血流を確保するための溝を持つ副子。
【課題】手は副子を必要とする患部を覆うように巻かれたギプス包帯内で損傷した血管から内出血が起こる。
その結果手の内部は膨らんでいくが、ギプス包帯に覆われた部分は膨らもうとしてもギプス包帯に阻まれて膨らむことができないで覆われた部分の内部の内圧が上昇していき、血管の中にはその圧力によって骨硬化したギプス包帯に押し付けられるような力が加わって扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分になるものや閉塞して血流が停止する血管がでてくる。
このことは怪我が治るための過程に悪影響を及ぼすだけでなく、血流が止まってしまったような場合にはそのこと自体が人体に対して重大な問題を発生させてしまう場合もある。
【解決手段】内圧が高まり人体が副子内で膨張しようとする時、副子に凹凸からなる溝を持たせて、この溝部分が膨張した人体組織を受け入れることにより血管が扁平化したり閉塞したりしないように減圧する。
その結果手の内部は膨らんでいくが、ギプス包帯に覆われた部分は膨らもうとしてもギプス包帯に阻まれて膨らむことができないで覆われた部分の内部の内圧が上昇していき、血管の中にはその圧力によって骨硬化したギプス包帯に押し付けられるような力が加わって扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分になるものや閉塞して血流が停止する血管がでてくる。
このことは怪我が治るための過程に悪影響を及ぼすだけでなく、血流が止まってしまったような場合にはそのこと自体が人体に対して重大な問題を発生させてしまう場合もある。
【解決手段】内圧が高まり人体が副子内で膨張しようとする時、副子に凹凸からなる溝を持たせて、この溝部分が膨張した人体組織を受け入れることにより血管が扁平化したり閉塞したりしないように減圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨折、脱臼、捻挫などの怪我の治療に際して患部を支持するための副子用板材とその形状に関する。
【背景技術】
【0002】
副子は患部を機械的強度によって支持して除痛と患部の治癒を促す機能を持っており、旧来の木質や金属製や加工の容易な軽量なプラスチック製や軽金属製のものなど数多くの種類のものがある。
ギプス包帯や熱可塑性の素材を使って患部を含めた必要な範囲を環状に巻き必要な支持形態にしてから硬化させて副子として使用するものや、板状またははしご状の金属や熱可塑性素材を支持したい患部の大きさに合わせて裁断してから患部にあてたうえで包帯やテープで固定をする方法などが代表的な従来技術である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の課題を具体的に説明するための例として手の怪我に対しギプス包帯を使用して患部を支持した時の様子を図4、図5、図6、図7に示した。
これらの模式図でのギプス包帯50は、実際にはもっと広範囲に巻かれるものであるが、図面が複雑になり説明が困難になることから必要最小限度の範囲を模式図として示した。
【0004】
手は副子を必要とする患部を覆うように巻かれたギプス包帯50を境界として末梢側1と中枢側2に分けられる。
図4では怪我の直後にギプス包帯が巻かれた状態なので50をはさんでいても1と2の間の血流は正常であり、矢印20の方向から見た50に覆われた手の内部の血管70の様子も図5に示すように本来の血管の形状と機能を有している。
しかし怪我をした際に血管の損傷を伴っている時には手の内部で他の損傷した血管から内出血が起こる。
その結果手の内部81は膨らんでいくが、50に覆われた部分は膨らもうとしても50に阻まれて膨らむことができない。
これによって50に覆われた部分の内部81の内圧が上昇していき、血管70の中には図7に示すように、その圧力によって骨80や硬化したギプス包帯50に押し付けられるような力が加わって扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分になるものや閉塞して血流が停止する血管がでてくる。
この結果末梢部分1に流れてきた血液が50に覆われた部分を通って2の方向へ戻っていきにくくなり徐々にその量が増えて図6の1に斜線で示すようなむくみや腫れが出てくる。
【0005】
このことは怪我が治るための過程に悪影響を及ぼすだけでなく、血流が止まってしまったような場合にはそのこと自体が人体に対して壊死のような重大な問題を発生させてしまう場合もある。
このようなことが起きないようにするためにギプス包帯を緩く巻くと患部に対する必要な支持力が低下して怪我の回復に支障をきたすし、腫れ方の度合いに合わせてギプス包帯を巻きなおしたりすると、きつさが増すたびに一日に何度も巻きなおしが必要になったり、夜間にきつさが増して巻き直すなどの対応が必要となったりするという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段を人間の手の部分への使用例を基に説明を行う。
図15、図16、図17、図18に示す素材110と120は固定しようとする人体の患部の形状に適合することができる柔軟性を持ち、凹の部分111、121と凸の部分112、122をそれぞれ持つ。
【0007】
素材の種類は熱可塑性素材や繊維で織ったものやゴム製のもので人体の皮膚に接触させても害の無いものを利用する。
【0008】
図15に示した形状を持つ素材110を使用した例では図8示すように手の患部に対して必要な大きさに裁断して凹凸を有する面を内側にして装着する。
その上からギプス包帯50を図9のように巻き始め、必要な支持力が得られるようになるまで巻いていき、巻き終わった様子を図10に示す。
【0009】
図11は巻き終わった様子を示す図10の側面図で、図12は22の矢印の方向から見た図11の50に覆われた部分の内部を示している。
【0010】
図12で凸部分112が人体部分81に接触して患部の支持をおこなう役割を果たし、凹部分111は人体81との凸部分の高さの分だけ距離を置いた空間111を作る構造を有している。
この構造は図11の110に示すように一枚の板状であることから連続していて、凹の部分は図11の矢印10で表現したように一本の溝を形成しており図11の1と図11の2の間に接している。
一方凸部分も同様に連続しているので一本の棒状の形態を持つこととなり、人体81に接して患部の支持をする役割を果たすことができる。
【0011】
本説明では素材110を手の周りに一周するような形態で装着した例を示しているが、怪我の程度や必要に応じて半周や部分的な装着方法で使用したとしても本発明の副子があたっている部分に関しては同じ効果が得られる。
【0012】
図11ではまだ怪我の直後にギプス包帯が巻かれた状態なので腫れは無く、50をはさんでいても1と2の間の血流は正常であり、矢印23の方向から見た図12の50に覆われた手の内部の図12の70で示す血管の様子も本来の血管の形状と機能を有している。
このように110のような形状を持つ副子をギプス50と人体との間に介在さる方法で患部を固定する。
【発明の効果】
【0013】
怪我をした際に血管の損傷を伴っている時には人体の内部で損傷した血管から内出血が起こる。
その結果図12の手の内部81は膨らみ始めるが、図12の50と人体81の間に介在する副子110の凹部111が形成する溝が存在することで、腫れて膨らんできた人体81の部分が図14の82に示すようにその溝に押し出されるように入り込む。
このことによってギプス50と人体81の間で膨らもうとする81と、それを阻もうとする50の存在が起こす図14の81の内圧の上昇を防ぐことができる。
【0014】
内圧が大きく上昇しないことで図14の血管70が扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分となる血管がでてくることを防ぐことができるので、血流に重大な支障をきたすことがなくなる。
加えて図13の10の矢印が示すように、図13の50を挟んで図13の人体末梢側1と図13の中枢側2とは110の副子の凹部分が形成する溝によって交通していて、その溝に内圧で押し出された図13の血管71は内圧に影響されること無く本来の血流を維持できる。
これらのことから仮に図14の凹部分111を満たしてしまうような大きな腫れが出現したとしても、腫れを構成する内出血成分は図13の矢印10に示す交通路を通って図13の50に覆われた部分から図13の1または2の方向に排出されるので大きな問題を引き起こすとがなくなる。
これらのことから本発明の副子を怪我の患部に使用することは血流が不安定になったり止まったりする危険を解決する効果が得られる。
【0015】
本発明の説明で使用した素材11に替えて図17と図18に示すような板状の可塑性素材を変形させて作った120を使用してもまったく同じ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は人間の手におけるギプス包帯を用いての実施形態例を示しているが、可塑性素材や布製の包帯などで環状に巻いても同様の結果を得ることができる。
図1の60の素材は天然樹脂、合成樹脂、合成繊維、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などで作られたものでも本発明の形態を持っていれば同じ効果が得られる。
図2の60、図3の60は最良の実施形態を示すために図17、図18に示す形状の素材を使用して作った副子を示していて、それぞれに凹部62、凸部61を持つ。
図1で、手の患部に装着された副子60は矢印10に示す溝を持っておりその上から巻かれたギプス包帯50との間で血流の確保をおこなう。
【産業上の利用可能性】
【0017】
骨折や捻挫や脱臼などの怪我で副子を必要とするような場合に、血流が阻害されない性質を持つ本発明の副子は医療分野で広く使用されることが期待できる。
【本発明で使用した語句の定義】
【0018】
「ギプス包帯」焼石膏粉末と綿布を組み合わせ、それを水に浸すことで水和反応により凝固する性質を利用したものである。
「壊死」生物の組織の一部分が死ぬことである。
「出血」血管外に血球全成分が流出すること。
「内出血」皮膚の下で打ち身や打撲などのケガが原因で血管が損傷して起きている出血のことで臓器内の出血を除いたもの。
「血管」生体内で血液を運搬するための管で動脈、静脈、毛細血管の3種類をいう。
「患部」骨折や脱臼や捻挫などの外傷によって損傷した人体の局部のこと。
「副子」骨折や脱臼や捻挫などの外傷において患部に添えて外傷部分を固定するための機材の総称。
「血流」血液が心臓のポンプ機能によって押し出され、体内各所の細胞や臓器を回って、心臓に戻ってくる一連の血液循環のこと。
「副木」骨折や脱臼や捻挫などの外傷において患部に添えて外傷部分を固定するための機材の総称。
「天然樹脂」植物から採ったロジンや天然ゴムのこと。
「合成樹脂」高分子化合物からなる物質の中で、成型品や薄膜にして使用することを目的として人為的に製造されたもの。
「合成繊維」合成樹脂の糸を織って作られた布状の繊維物。
「熱硬化性樹脂」加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂のこと。
「熱可塑性樹脂」ガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり目的の形に成形できる樹脂のこと。
「外傷」外的要因による組織または臓器の損傷の総称で通常、怪我と呼ばれるもののこと。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図18に示す製作例の素材を使用して人間の手に本発明を実施した場合の状態を示す模式図の斜視図である。
【図2】図18に示す製作例の素材を丸めて円筒形にしたときの正面図である。
【図3】図18に示す製作例の素材を丸めて円筒形にしたときの側面図である。
【図4】従来技術の方法で人間の手に包帯をまいたときの状態を示す側面図である。
【図5】従来技術の方法で人間の手に包帯をまいたときの状態を図4の矢印20の方向から見て50に覆われた部分の内部を示す正面図である。
【図6】従来技術の方法で人間の手にギプス包帯をまいたときに内出血が原因で50の位置より末梢部1が循環障害を起こしている様子を斜線で示している。
【図7】従来技術の方法で人間の手にギプス包帯をまいたとき、人体の手が内出血により膨らもうとするのにギプス包帯がそれを阻害することで内圧が高まり血管70が押しつぶされるようになる状態を示す模式図の断面図である。
【図8】図110に示す本発明による素材を人間の手に円筒形に巻いた状態を示す斜視図である。
【図9】図8の状態の手に対してギプス包帯を巻く様子を示す模式図の斜視図である。
【図10】人間の手に図110で示す素材をあててギプス包帯を巻き固定した様子を示す模式図の斜視図である。
【図11】図10の側面図である。
【図12】図11の50に覆われた部分の内部を図11の矢印22の方向から見た時の正面図である。
【図13】図11の状態で数時間以上の時間が経過した様子を示す模式図の側面図である。
【図14】図11の状態で数時間以上の時間が経過した図11の50に覆われた部分の内部を図13の矢印23の方向から見た時の正面図である。
【図15】板状基材に凸型の基材を装備して連像した溝を持つようにした製作例の正面図である。
【図16】板状基材に凸型の基材を装備して連像した溝を持つようにした製作例の斜視図である。
【図17】板状の基材を凹凸が形成されるように加工して連像した溝を持つようにした製作例の正面図である。
【図18】板状の基材を凹凸が形成されるように加工して連像した溝を持つようにした製作例の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1.人間の手の末梢側部分。
2.人間の手の中枢側部分。
10.本発明の副子が持つ溝が手に平行して交通していることを表現した矢印。
20.図5の視点方向を示す矢印。
21.図7の視点方向を示す矢印。
22.図12の視点方向を示す矢印。
23.図14の視点方向を示す矢印。
50.ギプス包帯が硬化して手を支持している様子を示す図。
60.図17、図18で示した製作例の副子。
61.図17、図18で示した製作例の副子の凸部分。
62.図17、図18で示した製作例の副子の凹部分。
70.人体の血管。
71.人体の内圧によって111の溝に押し出された血管の状態を示す図。
80.人体の骨。
81.50に覆われた部分の人体手の内部を示した図。
82.内圧で81が111に押し出された状態を示す図。
110.図15、図16で示す形状を有する副子。
111.図15、図16で示す形状を有する副子の凹部分。
112.図15、図16で示す形状を有する副子の凸部分。
120.図17、図18で示す形状を有する副子。
121.図17、図18で示す形状を有する副子の凹部分。
122.図17、図18で示す形状を有する副子の凸部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨折、脱臼、捻挫などの怪我の治療に際して患部を支持するための副子用板材とその形状に関する。
【背景技術】
【0002】
副子は患部を機械的強度によって支持して除痛と患部の治癒を促す機能を持っており、旧来の木質や金属製や加工の容易な軽量なプラスチック製や軽金属製のものなど数多くの種類のものがある。
ギプス包帯や熱可塑性の素材を使って患部を含めた必要な範囲を環状に巻き必要な支持形態にしてから硬化させて副子として使用するものや、板状またははしご状の金属や熱可塑性素材を支持したい患部の大きさに合わせて裁断してから患部にあてたうえで包帯やテープで固定をする方法などが代表的な従来技術である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の課題を具体的に説明するための例として手の怪我に対しギプス包帯を使用して患部を支持した時の様子を図4、図5、図6、図7に示した。
これらの模式図でのギプス包帯50は、実際にはもっと広範囲に巻かれるものであるが、図面が複雑になり説明が困難になることから必要最小限度の範囲を模式図として示した。
【0004】
手は副子を必要とする患部を覆うように巻かれたギプス包帯50を境界として末梢側1と中枢側2に分けられる。
図4では怪我の直後にギプス包帯が巻かれた状態なので50をはさんでいても1と2の間の血流は正常であり、矢印20の方向から見た50に覆われた手の内部の血管70の様子も図5に示すように本来の血管の形状と機能を有している。
しかし怪我をした際に血管の損傷を伴っている時には手の内部で他の損傷した血管から内出血が起こる。
その結果手の内部81は膨らんでいくが、50に覆われた部分は膨らもうとしても50に阻まれて膨らむことができない。
これによって50に覆われた部分の内部81の内圧が上昇していき、血管70の中には図7に示すように、その圧力によって骨80や硬化したギプス包帯50に押し付けられるような力が加わって扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分になるものや閉塞して血流が停止する血管がでてくる。
この結果末梢部分1に流れてきた血液が50に覆われた部分を通って2の方向へ戻っていきにくくなり徐々にその量が増えて図6の1に斜線で示すようなむくみや腫れが出てくる。
【0005】
このことは怪我が治るための過程に悪影響を及ぼすだけでなく、血流が止まってしまったような場合にはそのこと自体が人体に対して壊死のような重大な問題を発生させてしまう場合もある。
このようなことが起きないようにするためにギプス包帯を緩く巻くと患部に対する必要な支持力が低下して怪我の回復に支障をきたすし、腫れ方の度合いに合わせてギプス包帯を巻きなおしたりすると、きつさが増すたびに一日に何度も巻きなおしが必要になったり、夜間にきつさが増して巻き直すなどの対応が必要となったりするという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段を人間の手の部分への使用例を基に説明を行う。
図15、図16、図17、図18に示す素材110と120は固定しようとする人体の患部の形状に適合することができる柔軟性を持ち、凹の部分111、121と凸の部分112、122をそれぞれ持つ。
【0007】
素材の種類は熱可塑性素材や繊維で織ったものやゴム製のもので人体の皮膚に接触させても害の無いものを利用する。
【0008】
図15に示した形状を持つ素材110を使用した例では図8示すように手の患部に対して必要な大きさに裁断して凹凸を有する面を内側にして装着する。
その上からギプス包帯50を図9のように巻き始め、必要な支持力が得られるようになるまで巻いていき、巻き終わった様子を図10に示す。
【0009】
図11は巻き終わった様子を示す図10の側面図で、図12は22の矢印の方向から見た図11の50に覆われた部分の内部を示している。
【0010】
図12で凸部分112が人体部分81に接触して患部の支持をおこなう役割を果たし、凹部分111は人体81との凸部分の高さの分だけ距離を置いた空間111を作る構造を有している。
この構造は図11の110に示すように一枚の板状であることから連続していて、凹の部分は図11の矢印10で表現したように一本の溝を形成しており図11の1と図11の2の間に接している。
一方凸部分も同様に連続しているので一本の棒状の形態を持つこととなり、人体81に接して患部の支持をする役割を果たすことができる。
【0011】
本説明では素材110を手の周りに一周するような形態で装着した例を示しているが、怪我の程度や必要に応じて半周や部分的な装着方法で使用したとしても本発明の副子があたっている部分に関しては同じ効果が得られる。
【0012】
図11ではまだ怪我の直後にギプス包帯が巻かれた状態なので腫れは無く、50をはさんでいても1と2の間の血流は正常であり、矢印23の方向から見た図12の50に覆われた手の内部の図12の70で示す血管の様子も本来の血管の形状と機能を有している。
このように110のような形状を持つ副子をギプス50と人体との間に介在さる方法で患部を固定する。
【発明の効果】
【0013】
怪我をした際に血管の損傷を伴っている時には人体の内部で損傷した血管から内出血が起こる。
その結果図12の手の内部81は膨らみ始めるが、図12の50と人体81の間に介在する副子110の凹部111が形成する溝が存在することで、腫れて膨らんできた人体81の部分が図14の82に示すようにその溝に押し出されるように入り込む。
このことによってギプス50と人体81の間で膨らもうとする81と、それを阻もうとする50の存在が起こす図14の81の内圧の上昇を防ぐことができる。
【0014】
内圧が大きく上昇しないことで図14の血管70が扁平になったり押しつぶされたりして血流が不十分となる血管がでてくることを防ぐことができるので、血流に重大な支障をきたすことがなくなる。
加えて図13の10の矢印が示すように、図13の50を挟んで図13の人体末梢側1と図13の中枢側2とは110の副子の凹部分が形成する溝によって交通していて、その溝に内圧で押し出された図13の血管71は内圧に影響されること無く本来の血流を維持できる。
これらのことから仮に図14の凹部分111を満たしてしまうような大きな腫れが出現したとしても、腫れを構成する内出血成分は図13の矢印10に示す交通路を通って図13の50に覆われた部分から図13の1または2の方向に排出されるので大きな問題を引き起こすとがなくなる。
これらのことから本発明の副子を怪我の患部に使用することは血流が不安定になったり止まったりする危険を解決する効果が得られる。
【0015】
本発明の説明で使用した素材11に替えて図17と図18に示すような板状の可塑性素材を変形させて作った120を使用してもまったく同じ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は人間の手におけるギプス包帯を用いての実施形態例を示しているが、可塑性素材や布製の包帯などで環状に巻いても同様の結果を得ることができる。
図1の60の素材は天然樹脂、合成樹脂、合成繊維、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などで作られたものでも本発明の形態を持っていれば同じ効果が得られる。
図2の60、図3の60は最良の実施形態を示すために図17、図18に示す形状の素材を使用して作った副子を示していて、それぞれに凹部62、凸部61を持つ。
図1で、手の患部に装着された副子60は矢印10に示す溝を持っておりその上から巻かれたギプス包帯50との間で血流の確保をおこなう。
【産業上の利用可能性】
【0017】
骨折や捻挫や脱臼などの怪我で副子を必要とするような場合に、血流が阻害されない性質を持つ本発明の副子は医療分野で広く使用されることが期待できる。
【本発明で使用した語句の定義】
【0018】
「ギプス包帯」焼石膏粉末と綿布を組み合わせ、それを水に浸すことで水和反応により凝固する性質を利用したものである。
「壊死」生物の組織の一部分が死ぬことである。
「出血」血管外に血球全成分が流出すること。
「内出血」皮膚の下で打ち身や打撲などのケガが原因で血管が損傷して起きている出血のことで臓器内の出血を除いたもの。
「血管」生体内で血液を運搬するための管で動脈、静脈、毛細血管の3種類をいう。
「患部」骨折や脱臼や捻挫などの外傷によって損傷した人体の局部のこと。
「副子」骨折や脱臼や捻挫などの外傷において患部に添えて外傷部分を固定するための機材の総称。
「血流」血液が心臓のポンプ機能によって押し出され、体内各所の細胞や臓器を回って、心臓に戻ってくる一連の血液循環のこと。
「副木」骨折や脱臼や捻挫などの外傷において患部に添えて外傷部分を固定するための機材の総称。
「天然樹脂」植物から採ったロジンや天然ゴムのこと。
「合成樹脂」高分子化合物からなる物質の中で、成型品や薄膜にして使用することを目的として人為的に製造されたもの。
「合成繊維」合成樹脂の糸を織って作られた布状の繊維物。
「熱硬化性樹脂」加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂のこと。
「熱可塑性樹脂」ガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり目的の形に成形できる樹脂のこと。
「外傷」外的要因による組織または臓器の損傷の総称で通常、怪我と呼ばれるもののこと。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図18に示す製作例の素材を使用して人間の手に本発明を実施した場合の状態を示す模式図の斜視図である。
【図2】図18に示す製作例の素材を丸めて円筒形にしたときの正面図である。
【図3】図18に示す製作例の素材を丸めて円筒形にしたときの側面図である。
【図4】従来技術の方法で人間の手に包帯をまいたときの状態を示す側面図である。
【図5】従来技術の方法で人間の手に包帯をまいたときの状態を図4の矢印20の方向から見て50に覆われた部分の内部を示す正面図である。
【図6】従来技術の方法で人間の手にギプス包帯をまいたときに内出血が原因で50の位置より末梢部1が循環障害を起こしている様子を斜線で示している。
【図7】従来技術の方法で人間の手にギプス包帯をまいたとき、人体の手が内出血により膨らもうとするのにギプス包帯がそれを阻害することで内圧が高まり血管70が押しつぶされるようになる状態を示す模式図の断面図である。
【図8】図110に示す本発明による素材を人間の手に円筒形に巻いた状態を示す斜視図である。
【図9】図8の状態の手に対してギプス包帯を巻く様子を示す模式図の斜視図である。
【図10】人間の手に図110で示す素材をあててギプス包帯を巻き固定した様子を示す模式図の斜視図である。
【図11】図10の側面図である。
【図12】図11の50に覆われた部分の内部を図11の矢印22の方向から見た時の正面図である。
【図13】図11の状態で数時間以上の時間が経過した様子を示す模式図の側面図である。
【図14】図11の状態で数時間以上の時間が経過した図11の50に覆われた部分の内部を図13の矢印23の方向から見た時の正面図である。
【図15】板状基材に凸型の基材を装備して連像した溝を持つようにした製作例の正面図である。
【図16】板状基材に凸型の基材を装備して連像した溝を持つようにした製作例の斜視図である。
【図17】板状の基材を凹凸が形成されるように加工して連像した溝を持つようにした製作例の正面図である。
【図18】板状の基材を凹凸が形成されるように加工して連像した溝を持つようにした製作例の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1.人間の手の末梢側部分。
2.人間の手の中枢側部分。
10.本発明の副子が持つ溝が手に平行して交通していることを表現した矢印。
20.図5の視点方向を示す矢印。
21.図7の視点方向を示す矢印。
22.図12の視点方向を示す矢印。
23.図14の視点方向を示す矢印。
50.ギプス包帯が硬化して手を支持している様子を示す図。
60.図17、図18で示した製作例の副子。
61.図17、図18で示した製作例の副子の凸部分。
62.図17、図18で示した製作例の副子の凹部分。
70.人体の血管。
71.人体の内圧によって111の溝に押し出された血管の状態を示す図。
80.人体の骨。
81.50に覆われた部分の人体手の内部を示した図。
82.内圧で81が111に押し出された状態を示す図。
110.図15、図16で示す形状を有する副子。
111.図15、図16で示す形状を有する副子の凹部分。
112.図15、図16で示す形状を有する副子の凸部分。
120.図17、図18で示す形状を有する副子。
121.図17、図18で示す形状を有する副子の凹部分。
122.図17、図18で示す形状を有する副子の凸部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の可塑性樹脂に凹凸の加工を施して血流を確保するための溝を持つ副子。
【請求項2】
繊維で凹凸ができる形状に布を織り、その布に熱可塑性樹脂を塗布して硬化処理を行なうことで血流を確保するための溝を持つようにした副子。
【請求項3】
平面基材を加工して波形に変形させて平行に連続した血流を確保するための溝を持つ副子。
【請求項4】
平面基材に棒状基材を一定の間隔で平行に接着して連続した凹凸を持たせることで血流を確保するための溝を持つようにした副子。
【請求項5】
繊維で布を織る際に糸の量を変化させて一定の間隔で並行に連続した凹凸ができるようにして血流を確保するための溝を持つようにした布製の副子。
【請求項1】
板状の可塑性樹脂に凹凸の加工を施して血流を確保するための溝を持つ副子。
【請求項2】
繊維で凹凸ができる形状に布を織り、その布に熱可塑性樹脂を塗布して硬化処理を行なうことで血流を確保するための溝を持つようにした副子。
【請求項3】
平面基材を加工して波形に変形させて平行に連続した血流を確保するための溝を持つ副子。
【請求項4】
平面基材に棒状基材を一定の間隔で平行に接着して連続した凹凸を持たせることで血流を確保するための溝を持つようにした副子。
【請求項5】
繊維で布を織る際に糸の量を変化させて一定の間隔で並行に連続した凹凸ができるようにして血流を確保するための溝を持つようにした布製の副子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−285427(P2009−285427A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163799(P2008−163799)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(505382777)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(505382777)
【Fターム(参考)】
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