説明

血小板機能を抑制および反転する活性薬剤、組成物ならびに方法

血小板機能を抑制および反転させる活性薬剤、組成物および方法を本願明細書で提供する。特定の実施態様において、本願明細書で提供した活性薬剤は、血小板機能を抑制または反転させる。特定の実施態様において、本願明細書に記載した組成物は、医薬製剤である。血小板機能を抑制および反転させる方法をまた、本願明細書に提供する。特定の実施態様において、本願明細書に記載した方法はSema3Eポリペプチドの投与を含む。更に、血小板機能(すなわち血小板活性化)と関連する病態を治療する方法およびスクリーニング活性薬剤候補の方法をまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【連邦政府の支援による研究や開発に関する記述】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所によって認められたRO1 HL077671号の下で米国政府の支援によって行われたものである。米国政府は、本発明に対する特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
血小板、すなわち栓球は止血で重要な役割を果たし、血餅の形成に導く。血小板の数が少なすぎたり、血小板が機能不全である場合には、過剰な出血が起こる可能性がある。しかしながら、血小板の活性化および機能はまた、様々な病態、例えば脳卒中、心臓発作、肺動脈塞栓症、不安定狭心症、狭心症、心房性細動および、腕または脚の端部(例えば深部静脈血栓症)のような体の他の部位で血管の閉塞と関連する血栓症と関係する。
【0003】
血小板機能を、損傷によって、または、トロンビンを含むいくつかのアゴニスト、トロンボキサンA2のようなトロンボキサン、および、アデノシン二リン酸(「ADP」)の一つによって誘導することができる。血小板活性は、一つ以上の血小板の拡散、血小板接着、血小板凝集、α顆粒放出および凝固(血栓症)に関連する。血小板活性を抑制できる活性の薬剤および組成物(例えば、一つ、複数または全ての血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固)は、血小板活性に関連する深刻な病態を予防または処置する方法で役立つ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
血小板機能を抑制および反転させるための活性の薬剤および組成物を、本願明細書で提供する。特定の実施態様において、本願明細書で提供した活性の薬剤および組成物は、複数のアゴニストによって促進した血小板機能を抑制または反転させる。本願明細書に記載した活性薬剤は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固から選択した一つ以上の血小板機能を抑制または反転させ、特定の実施態様で、活性薬剤はセマフォリン3E(Sema3E)ポリペプチドを含む。例えば、特定の実施態様において、活性薬剤を、ヒトまたはマウスのSema3Eのような哺乳類のSema3Eポリペプチド並びに、血小板機能を抑制または反転させる前記ポリペプチドの誘導体、同族体、および類似体から選択する。本願明細書に記載したように、Sema3Eポリペプチドは血小板機能の強力な抑制剤であるだけでなく、Sema3Eポリペプチドはまた、血小板機能を反転させることが可能であることを見出した。本願明細書で記載した組成物はこの明細書に従う一つ以上の活性薬剤を含む。特定の実施態様において、本願明細書で記載した組成物は、医薬製剤である。
【0005】
血小板機能を抑制または反転させる方法をまた、本願明細書で提供する。特定の実施態様において、この方法は活性薬剤を投与する工程を含み、前記活性薬剤を投与する工程は血小板活性の抑制または反転を生じる。そのような一の実施態様において、投与した活性薬剤は本願明細書に記載したような活性薬剤であり、この活性薬剤の投与は血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固から選択した一つ以上の血小板機能の抑制または反転を生じる。他の実施態様において、本願明細書に記載した活性薬剤を投与する工程は、Rap1bの活性化を抑制し、αIIbβインテグリンの活性化の抑制を生じる。さらに別の実施態様では、本願明細書に記載した活性薬剤を投与する工程は、一つ以上のプレキシンレセプタの活性化を促進し、本願明細書に記載した一つ以上の血小板機能の抑制または反転を生じる。
【0006】
各々の実施態様において、活性薬剤を、血小板機能を抑制または反転させるために投与する場合には、前記活性薬剤が本願明細書に記載したような活性薬剤であり、必要に応じて、医薬製剤のような、本願明細書に記載した組成物で投与することができる。したがって、特定の実施態様において、本願明細書に記載した血小板機能を抑制または反転させる方法は、ヒトまたはマウスのSema3Eのような哺乳類のSema3E、並びに、Rap1bの活性化を抑制する前記ポリペプチドの誘導体、同族体、および、類似体から選択した活性薬剤を投与する工程を含む。更なる実施態様において、本願明細書に記載した血小板機能を抑制または反転させる方法は、ヒトまたはマウスのSema3Eのような哺乳類のSema3Eポリペプチド、並びに、一つ以上のプレキシンレセプタに結合して生物学的に活性である前記ポリペプチドの誘導体、同族体および類似体から選択した活性薬剤を投与する工程を含む。
【0007】
血小板機能と関連する病態を治療する方法をまた、本願明細書に記載する。本願明細書に記載した方法によって治療した病態は、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固と関連する病態から選択することができる。このような状態の特定の例は、これに限定したものではないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動を含む。一の実施態様において、本願明細書に記載したような治療の方法は、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固を生じる病態を患う患者に、本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量を投与する工程を含む。そのような実施態様において、この方法は、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動から選択した状態を患う患者に本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量を投与する工程を含む。本願明細書に記載した方法で投与した活性薬剤は、例えばSema3Eポリペプチドのようなポリペプチド活性薬剤であることができる。例えば、一の実施態様において、本願明細書に記載した方法は、ヒトまたはマウスのSema3Eポリペプチドから選択した哺乳類のSema3Eポリペプチド、並びに、前記ポリペプチドの誘導体、同族体および類似体を投与する工程を含み、投与したポリペプチドは一つ以上の血小板機能を抑制または反転させる。
【0008】
一定の実施態様において、血小板機能と関連する病態を治療する方法は、Rap1bの活性化を抑制する工程を含む。Rap1b活性は、血小板活性の一般的特徴である。特に、Rap1bの活性化はαIIbβインテグリンの活性化のために必要であると考えられる。従って、そのような実施態様において、血小板機能と関連する病態を治療する方法は、αIIbβインテグリンの活性化を抑制するようにRap1bの活性化を抑制する工程を含む。特定の実施態様において、Rap1bの抑制によって血小板機能と関連する病態を治療する方法は、本願明細書に記載したようなSema3Eポリペプチドを投与する工程を含む。例えば、そのような実施態様において、その方法は、ヒトまたはマウスのSema3Eのような哺乳類のSema3Eポリペプチド、並びに、前記ポリペプチドの誘導体、同族体および類似体の治療上有効量を投与する工程を含み、投与したポリペプチドはRap1bの活性を抑制する。Rap1bの活性化の抑制を含む方法により治療した病態は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動等の一つ以上から生じまたは関連する状態から選択することができる。
【0009】
さらに別の実施態様において、本願明細書に記載した血小板機能と関連する病態を治療する方法は、一つ以上のプレキシンレセプタを活性化させる活性薬剤を投与する工程を含む。従って、そのような実施態様において、血小板機能と関連する病態を治療する方法は、一つ以上のプレキシンレセプタ、例えばプレキシンD1またはプレキシンA系統のレセプタから選択したレセプタに結合して生物学的な活性であるSema3Eポリペプチドを投与する工程を含む。そのような実施態様において、投与用の活性薬剤を、ヒトまたはマウスのSema3Eのような哺乳類のSema3E、並びに、前記ポリペプチドの誘導体、同族体および類似体から選択し、投与したポリペプチドは一つ以上のプレキシンレセプタに結合して、生物学的に活性である。一つ以上のプレキシンレセプタで生物学的に活性である活性薬剤の投与を含む方法によって治療した病態は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動の一つ以上から生じまたは関連する状態から選択することができる。
【0010】
血小板機能を調整することができる組成物のスクリーニング方法をまた、本願明細書に記載する。特定の実施態様において、本願明細書に記載したスクリーニング方法は、プレキシンD1のような一つ以上のプレキシンレセプタを活性化または、Rap1bの活性化を抑制するために、一つ以上の活性薬剤または組成物の能力を評価する工程を含む。
【0011】
添付図面は、この明細書に組み込まれて一部を構成し、開示した活性薬剤、組成物および方法のいくつかの実施態様を例示し、詳細な説明と共に、開示した方法および組成物の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、プレキシンD1を血小板の細胞膜で発現することを示す図である。図1のパネルBで分かるように、CHO−PD1細胞は、プレキシンD1レセプタで発現し、細胞膜で染色した抗プレキシンD1を示した。図1のパネルCおよびDに示したように、抗プレキシンD1染色を、ヒトとマウスの血小板の両方において細胞膜で観察した。
【図2】図2は、異なるセマフォリンタンパク質で観察した効力の違いを示す画像を提供する図である。図2のパネルAは、賦形剤のみで培養したヒト血小板細胞で行われた結果を示す画像である。パネルB,EおよびFは、Netrin1、Slit2およびNetrin4でそれぞれ培養したヒト血小板細胞によって行った結果を示す画像である。パネルC,DおよびGは、Sema3A,Sema3FおよびSema3Eのポリペプチドでそれぞれ培養したヒト血小板細胞によって行った結果を示す画像である。図2から認識できるように、Sema3Eポリペプチドの効果は特に強力だった。パネルHは、拡散する血小板の能力を復元した培地を含むSema3Eの除去および洗浄するときに、Sema3Eの効果が可逆的であることを示す画像である。
【図3】図3は、Sema3Eの活性がマウスの血小板内で維持することを示す画像を提供する図である。特に、パネルAは、賦形剤のみの存在下で、フィブリノーゲンを塗布したホウ珪酸塩チャンバースライド上に培養したマウス血小板の画像を提供し、その一方で、パネルBはSema3Eの存在下で、フィブリノーゲンを塗布したホウ珪酸塩チャンバースライドに培養したマウス血小板の画像である。
【図4】図4は、Sema3Eの活性がアゴニスト依存でないことを示す画像を提供する図である。パネルAは賦形剤のみの存在下で、ADPによって培養した血小板の画像を提供し、その一方で、パネルBはSema3Eの存在下でADPによって培養したマウス血小板の画像である。
【図5】図5は、Sema3Eがβおよびβインテグリンに依存する基体上に血小板の接着および拡散を抑制することを示す画像である。ヒト血小板を、賦形剤のみまたはhSema3Eを含む培地で培養して、トロンビンの存在下で、指定した基体を塗布したチャンバースライドに配置した。hSema3Eで培養した細胞と関連する血小板と、賦形剤だけで培養した細胞と関連する血小板との間で比較して評価できるように、Sema3Eは各々の基体上で、トロンビンによって誘導した血小板の拡散および接着を抑制するように作用する。
【図6】図6は、Sema3E/プレキシンD1シグナル伝達が細胞収縮を生じるのに十分であることを示す画像である。hプレキシンD1によって一過性に核酸を導入したCHO−PLA1細胞を、チャンバースライドに塗布したフィブリノーゲン上に拡散することを可能にし、画像のために着色した。パネルAは、膜でプレキシンD1を発現したが、HSema3EにさらされなかったCHO−PD1細胞を示す。パネルBは、hSema3Eへさらした後に同じ細胞系からの細胞を示す。パネルBでわかるように、Sema3Eでの処理は、細胞分解およびレセプタのエンドサイトーシスの可能性を生じる。
【図7】図7は、Sema3Eがフィブリノーゲンに血小板接着を抑制すること実証する実験結果のグラフ表示を提供する図である。
【図8】図8は、Sema3Eが拡散前の血小板を収縮させることを示す画像である。ヒト血小板を、フィブリノーゲンを塗布したチャンバースライド上に配置して、0.05U/mLトロンビン(パネルAに示した血小板拡散)が存在する場合には、拡散することができた。そして、血小板は、賦形剤またはhSema3Eを含む培地で処理した(パネルBは、Sema3Eで処理後の血小板を示す)。パネルAおよびパネルBの比較によって認識することができるように、hSema3Eで拡散前の血小板を処理することは細胞拡散を反転させて、血小板収縮を生じる。
【図9】図9は、Sema3Eが血小板からのα顆粒放出を抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。
【図10】図10は、Sema3Eが血小板からのα顆粒放出を抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。
【図11】図11は、Sema3E(hSema3E)がヒト血小板でトロンビンによって誘導したP−セレクチン転位を抑制することを証明する実験結果のグラフである。
【図12】図12は、Sema3E(組換え型のネズミのセマフォリン3E/Fc)が複数のアゴニストによって誘導したマウス血小板の誘導したP−セレクチン転位を抑制することを証明する実験結果のグラフである。
【図13】図13は血小板凝集研究の結果を表し、Sema3Eが血小板凝集を抑制することを示す。
【図14】図14は、Sema3EがαIIbβインテグリンの活性化を抑制および反転の両方ができることを証明する実験結果のグラフである。
【図15】図15は、Sema3Eが複数のアゴニストによって誘導したマウス血小板の活性αIIbβインテグリンを抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。
【図16】図16は、Sema3Eが複数のアゴニストによって誘導したマウス血小板の活性αIIbβインテグリンを抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。
【図17】図17は、Sema3Eが生体内で凝血形成を抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。図17は、FeCl誘導の頸動脈血栓症のマウスモデルで観察した相対的な頸動脈流のグラフを提供し、それぞれの線は生理食塩水を投与するマウス、ヘパリンの様々な用量を投与するマウスおよびSema3Eを投与するマウスで相対的な頸動脈流を示す。
【図18】図18は、Sema3Eが生体内で凝血形成を抑制することを証明する実験結果の二つの異なるグラフである。図18は、FeCl誘導した頸動脈血栓症の同じマウスモデルにおいて観察した頸動脈閉塞までの時間のグラフを提供し、それぞれのバーは食塩水を投与するマウス、ヘパリンの様々な用量を投与するマウスおよびSema3Eを投与するマウスでの閉塞までの時間を示す。
【図19】図19は、FeCl誘導の頸動脈血栓症のマウスモデルにおいて、Sema3Eを評価する間に得られた超音波データの代表的な画像である。
【図20】図20は、Sema3EがRap1b(すなわち、GTP−Rap1bの形成)の活性化を抑制することを示す実験結果を提供する図である。
【図21】図21は、CD33シグナルペプチドおよびHisタグを伴う組換え型のヒトのセマフォリンの配列(SEQ.ID.NO.1)を提供する図である。
【図22】図22は、CD33シグナルペプチド、リンカーおよびFcを伴う組換え型のネズミのセマフォリン3E/Fcの配列(SEQ.ID.NO.2)を提供する図である。
【図23】図23は、CD33シグナルペプチド、Hisタグ、リンカーおよびFcを伴う組換え型のヒトセマフォリン3A/Fcの配列(SEQ.ID.NO.3)を提供する図である。
【図24】図24は、CD33シグナルペプチド、リンカーおよびFcを伴う組換え型のネズミのセマフォリン3F/Fcの配列(SEQ.ID.NO.4)を提供する図である。
【図25】図25は、3E、pCI−His8−hSema3Eと称され、組換え型のヒトのセマフォリンの配列(SEQ.ID.NO.5)を提供する図である。
【図26】図26は、pCI−His8−hSema3E−不活転換酵素KARFARと称され、組換え型のヒトセマフォリン3Eの配列(SEQ.ID.NO.6)を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
使用、同時に使用、調整に使用でき、または、開示した活性薬剤の製品、組成物および方法となる材料、組成物および構成成分を開示する。これら及び他の材料を、本願明細書で開示し、それは、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、基等が、これらの化合物の、様々な個別および全体的な組合せ並びに置換の各々を特定の文献が明確に開示することができないと共に、各々は特に本願明細書で考察および記載することが理解される。例えばポリペプチドを開示および述べたり、ポリペプチドを含む多くの分子を作成することができる多くの変更を述べる場合には、ポリペプチドの各々、全ての組み合わせ、置換、並びに、可能である変更を、反対に特に示されない限り特に予測する。したがって分子A、BおよびCのクラスを、分子D、EおよびFのクラス並びに組合せの分子A−Dの例と同様に開示し、各々が個々に詳述されない場合であっても、各々を個々および総合的に考慮する。したがって、この例では、各々の組合せA−E,A−F,B−D,B−E,B−F,C−D,C−E,およびC−Fを特に考慮して、A、BおよびC、D、EおよびF並びに例の組合せA〜Dの開示から開示したことを考慮すべきである。同様に、これらのいかなるサブセットまたは組合せをまた、特に考慮し開示する。したがって、例えば、A−E,B−FのおよびC−Eの亜属を特に考慮して、A、BおよびC、並びに、D、EおよびF並びに例の組合せA−Dの開示から開示したことを考慮すべきである。この概念は、開示した組成物を製造し使用する方法における工程を含むがこれに限定されず、本出願の全ての態様に適用する。したがって実行することができる種々の追加工程がある場合、それは、各々のこれらの追加工程が開示した方法のいかなる特定の実施態様または組合せによって行うことができ、各々の前記組合せを特に考慮して、開示したことを考慮すべきであることを理解される。
【0014】
当業者は、ルーチン試験、前記方法の特定の実施態様に対する多くの等価物、本願明細書に記載した組成物だけを使用して認識または確認することができるだろう。このような等価物は、添付の特許請求の範囲によって包含することを意図する。
【0015】
本願明細書で用いられる用語は特定の実施態様のみを記載する目的であり、添付の特許請求の範囲だけによって制限した本発明の範囲を制限することを意図しないことをまた、理解すべきである。
【0016】
一方定めない限り、本願明細書で用いられる全ての専門的および科学的な用語は本願明細書の文脈で当業者によって共通に理解されることを意味する。
【0017】
本願明細書および添付の特許請求の範囲で使用したように、単数形の「a」、「an」および「the」は文脈で明確に規定しない限り複数の概念を包含することを注意しなければならない。したがって、例えば、「一つのポリペプチド」に対する概念は複数の前記ポリペプチドを包含し、「そのポリペプチド」に対する概念は一つ以上のポリペプチドおよびそれの当業者に知られる等価物等に対する概念である。
【0018】
「任意の」または「任意に」は、次に記載した結果、詳細または材料が生じもしくは存在し、または、生じない若しくは存在しないことであり、明細書は、結果、詳細または材料が生じまたは存在し、それが生じずまたは存在しない例を意味する。
【0019】
範囲は「約」一つの特定の値から、および/または、「約」特定の他の値までとして本願明細書に示すことができる。このような範囲を示すとき、他の実施態様は一の特定の値から、および/または、他の特定の値まで包含する。同様に値が前の「約」の使用によって近似値を示すとき、特定の値が他の実施態様を形成することを理解されるだろう。各々の範囲の終点は、関連する他の終点と独立した他の終点の両方に十分であることを更に理解されるだろう。また、本願明細書に開示した多くの値があり、各々の値がまた、値自体に加えて特定の値「について」本願明細書で開示すること理解されるだろう。例えば、値「10」を開示する場合、「約10」も開示する。二つの特定の単位間の各々のユニットも開示することをまた理解される。例えば、10および15を開示する場合、11、12、13および14も開示する。
【0020】
ここで使用するように、「被検者」という用語は、投与のいかなる標的も意味する。被検者は、脊椎動物、例えば哺乳類であることができる。したがって、被検者はヒトであることができる。その用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、成人および新生児の被検者は胎児と同様に、男性であるか女性であるにせよ適用すべきことを意図する。用語「患者」は病態で苦しむ被検者に言及する。用語「患者」は、ヒトおよび家畜の被検者を包含する。
【0021】
「抑制する」、「抑制すること」および「抑制」は、活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標を予防、減少または機能させないことを意味する。これは、活性、反応、状態または疾患の完全な除去を含むが、これに限定したものではない。また、これは、例えば、天然の濃度と比較して、活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標の緩徐化または減少を包含することができ、用語「天然の濃度」は抑制剤がない場合の明らかな濃度を言及する。この文脈において、減少は、いかなる予測可能な減少とすることができる。特定の実施態様において、減少は、天然の濃度と比較すると、例えば、特に詳述したパーセンテージの間で、10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%またはいかなる量の減少ででもありうる。
【0022】
血小板活性に関連して本願明細書に使用したように、用語「反転」は、少なくとも部分的に、アゴニスト、例えばトロンビン、ADPまたはトロンボキサンA2のようなトロンボキサンの存在または生産に関連する活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標を、アゴニストの欠如に酷似する状態に復帰することを特に言及する。この文脈において、「復帰すること」は、アゴニストの存在または生産と関連する活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標の減少であることができる。この文脈において、減少は、いかなる予測可能な減少でもありうる。特定の実施態様において、減少は、例えば、天然の濃度と比較すると、特に詳述したパーセンテージの間に10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%または多くの減少でもありうる。従って、用語「復帰している」は、アゴニストの存在または生産と関係する活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標の完全な反転を含む。
【0023】
「促進する」、「促進」および「促進すること」は活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標の増加を言及する。これは、活性、反応、状態または疾患の開始を含むことができるが、これに限定したものではない。また、これは例えば、天然またはコントロールの濃度と比較して、活性、反応、状態または疾患の10%増加を含むことができる。したがって、活性、反応、状態、疾患または他の生物学的指標の増加は、天然またはコントロールの濃度と比較して、10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%,100%以上であり、特に詳述したパーセンテージの間でいずれかの量の増加を含む。
【0024】
用語「担体」は、化合物または組成物と結合するときに、調製、蓄積、投与、送達、効果、選択または、その意図する用途もしくは目的のための化合物または組成物の他のいかなる特徴も補助または促進する化合物、組成物、材料または構造を意味する。例えば、担体を、医薬製剤を提供する際に使用することができ、活性薬剤のいかなる低下も最小にし、被検者のいかなる有害な副作用も最小にするように選択することができる。
【0025】
プレキシンレセプタで「生物学的に活性」である活性薬剤を言及するときに、用語「生物学的に活性」はプレキシンレセプタとの関連を示す活性薬剤、例えばプレキシンレセプタと結合する活性薬剤を言及し、このような関連は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固から選択した一つ以上の機能を含み、一つ以上の血小板機能の抑制または反転と結びつく。
【0026】
ここで使用するように、用語「治療する」、「治療すること」および「治療」は、治療的な利点を言及し、それによって、(複数の)有害効果または特定の病態、疾患、状態、結果または損傷の経過を、予防、減少、抑止、反転または遅延させる。
【0027】
「治療上有効量」は、例えば病態と関連する活性、反応、状態、疾患または他のパラメータを抑制または反転させることによって、治療的な利点を達成する化合物の量である。治療上有効量は、少なくともある程度は、被検者の病態の一つ以上の症状を取り除き、病態と関連する一つ以上の生理的または生化学パラメータまたは原因を部分的または完全に、正常に戻し、および/または、病態の開始の可能性を減少させる量であることができる。
【0028】
用語「病的な」または「病態」は、疾患、状態、事象または損傷の結果となる健康、正常または効果的状態からいずれかの異常を言及する。
【0029】
(I.活性の薬剤及び組成物)
血小板の活性を抑制または反転させる活性薬剤を、本願明細書で提供する。一の実施態様において、活性薬剤は、一つ以上の血小板機能を抑制または反転させる。例えば、特定の実施態様において、本願明細書に記載した活性薬剤が、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固を抑制または反転する。実施例において、活性薬剤は、血小板の拡散、接着力、凝集、α−顆粒放出および凝固を抑制または反転させる。本願明細書に記載した活性薬剤は、ポリペプチド薬剤であることができる。このようなポリペプチド活性薬剤の特定の例は、セマフォリン3Eタンパク質(「Sema3Eポリペプチド」または「Sema3E」)に属するまたは誘導するポリペプチドを包含する。本願明細書に予測したようなSema3Eポリペプチドを述べるとき、短縮しないSema3Eタンパク質、並びに、短縮しないSema3Eタンパク質の誘導体、類似体および同族体が予測され、このようなポリペプチドは、一つ、複数または全ての血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固を、抑制または反転することを提供する。「誘導体」ポリペプチド分子は、直接または変更もしくは部分的な置換のいずれかによって天然の化合物から形成したポリペプチドを言及する。「同族体」ポリペプチド分子は、異なる種に由来する特定の遺伝子のポリペプチド製品を言及する。「類似体」ポリペプチド分子は、構造で類似するが、同一でないポリペプチドであり、参照したポリペプチド配列に含まれるアミノ酸の数および性質に関して異なる。例えば、所定のポリペプチドに対する類似体は、配列相同性のレベルを示すが、一つ以上のアミノ酸の置換または欠乏を含むことができる。
【0030】
特定の実施態様において、活性薬剤がSema3Eポリペプチドである場合には、活性薬剤を、哺乳類のSema3Eポリペプチド、例えばマウスまたはヒトのSema3Eポリペプチドから選択することができる。活性薬剤が哺乳類のSema3Eである場合には、活性薬剤を、従来技術で知られる技術に従って単離精製した、既知の、天然の哺乳類のSema3Eポリペプチドから選択することができる。あるいは、本願明細書に考慮した哺乳類のSema3Eを、従来技術でよく知られる組換え型または合成製造技術で得ることができる。更にさえ、活性薬剤は、天然のもの、組換え型または合成の哺乳類のSema3Eポリペプチドの誘導体、類似体または同族体から選ぶことができる。例えば特定の実施態様において、活性薬剤を、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固を抑制または反転する能力示す図22(「hSema3E」)(SEQ.ID.NO.1)で詳述した組換え型ヒトSema3E、および、図23(SEQ.ID.NO.2)で詳述した組換え型ネズミのSema3E/Fc、並びに、前記ポリペプチドの誘導体、類似体および同族体から選択することができる。他の実施態様において、活性薬剤は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一つ以上を反転または抑制する能力を示し、図25(SEQ.ID.NO.5)および図26(SEQ.ID.NO.6)で詳述した組換え型ヒトSema3Eポリペプチド、並びに、前記ポリペプチドの誘導体、類似体および同族体から選択することができる。一の実施態様において、活性薬剤を、天然の哺乳類のSema3Eポリペプチド、例えば短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3E、またはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6によって記載したSemaポリペプチドの一つの誘導体、同族体または類似体から選択し、このような活性薬剤は関連した全身の、天然のヒトまたはマウスのSema3E、並びに、SEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5またはSEQ.ID.NO.6に対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%以上のポリペプチド配列相同性を示す。他の実施態様において、活性薬剤は、短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3E、または、SEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6で詳述したSema3Eポリペプチドの一つの誘導体、同族体または類似物であり、さらに、例えば80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択した相同性から誘導したポリペプチドに対するより少ないポリペプチド配列相同性を示し、一方、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一つ以上を抑制または反転する能力を保持する。
【0031】
セマフォリンはプレキシンと相互作用することが知られ、プレキシンレセプタはセマフォリンレセプタの支配的なクラスであることが理解される。4つのクラスのプレキシン、クラスA〜Dがあり、それは、クラス3のセマフォリン(例えばSema3A,3C,3Eおよび3F)がクラスAおよびクラスDのプレキシンと相互に作用することが報告され、Sema3A,Sema3CおよびSema3EはプレキシンD1と結合することが知られ、Sema3AおよびSema3FはプレキシンA1、プレキシンA3およびプレキシンA4と結合することが知られ、Sema3AはプレキシンA2と結合することが知られる(Kruger R.et al.Semaphorins command cells to move.Nature Reviews.Volume6.Pp789-800.October2005)。それはクラス3のセマフォリンとプレキシンAおよびプレキシンDとの間の相互作用は、脈管構造の適当な形成に本質的であることが提案され、プレキシンD1によって媒介したクラス3のセマフォリンシグナリングは正常な心臓発現のために必要であることが報告される(Kruger R.et al. Semaphorins command cells to move.Nature Reviews.Volume6.p789-800.October2005)。
【0032】
本願明細書で提供した実験的な例で例示されているように、プレキシンD1を血小板の膜で発現し、プレキシンD1レセプタに対するSema3Eの結合はマトリックスを含むフィブリノーゲンに拡散することが可能である細胞の細胞収縮を生じるのに十分である。従って、特定の理論に縛られずに、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固を含む、血小板機能は、プレキシンD1レセプタのようなプレキシンレセプタの活性化によって抑制または反転することができる。従って、特定の実施態様において、本願明細書に記載した活性薬剤は、一つ以上のプレキシンレセプタに結合して、生物学的に活性である。そのような実施態様において、活性薬剤は、プレキシンD1およびプレキシンAクラスのレセプタから選択した一つ以上のプレキシンレセプタ(すなわちプレキシンA1からプレキシンA4)に結合して生物学的に活性である本願明細書に記載したSema3Eポリペプチドである。そのような特定の実施態様において、活性薬剤を、プレキシンD1レセプタと結合して生物学的に活性である本願明細書に記載したSema3Eポリペプチドから選択する。
【0033】
本願明細書に記載したように、一つ以上のプレキシンレセプタと結合して生物学的に活性であることができるSema3Eポリペプチドを、マウスまたはヒトのSema3Eのような哺乳類のSema3Eポリペプチドから選択することができる。活性薬剤が哺乳類のSema3Eである場合、活性薬剤を、それらの自然環境から単離精製した天然の哺乳類のSema3Eポリペプチドから選択することができる。あるいは、本願明細書に予測した哺乳類のSema3Eを、従来技術においてよく知られる組換え型または合成製造技術で得ることができる。更にさえ、活性薬剤を、天然のもの、組換え型または合成哺乳類のSema3Eポリペプチドの誘導体、類似体または同族体から選択することができる。例えば、特定の実施態様において、本願明細書に記載したようなプレキシンレセプタに結合して生物学上で活性であることができるSema3E活性薬剤を、SEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6で提供した組換え型のSema3Eポリペプチド並びに、所望の(複数の)プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性である前記ポリペプチドの誘導体、類似体および同族体から選択することができる。そのような実施態様において、活性薬剤が天然の哺乳類のSema3Eポリペプチド、例えば短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3E、すなわちSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6によって描写したSemaポリペプチドの一つの誘導体、同族体または類似体から選択し、このような活性薬剤は、関連した全身の、天然のヒトまたはマウスのSema3E、またはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%以上のポリペプチド配列相同性を示す。他の実施態様では、活性薬剤は、短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3E、または、SEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6の一つの誘導体、同族体または類似物であり、さらに由来するポリペプチドに対してより少ないポリペプチド配列相同性、例えば80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択した相同性を示す一方、所望の(複数の)プレキシンレセプタに結合して生物的活性を示す能力を保持する。
【0034】
Rap1bの活性化は、様々な異なるアゴニストを経た血小板活性化の共通の特徴である(例えばWei,A.et al. New Insights into the haemostatic function of platelets.BrJ Heamatol.2009 Jul 28;Chrzanowska-Wodnicka,M.etal. Rap1b is required for normal platelet function and hemostasis in mice. J.Clin,Invest.115:680-687(2005)参照)。Rap1bによって調整した血小板活性化での重要な工程はαIIbβインテグリン活性化であり、Rap1b欠乏は複数のアゴニストによって誘導した可溶なフィブリノーゲン結合を損ない、Rap1bがαIIbβインテグリン活性から上流で含まれることを示す。Rap1b機能は正常αIIbβインテグリンシグナリングのために必要であり、Rap1b機能の損失は血栓症の予防と関係していた(例えばWei,A.etal.New Insights into the haemostatic function of platelets. Br J Heamatol.2009 Jul 28;Chrzanowska-Wodnicka,M.et al.Rap1b is required for normal platelet function and hemostasis in mice. J.Clin,Invest.115:680-687(2005)参照)。本願明細書で提供した実験的な実施例において強調したように、本願明細書に記載した活性薬剤の実施態様は、トロンビン、ADPおよびトロンボキサンA2のようなトロンボキサンを含む、いくつかのアゴニストを媒介として血小板機能を抑制することでことができる。さらに、本願明細書に記載したような活性薬剤はβおよびβの基体上の血小板の拡散および接着を抑制する。
【0035】
特定の理論に束縛されずに、特定の実施態様において、本明細書に従う活性薬剤はRap1bの活性化を抑制するので、本願明細書に記載した活性薬剤の作用はアゴニスト依存となることが観測されないことと考えられる。本開示の文脈において用いられるように、「Rap1bの活性化」は、GTP−Rap1bの形成を言及する。また、αIIbβインテグリン活性化は、血小板の活性化および機能、並びにRap1b欠乏に重要であり、例えば複数のアゴニストによって誘導したRap1bの損なう可溶なフィブリノーゲン結合を、活性化を抑制することによって生じることができる。従って、特定の実施態様において、本願明細書に記載した活性薬剤を、Rap1bの活性化を抑制することができるSema3Eから選択することができ、αIIbβインテグリン活性化の抑制を生じる。
【0036】
Rap1bの活性化を抑制することができるSema3Eポリペプチドを、マウスまたはヒトのSema3Eのような哺乳類のSema3Eポリペプチドから選択することができる。Rap1bの活性化を抑制することができる活性薬剤が哺乳類のSema3Eである場合には、活性薬剤を、それらの自然環境から単離精製した天然の哺乳類のSema3Eポリペプチドから選択することができる。あるいは、本願明細書に予測した哺乳類のSema3Eを、当該技術から知られる組換え型または合成生産技術を通して得ることができる。更にさえ、Rap1bの活性化を抑制することができるSema3E活性薬剤を、天然のもの、組換え型または合成哺乳類のSema3Eポリペプチドの誘導体、類似体または同族体から選択することができる。例えば、特定の実施態様において、Rap1bの活性化を抑制することができるSema3E活性薬剤を、SEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6並びにRap1bの活性化を抑制する前記ポリペプチドの誘導体、類似体および同族体が詳述した組換え型Sema3Eポリペプチドから選択することができる。そのような実施態様において、活性薬剤を、短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3Eのような天然の哺乳類のSema3Eポリペプチド、例えば、またはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6によって記載したSemaポリペプチドの一つの誘導体、同族体または類似体から選択し、このような活性薬剤は、関連した短縮しない天然のヒトまたはマウスのSema3E、またはSEQ.ID.NO.1.SEQ.ID,NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6に対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%以上のポリペプチド配列相同性を示す。他の実施態様において、活性薬剤を、短縮しない天然のヒトもしくはマウスのSema3E、またはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6の一つの誘導体、同族体または類似物であり、さらにRap1bの活性化を抑制する能力を保持するとともに、例えば80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択した同族体に由来するポリペプチドに対してより少ないポリペプチド配列相同性を示す。
【0037】
所望の構造のポリペプチドを、公知技術の方法および材料を使用して製造することができる。例えば、天然のポリペプチドの単離または組換え型ポリペプチドの製造ための様々な方法は、よく知られている。さらに、様々な方法は、所望の配列のポリペプチドを総合的に製造するために知られている。例えば、ペプチドを、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert−ブチロキシカルボノイル)化学のいずれかを使用する現在利用可能な実験室用機器を使用して化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。当業者は、所望のタンパク質に対応するペプチドが標準の化学反応によって合成できることが容易に認識することができる。例えば、ペプチドを合成して、その合成樹脂から開裂することがなく、一方、他のタンパク質のペプチドフラグメントを合成してその後樹脂を開裂し、それによって、他のフラグメントに機能的に制限した末端基をさらす。ペプチド縮合反応によって、これらの二つのフラグメントは、それらのカルボキシルおよびアミノ末端で、それぞれペプチド結合を経て共有結合して、抗体またはそのフラグメントを形成することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and TrostB.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis,Springer-VerlagInc.,NY(少なくともペプチド合成に関する材料に関して参照する))。あるいは、所望のタンパク質またはペプチドを、生体内で標準の組換え型技術を使用して合成することができる。所望のタンパク質を形成するために結合すべき独立のペプチドを生体内で独立して製造できる場合には、一旦このような独立ペプチドを製造して分離するならば、それらは類似したペプチド縮合反応を経て所望のタンパク質またはそのフラグメントを形成するために結合することができる。
【0038】
例えば、クローンまたは合成のペプチド部分の酵素の連結は、比較的短いペプチド断片が、より長いペプチド断片、ポリペプチドまたは総タンパク領域を生産するために結合することを可能にする(Abrahmsen L et ai., Biochemistry,30:4151(1991))。あるいは、合成ペプチドの天然の化学連結を、より短いペプチド断片から大きいペプチドまたはポリペプチドを合成的に構成するために利用することができる。この方法は、二つの工程の化学反応からなる(Dawson et al. Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776-779(1994))。第一の工程は、アミノ末端Cys残基を含む他の非保護のペプチド断片と非保護の合成ペプチド−チオエステルの化学選択的な反応であり、最初の共有結合生産物としてチオエステル結合した中間体を生じる。反応条件の変化を行わずに、この中間体は、自然発生的で、急速な分子内反応を受けて、連結部で天然のペプチド結合を形成する(Baggiolini M et al. (1992) FEES Lett. 307:97-101; Clark-Lewis I et al., J.Biol.Chem., 269:16075 (1994); Clark-Lewis I et al., Biochemistry, 30:3128 (1991); Rajarathnam K et al., Biochemistry 33:6623-30 (1994))。
【0039】
あるいは、非保護のペプチド断片を、結合がペプチド断片の間で形成して、化学連結が不自然な(非ペプチド)結合を生じる場合に、化学的に結合する(Schnoizer,Metal.Science,256:221(1992))。この技術を、完全な生物的活性を有する大量の比較的純粋なタンパク質と同様に、タンパク質領域の類似物を合成するために使用する(deLisle Milton RC et al.,Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257-267(1992))。
【0040】
本願明細書に記載した活性薬剤を含む組成物をまた提供する。このような組成物は本願明細書に記載したように一つ以上の活性薬剤を含むことができる。一の実施態様において、組成物を医薬製剤として調製する。例えば、本願明細書に記載したような一つ以上の活性薬剤に加えて、医薬製剤は薬学的に許容できる担体および/または一つ以上の薬学的に許容できる賦形剤を含むことができ、治療的投与に適する製剤を提供する。ここで使用するように、「薬学的に許容できる」は生物学的でなく、さもなければ望ましくない材料を言及し、すなわち、その材料は所望の活性薬剤(例えば、本願明細書に記載した所望の活性薬剤)と共に被験者に投与するのに適していて、それが含まれる医薬製剤の他の構成成分と互換性がある。担体およびいずれかの(複数の)賦形剤も、活性薬剤のいずれかの低下または被検者の有害な副作用を最小にするように自然に選択する。
【0041】
本明細書に従う医薬製剤を、投与に適するいかなる形態にも調製することができ、例えば、錠剤にした組成物、カプセル化用の粉状組成物、カプセル化または腸管外の送達用の溶液組成物、エマルジョン、または、例えば微小粒子、マトリックス材料またはリポソーム内に組み込むまたは組み込まれる製剤のようなサスペンションである。本願明細書に記載した医薬製剤は、抗体、レセプタまたはレセプターリガンドを経て特定の細胞型に対象とした構成成分を含むことができる。薬剤担体および賦形剤並びにそれらの製剤は、例えば、Remingtonにおける、The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, PA 1995を含む文献によく記載される。
【0042】
必要に応じて、薬学的に許容可能な塩を、製剤を等張にするために医薬製剤で使用することができる。液体の薬学的に許容可能な担体の例は生理食塩水、リンガー液およびブドウ糖溶液を含むが、これに限定したものではない。医薬製剤を、溶液または懸濁液、特に腸管外の送達の状態として提供する場合には、製剤のpHを、被検者への送達の容易さ、および/または、活性薬剤の保存剤もしくは他の製剤構成成分で要求したように調整することができる。医薬製剤を調製するために適する担体および賦形剤は、例えば、よく知られる種類の薬学的に許容可能なポリマー、糖類、塩類、脂質、リン脂質、界面活性剤、ゲル類、ポリペプチドおよびアミノ酸を含む。本明細書に従う医薬製剤は、持効性薬剤を含むことができる。一定の担体および/または賦形剤は、例えば投与の経路および投与した組成物の濃度によって、より好ましくなるように決めることができることは、それらの当業者にとっては明らかである。本願明細書に記載した医薬製剤は、一つ以上の増粘剤、調味料、希釈液、緩衝剤、防腐剤、抗菌材料、抗炎症剤、麻酔薬、界面活性剤などを含むことができる。
【0043】
本願明細書で開示した組成物は、医薬製剤を含み、局所的または全身的の治療が要求したかどうかおよび、治療すべき領域に従い、多くの方法で投与することができる。組成物の非経口的適用は、使用した場合、通常、注射を特徴とする。注射可能薬物を、液溶体または注射を行う前に液体内に溶解またはサスペンションに適する固体の形態のサスペンションあるいは、エマルジョン類として従来の形態で調製することができる。非経口的適用のために改良した方法は、遅い放出または、定常的な投薬量が維持したような徐放系の使用を含む(米国特許第3,610,795号参照(本願明細書に引用したものとする))。
【0044】
治療の影響を達成することを必要とする所定の組成物の正確な量は、被検者ごとに異なり,被検者の生物種、年齢、体重および一般状態、治療されている病態の重篤性、使用した特定の活性薬剤、その投与様式などに従う。組成物の投与のための用量範囲は、治療の効果を引き起こすのに十分なものである。投与量を、不必要な交差反応、アナフィラキシー反応などのような有害な副作用の発生を回避または減少させるために調整することができる。投与量は、年齢、状態、性別および患者の疾患の程度、投与の経路または、他剤が処方計画で含まれるかどうかによって変化することができる。投与量を、いずれかの禁忌の場合には個々の医師によって調整することができる。投与量は変更することができ、一つ以上の用量投与で、毎日、一日または数日投与することができる。指針を、所定のクラスの製薬製品で適当な投与量のための文献で発見することができる。
【0045】
(II 血小板の機能、治療及びスクリーニング調整方法)
血小板機能を抑制する方法を本願明細書で提供する。一の実施態様において、血小板機能を抑制する方法は一つ以上の血小板を本願明細書に記載したような活性薬剤で治療することを含む。そのような実施態様において、一つ以上の血小板を治療する工程を、本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量を必要とする患者に投与することによって実施することができる。要求した場合には、活性薬剤を、本願明細書に記載したような組成物を使用して投与することができる。特定の実施態様において、活性薬剤と一つ以上の血小板の治療は、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固を反転または抑制する。そのような実施態様において、活性薬剤と一つ以上の血小板の治療は、各々の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固を抑制する。活性薬剤を本願明細書に記載した活性薬剤から選択することができ、活性薬剤の投与を、本願明細書に記載したような組成物を使用してこのような活性薬剤の投与によって達成することができる。特定の実施態様において、血小板機能を抑制する方法は活性薬剤を本願明細書に記載したように投与することを含み、活性薬剤を投与することは血小板機能と関連する止血および血栓症を抑制する。
【0046】
他の実施態様において、本発明の方法は、一つ以上の血小板機能と関連する病態のリスクがある、または、病態に苦しむ患者を治療することを含み、この方法は本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量を、このような患者に投与することを含む。血小板の機能または活性と関連する病態は、一つ以上の血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動の一つ以上を含む病態から選択することができる。従って、特定の実施態様において、本発明の方法は、危険な状態または脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動の一つ以上で病態のリスクがある、または、病態に苦しむ患者を識別することおよび、血小板活性を抑制することができる本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量を患者に投与することを含む。特定の実施態様において、活性薬剤は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固から選択した一つ以上の血小板機能を抑制する。本願明細書に記載した治療の方法の他の実施態様において、本願明細書に記載した活性薬剤の治療上有効量を投与することは、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出および凝固の各々を抑制する。血小板機能の抑制と関連する方法の各々の実施態様において、活性薬剤を本願明細書に記載した活性薬剤から選択することができ、活性薬剤の治療上有効量を投与することは本願明細書に記載したような組成物を使用してこのような活性薬剤の投与によって達成することができる。
【0047】
さらに別の実施態様において、本発明の方法は、血小板活性を反転させることを含む。このような実施態様において、血小板の拡散、凝集、接着または凝固の一つ以上を示す血小板を、本願明細書に記載したような活性薬剤で治療する。活性薬剤を本願明細書に記載した活性薬剤から選択することができ、活性薬剤での治療を、本願明細書に記載したような組成物を使用してこのような活性薬剤の投与によって達成することができる。特定の実施態様において、活性薬剤での治療は、血小板の拡散、凝集、接着、α顆粒放出または凝固の一つ以上の反転を生じ、一の実施態様において、活性薬剤での治療は血小板の拡散、凝集、接着および凝固の各々の反転を生じる。更なる実施態様において、このような方法は一つ以上の血小板機能と関連する病態で苦しむ患者を治療することを含むことができ、この方法は本願明細書に記載したような活性薬剤の治療上有効量をこのような患者に投与することを含む。従って、特定の実施態様において、本発明の方法は血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一つ以上と関連し、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動の一つ以上を含む病態で苦しむ患者を識別すること、および、本願明細書に記載した血小板活性を反転できる活性薬剤の治療上有効量を患者に投与することを含み、活性薬剤を投与することは、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一、複数または各々の反転を生じる。
【0048】
また、血小板機能と関連する病態のリスクまたは苦しむ患者を治療する方法を本願明細書に記載し、この方法は、Rap1bの活性化を抑制することを含む。すでに記載したように、Rap1bの活性化は血小板活性の一般的特徴であって、αIIbβインテグリンの活性化のために必要であると考えられている。従って、そのような実施態様において、血小板機能と関連する病態の危険または苦しむ被検者を治療する方法は、Rap1bの活性化を抑制することを含み、Rap1bの活性化を抑制する工程は本願明細書に記載したような活性薬剤を投与することを含む。例えば特定の実施態様において、血小板機能と関連する病態のリスクまたは苦しむ被検者を治療する方法を用意し、この方法は本願明細書に記載したようなSema3Eポリペプチドから選択した活性薬剤の治療上有効量を、それを必要とする被検者に投与することを含む。Sema3Eポリペプチドを、本願明細書に記載したような組成物を使用して被検者に調製および投与することができる。Rap1bの活性化の抑制を含む方法によって治療した病態は、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一つ以上、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動を含む関連する状態から選択することができる。
【0049】
さらに別の実施態様では、血小板機能と関連する病態のリスクまたは苦しむ被検者を治療する方法は、一つ以上のプレキシンレセプタと結合して生物学的活性である活性薬剤を投与することを含む。従って、そのような実施態様において、血小板機能と関連する病態のリスクまたは苦しむ被検者を治療する方法は、一つ以上のプレキシンレセプタと結合して生物学的活性である活性薬剤を投与することを含む。このような方法の特定の実施態様において、活性薬剤を本願明細書に記載したSema3E活性薬剤から選択することができ、プレキシンレセプタを、例えばプレキシンD1または、プレキシンA1からプレキシンA4までのような一つ以上のプレキシンAレセプタから選択することができる。このような実施態様において、Sema3E活性薬剤を本願明細書に記載したような組成物を使用して被検者に調製および投与することができる。さらに他の特定実施態様において、血小板機能と関連する病態のリスクまたは苦しむ被検者を治療する方法は、プレキシンD1と結合して生物学的活性である活性薬剤を投与することを含み、活性薬剤は本願明細書に記載したようなSema3Fポリペプチドである。一つ以上のプレキシンレセプタと結合して生物学的活性である活性薬剤を投与すること含む方法によって治療した病態を、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒放出または凝固の一つ以上、例えば、この例に限らないが、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動を含むまたは関連する状態から選択することができる。
【0050】
血小板機能を抑制または反転する薬剤をスクリーニングまたは評価する方法を、本願明細書で提供する。例えば、特定の実施態様において、本明細書に従う活性薬剤のスクリーニング方法を、本願明細書に記載した試験管内実験および生体内のモデルを使用して実施することができる。別の実施態様において、血小板機能を抑制または反転させることでことができる活性薬剤をスクリーニングする方法は、一つ以上のプレキシンレセプタと結合して前記レセプタで生物的活性を示す前記薬剤の能力を決定することを含む。このような方法において、プレキシンレセプタを、例えばプレキシンD1およびプレキシンA系統のレセプタから選択することができる。特定の実施態様において、スクリーニング法は次の工程を含むことができ、一つ以上のプレキシンレセプタを発現する第一の細胞を候補剤と接触させる工程、プレキシンレセプタを実質的に欠如するが基本的に第一の細胞と同一の第二の細胞を候補剤と接触させる工程並びに、第一および第二の細胞のプレキシンレセプタの結合または生物的活性を測定する工程であり、第二の細胞と比較して第一の細胞と検出可能な程度により高いプレキシン結合は前記薬剤によって活性化を示す。このようなスクリーニング法を実行することにおいて、使用した細胞は、例えばCHO細胞であり、プレキシン発現細胞を対象としたプレキシンレセプタに一時的に核酸を導入することができる。プレキシン結合および活性化の検出を、免疫細胞学的な技術および細胞形態学分析法の場合、一つ以上の組合せによって行うことができる。
【0051】
本願明細書に記載したような活性薬剤のスクリーニング方法の更なる実施態様において、この方法は、Rap1bの活性化を抑制するための活性薬剤の能力を評価することを含むことができる。このような方法は、実施例13で例証したものとして工程を含むことができる。例えば、その方法は、提案した活性薬剤を用意して、Rap1bの活性化を評価するための市販キットを用意して、提案した活性薬剤が存在する場合には、Rap1b活性化の抑制を評価することを含むことができる。
【実施例】
【0052】
次にくる実施例を、例示する目的のみで提供し、いかなる形であれ本願明細書に記載した組成物および方法の範囲を制限することを目的としない。開示した組成物および方法が本願明細書に記載した特定の方法論、プロトコルおよび試薬に限られないことを理解すべきである。各例において、特に明記しない限り、標準の材料および方法を、提供した実施例に記載した作業を実施する際に使用する。本願明細書に引用した全ての特許および文献は、それらの全部を本願明細書に引用したものとする。
【0053】
本発明の実施は、特に明記しない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学、免疫学、細胞生物学、細胞培養および移植遺伝子の生物学の従来の技術を使用して、それは技術に精通したものの範囲内である(例えば Maniatis, T., et al. (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.); Sambrook, J., et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.); Ausubel, F. M., et al. (1992) Current Protocols in Molecular Biology, (J. Wiley and Sons, NY); Glover, D. (1985) DNA Cloning, I and II (Oxford Press); Anand, R. (1992) Techniques for the Analysis of Complex Genomes, (Academic Press); Guthrie, G. and Fink, G. R. (1991) Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology (Academic Press); Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.); Jakoby, W. B. and Pastan, I. H. (eds.) (1979) Cell Culture. Methods in Enzymology, Vol. 58 (Academic Press, Inc.,, Harcourt Brace Jovanovich (NY); Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames Sc S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.); Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. lackwell, eds., 1986); Hogan et al. (eds) (1994) Manipulating the Mouse Embryo; A aboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.参照)。ヒトの遺伝子地図作製の技術および材料の一般の考察を、ヒト染色体1のマッピングを含んで、提供し、例えば、White and Lalouel (1988) Ann. Rev. Genet 22:259 279である。本発明の実施は、特に明記しない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学および免疫学の従来の技術を使用する(例えばaniatis et al., 1982; Sambrook et al., 1989; Ausubel et al., 1992; Glover, 1985; Anand, 1992; Guthrie and Fink, 1991参照)。
【0054】
本願明細書に教示した内容が従来の発明によってこのような開示に先だつ権利がないように容認として解釈すべきではない。容認は、いかなる関連も先行技術を構成することを生じない。関連の考察はそれらの著者が示すものを言明し、出願人は引用文献の精度および適切さを要求する権利を確保する。多くの刊行物を言及するにもかかわらず、このような関連がこれらの文献のいずれも、技術で共通の一般的知識の部分を形成する容認を構成しないことを明確に理解すべきである。
【0055】
(実施例1−プレキシンD1を血小板の膜で発現)
プレキシンD1を、血小板の細胞膜で発現する。対照として、hプレキシンD1(CHO−PD1)によって一過性にトランスフェクトしたCHO−Vec細胞およびCHO−PLA1細胞は、フィブリノーゲン被覆チャンバースライドに拡散することを可能にし、固定細胞をalexa544-Phaloidin(MolecularProbes,Eugene,OR)および、ヤギ抗プレキシンD1(R&D systems, Minneapolis, MN)で、室温1時間の着色をし、次にdonkey-anti-goatalexa488-IgG(MolecularProbes,Eugene,OR)を室温で1時間行う。細胞を、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。図(1)のパネルBでわかるように、CHO−PD1細胞は、プレキシンD1レセプタを発現し、細胞膜で染色した抗プレキシンD1を示した。
【0056】
別の実験において、ヒトおよびマウスの血小板はフィブリノーゲン被覆チャンバースライドに拡散することが可能となり、CHO−VecおよびCHO−PD1細胞を同様に行い、固定した血小板細胞をalexa544-Phaloidin(MolecularProbes,Eugene,OR)およびgoatanti-プレキシンD1(R&Dsystems,Minneapolis,MN)で、室温1時間の着色をし、次にdonkey-anti-goatalexa488-IgG(MolecularProbes,Eugene,OR)で、室温1時間で行う。また、細胞を、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。抗プレキシンD1染色を図1のヒトおよびマウスの血小板の細胞膜、パネルCおよびDで観察して、染色した抗プレキシンD1を示すヒト血小板を示した。
【0057】
(実施例2−セマフォリン3Eは血小板の拡散に非常に強力な抑制剤である)
8つのウェルホウ珪酸塩チャンバースライド(Nalge Nunc International,Rochester,NY)を、終夜4℃で、100μg/mLフィブリノーゲンで塗布し、次に30分間37℃で、0.5%ヒト血清アルブミンで遮断を行う。チャンバースライドを、HBSSで3回洗浄した。M199のヒト血小板(2×10)を、賦形剤または、Netrin1(7.5μg/mL,5μg/mLおよび25μg/mL濃度),Netrin4(7.5μg/mL,5μg/mLおよび25μg/mL濃度),Slit2(8μg/mL,5μg/mL,24μg/mLおよび40μg/mL濃度),hSema3E(SEQ ID NO:1)(1μg/mL,2μg/mL,5μg/mL,10μg/mLおよび25μg/mL),マウスSema3F/Fc(SEQ ID NO:4)(10μg/mLおよび25μg/mL濃度)hSema3A/Fc(SEQ ID NO:3)(10μg/mLおよび25μg/mL濃度)の一つを含む培地で、室温10分間培養し、それから、それらを、37℃30分間、0.05U/mLトロンビンまたは20μg/mLADPの存在下で5%COの被覆チャンバースライドに配置した。血小板を、2%PFAで20分間固定して、HBSSで3回洗浄した。接着した血小板の形態学の研究を、Alexa488−phaloidinおよび544-WGAで血小板を染色することによって実施し、次に共焦点顕微鏡を使用して撮像した。接着分析を、5倍率視野で血小板を計数することによって実施した。
【0058】
得られた結果の典型的な画像を、図2のパネルA−Hである。図2に例示するように、血小板の拡散への影響を、Netrin1、Netrin4またはSlit2の様々な濃度にさらした血小板で観察しなかった。セマフォリンにさらした血小板は、拡散での重要な減少を示し(パネルGに示した結果によって例証した)Sema3Eは特に強い効果を示す。Sema3Eが1μg/mL程度の低さの濃度で血小板の拡散を効果的に抑制し、25μg/mLまでの濃度上昇で、抑制で投与量に依存する増加を示すことを観察した。Sema3Fは約10μg/mLで開始する血小板の拡散を抑制したが、25μg/mLまで濃度上昇すると血小板の拡散の増加した抑制を示した。Sema3Aは10μg/mLで血小板の拡散に最小の効果だけを示したが、25μg/mLまで用量が上昇すると増大効果を示した。
【0059】
更なる工程において、hSema3Eの処理血小板を、フィブリノーゲン被覆チャンバースライドに接種し、10分間で拡散を可能にした。それから、培地を含むhSema3Eを除去し、細胞をM199で一回洗浄した。それから0.05U/mLトロンビンを含むMl99を血小板に加えた。それから血小板は、30分間拡散を可能にした。図2のパネルHでわかるように、hSema3Eの効果は可逆的であり、培地を含むhSema3Eの除去および洗浄は拡散した血小板能力を復元した。
【0060】
Sema3Eの効果は、マウス血小板で保持され、従属するアゴニストになるものを観察しなかった。図3に示すように、このような血小板をヒトの血小板に関連する上述の同じ状態の下で処理したとき、hSema3Eはマウス血小板の拡散を抑制した。さらに、図4のパネルAおよびBと比較して示すように、Sema3Eはトロンビンが存在する場合には、血小板の拡散を抑制するだけではなくて、hSema3EもADP誘導した血小板の拡散を抑制した。
【0061】
2つの更なるヒトのSema3Eポリペプチド(SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6)を、上述したような類似した状態の下でヒトおよびマウス血小板の拡散を抑制するそれらの能力で評価した。このようなSema3Eポリペプチドの両方は、本願明細書に報告したhSema3E(SEQ.ID.NO.1)によって達成したものと同等の効果を示した。
【0062】
(実施例3−Sema3Eは、βおよびβインテグリンに従属する基体上で接着および拡散を抑制する)
種々の基体上の血小板の接着および拡散を抑制するSema3Eの能力を評価するために、8つのウェルホウ珪酸塩チャンバースライド(Nalge Nunc International,Rochester,NY)を、100μg/mLフィブリノーゲン(αIIbβインテグリン),100μg/mLコラーゲン(αβインテグリン)および100μg/mLラミニン(αβインテグリン)の一つを終夜4℃で塗布し、次に37℃30分間の0.5%のヒト血清アルブミンで遮断を行う。チャンバースライドを、HBSSで3回洗浄した。M199のヒト血小板(2×10)を、賦形剤または、hSema3E(SEQ ID NO:1)を含む培地で、5μの濃度、10分間室温で培養し、それから、それらを0.05U/mLトロンビンの存在下の5%COで、37℃30分間、被覆チャンバースライドに配置した。血小板を2%PFAで20分間固定して、HBSSで3回洗浄した。接着した血小板の形態学の研究を、Alexa 488-phaloidinおよび544-WGAで血小板を染色することによっては実施し、次に共焦点顕微鏡を使用して撮像を行った。接着分析を、5倍率視野での血小板を計数することによって実施した。hSema3Eは、各々の基体上の血小板の拡散(図5に示した)および接着を抑制するために実施した。
【0063】
(実施例4−細胞収縮を引き起こすのに十分なSema3E/プレキシンD1シグナリング)
Sema3EによるプレキシンD1の活性化が細胞拡散を抑制するのに十分であったことを確認するために、CHO−PLA1細胞をhプレキシンD1によって一時的にトランスフェクトし、このような細胞上のhSema3E(SEQ ID NO:1)の効果を評価した。CHO−PLA1細胞をhプレキシンD1によって一時的にトランスフェクトし、また血小板は前述のフィブリノーゲンを塗布したチャンバースライド上に拡散することが可能になり、固定した細胞はalexa 544-Phaloidin(MolecularProbes,Eugene,OR)およびgoat−anti−プレキシンD1(R&Dsystems,Minneapolis,MN)で室温1時間着色して、次にdonkey-anti-goatalexa488-IgG(MolecularProbes,Eugene,OR)を室温1時間行う。細胞を、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。
【0064】
それから、このような細胞を、5μg/mLの濃度でhSema3Eを含む培地にさらした。図5のパネルAは、膜でプレキシンD1をさらしたが、hSema3EにさらさなかったCHO−PD1細胞を示す。図6のパネルBは、hSema3Eにさらした後、同じ細胞系(CHO−PD1、膜でプレキシンD1を発現)からの細胞を示す。パネルBでわかるように、Sema3Eでの処理は、気泡の潰れおよびレセプタの可能なエンドサイトーシスを生じる。
【0065】
(実施例5−Sema3Eはフィブリノーゲンに血小板接着を抑制する)
8つのウェルホウ珪酸塩チャンバースライド(Nalge Nunc International,Rochester,NY)を、100μg/mLフィブリノーゲンで、4℃一晩中塗布し、その後37℃30分間、0.5%ヒト血清アルブミンでの遮断を行う。チャンバースライドを、HBSSで3回洗浄した。M199の血小板(2×10)を、賦形剤または、10μg/mL hSema3E(SEQ ID NO:1)を含む培地の存在下で、室温10分間培養し、それから、それらを、0.05U/mLトロンビンの有無で、5%CO、37℃30分間で、被覆チャンバースライドに配置した。血小板を、2%PFAで20分間固定して、HBSSで3回洗浄した。それから接着分析を、5倍率視野の血小板を計測することによって行った。その結果図7であり、血小板をhSema3Eで処理することはフィブリノーゲンに血小板接着を抑制することを示す。
【0066】
2つの更なるヒトSema3Eポリペプチド(SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6)を、上述したものに類似した状態の下でフィブリノーゲンにヒト血小板の接着を抑制するそれらの能力で評価した。このようなSema3Eポリペプチドの両方は、本願明細書に報告したhSema3E(SEQ.ID.NO.1)によって達成したものと同等の効果をもたらした。
【0067】
(実施例6−Sema3Eは予め拡散した血小板を収縮させる)
8つのウェルホウ珪酸塩チャンバースライド(Nalge Nunc International,Rochester,NY)を、4℃終夜、100μg/mLのフィブリノーゲンで塗布し、次に37℃30分間の0.5%ヒト血清アルブミンで遮断する。チャンバースライドを、HBSSで3回洗浄した。ヒト血小板を、被覆チャンバースライドに配置して、0.05U/mLトロンビンの存在下で、10分間37℃、5%COで拡散を可能にした。それから、血小板を、賦形剤または、10μg/mLの濃度でhSema3E(SEQ ID NO:1)を含む培地で処理して、更に20分間37℃で拡散を可能にした。血小板を、2%PFAで20分間固定して、HBSSで3回を洗浄した。接着した血小板の形態学の研究を、Alexa488−phaloidinおよび544−WGAで血小板を染色することによって実施して、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。図8のパネルAおよびパネルBの比較によって認識したことができるように、血小板の拡散前にhSema3Eで処理することは、細胞の拡散を反転させて、血小板縮小を生じた。
【0068】
(実施例7−Sema3Eはα顆粒放出を抑制する)
洗浄したヒト血小板を、室温10分間、賦形剤または、hSema3E(SEQ ID NO:1)の様々な濃度を含む培地で処理して、次いで更に10分間室温で0.05U/mLトロンビンで処理を行った。血小板を10分間の500gで遠心分離して、上澄みを除去して、製品プロトコル(human Rantes Duo Set Elisa,R&D systems,Minneapolis,MM)に従うRANTES ELISAを使用する。RANTES ELISAの結果を、図9および図10であり、hSema3Eがトロンビンの存在下で、RANTES生産を非常に減少させたことを示す。
【0069】
(実施例8−Sema3Eは、ヒト血小板のP−セレクチン転位を抑制する)
P−セレクチンの膜発現によって検出したような粒状の分泌を、hSema3E(SEQ ID NO:1)の有無で、ヒト血小板で評価した。洗浄した血小板を、無処置のまま、賦形剤だけで処理または、室温10分間、5μg/mLおよび10μg/mLの濃度でhSema3Eを含む賦形剤によって処理した。それから血小板を、FITC−CD62P抗体の存在下で、15分間、0.05U/mLトロンビンで処理した。膜P−セレクチン発現を、フローサイトメトリを使用して直ちに観測した。10μg/mL hSema3Eで処理した血小板からの結果を、図11でわかるように、hSema3Eの存在は、膜にP−セレクチン転位を抑制した。
【0070】
2つの更なるヒトSema3Eポリペプチド(SEQ ID NO.5およびSEQ ID NO.6)を、上述したような類似の状態下で、ヒトおよびマウスの血小板のP−セレクチン転位を抑制するそれらの能力を評価した。このようなSema3Eポリペプチドの両方は、本願明細書に報告したhSema3E(SEQ.ID.NO.1)によって達成したものと同等の効果を示した。
【0071】
(実施例9−Sema3Eは、マウス血小板のP−セレクチン転位を抑制する)
P−セレクチンの膜発現によって検出した粒状の分泌を、Sema3E(組換え型ネズミのセマフォリン3E/Fc)(SEQ ID NO:2)の有無で、マウス血小板で評価した。洗浄した血小板を、賦形剤だけ、10μg/mLの濃度でSema3Eを含む賦形剤または、室温10分間の5μg/mLの濃度でSema3Eを含む賦形剤で処理した。それから血小板を、0.05U/mLトロンビン(IIa)、500uM Par4アゴニスト、0.3μg/mLコラーゲン、150uMADPおよび100uM U46619トロンボキサンA2アゴニストの一つで、FITC−CD62P抗体の存在下で、15分間処理した。膜P−セレクチン発現を、フローサイトメトリを使用して直ちに観測した。達成した結果を図12に示し、10μg/mL Sema3Eで処理した血小板で達成した抑制を示す。
【0072】
(実施例10−Sema3Eは、血小板凝集を抑制する)
血小板凝集を、1000rpmの撹拌率、37℃で血小板凝集計を使用して観測した。hSema3Eまたは賦形剤(コントロール)のいずれかで処理した血小板を、1×10/mLでMl99に懸濁し、凝集を0.05U/mLトロンビンの添加によって開始した。図13はこの凝集研究の結果を示して、hSema3E(SEQ ID NO:1)が血小板凝集を抑制したことを示す。
【0073】
(実施例11−Sema3EはαIIbβインテグリンを機能させない)
別々の実験において、αIIbβインテグリンの活性化状態を、リガンド擬似の抗体の結合によって、ヒトおよびマウスの血小板を観測した。両方の実験において、M199の1×10血小板を10分間Sema3Eで前培養(ヒト血小板用のhSema3E(SEQ ID NO:1)および、マウス血小板用の組換え型ネズミセマフォリン3E/Fc(SEQ ID NO:2))し、次に、アゴニストおよびヒト血小板用のFITC複合PAC−1(BD Biosciences,FranklinLakes,NJ)またはマウス血小板用のPE−JonA(Emfret,Eibelstadt,Germany)で培養を行う。図14に示したように、ヒト血小板を、0.05U/mLトロンビンで培養する一方、マウス血小板(図15および図16に示した結果)を、0.05U/mLトロンビン(IIa)、500uMPar4アゴニスト、0.3μg/mLコラーゲン、150uMADPおよび100uM U46619トロンボキサンA2アゴニストの一つで培養した。それから血小板を、フローサイトメトリで直ちに分析した。
【0074】
これらの実験の結果は、図14から図16までで示したように、Sema3EがαIIbβレセプタを機能させない能力を有することを(Sema3E処理で、トロンビンで処理後でさえ、活性特異抗体の結合の減少によって証明したように)、更に例証する。さらに、図14に示した賦形剤状態のグレーのバーで記した情報によって明らかなように、血小板はトロンビンで処理した後に活性化したが、Sema3Eがトロンビンでさらし活性化の後で加えたときには、血小板はFITC複合PAC−1抗体ともはや結合せず、Sema3Eが最初に活性化した血小板を抑制するのみならず、前に活性化した血小板を反転または機能させる能力を有することを例証する。これらの実験で発生するデータは、Sema3EがαIIbβインテグリンの活性化状態を反転させる能力を有することを例証する。さらに、データは、Sema3Eがいくつかの種々のアゴニストによって加減した血小板機能を抑制する能力を有することが、これらの実験要点によって示した。
【0075】
2つの更なるヒトSema3Eポリペプチド(SEQ.ID.NO.5およびSEQ.ID.NO.6)を、上述のヒトおよびマウスの血小板に記載したものに類似した状態の下でαIIbβインテグリンを機能させないそれらの能力で評価した。このようなSema3Eポリペプチドの両方は、本願明細書に報告したhSema3E(SEQ.ID.NO.1)によって達成したものと同等の効果を示した。
【0076】
(実施例12−Sema3Eは生体内で血栓症を抑制する)
Sema3Eは、動脈血栓症の生体内のモデルで頸動脈閉塞を予防することを示した。C57BL/6マウスをAvertin(2.5%の0.3mL)で麻酔して、麻酔をイソフルラン気化器で2%イソフルランを使用して維持した。喉部の上の皮膚を除去して、筋膜を左の頸静脈を分離するために鋭く切開した。それからカニューレを嵌入して、Sema3Eまたは食塩水の投与のために左の頸静脈を固定した。右の総頸動脈をさらした。頸動脈の血流量を、40MHzの変換器および画像誘導の23MHzのスペクトルパルス波(PW)ドップラーで超音波生体顕微鏡検査法(UBS、VisualsonicVevo660)を使用して観測した。心拍数、血流速度および血流量を、パルス状のドップラー波形から決定した。スキャンの間、マウス体温を、正常範囲内に維持した。基線頸動脈血流量表示に従って、25gのマウスを、200μlの食塩水、100μgヒトSema3E(SEQ ID NO:1)で200μlの食塩水、200U/kgヘパリン、50U/kgヘパリンまたは10U/kgヘパリンで、FeCl処置前に二分間注射した。血栓症を、FeClの様々な濃度で飽和する2つの濾紙(1×2mm)を適用することによって誘導した。濾紙の部分を、動脈の外膜の表面で接触して頸動脈の反対側に配置した。FeCl飽和の濾紙を3分後に除去して、その領域を1mLの食塩水潅注で3回洗浄した。それから血流量を、FeCl適用後、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25および30分で観測した。
【0077】
図17から図19は、この生体内の研究の結果を示す。図17は、食塩水を投与するマウス、Sema3Eと食塩水を投与するマウスおよび様々な用量のヘパリンを投与するマウスに頸動脈を通して相対的な流れを例示する。図18は、食塩水を投与するマウス、Sema3Eと食塩水を投与するマウスおよびヘパリンの様々な用量を投与するマウスで達成した閉塞時間を例示する。図17で示したパーセンテージ基線フローの結果は、Sema3Eで処理したマウスで血流量を実質的に維持したことを示す一方で、図18に示した閉塞データに対する時間は、全体として、Sema3E処理したマウスは食塩水だけで処理したマウスと比較して閉塞を経験しなかったことを示す。最後に、図19は、食塩水のみを投与するマウスの2つの実施例および、Sema3E処理したマウスの2つの実施例で測定したドップラー流を例示する。これらの4つの実施例で測定したドップラー流は動脈が閉塞した(食塩水の場合)または閉塞しなかった(Sema3Eの場合)ように測定した血流量を例示する。
【0078】
(実施例13−Sema3EはRap1bの活性化を抑制する)
Rap1b活性化は、様々な異なるアゴニストを経た血小板活性化の共通の特徴である(例えばWei,A.etal.New Insights into the hemostatic function of platelets.Br J Heamatol.2009 Jul 28;Chrzanowska-Wodnicka,M.et al.Rap1b is required for normal platelet function and hemostasisinmice.J.Clin.Invest115:680-687(2005)参照)。Rap1bによって調整した血小板活性化における重要な工程は、αIIbβインテグリン活性化であり、Rap1b欠乏は複数のアゴニストによって誘導した可溶なフィブリノーゲン結合を損ない、Rap1bがαIIbβインテグリン活性化から上流で含まれることを示す。Rap1b機能は正常αIIbβインテグリンシグナリングのために必要であり、Rap1b機能の欠乏は血栓症の予防と関係していた(例えばWei,A.et ah New Insights into the hemostatic function of platelets.Br J Heamatol. 2009 Jul28;Chrzanowska-Wodnicka,M.et al.Rap1b is required for normal platelet function and hemostasis in mice.J.Clin.Invest.115:680-687(2005)参照)。
【0079】
血小板機能を抑制する際の更なるSema3Eの役割を理解するために、Sema3Eの存在下で、Rap1b活性化を評価した。Rap1bの活性化を、製造業者の指示に従って活性化分析キット(Upstate)を使用して測定した。簡潔には、ヒト血小板を、示したような10μg/mL hSema3E(SEQ ID NO:1)および/または0.1U/mLトロンビンによって処理し、それから、プロテアーゼインヒビター(Rocheから購入)で付加したMg2+溶解緩衝液内に溶解する。少量の溶解物を総細胞溶解物で培養し、残りを検定用試薬で保持した。GTP結合した形態を、LaemmLiサンプル緩衝液を使用する検定用試薬から溶出し、ウェスタンブロッティングによって分析した。総細胞溶解物を、総GTPアーゼ入力用のブロッティングによって分析した。図20でわかるように、Sema3Eがない場合には、トロンビンに対する血小板の暴露は、GTP Rap1bの急速な増加を引き起こし、GTP−Rap1bの測定可能な量はトロンビンへさらした後5秒だけ見られ、約30秒のさらした後、ピークに達するようになる。しかしながら、血小板をトロンビンとSema3Eとの両方にさらすときに、GTP−Rap1bを検出せず、Sema3Eがトロンビンの存在下で関連するRap1bの活性化を抑制することを例証した。
【0080】
(材料と方法)
(ヒト血小板の単離)
ヒト血液を、酸性クエン酸ブドウ糖液(ACD)(7mL 血液のACD/42mL)内で抽出し、多血小板血漿(PRP)を得るために遠心分離した(20分間で200g)。PRPを、100nM PGE−1が存在する場合には、再遠心分離した(20分間で500g)。上澄みを廃棄して、50mLのパイプス/食塩水/ブドウ糖(PSG;5mMのパイプス、145mM NaCl、4mM KC1、50mM NaHPO、1mMのMgCl−6HO、および、5.5mMブドウ糖)を、100nMのPGE−1を含み、血小板ペレットを再懸濁するために使用した。血小板懸濁液を遠心分離し(20分間で500g)、上澄みを廃棄し、血小板ペレットをCa2およびMg2がないBBSS内に再懸濁した。全ての研究は、ユタ大学の施設内倫理委員会(IRB)に承認した。細胞を、各々の実験として37℃で、培地199(Ml99)内に再懸濁した。示した所で、洗浄した血小板を、各々の研究の開始前に室温(RT)で10分間、セマフォリン3E(10μg/mL)または賦形剤(M199+0.l%ヒト血清アルブミン)で前処理した。
【0081】
(マウス血小板の単離)
マウス血液を、頸動脈カニューレを経て、ACD(150μl/1mL血液)内に注入し、それから血液/ACDをPSGで1:2に希釈し、遠心分離してPRPを得た(10分間で200g)。PRPは、PSGで1:2に再び希釈して、100nMPGE−1の存在下で再度遠心分離した(7分間500g)。上澄みを廃棄して、100nMのPGE−1を含み、2mLPSGは血小板ペレットを再懸濁するために使用した。血小板懸濁液を遠心分離し(7分間500g)、上澄みを廃棄して、血小板ペレットはCa2およびMg2のないHBSS内に再懸濁した。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セマフォリン3E(Sema3E)ポリペプチドを備えることを特徴とする血小板機能の抑制用組成物。
【請求項2】
前記Sema3Eポリペプチドが、哺乳類のSema3Eポリペプチドである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記Sema3Eポリペプチドが、ヒトSema3EポリペプチドおよびマウスSema3Eポリペプチドから選択される前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
前記Sema3Eポリペプチドが、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドから選択される前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記Sema3Eポリペプチドが、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択され、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eに対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%又はそれ以上のポリペプチド配列相同性を示す請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記Sema3Eポリペプチドが、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチドおよび、SEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択され、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドに対して、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択されたポリペプチド配列相同性を示す請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記Sema3Eポリペプチドが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を抑制する前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記Sema3Eポリペプチドが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を抑制する前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記Sema3Eポリペプチドが、血小板の拡散、接着、凝集および凝固の一つ以上を反転させる請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記Sema3Eポリペプチドが、血小板の拡散、接着、凝集および凝固の各々を反転させる請求項1〜6および請求項9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記血小板が、ヒト血小板である前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、医薬製剤で、更に薬学的に許容し得る担体を含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記医薬製剤が、更に一つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記Sema3Eポリペプチドが、Rap1bの活性化を抑制する前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記Sema3Eポリペプチドが、プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性である前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記Sema3Eが、プレキシンD1レセプタに結合して活性である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記Sema3Eが、プレキシンD1レセプタおよびプレキシンA1乃至プレキシンA4から選択したプレキシンAレセプタに結合して活性である請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
Sema3Eポリペプチドを用意し、血小板細胞を該Sema3Eポリペプチドにさらす工程を備えることを特徴とする血小板細胞の機能を抑制する方法。
【請求項19】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、哺乳類のSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、ヒトSema3EポリペプチドおよびマウスSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを用意することからなる請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを用意することからなる請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを用意することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eに対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%又はそれ以上のポリペプチド配列相同性を示す請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチドおよび、SEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを用意することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドに対して、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択されたポリペプチド配列相同性を示す請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を抑制する請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を抑制する請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記血小板細胞を前記Sema3Eポリペプチドにさらすことが、ヒト血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことからなる請求項18〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、Sema3Eポリペプチドおよび薬学的に許容し得る担体を含む医薬製剤を用意することからなる請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記Sema3Eポリペプチドを含む医薬製剤が、更に一つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項18〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンD1レセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項18〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンD1レセプタおよびプレキシンA1乃至プレキシンA4から選択したプレキシンAレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項18〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、Rap1bの活性化の抑制をもたらす請求項18〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
Sema3Eポリペプチドを用意し、血小板細胞を該Sema3Eポリペプチドにさらす工程を備えることを特徴とする血小板細胞の機能を反転させる方法。
【請求項34】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、哺乳類のSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、ヒトSema3EポリペプチドおよびマウスSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを用意することからなる請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを用意することからなる請求項33〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを用意することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eに対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%又はそれ以上のポリペプチド配列相同性を示す請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチドおよび、SEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを用意することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドに対して、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択されたポリペプチド配列相同性を示す請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を抑制する請求項33〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を抑制する請求項33〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記血小板細胞を前記Sema3Eポリペプチドにさらすことが、ヒト血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことからなる請求項33〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、Sema3Eポリペプチドおよび薬学的に許容し得る担体を含む医薬製剤を用意することからなる請求項33〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記Sema3Eポリペプチドを含む医薬製剤が、更に一つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項33〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンD1レセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項33〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記Sema3Eポリペプチドの用意が、プレキシンD1レセプタおよびプレキシンA1乃至プレキシンA4から選択したプレキシンAレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを用意することからなる請求項33〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記血小板細胞をSema3Eポリペプチドにさらすことが、Rap1bの活性化の抑制をもたらす請求項33〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
一つ以上の血小板機能と関連した病態のリスクがある患者を治療するに当たり、
血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上と関連した病態のリスクがある患者を識別し、該患者にSema3Eポリペプチドの治療的に有効な量を投与する工程を備えることを特徴とする治療方法。
【請求項49】
前記病態が、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、哺乳類のSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、ヒトSema3EポリペプチドおよびマウスのSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを投与することからなる請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを投与することからなる請求項48〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを投与することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eに対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%又はそれ以上のポリペプチド配列相同性を示す請求項48〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチドおよび、SEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを投与することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドに対して、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択されたポリペプチド配列相同性を示す請求項48〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を抑制する請求項48〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を抑制する請求項48〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、Sema3Eポリペプチドおよび薬学的に許容し得る担体を含む医薬製剤を投与することからなる請求項48〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記Sema3Eポリペプチドを含む医薬製剤が、更に一つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項48〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンD1レセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項48〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンD1レセプタおよびプレキシンA1乃至プレキシンA4から選択したプレキシンAレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項48〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、一つ以上の血小板細胞でのRap1bの活性化の抑制をもたらす請求項48〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
一つ以上の血小板機能と関連した病態に苦しむ患者を治療するに当たり、
血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上と関連した病態のリスクがある患者を識別し、該患者にSema3Eポリペプチドの治療的に有効な量を投与する工程を備えることを特徴とする治療方法。
【請求項64】
前記病態が、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、狭心症、深部静脈血栓症を含む血栓症、肺動脈塞栓症および心房性細動から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、哺乳類のSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、ヒトSema3EポリペプチドおよびマウスのSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを投与することからなる請求項63〜65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドから選択したポリペプチドを投与することからなる請求項63〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチド、およびSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを投与することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eに対して、少なくとも約80%,81%,82%,83%,84%,85%,86%,87%,88%,89%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%又はそれ以上のポリペプチド配列相同性を示す請求項63〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、単離精製した短縮しない天然の哺乳類Sema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.1に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.2に従うSema3Eポリペプチド、SEQ.ID.NO.5に従うSema3Eポリペプチドおよび、SEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドの類似体、同族体または誘導体から選択したポリペプチドを投与することからなり、当該類似体、同族体または誘導体が、前記短縮しない天然の哺乳類Sema3EまたはSEQ.ID.NO.1,SEQ.ID.NO.2,SEQ.ID.NO.5もしくはSEQ.ID.NO.6に従うSema3Eポリペプチドに対して、80%以下、70%以下、60%以下または50%以下の一つから選択されたポリペプチド配列相同性を示す請求項63〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を抑制する請求項63〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を抑制する請求項63〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の一つ以上を反転させる請求項63〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、血小板の拡散、接着、凝集、α顆粒の放出および凝固の各々を反転させる請求項63〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、Sema3Eポリペプチドおよび薬学的に許容し得る担体を含む医薬製剤を投与することからなる請求項63〜73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記Sema3Eポリペプチドを含む医薬製剤が、更に一つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項63〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンD1レセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項63〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、プレキシンD1レセプタおよびプレキシンA1乃至プレキシンA4から選択したプレキシンAレセプタに結合して生物学的に活性であるSema3Eポリペプチドを投与することからなる請求項63〜77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記治療的に有効な量のSema3Eポリペプチドの患者への投与が、一つ以上の血小板細胞でのRap1bの活性化の抑制をもたらす請求項63〜78のいずれかに記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2012−506874(P2012−506874A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533416(P2011−533416)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/062107
【国際公開番号】WO2010/048625
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(508087147)ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (6)
【Fターム(参考)】