説明

螺旋階段

【課題】生産・施工効率のよい螺旋階段を提供することを課題とする。
【解決手段】鉛直方向に立設される中心支柱10と、この中心支柱10の周りに螺旋状に配置される複数の踏板20とを備える螺旋階段において、踏板20は、中心支柱10から張り出すフレーム材31に支持されており、フレーム材31の基端部に接続端部31aが形成されており、中心支柱10の外面に接続端部31aが嵌合可能な連結溝12aが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内部や外部に螺旋階段が構築されることがある。螺旋階段は、鉛直方向に立設された中心支柱の周りに複数の踏板を螺旋状に配置して構成され、各踏板は、直接あるいはブラケットを介して中心支柱に取り付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、踏板およびブラケットは、高さ方向に所定の間隔をあけて、かつ、平面視して所定の角度だけずらして中心支柱に取り付けられるため、位置決めが非常に難しく、これらを正確に取り付けるには、手間と時間とを要する。
【0004】
そこで、本発明は、生産・施工効率のよい螺旋階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決する本発明は、鉛直方向に立設される中心支柱と、当該中心支柱の周りに螺旋状に配置される複数の踏板とを備える螺旋階段において、前記踏板は、前記中心支柱から張り出すフレーム材に支持されており、前記フレーム材の基端部に接続端部が形成されており、前記中心支柱の外面に前記接続端部が嵌合可能な連結溝が形成されていることを特徴とする。
【0006】
かかる螺旋階段によると、フレーム材の接続端部を中心支柱に形成された連結溝に嵌合するだけでフレーム材と中心支柱との接続がなされるので、螺旋階段の構築が容易になる。
【0007】
なお、前記中心支柱が、芯柱と、当該芯柱に取り付けられた節点部材とを備えている場合には、前記節点部材の外面に前記連結溝を形成するとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る螺旋階段によると、その生産・施工効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る螺旋階段の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1(a)は本発明に係る螺旋階段の平面図、図1(b)は同じく正面図、図2は同じく拡大正面図、図3は同じく拡大側面図、図4は同じく拡大斜視図、図5は同じく分解斜視図、図6(a)は中心節点部材の横断面図、図6(b)は図6(a)の拡大横断面図、図6(c)は中心スペーサの横断面図、図6(d)は踏板取付プレートの横断面図、図6(e)は固定プレートの横断面図、図7は支持部材の平面図、図8(a)は支持部材の分解斜視図、図8(b)は放射状フレーム材(外周フレーム材)と外周節点部材との接続方法を説明する拡大斜視図、図9(a)は放射状フレーム材(外周フレーム材)の斜視図、図9(b)は(a)の側面図、図10は節点部材の平面図、図11は手摺の分解斜視図、図12は手摺の側断面図である。
【0010】
本発明に係る螺旋階段は、図1に示すように、鉛直方向に立設される中心支柱10と、この中心支柱10の周りに螺旋状に配置される複数の踏板20と、この踏板20を支持する支持部材30と、手摺40とから構成される。また、図2乃至図4に示すように、高さ方向に隣り合う支持部材30,30がその先端において互いに連結されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、下階床F1と上階床F2との間に十二段(D1〜D12)の踏板を有し、下階床F1から中心支柱10の周囲を平面視して反時計回りに回ると上階床F2に至る。
なお、以下の説明において「手前側」、「奥側」とは、それぞれ階段の上り方向を向いたときの手前側、奥側を指すものとする。
【0011】
(中心支柱)
中心支柱10は、図1(b)および図2に示すように、芯柱11に中心節点部材(以下、中心ハブ12という)および中心スペーサ13を交互に外挿して構成される。また、本実施形態では、図2に示すように、中心ハブ12の上面に踏板取付プレート14が介設され、下面に固定プレート15が介設されている。
【0012】
芯柱11は、図4に示すように、その外周の形状が断面正多角形状(図では正12角形)に形成され、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。
【0013】
中心ハブ12は、図5および図6(a)に示すように、リング状で、その内周が芯柱11の外周の形状に対応する断面正多角形状(図では正12角形)に形成され、すなわち、中心ハブ12の内周形状は、芯柱11の外周形状と同一である。また、中心ハブ12の高さ寸法は、後記する放射状フレーム材31の接続端部31a(図9参照)の高さ寸法と等値にされている。さらに、中心ハブ12の外面には、上下方向に沿って連結溝12aが二箇所に形成されている(図8(a)参照)。
連結溝12aは、後記する放射状フレーム材31の接続端部31a(図9参照)が嵌合可能な形状に形成され、図6(b)に示すように、その内壁面には、放射状フレーム材31の接続端部31aの凹凸と係合する凹凸が形成されている。また、図6(a)に示すように、中心ハブ12を平面視すると、二つの連結溝12aは、それぞれ中心ハブ12の中心を向いており、中心角は30度である。
また、中心ハブ12は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝12aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
【0014】
中心スペーサ13は、図5および図6(c)に示すように、リング状で、その内面に突起部13aが120度ピッチで形成されている。
突起部13aは、芯柱11の外面の角部分に沿って当接する当接面を有し、中心スペーサ13の回転を防止している。
中心スペーサ13は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、突起部13aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
なお、本実施形態では、中心スペーサ13の断面形状を、軽量化を図るべく突起部13aのみが芯柱11の外面に当接するような形状としたが、これに限定されることはなく、例えば、リング部分が密実なものであってもよい。
【0015】
踏板取付プレート14は、図5および図6(d)に示すように、その内周形状が芯柱11の外周形状と同一に形成されたリング状の板材である。また、踏板取付プレート14の外周には、取付部14aが外側に突出して形成されている。
固定プレート15は、図5および図6(e)に示すように、その内周形状が芯柱11の外周形状と同一に形成されたリング状の板材である。
【0016】
また、図1(b)に示すように、一段目D1の中心ハブ12の下側および十二段目D12の中心ハブ12の上側には、それぞれ中心スペーサ13と同じ断面形状を有する下側中心スペーサ13A,上側中心スペーサ13Bが芯柱11に外挿されている。
【0017】
(踏板)
踏板20は、木製や金属製の板材からなり、図1(a)および図4に示すように、略扇形に形成されている。また、図5に示すように、踏板20の先端側にボルト挿通孔20a,20aが形成され、基端側にボルト挿通孔20bが形成されている。なお、本実施形態では、踏板20の基端側が踏板取付プレート14の取付部14aに支持固定され、先端側が後記する固定リング36を介して節点部材33,34に支持固定されている。
【0018】
(支持部材)
支持部材30は、図5および図7に示すように、中心支柱10(中心ハブ12)から放射状に張り出す二本の放射状フレーム材31,31と、各放射状フレーム材31の先端に接続される外周節点部材33,34と、外周節点部材33,34を介して放射状フレーム材31,31を連結する外周フレーム材32とから構成されている。
【0019】
なお、以下では、外周節点部材33を「外周ハブ33」といい、外周節点部材34を「外周メガネハブ34」という。また、本実施形態では、各段の奥側(図5中、右側)に位置する放射状フレーム材31に外周ハブ33が接続され、手前側に位置する放射状フレーム材31に外周メガネハブ34が接続されているが、これらを図示の場合と逆に配置しても差し支えない。
【0020】
放射状フレーム材31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図9(a)(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。また、接続端部31aの先端には、放射状フレーム材31の軸線に直交する方向に凹凸が形成されている。
接続端部31aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。なお、接続端部31aは、外周ハブ33および外周メガネハブ34の軸線方向(上下方向)に長い偏平状に形成されていることから(図8(b)参照)、外周ハブ33および外周メガネハブ34の軸線方向(上下方向)の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されている。
【0021】
外周フレーム材32は、放射状フレーム材31と同様に、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している(図9参照)。その他の構成は、放射状フレーム材31と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0022】
外周ハブ33は、図8に示すように、円柱形状に形成され、その外面には外周ハブ33の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝33aが形成されている。また、外周ハブ33の中心には、軸線方向(上下方向)に沿って連結用挿通孔33bが形成されている。
連結溝33aは、図10(a)に示すように、放射状フレーム材31の接続端部31aおよび外周フレーム材32の接続端部32aが嵌合可能な形状に形成され、その内壁面には、接続端部31a(32a)の凹凸と係合する凹凸が形成されている。本実施形態では、3つの連結溝33aが75度間隔で形成されている。
外周ハブ33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
【0023】
外周ハブ33に放射状フレーム材31を接続する場合には、図8(b)に示すように、放射状フレーム材31の接続端部31aを外周ハブ33の上面側(あるいは下面側)から連結溝33aに嵌合(挿入)すればよい。すると、図10(a)に示すように、連結溝33aと接続端部31aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、放射状フレーム材31がその軸線方向に引き抜かれることはない。外周ハブ33に外周フレーム材32を接続する場合も同様である。
なお、連結溝33aのうち、放射状フレーム材31および外周フレーム材32のいずれもが接続されないものには、図8に示すように、連結溝33aと同一の寸法・形状を有する溝埋部材39を嵌合(挿入)する。あるいは、放射状フレーム材31および外周フレーム材32が接続される部位にのみ連結溝33aを形成した外周ハブ(図示せず)を使用してもよい。
また、本実施形態のように連結溝を形成しておけば、本実施形態と反対回り(時計回り)の螺旋階段にもそのまま利用できる。
【0024】
外周メガネハブ34は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図8(a)に示すように、軸線方向(上下方向)に沿って連結用挿通孔34bおよび手摺用挿通孔34cが形成されている。外周メガネハブ34の外面であって、連結用挿通孔34bの周囲には、外周メガネハブ34の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝34aが形成されている。連結溝34aの構成は、前記した外周ハブ33の連結溝33aと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0025】
外周メガネハブ34に放射状フレーム材31を接続する場合には、放射状フレーム材31の接続端部31aを外周ハブ34の上面側(あるいは下面側)から連結溝34aに嵌合すればよい。すると、図10(b)に示すように、連結溝34aと接続端部31aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、放射状フレーム材31がその軸線方向に引き抜かれることはない。外周メガネハブ34に外周フレーム材32を接続する場合も同様である。
【0026】
外周ハブ33および外周メガネハブ34の上面には、図2および図5に示すように、中心支柱10の踏板取付プレート14と同じ厚さを有する固定リング36が取り付けられ、外周メガネハブ34の下面と下段の踏板20との間には、外周スペーサ35が介設されている。また、外周ハブ33の下面には、放射状フレーム材31および外周フレーム材32の下方向への抜出しを防止するための下固定リング37が取り付けられている。なお、図示は省略するが、外周メガネハブ34を長くして、外周スペーサ35を省略してもよい。
【0027】
また、図2乃至図5に示すように、高さ方向に隣り合う支持部材30,30は、上段の踏板20の上面から下段の支持部材30の外周ハブ33へ挿通されたボルトB1によって連結されている。
【0028】
(手摺)
手摺40は、木製や金属製などの棒材からなるが、断面の形状・寸法、長さなどは、螺旋階段の構成に合わせて適宜設定することができる。本実施形態では、図11に示すように、断面略半円形の中空部材で構成され、手摺取付ブラケット42を介して手摺支柱41に固定される。
【0029】
手摺支柱41は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図12に示すように、上下端にネジ孔41a,41bが形成されている。
【0030】
手摺取付ブラケット42は、図11に示すように、アルミニウム合金製の板材を折り曲げて形成され、その両端に階段勾配で傾斜する取付面42b,42bを有し、中央にボルト挿通孔42aを有している。
【0031】
(螺旋階段の構築手順)
次に、本発明に係る螺旋階段の構築手順を、添付した図面を参照して説明する。
【0032】
まず、中心支柱10の芯柱11(図4参照)を土間コンクリートG上に立設し、その上方から下側中心スペーサ13Aを外挿する。次に、一段目D1から12段目D12まで順次構築していくが、各段の構築手順は同じであるので、例として、図4に示す九段目D9の上に、十段目D10を構築する場合について図5を参照して説明する。また、以下では、特に断らない限り、十段目D10を構成する部材を示すものとする。
なお、二階以上のフロアに螺旋階段を設置する場合は、芯柱11は床スラブ上に立設する。
【0033】
図5に示すように、中心スペーサ13、固定プレート15および支持部材30を取り付けた中心ハブ12を順に芯柱11へ外挿する。なお、図示は省略するが、中心スペーサ13は、図4に示す九段目D9の踏板取付プレート14の上に載置されることになる。
【0034】
このとき、芯柱11の外周と中心ハブ12の内周とがそれぞれ正多角形の断面を有しているので、中心ハブ12が周方向に回動することはない。すなわち、中心ハブ12を芯柱11に外挿するだけで、中心ハブ12の位置決めがなされ、連結溝12aの方向が正確に定まる。なお、本実施形態では、芯柱11の外周および中心ハブ12の内周が正12角形なので、中心ハブ12の連結溝12aの方向を30度刻みで調節することができる。
【0035】
また、中心ハブ12は、その連結溝12aが九段目D9の中心ハブ12の連結溝12aと所定の角度(本実施形態では30度)だけずれるように外挿される。したがって、支持部材30の手前側に位置する放射状フレーム材31は、九段目D9の支持部材30の奥側に位置する放射状フレーム材31と平面視して同一方向に張り出すことになる。
【0036】
ここで、支持部材30は、図8(a)に示すように、二本の放射状フレーム材31,31のうち、奥側(図8(a)中、右側)に位置する放射状フレーム材31の先端側の接続端部31aを外周ハブ33の連結溝33aに嵌合(挿入)するとともに、手前側に位置する放射状フレーム材31の先端側の接続端部31aを外周メガネハブ34の連結溝34aに嵌合し、さらに外周ハブ33および外周メガネハブ34のそれぞれの連結溝33a,34aに外周フレーム材32の接続端部32a,32aを嵌合することで構成される。したがって、支持部材30の組立に際して特別な工具や溶接は必要ない。
【0037】
また、支持部材30は、各放射状フレーム材31の基端側の接続端部31aを中心ハブ12の連結溝12aに嵌合することで中心支柱10に固定される。
【0038】
次に、図5に示すように、踏板取付プレート14を、その取付部14aが中心ハブ12の連結溝12aの上方に位置するように芯柱11に外挿する。また、固定リング36を外周ハブ33の上面および外周メガネハブ34の上面にそれぞれ載置する。
【0039】
次に、踏板取付プレート14の取付部14aの上面および固定リング36,36の上面に踏板20を載置し、外周メガネハブ34の下面に外周スペーサ35を介設する。
【0040】
そして、踏板20の上方から固定リング36、外周メガネハブ34、外周スペーサ35、九段目D9の踏板20、固定リング36、外周ハブ33および下固定リング37の各挿通孔にボルトB1を挿通して、九段目D9の支持部材30と十段目D10の支持部材30とを連結する。
【0041】
このように高さ方向に隣り合う支持部材30、30を互いに連結すると、例えば図3および図4の場合であれば、七段目D7の踏板20に作用する荷重は、八段目D8の支持部材30および六段目D6の支持部材30にも分散され、すなわち、七段目D7の踏板20に作用する荷重に対して七段目D7の支持部材30だけで抵抗するのではなく、その上下の支持部材30とともに抵抗するので、結果として支持部材30の軽構造化を図ることができる。
【0042】
また、踏板20は、図5に示すように、その先端側がボルトB1によって外周ハブ33および外周メガネハブ34に固定され、基端側がボルトB1’によって踏板取付プレート14に固定される。
【0043】
次に、図5に示すように、手摺支柱41のネジ孔41aにネジ棒B2を取り付け、そのネジ棒B2を外周メガネハブ34の手摺用挿通孔34cに挿通する。そして、外周メガネハブ34の下面に突出したネジ棒B2をキャップナット38のネジ穴38a(図12参照)に螺合させて、手摺支柱41を外周メガネハブ34に固定する。
このように、外周メガネハブ34は、手摺支柱41を取り付けるための手摺用挿通孔34cを備えているので、手摺支柱41を容易に取り付けることができる。
【0044】
最後に、図11に示すように、手摺支柱41の上端に手摺取付ブラケット42を取り付け、この手摺取付ブラケット42の取付面42bに手摺40の下面を当接させ、ボルトB4で固定する。なお、図12に示すように、手摺40の下面に設けた切欠き40aにより、ボルトB4の頭部が手摺40の下面に当接するのを防止している。
【0045】
以上、本実施形態に係る螺旋階段によれば、踏板20を支持する支持部材30を放射状フレーム材31および外周フレーム材32で構成したので、螺旋階段が軽快かつ開放的なものになる。すなわち、本実施形態に係る螺旋階段を室内に構築しても、軽快であるが故に、圧迫感のない明るい居室内空間を創出することができる。
【0046】
また、蹴上げ高さや各段の設置高さを調節する場合には、芯柱11に外挿する中心スペーサ13と外周メガネハブ34の下面に取り付ける外周スペーサ35の高さ寸法を変更するだけでよい。あるいは、図示しない高さ調節用のスペーサを芯柱11に外挿してもよい。いずれにしても、建物ごとに異なる螺旋階段の設置条件(段数や蹴上げ高さなど)に容易に対応することができ、施工現場での微調整も容易である。すなわち、螺旋階段の設置条件が異なっても、中心ハブ12、放射状フレーム材31、外周フレーム材32、外周ハブ33および外周メガネハブ34は、その寸法・形状を変更することなく共通して使用することができるので、大量生産に適しており、生産効率がよい。
【0047】
また、中心支柱10を構成する各部材および支持部材30を構成する各部材をアルミニウム合金製とすることで、強度の割に軽量で、腐食しにくいというアルミニウム合金のメリットを活かし、より軽構造の螺旋階段を構築することできる。
【0048】
なお、螺旋階段の構築手順は、前記の構築手順に限定されることはなく、施工条件などに合わせて適宜変更してもよい。例えば、支持部材30(放射状フレーム31,31)は、中心ハブ12を芯柱11に外挿した後に接続してもよいし、また、踏板取付プレート14と踏板20とを予め一体にしておいてもよい。
【0049】
(変形例1)
前記の実施形態では、中心支柱10において、芯柱11の外周形状および中心ハブ12の内周形状をそれぞれ正多角形としたが、これに限定されることはなく、例えば、図13に示す中心支柱70のように、芯柱71の外周に複数の係合片71aを形成するとともに、中心ハブ72の内周に芯柱71の係合片71aに係合する係合片72bを形成したものでもよい。
このような構成の中心支柱70によると、芯柱71に中心ハブ72を外挿したときに、芯柱71の係合片71aと中心ハブ72の係合片72bとが係合するので、中心ハブ72が周方向に回動することがない。すなわち、中心ハブ72を芯柱71に外挿するだけで、中心ハブ72の位置決めが成され、連結溝72aの方向が正確に定まる。
【0050】
(変形例2)
前記の実施形態では、放射状フレーム材31および外周フレーム材32の断面形状がそれぞれ円形であったが、これに限定されることはなく、図14に示す放射状フレーム材51(外周フレーム材52)のように、四角形であってもよい。
【0051】
ここで、放射状フレーム材51(外周フレーム材52)は、断面四角形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図14(a)(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部51aを有している。また、接続端部51aの先端には、放射状フレーム材51の軸線に直交する方向に凹凸が形成されている。
接続端部51aは、図14(c)に示す断面四角形の中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成されるが、四辺のうち、対向する二辺を内側に潰した後に(図14(d)参照)、残りの二辺を押し潰して(図14(e)参照)接続端部51aを形成するので、接続端部51aの高さ寸法が中空押出形材の高さ寸法以上に広がることはない。
【0052】
そして、放射状フレーム材51および外周フレーム材52を使用して支持部材50を構成すると、図15に示すように、放射状フレーム材51の全長に渡って直接に踏板20を載置することが可能になり、また、図示は省略するが外周フレーム材52の上面にも直接に踏板20を載置することが可能になるので、踏板20の撓み・変形を抑制することができる。
【0053】
さらに、放射状フレーム材51および外周フレーム材52の上面に直接に踏板を載置できるので、図5に示す踏板取付プレート14および固定リング36が不要になり、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は本発明に係る螺旋階段の平面図、(b)は同じく正面図である。
【図2】本発明に係る螺旋階段の拡大正面図である。
【図3】本発明に係る螺旋階段の拡大側面図である。
【図4】本発明に係る螺旋階段の拡大斜視図である。
【図5】本発明に係る螺旋階段の分解斜視図である。
【図6】(a)は中心節点部材の横断面図、(b)は(a)の拡大横断面図、(c)は中心スペーサの横断面図、(d)は踏板取付プレートの横断面図、(e)は固定プレートの横断面図である。
【図7】支持部材の平面図である。
【図8】(a)は支持部材の分解斜視図、(b)は放射状フレーム材(外周フレーム材)と外周節点部材との接続方法を説明する拡大斜視図である。
【図9】(a)は放射状フレーム材(外周フレーム材)の斜視図、(b)は(a)の側面図である。
【図10】外周節点部材の平面図である。
【図11】手摺の分解斜視図である。
【図12】同じく側断面図である。
【図13】中心支柱を構成する部材の他の例を示す平面図である。
【図14】(a)は放射状フレーム材(外周フレーム材)の他の例を示す斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)(d)(e)は放射状フレーム材(外周フレーム材)の接続端部の加工方法を示す断面図である。
【図15】図14に示す放射状フレームで支持部材を構成した場合の拡大正面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 中心支柱
11 芯柱
12 中心ハブ(中心節点部材)
12a 連結溝
13 中心スペーサ
20 踏板
30 支持部材
31 放射状フレーム材
31a 接続端部
32 外周フレーム材
33 外周ハブ(外周節点部材)
33a 連結溝
34 外周メガネハブ(外周節点部材)
34a 連結溝
34b 連結用挿通孔
34c 手摺用挿通孔
35 外周スペーサ
40 手摺
41 手摺支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に立設される中心支柱と、
当該中心支柱の周りに螺旋状に配置される複数の踏板とを備える螺旋階段において、
前記踏板は、前記中心支柱から張り出すフレーム材に支持されており、
前記フレーム材の基端部に接続端部が形成されており、
前記中心支柱の外面に前記接続端部が嵌合可能な連結溝が形成されていることを特徴とする螺旋階段。
【請求項2】
前記中心支柱は、芯柱と、当該芯柱に取り付けられた節点部材とを備えて構成されており、
前記節点部材の外面に前記連結溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の螺旋階段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−224721(P2007−224721A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155242(P2007−155242)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願2002−234221(P2002−234221)の分割
【原出願日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】