材層や浅い凹所27を設けることにより、基盤と基礎ブロック1との間の断熱性を高めることができる。上蓋ブロック2の伝熱性を高める構造としては、例えば、金属粉などの熱良導体を混入したコンクリートで上蓋ブロック2を成型する構造、熱媒体管4を押える伝熱溝10の周面に瀝青、タールなどの可塑性を備えた伝熱材層30を設ける構造が採用できる。更に、熱媒体管4を押える伝熱溝10の溝面に露出する円弧屈曲部11を設けた熱良導体の伝熱板3を埋設成型することにより、熱媒体管4と路面との間の効率の良い伝熱を図ることができる。
【0010】
基礎ブロック1及び上蓋ブロック2は、必ずしも平面形状を同一にしなくてもよいが、共に一又は複数種の平面形状のものを敷き並べることによって、隣接する基礎ブロック相互及び隣接する上蓋ブロック相互並びに基礎ブロック1とその上に覆着される上蓋ブロック2との位置関係が規定される形状とする。また、上蓋ブロック2は、一種又は複数種の形状の組合せによって目地を除いて隙間なく敷き並べることができる平面形状とする。
【0011】
隣接する基礎ブロック相互及び上蓋ブロック相互は、その外周辺の当接ないし嵌合により位置決めされる。基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)とその上に覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とは、その当接面、すなわち基礎ブロックの上面と上蓋ブロックの下面とに設けた凹凸5、9の嵌合により、又は両ブロック間で位置固定されている熱媒体管4を介して水平方向に位置決めされる。
【0012】
本願の請求項1の発明に係る融雪舗装ブロックは、平面に敷設される基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とを備え、基礎ブロック1は上蓋ブロック2との間に配置される熱媒体管4の配管位置を規定する管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記管受部で位置設定された熱媒体管4の周面に接触する伝熱溝10を備えている融雪舗装ブロックである。
【0013】
本願の請求項2の発明に係る融雪舗装ブロックは、多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とからなり、基礎ブロック1はその周縁2箇所に管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝10を備えており、前記伝熱溝の溝面に可塑性伝熱材層30を備えている融雪舗装ブロックである。
【0014】
また、本願の請求項3の発明に係る融雪舗装ブロックは、多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)とからなり、基礎ブロック1はその周縁2箇所に管受部6(6a、6b)を備え、上蓋ブロック2は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝10を備えており、前記伝熱溝の溝面に上蓋ブロック内に埋設された伝熱板3(3a、3c)の円弧屈曲部11が露出している融雪舗装ブロックである。
【0015】
本願の請求項6の発明に係る融雪路面構造は、敷設された多数の基礎ブロック1(1a〜1c、1x、1y)と、この基礎ブロックに覆着された上蓋ブロック2(2a〜2c、2x、2y)と、基礎ブロック1と上蓋ブロック2とで挟持された状態で当該多数の基礎ブロック上に配設された熱媒体管4とを備え、前記上蓋ブロックは、前記熱媒体管の周面に接触する伝熱溝10を備えている融雪路面構造である。
【0016】
本願の請求項7の発明に係る融雪路面構造は、上記請求項6記載の構造を備えた融雪路面構造において、前記上蓋ブロックに埋設設置されて前記伝熱溝の溝面に露出して前記熱媒体管の周面に接触する伝熱板3(3a、3c)を備えていることを特徴とする融雪路面構造である。
【0017】
この発明の融雪舗装構造は、平面に仕上た基盤面上に基礎ブロック1を敷き並べ、それによって形成される複数の管受部6に熱媒体管4を嵌め込んで配置し、その上に上蓋ブロック2を覆着して目地7をモルタル等で埋めることによって施工される。熱媒体管4として可撓性のある樹脂管を用いることにより、敷設された基礎ブロック1上への熱媒体管4の配置及び位置決めを極めて迅速かつ容易に行うことができる。
【0018】
基礎ブロック1上に配置された熱媒体管4は、その外周上面を上蓋ブロック2の伝熱溝10の周面に面接触した状態で固定される。伝熱溝10の周面に可塑性の伝熱材層30を設けることにより、上蓋ブロック2と熱媒体管4との良好な密着性が得られる。また、上蓋ブロック2に埋設した伝熱部材3の露出部分11によって上から押接されて固定される。熱媒体管4の外周上面と伝熱部材3とが直接接触しているため、熱媒体管4に流した媒体の熱が伝熱部材3に伝えられて上蓋ブロック2に平面的に拡散される。
【0019】
本願の請求項4の発明に係る融雪舗装ブロックは、平面に敷設される基礎ブロック1cと、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック2cとを備え、基礎ブロック1cは上面に光電変換器15を収納した凹所5を備えてその周縁に熱媒体管4の配管位置を規定する管受部6と前記光電変換器のケーブルを挿通する配線溝18とを備え、上蓋ブロック2cは前記位置規定された熱媒体管の周面に接触する伝熱部材3cと前記凹所に対向する透明体窓20とを備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また本願の請求項5の発明に係る融雪舗装ブロックは、上記請求項3記載の手段を備えた融雪舗装ブロックにおいて、前記透明体窓20の透明体が、通過する光を屈折ないし全反射させて前記光電変換器15に集光させることを特徴とするものである。光を屈折させる透明体は、例えばロッドレンズであり、光を全反射させる透明体は、例えばプリズムである。
【0021】
上記構造のブロックを用いて施工した舗装構造は、寒冷時には熱媒体管4にボイラなどで加熱した温水などを流してその熱を路面に伝えることにより融雪ないし凍結防止を行い、夏季には路面の熱を熱媒体管4を流れる冷水などに伝熱して給湯の熱源として用いることができ、また晴天時には光電変換器(ソーラーパネル)15で太陽熱発電を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の融雪舗装ブロックを用いた舗装構造によれば、寒冷地には熱媒体管4に加温媒体を流すことによって路面を加温して、積雪や凍結を防止することができ、一方、夏季においては、太陽熱で加熱された路面の熱を熱媒体管4を流れる水、その他の熱媒体に吸収させて給湯などの熱源として利用できると共に、路面の温度上昇が抑えられてヒートアイランド現象を抑制することができる。
【0023】
この発明の路面舗装構造は、基盤上に敷き並べた基礎ブロック1管受部6に嵌め込むことによって熱媒体管4の位置決めが行われるので、熱媒体管4の設置作業が極めて迅速かつ容易に行うことができると共に、熱媒体管4の設置後、すぐに上蓋ブロック2の敷設を行うことができ、従来のように熱媒体管を埋設したコンクリート層の硬化を待つ必要がないので、施工時間も大幅に短縮できる。
【0024】
また、熱媒体管4が損傷したときに、路面の一部の上蓋ブロック2を除去し、更に必要があれば一部の基礎ブロック1を除去して、基盤面を補修して要すれば新たな基礎ブロック1敷設し、切断除去した熱媒体管4を繋ぎ直して新しい上蓋ブロック2を敷設するという作業で、部分的な路面の補修を行うことができるという効果がある。
【0025】
また、上蓋ブロック2に設けた伝熱溝10に可塑性の伝熱材層30を設けることにより、上蓋ブロック2と熱媒体管4とが密着して両者の間の良好な伝熱が得られる。また、上蓋ブロック2内に埋設した熱良導体からなる伝熱部材3で熱媒体管4の上面を押圧して固定する構造を採用することにより、路面と熱媒体管4を流れる熱媒体との間の伝熱効率を向上させて、熱効率の向上を図ることができる。
【0026】
また、上蓋ブロック2cに透明体窓20を設けて、基礎ブロック1cの凹所5に配置した光電変換器15に太陽光を照射する構造とすれば、晴天時に路面に降り注ぐ太陽光で発電を行うことができ、広大な面積を占める道路面にこのような舗装構造を施工することによって、相当量の電力の供給を賄うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図1は第1実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図で、1a及び1xは基礎ブロック、2a及び2xは上蓋ブロックであり、これらは共にコンクリート成型工場内で成型されたコンクリート二次製品である。基礎ブロック1aの斜視図を図2に、上蓋ブロック2aの断面図を図3に、上蓋ブロック2aに埋設されている伝熱板3aの斜視図を図4にそれぞれ示してある。
【0028】
基礎ブロック1a、1x及び上蓋ブロック2a、2xは、平面視で同形の正方形である。基礎ブロック1a、1xの上面には、熱媒体管4の径より僅かに深い正方形状の凹所5が形成されている。基礎ブロック1aの縁部分の対向2辺の中央には、最低部がこの凹所5の底面と同一深さとなるU字状の管受部6aが形成されている。舗装構造の両側辺に配置される基礎ブロック1xの管受部6aは、隣接する2辺に設けられ、熱媒体管4は、これらの基礎ブロック1xの凹所5内で90度屈曲している。
【0029】
熱媒体管4は、これらの基礎ブロック1a、1xの管受部6aで途中を位置決めされた状態で、舗装構造の基礎ブロック1a、1xと上蓋ブロック2a、2xとの間にジグザグ状に配置されている。熱媒体管4と接する管受部6aの底部には、発泡コンクリートなどの半円環状の断熱体を埋設しておくのが好ましい。
【0030】
基礎ブロック1a、1xの管受部6aを設けた部分の外側側面に、ブロックを敷設するときの目地7の幅に相当する突出部8が成型されている。
【0031】
上蓋ブロック2a、2xは、基礎ブロックの凹所5に嵌合する、熱媒体管4の半径と略等しい高さの突部9を備えている。この突部9と凹所5との嵌合により、上蓋ブロック2a、2xは基礎ブロック1a、1x上に位置決めして載置される。上蓋ブロック2a、2xの突部9には、対向する凹所5内の熱媒体管4の延在方向に沿う方向、すなわち、上蓋ブロック2aにおいては直線状で、上蓋ブロック2xにおいては90度円弧状の逆U字方の伝熱溝10が形成されている。この伝熱溝10の深さは、上蓋ブロック2a、2xを基礎ブロック1a、1xに覆着したときに、管受部6a及び凹所5の底面との間で熱媒体管4の上下を挟持する深さである。
【0032】
上蓋ブロックの突部9は、凹所5の底面に達する高さを備えていなくてもよい。凹所5の底面と突部9の下面との間に形成される空間は断熱空間となる。
【0033】
伝熱溝10は、少なくとも熱媒体管4の外周上半分を覆う深さで形成され、その周面には図4に示す伝熱板3aの円弧屈曲部11が露出している。すなわち、伝熱板3aは、その円弧屈曲部11が伝熱溝10の底面に露出するうようにして、かつその両側に延びる伝熱羽根12を上蓋ブロック2aに埋設した状態で設けられている。
【0034】
伝熱板3aは、上蓋ブロック2の補強を兼ねた鉄板製とし、中央に伝熱管4の上面に面接触する円弧屈曲部11を形成し、その両側に一体に延びる伝熱羽根12を上蓋ブロック2a内に埋設して、円弧屈曲部11の熱が上蓋ブロック2a全体に伝熱されるようにする。伝熱羽根12には、上向きの多数の切起し13を設けて、ブロック上面側への伝熱面積を大きくしている。
【0035】
図1に示す舗装構造体は、平面に転圧した基盤上に基礎ブロック1a、1xを底面を敷きモルタルで固定して敷設し、その上に熱媒体管4を管受部6aに嵌装して、構造体側辺の基礎ブロック1xの部分で90度ずつ屈曲してUターンさせながら、ジグザグに配置し、その上に上蓋ブロック2a、2xをモルタルで接合して覆着し、ブロックの隙間に目地モルタルを埋めることにより構築される。熱媒体管4の端部は、従来構造と同様な接続ブロックを用いて、温水ボイラ等への配管と接続する。
【0036】
図5は第2実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図で、1b、1yは基礎ブロック、2b、2yは上蓋ブロックである。図6は上蓋ブロック2bを下方から見た斜視図、図7は熱媒体管4が配置されている部分の部分断面図である。
【0037】
第2実施形態における基礎ブロック1b、1y及び上蓋ブロック2b、2yは、平面視で同形の矩形で、基礎ブロック1b、1yの短辺中央には、ブロックを持上げるときの手掛けとなる凹所25が形成されている。基礎ブロック1b、1yの上面は、断熱材層26を設けた平らな平面であり、下面には断熱空気層となるブロック長手方向の浅い凹所27が形成されている。断熱材層26は、例えば微細気泡を含むセラミックコーティング層、発泡樹脂の塗布層、樹脂シート等である。断熱材層26及び凹所27は、熱媒体管4から基盤ブロック1b、1xや道路基盤に熱が伝わることにより生ずる熱損失を減らすために設けたものである。
【0038】
基礎ブロック1a、1x上に伝熱管4を位置決めする管受部6bは、基礎ブロック1a、1xの周縁に成形した一対のピン孔28に差込んだ一対のピンで形成している。
【0039】
上蓋ブロック2a、2xの下面には、管受部6bで基礎ブロック1a、1x上に位置決めされた熱媒体管4の延在方向に沿う方向、すなわち、上蓋ブロック2aでは2本の平行な直線状で、舗装構造の端辺の上蓋ブロック2xではU字状又は互いに背反する方向に90度屈曲する2本の円弧状の伝熱溝10が形成されている。
【0040】
第2実施形態の伝熱溝10は、図7に示すように断面台形で、熱媒体管4の半径よりも深い深さである。伝熱溝10の両端の管受部6bと対抗する部分には、溝幅を拡げた形状の凹部31が設けられている。伝熱溝10の内面には可塑性がある瀝青やピッチなどを塗着した伝熱材層30が設けられ、この伝熱材層30が伝熱溝10と熱媒体管4の間に充填されて、両者の間に形成される空気層により伝熱効率が低下するのを防止している。
【0041】
基盤上に基礎ブロック1b、1yに敷設してその上に熱媒体管4を配置し、そのあと上蓋ブロック2b、2yがモルタルなどで接合した状態で覆着される。上蓋ブロック2b、2yは、基礎ブロック1b、1yに覆着されるときに、対応する基礎ブロックの管受部6bで位置決めされた熱媒体管4に伝熱溝10が嵌合することにより、位置決めされる。伝熱溝10を台形断面とすることにより、上蓋ブロック2b、2yの正確な位置決めが可能である。
【0042】
図8は、第3実施形態の舗装構造を一部破壊して示す部分斜視図である。この第3実施形態は、路面下への熱媒体管4の配設と太陽熱発電を行うための光電変換器15を内蔵している。図9及び図10はこの第3実施形態の上蓋ブロック2cの斜視図及び断面図、図11は基礎ブロック1cの斜視図、図12は上蓋ブロックに埋設される伝熱板3cの斜視図である。
【0043】
基礎ブロック1cには、第1実施形態と同様な凹所5が設けられており、その対向2辺(舗装構造の側辺に配置される基礎ブロックでは隣接2辺)には、熱媒体管4用の管受部6aと配線溝18との2個の溝部が設けられている。管受部6aには、第1実施形態と同様に、熱媒体管4が配置され、配線溝18は、光電変換器15に接続される電気ケーブル19の通路となっている。凹所5の底面には、光電変換器(ソーラパネル)15が固定されており、このソーラパネル15に接続されるケーブル19が配線溝18を通って配線されている。
【0044】
上蓋ブロック2cは、第1実施形態と同様に、下面に基礎ブロックの凹所5と嵌合する突部9を備えており、この突部に基礎ブロックの管受部6aと対向する位置を両端とする伝熱溝10が設けられている。上蓋ブロック2cは、この伝熱溝10の両側部分に、ポリカーボネートなどの透明樹脂や強化ガラス製の透明体を嵌め込んだ透明体窓20を備えている。上蓋ブロック2cに埋設される伝熱板3cは、図12に示すように、透明体窓20部分に切抜き窓21を設けた形状となっている。
【0045】
この第3実施形態のブロックで施工された融雪舗装構造は、寒冷時に熱媒体管4に温媒体を流して路面の融雪や凍結防止を行い、夏季には路面の熱を熱媒体管4を流れる冷媒体に伝熱して給湯設備などの熱源とするほか、晴天時には光電変換器15の発電電気をバッテリーに蓄えて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図
【図2】第1実施形態の基礎ブロックの斜視図
【図3】同上蓋ブロックの断面図
【図4】同上蓋ブロックに埋設されている伝熱板の斜視図
【図5】第2実施形態の融雪舗装構造を一部を破壊して示す部分斜視図
【図6】第2実施形態の上蓋ブロックを下方から見た斜視図
【図7】第2実施形態の熱媒体管配置部分の部分断面図
【図8】第3実施形態の舗装構造を一部破壊して示す部分斜視図
【図9】第3実施形態の上蓋ブロックの斜視図
【図10】同断面図
【図11】第3実施形態の基礎ブロックの斜視図
【図12】第3実施形態の上蓋ブロックに埋設されている伝熱板の斜視図
【符号の説明】
【0047】
1a〜1c,1x,1y 基礎ブロック
2a〜2c,2x,2y 上蓋ブロック
3a,3c 伝熱板
4 熱媒体管
5 凹所
6a,6b 管受部
9 突部
10 伝熱溝
11 円弧屈曲部
15 光電変換器
18 配線溝
20 透明体窓
26 断熱材層
27 凹所
30 伝熱材層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に敷設される基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック(2)とを備え、基礎ブロック(1)は上蓋ブロック(2)との間に配置される熱媒体管(4)の配管位置を規定する管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記管受部で位置設定された熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)を備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項2】
多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック(2)とからなり、基礎ブロック(1)はその周縁2箇所に管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝(10)を備えており、前記伝熱溝の溝面に可塑性伝熱材層(30)を備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項3】
多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック(2)とからなり、基礎ブロック(1)はその周縁2箇所に管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝(10)を備えており、前記伝熱溝の溝面に上蓋ブロック内に埋設された伝熱板(3)の円弧屈曲部(11)が露出している、融雪舗装ブロック。
【請求項4】
平面に敷設される基礎ブロック(1c)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック(2c)とを備え、基礎ブロック(1c)は上面に光電変換器を収納した凹所(5)を備えてその周縁に熱媒体管(4)の配管位置を規定する管受部(6)と前記光電変換器のケーブルを挿通する配線溝(18)とを備え、上蓋ブロック(2c)は前記位置規定された熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)と前記凹所に対向する透明体窓(20)とを備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項5】
前記透明体窓(20)の透明体が、通過する光を屈折ないし全反射させて前記光電変換器(15)に集光させる、請求項4記載の融雪舗装ブロック。
【請求項6】
敷設された多数の基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着された上蓋ブロック(2)と、基礎ブロック(1)と上蓋ブロック(2)とで挟持された状態で当該多数の基礎ブロック上に配設された熱媒体管(4)とを備え、前記上蓋ブロックは、前記熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)を備えている、融雪路面構造。
【請求項7】
前記上蓋ブロックに埋設設置されて前記伝熱溝の溝面に露出して前記熱媒体管の周面に接触する伝熱板(3)を備えている、請求項6記載の融雪路面構造。
【請求項1】
平面に敷設される基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック(2)とを備え、基礎ブロック(1)は上蓋ブロック(2)との間に配置される熱媒体管(4)の配管位置を規定する管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記管受部で位置設定された熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)を備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項2】
多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック(2)とからなり、基礎ブロック(1)はその周縁2箇所に管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝(10)を備えており、前記伝熱溝の溝面に可塑性伝熱材層(30)を備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項3】
多数個を平面に隙間無く並べることができる平面形状を備えた基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着される平面同形の上蓋ブロック(2)とからなり、基礎ブロック(1)はその周縁2箇所に管受部(6)を備え、上蓋ブロック(2)は前記2箇所の管受部に両端が連なる伝熱溝(10)を備えており、前記伝熱溝の溝面に上蓋ブロック内に埋設された伝熱板(3)の円弧屈曲部(11)が露出している、融雪舗装ブロック。
【請求項4】
平面に敷設される基礎ブロック(1c)と、この基礎ブロックに覆着される上蓋ブロック(2c)とを備え、基礎ブロック(1c)は上面に光電変換器を収納した凹所(5)を備えてその周縁に熱媒体管(4)の配管位置を規定する管受部(6)と前記光電変換器のケーブルを挿通する配線溝(18)とを備え、上蓋ブロック(2c)は前記位置規定された熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)と前記凹所に対向する透明体窓(20)とを備えている、融雪舗装ブロック。
【請求項5】
前記透明体窓(20)の透明体が、通過する光を屈折ないし全反射させて前記光電変換器(15)に集光させる、請求項4記載の融雪舗装ブロック。
【請求項6】
敷設された多数の基礎ブロック(1)と、この基礎ブロックに覆着された上蓋ブロック(2)と、基礎ブロック(1)と上蓋ブロック(2)とで挟持された状態で当該多数の基礎ブロック上に配設された熱媒体管(4)とを備え、前記上蓋ブロックは、前記熱媒体管の周面に接触する伝熱溝(10)を備えている、融雪路面構造。
【請求項7】
前記上蓋ブロックに埋設設置されて前記伝熱溝の溝面に露出して前記熱媒体管の周面に接触する伝熱板(3)を備えている、請求項6記載の融雪路面構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−32256(P2007−32256A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113019(P2006−113019)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(395017195)株式会社サンケイ企画 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(395017195)株式会社サンケイ企画 (6)
【Fターム(参考)】
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