説明

蟻散布種子利用の緑化工法及びこの工法に用いるワッシャ

【課題】緑化対象面における蟻散布種子の発芽率の向上と枯損率の低下とを広範囲にわたって低コストで実現することのできる蟻散布種子利用の緑化工法及びこの工法に用いるワッシャを提供すること。
【解決手段】緑化対象面に敷設され蟻散布種子1をネット状またはシート状の保持部材2,3によって覆って保持する状態の植生体4の上から、ワッシャ5を抜け止め状態で貫く止め釘6を打ち込み、ワッシャ5によって保持部材2,3を押圧し植生体4を緑化対象面上に定着させる蟻散布種子利用の緑化工法であって、ワッシャ5は、止め釘6が差し込まれる止め釘用孔7の縁を形成する孔縁部位8と、孔縁部位8に連なり保持部材2,3を押圧する押圧部位9とを有し、押圧部位9は、植物生育用のスペース10を囲む若しくは任意の方向から挟むか、またはスペース10に対して孔縁部位8の周方向に隣接するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、蟻散布種子を保持した張芝体や植生マットを緑化対象面に定着させて行う蟻散布種子利用の緑化工法及びこの工法に用いるワッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
蟻散布種子(蟻散布植物の種子)にはエライオソームと呼ばれる蟻を誘引する物質を含んだ付属体(オレイン酸等の脂肪酸、グルタミン酸等のアミノ酸、ショ糖等の糖を含んだ物質)が付いていて、蟻はそれに惹かれて種子を巣に運ぶ。巣内ではエライオソームの部分のみが貯蔵され、種子本体は土と共に巣外へ放り出されたり巣内のゴミ捨て場に捨てられたりする。一般的に蟻の巣は栄養が豊富な場所に存在するため、蟻散布種子は蟻によって運ばれた先でしっかりと根付くことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−158071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、蟻散布植物の一種であるムカデシバの種子を例えば特許文献1に示すような緑化工法(植生シート工)に用いると、その種子の殆どが蟻によって緑化対象面外に持ち去られるケースや、一部の種子が残っても雑草の被圧により枯損するケースが見受けられ、何れのケースでも目的とする緑化が達成されない。蟻対策として、予め緑化対象面に生息する蟻を撲滅し、さらに忌避剤を使用しても、緑化対象面への蟻の侵入を完全に防ぐことは困難でありコストもかかる。同じく雑草対策についても有効な手段は確立されていない。尚、ムカデシバの種子に限らず、他の蟻散布種子を緑化工法に用いた場合でも同様の問題が生じると考えられる。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、緑化対象面における蟻散布種子の発芽率の向上と枯損率の低下とを広範囲にわたって低コストで実現することのできる蟻散布種子利用の緑化工法及びこの工法に用いるワッシャを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る蟻散布種子利用の緑化工法は、緑化対象面に敷設され蟻散布種子をネット状またはシート状の保持部材によって覆って保持する状態の植生体の上から、ワッシャを抜け止め状態で貫く止め釘を打ち込み、前記ワッシャによって前記保持部材を押圧し前記植生体を緑化対象面上に定着させる蟻散布種子利用の緑化工法であって、
前記ワッシャは、前記止め釘が差し込まれる止め釘用孔の縁を形成する孔縁部位と、該孔縁部位に連なり前記保持部材を押圧する押圧部位とを有し、該押圧部位は、植物生育用のスペースを囲む若しくは任意の方向から挟むか、または前記スペースに対して前記孔縁部位の周方向に隣接するように構成されている(請求項1)。
【0007】
上記緑化工法において、前記ワッシャは、格子状、蜘蛛の巣状、ホイール状、ハニカム状、パンチングメタル状等の複数の穴を有する部材であり、前記複数の穴は前記スペースとなり、かつ、前記複数の穴の一部または全部は止め釘用孔としても使用可能となるように構成されていてもよい(請求項2)。
【0008】
上記蟻散布種子利用の緑化工法において、前記ワッシャは、互いの向きを異ならせて重ねられる複数の長板状体からなり、各々の長板状体において他の長板状体と重なる部分に前記孔縁部位が形成されていてもよい(請求項3)。
【0009】
上記蟻散布種子利用の緑化工法において、前記ワッシャの前記押圧部位は、放射状、渦巻状または分枝状に形成されていてもよい(請求項4)。
【0010】
上記蟻散布種子利用の緑化工法において、片面に少なくとも蟻散布種子が装着された前記ワッシャを、該片面が緑化対象面側を向くように配置してもよい(請求項5)。
【0011】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係るワッシャは、請求項1〜5の何れか一項に記載の蟻散布種子利用の緑化工法に用いられるものである(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
各請求項に係る発明では、緑化対象面における蟻散布種子の発芽率の向上と枯損率の低下とを広範囲にわたって低コストで実現することのできる蟻散布種子利用の緑化工法及びこの工法に用いるワッシャが得られる。
【0013】
すなわち、本発明の緑化工法では、保持部材においてワッシャ(の押圧部位)によって直接的または間接的に押圧される部分の面積の拡大を容易に図ることができる上、その拡大を植物生育用のスペースを確保しつつ行えるので、蟻による種子の持ち去り防止と雑草の生長抑制とに由来して蟻散布種子の発芽率が上昇するエリアの拡大を図ることができる。
【0014】
さらに、本発明の緑化工法で用いるワッシャの内外の縁(輪郭線)に沿う部分では蟻散布種子の生長に重要な水分状態が良好になり(保水性が向上し)、草丈が低めで他の雑草に被圧され易い(枯損率の高い)ムカデシバのような蟻散布植物であってもその種子の生育スピードや匍匐茎の伸長スピードが上がり健全に生育して被圧され難くなる。すなわち、本緑化工法では、蟻散布種子の発芽率が上昇するだけでなく枯損率が低下するエリアの拡大を図れるのであり、これは緑化の確実化に繋がる。しかも、その鍵となるのは安価なワッシャであり、必ずしもワッシャの数を増やす必要もないので、蟻散布種子を用いた緑化を低コストで実現することができる。
【0015】
特に、請求項5に係る発明の緑化工法では、蟻散布種子が保持部材を介して地面に密着することとなり、蟻による蟻散布種子の持ち去りを防ぎながら蟻散布植物を健全に生育させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る緑化工法で用いる植生体の構成を概略的に示す斜視図及び断面図である。
【図2】同緑化工法に使用されるワッシャの斜視図である。
【図3】前記ワッシャの変形例を示す斜視図である。
【図4】蜘蛛の巣状のワッシャの平面図である。
【図5】ホイール状のワッシャの平面図である。
【図6】二枚の長板状体からなるワッシャの斜視図である。
【図7】放射状の押圧部位を有するワッシャの平面図である。
【図8】(A)及び(B)は、渦巻状の押圧部位を有するワッシャの平面図及び断面図である。
【図9】従来のワッシャの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る蟻散布種子利用の緑化工法では、緑化対象面(例えば法面)に敷設され蟻散布種子(例えばムカデシバの種子)1をネット2及びシート3(それぞれネット状またはシート状の保持部材の一例)によって覆って保持する状態の植生体(本例では張芝体)4の上から、ワッシャ5を抜け止め状態で貫く止め釘6を打ち込み、ワッシャ5によってネット2及びシート3を押圧し植生体4を緑化対象面上に定着させる。
【0019】
植生体4は、ネット2の裏面に水溶性糊剤(例えばポリビニルアルコール)でシート3を一体化させ、そのシート3の裏面に水溶性糊剤を用いて蟻散布種子1の他、肥料、有機客土植生基材等(図示していない)を分散・被着させたものである。
【0020】
ここで、ネット2の構成素材には、例えば、腐食性素材(綿、絹、麻、ジュート等の植物性繊維、ビスコースレーヨン等の再生繊維など)、耐食性素材(ポリエチレンやポリプロピレン等の合成繊維、強力レーヨン、防腐処理を施した腐食性素材など)、腐食性の繊維と耐食性の繊維とからなる混紡繊維を使用することができる。
【0021】
また、シート3の構成素材としては、例えば、種子1の発芽・生育を妨げないスフ綿、スフ系不織布、パルプ系不織布、可溶性紙などを挙げることができる。
【0022】
ワッシャ5は、止め釘6が差し込まれる止め釘用孔7の縁を形成する孔縁部位8と、孔縁部位8に連なりネット2及びシート3を押圧する押圧部位9とを有し、押圧部位9は、植物生育用のスペース10を囲むように構成されている(図2参照)。そして、ワッシャ5の止め釘用孔7を貫くように止め釘6を緑化対象面に打ち込むと、ワッシャ5は止め釘6の頭部6aに抜け止め状態に被嵌掛止されることになる。尚、ワッシャ5は、硬すぎるよりもある程度の柔軟性を有している方が法面等の緑化対象面に沿い(密着し)易いので、プラスチック製であるのが好ましいが金属製であってもよい。
【0023】
本例のワッシャ5は、図2に示すように、複数の穴11を有する格子状の部材であり、中央の穴11は止め釘用孔7になり、それ以外の穴11は植物生育用のスペース10になる。但し、本例のワッシャ5の各穴11は、止め釘用孔7としてもスペース10としても使用可能なものである。
【0024】
本緑化工法の技術的意義を適正に評価するに当たっては、以下の事実を把握しておくことが役立つ。すなわち、従来周知の円形のつば状に形成されたワッシャ13(図9参照)を用いて固定される張芝体(例えば特許文献1参照)にムカデシバの種子(蟻散布種子の一種)を保持させた場合でも、そのワッシャ13の周縁付近に限り発芽率が高まることを本発明者は確認している。これは、ワッシャ13による張芝体の押圧が、蟻による種子の持ち去り防止や雑草の生長抑制に寄与するためであると考えられる。しかし、そうであるからといってワッシャ13の数を増やすことは不経済であり、また、ワッシャ13による押圧自体は雑草のみならず種子1の発芽をも抑制する働きをするので、単にワッシャ13を円形のつば状のまま大きくするだけでは、このワッシャ13に覆われ植物の発芽生育が不能となる範囲(主として、ワッシャ13に覆われ、ワッシャ13の外周13aまでの距離dが5mm超となる範囲)A1が広がってしまい、広範囲にわたる発芽率の向上は殆ど期待できず、所期の目的である緑化が不達成に終わり兼ねない。
【0025】
この点、ワッシャ5を円形のつば状とはせず格子状とする本緑化工法では、ネット2及びシート3においてワッシャ5(の押圧部位9)によって直接的または間接的に押圧される部分の面積の拡大を容易に図ることができる上、その拡大を植物生育用のスペース10を確保しつつ行えるので、蟻による種子1の持ち去り防止と雑草の生長抑制とに由来して種子1の発芽率が上昇するエリアの拡大を図ることができる。
【0026】
さらに、本緑化工法で用いる格子状のワッシャ5の内外の縁(輪郭線)に沿う部分では種子1の生長に重要な水分状態が良好になり(保水性が向上し)、草丈が低めで他の雑草に被圧され易い(枯損率の高い)ムカデシバであってもその種子1の生育スピードや匍匐茎の伸長スピードが上がり健全に生育して被圧され難くなる。すなわち、本緑化工法では、種子1の発芽率が上昇するだけでなく枯損率が低下する蟻散布植物の保護エリアの拡大を図れるのであり、これは緑化の確実化に繋がる。しかも、その鍵となるのは安価なワッシャ5であり、必ずしもワッシャ5の数を増やす必要もないので、上記の効果を低コストで奏することができる。
【0027】
ここで、ワッシャ5の大きさは、例えば5cm角〜10cm角とすることができる。すなわち、ワッシャ5が小さすぎると前記保護エリアの拡大を図れないし、ワッシャ5をあまり大きくしても、ワッシャ5に対して止め釘6からの押圧力が届く範囲は限られているのでコスト面等で無駄が生じるだけとなる。
【0028】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0029】
植生体4は、図1(A)及び(B)に示した張芝体に限らず、例えば、ネット2を持たない張芝体でもよく、肥料袋を装着するポケットを備えた植生マット等であってもよい。但し、緑化対象面に敷設された際に種子1を覆って保持するネット状またはシート状の保持部材を有していることが望ましい。
【0030】
図1(A)には、ワッシャ5をマトリックス状(行列状)に配置する例を示したが、これに限らず、例えば同図に二点鎖線で示すように、ワッシャ5を千鳥状に配置してもよい。
【0031】
複数の止め釘6を一つのワッシャ5の異なる箇所(止め釘用孔7)に対して差し込むようにしてもよい。
【0032】
図1(A)、図2では、ワッシャ5を略正方形状(矩形状)の外縁を有するものとして表しているが、これに限らず、例えば、ワッシャ5は図3に示すように略円形状の外縁を有していてもよいし、他の多角形状、星型形状等の外縁を有していてもよい。
【0033】
ワッシャ5は上に例示した形状以外にも種々に変形可能であり、その幾つかの典型的な変形例について図4〜図8を参照しながら以下に説明する。
【0034】
植物生育用のスペース10を囲む押圧部位9を有するワッシャ5としては、格子状以外に、蜘蛛の巣状(図4参照)、ホイール状(図5参照)、ハニカム状、パンチングメタル状等の複数の穴を有する穴あき板状の部材であって、複数の穴はスペース10となり、かつ、複数の穴の一部または全部は止め釘用孔7としても使用可能となるように構成されているもの等を挙げることができる。
【0035】
植物生育用のスペース10を任意の方向から挟む押圧部位9を有するワッシャ5としては、互いの向きを異ならせて重ねられる複数(例えば2枚)の長板状体12からなり、各々の長板状体12において他の長板状体12と重なる部分に孔縁部位8が形成されているもの(図6参照)の他、押圧部位9が、放射状に形成されたもの(図7参照)、渦巻状に形成されたもの(図8(A)及び(B)参照)、分枝状に形成されたもの、スペース10を構成する1以上の切欠き溝を有する板状のもの等を挙げることができる。尚、ワッシャ5を複数の長板状体12からなるものとする場合、一部又は全部の長板状体12を例えばメッシュ状としたり、一部又は全部の長板状体12の一端又は両端を分岐、屈曲あるいは湾曲させたりしてもよい。
【0036】
植物生育用のスペース10に対して孔縁部位8の周方向に隣接するように構成された押圧部位9を有するワッシャ5としては、図4〜図7に示すものや、図7では孔縁部位8から八方向に延びる押圧部位9が一方向のみに延びるように構成されたもの等を挙げることができる。
【0037】
上記実施形態では、シート3の裏面に種子1を装着しているが、これに限らず、例えば、ワッシャ5の片面に少なくとも種子1を装着し、その片面が緑化対象面側(下側)を向くようにワッシャ5を配置するようにしてもよい。このように、ワッシャ5の緑化対象面側に種子1を装着することで、確実に種子1が(シート3等を介して)地面に密着することとなり、蟻による種子1の持ち去りを防ぎながら蟻散布植物を健全に生育させる事が可能となる。そして、ワッシャ5が例えば図2に示すようにメッシュ状であれば蟻散布植物はメッシュの隙間から生育し、ワッシャ5が図6に示すようにメッシュ状ではない場合でもワッシャ5の縁から生育することになる。
【0038】
ここで、上述した従来周知の円形のつば状のワッシャ13(図9参照)を用いる場合、このワッシャ13に覆われ、ワッシャ13の外周13aまでの距離dが5mm超となる範囲A1では植物の発芽生育が不能となる。一方、このワッシャ13に覆われる範囲Aであっても、ワッシャ13の外周13aまでの距離dが5mm以内となる範囲A2では、植物の発芽生育が可能である。同様に、上記した種々のワッシャ5の押圧部位9に覆われる範囲であっても、押圧部位9の輪郭線(あるいは植物生育用スペース10)までの距離(最短距離)が5mm以内となる範囲では、植物の発芽生育が可能となる。そして、例えば図2に示すようにメッシュ状をしたワッシャ5を用いる場合、このワッシャ5の押圧部位9に覆われる範囲は全て、押圧部位9の輪郭線までの距離が5mm以内となり、また、そうなるようにワッシャ5を構成するのは非常に容易である。このことは、図3〜図5、図7、図8に示すようなワッシャ5についても同様である。また、図6に示すように長板状体12によって構成されるワッシャ5を用いる場合でも、この長板状体12の幅w(図6参照)を10mmとすれば、このワッシャ5の押圧部位9に覆われる範囲は全て、押圧部位9の輪郭線までの距離が5mm以内となる。
【0039】
すなわち、上記各ワッシャ5の押圧部位9は、押圧部位9によって覆われる全ての範囲について、押圧部位9の輪郭線(あるいは植物生育用スペース10)までの(最短)距離を所定値以内に収めつつ、押圧部位9を孔縁部位8から離れる方向に理論上際限なく広げることのできる形状を有しているので、ワッシャ5の押圧部位9に覆われる全範囲について、押圧部位9の輪郭線までの距離が5mm以内となるように押圧部位9を構成することができる。そして、このように構成することが種子1の発芽率の向上を図る上で好ましいが、必ずしもこのように構成しなければならないわけではない。
【0040】
また、上述のようにワッシャ5の片面に種子1を装着する場合、このワッシャ5の片面には、種子1以外に、肥料や各種土壌改良材を装着することもできる。そして、ワッシャ5に対する種子1等の装着は、例えば水溶性接着剤を用いて直接または薄綿等を介して間接的に接着する、種子等を挟み込んだシートとワッシャ5とを貼り付ける、といった適宜の方法により行える。
【0041】
上記実施形態ではまた、止め釘用孔7と各植物生育用スペース10とは少なくとも孔縁部位8により隔絶されているが、これに限らず、例えば孔縁部位8の一部が欠落し、止め釘用孔7と植物生育用スペース10の一つとがその欠落部を介して連通していてもよい。
【0042】
尚、本実施形態の説明中や説明後に述べた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1 蟻散布種子
2 ネット
3 シート
4 植生体
5 ワッシャ
6 止め釘
7 止め釘用孔
8 孔縁部位
9 押圧部位
10 スペース
11 穴
12 長板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑化対象面に敷設され蟻散布種子をネット状またはシート状の保持部材によって覆って保持する状態の植生体の上から、ワッシャを抜け止め状態で貫く止め釘を打ち込み、前記ワッシャによって前記保持部材を押圧し前記植生体を緑化対象面上に定着させる蟻散布種子利用の緑化工法であって、
前記ワッシャは、前記止め釘が差し込まれる止め釘用孔の縁を形成する孔縁部位と、該孔縁部位に連なり前記保持部材を押圧する押圧部位とを有し、該押圧部位は、植物生育用のスペースを囲む若しくは任意の方向から挟むか、または前記スペースに対して前記孔縁部位の周方向に隣接するように構成されていることを特徴とする蟻散布種子利用の緑化工法。
【請求項2】
前記ワッシャは、格子状、蜘蛛の巣状、ホイール状、ハニカム状、パンチングメタル状等の複数の穴を有する部材であり、前記複数の穴は前記スペースとなり、かつ、前記複数の穴の一部または全部は止め釘用孔としても使用可能となるように構成されている請求項1に記載の蟻散布種子利用の緑化工法。
【請求項3】
前記ワッシャは、互いの向きを異ならせて重ねられる複数の長板状体からなり、各々の長板状体において他の長板状体と重なる部分に前記孔縁部位が形成されている請求項1に記載の蟻散布種子利用の緑化工法。
【請求項4】
前記ワッシャの前記押圧部位は、放射状、渦巻状または分枝状に形成されている請求項1に記載の蟻散布種子利用の緑化工法。
【請求項5】
片面に少なくとも蟻散布種子が装着された前記ワッシャを、該片面が緑化対象面側を向くように配置する請求項1〜4の何れか一項に記載の蟻散布種子利用の緑化工法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の蟻散布種子利用の緑化工法に用いられるワッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85537(P2013−85537A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231401(P2011−231401)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000231431)日本植生株式会社 (88)
【出願人】(597165618)株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング (18)
【Fターム(参考)】