説明

血液チューブセットの部品を着脱可能に受け入れるオーガナイザ、ならびにそれを製造する方法および準備する方法

本発明は、血液治療装置を用いた様々な体外血液治療選択肢用、特に透析法用の血液チューブセットの部品(2、3、4、5、6、35)を着脱可能に受け入れるオーガナイザ(1)、ならびにオーガナイザ(1)の製造方法および準備方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文部分の構成を有する管理装置ないしはオーガナイザ(organizer)に関する。本発明は、さらに、請求項14の前文部分の構成に係る、オーガナイザを製造する方法および請求項17の前文部分の構成に係る、オーガナイザを準備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実務経験から、様々な治療方法または治療選択肢(治療オプション)を選択的に実行可能にする、対外血液治療用、特に透析治療用の装置が知られている。様々な治療選択肢ごとに、様々な容積の血液チューブセット(使い捨て品)と、例えばチューブ接続部などの関連部品とが必要である。
【0003】
従来技術において、様々な治療選択肢用の血液チューブまたは治療セットを構成する、血液チューブ形成用部品の集合体が知られている。例えば、欧州登録特許第1159977号から公知のもののような集合体は、整然と、かつ採用される血液治療装置によって与えられる結合選択肢に適するように、いわゆる「オーガナイザ」または「トレイ」上に準備することができる。実行される治療選択肢に応じて、血液チューブセットの部品を接続することができる。選択された治療選択肢に不要な血液チューブセット部品は、オーガナイザ上に未使用で残されたままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーガナイザ上に存在する部品の多さと、部品の多種多様な相互接続の選択肢が、病院職員を混乱させやすく、その結果たびたび、特に時間的制約の下で、部品の誤選択や誤接続を発生させるという特有の欠点が存在する。さらに、オーガナイザ上に存在する部品から、選択された治療選択肢用にすぐに使える血液チューブセットを準備することは、同じような外観をもつ多数の部品を見える状態に保つ必要があると同時に、誤接続や混同を回避するために複数のチューブセットやチューブ系統を頻繁に入念に追跡しなければならないため、経験を要するとともに時間のかかることである。
【0005】
別のオーガナイザまたは別のトレイをそれぞれ示すことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有するオーガナイザによって達成される。
【0007】
これにより、本発明によれば、例えば透析装置などの血液治療装置を用いた様々な体外血液治療選択肢用の、特に透析法用の血液チューブの部品を着脱可能に受け入れるオーガナイザが提案される。オーガナイザは、使用時に部品を用いて複数、少なくとも2組の可能な血液チューブセットを含む群から第1の血液治療選択肢用の少なくとも1組の第1の血液チューブセットまたは第1の血液治療選択肢とは無関係な第2の血液治療選択肢用の第2の血液チューブセットが選択的に構成されるように部品を受け入れるよう適合され、準備される。
【0008】
本発明の文脈において、「体外血液治療選択肢」は、利用される血液治療装置が適するあらゆる血液治療方法であると理解される。透析の例では、体外血液治療選択肢には、特に、血液濾過、血液透析、血液透析濾過、持続緩徐式限外濾過、膜血漿分離、大量血液濾過などが含まれる。
【0009】
本発明の文脈において、「血液チューブセット」は、1個または複数個の部品を有する、すぐに使える血液チューブセット(または血液チューブ治療セット)であると理解される。その点に関して、血液チューブセットは、特定の治療選択肢でそれぞれ使用される、オーガナイザ上に存在する部品の全体であると理解されてもよい。
【0010】
血液治療選択肢に不要な本発明のオーガナイザの部品は、治療の開始前に取り外すことができ、最終的に簡単かつ確実に廃棄することができる。この目的のため、不要な部品またはモジュール式の部品を安全に分離して取り外す手段が設けられていてもよい。この分離取外し手段は、血液チューブセットの部分または部品をオーガナイザ上に着脱可能に取り付ける手段からなっていてもよい。その取り付け手段は、治療に必要な他の部品を同時に離脱させることなく、部品を個別に離脱させることができる設計を有していてもよい。これにより、部品を他の部品とは関係なく取り外したり、場合により廃棄したりすることができる。
【0011】
本発明は、不要な部品を廃棄することができるおかげで、様々な治療選択肢の可能性のうちから選択された一選択肢用に血液チューブセットを準備する際の部品の混同や誤接続の危険が大幅に取り除かれるので、治療装置を血液チューブセットに接続する際に高い安全性が得られることによって有利に特徴付けられる。
【0012】
その結果、プライミング時および洗浄時に、実際に必要な部品にのみ溶液を充填しさえすればよくなり、プライミング液および溶液の経済性に有利に寄与する。
【0013】
互いに独立して使用可能な様々な血液チューブセットを作るように部品を受け入れるよう適合され準備されるオーガナイザの場合、部品と治療装置との接続を簡単かつ時間効率よく行うことができる。治療装置に対する個々の部品の配置は、オーガナイザの支援によって最適化することができる。
【0014】
オーガナイザ上に存在する部品は、他の治療選択肢のためではなく、意図した各治療選択肢向けに治療装置に接続される様々な接続要素をさらに備えていてもよい。このこともまた、血液チューブセットの利用時および接続時の安全性を向上させるのに役立つ。
【0015】
本発明のオーガナイザを使用する際、血液チューブセットの準備は、もはや経験が非常に豊富な職員を確保することなく、経験の浅い協力者によって実行することができる。
【0016】
本発明は、さらに、治療現場における様々な血液チューブセット用の全部品を備え、血液チューブセット1組の準備と比較しても遜色のない安全性と迅速な操作性をもつオーガナイザを提供することができ、それにより、オーガナイザ1つで、あらゆる治療選択肢の可能性や要求に適う血液チューブセット用の全部品が現場に実在することが保証される。
【0017】
本発明のオーガナイザの別の利点は、このオーガナイザを使用することによって、部品および血液チューブセットの在庫管理を大幅に簡素化できるという点にある。管理すべき部品の多さを汎用品1個、すなわちオーガナイザそれ自体にまで削減することができる。その場合、たびたびオーガナイザの部品を廃棄する必要があるが、それにもかかわらず、得られるコストの節減は、在庫管理の簡素化を考慮すると、不要な部品を廃棄するコストの上昇よりも重要である。
【0018】
本発明のオーガナイザの有利な派生形が各従属請求項の主題である。
【0019】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、一体的なオーガナイザが提案されている。この点において、本発明のオーガナイザは、例えば、欧州登録特許第0914048号の図12に示すオーガナイザと異なる。後者は、1組または複数組の血液チューブセット用のチューブなど、多数の部品の整然とした配置にしか適していない。上側または下側の半枠を備えた枠型構造のせいで、他のチューブ部分もオーガナイザから外れたり乱雑になったりすることなく個々のチューブ部分のみを取り外すことは、実際の条件下ではほとんど不可能である。この欠点は、本発明の実施形態におけるオーガナイザの一体的な構成によって改善される。
【0020】
本発明の文脈において、「一体的な」構成は、例えば製造目的の鋳造または射出成形プロセスの後に、オーガナイザの本体にさらに別の構造要素が付加される構成であるとも解される。「一体的な」に関連して、本発明のこの実施形態のオーガナイザが、上記従来技術の枠型構造と異なり、不要な血液チューブ部品を取り外すために開放する必要がないことは、もっぱら本発明の構造に関係がある。これにより、最小限のスペースで、血液チューブセットや部品の群を乱雑にする恐れなく、意図した血液治療選択肢に必要な部品を選択し、残りの部品を廃棄することができるので有利である。
【0021】
本発明のオーガナイザを用いれば、別の部品までも不用意に離脱させることなく、オーガナイザから特定の部品、チューブ部分またはチューブセット全体を特に取り外すことができるので有利である。これにより、部品の不用意な離脱が防止される。
【0022】
オーガナイザが、自由にアクセス可能な側という意味の露出側から血液チューブ部品が装備されるように構成されている場合も、一体的な構成と同じ利点が得られる。これもまた、「一体的」であると解されるように意図されている。
【0023】
別の好ましい実施形態では、オーガナイザは、血液チューブ部品、すなわち1組または複数組のチューブセットを着脱可能に取り付ける少なくとも1つの取り付け手段を備えている。取り付け手段を意図して使用することにより、オーガナイザからのチューブ部分などの不用意な離脱を回避することができるので有利である。これにより、誤りを起こしやすい状況を回避することができる。さらに、取り付け手段は、オーガナイザから他の部品までも不用意に分離させることなく、特定のチューブ部分を意図的に取り外すことに寄与する。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明のオーガナイザの取り付け手段の非常に単純で費用効果の高い構成が、オーガナイザ上で少なくとも1個の部品を着脱可能に受け入れ、部品の表面の一部に沿って部品を受け入れる凹部を有するように構成された少なくとも1つの受け入れ部を備えている。この実施形態では、取り付け手段が、部品を受け入れ部に着脱可能にしっかり固定するタブまたはフラップをさらに備えている。この固定の中には、特に、受け入れ部の凹部を閉じること、特に可逆的に閉じることが含まれてもよい。
【0025】
取り付け手段のこの構成は、例えば米国登録特許第6,298,525号からクリップ形状で知られるものなど、従来技術で公知の取り付け手段に比べて改良点を含んでいる。そのようなクリップや公知の取り付け手段は、一般に、材料緩和のせいで、固定のために血液チューブセットの部品にかかっている張力が時間の経過とともに弱まってしまうという欠点を示す。そのような緩和は、例えば、保存の期間や環境によって、もしくは、取り付け手段または取り付け手段を有するオーガナイザの滅菌処理によっても起こり得る。この緩和の結果、部品が固定状態から不用意に外れ、ひいては、特に様々な治療選択肢向けの多数の部品が存在する場合には、誤りを起こし易くする複雑な状況をもたらす恐れがある。
【0026】
受け入れ部内の部品または複数の受け入れ部内の複数個の部品が着脱可能に固定されるタブを設けると、部品を取り外すために意識的に行う作業が否応なく必要になる。この作業は、タブやフラップなどを折り曲げて上げたり、枢動させて離したりすることからなっていてもよい。本発明によれば、例えば、上述のクリップや、特に米国公開特許第2003/0132352号に開示された従来技術からも、公知の溝形スリットなどからのチューブ部分の不用意な離脱を回避することができる。少なくとも不用意な離脱が発生する可能性が著しく低減される。
【0027】
特に、受け入れ部は、部品の一部を、特にその表面部分に沿って受け入れる凹部を備えるように構成されていてもよい。タブは、凹部をその外周に沿って閉じる、すなわち、嵌め合いおよび/または摩擦によって凹部の外周を完成させるために設けられていてもよい。
【0028】
別の好ましい実施形態で提供されているように、タブが弾性の構成を有していてもよい。これにより、部品を対応する受け入れ部から取り外すためにタブを単純に折り曲げたり撓ませたりして持ち上げることができる。このような弾性の構成により、確実に部品を受け入れ部に留まらせることができる。タブの弾性とそれに伴う復元作用により、見過ごす恐れのあるタブの不用意な開放が防止されるので有利である。
【0029】
さらに別の好ましい実施形態では、取り付け手段が、使用者の指によるタブの持ち上げを容易にするのに適した少なくとも1つの部分を備えている。この目的のため、その部分が、指をタブとオーガナイザとの間あたりに届かせるように傾斜していてもよい。指で容易につまむことが可能なタブの突出部を設けることによっても、同様の有利な効果を得たり、向上させたりすることができる。この部分の傾斜は、特にオーガナイザの主要な広がり面に対するものであってもよい。オーガナイザの主要な広がり面に対する上記部分のプラスまたはマイナスの傾斜は、好ましくは20°から80°、さらに好ましくは30°から70°、特に好ましくは40°から60°であり、これらの範囲の中間値も含まれる。
【0030】
別の好ましい実施形態では、オーガナイザの取り付け手段のタブが枢動するようにさらに構成されていてもよい。この場合、任意でタブを弾性の構成にすることより、上述の利点を達成しながら自動的に固定位置に枢動復帰させる動きをもたせることができる。タブを固定位置から不用意な枢動運動をしないように固定するために、例えば取り付け手段の一部に、タブのラッチがさらに設けられていてもよい。
【0031】
さらに別の好ましい実施形態では、上記の説明に係る各オーガナイザが少なくとも1組の血液チューブセットを構成する部品を備えている。このように装備されたオーガナイザにおいて、少なくとも1つの取り付け手段と少なくとも1個の血液チューブセット部品の寸法が、血液チューブセット部品が取り付け手段、もしくは追加または代わりの他の固定手段や取り付け手段に締め付けられるように調整されていてもよい。このこともまた、オーガナイザからの部品の不用意で望ましくない離脱を防止するので有利である。
【0032】
各実施形態のオーガナイザは、ポリスチレンから製造されていてもよく、ポリスチレンを含んでいてもよい。オーガナイザは、特に熱成形によって製造されてもよい。
【0033】
本発明に係るオーガナイザのさらに別の好ましい実施形態では、オーガナイザに挿入されるチューブが、嵌め合いのみによって、または主に嵌め合いによって保持される。そのような実施形態では、チューブは、挿入および/または取り外しされる際に、短時間しか、すなわち、受け入れのために設けられた溝内に嵌め込まれるために隘路を通過する間しか弾性的に圧縮されない。この実施形態では、一旦挿入されると、チューブが全くまたは不必要に弾性変形されないので有利である。そのような実施形態は、部品が挿入された状態のオーガナイザを滅菌(例えば、蒸気滅菌)する間に、クリップの領域で、緩和(常時変形時の時間経過による張力低下)によるチューブの塑性変形が全くまたは不必要に起こらないという利点をさらに有する。
【0034】
本発明の目的は、オーガナイザの製造方法、特に請求項14の特徴を有する上述の説明に係るオーガナイザの製造方法によっても達成される。さらに、本発明の目的は、請求項17の特徴を有するオーガナイザの準備方法によっても達成される。本発明のオーガナイザに関連してここまで説明された利点がこれら本発明の方法によっても依然として達成されるので、繰返しを避けるために、上記の説明を明示的に参照する。
【0035】
本発明のオーガナイザは、血液治療の中断時に、血液チューブセットの一部もしくは部品または血液チューブセット全体を新しい使い捨て品と交換させることができる。例えばフィルタ内の血液凝固のせいで、このような部分交換が必要になる場合がある。機械に付属したオーガナイザを使用する場合には、この事例が続くことになるであろう。
【0036】
以下、同じ参照符号が同一要素を示す添付の図面に基づいて本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の例示的なオーガナイザを示す。
【図2】血液透析濾過の可能なブロック図を示す。
【図3】治療選択肢に使用される各血液チューブセットと、場合により取り外されるチューブセット部品とを表形式で表す。
【図4】図1にも示す、患者からフィルタまでの供給ラインを示す。
【図5】図1にも示す補液ラインを示す。
【図6】血液チューブ部品を装備していない本発明のオーガナイザの上面図を示す。
【図7】第1の実施形態において血液チューブの一部を着脱可能に受け入れる受け入れ部を有する取り付け手段を示す。
【図8】図7の取り付け手段を示す。
【図9】図7および図8の取り付け手段を示す。
【図10】図7、図8および図9の取り付け手段を示す。
【図11】第2の実施形態における取り付け手段を示す。
【図12】3個の受け入れ部をしっかり固定する2個のタブを有する、オーガナイザ用の取り付け手段の第3の実施形態を示す。
【図13】本発明に係る取り付け手段の第4の実施形態を透視図で示す。
【図14】図13の取り付け手段を平面図で示す。
【図15】図13および図14の取り付け手段を別の透視図で示す。
【図16】図13〜図15の取り付け手段を側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、例示的な装備済みの本発明のオーガナイザ1の概略図であり、オーガナイザ1は、フィルタ(図示せず)から患者までの復帰ライン2と、フィルタから濾液バッグ(図示せず)までの濾液ライン3と、溶液バッグ(図示せず)からフィルタまでまたは供給ライン6上の接続部までの透析液または補液用の透析液ライン4と、溶液バッグから上記接続部までの補液用の補液ライン5と、患者からフィルタまで、または復帰ライン2までの上記供給ライン6とを備えている。
【0039】
復帰ライン2は、フィルタコネクタ2inと、洗浄バッグ付きの患者コネクタ2outとを備えている。濾液ライン3は、フィルタコネクタ3inと、濾液バッグ用のコネクタ3outとを備えている。透析液ライン4は、溶液バッグ用のコネクタ4inと、フィルタコネクタまたは供給ラインもしくは復帰ライン上の接続部用のコネクタ4outとを備えている。補液ライン5は、溶液バッグ用のコネクタ5inと、供給ラインまたは復帰ライン上の接続部用のコネクタ5outとを備えている。患者からフィルタまでの供給ライン6は、患者コネクタ6inと、フィルタコネクタ6outとを備えている。
【0040】
オーガナイザ1は、吊下げ用のアイレットX、Yを備えていてもよい。アイレットX、Yは、図1に示すようなくぼみの形であってもよいし、他の形状であってもよい。アイレットX、Yを用いることによって、オーガナイザ1を治療装置(図1には図示せず)に設けられた2つのフックやボタンに吊り下げることができる。治療の間、オーガナイザ1は、その上に残っている部品と一緒に治療装置上に留まっている。後述のオーガナイザの取り付け手段は、特に、治療中にチューブまたは部品を案内または保持する働きをするため、この目的のために何らかのマウントを機械側に設ける必要がない。治療が完了すると、オーガナイザ1を治療装置から取り去るだけである。オーガナイザ1は、好ましくは、治療装置から(部品がない状態で)オーガナイザを前もって取り外せないように、または少なくとも誤って取り外せないように構成されている。
【0041】
図2は、図1にも示す部品全てを用いた血液透析濾過の可能なブロック図を示す。図2は、さらに、補液バッグ11、透析液バッグ13、濾液バッグ15および透析装置17も示す。さらに、図2は、圧力センサ19、21、23、25と、ポンプセグメント27、加温用バッグ29など、当業者にとって公知の対外血液回路用の追加の部品も備えている。
【0042】
図3は、使用される治療装置の特定の方法または特定の治療選択肢のための各部品と場合により取り外される部品とを表形式で示す。
【0043】
図4は、図1からも分かるが、患者からフィルタまでの供給ライン6を示す。供給ライン6は、キャップを有する患者コネクタ61と、チューブクランプ62と、輸液ポート63と、圧力タップ64と、ローラポンプ用ポンプセグメント65と、液体交換用の逆止弁を有する接続部66と、フィルタ前方の圧力を測定する圧力タップ67と、ヘパリン投与または他の抗凝固用の接続ライン68と、キャップを有するフィルタポート69とを備えている。
【0044】
図5は、図1にも示す補液ライン5を示す。ライン5は、キャップを有する溶液バッグ用コネクタ51と、チューブクランプ52と、加温用バッグ53と、ポンプセグメント54と、チューブクランプ55と、キャップを有するライン接続部用コネクタ56とを備えている。
【0045】
図6は、血液チューブを装備していない本発明のオーガナイザ6の概略上面図を示す。
【0046】
図7は、血液チューブ35の一部を着脱可能に受け入れる受け入れ部33を有する取り付け手段31の第1の実施形態を示しており、受け入れ部33は、受け入れ部33内にチューブ部分35を簡単に受け入れるための傾斜面37を備えている。図7は、また、固定手段41によって取り付け手段31に固定されたタブ39も示す。図8において分かるように、タブ39は、弾性に構成されており、図9の表示に従ってチューブ35を取り外すために弾性的に持ち上げ、または撓ませることができる。タブ39は、その所定の弾性のおかげで、チューブ35が受け入れ部33から不用意に離脱することを防ぐ。
【0047】
図7〜図9のタブを取り付ける実施形態の固定手段41は、好ましくはスポット溶接である。この場合、タブは、回転しないようにしっかり固定されつつ取り付け手段に接続されている。しかしながら、固定手段41に対して、例えばリベットおよび/または回転可能なスナップ接続などを用いて回転可能な構成を与えることも可能である。この場合、タブは、チューブ部分が大きな力をかけることなく容易に取り外されるように、回転によって開放することができる。
【0048】
図10は、使用者によるタブの持ち上げを支援または容易化する傾斜部43を備えた、図7、図8および図9から分かる取り付け手段31を示す。この持ち上げは、タブ39の突縁または突出部45によってさらに支援されている。
【0049】
図11は、第2の実施形態における取り付け手段71を示す。取り付け手段71は、図7〜図10を参照して述べた態様と同じようにして、対応する受け入れ部77、79をそれぞれ閉じる2つのタブ73、75を備えている。
【0050】
図12は、3つの受け入れ部87、89、91を閉じる2つのタブ83、85を備えた取り付け手段81を示す。各実施形態において、受け入れ部は、それぞれ同じまたは異なる幾何学的広がりを有していてもよい。
【0051】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る取り付け手段93を透視図で示す。取り付け手段93は、クリップの形に構成されている。取り付け手段93は、上方側および両端面側に開口した(図13では)1つの溝97を側方から取り囲む2本の脚95a、95bを備えている。一部または半分が開口した状態に構成された溝97は、図13に示さないチューブ部分を受け入れる働きをする。
【0052】
脚95a、95bは、溝97の、幅Qを有する上部開口の方向に向いた突出部または補強部99a、99bをそれぞれ有している。補強部99a、99bを用いることで、取り付け手段93に挿入されたチューブ部分(図示せず)に対する締付け作用を達成することができる。互いに向き合う突出部または補強部がないように、すなわち突出部または補強部同士が溝97を挟んで互いに対向しないように、溝97の一方または他方の側に溝97に沿って突出部または補強部を代わる代わる(「千鳥に」または「ずらせて」)設けることも可能である。それにより、チューブを非常に容易に挿入することができるようになる。この構造は、チューブ部分を取り付け手段93に簡単かつ安全に着脱可能に固定できるようにするので有利である。
【0053】
取り付け手段93の配置、構造または設計は、チューブ部分が簡単かつ安全に固定されるように図13〜図16から分かるくぼみ101a、101b付きの溝断面の配置、構造または設計を特色にしている必要はない。確かに、取り付け手段93内でチューブ部分がはめ込まれる溝部分の幅Kより小さい開口幅Qを決めるくぼみ101a、101bもなお、チューブ部分が取り付け手段93から不用意に外れないという安全性の向上をもたらす。そうではあるが、くぼみを設けることは必ずしも本発明に係るものではない。
【0054】
一方の脚95aまたは95bにのみ1つのくぼみ101aまたは101bを設けることも本発明に包含される。同様に、脚95a、95bの一方のみまたは両方が、例えば補強部99a、99bのような突出部または補強部を複数個備えることも本発明に包含される。また、脚95a、95bは、別々の数(例えば、0個と1個、1個と2個、0個と2個など)の突出部または補強部を備えていてもよい。
【0055】
図14は、図13の取り付け手段を平面図で示す。補強部99a、99bを平面視することにより、取り付け手段93が砂時計状の形を有していることが容易に分かる。溝97は、例えば図15、特に図16から分かるように、上部領域の長手方向断面にこの形状を有している。その断面では、幅Qが幅Nより小さい。対照的に、取り付け手段93の下部領域では(例えば、図16参照)、長手方向断面が矩形をとっていてもよい。図13〜図16のように、突出部または補強部99a、99bが溝97の中間領域の長手方向断面内に配置されて、複数の長手方向断面が典型的な砂時計形状になっていることは例示に過ぎないことに留意されたい。突出部または補強部99a、99bは、もちろん、溝97の一方または両方の端面に近い領域、および/またはさらに別の場所にも設けられていてもよい。
【0056】
図15は、図13および図14の取り付け手段を別の透視図で示し、図16は、図13〜図15の取り付け手段93を側面図で示す。
【0057】
本発明によれば、治療後に本発明のオーガナイザを使い捨て品または部品の一部と一緒に廃棄するか、使い捨て品のないオーガナイザを再利用(物質リサイクル)にまわすことが可能である。しかしながら、オーガナイザを再使用(反復使用)にまわすことも可能である。この目的のため、取り付け手段(例えば、タブ39や取り付け手段31全体)をオーガナイザから取り外して使い捨て品と一緒に廃棄可能であるならば有利である。取り付け手段の可能な実施形態として、例えば、スナップ接続を用いたラッチが考えられる。オーガナイザを再使用する場合、タブまたは取り付け手段は、新しいタブまたは取り付け手段と交換されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液治療装置(17)を用いて様々な体外血液治療選択肢用の、特に透析法用の血液チューブセットの複数の部品(2、3、4、5、6、35)を着脱可能に受け入れるオーガナイザ(1)において、
前記オーガナイザ(1)の使用時に前記部品(2、3、4、5、6、35)を用いて少なくとも2組の前記血液チューブセットを含む群から第1の血液治療選択肢用の少なくとも1組の第1の血液チューブセットまたは第2の血液治療選択肢用の第2の血液チューブセットが選択的に構成されるように、前記部品(2、3、4、5、6、35)を受け入れるよう適合され、準備されることを特徴とする、オーガナイザ。
【請求項2】
一体的な構成となっている、請求項1に記載のオーガナイザ。
【請求項3】
前記血液チューブセットの前記部品(2、3、4、5、6、35)を着脱可能に取り付け、特に前記部品(2、3、4、5、6、35)を個別に離脱させる少なくとも1つの取り付け手段(31、71、81、93)を備える、請求項1または2に記載のオーガナイザ。
【請求項4】
前記取り付け手段(31、71、81)が、
前記オーガナイザ(1)上で少なくとも1個の前記部品(2、3、4、5、6、35)を着脱可能に受け入れ、特に前記部品(2、3、4、5、6、35)の表面の一部に沿って前記部品(2、3、4、5、6、35)を受け入れる少なくとも1つの凹部を有する少なくとも1つの受け入れ部(33、77、79、87、89、91)と、
前記部品(35)を前記受け入れ部(33、77、79、87、89、91)に着脱可能にしっかり固定し、特に前記受け入れ部(33、77、79、87、89、91)の前記凹部を閉じる少なくとも1つのタブ(39、73、75、83、85)と
を備える、請求項3に記載のオーガナイザ。
【請求項5】
前記タブ(39、73、75、83、85)が弾性の構成を有している、請求項4に記載のオーガナイザ。
【請求項6】
前記取り付け手段(31、71、81)が、使用者の指で前記タブ(39、73、75、83、85)の持ち上げを容易にするように構成された少なくとも1つの部分(43)を備える、請求項4または5に記載のオーガナイザ。
【請求項7】
前記部分(43)が、特に前記オーガナイザ(1)の平坦な広がりに対して傾斜を有している、請求項6に記載のオーガナイザ。
【請求項8】
前記タブ(39、73、75、83、85)の少なくとも一部が枢動可能になっている、請求項4〜7のいずれか一項に記載のオーガナイザ。
【請求項9】
前記タブ(39、73、75、83、85)が、指で前記タブ(39、73、75、83、85)を持ち上げるための、または枢動させるための突出部(45)を備える、請求項4〜8のいずれか一項に記載のオーガナイザ。
【請求項10】
少なくとも1組の前記血液チューブセットを構成する前記部品(2、3、4、5、6、35)を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のオーガナイザ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記取り付け手段(31、71、81)と少なくとも1個の前記血液チューブセット部品(35)が、前記血液チューブセット部品(35)が前記取り付け手段(31、71、81、93)に締め付けられるように調整されている、請求項10に記載のオーガナイザ。
【請求項12】
前記取り付け手段(93)が、チューブ部分が溝(97)内に着脱可能に、好ましくは締付けで固定されるように、前記チューブ部分を受け入れる溝(97)の幅を狭める1つ、2つまたはそれ以上の突出部(99a、99b)を備える、請求項3、10または11に記載のオーガナイザ。
【請求項13】
前記1つ以上の突出部(99a、99b)が、前記溝(97)の内部にくぼみを形成する、請求項12に記載のオーガナイザ。
【請求項14】
オーガナイザ(1)、特に請求項1〜13のいずれか一項に記載のオーガナイザ(1)を製造する方法であって、
前記オーガナイザ(1)の使用時に前記部品(2、3、4、5、6、35)を用いて少なくとも2組の前記血液チューブセットを含む群から第1の血液治療選択肢用の少なくとも1組の第1の血液チューブセットまたは第2の血液治療選択肢用の第2の血液チューブセットが選択的に構成されるように、前記部品(2、3、4、5、6、35)を受け入れるよう前記オーガナイザ(1)を準備するステップを特徴とする、オーガナイザの製造方法。
【請求項15】
少なくとも2組の前記血液チューブセットを含む群のうちの少なくとも1組の前記血液チューブセットを構成する前記部品(2、3、4、5、6、35)を前記オーガナイザ(1)上に配置するステップを特徴とする、請求項14に記載のオーガナイザの製造方法。
【請求項16】
前記オーガナイザ(1)を一体化させるように構成するステップを特徴とする、請求項14または15に記載のオーガナイザの製造方法。
【請求項17】
血液治療装置(17)を用いた様々な体外血液治療選択肢用、特に透析法用の血液チューブセットの部品(2、3、4、5、6、35)を着脱可能に受け入れるオーガナイザ(1)、特に請求項1〜13のいずれか一項に記載のオーガナイザ(1)を準備する方法であって、
選択された血液治療選択肢に不要な前記部品(2、3、4、5、6、35)および/または前記血液チューブセットを取り外すステップを特徴とする、オーガナイザの準備方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−521752(P2011−521752A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512023(P2011−512023)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004010
【国際公開番号】WO2009/146913
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(597075904)フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【Fターム(参考)】