説明

血液凝固因子の精製

本願発明は、第IX因子(FIX)などのビタミンK依存性血液凝固因子の精製に関する。特に、本願発明は、異なるガンマカルボキシグルタミン酸含量を有する前記第IX因子種の混合物を含むサンプルから、望ましいガンマカルボキシグルタミン酸含量の第IX因子を精製する方法を提供し、前記方法は:
(a) 前記第IX因子サンプルを、ガンマカルボキシグルタミン酸に対する結合部分と連結している免疫アフィニティクロマトグラフィー材に添加する;
(b)前記第IXサンプルを溶出する;および
(c)画分中のポリペプチドが望ましい量のガンマカルボキシグルタミン酸を有している、前記溶出で得られた画分を選択する;
工程を含んでおり、前記サンプル中の第IX因子の総濃度が免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を超えるという点で特徴づけられる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、タンパク質/ポリペプチド、具体的には、第IX因子(Factor IX:FIX)などのビタミンK依存的血液凝固因子のガンマカルボキシル化形態の精製に関する。特に、本願発明は、異なるガンマカルボキシル化形態のタンパク質/ポリペプチド、具体的には、第IX因子などのビタミンK依存的血液凝固因子を精製することができる免疫アフィニティクロマトグラフィーを利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、最終的にはフィブリン塊を生じる、様々な血液成分または因子の複雑な相互作用から成る過程である。一般的に、凝固「カスケード」と呼ばれるものに加わる血液成分はプロ酵素またはチモーゲンであり、それ自身が活性な血液凝固因子である活性化因子による作用でタンパク質分解酵素に変換される、酵素的に不活性なタンパク質である。このような変換を経た凝固因子は、一般的に「活性因子」と呼ばれ、小文字の「a」の接尾語の付加によって指定される(例えば、因子VIIa)。
【0003】
活性化因子X(「Xa」)はプロトロンビンをトロンビンに変換するのに必要であり、トロンビンはその後、フィブリン塊形成の最終段階でフィブリノーゲンをフィブリンに変換する。因子Xの活性化を促進する二つの機構または経路が存在する。「内因性経路」は、血漿中にのみ存在する因子の利用を介してトロンビン形成を引き起こす反応である。一連のプロテアーゼ触媒活性化は因子IXaを最終的に生じ、因子IXaは因子VIIIaと連動して因子XをXaへと切断する。同一のタンパク質分解は、血液凝固の「外因性経路」において因子VIIaおよびその補因子、組織因子の影響を受ける。組織因子は膜結合タンパクであり、通常は血漿中で循環しない。しかしながら、血管破壊により、組織因子は因子VIIaと複合体化し、Ca2+およびリン脂質の存在下で因子X活性化または因子IX活性化を触媒する。止血における二つの凝固経路の相対的重要性は、いまだ不明である。
【0004】
因子IXa(FIXa)は、Xase複合体の一部として、血液凝固中の適切なトロンビン形成を支持するのに必要な大部分の第Xa因子を発生することにより止血の鍵となる役割を果たすトリプシン様セリンプロテアーゼである (Hoffman M. and Monroe D.M., III(2001)A cell-based model of hemostasis. Thromb Haemost 85, 958-965に概説された)。先天性の因子IXa活性欠損は、X染色体連鎖性出血性疾患血友病Bの原因であり、約10万人に一人の男性が罹患している。これら血友病患者は、現在、組み換えまたは血漿由来凝固因子IXのいずれかによる置換療法で治療されている。
【0005】
因子IXは、因子VII、因子XおよびプロテインCと構造的に類似したビタミンK依存的凝固因子である。循環チモーゲン形態は、血漿半減期約18〜30時間を有し、N末端γ-カルボキシグルタミン酸が豊富な(γ-carboxyglutamic acid rich:Gla)ドメイン、二つのEGFドメインおよびC末端トリプシン様セリンプロテアーゼドメインを含む4つの異なるドメインに分割できる415アミノ酸から成る。因子IXの活性化は、35アミノ酸断片いわゆる活性化ペプチドを放出するArg145-Ala146およびArg180-Val181での限定されたタンパク質分解によって発生する(Schmidt A.E. and Bajaj S.P.(2003)Structure-function relationships in Factor IX and Factor IXa. Trends Cardiovasc Med 13, 39-45)。活性化ペプチドは、二つのN-結合型および4つまでのO-結合結合型グリカンを含んで高度にグリコシル化されている。
【0006】
γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)は、カルシウムに結合する珍しいアミノ酸である。それは、グルタミン酸(Glu)の修飾された形態であり、in vivoでグルタミン酸残基の翻訳後修飾によって生産され得る。この経路によるグルタミン酸のカルボキシル化はカルシウム結合を可能にし、リン脂質に対する凝固促進剤および抗凝固剤などのタンパク質の付着を可能にする。γ-カルボキシル化(ガンマカルボキシル化)として知られるこの酵素触媒反応は、補因子としてビタミンKを必要とする。
【0007】
いくつかの成熟タンパクは、この経路でγ-カルボキシグルタミン酸に変換されたアミノ酸が豊富なドメインを含む。これは、GLAドメインとして知られる。このGLAドメインは、しばしばタンパクによるカルシウムイオンの高アフィニティの結合に関与する。このようなGLAドメインは、様々な異なるタンパク質に存在し得る。例えば、血液凝固因子VII、IXおよびXならびにプロトロンビンはすべて、多くのGLAアミノ酸残基を含むGLAドメインを含む。
【0008】
Van Cott et al(1996) Journal of Molecular Recognition 9, 407-414には、生物学的に活性および不活性な形態の組み換えヒトプロテインCのアフィニティ精製について記述されている。
【0009】
FIXの12のGlaドメイン中の12のGlu残基の全ガンマカルボキシル化は、組換え体産生における大きな課題である。チャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary:CHO)細胞で産生されたFIXは、約50%のFIX特異的活性を示し、活性化レベルは細胞株で発現されたFIXのガンマカルボキシル化の程度と関連する。従って、準最適なガンマカルボキシル化Glaドメインを有するFIX種を除くための下流分離方法を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Van Cott et al(1996) Journal of Molecular Recognition 9, 407-414
【発明の概要】
【0011】
本願発明者は、含まれるガンマカルボキシル化の量またはガンマカルボキシグルタミン酸残基の数が多様である、異種の因子IXを分離または精製することが可能であることを見出した。本願発明は、特に、ガンマカルボキシグルタミン酸量が異なる因子IX種のクロマトグラフィー分離に取り組んだ。
【0012】
従って、本願発明は、望ましい量のγ−カルボキシグルタミン酸を有する第IX因子を、異なるガンマカルボキシグルタミン酸量を有する前記因子IX種の混合物を含むサンプルから精製する方法を提供し、前記方法は:
(a) 前記因子IXサンプルを、ガンマカルボキシグルタミン酸への結合部位を有する結合抗体を含む免疫アフィニティクロマトグラフィー材に添加する;
(b) 前記因子IXの溶出;および
(c)画分中の因子IXポリペプチドが望ましい量のガンマカルボキシグルタミン酸を有する、前記溶出で得られた画分の選択;
という工程を含み、前記サンプル中の因子IX総濃度が免疫アフィニティクロマトグラフィー材への結合能を超えるという点で特徴づけられる。
【0013】
前記方法は、精製されるサンプル中の因子IXの#1-11-Glaおよび/または#1-12-Gla形態の割合と比較して、因子IXの1-11-Glaおよび/または#1-12-Gla形態の割合が増加している、前記溶出で得られる画分を選択することを含む。
【0014】
前記方法はまた、精製されるサンプル中の因子IXの#1-10-Gla形態の割合と比較して、因子IXの1-10-Gla形態の割合が減少している、前記溶出で得られる画分を選択することを含む。
【0015】
本願発明はまた、本願明細書に記載されている方法によって得られる因子IXの処方、すなわち一つまたは複数種の因子IXの量が置換されていて、それらの種が、それらが含むガンマカルボキシル化の程度またはガンマカルボキシグルタミン酸残基の数が異なる処方、へ拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、ヒト因子IXの一次構造を同定されたサブドメインと共に示している。GLAドメインはアミノ酸1〜46に存在する;EGF1ドメインはアミノ酸残基47〜83に存在し、EGF2ドメインはアミノ酸84から124に存在し、活性ペプチドはアミノ酸146から180に存在し、プロテアーゼドメインはアミノ酸181から415に存在する。潜在的にガンマカルボキシル化に供されるGlaドメインの12のアミノ酸は、「γ」で標識され、アミノ酸7、8、15、17、20、21、26、27、30、33、36および40に位置する。
【図1B】図1Bは、ヒト因子VII、因子IXおよび因子Xポリペプチドのアミノ酸配列の一部の配列比較を示している。これらの配列比較は各ポリペプチドのGLAドメインに由来し、Gla残基の場所を*で示している。
【図2】図2は、実施例1に記載のELISA分析で評価した、FIX Gla#1-8-から#1-12の、Glaに対するmAB 3F14A3B6へのカルシウム依存的結合を示している。
【図3】図3は、実施例2に記載のFIXサンプルの、免疫アフィニティクロマトグラフィーで得られたクロマトグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明は、異なるレベルのガンマカルボキシル化を有する因子IX種は、異なる活性化レベルを有し得て、このように異なる種は免疫アフィニティクロマトグラフィーで精製または分離し得る、という知見に由来する。サンプル中における、より高活性な因子IX種の割合の増加、および/または、より低活性もしくは不活性な因子IX種の減少により、本願発明は結果として、特異的な活性が増加した精製処方を産生し得る。
【0018】
特に、図1Aはヒト第IX因子タンパク質の一次構造を示している。このタンパクは、アミノ酸1から46においてGLAドメインを含んでいる。このドメインは、グルタミン酸からGlaへ修飾され得る12アミノ酸を含む。これらは、7、8、15、17、20、21、26、27、30、33、36および40の場所に位置する。従って、最大12までのGla残基を含み得る。本願発明に従って精製されうるポリペプチドは、従って因子IXである。図1Bはヒト因子VII、IXおよびXタンパク質のGlaドメインに基づいたアラインメントを示している。各配列中の、グルタミン酸からGlnへと修飾され得るアミノ酸残基の位置を、*で示している。
【0019】
本願発明の精製過程は、既知のγ-カルボキシル化タンパク質由来のGLAドメインを含むポリペプチドに等しく用いられ得ると理解され得る。GLAドメインを含む多くのポリペプチドが知られている。プロトロンビン、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロトロンビン、プロテインCおよびプロテインSを含む、多くの血液凝固ならびに制御タンパク質は、Gla残基を含む。これらのタンパク質は、成熟タンパク質のN末端の最初40残基以内に位置するGLAドメイン中に、10から12のγ-カルボキシグルタミン酸残基を含み得る。オステオカルシンおよびマトリックスGlaタンパク質などの骨タンパク質、ならびに、growth-arrest-specific-6(Gas6)、プロテインZ、proline-rich-Gla-1(PRGP1)、proline-rich-Gla-2(PRGP2)、proline-rich-Gla-3(PRGP3)およびproline-rich-Gla-4(PRGP4)などのその他哺乳類ビタミンK依存性タンパク質はまた、複数のGla残基を含む。ガンマカルボキシグルタミン酸残基はまた、コノペプチドコナントキンGおよびコナントキンTなどの非哺乳類タンパク質にも見出される。これらの任意のペプチドが、本願発明に従って精製され得る。
【0020】
以下でさらに議論する通り、本願発明の方法は、異なるレベルのガンマカルボキシル化が生じている因子IXの異なる分子種の精製を可能にする。ここに参照した数は、因子IX中に存在し得るGla残基の総数である。すなわち、もし因子IXがすべてガンマカルボキシル化されていれば、これらの数は、存在するGlaの数である。例えば、GLAドメイン中でガンマカルボキシル化が生じる場合、これらの数は、翻訳された因子IX中のGlu残基の総数、または、ガンマグルタミルカルボキシラーゼ等の酵素の作用によって産生され得るGla残基の最大数などの、GLAドメイン中のガンマカルボキシル化の可能性のある部位の総数である。この最大値より少ないガンマカルボキシグルタミン酸残基が存在する、同じ因子IXエンティティの中のさらなる種も存在し得る。
【0021】
従って因子IXは、自身の翻訳されたアミノ酸配列のN末端40残基中に複数のGlu残基を含み得る。例えば、発現した因子IXのアミノ酸配列は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれより多くのGlu残基を、因子IXのN末端に最も近い40残基中に、または、成熟タンパク質のN末端に最も近い40残基中に含み得る。
【0022】
ガンマカルボキシル化は、酵素の使用によって達成し得る。このようなγ-グルタミルカルボキシラーゼ酵素は、in vivoで多くのポリペプチドのガンマカルボキシル化に関与することが知られている。γ-グルタミルカルボキシラーゼは、多くのビタミンK依存性凝固因子のGLAドメインにおいて、GluからGlaへの翻訳後修飾を触媒する小胞体酵素である。したがって、本願発明における使用のための因子IXポリペプチドは、γ-グルタミルカルボキシラーゼによってガンマカルボキシル化されるかどうかを決定して、同定し得る。
【0023】
γ-グルタミルカルボキシラーゼ酵素は、カルボキシル化されるグルタミン酸残基のアミノ末端側上の配列モチーフを介して自身の基質タンパク質に結合すると考えられている。前記酵素は、基質が放出される前に、前記領域で複数のグルタミン酸残基(例えば、GLAドメイン中のすべてのグルタミン酸残基)をカルボキシル化し得る。従って、本願発明における使用のための因子IXポリペプチドは、γ-カルボキシラーゼ、または、ガンカマルボキシル化することができる他の酵素によって認識される、モチーフまたは部位を含み得る。この認識部位は因子IXのN-末端領域(例えば、翻訳された因子IXのN末端に最も近い、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35もしくは40残基中、または、成熟タンパク質のN末端側となりうるもの)に位置し得る。認識部位は、カルボキシル化されるグルタミン酸残基のアミノ末端側に位置し得る。例えば、多くの天然に存在するガンマカルボキシル化タンパク質では、γ-グルタミルカルボキシラーゼ酵素は、プロペプチド領域の部位を認識および結合する。前記領域は、その後翻訳後プロセシングの間に、因子IXの残りから切断される。従って、ガンマカルボキシラーゼ認識部位には、成熟タンパク質は存在しない可能性がある。
【0024】
因子IXにおいて、γ-グルタミルカルボキシラーゼ酵素の認識に関わる部位は 、-18、-17、-15、-15および-10残基で定義されている。その他のガンマカルボキシル化タンパクには類似の認識部位が存在する。位置-16のフェニルアラニンおよび位置-10のアラニンは、位置-17および-15の、イソロイシン、ロイシンおよびバリンなどの脂肪族アミノ酸と同様、カルボキシラーゼの基質のプロペプチド内でよく保存されている。位置-16のロイシン、バリンまたはリシンは、また、カルボキシル化を支持し得る。本願発明の方法は、因子IX、因子X、因子VIIまたはその他任意のガンマカルボキシル化タンパク質由来のガンマカルボキシル化認識部位などの、既知のガンマカルボキシル化タンパク質由来のガンマカルボキシル化認識部位を含むポリペプチドの精製に、等しく適用され得ると理解され得る。例えば、ガンマカルボキシル化認識部位を含む任意のこのようなタンパク質由来のプロペプチド領域は、翻訳されたポリペプチドのN末端に存在し得て、γ-グルタミルカルボキシラーゼによるポリペプチドの適切な翻訳後プロセシングを可能にする。
【0025】
因子IXのガンマカルボキシル化が起こるためには、因子IXは、好ましくは細胞内で発現している。本願発明における、使用のための因子IXは、このような細胞内の発現によって合成され得る。好ましくは、因子IXが発現している細胞は、因子IXのガンマカルボキシル化を可能にする必須の細胞機構を含む。例えば、前記細胞はγ-グルタミルカルボキシラーゼを発現し得る。好ましくは、因子IXが合成される細胞は、粗面小胞体と会合するガンマカルボキシラーゼ酵素を有する。前記細胞は、ビタミンKなどの酵素補因子の存在下で培養され得る。好ましくは、因子IXが合成される細胞は、細胞内ビタミンKを含む。
【0026】
本願発明の方法は、程度の異なるガンマカルボキシル化を有する他の因子IX種由来の、一つまたは複数の因子IX種の精製を含む。因子IXが一つより多い部位でガンマカルボキシル化され得る場合、異なる数のガンマカルボキシグルタミン酸アミノ酸残基が存在する、または、ガンマカルボキシグルタミン酸残基が因子IX分子内の、可能性のある異なる場所に存在する、異種の因子IXが存在し得る。
【0027】
例えば、いくつかの種の因子IXは、すべてガンマカルボキシル化され得る。すなわち、ガンマカルボキシル化は、因子IX中の可能性のあるすべての残基において(例えば、GLAドメインのすべてのGlu残基)、グルタミン酸をガンマカルボキシグルタミン酸へ変換し得る。第IX因子の他の種は、部分的にガンマカルボキシル化され得る。すなわち、ガンマカルボキシル化は、因子IX中の可能性のあるいくつかではあるがすべての残基ではない、例えば、GLAドメイン中のいくつかであるがすべてではないGlu残基などの、グルタミン酸をガンマカルボキシグルタミン酸に変換し得る。
【0028】
様々な異なる部分的脱ガンマカルボキシル化種が同定され得る。これらは様々な方法で分類され得る。例えば、ガンマカルボキシル化のレベルは、因子IX中の脱ガンマカルボキシル化されている残基によって定義され得る、または、ポリペプチド中に存在するガンマカルボキシグルタミン酸アミノ酸残基の総数によって定義され得る。後者の分類は、因子IXの、構造的に異なる多くの分子種が、それらが含むガンマカルボキシグルタミン酸の総数に基づいて、一緒に考慮されることを意味し得る。例えば、因子IX種は、一つを除いてすべての可能性のあるガンマカルボキシグルタミン酸残基が存在し、グルタミン酸がガンマカルボキシル化され得る異なる場所で保持されている、因子IXの複数の異なる亜種を含み得る。
【0029】
γ-グルタミルカルボキシラーゼの作用メカニズムのために、ガンマカルボキシル化は一般的に、ガンマカルボキシル化認識部位に最も近いGlu残基から開始し、因子IXのN末端から離れて進行する。因子IXが完全にガンマカルボキシル化されない場合、これは一般的に、ガンマカルボキシル化が中断された、または、最も遠いGlu残基が変換される前に酵素が因子IXから放出されたためである。それは、一般的に、ガンマカルボキシル化結合部位から最も遠い、または、因子IXのN末端から最も遠い、部分的にガンマカルボキシル化された因子IX中のガンマカルボキシル化されていないGlu残基である。
【0030】
例えば、図1に示したように、ヒト因子IXは、最大12までのガンマカルボキシグルタミン酸残基を含む。実際に存在するGla残基の数は、分子が受けたガンマカルボキシル化による翻訳後修飾の程度に依存して異なるポリペプチド分子で変化する。これは、ヒト因子IXのサンプルが、すべてガンマカルボキシル化される、すなわち12すべての可能性のあるガンマカルボキシグルタミン酸を有する因子IX種(#1-12Gla)を含み得ることを意味する。
【0031】
それはまた、可能性のある12のガンマカルボキシグルタミン酸残基中11個を有する、一つまたは複数種の因子IXを含み得る。これらの中で、最も可能性が高いのは、ポリペプチドのN末端に最も近い11のGlu残基がGlaへ変換されているが、図1に示すように位置40の12番目のGluはGluのままである、という状態である。従って、この状態においては、Glu残基1から11のみがGlaに変換されている(#1-11Gla).
【0032】
それはまた、可能性のある12のガンマカルボキシグルタミン酸残基中10個を有する、一つまたは複数種の因子IXを含み得る。これらの中で、最も可能性が高いのは、ポリペプチドのN末端に最も近い10のGlu残基がGlaへ変換されているが、図1に示すように位置36および40の11および12番目のGluはGluのままである、という状態である。従って、この状態においては、Glu残基1から10のみがGlaに変換されている(#1-10Gla).
【0033】
それはまた、#1-9Glaのように、可能性のある12のガンマカルボキシグルタミン酸残基中9個を有する、一つまたは複数種の因子IXを含み得る。それはまた、可能性のある12のガンマカルボキシグルタミン酸残基中9未満、例えば、8、7、6、5、4、3、2、1、または0個を有する、一つまたは複数種の因子IXを含み得る。
【0034】
本願発明は、このような因子IX種の精製方法を提供する。特に、因子IX種はサンプル中の他種の因子IXと関連して精製され得る。従って、本願発明の方法は、因子IXサンプル中の、興味のある種の相対的割合の増加につながり得る。このことは、一つまたは複数の異種の因子IXをサンプルから除くこと、従って興味のある種より形成されるIX全体の割合を増加させることよって達成し得る。このことは、サンプルからの興味のあるものではない種の一つまたは複数種の除去による、または、興味のある種の割合が元のサンプルよりも少ないサンプルの画分の除去による、サンプルからの一つまたは複数の特定の種の特異的除去を介して達成し得る。これらの任意のアプローチが、興味のある種の割合の全体的な増加を引き起こし得る。従って本願発明の方法は、異種のIX因子の混合物を含むサンプル中の、特定の種の因子IXの割合の増加または減少を引き起こし得る。
【0035】
因子IX種の割合の増加は、最大5%まで、10%まで、20%まで、30%まで、またはそれより大きい、因子IX全体のサンプル中での前記種の割合の増加であり得る。因子IX種の割合の減少は、最大5%まで、10%まで、20%まで、30%まで、50%まで、70%まで、90%まで、またはそれより大きい、因子IX全体のサンプル中での前記種の割合の減少であり得る。因子IX種の割合の減少は、元のサンプル中の存在量と比較して、最大5%まで、10%まで、20%まで、30%まで、50%まで、70%まで、90%まで、またはそれより多い量の存在する前記種の割合の減少であり得る。因子IX種の割合の減少は、サンプルからの、前記種の完全なまたは実質的な除去であり得る。例えば、本願発明の方法は、特定の種の検出できる因子IXを、サンプルから、すべてまたは実質的にすべて除くことにより、因子IXサンプルを精製し得る。サンプル中に残るこれらの種の量は、元のサンプル中に存在している量の10%未満、5%未満、2%未満または1%未満であり得る。
【0036】
従って、本願発明の方法の目的は、第IX因子サンプル中の異種の相対的割合を変化させることを可能にすることである。異種は、異なる性質または異なる活性を有し得る。第IX因子サンプル中の、このような種の量または割合を変化させることにより、サンプル全体として、性質または活性が変化し得る。例えば、異種の第IX因子が異なるレベルの活性を有する場合、より高いレベルの活性を有する種の割合を増加させるために異種の割合を変化させることにより、および/または、より低い活性を有するまたは活性のない種の割合を減少させることにより、サンプルの特異的な活性(例えば、第IX因子1分子当たりの平均活性、または、第IX因子量の最大可能性活性の割合)が増加し得る。
【0037】
例えば、組み換え技術によって生産されたヒト第IX因子(rhFIX)は約50%の特異的活性を示すことが見いだされている。このようなサンプルの分画化は、個別のrhFIX種、主として#1-8-、#1-9-、#1-10-、#1-11-および#1-12-Glaを含むことを示す。凝血塊アッセイおよび2段階活性アッセイにおいて、#1-11-および#1-12-Glaは十分な活性があることが示された。#1-8-、#1-9-および#1-10-Gla種は、使用したアッセイによって、約2〜5%、14〜22%および27〜36%活性が減少することが示された。
【0038】
従って、ガンマカルボキシル化の程度のみが変化するrhFIXの異種は、異なる活性レベルを示すことが理解され得る。#1-11-および/または#1-12-Glaの割合がより高いサンプルは、それらの種をより低い割合で有するサンプルよりも、高い特異的活性示すことが期待される。#1-8-および/または#1-9-および/または#1-10-Glaの割合がより高いサンプルは、それらの種をより低い割合で有するサンプルよりも、低い特異的活性示すことが期待される。
【0039】
従って、第IX因子サンプルの全体的な特異的活性は、サンプル中のこのような種の割合を変化させることによって変化し得る。この場合、第IX因子の全体的な特異的活性は、以下の任意の一つまたは複数によって増大し得る:
-サンプル中の#1-12-Glaの割合を増大させること;
-サンプル中の#1-11-Glaの割合を増大させること;
-サンプル中の#1-10-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-9-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-8-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-7-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-6-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-5-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-4-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-3-Glaの割合を減少させること;
-サンプル中の#1-2-Glaの割合を減少させること;および
-サンプル中の#1-1-Glaの割合を減少させること;
である。
【0040】
任意の一つまたは複数のこれらの変更は、本願発明に従って第IX因子のサンプルを精製する際に選択され得る。
【0041】
第IX因子の好ましいサンプルは、#1-11-および#1-12-Glaのみを含み、より低い程度のガンマカルボキシル化を有する種、#1-10-Gla、#1-9- Glaおよび#1-8- Gla種などを欠いている、または、実質的に欠いている。
【0042】
このアプローチは、hFIXの既存の組成物に用いられ得る。本願明細書に記載されている方法は、このような組成物中で#1-11-Glaおよび/または#1-12-Glaの割合を増大させるために使用され得ると理解され得る。本願明細書に記載されている方法は、このような処方中で、よりガンマカルボキシル化されていない種、例えば#1-10-Gla、#1-9-Glaおよび#1-8-Glaなどの割合を減少させるために使用され得る。これは、このような処方中のhFIXの特異的活性を向上させることが期待され得る。
【0043】
類似のアプローチは、他のGla含有ポリペプチドに関連して使用され得る。例えば、第VII因子および第X因子は最大11個までのGla残基を含み得る。
【0044】
従って本願発明は、一種の第IX因子を他種の第IX因子から精製し得ることができる方法を提供し、前記種は、それらがガンマカルボキシル化されている程度、または、アミノ酸配列中のGlaの数、という点で異なる。
【0045】
本願発明の方法は、免疫アフィニティクロマトグラフィーに基づく。本願発明は、特に、第IX因子がビーズと連結しているGLAに対する抗体を含む免疫アフィニティ材に結合している場合に、バッファーを使用して免疫アフィニティ剤からの第IX因子の溶出を実施する方法に関する。
【0046】
免疫アフィニティ材による、とは、クロマトグラフィーレジンに連結しているGLAに対する抗体を意味する。従って、免疫アフィニティ材は、ガンマカルボキシル化残基に対する、抗体または抗体由来結合モチーフを有する。抗体は、固相に付着し得る。固相は例えば、精製カラム、微粒子またはビーズ、膜またはフィルターであり得る。本願明細書に記述されて使用され得る市販の結合剤は、例えば、CNBrセファロース(商標)ファストフロー、NHSセファロース(商標)ファストフロー、Epoxyセファロース(商標)6B、Thiolセファロース(商標)ファストフロー、EAHセファロース(商標)ファストフロー、Epoxy Poros(登録商標)EP、Aldehyde Poros(登録商標)AL、Epoxy Poros(登録商標)EPおよびHydroxylated Poros(登録商標)OHを含む。
【0047】
例えば、本願発明に従った第IX因子の精製は、典型的に、Glaに対する結合部分(すなわち第IX因子抗体 3F14A3B6)を連結したセファロースFFアフィニティ材(すなわちCNBrセファロース4FF)を含む。
【0048】
本願発明は、標的タンパク質精製のためのリガンド相互作用の使用を原理的に意味する、アフィニティクロマトグラフィー手法に基づいていると理解され得る。従って、アフィニティという用語は、リガンドと標的タンパク質の間の特定の分子相互作用に関するが、これに限定されない。前記相互作用は、リガンドまたは標的タンパク質の特定の折り畳み状態に依存し得る。リガンドは、前記の通りレジンに固定化され得る。使用されたリジンは、適切なクロマトグラフィー用ビーズに固定化されたGlaに対する結合部分を含む。ある実施態様において、Glaに対する結合部分は、Glaに対する抗体を含む。この実施態様において、抗体によって認識されるエピトープは、折りたたまれたGlaドメインであり、このことは、驚くべきことに#1-8-Glaまたはそれより高い第IX因子種に対するものについてのみ生じることが示された。前記サンプル中の第IX因子の総濃度が免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を超えることを確実にすることによって、免疫アフィニティカラムに過剰添加されることを確実にするということは、理解され得る。例えば、過剰添加の概念は、対象とするカラムの第IX因子許容量よりも高い量の第IX因子をカラムに添加することを意味する。
【0049】
ある実施態様において、免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能は、100、105、110、115、120、125、130、140、150、200、250、500、750または1000%の任意の一つよりも大きく超え、特に120%よりも大きく(すなわち122%)、もしくは、150%よりも大きく(すなわち170%)、または、250%よりも大きい(すなわち334%)。さらなる実施態様において、免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能は、100%よりも大きいが、500%未満、すなわち450、400、350、300、250、200または150%の任意の一つ未満で、超える(または、100〜400%、100〜200%または100〜150%などのそれらの間の任意の範囲)。本願発明の他の態様に従って、異なる量のガンマカルボキシグルタミン酸を有する前記ポリペプチド種の混合物を含むサンプルから、望ましい量のガンマカルボキシグルタミン酸を有するポリペプチドを精製する方法が提供され、前記方法は:
(a)前記ポリペプチドサンプルを、ガンマカルボキシグルタミン酸の結合部分と連結した免疫アフィニティクロマトグラフイー材に添加する工程;
(b)前記ポリペプチドを溶出する工程;および
(c)前記溶出物より得られた画分を選択する工程であって、前記画分中のポリペプチドが望ましい量のガンマカルボキシグルタミン酸を有する工程;
を含み、前記サンプル内のポリペプチド総濃度が100から400%の間で免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を超える、という点で特徴づけられている。本願発明の代替的な態様のある実施態様において、ポリペプチドは第IX因子、第VII因子または第X因子であり、第IX因子などである。本願発明の代替的な態様のある実施態様においては、免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能は、350、300、250、200または150%の任意の一つ未満である(または、100〜200%または100〜150%などのそれらの間の任意の範囲)。
【0050】
本願発明の免疫クロマトグラフィーの態様の追加的な利点は、非常に少量の活性化第IX因子(FIXa)を有する、非常に純度の高い第IX因子の安定的デリバリーである。
【0051】
本願発明で使用され得るGlaに対する抗体の例は、Liebman HA (1993) Eur. J. Biochem. 212: 339-345、 Liebman HA et al (1987) J. Biol. Chem. 262: 7605-7612およびGillis S et al (1997) Protein Sci. 6:185-96.に記述されているものを含む。ある実施態様では、Glaに対する抗体は3F14A3B6である。3F14A3B6という名前は、そのモノクローナル抗体が産生されるハイブリドーマクローンを参照している。第IX因子Glaに対するモノクローナル抗体を産生する3F14A3B6ハイブリドーマは、第IX因子免疫マウスから得てマウス不死化ミエローマ細胞株と融合させた第IX因子免疫マウスの脾細胞から確立された、ハイブリドーマプールのスクリーニングによって同定された。ハイブリドーマ細胞を採取し、市販のRNAおよびcDNA調製キットを使用して、トータルRNAを単離してcDNA調製に用いた。このようにして、クローン化された3F14A3B6-LCおよび3F14A3B6-HC cDNA配列が得られた。シークエンシングデータより、抗第IX因子抗体は、マウスIgG1抗体であることが証明された。3F14A3B6-LCおよび3F14A3B6-HCのcDNA配列に対応するアミノ酸配列は、各々配列番号1および2に示されている。前記配列に基づき、標準的な一過性および安定的組み換え体発現を実施した。前記抗体は、従来のプロテインAに基づくアフィニティクロマトグラフィーを使用して精製され、例えば0.1M Na2CO3、0.5M NaCl、pH8.3である関連バッファー中の処方によって、レジン結合用に調製された。
【0052】
過剰添加原理の効果は、本願発明で使用されるFabまたはscFv断片などの抗体または抗体誘導体によって認識される、Glaドメイン中の特異的エピトープに依存する。本願発明で使用される好ましい抗体は、カルシウム、マグネシウムもしくはその他の二価陽イオンの存在下でGlaドメインの折り畳みに感受性のある抗体、および/または、特異的なGla残基を含むエピトープ認識する抗体である。一つの例は、抗体のエピトープが、Gla#1、Gla#2、Gla#3、Gla#4、Gla#5、Gla#6、Gla#7、Gla#8、Gla#9、Gla#10、Gla#11もしくはGla#12、または、任意の前記Gla残基および/もしくはその他のnabouringな非Gla残基のオーバーラップを認識する、第IX因子であり得る。凝固因子に特異的な、Glaドメインに対するカルシウム依存的抗体は一般的に二つの分類に分けられ得る:(I)カルシウムを絶対的に必要とするもの、および、 (II)カルシウムは、結合が低下することなく、マグネシウムまたは他の二価陽イオンに置換され得るもの(Liebman, H.A. et al(1987)JBC262:7605-7612)。構造の調査では、クラスI抗体がGlaドメインのN末端部分に結合し、クラスIIがC末端部分に結合することが示されている。Glaドメインの異なる領域のエピトープの局在は、カルシウムが全Glaドメインの折り畳みを誘導することができるが、マグネシウムはEGF1ドメイン近くの、遠い部分の折り畳みのみを支持し、N末端のω-ループは構造化されないままであることをNMR分光法で示すことによって、理論的に説明されている(Freedman, S.J. et al (1996) JBC 271: 16227-16236; Freedman, S.J. et al (1995) JBC 270: 7980-7987; Huang, M. et al (2004) JBC 279: 14338-14346)。
【0053】
過剰添加原理を抗体3F14A3B6に使用する際、前記第IX因子Gla種#1-8〜#1-10-は、#1-11〜#1-12-で置換し得る。適切な洗浄工程の後にカラムが最終的に溶出された際、第IX因子低Gla種であるGla#1-8〜#1-10の総量は、カラム許容量を超えない手順と比較して有意に減少している。ある実施態様において、Glaに対する抗体(すなわち3F14A3B6)は、活性化前のセファロースビーズ、特にCNBrセファロース4FFなどのセファロースビーズに固定化する。
【0054】
従来の免疫アフィニティクロマトグラフィー精製方法は、通常、以下より選択される一つまたは複数の工程から成る:免疫アフィニティ材の平衡化、サンプルのアプライまたは添加、一回または複数回の洗浄工程、溶出および免疫アフィニティ材の再生。アフィニティクロマトグラフィーの標準的な方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciencesに存在し得る。
【0055】
好ましくは、免疫アフィニティレジンは、第IX因子サンプルを添加する前に平衡化される。この平衡化工程の目的は、前記方法のその後の過程で使用されるものに厳密に類似するよう、免疫アフィニティ材の状態を調整することである。クロマトグラフィー中に移動相の組成物が変化することを避けるため、免疫アフィニティ材は、開始バッファーのpHおよびイオン組成(例えば伝導性、バッファー組成)に平衡化されるべきである。例えば、平衡化バッファーのイオン強度(例えば伝導性、pH)は、ポリペプチドを添加および/または洗浄するために用いるバッファーなどの、前記方法の後の過程で使用されるバッファーのイオン強度とできる限り類似するよう選択され得る。
【0056】
従って、免疫アフィニティ材は、後の工程で使用されるバッファーまたは処方に厳密に基づいたバッファーを使用して、平衡化され得る。例えば、免疫アフィニティ材の平衡化とサンプルの添加には、同じバッファーが使用され得る。免疫アフィニティ材の平衡化とサンプルが添加された後の免疫アフィニティ材の洗浄には、同じバッファーが使用され得る。平衡化バッファーは、添加処方および/または洗浄バッファーと同じpHを有し得る。平衡化バッファーは、添加処方および/または洗浄バッファーと同じ伝導性を有し得る。平衡化バッファーは、添加処方および/または洗浄バッファーと同じバッファー物質を使用し得る。平衡化バッファーは、添加処方および/または洗浄バッファーと同じ濃度のバッファー物質を有し得る。平衡化バッファーは、添加処方および/または洗浄バッファーにも存在する、界面活性剤などの追加の成分を含み得る。
【0057】
平衡化バッファーのpHは、精製される特定のポリペプチドに依存して決定され得る。例えば、ポリペプチドの自己活性化および/または分解がこれらのpH値で観察され得るため、第IX因子などの多くのポリペプチドはpH9.0またはそれ以上で最適ではない。
【0058】
本願発明の使用のための平衡化バッファーは、例えばpH約5.0から約8.5、例えば5.0から8.5などで処方され得る。平衡化バッファーのpHは、約5.0より高い、約5.5より高い、約6.0より高い、約6.5より高い、約7.0より高い、約7.5より高い、または、約8.0より高い可能性がある。平衡化バッファーのpHは約8.5未満で、約8.0未満、約7.5未満、約7.0未満約6.5未満、約6.0未満および約5.5未満である可能性がある。このような端点の任意の組み合わせで組み合わされ得る。例えば、平衡化バッファーのpHは、約7.0より高く8.5未満である。例えば、pHは、pH約7.0、7.5、8.0または8.5、例えば約7.5など、であり得る。
【0059】
これらのpH値は、本願明細書に記載の通り、第IX因子、第VII因子または第X因子などのポリペプチドの精製のための免疫アフィニティ材の平衡化に適し得る。
【0060】
平衡化バッファーに適する成分は、バッファー物質、例えばTris、ホスフェート、MES、Hepesまたはカーボネートを含み得る。このようなバッファー物質は、平衡化バッファーを前記に定義されたpHで維持するために使用され得る。ある実施態様において、同じバッファー物質およびバッファー物質濃度が、免疫アフィニティクロマトグラフィー手法を通じて使用される。例えば、平衡化バッファー、洗浄バッファーおよび溶出バッファーはすべて同じバッファー物質を、同じバッファー物質濃度で含み得る。バッファー物質濃度は、免疫アフィニティ手法の間、バッファー能および一定のpHを維持するのに十分であるべきである。例えば、バッファー物質およびバッファー物質濃度は、サンプルのアプライおよび溶出の間安定なpHおよびバッファー能を維持するために選択され得る。例えば、適切なバッファー物質濃度は5mMから50mMの間、例えば10mMから40mMの間などである。例えば、適切なバッファー物質濃度は、5mM、10mM、15mM、20mMまたは25mM、例えば20mMなどである。
【0061】
平衡化バッファーは、一つまたは複数の追加の成分を含み得る。平衡化バッファーは、タンパク質の可溶性を増すために使用される、エチレングリコール、エタノール、尿素または界面活性剤などの添加物を含み得る。Tween80、Tween20またはTritonX100などの非イオン性界面活性剤は、例えば1%未満、0.5%未満、0.1%未満または0.01%未満の濃度で使用され得る。NaClなどの非バッファー性塩は、バッファーのイオン強度を調整するために使用され得る。
【0062】
ある実施態様において、平衡化バッファーは塩化カルシウムなどのカルシウムイオンを追加的に含む。ある実施態様において、カルシウムイオンは0.5 mMよりも高い濃度で存在する(例えば、3.0、5.0、8.0または10.0 mMよりも高濃度の塩化カルシウムなどの、0.5、1.0、1.5または2.0 mMよりも高濃度の塩化カルシウム、特に2または5 mM塩化カルシウム)。他の実施態様において、カルシウムイオンは0.5〜10mM、1〜8mM、1〜5および2〜5mMの範囲で存在する。本願明細書の実施例2で示されたデータの通り、これらのデータは、#1-8〜#1-9種では共同性が著しく減少し、#1-11〜#1-12種と比較してカルシウム依存性が増したことを示している。これらのデータは、過剰添加がさらにより良いGlaプロファイルを生むという方法で、過剰添加原理と組み合わされ得る。
【0063】
第IX因子を含むサンプルは、免疫アフィニティ材に添加される。これは、適切な状態下(カルシウムの存在、伝導性および/またはpHなど)で前記サンプルを免疫アフィニティ材に曝露することによって達成され、第IX因子が免疫アフィニティ材中または上に固定化される。この固定化または結合は、第IX因子のGLAドメインのカルシウム特異的折りたたみ、および、GLAに対する抗体3F14A3B6によって達成される。このような結合は、GLAドメインが十分に折りたたまれた場合のみ起こる。
【0064】
本願発明の方法で精製されたサンプルは、前記の通り第IX因子を含む任意のサンプルである。好ましくは、サンプルは、同じポリペプチドの二つ以上の異なる種を含み、前記種は、そのガンマカルボキシル化の程度および/または場所が変わる。
【0065】
前記の通り、第IX因子は任意の日常的な方法を用いて得られ得る。例えば、第IX因子は、動物などのin vivo資源から得られ得る、または、例えば組織もしくは細胞などのin vitroで生産され得る。第IX因子は、組み換え技術によって、例えば細胞内で第IX因子の発現を誘導することによって、産生され得る。例えば、第IX因子は、第IX因子をコードし、発現することのできるポリヌクレオチドで形質転換または形質移入された宿主細胞内で産生され得る。このような宿主細胞は、第IX因子の発現が可能な状態下で培養され得る。その後第IX因子は、培地中または宿主細胞自身から回収され得る。
【0066】
第IX因子は、免疫アフィニティレジンへ用いる前に精製され得る。例えば、第IX因子は、沈降、免疫沈降、等電点電気泳動、濾過、遠心分離または、陰イオンまたは陽イオンクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーなどの、一つまたは複数の精製工程に供され得る。
【0067】
例えば、本願明細書に記載の、免疫アフィニティに基づいた過剰添加法を使用するタンパク質/ポリペプチドを含むGlaドメイン精製は、陰イオンクロマトグラフィーに基づいた方法を使用して、Gla種をさらに分離/精製する第二工程と組み合わされ得る。例えば、このようなある方法は、酢酸アンモニウムを利用して、さらなるタンパク/ポリペプチドGla種(例えば、免疫アフィニティ過剰添加法を使用して完全に分離できなかった種)を分離する方法であり得る。具体例は、最初に免疫アフィニティに基づいた過剰添加法を使用し、二番目に溶出剤(例えば酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムを含む)を組み合わせた、陰イオンクロマトグラフィー法を用いて精製された第IX因子種であり、独立した各方法単独によって得られるGlaプロファイルと比較した場合、高Gla種(Gla#10〜12、Gla#11〜12またはGla#12〜12など)から低Gla種(Gla#1〜12、Gla#2〜12、Gla#3〜12、Gla#4〜12、Gla#5〜12、Gla#6〜12、Gla#7〜12、Gla#8〜12およびGla#9〜12など)がよりさらに分離されている。
【0068】
このような精製は、部分的または全体的に、前記サンプルからの一つまたは複数の混入物質を除去するために用いられ得て、従って第IX因子の純度が増す。混入物質は第IX因子ではない任意の分子であり得る。例えば、混入物質は異なるポリペプチド、核酸またはエンドトキシンであり得る。混入物質は、切断型または伸長型ポリペプチドなどの第IX因子のバリアント、第IX因子の脱アミド形態、間違って折り畳まれたポリペプチドまたは望ましくないグリコシル化を有するポリペプチド形態であり得る。混入物質は免疫アフィニティクロマトグラフィーを阻害し得る分子であり得る。
【0069】
好ましくは、第IX因子は少なくとも純度75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも90%またはそれよりも上である。より好ましくは、第IX因子は少なくとも純度90%であり、少なくとも純度95%、少なくとも97%または99%などである。純度は、第IX因子の総乾燥重量中の割合について意味する。前記の通りサンプルは、第IX因子以外のタンパク質25重量%未満などの混入物質を25重量%未満含み得て、より好ましくは20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満または1重量%未満である。前記サンプルは、純粋または実質的に純粋な第IX因子のサンプルであり得る。前記サンプルは、単離または実質的に単離された第IX因子のサンプルであり得る。
【0070】
このような第IX因子のサンプルは、組み換え技術によって第IX因子を産生した細胞の培地から得られたサンプルまたは第IX因子を発現した溶解細胞から得られたサンプルの形態などの、第IX因子合成から直接的に得られた形態で免疫アフィニティ材に用いられ得る。第IX因子のサンプルは、本願明細書に従って精製あるいは部分的に精製された形態で、免疫アフィニティ材に使用され得る。本願明細書に記載のサンプルは、免疫アフィニティ材への使用の前に更に処方され得る。例えば、第IX因子(または精製された第IX因子)が固体形態で提供される場合、免疫アフィニティ剤への使用のために液体組成物中で処方され得る。例えば、第IX因子(または精製された第IX因子)は水中、バッファーまたはその他の溶媒中で処方され得る。好ましくは、液体組成物は水性である。第IX因子または精製された第IX因子が液体もしくは水性形態で提供される、または、固体第IX因子サンプルが前記の通り液体形態中で処方される場合、サンプルの処方は免疫アフィニティ材に使用される前に調整され得る。
【0071】
例えば、サンプルまたは処方されたサンプル(例えばカルシウムが添加されたサンプル)の電導性および/またはpHは、日常的な方法を使用して調整され得る。サンプルのpHは、免疫アフィニティ材の平衡化および/または免疫アフィニティ材の洗浄のために使用されるバッファーと、同様または実質的に同様に調整され得る。サンプルの電導性は、免疫アフィニティ材の平衡化および/または免疫アフィニティ材の洗浄のために使用されるバッファーと、同様または実質的に同様に調整され得る。前記サンプルは、平衡化バッファーの組成に関して前記で論じた任意のバッファー物質などの、バッファー物質で処方され得る。前記サンプルは、免疫アフィニティ材の平衡化および/または免疫アフィニティ材の洗浄に使用したものと同様のバッファー中で処方され得る。前記サンプルは、免疫アフィニティ材の平衡化および/または免疫アフィニティ材の洗浄に使用されるバッファーと同様のバッファー物質、および/または、同様のバッファー物質濃度、および/または、同様のpH、および/または、同様の電導性で処方され得る。ある実施態様において、第IX因子は、使用される平衡化バッファーと同一の、カルシウムを含むバッファーへ添加することによって、免疫アフィニティ材へ使用するために処方される。
【0072】
その後、第IX因子は、第IX因子を免疫アフィニティ材に過剰添加することができる条件下で、関連のある第IX因子処方を、免疫アフィニティ材を通過させることによって免疫アフィニティカラムに添加される。このような方法は、当業者には日常的なものである。例えば、カラムの許容量は活性第IX因子に基づいて測定され、g/Lで定められた値を割り当てられる。その後、本願明細書の以前に定義の100%よりも大きい、g/Lの許容量を越える値の前記サンプルが添加される。
【0073】
一度第IX因子を免疫アフィニティカラムに添加すると、そのカラムは一回または複数回の洗浄に供される。洗浄は、適切な溶液を、免疫アフィニティ材を通過させることによって達成される。このような洗浄の目的は、免疫アフィニティ材に結合していない任意の第IX因子およびその他の成分を除くこと; 免疫アフィニティ材に弱くしか結合していない任意の第IX因子およびその他の成分を除くこと;第IX因子より弱い親和性で免疫アフィニティ材と結合している不純物を除くこと、を含み得る。
【0074】
ある実施態様において、第IX因子を免疫アフィニティ材に添加した後、任意の結合していない第IX因子、混入物および不純物を除くために、バッファーで免疫アフィニティ材を洗浄する。例えば、洗浄バッファーは、免疫アフィニティ材に添加するために第IX因子が処方されたバッファーと、同一または実質的に同一であり得る。洗浄バッファーは、平衡化バッファーと、同一または実質的に同一であり得る。例えば、洗浄は、平衡化バッファーと同じバッファー、または、第IX因子を処方するために使用するものと同じバッファーを使用して実施され得る。洗浄は、平衡化バッファーまたは第IX因子を処方するために使用するバッファーと、同じもしくは実質的に同じpH、および/または、同じもしくは実質的に同じ電導性のバッファーを使用して実施され得る。洗浄は、平衡化バッファーまたは第IX因子を処方するために使用したものと、同じもしくは実質的に同じ濃度のバッファー物質を含むバッファーを使用して実施され得る。
【0075】
その他の洗浄は、平衡バッファーとは異なるバッファーを使用して代替的または追加的に実施され得る。例えば、第IX因子より弱い強さで免疫アフィニティ材に結合している混入物を、免疫アフィニティ材から除くことが可能であり得る。このような混入物は、第IX因子よりも容易に免疫アフィニティ材から放出され得る。例えば、免疫アフィニティ材は、平衡化バッファーおよび/または第IX因子が添加された処方より大きな電導性またはイオン強度を有するバッファーで洗浄され得る。バッファーのイオン強度が増加することにより、免疫アフィニティ材からの成分の溶出が達成され得る。好ましくは、洗浄バッファーは、免疫アフィニティカラムから溶出される第IX因子が実質的にないような、十分に小さい容積で選択または使用される。
【0076】
洗浄のためのバッファーは、特定のサンプルおよび対象とするポリペプチドの性質によって、当業者によって選択され得る。例えば、バッファーは、対象とするポリペプチドよりも弱い強さでレジンに結合し得る特定のポリペプチドまたは不純物を除くことを可能にする、特定のpHまたは伝導性を有するものが選択され得る。このようなバッファーは選択され得て、単純な日常的実験(例えば、カラムから除かれた溶液の組成をモニターすることによる)によって、その使用が最適化され得る。
【0077】
洗浄バッファーのpHは、精製される特定のポリペプチドによって決定され得る。例えば
、第IX因子などの多くのポリペプチドは、ポリペプチドの自己活性化および/または分解がこれらのpH値で観察されるため、pH9.0またはそれより高いpHが最適ではない。本願発明の使用に適する洗浄バッファーは、例えばpH約5.0から約8.5であり、pH5.0から8.5などで処方され得る。洗浄バッファーのpHは、約5.0より大きい、約5.5より大きい、約6.0より大きい、約6.5より大きい、約7.0より大きい、約7.5より大きい、または、約8.0より大きい可能性がある。洗浄バッファーのpHは、約8.5未満、約8.0未満、約7.5未満、約7.0未満、約6.5未満、約6.0未満、または、約5.5未満であり得る。このような端点の任意の組み合わせは、組み合され得る。例えば、洗浄バッファーのpHは約7.0より大きく約8.5未満であり得る。例えば、pHは7.0、7.5、8.0または8.5であり、7.5などであり得る。
【0078】
前記pH値は、第IX因子、第VII因子または第X因子などの、本願明細書に記載のポリペプチド精製のための免疫アフィニティ材の洗浄に適し得る。
【0079】
洗浄バッファーに適する成分は、例えば、Tris、ホスフェート、MES、Hepesまたはカーボネートなどのバッファー物質を含み得る。このようなバッファー物質は、前記で定義されたpHに洗浄バッファーを維持するために使用され得る。適切なバッファー物質濃度は、例えば、5mMと50mMの間であり、10mMと40mMの間などであり得る。適切なバッファー物質濃度は、例えば5mM、10mM、15mM、20mMまたは25mMであり、20mMなどであり得る。
【0080】
洗浄バッファーは一つまたは複数の追加の成分を含み得る。洗浄バッファーは、タンパク質の可溶性を増大させるために使用される、エチレングリコール、エタノール、尿素または界面活性剤などの添加物を含み得る。Tween80、Tween20またはTriton X100などの非イオン性界面活性剤は、例えば1%未満、0.5%未満、0.1%未満または0.01%未満の濃度で使用され得る。NaClなどの非緩衝塩は、バッファーのイオン強度の調整するために使用され得る。
【0081】
ある実施態様において、洗浄バッファーは追加的に、塩化カルシウムなどのカルシウムイオン、または、類似の二価イオン(例えば、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、ベリリウムイオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンおよび銅イオン)を含む。ある実施態様において、カルシウムイオンは1 mMより高い濃度(すなわち、2 mM塩化カルシウムなどの1 mMより高い濃度の塩化カルシウム、特に1.5 mM塩化カルシウム)で存在する。本願明細書において実施例2のデータで示された通り、これらのデータは、#1-11〜#1-12種と比較して、#1-8〜#1-9種は協同性が大きく低下しカルシウム依存性が増大したことを示している。これらのデータは、過剰添加がより良いGlaプロファイルを生むという過剰添加原理と組み合わされ得る。
【0082】
免疫アフィニティ材から分子を溶出することは、前記分子を免疫アフィニティ材から除くことを意味する。これは一般的に、バッファー添加物の添加および/もしくは除去、電導性、pHおよび/または温度を変化させることにより、アフィニティ材のリガンドと結合した標的分子の相互作用を阻害することにより達成される。従って、アフィニティ材への分子の結合強度は低下し、分離する。免疫アフィニティ材からの溶出はまた、いくつかの場合において、標的タンパク質(例えば第IX因子)の立体構造を変化させ、従って結合強度を低下させ、標的分子の免疫アフィニティ材からの放出を引き起こす分子を使用することによっても達成され得る。この添加剤はキレート剤、例えば、カルシウムイオンに強く結合し第IX因子からのカルシウムイオンの解離を引き起こす、EDTA、EGTAまたはシトレートであり得る。結果的に、第IX因子のGLAドメインは折りたたまれず、結合が折りたたまれたGLAドメインを特異的に必要とする場合(例えば、抗体リガンド3F14A3B6)、結果として第IX因子へのリガンド結合は遮断される。
【0083】
溶出バッファーのpHは、精製される特定のポリペプチドによって、決定され得る。例えば、ポリペプチドの自己活性化および/または分解がこれらのpH値で観察され得るため、第IX因子などの多くのポリペプチドは、9.0またはそれより高いpHが最適ではない。
【0084】
本願発明における使用に適する溶出バッファーは、例えばpH約5.0から約8.0であり、pH5.0からpH8.5などにおいて処方され得る。溶出バッファーのpHは、約5.0より高く、約5.5より高く、約6.0より高く、約6.5より高く、約7.0より高く、約7.5より高く、または、約8.0より高い可能性がある。溶出バッファーのpHは、約8.5未満、約8.0未満、約7.5未満、約7.0未満、約6.5未満、約6.0未満、または、約5.5未満であり得る。このような端点の任意の組み合わせが、組み合され得る。例えば、溶出バッファーのpHは、約7.0より高く、約8.5未満であり得る。例えば前記pHは、約7.0、7.5、8.0または8.5であり、7.5などであり得る。
【0085】
これらのpH値は、本願明細書に記載のポリペプチド(例えば第IX因子、第VII因子または第X因子)精製のための免疫アフィニティ材の溶出に適し得る。
【0086】
溶出バッファーに適する成分は、バッファー物質、例えば、Tris、ホスフェート、MES、Hepesまたはカーボネートを含み得る。免疫クロマトグラフィー法については、Trisなどの陽緩衝イオンが好ましい。このようなバッファー物質は、溶出バッファーを前記で定義されたpHで維持するために使用され得る。適切なバッファー物質濃度は、例えば、5 mMおよび 50 mMの間であり、10 mMと40 mMの間などであり得る。適切なバッファー物質濃度は、例えば5m M、10 mM、15 mM、20 mMまたは25 mMであり、20 mMなどであり得る。
【0087】
溶出バッファーは、一つまたは複数の追加の成分を含み得る。溶出バッファーは、タンパク質の可溶性を増大させるために使用される、エチレングリコール、エタノール、尿素または界面活性剤などの添加物を含み得る。Tween80、Tween20またはTriton X100などの非イオン性界面活性剤は、例えば1%未満、0.5%未満、0.1%未満または0.01%未満の濃度で使用され得る。NaClなどの非緩衝塩はバッファーのイオン強度を調整するために使用され得る。前記の通り、添加物はまた、カルシウムに結合して第IX因子から放出させ、結果的に第IX因子のGLAドメインをほどけさせるキレート剤、例えば、EDTA、EGTAまたはシトレートであり得る。好ましくは、キレート剤の濃度は、溶出前に免疫アフィニティ材中または上に存在する水性溶液(例えば、溶出バッファー、洗浄バッファーまたは細胞上清)中のカルシウムの濃度と等しいまたはそれより高いべきである。もしキレート剤が複数のカルシウム結合部位を有する場合、キレート剤の濃度は、絶対濃度よりもむしろ化学量論濃度を反映すべきである。
【0088】
本願明細書に従った使用のため、溶出バッファーは、好ましくは一つまたは複数の、EDTA、EGTAまたはシトレートなどの追加の塩を含み得る。ある実施態様において、一つまたは複数の塩は10 mMと100 mMの間の濃度であり、少なくとも10 mM、少なくとも20 mM、少なくとも25 mM、少なくとも30 mM、少なくとも40 mMまたは少なくとも50 mMなどで、溶出バッファー中に存在し得る。
【0089】
ある実施態様において、溶出バッファーは追加的に一つまたは複数の塩を含み、カルシウムまたはその他の二価イオンを含まない点以外で、溶出バッファーは、洗浄バッファーおよび/または平衡化バッファーと同じ組成である。好ましい塩はEDTAである。従って、溶出バッファーは、洗浄バッファーまたは平衡化バッファーについて本願明細書に記載された任意の組成を有し得るが、追加的にEDTAを含み得て、カルシウムまたはその他の二価イオンを含み得ない。
【0090】
ある実施態様において、平衡化バッファーおよび洗浄バッファーは同一であり、溶出バッファーは、溶出バッファーがEDTAも含み、カルシウムまたはその他の二価イオンを含まないという点においてのみ、それらと異なる。
【0091】
溶出は、キレート剤の均一濃度または直線勾配、EDTAの均一濃度または直線勾配などを利用して実施され得る。好ましくは、溶出はEDTAの均一濃度勾配を使用して実施され得る。溶出は、バッファー中のEDTA濃度の段階的な変化を利用して実施され得る。溶出は、これら溶出アプローチの任意の組み合わせによって達成され得る。例えば、あるEDTA濃度での均一濃度溶出に続いて、勾配またはひとつもしくは複数の工程のいずれかの形態で、EDTA濃度が増加し得る。
【0092】
このような任意の溶出方法において、異なる成分が、それらの結合の強さによって、異なる時間で免疫アフィニティ材より溶出し得る。より弱く結合する成分は、より早くまたはより低いEDTA濃度で放出される傾向にあり得る。より強く結合する成分は、免疫アフィニティ材により長くまたはより高いEDTA濃度で保持される傾向にあり得る。免疫アフィニティ材を通過した溶出液は、いつ特定の成分が溶出されるのか同定するためにモニターされ得る。前記溶出液は異なる時点で溜められ得て、各プールはどの成分がどのプールに存在するか決定するために分析され得る。その後、望ましい処方を有する特定のプール(例えば、特定の第IX因子種の濃度が増加、または、その他の第IX因子種の濃度が低下している)が選択され得る。
【0093】
本願明細書に記載の均一濃度溶出は、固定または一定濃度のキレート剤を使用する。前記濃度、前記の任意の濃度などのキレート剤濃度を含む溶出バッファーが使用される。溶出バッファーは免疫アフィニティ材を通過し、溶出液はいつ溶出が起こるか同定するためにモニターされる。より少量の溶出バッファーを使用する時、均一濃度溶出を使用すると、免疫アフィニティ材に対してより低い結合親和性を有する成分は、免疫アフィニティ剤を通過する溶出バッファーをより多量に必要とし得る、より高い結合親和性を有する成分よりも早く放出され得る。異なる時点で得られた溶出液の特定のプールまたはバッチを選択することにより、第IX因子種の異なる組成を有するサンプルが得られ得る。
【0094】
勾配溶出は、バッファー中のキレート剤例えばEDTAの濃度を、前記の濃度などの最大終濃度まで増大させることにより達成され得る。例えば、直線勾配は、キレート剤、例えばEDTAなどを終濃度0%から100%まで使用し得る。この勾配は、10、20、30、40、50、70、100、150より大きい、またはそれより大きいカラム容量などで、長時間にわたって免疫アフィニティ剤に使用され得る。このような勾配溶出を使用して、免疫アフィニティ材に対してより低い結合親和性を有する成分は、溶出が起こるためにはキレート剤をより高濃度で必要とし得る、より高い結合親和性を有する成分よりも、より低いキレート剤(例えばEDTA)濃度で、早く放出され得る。異なる時点で得られた溶出液の特定のプールまたはバッチを選択することにより、第IX因子種の異なる組成を有するサンプルが得られ得る。
【0095】
塩濃度を増加させるために段階的勾配を使用するよりも寧ろ、段階的増加が使用され得る。すなわち、EDTA濃度は、ひとつまたは複数の個別の工程で最大終濃度まで増大され得る。これは、異なる成分が異なる濃度、従って異なる工程で放出される勾配溶出の効果を正確に映し出すために使用され得る。段階的溶出は、代替的に均一濃度溶出を組み合わせて使用され得る。例えば、塩濃度の段階的な増加は、使用されるバッファーの量が増加するに連れて異なる成分が溶出され、その濃度での均一濃度溶出が起こり得るような、多くのカラム容積分の溶出バッファーに対して維持され得る。塩濃度でのその後の追加的な工程も使用し得る。
【実施例】
【0096】
<実施例1>
<Glaに対する抗体3F14A3B6に対する、第IX因子の異なるガンマカルボキシル化種のカルシウム依存性の調査>
抗体3F14A3B6に対する、各第IX因子Gla種#1-8 - #1-12のカルシウム依存性を調査し、その結果を図2および以下の表に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
これらのデータは、#1-11〜#1-12種と比較して、#1-8〜#1-9種が協同性の大きな現象およびカルシウム依存性の増大を示すことを意味している。第IX因子#1-10種は、中間のカルシウム依存性を示す。 これらのデータは、過剰添加がより良いGlaプロファイルを生むという過剰添加原理と組み合され得る。
【0099】
<実施例2>
<Glaに対する抗体3F14A3B6およびカラム過剰添加で免疫アフィニティクロマトグラフィーに供される際の、第IX因子の異なるガンマカルボキシル化種の精製および分析>
<処理>
培養上清に350mM塩化ナトリウムおよび1.5mM塩化カルシウムを添加する。不溶性リン酸カルシウムの形成を避けるため、塩化ナトリウムは塩化カルシウムの前に添加する。採取物が溶解する場合、カラム添加前に45マイクロメートル径で濾過する。
【0100】
<ゲル>
2.5mg 3F14A3B6/mlレジン(GE Healthcare)と連結したCNBrセファロース4FF。
【0101】
<カラム処理>
カラムは、適切な水性溶媒例えば平衡化バッファーで満たされている。保存後、平衡化を始める前に洗浄IIを実施する。
【0102】
パラメーター
静止層高: ≧5 cm
温度: 2-10℃
流量: 15 (12-18 CV/h)
最大圧力: ≦ 0.1 MPa (≦ 1 bar)
容量: 0.3 g/L measured as active FIX
添加: 0.36 (120% of capacity) g/L 活性第IX因子として測定した
【0103】
バッファー
A1: 20 mM Tris, 1.5 mM CaCl2, pH 7.5
A2: 20 mM Tris, 1.5 mM CaCl2, 0.5% triton x-100, pH 7.5
A3: 20 mM Tris, 2 M NaCl, 1.5 mM CaCl2, pH 7.5
A4: 20 mM Tris, 20 mM EDTA, 50 mM NaCl, pH 7.5
A5 20 mM Tris, pH 9.0, 4.0 M NaCl, 0.01%(v/v) Triton-X 100
A6: 20 mM NaCitrate, pH 5.5, 4.0 M NaCl, 0.01% (v/v) Triton-X 100
【0104】
Tris含有溶媒は、4MHClでpHを調整している。
【0105】
<カラム操作>
平衡化: 5 CV 82.5% A1 + 17.5% A3 (c.t. 20 mM Tris, 350 mM NaCl, 1.5 mM CaCl2, pH 7.5)
添加: 記載の通り容量の120%
洗浄1: 3 CV 82.5% A1 + 17.5% A3 (c.t. 20 mM Tris, 350 mM NaCl, 1.5 mM CaCl2, pH 7.5)
洗浄2: 3 CV A3
洗浄3: 2 CV A2 (流量 2 CV/h〜接触時間1時間)
洗浄4: 2 CV 97.5% A1 + 2.5% A3 (c.t. 20 mM Tris, 50 mM NaCl, 1.5 mM CaCl2, pH 7.5)
溶出: 10 CV A4 (均一濃度)
再生1: 5 CV A5
再生2: 5 CV A6
保存: A7 (24時間以内の保存の場合A1を使用し得る。A7は、平衡化に先立ちA3で洗い流される。)
【0106】
<産物収集>
収集開始: A280 ≧0.05
収集停止: A280 ≧0.25 or after 2 CV
【0107】
<実施例>
カラム過剰添加のいくつかの実施例を本願明細書の以下に示す。本段落に記述する最良の形態の手順を、1.5mMCaCl2よりも寧ろ2mM CaCl2を処理に使用した点を除いて、全体にわたって使用した。
【0108】
IEX-HPLC法は、Agilent HPLC systemを実施してGla含有量を分析するために(方法を、本願明細書の以下に簡潔に示す)、使用された。HPLC法に基づくGla含有量分析は、N末端シークエンシングおよび塩基性加水分解に基づくGla含有量決定に関連する。
【0109】
流量0.8ml/分の、 MiniQ PC3.2/3 カラム(GE Healthcare cat. no 17-0686-01)を使用した。
【0110】
この系で使用したバッファーは:
A-バッファー: 20 mM Tris, pH 9.0
B-バッファー: 20 mM Tris, pH 9.0、 1.5 M 酢酸アンモニウム
である。
【0111】
以下のシグナルを測定した。
UV280
蛍光シグナル、例えば、ex: 280nm / em: 340nm
【0112】
HPLC手順は以下の通りであった:
0〜5分 0〜30% B
5〜55分 30〜55% B
55〜65分 55〜100% B
【0113】
122%のカラム過剰添加(IEX-HPLC analyses)で得られたGlaプロファイルと、容量未満の添加で得られたGlaプロファイルと比較した場合(IEX-HPLC analyses)を、各々図3Aおよび図Bに示し得る。過剰添加と容量未満添加でのGla配分の比較を以下の表に示し得る:
【0114】
【表2】

【0115】
従って、前記の122%カラム過剰添加を使用した精製は、元の第IX因子サンプルから、検出可能な#1-8-Glaはすべて除かれる結果となった。それらはまた、#1-9-および#1-10-Gla存在量の減少と、#1-11- and #1-12-Gla割合の増加という結果であった(すなわち、容量未満添加では#1-11-および#1-12-Glaの活性型形態が79.1%であったことと比較した際、過剰添加では90.6%が得られた)。
【0116】
170%のカラム過剰添加(IEX-HPLC analyses)で得られたGlaプロファイルと、容量未満の添加で得られたGlaプロファイルと比較した場合(IEX-HPLC analyses)を、各々図3Cおよび図3Dに示し得る。過剰添加と容量未満添加でのGla配分の比較を以下の表に示し得る:
【0117】
【表3】

【0118】
従って、前記の170%カラム過剰添加を使用した精製は、元の第IX因子サンプルから、検出可能な#1-8-Glaはすべて除かれる結果となった。それらはまた、#1-9-および#1-10-Gla存在量の減少と、#1-11- and #1-12-Gla割合の増加という結果であった(すなわち、容量未満添加では#1-11-および#1-12-Glaの活性型形態が68.8%であったことと比較した際、過剰添加では91.2%が得られた)。
【0119】
334%のカラム過剰添加(IEX-HPLC analyses)で得られたGlaプロファイルと、容量未満の添加で得られたGlaプロファイルと比較した場合(IEX-HPLC analyses)を、各々図3Eおよび図3F示し得る。過剰添加と容量未満添加でのGla配分の比較を以下の表に示し得る:
【0120】
【表4】

【0121】
従って、前記の334%カラム過剰添加を使用した精製は、元の第IX因子サンプルから、検出可能な#1-8-Glaはすべて除かれる結果となった。それらはまた、#1-9-および#1-10-Gla存在量の減少と、#1-11- and #1-12-Gla割合の増加という結果であった(すなわち、容量未満添加では#1-11-および#1-12-Glaの活性型形態が73.7%であったことと比較した際、過剰添加では90.0%が得られた)。
【0122】
刊行物、特許出願および特許を含む、本願明細書に引用される全ての参照は、参照によってその全体を、本願明細書に組み込まれる。本願明細書の他の箇所に別個に組み込まれたいかなる文書にも関わらず、各参照は、個々におよび具体的に参照によって組み込まれることが示され、本願明細書全体の機能を果たす(法で許容される限りにおいて)。
【0123】
本願発明を記述する文章中での「a」および「an」および「the」ならびに類似の指示対照の用語の使用は、本願明細書中で示されない限り、または、文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形を包含して解釈される。例えば、「混合物」という言葉は、特に支持されない限り、本願発明または特定の記述された態様における様々な「混合物群」に関すると理解される。
【0124】
特に支持されない限り、本願明細書で提供されるすべての厳密値は近似値に対応する代表である(例えば、特定の要素または測定に関して提供されるすべての厳密な代表値はまた、「約」によって適切に修飾される、対応する近似の測定も考慮され得る)。
【0125】
本願明細書の任意の態様または本願発明の態様で使用する、要素または要素群に関する「含む」、「有する」または「含む」などの用語は、述べられる、または、文脈によって明らかに矛盾しない限り、特定の要素または要素群「から成る」、「から必須に成る」または「を実質的に含む」という、類似の態様または本願発明の態様への支持を提供することを意図している(例えば、特定の要素を含む本願明細書に記載の組成物は、述べられる、または、文脈によって明らかに矛盾しない限り、前記要素から成る組成物とも説明できると、理解されるべきである。)。
【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図3F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるガンマカルボキシグルタミン酸含量を有するタンパク質/ポリペプチドの組成物を、望ましいガンマカルボキシグルタミン酸含量へと、異なるガンマカルボキシグルタミン酸含量を有する前記タンパク質/ポリペプチドの混合物を含むサンプルから精製する方法であって:
(a) 前記タンパク質/ポリペプチドサンプルを、ガンマカルボキシグルタミン酸に対する結合部分と連結している免疫アフィニティクロマトグラフィー材に添加する工程;
(b)前記タンパク質/ポリペプチドを溶出する工程;および
(c)画分中のタンパク質/ポリペプチドが望ましい量のガンマカルボキシグルタミン酸を有している、前記溶出で得られた画分を選択する工程;
を含んでおり、前記サンプル中のタンパク質/ポリペプチドの総濃度が免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を超えるという特徴を有する、方法。
【請求項2】
タンパク質/ポリペプチドは第IX因子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を、100、105、110、115、120、125、130、140、150、200、250、500、750または1000%の任意の一つを超え、特に120%を超え、もしくは、150%を超え、または、250%を超える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
免疫アフィニティクロマトグラフィー材の結合能を100〜400%の間で、例えば100〜200%の間で、特に100〜150%の間で超える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
精製されるサンプル中の第IX因子#1-11-Glaおよび/または#1-12-Gla形態の割合と比較して、第IX因子#1-11-Glaおよび/または#1-12-Gla形態の割合が増加している前記溶出物より得られた画分を選択することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
精製されるサンプルの第IX因子#1-10-Gla形態の割合と比較して、第IX因子#1-10-Gla形態の割合が減少している前記溶出物より得られた画分を選択することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶出バッファーおよび/または平衡化バッファーがpH5.0から8.5の間、例えばpH7.5を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
塩化ナトリウムが、溶出バッファー中に10 mMから50 mMの間、例えば50 mMの濃度で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Glaに対する結合部分がGlaに対する抗体を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗体が、カルシウム、マグネシウムもしくはその他の二価イオン存在下で、Glaドメインの折り畳みを感知でき、および/または、抗体が、特異的なGla残基を含むエピトープを認識する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Glaに対する抗体が3F14A3B6(配列番号1および2)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
免疫アフィニティ材が、セファロースビーズ、例えば活性化前セファロースビーズ、特にCNBr-セファロース 4 FFを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
平衡化バッファーおよび洗浄バッファーが、追加的にカルシウムイオン、例えば塩化カルシウムを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
カルシウムイオンが0.5 mMよりも高い濃度で存在し(例えば、3.0、5.0、8.0または10.0 mM塩化カルシウムなどの0.5、1.0、1.5または2.0mMよりも高い塩化カルシウムであり、特に2または5 mM塩化カルシウム)、または、カルシウムイオンが0.5〜10mM、1〜8mM、1〜5 mMおよび2〜5 mMの範囲で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
免疫アフィニティに基づく過剰添加法が、陰イオンクロマトグラフィーに基づいた方法を使用してGla種をさらに分離/精製する二番目の工程と、組み合され得る、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。



【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517259(P2013−517259A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548460(P2012−548460)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050594
【国際公開番号】WO2011/086197
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511031755)ノヴォ・ノルディスク・ヘルス・ケア・アーゲー (11)
【Fターム(参考)】