説明

血液クロスフローを有する血液処理ユニット

【課題】熱交換器およびガス交換器を含むことができる血液処理装置を提供する。
【解決手段】血液処理装置50は、熱交換器コア52、熱交換器要素64およびガス交換器要素68を含む。血液は血液入口を通って熱交換器コア52の内部体積に入る。熱交換器コア52は、複数の細長いコア開口54を含み、それによって血液が熱交換器コア52から出られるようになる。熱交換器は、熱交換器を通るクロスフローすなわち径方向に向いた血液流れを可能にするように構成されており、熱交換器部分を通る血液の流れが径方向外方の方向であり、ガス交換器部分を通る血液の流れが円周方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、米国特許法第119条のもと2011年5月17日に出願された欧州特許出願EP11166394.4の優先権を主張するものである。本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2010年8月20日出願の米国特許出願第12/860,062号「Blood Processing Unit with Modified Flow Path」、および2010年11月16日出願の米国特許出願第12/947,171号「Blood Processing Unit with Circumferential Blood Flow」に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]血液灌流は、血液が体の血管を通るように促進することを必要とする。このような目的で、血液灌流システムは、一般的に、患者の脈管系に相互接続される体外回路において1つまたは複数のポンプの使用を必要とする。心肺バイパス手術には、一般的に灌流システムが必要である。灌流システムは、心臓と肺の機能に取って代わることによって静止した手術野を作り出すために、心臓の一時的な停止を実現する。そうした隔離によって、血管狭窄症、弁膜症および先天性心臓欠損の外科的矯正が可能になる。心肺バイパス手術に使用される灌流システムでは、心臓と肺の機能に取って代わる少なくとも1つのポンプおよび酸素付加デバイスを含む体外血液回路が確立される。
【0003】
[0003]より具体的には、心肺バイパス手技では、酸素の少ない血液すなわち静脈血は、心臓に入る大静脈または(例えば大腿静脈である)体の他の静脈から重力排出または真空吸引され、体外回路の静脈ラインを通って移動される。静脈血は、酸素の血液への移行を実現する酸素付加器にポンプ圧送される。酸素は、膜を介した移動によって、またはそれほど多くないが、血液の中に酸素の泡を流すことによって血液に導入され得る。同時に、二酸化炭素が膜を介して除去される。酸素を豊富に含む血液はろ過され、次いで、動脈ラインを介して大動脈、大腿動脈または他の動脈に戻される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、血液のクロスフローを可能にする血液処理ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]実施例1は、血液処理装置であって、血液入口および血液出口を有するハウジングであって血液入口がハウジングの内部へと延在するハウジングと、ハウジング内に同軸に延在し血液入口と流体連通するコア内部を有する熱交換器コアであって外面および外面に形成される少なくとも1対の細長いコア開口を含み1対の細長いコア開口がコア内部からの血液の通過を可能にするように構成される熱交換器コアと、熱交換器コア周りに配置される熱交換器中空糸であってこれによって熱交換器流体が熱交換器中空糸中を流れることができるようになり複数の細長いコア開口から出る血液が熱交換器中空糸を横断して径方向外方に流れることができるようになる熱交換器中空糸と、熱交換器コア周りに同軸に延在する円筒形シェルであって血液の円筒形シェルの外部への通過を可能にするように構成されるシェル開口を含む円筒形シェルと、内側円筒形シェル周りに配置されるガス交換器中空糸であってこれによってガスがガス交換器中空糸中を流れることができるようになりシェル開口から出る血液がガス交換器中空糸を横断して血液出口の方に向かって流れることができるようになるガス交換器中空糸とを含む、血液処理装置である。
【0006】
[0005]実施例2は、熱交換器コアが、コアの円周周りに概ね等間隔に径方向に配置される、3対の細長いコア開口を含む、実施例1の血液処理装置である。
[0006]実施例3は、複数の細長いコア開口が対になるように構成される、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0007】
[0007]実施例4は、複数の細長いコア開口が、全部で4つの等間隔に配置される対になった細長いコア開口を備える、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
[0008]実施例5は、細長いコア開口の各対が、第1の細長いコア開口と第2の細長いコア開口の間に延在する細長い仕切り板によって分離される第1の細長い溝と第2の細長い溝を備える、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0008】
[0009]実施例6は、第1の細長い溝および第2の細長い溝のそれぞれは、血液がコアに沿って長手方向に流れるにつれて溝の深さが減少するようにコアの長手方向軸に対して角度をなして配置されるフロア面を有する、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0009】
[0010]実施例7は、熱交換器コアの外面が、複数の径方向に配置されるリブを含む、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
[0011]実施例8は、シェル開口が、血液出口と径方向(diametrically)反対側に置かれる細長いシェル開口を備え、これによって細長いシェル開口から出る血液がガス交換器中空糸を横断して円周方向に流れるようになる、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0010】
[0012]実施例9は、シェル開口が、円筒形シェルの血液入口とは反対側の端部近くに配置される径方向に配置される開口を備え、これによって径方向に配置される開口から出る血液がガス交換器中空糸上を長手方向に流れるようになる、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0011】
[0013]実施例10は、熱交換器中空糸と円筒形シェルの間の環状収集空間であって、シェル開口と流体連通する環状収集空間をさらに備える、前記いずれかの実施例の血液処理装置である。
【0012】
[0014]実施例11は、血液処理装置であって、血液入口および血液出口を有するハウジングであって血液入口がハウジングの内部へと延在するハウジングと、ハウジング内に延在し血液入口と流体連通するコア内部を有する熱交換器コアであって外面および外面に形成される複数の細長いコア開口を含み複数の細長いコア開口がコア内部からの血液の通過を可能にするように構成される熱交換器コアと、束状に構成される熱交換器中空糸であってこれによって複数の細長いコア開口から出る血液が熱交換器中空糸を直線的に横断して通過することができるようになる熱交換器中空糸と、熱交換器中空糸の上流に配置される収集空間であって熱交換器中空糸を横断して通過してきた血液を集めるように構成される収集空間と、収集空間周りに配置されるガス交換器中空糸であってこれによってガスがガス交換器中空糸中を流れることができるようになり収集空間から出る血液がガス交換器中空糸を横断して血液出口の方に向かって流れることができるようになるガス交換器中空糸とを含む、血液処理装置である。
【0013】
[0015]実施例12は、ガス交換器中空糸を横断する血液の流れが円周方向にある、実施例11の血液処理装置である。
[0016]実施例13は、ハウジングが、熱交換器中空糸の束を収容するように三角形の断面プロファイルを有する、実施例11または12のいずれかの血液処理装置である。
【0014】
[0017]実施例14は、熱交換器コアが格子を備え、格子が、その上において熱交換器中空糸の束を支持し、血液が熱交換器コアの内部から出るように複数の出口を提供する、実施例11から13のいずれかの血液処理装置である。
【0015】
[0018]実施例15は、熱交換器中空糸の束が、格子周りに巻き付けられる、実施例11から14のいずれかの血液処理装置である。
[0019]多数の実施形態が開示されているが、当業者には、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示に過ぎず、限定的であるとみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[0020]本発明の一実施形態による血液処理装置の概略図である。
【図2】[0021]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の断面図である。
【図3】[0021]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の断面図である。
【図4】[0021]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の断面図である。
【図5】[0022]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の一部の斜視図である。
【図6】[0022]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の一部の斜視図である。
【図7】[0022]本発明の様々な実施形態による血液処理装置の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0023]本開示は、様々な例示的な実施形態により、熱交換器とガス交換器のうちの1つまたは複数を含む、(一般的に酸素付加器とも呼ばれる)血液処理装置に関する。いくつかの実施形態では、酸素付加器という用語は、熱交換器とガス交換器を組み合わせてユニットデバイスにした一体構造を示すのに使用され得る。様々な実施形態において、例えば、熱交換器およびガス交換器は、他の構成要素の内部に配置される1つの構成要素と同心の様式で配置される。他の実施形態によれば、熱交換器およびガス交換器は、構造的に、互いに動作可能に結合される別個の構造である。いくつかの実施形態では、酸素付加器は、体外血液回路内で使用され得る。バイパス手技で使用され得るような体外血液回路は、人工心肺、血液リザーバならびに酸素付加器などのいくつかの異なる要素を含むことができる。
【0018】
[0024]図1は、血液処理装置すなわち酸素付加器10の概略図である。本図では内部構成要素は見えないが、酸素付加器10は、熱交換器およびガス交換器のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、熱交換器およびガス交換器は、酸素付加器ハウジングを形成する単一構造に組み込まれる。酸素付加器10は、ハウジング12、ハウジング12に固定される第1のエンドキャップ14、およびハウジング12に固定される第2のエンドキャップ16を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング12は、ハウジング12の他のデバイスへの取り付けを可能にする他の構造を含むことができる。図ではハウジング12は概ね円筒形の形状で示されているが、いくつかの実施形態では、ハウジング12は、断面形状が三角形、矩形または他の平行四辺形であってもよい。熱交換器およびガス交換器のそれぞれは、全体的に、断面形状が同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、熱交換器は、ガス交換器内部にあるが、他の実施形態では、ガス交換器が熱交換器内部に配置されることもある。いくつかの実施形態では、熱交換器およびガス交換器は同心であってよい。
【0019】
[0025]いくつかの実施形態では、血液入口18はハウジング12内へと延在し、血液出口20はハウジング12から出る。上述のように、いくつかの実施形態では、血液処理装置10は、ガス交換器を含み、したがってガス入口22およびガス出口24を含むことができる。いくつかの実施形態では、血液処理装置10は、熱交換器を含み、したがって熱交換器流体入口26、および(図示の向きでは)その後ろにある熱交換器流体出口28を含むことができる。いくつかの実施形態では、熱交換器流体入口26がハウジング12の一方端部に配置され、熱交換器流体出口28がハウジング12の反対端部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、血液処理装置10は、血液処理装置10の内部からの気泡をパージするのに使用され得る1つまたは複数のパージ口30を含むことができる。
【0020】
[0026]入口、出口およびパージ口の位置は、単に例示に過ぎず、したがって他の構成および構造も企図される。パージ口は、弁またはねじ付きキャップを含むことができる。パージ口は、血液から出るガス(例えば気泡)が血液処理装置10からベントまたは吸引されて除去され得るように動作する。
【0021】
[0027]図2は、熱交換器部分を通る血液の流れが径方向外方の方向であり、ガス交換器部分を通る血液の流れが円周方向である、血液処理装置50の断面図である。血液処理装置50は、熱交換器コア52、熱交換器要素64およびガス交換器要素68を含む。血液は、(図2には示されない)血液入口18を通って熱交換器コア52の内部体積に入る。熱交換器コア52は、複数の細長いコア開口54を含み、それによって血液が熱交換器コア52から出られるようになる。
【0022】
[0028]いくつかの実施形態では、図示のように、複数の細長いコア開口54は、対56に配置され、各対56は第1の細長いコア開口58と第2の細長いコア開口60を含む。いくつかの実施形態では、各対56は、仕切り板62も含む。仕切り板62は、第1の細長いコア開口58と第2の細長いコア開口60の間に配置され、血液の流れを案内すなわち導くように構成され得る。いくつかの実施形態では、図示のように、対56は、熱交換器コア52周りに等間隔に配置される。いくつかの実施形態では、全部で4つの等間隔に配置される対56があってよい。いくつかの実施形態では、対56は、等間隔に配置されなくてもよく、かつ/または複数の細長いコア開口54が対で配置されなくてもよい。例えば図2に矢印80で示されるように、複数の細長いコア開口54から出る血液は、径方向外方の方向に熱交換器要素64中を流れる。
【0023】
[0029]血液処理装置50は、熱交換器要素64をガス交換器要素68から区別する(delineate)円筒形シェル66を含む。いくつかの実施形態では、円筒形シェル66は、細長いシェル開口70を含み、それによって血液がガス交換器要素68に流入できるようになる。例えば図2に矢印82で示されるように、円筒形シェル66に達した血液は、開口70の方に向かって概ね円周方向に流れるように曲げられる。いくつかの実施形態では、細長いシェル開口70によって、血液が円周方向にガス交換器要素68中を流れるようになる。いくつかの実施形態では、図示のように、細長いシェル開口70は、血液出口72と径方向(diametrically)反対側に置かれてよく、それによって、例えば図2に矢印84で示されるように、血液が円周方向にガス交換器要素68中を流れるように案内されるようになる。血液処理装置50は、外側ハウジング74を含む。
【0024】
[0030]いくつかの実施形態では、熱交換器要素64は、水などの加熱流体がその中を流れることができる多数の中空糸を含む。血液は、中空糸の周りを流れ過ぎ、それによって適当に加熱され得る。いくつかの実施形態では、中空糸はポリマー製であってよい。いくつかの場合では、金属製の糸が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、中空糸は、ポリウレタン、ポリエステルもしくは任意の他の適当なポリマーまたはプラスチック材料からなってもよい。様々な実施形態によれば、中空糸の外径は、約0.2〜1.0ミリメートル、より具体的には、約0.25〜0.5ミリメートルである。中空糸は、マットに織られてよく、例えば幅が約80〜約200ミリメートルであってよい。いくつかの実施形態では、マットは十字形構造に構成される。
【0025】
[0031]いくつかの実施形態では、ガス交換器要素68は、酸素などのガスが中を流れることができる多数の微小孔構造の中空糸を含むことができる。血液は、その中空糸周りを流れ過ぎることができる。濃度勾配により、酸素は微小孔構造の中空糸を通って血液中に拡散し、また二酸化炭素は中空糸中に拡散し血液から出ることができる。いくつかの実施形態では、中空糸は、ポリプロピレン、ポリエステルもしくは任意の他の適当なポリマーまたはプラスチックの材料から作られ得る。様々な実施形態によれば、中空糸の外径は、約0.38ミリメートルである。他の実施形態によれば、微小孔構造の中空糸の直径は、約0.2〜1.0ミリメートル、より具体的には、約0.25〜0.5ミリメートルである。中空糸は、マットに織られてよく、例えば幅が約80〜約200ミリメートルであってよい。いくつかの実施形態では、マットは、十字形構造である。
【0026】
[0032]図3は、熱交換器部分を通る血液の流れが直線的でありまたガス交換器部分を通る血液の流れが円周方向である、血液処理装置100の断面図である。血液処理装置100は、熱交換器コア104に流体的に結合される血液入口102を含む。(例えば図3に矢印103で示される)入口102に流入する血液は、熱交換器コア104の内部体積に入る。熱交換器コア104は、血液が複数の流れとなってコア104の内部体積から出られるように(例えば格子構造に)構成される開口すなわち孔を含む。血液は、コア104から出て、(例えば図3に矢印105で示されるように)直線またはクロスフロー(cross-flow)の様式で熱交換器要素106中を流れる。熱交換器要素106は、熱交換器要素64に関して上述したような構成にされ得る、束ねられた熱交換器中空糸を含む。
【0027】
[0033]血液処理装置100は、熱交換器要素106をガス交換器要素110から区別するシェル108を含む。いくつかの実施形態では、図示のように、シェル108は、熱交換器コア104および熱交換器要素106を収容するように、断面プロファイルが三角形である。他の実施形態では、他の形状も企図される。
【0028】
[0034]いくつかの実施形態では、シェル108は、細長いシェル開口112を含み、それによって血液がガス交換器要素110に流入できるようになる。いくつかの実施形態では、細長いシェル開口112によって、血液は円周方向にガス交換器要素110中を流れることができるようになる。いくつかの実施形態では、図示のように、細長いシェル開口112は、血液出口114と径方向反対側に置かれてよく、それによって、例えば図3に矢印115で示されるように、血液が円周方向にガス交換器要素110中を流れるように案内されるようになる。血液処理装置100は、熱交換器コア104を補完する形状であってよい外側ハウジング116を含む。ガス交換器要素110は、ガス交換器要素68に関して上述したような中空糸からなってよい。
【0029】
[0035]図4は、熱交換器部分を通る血液の流れが部分的に径方向外方かつ部分的に長手方向でありまたガス交換器部分を通る血液の流れが長手方向である、血液処理装置150の断面図である。血液処理装置150は、ハウジング152、第1のエンドキャップ154および第2のエンドキャップ156を含む。血液処理装置150は、血液入口158および血液出口160を含む。(図4では見られない)ガス入口によって酸素がガス交換器部分に供給され得るようになり、またガス出口164によってガスが血液処理装置150から出られるようになる。いくつかの実施形態では、血液処理装置150は、気泡を逃がすことができるパージ口130を含む。
【0030】
[0036]血液処理装置150は、熱交換器コア166、熱交換器コア166周りに配置される熱交換器要素168、熱交換器要素168周りに配置される円筒形シェル170、およびガス交換器要素172を含む。熱交換器要素168およびガス交換器要素172は、血液処理装置150に関して述べたような多数の中空糸をそれぞれ含むことができる。
【0031】
[0037]使用のとき、血液は、血液入口158を入り熱交換器コア166内へと進む。血液は、熱交換器コア166を満たすと、複数の細長いコア開口176から出て、熱交換器要素168に入る。血液は、熱交換器要素168を通過した後、径方向に配置されるシェル開口178を通って円筒形シェル170から出る。いくつかの実施形態では、径方向に配置されるシェル開口178は、血液処理装置150の血液出口160とは反対の端部近くに配置可能であり、それによって、血液がガス交換器要素172周りに長手方向に流されるようになる。次いで、血液は、血液出口160を通って血液処理装置150から出る。
【0032】
[0038]図5は、熱交換器コア166の斜視図である。血液は、入口200から熱交換器コア166に入る。いくつかの実施形態では、図示のように、細長いコア開口176はより複雑な構造202の一部であってよい。熱交換器コア166は、熱交換器コア166周りに配置される1つ、2つ、3つまたはそれより多い別個の構造202を含むことができる。構造202は、第1の細長い溝204および第2の細長い溝206を含む。仕切り板208は、第1の細長い溝204と第2の細長い溝206の間に配置される。いくつかの実施形態では、第1の細長い溝204は傾斜フロア210を有し、および/または第2の細長い溝206は傾斜フロア212を有する。いくつかの実施形態では、構造202は、複数の径方向に配置されるリブ203を含む。様々な実施形態によれば、第1の細長い溝204および第2の細長い溝206は、フロアが血液入口から長手方向に離れて延びるにつれて溝の深さが減少するように、コアの長手方向軸に対して角度をなして配置されるフロア(floor)を有するように形成される。いくつかの実施形態によれば、長手方向軸に対するフロア210の角度は、約5〜約30度である。いくつかの実施形態では、長手方向軸に対するフロア210の角度は、約10〜約20度である。いくつかの実施形態では、第1の細長い溝204のフロア210の角度および第2の細長い溝206のフロア210の角度は、実質的に同一である。他の実施形態によれば、第1の細長い溝204のフロア210の角度および第2の細長い溝206のフロア210の角度は異なる。
【0033】
[0039]いくつかの実施形態では、構造202は、血液が部分的に径方向外方であり部分的に長手方向に熱交換器要素168(図4)中を流れるように案内する助けとなることができる。長手方向流れに対する径方向(すなわち外方またはクロス)流れの比は、細長い溝204および細長い溝206のそれぞれの長さおよび角度で決まる。様々な実施形態によれば、リブ203は、コアの長手方向軸に実質的に垂直であってよい。他の実施形態では、リブ203は、垂線からずれるように角度をなして配置されてもよい。様々な実施形態によれば、リブ203は、約2〜約5mmの距離に突出すなわち径方向外方に延在することができる。本発明の他の実施形態によれば、コア166はより多くの細長い溝を含むことができ、それによって血液がコア166の円周周りのより多くの位置から出ることができるようになる。
【0034】
[0040]図6は、径方向に配置されるシェル開口178を示す、円筒形シェル170の斜視図である。いくつかの実施形態では、図示のように、径方向に配置されるシェル開口178は、実質的に円筒形シェル170をまわるように延在する。図示の実施形態では、径方向に配置されるシェル開口178は、それを横断して延在する3つの小さな支持部179を除いて、円筒形シェル170を一周するように延在する。
【0035】
[0041]図7は、熱交換器部分を通る血液の流れがクロスフローでありまたガス交換器部分を通る血液の流れが長手方向である、血液処理装置250の断面図である。血液処理装置250は、ハウジング252、第1のエンドキャップ254および第2のエンドキャップ256を含む。血液処理装置250は、血液入口258および血液出口260を含む。(見えない)ガス入口によって酸素がガス交換器部分に供給され得るようになり、またガス出口264によってガスが血液処理装置250から出られるようになる。いくつかの実施形態では、血液処理装置250は、気泡を逃がすことができるパージ口230を含む。
【0036】
[0042]血液処理装置250は、熱交換器コア270、熱交換器コア270周りに配置される熱交換器要素272、熱交換器要素272周りに配置される円筒形シェル274、および円筒形シェル274周りに配置されるガス交換器要素276を含む。熱交換器要素272およびガス交換器要素276は、血液処理装置50に関して述べたような多数の中空糸をそれぞれ含むことができる。いくつかの実施形態では、熱交換器コア270は、図4に関して述べた熱交換器コア166と類似している。
【0037】
[0043]使用のとき、血液は血液入口258を入り熱交換器コア270内へと進む。血液は、熱交換器コア270を満たすと、3つの細長いコア開口276から出る。いくつかの実施形態では、血液処理装置250は環状空間280を含む。環状空間280は、血液を径方向に配置されるシェル開口282の方に向ける前に、熱交換器要素272から出る血液を集める。図7に示されるように、環状空間280があることで血液が実質的に径方向すなわちクロスフローパターンになる。言い換えれば、血液は、熱交換器要素272の外面と円筒形シェル274の内面の間に配置される環状空間280に達するまで、コア270から径方向外方に熱交換器要素272の糸を通って流れることになる。血液は、環状空間280に達した後、集まり、シェル開口282の方に向かって実質的に長手方向に流れることになる。例示的な実施形態では、熱交換器要素272と円筒形シェル274の壁部との間の空間280は、約0.2〜約1.0mmである。
【0038】
[0044]径方向に配置されるシェル開口282を通過した血液は、ガス交換器要素276を通り過ぎる。いくつかの実施形態では、径方向に配置されるシェル開口282は、血液処理装置250の血液出口260とは反対の端部近くに配置されてよく、それによって、血液が長手方向にガス交換器要素272周りに流されるようになる。次いで、血液は、血液出口260を通って血液処理装置250から出る。
【0039】
[0045]本発明の範囲を逸脱することなく上述の例示的な実施形態に様々な修正および追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴を示しているが、本発明の範囲は、特徴の様々な組み合わせを有する実施形態および上述の特徴の全てを含むわけではない実施形態も含む。
【符号の説明】
【0040】
10 血液処理装置、酸素付加器
12 ハウジング
14 第1のエンドキャップ
16 第2のエンドキャップ
18 血液入口
20 血液出口
22 ガス入口
24 ガス出口
26 熱交換器流体入口
28 熱交換器流体出口
30 パージ口
50 血液処理装置
52 熱交換器コア
54 コア開口
56 コア開口の対
58 第1の細長いコア開口
60 第2の細長いコア開口
62 仕切り板
64 熱交換器要素
66 円筒形シェル
68 ガス交換器要素
70 シェル開口
72 血液出口
74 外側ハウジング
80 矢印
82 矢印
84 矢印
100 血液処理装置
102 血液入口
104 熱交換器コア
105 矢印
106 熱交換器要素
108 円筒形シェル
110 ガス交換器要素
112 シェル開口
114 血液出口
115 矢印
116 外側ハウジング
130 パージ口
150 血液処理装置
152 ハウジング
154 第1のエンドキャップ
156 第2のエンドキャップ
158 血液入口
160 血液出口
164 ガス出口
166 熱交換器コア
168 熱交換器要素
170 円筒形シェル
172 ガス交換器要素
176 コア開口
178 シェル開口
179 支持部
200 入口
202 構造
203 リブ
204 第1の細長い溝
206 第2の細長い溝
208 仕切り板
210 傾斜フロア
212 傾斜フロア
230 パージ口
250 血液処理装置
252 ハウジング
254 第1のエンドキャップ
256 第2のエンドキャップ
258 血液入口
260 血液出口
264 ガス出口
270 熱交換器コア
272 熱交換器要素
274 円筒形シェル
276 ガス交換器要素、コア開口
280 空間
282 シェル開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液処理装置であって、
血液入口および血液出口を有するハウジングであって、前記血液入口が前記ハウジングの内部へと延在する、ハウジングと、
前記ハウジング内に同軸に延在し前記血液入口と流体連通するコア内部を有する熱交換器コアであって、外面および前記外面に形成される少なくとも1対の細長いコア開口を含み、前記1対の細長いコア開口が前記コア内部からの血液の通過を可能にするように構成される、熱交換器コアと、
前記熱交換器コア周りに配置される熱交換器中空糸であって、これによって、熱交換器流体が前記熱交換器中空糸中を流れることができるようになり、複数の細長いコア開口から出る血液が前記熱交換器中空糸を横断して径方向外方に流れることができるようになる、熱交換器中空糸と、
前記熱交換器コア周りに同軸に延在する円筒形シェルであって、血液の前記円筒形シェルの外部への通過を可能にするように構成されるシェル開口を含む、円筒形シェルと、
内側の前記円筒形シェル周りに配置されるガス交換器中空糸であって、これによって、ガスが前記ガス交換器中空糸中を流れることができるようになり、前記シェル開口から出る血液が前記ガス交換器中空糸を横断して前記血液出口の方に向かって流れることができるようになる、ガス交換器中空糸と
を備える、血液処理装置。
【請求項2】
前記熱交換器コアが、前記コアの円周周りに概ね等間隔に径方向に配置される、3対の細長いコア開口を含む、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項3】
前記複数の細長いコア開口が対になるように構成される、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項4】
前記複数の細長いコア開口が、全部で4つの等間隔に配置される対になった細長いコア開口を備える、請求項3に記載の血液処理装置。
【請求項5】
前記細長いコア開口の各対が、第1の細長いコア開口と第2の細長いコア開口の間に延在する細長い仕切り板によって分離される第1の細長い溝と第2の細長い溝を備える、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項6】
前記第1の細長い溝および前記第2の細長い溝のそれぞれは、血液が前記コアに沿って長手方向に流れるにつれて前記溝の深さが減少するように前記コアの長手方向軸に対して角度をなして配置されるフロア面を有する、請求項5に記載の血液処理装置。
【請求項7】
前記熱交換器コアの前記外面が、複数の径方向に配置されるリブを含む、請求項5に記載の血液処理装置。
【請求項8】
前記シェル開口が、前記血液出口と径方向反対側に置かれる細長いシェル開口を備え、これによって前記細長いシェル開口から出る血液が前記ガス交換器中空糸を横断して円周方向に流れるようになる、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項9】
前記シェル開口が、前記円筒形シェルの前記血液入口とは反対側の端部近くに配置される径方向に配置される開口を備え、これによって前記径方向に配置される開口から出る血液が前記ガス交換器中空糸上を長手方向に流れるようになる、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項10】
前記熱交換器中空糸と前記円筒形シェルの間の環状収集空間であって、前記シェル開口と流体連通する、環状収集空間をさらに備える、請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項11】
血液処理装置であって、
血液入口および血液出口を有するハウジングであって、前記血液入口が前記ハウジングの内部へと延在する、ハウジングと、
前記ハウジング内に延在し前記血液入口と流体連通するコア内部を有する熱交換器コアであって、外面および前記外面に形成される複数の細長いコア開口を含み、前記複数の細長いコア開口が前記コア内部からの血液の通過を可能にするように構成される、熱交換器コアと、
束状に構成される熱交換器中空糸であって、これによって前記複数の細長いコア開口から出る血液が前記熱交換器中空糸を直線的に横断して通過することができるようになる、熱交換器中空糸と、
前記熱交換器中空糸の上流に配置される収集空間であって、前記熱交換器中空糸を横断して通過してきた血液を集めるように構成される、収集空間と、
前記収集空間周りに配置されるガス交換器中空糸であって、これによって、ガスが前記ガス交換器中空糸中を流れることができるようになり、前記収集空間から出る血液が前記ガス交換器中空糸を横断して前記血液出口の方に向かって流れることができるようになる、ガス交換器中空糸と
を備える、血液処理装置。
【請求項12】
前記ガス交換器中空糸を横断する血液の流れが円周方向にある、請求項11に記載の血液処理装置。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記熱交換器中空糸の束を収容するように三角形の断面プロファイルを有する、請求項11に記載の血液処理装置。
【請求項14】
前記熱交換器コアが格子を備え、前記格子が、該格子の上において前記熱交換器中空糸の束を支持し、ならびに血液が前記熱交換器コアの内部から出るように複数の出口を形成する、請求項11に記載の血液処理装置。
【請求項15】
前記熱交換器中空糸の束が、前記格子周りに巻き付けられる、請求項14に記載の血液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239885(P2012−239885A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105820(P2012−105820)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(506161186)ソリン・グループ・イタリア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (6)
【Fターム(参考)】