説明

血液尿素窒素(BUN)センサ

向上した性能および精度特性を有する、血液および生物学的サンプルにおいて尿素窒素をイン・ビトロ検出するための固定化炭酸脱水酵素および固定化尿素を含むBUN(血液尿素窒素)センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
事故現場、救急室、手術、集中治療室、およびまた非医療環境における使用を含めて、ポイントオブケア臨床診断分野において使用することができる液体サンプルにおける尿素を迅速にその場で決定する装置および方法。
【背景技術】
【0002】
本発明は、たとえば実験室自動分析装置において、および分析物の多様な実時間またはほぼ実時間の検定を実施するように適合された好ましくは単一使用廃棄可能カートリッジにおいて、液体サンプルにおける尿素の存在または濃度を決定するために使用される装置およびその方法に関する。
【0003】
特定の実施形態において、本発明は、血液、血液化合物、および尿などの生物学的サンプルにおける尿素の決定に関する。
【0004】
微細製作技法(たとえば、フォトリソグラフィおよびプラズマ付着)が、制約された空間において多層センサ構造を構築するのに魅力的である。たとえばシリコン基板の上にBUN(血液尿素窒素)センサを微細製作する方法が、参照によって本明細書に完全に組み込まれているCozzetteらへの米国特許第5200051号において開示されている。センサは、アンモニウム・イオノフォア・ノナクチンを含む可塑化ポリ塩化ビニル層が上にわたってある銀/塩化銀電極を有するシリコン・チップを備える。この層の上にわたって、ウレアーゼを含む膜形成ラテックス材料の層がある。代替アンモニウム・イオノフォアは、グラミシジンD(NikolelisおよびSiontorou;Ammonium ion miinisensors form self−assembled bilayer、Anal.Chem.68、1735、1996)および2環式ペプチド(Nowak;Design、synthesis and evaluation of bicyclic peptides as ammonium ionophores;Thesis、Worcester Polytechnic Institute、2003)を含む。
【0005】
Cozzetteらのデバイスは、標準的な電位差方式において動作し、この場合、酵素ウレアーゼは、サンプルからの尿素をアンモニウム・イオンに変換し、これらのイオンは、電極を覆うアンモニウム選択性メンブレンによって検出される。電極における電位は、アンモニウム濃度、したがってバルク尿素濃度の対数関数である。尿素を含む既知の標準値によってセンサを較正することによって、サンプルの尿素濃度を推定することができる。
【0006】
酵素炭酸脱水酵素(CA)は、二酸化炭素(pCO)センサにおいて使用され、これは、CO/HCO水溶液均衡を加速するために電極属に追加された。このCAの使用は周知であり、尿素の感知には無関係である。Lindskog、S.、Henderson,L.、Kannan,K.、Liljas,A.、Nyman,P.、およびStrandberg,B.:Carbonic Anhydrase、The Enzymes 5、587、1971を参照されたい。
【0007】
Botre,C.およびBotre,F.(「Carbonic Anhydrase and Urease:An Investigation In Vitro on the Possibility of Synergic Action,」)Biochimica et Biophysica Acta,997、111−4、(1989)は、尿素のイン・ビボ・レベルとCA酵素活性の生成との間に生理学的連関が存在するための支持を含む。Botreは、アンモニア気体感知電極、二酸化炭素気体感知電極、およびpHセンサを、ウレアーゼ、またはウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を含む水溶液に配置することを教示する。また、尿素およびCA阻害剤(アセタゾルアミド)を水溶液に追加することも教示する。これらの実験は、炭酸脱水酵素の存在がウレアーゼによる尿素の加水分解率に影響を与える(増大させる)ことがあるという法則である質量作用の法則に基づく予測と一貫するが、その理由は、CAが、二酸化炭素を気相に移動させることによって、二酸化炭素をシステムから有効に除去するからである。
【0008】
具体的には、ウレアーゼ反応によって形成された重炭酸塩は、CAによって二酸化炭素に変換され、これは、次いで、液相から出て空中に拡散する。このプロセスは、アンモニウム・イオンと重炭酸塩が尿素に変換される戻り反応を低減する効果を有する。したがって、このシステムにおいてCAが存在する正味の効果は、アンモニウム・イオン生成率を増大させることである。
【0009】
質量作用の法則に関して、一般にA=B+Cである可逆酵素反応分野では、Bの方向において可逆反応を駆動するために、Cと反応する試薬Dを追加することが周知である(A.W.Adamson、A Textbook of Physical Chemistry、Academic Press(ニュー・ヨーク)1973、第7章)。本発明は、ウレアーゼ(UR)の反応性に影響を与えるために炭酸脱水酵素を使用することも追及するが、Botreは、少なくとも以下の理由で本発明を示唆していない。
【0010】
Botreは、サンプルにおける尿素の濃度の分析決定に言及せず、かつ血液サンプルなどの臨床対象の生物学的サンプルにおける尿素の分析決定に言及しない。Botreは、URおよびCAの固定化、ならびに固定化酵素を有する電位差電極にも言及しない。
【0011】
Botreは、尿素を含むあらゆる分析物を決定するための電位差電極の微細製作、ならびに、参照によって本明細書に完全に組み込まれている米国特許第5096669号のカートリッジおよび尿素が電位差により測定される他の分析システムにおいてのように、二酸化炭素を溶液から大気空間に放出するのを可能にしないシステムにおける酵素URおよびCAの使用に言及しない。
【0012】
電位差測定および電流滴定測定などの異なる電気化学測定の概念が、電気化学分野において周知であり、たとえば、両方とも参照によって本明細書に組み込まれているCozzette、米国特許第5112455号およびCozzette、米国特許第5063081号を参照されたい。
【0013】
米国特許第5081063号は、電気化学センサの選択透過性層の使用および生理活性分子を固定化するための膜形成ラテックスの使用を開示し、参照によって本明細書に組み込まれている。センサの製造におけるポリ(ビニルアルコール)(PVA)の使用は、参照によって組み込まれている米国特許第6030827号に記載されている。米国特許第6030827号および第6379883号は、ポリ(ビニルアルコール)層をパターニングする方法を教示し、参照によって完全に組み込まれている。
【0014】
図14に示されるように、通常の市販ウレアーゼ準備のゲル電気泳動は、BUNセンサが炭酸脱水酵素を有意な不純物として含んでいないことを示唆する。
【特許文献1】米国特許第5200051号
【非特許文献1】NikolelisおよびSiontorou;Ammonium ion miinisensors form self−assembled bilayer、Anal.Chem.68、1735、1996
【非特許文献2】Nowak;Design、synthesis and evaluation of bicyclic peptides as ammonium ionophores;Thesis、Worcester Polytechnic Institute、2003
【非特許文献3】Lindskog、S.、Henderson,L.、Kannan,K.、Liljas,A.、Nyman,P.、およびStrandberg,B.:Carbonic Anhydrase、The Enzymes 5、587、1971
【非特許文献4】「Carbonic Anhydrase and Urease:An Investigation In Vitro on the Possibility of Synergic Action,」)Biochimica et Biophysica Acta,997、111−4、(1989)
【非特許文献5】A.W.Adamson、A Textbook of Physical Chemistry、Academic Press(ニュー・ヨーク)1973、第7章
【特許文献2】米国特許第5096669号
【特許文献3】米国特許第5112455号
【特許文献4】米国特許第5063081号
【特許文献5】米国特許第5081063号
【特許文献6】米国特許第6030827号
【特許文献7】米国特許第6379883号
【特許文献8】米国特許第5821399号
【非特許文献6】Steinschaden、(1997)Sensors and Actuators B44、365〜369
【非特許文献7】H.Suzuki(2001)Biosensors and Bioelectronics 16、725−733
【非特許文献8】A.J.Taylor(1992)、Ann.Clin.Biochem.29、245〜264
【非特許文献9】D.M.Jenkins(1999)J.Dairy Sci.82、1999〜2004
【非特許文献10】D.Freifelder、Physical Biochemistry:Applications to Biochemistry and Molecular Biology、第2版、W.H.Freeman(サン・フランシスコ)1982、第4章
【特許文献9】米国特許第5554339号
【非特許文献11】Cesareo,S.およびLangton,S.:Kinetic Properties of Helicobacter Pylori Ureases Compared with Jack Bean Urease、FEMS Microbiol Lett 99、15、1992
【非特許文献12】J.E.SherwinおよびB.B.Bruegger、Clinical Chemistry:Theory,Analysis and Correlation、ed.L.A.KaplanおよびA.J.Pesce、C.V.Mosby(セント・ルイス)、1989、第21章
【特許文献10】米国特許第4933048号
【特許文献11】米国特許第4710825号
【非特許文献13】Vanderhoff,J.W.、J.Poly.Sci.Polymer Symposium1985、72、161〜198ページ
【非特許文献14】Wilbur,K.M.およびN.G.Anderson、1948、Journal of Biological Chemistry、176:147〜154
【非特許文献15】Wall&Laidler、1953、The Molecular Kinetics of the Urea−Urease System.IV.The Reaction in an Inert Buffer,Archives of Biochemistry and Biophysics,vol43:307〜311
【非特許文献16】Cesareo&Langton、1992、Kinetic Properties of Helicobacter pylori urease compared with jack bean urease、FEMS Microbiology Letters、vol99:15〜22
【非特許文献17】G.Fasman&C.Niemann、1951、A reinvestigation of the kinetics of the Urease−Catalyzed hydrolysis of Urea.I.The activity of urease in the presence of Sodium and Potassium Phosphate、Journal of the American Chemical Society、vol73:1646〜1650
【特許文献12】米国特許第4713165号
【特許文献13】米国特許第5858186号
【特許文献14】米国特許第6673565号
【特許文献15】米国特許第4927516号
【非特許文献18】Amman,D.、Ion−Selective Microelectrodes、Springer、Berlin(1986)、68ページおよびそこで引用されている参考文献
【非特許文献19】Vanderhoff,J.W.、J.Poly.Sci.Polymer Symposium 1985、72、161〜198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の1つの目的は、(a)尿素を含むと思われるサンプルが中に至ることが可能であるセンサであって、前記センサの少なくとも一部の上に固定化されたウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を含むセンサ、および(b)センサからの信号を処理するための検出器システムを備える、サンプルにおいて尿素を検出するデバイスを提供することである。
【0016】
他の目的は、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を含めて、水浸透性基質を備えるセンサ膜を提供することである。
【0017】
他の目的は、第1の層でコーティングされた電極を備え、前記第1の層が、可塑化ポリ塩化ビニルおよびノナクチン、ならびに前記第1の層の上において固定化されたウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を備える、サンプルにおいて尿素を検出するデバイスを提供することである。
【0018】
他の目的は、可塑化ポリ塩化ビニルおよびノナクチンを備える第1の層、および水浸透性基質を備え、かつウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を含み、前記第1の層の少なくとも一部の上にわたって配置され、かつそれと接触する第2の層でコーティングされた電極を備える、サンプルにおいて尿素を検出するためのデバイスを提供することである。
【0019】
他の目的は、(a)パターニングされた微細電極表面を有するほぼ平面の基板、(b)可塑化ポリマーおよびノナクチンを備える前記基板の少なくとも一部の上にわたる第1の層、および(c)前記第1の層の少なくとも一部の上にわたる第2の層を備え、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を含む水浸透性基質を備える、サンプルにおいて尿素を検出するための微細製作感知デバイスを提供することである。
【0020】
他の目的は、酵素ウレアーゼが固定化される層を有する尿素を検出するための改良イオン選択性センサを提供することであり、改良は、前記層において少なくとも1つの他の酵素炭酸脱水酵素を固定化することを備える。
【0021】
他の目的は、尿素を含むと思われるサンプルを、少なくとも1つの層および前記少なくとも1つの層において固定化された少なくとも2つの酵素ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を有するセンサと接触させることと、アンモニウム・イオン・センサ、pHセンサ、二酸化炭素センサ、および重炭酸塩センサからなる群から選択されたセンサで、前記少なくとも1つの層に近接する化学部分を検出することとを備える、サンプルにおける尿素を検定する方法を提供することである。
【0022】
他の目的は、尿素センサの感度を向上させる方法を提供することであり、センサは検出器、および酵素ウレアーゼが固定化される少なくとも1つの層を備え、方法は、前記少なくとも1つの層において第2の酵素炭酸脱水酵素の有効量を固定化させることを備える。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明により、分析物センサのアレイを有するカートリッジ、ならびにサンプルおよび流体(修正されたまたはされていない)を分析物アレイに連続的に示す手段を使用して、尿素を迅速にその場で決定することが可能になる。カートリッジは、1992年3月17日に発行されたLauksらへの米国特許第5096669号、および1998年10月13日に発行されたZelinへの米国特許第5821399号において開示されているものなど、読取りデバイスと共に好ましくは動作するように設計され、これらは両方ともそれぞれ全体として参照によって本明細書に組み込まれている。
【0024】
本発明は、Lauksら、米国特許第5096669号において開示されているカートリッジおよび分析装置など、主に−i−STATシステムへの応用について議論される。しかし、当業者なら、本発明は、たとえば、他の単一使用廃棄可能センサ・フォーマット、限定複数使用センサ・カートリッジ・フォーマット、および故障して交換されるまで使用および較正される、または酵素試薬を含むメンブレン構成要素が交換されるセンサを有する分析装置においてなど、より広範に使用することができることを理解するであろう。これらの検定フォーマットは、電気化学感知分野において周知の商用代替物である。
【0025】
−i−STATシステムにおいて、BUNセンサは、いくつかの他のセンサと共に、まず較正流体に接触し、次いで血液サンプルに接触する。較正物の役割は、センサのそれぞれについて既知の濃度の普遍的標準として作用する単一溶液を提供することである。当業者なら、その組成を選択することは、たとえば緩衝剤の塩選択、緩衝剤の濃度、pH、イオン強度、試薬の安定性などについて、個々のセンサの競合する必要性について折合いをつけることが必要であることを理解するであろう。
【0026】
BUN検定は、患者の健康を評価する医師にとって有用である。これは、腎臓によってクリアされるたんぱく質代謝の浪費産物である血液における尿素窒素のレベルを測定する。したがって、これは、腎機能を評価する。通常のBUN値は、8〜20mg/100mlである。高窒素血症として既知の条件、すなわちBUNレベルの増大は、腎機能の損傷、うっ血性心不全、脱水、ショック、胃腸管内への出血、応力、急性心筋梗塞、または過剰たんぱく質摂取を表すことができる。代替として、BUN値の減少は、肝臓障害、栄養失調、たん白同化ステロイド使用、妊娠、およびシリアック病を示すことが可能である。
【0027】
全血における尿素、NHC(O)NHは、2ステップ・プロセスにおいて−i−STAT BUNセンサによって検出される。まず、尿素は、十分には理解されていない複雑な機構を介して、酵素により産物NHおよびHCOに変換される。尿素のいくつかの異なる酵素分解の表記が、文献において見られる(Steinschaden、(1997)Sensors and Actuators B44、365〜369;H.Suzuki(2001)Biosensors and Bioelectronics 16、725−733;A.J.Taylor(1992)、Ann.Clin.Biochem.29、245〜264;D.M.Jenkins(1999)J.Dairy Sci.82、1999〜2004)。反応の2つの通常の表記は、以下において与えられる。
(NHCO+HO⇔2NH+CO (1)
(NHCO+3HO⇔2NH+HCO+OH (2)
【0028】
尿素検出の第2のステップは、NHイオン選択性電極(ISE)によるアンモニア・イオン活性の電位差決定である。これはNHの活性をその濃度であると近似するのに許容可能である。これは、電気化学の分野では周知である(D.Freifelder、Physical Biochemistry:Applications to Biochemistry and Molecular Biology、第2版、W.H.Freeman(サン・フランシスコ)1982、第4章)。BUNセンサの応答、すなわちNHの濃度変化による電位の変化は、血液における尿素の既知のレベルにおいて較正される。したがって、−i−STATセンサ応答曲線のプロット、時間の関数としてのmVは、センサ・メンブレン内のアンモニウム・イオンの濃度を表し、これは、血液における尿素濃度の間接的な推定を提供する。
【0029】
ウレアーゼ酵素反応は、H、CO、およびHCOについてセンサによって検出することもできるが、その理由は、これらは、反応において生成または消費されるからである。アンモニウム・イオンの検出が好ましいが、その理由は、血液におけるアンモニウム背景レベルが比較的低い間、血液は、一般に差分測定を必要とする(すなわち、酵素コーティング・センサと隣接ベア・センサとの差を考慮する)H、CO、およびHCOの有意な背景を有するからである。ウレアーゼ反応中のイオン生成も、サンプルの導電性を増大させ、これは、導電性センサで検出することができる。再び、サンプルは高い背景導電性を有するので、これは、好ましい検出方法ではない。pH、CO、およびHCOのセンサおよび導電性は、電気化学感知分野において周知である。
【0030】
尿素からアンモニウム・イオンおよび二酸化炭素への、またはカルボニウム・イオンへの変換は、固定化ウレアーゼ酵素の局所pHに影響を与える。ウレアーゼは、約pH6からpH7.5において最適なpHを有することが既知である。このpH範囲からの逸脱は、酵素の活性を低下させ、これは、より高い基板濃度におけるセンサの応答の線形性に影響を与えることがある。酵素を固定化するために使用される基質におけるpHの変化も、酵素の性能に対して有意な影響を有することがある。これは、センサの有効期間の観点で製造センサについて観測することができる。
【0031】
ウレアーゼ酵素のみを含むBUNセンサの出力特性:従来の技術の設計(米国特許第5200051号)のBUNセンサ線形性が、図1に示されている。これらは、1から90mM尿素の範囲にわたってlog[尿素]の関数としてミリボルト(mV)で表されたセンサ応答のネルンスト・プロットである。
【0032】
通常の臨床的に報告可能な範囲は、1〜50mM(50mMにおいてlog[尿素]=−1.3)である。すべてのセンサと同様に、応答は、特に分析物範囲の下方端部において理論的な線形振舞いを全く満たさない。理論的なネルンスト傾斜は周囲温度において約59mV/10年であるが、このBUN設計は高(線形)端部において約37mV/10年を示す。センサの製造バッチについて予測される傾斜が既知である限り、これは、センサ試験サイクルを実行するソフトウエアにプログラムすることができることに留意されたい。次いで、傾斜の理論値ではなく、この値が計算に使用される。このタイプのセンサの動作に使用される周知の式および計算の詳細な記述が、参照によって本明細書に完全に組み込まれている米国特許第5112455号において与えられている。
【0033】
本発明は、以下の例において述べられる特定の実施形態を参照して、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
1.酵素の固定化およびセンサの性能
この例は、酵素が、酵素活性を保持するようにベース・センサの上において固定化される方式を扱う。好ましい材料は、エルバス(ELVACE)(登録商標)であり、これは、コポリマー・ポリ(エチレン)(酢酸ビニル)の水ベース・エマルジョンからなる市販の接着剤である。これは、酵素を固定化するための水浸透性基質(BUNカクテルと呼ばれる)として使用される。
【0035】
リン酸ナトリウム緩衝剤(pH−6.5、6.8、およびpH7.4)をBUNカクテルに追加することにより、緩衝能力が向上することを認識した。これは、カクテルの有用な寿命をもたらす。すなわち、準備から適用までの時間(たとえば、カクテルをセンサ表面上にミクロディスペンスする)は、約16時間から最高で約25日まで延びる。応用方法としてのミクロディスペンスは、参照によって完全に組み込まれている共通所有の米国特許第5554339号において開示されている。
【0036】
pH7.4において50、75、または100mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を使用して、センサ上の印刷材料の視覚評価およびセンサの性能に基づいて、確実な印刷が最高で約25日まで維持されることを観測した。
【0037】
酵素活性検定におけるウレアーゼは、pH7.4より高いpHにおいて著しく低減された活性を有することが既知である。pH8.0におけるウレアーゼ酵素の活性は、通常、pH7.0の活性の約50%である。第2に、高い[BUN]におけるより優れたセンサ応答が、緩衝剤を追加することで観測される。センサ応答が向上する理由が、以下において議論される。
【0038】
なた豆(カナバリア・エンシルフォルミス)のウレアーゼ活性は、緩衝剤およびpHの両方に依存することが周知である。TRIS緩衝剤におけるウレアーゼの最適pHは、pH6.0とpH8.0の間である(Cesareo,S.およびLangton,S.:Kinetic Properties of Helicobacter Pylori Ureases Compared with Jack Bean Urease、FEMS Microbiol Lett 99、15、1992)。従来の技術の−i−STATシステムでは、較正物流体は7.4のpHを有するが、BUNセンサの局所領域、すなわちBUN基質およびその拡散層において、pHは、基質におけるウレアーゼによる較正物流体における尿素の酵素低下に由来する水酸イオン(OH)の生成により、約pH7.85まで上昇することがある。BUNセンサが通常はpH7.4において血液サンプルと接触するとき、pH緩衝はヘモグロビンによって左右されることが既知である(J.E.SherwinおよびB.B.Bruegger、Clinical Chemistry:Theory,Analysis and Correlation、ed.L.A.KaplanおよびA.J.Pesce、C.V.Mosby(セント・ルイス)、1989、第21章)。これは、BUNセンサの領域において異なるpHをもたらすことがある。センサの領域におけるこれらの最適ではないpH値は、産物の分布に影響を与え、センサの応答を低下させ、変動性を増大させる。リン酸ナトリウム緩衝剤をBUNカクテルに追加することにより、基質における尿素の緩衝が著しく向上し、水溶液較正物流体と全血サンプルとの振舞いの差が低減することが判明した。
【0039】
リン酸ナトリウム緩衝剤(pH6.0、6.8、およびpH7.4)をBUNカクテルに追加することにより、その緩衝剤における酵素の可溶性が向上することを認識した。
【0040】
センサ応答時間(定常状態信号の95%に到達するまでの時間)を短縮する他の方式は、センサ応答がNHの形成によって律速されるかを決定することによって発見された。炭酸脱水酵素(CA)が、炭酸陰イオン(CO2−)を形成し、それにより反応(1)を右に引く(上述されたように)ことによって重炭酸塩/二酸化炭素を除去するために、酵素基質に追加された。これにより、センサの応答時間は著しく短縮する。
【0041】
水溶液サンプルについて0.09mMと0.5mMの基質CA濃度の応答について大きな差はなかったが、より高い炭酸脱水酵素濃度[CA]は、全血についてより平坦な応答曲線を与えた。さらに、0.07mMのカクテルにおいて炭酸脱水酵素および標準的なウレアーゼ基質濃度を有するセンサは、炭酸脱水酵素および20%より多いウレアーゼを有するセンサと同様の応答を与えた。これは、尿素応答曲線の高方端部における線形性の利得、および(i)逆反応、すなわちNHおよびHCOから尿素を生成するのを限定するため炭酸脱水酵素を追加し、(ii)炭酸陰イオンから追加の緩衝能力が生じることによる精度の向上と一貫する。
【0042】
BUNセンサの動態研究は、2つの異なる率機構が1〜50mM尿素の分析物範囲にわたって動作することを示す。この範囲の高方端部において、センサ応答は、Carr&Bowers(1980)ページ209〜210後のモデリング研究において示唆されているように、ウレアーゼの濃度によって限定される。下方端部において、基板により限定される。
【0043】
本発明の目的が、単一使用BUNセンサ、すなわち−i−STATシステムの場合のように、単一血液サンプルと共に使用され、次いで廃棄されるものを作成することである場合、数百万のこれらのセンサが毎年製造されることが可能である。この例では、CAおよび緩衝剤を基質に追加することは、分析物範囲の高方端部において製造ロットのロットごとの変動性を低減することに寄与する可能性がある。限定ステップとしてウレアーゼ酵素濃度が低減される程度も、より良好なセンサの性能について補助することが可能である。
【0044】
改良BUNセンサの好ましい実施形態は、以下の特徴を組み込むことが望ましい、(i)pH7.4のリン酸ナトリウム緩衝剤が、酵素を含むラテックス混合物(BUNカクテル)に最適に追加される、この理由は、これにより基質の寿命がかなり延びるからである、(ii)混合物に追加する前に、酵素ウレアーゼが、酵素動態を増大させるように、リン酸ナトリウム緩衝剤に対して最適に透析される、および(iii)炭酸脱水酵素が、NHへの尿素の変換効率を増大させるように、混合物に最適に追加される。以下の実験データは、これらの結論の支持を提供する。
【0045】
従来の技術のBUNセンサおよび新しいBUNセンサの性能は、図4〜7において比較される。これらの図は、BUN電極応答の一部を時間の関数として示す。時間<14sにおける応答の部分は、較正溶液に対するBUN電極の基準電極に関する電位差応答を示す。時間>18sにおける信号応答は、水溶液ベースの制御材料または全血サンプルとすることが可能である試験サンプルに対するBUNセンサの電位差応答である。基準電極は、参照によって本明細書に組み込まれている共同所有されている米国特許第4933048号に記載されている。電気化学分野において周知の他の基準電極も、これらのBUNセンサと共に使用することができる。
【0046】
図4Aは、異なるBUNセンサ組成を使用する水溶液制御材料に対する応答曲線を示す。−i−STATの従来の技術に基づく標準的なBUNセンサは、実黒線によって表される。長破線は、変性ウレアーゼで作成されたBUNセンサを表す。短破線は、ウレアーゼと置き換わる牛の血清アルブミンで作成されたBUNセンサを表す。このグラフは、信号が、ウレアーゼ酵素によって変換されている尿素の存在によって生成されることを示す。
【0047】
図4Bは、標準的なBUNセンサについて実線で表された性能を示す。短破線は、pH7.4に緩衝され、かつマイクロディスペンス前1週齢の酵素カクテルを示す。中間破線は、炭酸脱水酵素をも含むBUNセンサを表し、長破線は、透析されたウレアーゼを表す。炭酸脱水酵素の存在は、信号の増大を示す。
【0048】
長破線曲線は、50mMリン酸塩緩衝剤に対する透析されたウレアーゼで準備されたBUNカクテルである。重要な特徴は、較正物流体との接触から血液サンプルに遷移した後のより優れた初期応答であり、ウレアーゼ動態が大きく増大すること、すなわちウレアーゼ酵素活性が向上し、産物NHへの尿素の迅速な変換が実施され、理論的な電位差センサの理想的な「ステップ関数」応答曲線に近づくことを示唆する。
【0049】
炭酸脱水酵素(CA)をBUNカクテルに追加することにより、中間破線は、尿素から変換されるNHの量を増大させる。すなわち、CAは、尿素からアンモニウム・イオンへの変換効率を増大させる。これは、センサの感度がCAを追加することにより増大することを意味する。
【0050】
図5〜7は、製造後一定の40℃において貯蔵されているセンサの有効期間研究からのプロットである。高温におけるこの貯蔵は、センサの低下率の増大をシミュレーションする手段を提供する。これは、室温および冷却など、より通常の条件下において貯蔵されたセンサの実際の有効期間を予測する手段を提供することができる。ここで記述されるタイプの製造センサについて、センサが、購入日後最高で約1年間使用可能であることを保証することが必要である。全血および水溶液流体(ml)の応答曲線は、1日(d1)および4日(d4)間高温貯蔵温度において貯蔵されたセンサについて示されている。
【0051】
2つの異なる製造センサ・バッチ(AおよびB)が、標準的な条件について使用された。炭酸脱水酵素改質(2つの濃度0.09mMおよび0.5mMにおける)についてのデータのみが、図5に示されている。
【0052】
最初のプロットは、全血(wb)応答を示す(図5)。CA改質の枢要な特徴は、(i)尿素濃度の所与の変化について増大したmV応答、すなわち尿素からアンモニウム・イオンへのより効率的な変換、および(ii)定常状態動作の向上を意味する約25と40sとの間の「平坦」曲線形状である。[CA]=0.5mMセンサは、[CA]=0.09mMセンサよりわずかに平坦な曲線形状を与えるようである。両CAセンサとも、25と40sとの間において無視可能な電位の傾斜を示し、これは、CAがない場合の標準的なセンサ設計に対する改善である。
【0053】
40℃培養における4日(d4)後のセンサの振舞いは、図6に示される1日(d1)と同様である。d1と比較した下方応答は、異なるwbサンプルのためであることに留意されたい。CAを有するセンサについての理想的なサンプル・データ収集ウィンドウ(共同所有されている米国5112455号の開示を参照されたい)配置は、約30sにおいてである。
【0054】
図7のd1におけるBUNセンサの水溶液流体応答は、図6に示されたものと同様である。40℃培養における4日後のml水溶液流体に対するセンサ応答が、以下において与えられる。CA包含センサは、全血サンプルについて同じmV応答の増大を示す。CA包含センサについて30日収集ウィンドウにおける応答曲線の比較は、全血と水溶液サンプルについてごく小さい差を示す。これは、標準的な従来の技術のセンサについて全血と水溶液サンプルの間について観測された差に対する有用な改善である。
【0055】
上記で開示されたデータは、(i)従来の技術のBUNセンサは、高濃度の尿素において酵素により限定されるが、炭酸脱水酵素を追加することにより、センサ応答の著しい改善を達成することができる、(ii)酵素基質(エルバス)の安定性が酢酸の存在に関係し、緩衝液化合物の追加が、マイクロディスペンスなどのセンサの応用について寿命の延長を補助する、(iii)BUNセンサにおける最適pHの維持が、高ウレアーゼ活性、したがって最大BUNセンサ性能を保証するのに必須であり、これは、緩衝剤を基質に追加することによって達成することができる、(vi)炭酸脱水酵素を追加することにより、全血と水溶液サンプルとの応答曲線の最小差を有するBUNセンサが与えられる、および(v)炭酸脱水酵素を基質に追加することにより、許容可能な有効期間を有するセンサが提供されることを示す。
【0056】
以下のセクションは、(i)新しいBUNセンサの好ましい実施形態の製造の記述を提供し、(ii)URおよびCA固定化の代替基質材料を開示し、(iii)URおよびCAの生化学特性および源に関する詳細を与え、(iv)リン酸塩に対する代替メンブレン緩衝システムを開示し、および(v)従来の電極に添付されるUR−CAメンブレンを作成する代替方式を開示するが、その理由は、本発明は、微細製作センサ応用分野に限定されるものではないからである。
【0057】
新しいBUNセンサの好ましい実施形態の製造
新しいBUNセンサの好ましい実施形態は、薄膜微細製作プロセスおよびマイクロディスペンス技法の組合せを使用して製造される。これは、米国特許第4933048号に記載されているタイプの薄膜銀−塩化銀基準電極と組み合わされて動作する薄膜銀−塩化銀インジケータ電極を備える。
【0058】
シリコンの基板ウエハの上に、熱酸化によって準備された二酸化ケイ素の絶縁層が重ねられる。チタン/タングステンの金属層、次いで銀が、二酸化ケイ素ベース・ウエハの上に付着され、次いで、フォトリソグラフィ技法を使用してパターニングされる。次いで、ポリイミド・ポリマーまたは追加の二酸化ケイ素などの電気絶縁層が、隣接センサ回路を絶縁するために、光パターニングされる。銀−塩化銀インジケータ電極(直径〜200ミクロン)は、電気化学塩素気体プラズマ、および塩素イオンに存在するCr2−またはFe3+などの無機酸化剤によるAgの酸化など、従来の教示を使用してパターニングされた銀から準備される。
【0059】
BUN電極の残りの層は、2つの薄膜構造を含む:(i)有機ポリマー層(たとえば、ポリ(塩化ビニル)−PVC)およびアンモニウム・イオン・イオノフォアを備える半浸透性メンブレン膜、(ii)この特定のセンサにおいて膜形成ラテックス(たとえば、ポリ(酢酸ビニル−コ−ビニルアルコール))ならびに十分な量の酵素ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を備える最外バイオ層。これらの層は、参照によって組み込まれている共同所有の米国特許第5554339号に記載されているように、マイクロディスペンス技法によって付着される。
【0060】
単位セルの基準電極部分は、両方とも参照によって組み込まれている米国特許第4933048号および第5200051号に記載されている重なり構造からなることが可能である。
【0061】
薄膜アンモニウム・イオン感応構造は、ポリ(塩化ビニル)(PVC)結合剤、可塑剤としてのトリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、およびイオノフォアとしてのノナクチンを備える。インジケータ電極は、同じ結合剤および可塑剤組成を使用するが、異なるイオノフォアを有する異なるイオンについて選択的とすることができる。たとえば、バリノマイシン、モネンシンおよび(メチル)モネンシン、ならびに塩化トリドデシルアンモニウムが、カリウム、ナトリウム、または塩素イオンの選択性電極をそれぞれ作成するために使用された。他のイオノフォアは、クラウン・エーテル、トリアルキルアミン、またはリン酸エステルなどを含むことが可能であるが、これに限定されるものではない。代替として、PVCの他に、他の重合結合剤材料が使用されることが可能である。これらのポリマーは、たとえば、シリコン・ゴム、ポリテトラフルオロエチレン可塑剤、またはイオン化可能官能器(たとえば、カルボン酸塩)を含有するPVCの派生物を含むことが可能である。本発明において使用するのに適切な他の可塑剤は、トリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、ニトロマイシン、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸塩、炭酸プロピレン、5−フェニルペンタノール、またはこの混合物を含むことが可能であるが、これに限定されるものではない。本発明の範囲内にあるさらに他の結合剤およびイオノフォアの組合せが、当業者なら思い付くことが可能である。結果として得られる半浸透性イオン選択性膜は、約2ミクロンから約200ミクロン、好ましくは約10から約30ミクロンの範囲の厚さを有することが可能である。
【0062】
この時点において、粒子ラテックスとその膜形成相当物の特性を区別することが重要である。粒子ラテックスは、ポリマー粒子が水媒介性であることを可能にする親水性材料でコーティングされているポリスチレンなどの固体重合構造を備える。粒子ラテックス材料は、従来、酵素を含むあらゆる種類の生物学的活性材料を固定化するために使用されてきた(Kraemer,D.ら、米国特許第4710825号を参照されたい)。CAおよびURでコーティングされた粒子ラテックスが、本発明において使用されることが可能である。
【0063】
対照的に、膜形成ラテックスは、親水性外部コーティングを有する酢酸ビニルなどの移動性重合液体コアからなるコロイド溶液である。そのような膜形成ラテックスは、水不混和性有機モノマーまたはモノマーの混合物が、遊離基触媒を含む水溶液媒質に追加されるエマルジョン重合プロセスによって作成される。重合は、たとえば、機械的な撹拌によって開始することが可能である(たとえば、Vanderhoff,J.W.、J.Poly.Sci.Polymer Symposium1985、72、161〜198ページを参照されたい)。この材料が乾燥されるとき、粒子は融合して、水に再びディスペンスすることができない膜を形成する。膜形成ラテックスは水ベースであり、親水性および疎水性の両方の成分を含むので、これらの組成は、CAおよびURを含む酵素など、生物学的活性種について安定な環境を提供し、その固定化または組み込むための有効な媒質を構成することができることを考慮することが可能である。
【0064】
さらに、天然源および合成源の両方からの膜形成ラテックスが著しく有用であることが判明した。たとえば、以下の合成モノマー、その化学改質類似物、コポリマー、またはその混合物が、膜形成ラテックスを作成するために使用されることが可能である:酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸塩またはアクリル酸、スチレン、あるいはブタジエン。これらおよび当業者に既知の多くの他の材料が、Reichhold、Air Products、DuPont、Dow Chemical、またはImperial Chemical Companyを含む多くの源から市販されている。天然イソプレン・ベース・ポリマーも有用であり、Imperial Adhesives and Chemicals,Inc.およびGeneral Latex and Chemical Corp.から入手可能である。Reichholdからのエルバスが、BUNセンサの好ましい実施形態において使用される。
【0065】
さらに、これらの材料は、非ラテックス水溶液化合物(たとえば、たんぱく質、酵素、ポリサッカリド、アガロースなどの親水コロイド、いなご豆ガム、ガー・ゴム、または親水コロイドの組合せ、あるいはポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミドなどの合成ポリマー)が、固体含有量の重量で最高で約25%を備えるときでさえ、膜形成特性を保持する。これに関して、センサを作成する微細製作プロセスに関する重大な考慮事項は、確立された膜が、大量の付加剤(すなわち酵素)が存在する場合でさえ平面基板に有効に接着することである。
【0066】
平面基板の上に層を画定するために、様々な方法を使用することができる。厚い層(約5から200ミクロン)が必要である場合、粘性膜形成ラテックス組成(ブルックフィールドRV粘度計で測定して<500センチポアズ)をマイクロディスペンスすることが好ましい。しかし、薄い層(約0.2から約5ミクロン未満)が必要である場合、より低い粘性を有する組成が使用され、これはインジケータ電極の上に直接マイクロディスペンスすることができ、または代替として、暴露されているインジケータ電極の上にわたる領域を残すようにパターニングされた正のレジスト層(たとえば、Shipley AZ 1370 SF)の上にマイクロディスペンスまたはスピンコーティングすることができる。次いで、n−酢酸ブチルなどの当技術分野において既知の任意の適切な溶媒が、過剰なラテックスと共にレジストをリフト・オフするために使用される。フォトレジスト・キャップを使用する他の技法を使用することも可能である。
【0067】
表面エネルギーの制御は、マイクロディスペンスされた試薬の拡散(およびしたがって厚さなどの寸法)を制御するために有利に使用することが可能である。インジケータ電極を囲むポリイミド層を四フッカ炭素などのフルオロカーボンでプラズマ処置することにより、水溶液ベースのラテックスは、高い接触角度を示す(すなわち、拡散を最小限に抑え、厚さを増大させる)。
【0068】
ラテックス層において1つまたは複数の生物学的活性種を固定化するために、付着前に種をラテックスと混合する、または付着後に層を含浸することが可能である。生物学的活性種、特に酵素の安定性は、付着前または付着後に架橋剤を追加することによって向上させることができる。これらの架橋剤は、当技術分野において周知であり、グリオキサル、グルタルアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、およびフェノールホルムアルデヒドなどの化合物を含むことが可能である。他の適切な架橋剤は、ホルミルの他に、ビニル、カルボキシル、アンヒドライド、アミン、アミド、エポキシ、ヒドロキシル、シアノ、イソシアナート、チオール、ハロを含む少なくとも2つの官能基、およびこれらの官能基の安定な組合せ(たとえば、クロロアルキルエポキシド)を有することが可能である。これらの付加剤は、生物層の湿潤強度を著しく向上させ、完成センサの有効期間を延ばすことができる。ほとんどすべての場合において、この開示の先行または以下のセクションにおいて列挙される生物活性巨大分子の1つまたは複数が、エルバスまたはエルマー(Elmer)のグルー(Glue)などの膜形成ラテックスを使用して首尾よく固定化されることが可能である。
【0069】
酵素基質の多孔度は、付着前に、塩(たとえば、塩化ナトリウム)または糖アルコール(たとえば、マンニトール、エリトリトール、またはソルビトール)などのある種の付加剤をラテックス混合物に組み込むことによって、有意な程度まで制御することができる。たとえば、ソルビトールをラテックス処方(約1g/dLの溶液において)に追加することにより、乾燥尿素センサの湿潤に必要な時間が著しく短縮される。より短い湿潤期間(共同所有されている米国特許第5112455号を参照されたい)は、より迅速な応答を提供する。
【0070】
好ましい実施形態では、新しいBUNセンサは、較正物溶液をも含む米国特許第5096669号において開示されているタイプのカートリッジに実装される。これは、較正物パッケージ(CALPAK)に包含され、これは、血液サンプル分析中に破裂される。この通常の事象順序は、CALPAKが破裂され、次いで較正溶液がセンサの上にわたって通過し、センサを湿潤させることを含む。通常、従来の技術のカートリッジのCALPAKは、以下のイオン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、重炭酸塩、およびまたHEPES緩衝剤、グルコース、乳酸塩、尿素、クレアチン、およびクレアチニンを含んでいた。
【0071】
CALPACKにおける尿素に関して、この基板は産物の集積を創出することができ、これにより酵素のフィードバック阻害が生じることが発見されているので、これは、較正流体から除去し、それにより酵素のフィードバック阻害を除去することができる。新しいBUNセンサのCALPAKの好ましい構成は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、アンモニウム、重炭酸塩、HEPES緩衝剤、グルコース、乳酸塩、クレアチン、およびクレアチニンを含むはずである。この実施形態では、尿素ではなくアンモニウム・イオンがBUNセンサを較正する。
【0072】
ウレアーゼ(E.C.3.5.1.5)の特性および源
この応用例についてのウレアーゼの理想的な特性は、ウレアーゼが、低残留レベルの関連基板(尿素<0.0002μmol/酵素単位)および他の窒素化合物を有することである。さらに、ウレアーゼは、汚染プロテアーゼがないはずである。25℃において700U/mgたんぱく質を超える比放射能が、理想的な特性である。酵素の準備も、高純度であるべきである。ウレアーゼの他の望ましい特性は、酵素のKが1から50(mM)の範囲にあり、好ましくは50mMにより近く、Vmaxが16,000(ミクロモル/ml/分)より大きく、またKcatが5×10−1以上であることである。
【0073】
好ましい実施形態では、ウレアーゼの好ましい源は、なた豆ウレアーゼ(E.C.3.5.1.5)Genzyme Diagnostics(One Kendall Square、02139米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)項目番号70−1661−01(K:9.39mM;Vmax:16187ミクロモル/ml/分;Kcat:5.91×10−1)である。なた豆ウレアーゼ(E.C.3.5.1.5)の他の源には、(i)Sigma−Aldrich Canada Ltd.(L6H 6J8カナダ、オンタリオ州オークビル、ウィンストン・パーク・ドライブ2149)カタログ番号U1500、(ii)東洋紡(日本103−8530、東京都中央区小網町日本橋17−9東洋紡ビルディング)カタログ番号URH−201またはURH−301、および(iii)Worthington Biochemical Corporation(08701米国ニュー・ジャージー州レイクウッド、バッサー・アベニュ730)がある。
【0074】
ウレアーゼ酵素は、以下の団体からも入手可能である;ディノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)(pv.トマト)、ストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・コエリコロル(Streptomyces coelicolor)、スルフォロバス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、(ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha))、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、(ヘモフィルス・プルロニューモニエ(Haemophilus pleuropneumoniae))、バチルス・パスチュリイ(Bacillus pasteurii)、バチルス(Bacillus)sp.(染色剤 TB−90)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)(アルカリゲネス・ブロンキセプティカ(Alcaligenes bronchisepticus))、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、大腸菌(Escherichia coli)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、クレブシエラ・エアロゲネス(Klebsiella aerogenes)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、リストネラ・ダムセラ(Listonella damsela)(ビブリオ・ダムセラ(Vibrio damsela))、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)(プロテウス・モルガニイ(Proteus morganii))、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、リゾビウム・メリロッティ(Rhizobium meliloti)(シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(染色剤 Mu50/ATCC 700699)、黄色ブドウ球菌(染色剤N315)、黄色ブドウ球菌(染色剤 MW2)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・キシロサス(Staphylococcus xylosus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、シネコシスティス(Synechocystis)sp.(染色剤 PCC 6803)、ウレアプラズマ・パルブム(Ureaplasma parvum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)・バイオタイプ1)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)・バイオタイプ2)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、偽結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)(ヘモフィルス・プルロニューモニエ(Haemophilus pleuropneumoniae))、バチルス・パスチュリイ・バチルス(Bacillus pasteurii、Bacillus)sp.(染色剤 TB−90)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)(アルカリゲネス・ブロンキセプティカ(Alcaligenes bronchisepticus))、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクタ・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクタ・へイルマンニイ(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクタ・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクタ・ピロリ(Helicobacter pylori)(カンピロバクタ・ピロリ(Campylobacter pylori))、ヘリコバクタ・ピロリ(Helicobacter pylori)J99(カンピロバクタ・ピロリ(Campylobacter pylori)J99)、クレブシエラ・エアロゲネス(Klebsiella aerogenes)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)(プロテウス・モルガニイ(Proteus morganii))、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、リゾビウム・メリロッティ(Rhizobium meliloti)(シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(染色剤 Mu50/ATCC 700699)、黄色ブドウ球菌(染色剤 N315)、黄色ブドウ球菌(染色剤 MW2)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・キシロサス(Staphylococcus xylosus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、シネコシスティス(Synechocystis)sp.(染色剤 PCC 6803)、ウレアプラズマ・パルブム(Ureaplasma parvum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)バイオタイプ1)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)バイオタイプ2)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、偽結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)(ヘモフィルス・プルロニューモニエ(Haemophilus pleuropneumoniae))、アグロバクテリウム・ツメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens)(染色剤 C58/ATCC 33970)、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)(ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha))、アナベナ(Anabaena)sp.(染色剤 PCC 7120)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、バチルス・パスチュリイ(Bacillus pasteurii)、バチルス(Bacillus)sp.(染色剤 TB−90)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)(アルカリゲネス・ブロンキセプティカ(Alcaligenes bronchisepticus))、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブラディリゾビウム・ジャポニカ(Bradyrhizobium japonicum)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、カンジダタス・ブロシュマンニア・フロリダナス(Candidatus Blochmannia floridanus)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・グルタミサン(Corynebacterium glutamicum)(ブレビバクテリウム・フレバム(Brevibacterium flavum))、大腸菌 O157:H7、大腸菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、クレブシエラ・エアロゲネス(Klebsiella aerogenes)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)(プロテウス・モルガニイ(Proteus morganii))、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロクロロコッカス・マリナス(Prochlorococcus marinus)(染色剤 MIT 9313)、プロクロロコッカス・マリナス subsp.パストリス(Prochlorococcus marinus subsp.pastoris)(染色剤 CCMP 1378/MED4)、プロクロロコッカス(Prochlorococcus)sp.(染色剤 PCC 9511)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)(染色剤 KT2440)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)(pv.トマト)、ラルストニア・ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)(シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanacearum))、リゾビウム・ロティ(Rhizobium loti)(メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti))、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)(ビボバル・ビシアエ(biovar viciae))、リゾビウム・メリロッティ(Rhizobium meliloti)(シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti))、
【0075】
ロドバクタ・キャプスラタス(Rhodobacter capsulatus)(ロドシュードモナス・キャプスラタ(Rhodopseudomonas capsulata))、ロドバクタ・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)(ロドシュードモナス・スファエロイデス(Rhodopseudomonas sphaeroides))、黄色ブドウ球菌(染色剤 Mu50/ATCC 700699)、黄色ブドウ球菌(染色剤 N315)、黄色ブドウ球菌(染色剤 MW2)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・キシロサス(Staphylococcus xylosus)、ストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・コエリコロル(Streptomyces coelicolor)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、シネココッカス・エロガタス(Synechococcus elongatus)(サーモシネココッカス・エロンガタス(Thermosynechococcus elongatus))、シネココッカス(Synechococcus)sp.(染色剤 WH7805)、シネココッカス(Synechococcus)sp.(染色剤 WH8102)、シネコシスティス(Synechocystis)sp.(染色剤 PCC 6803)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)バイオタイプ1)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)(ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)バイオタイプ2)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、偽結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、カナバリア・エンシフォルミス(Canavalia ensiformis)(なた豆)(ソラ豆)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)(フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans))、ヘリコバクタ・ビゾゼロニイ(Helicobacter bizzozeronii)、ヘリコバクタ・フェリス(Helicobacter felis)、ヘリコバクタ・へイルマンニイ(Helicobacter heilmannii)、ヘリコバクタ・ヘパティカス(Helicobacter hepaticus)、ヘリコバクタ・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、ヘリコバクタ・ピロリ(Helicobacter pylori)J99(カンピロバクタ・ピロリ(Campylobacter pylori)J99)、ヘリコバクタ・ピロリ(Helicobacter pylori)(カンピロバクタ・ピロリ(Campylobacter pylori))、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(フィシオン・イースト(Fission yeast))、グリシン・マックス(Glycine max)(大豆)。
【0076】
これらの酵素は、天然源から、またはこれらの有機物からクローン化されて、組換えクローンにおいて過剰発現された遺伝子断片から精製することができる。ウレアーゼ酵素に関する追加の情報は、ウエブ・サイトwww.expasy.chまたはNCBIデータベースにおいて更新されている。
【0077】
炭酸脱水酵素の特性および源(E.C4.2.1.1)
この応用分野の炭酸脱水酵素の理想的な特性は、炭酸脱水酵素が低残留レベルの窒素化合物を有し、かつ汚染プロテアーゼがないことである。0℃において2500ウィルバー単位/mgたんぱく質を超える比放射能が、販売業者によって引用されている(Wilbur,K.M.およびN.G.Anderson、1948、Journal of Biological Chemistry、176:147〜154)。酵素の準備は、高純度であるべきである。
【0078】
炭酸脱水酵素の他の理想的な特性は、1から50mMの間のK値、10,000を超える理想的なレベルを有する50(microl/ml/分)より大きいVmax、および75より大きいが、10−1より大きい理想的なレベルを有するKcat値である。
【0079】
好ましい実施形態では、好ましい源は、Sigma Aldrich Canada Ltd.(L6H 6J8 カナダ、オンタリオ州オークビル、ウィンストン・パーク・ドライブ2149)カタログ番号C3934からの牛の炭酸脱水酵素(E.C.4.2.1.1)である(K:1.31mM;Vmax:−64.4ミクロモル/ml/分;Kcat76.24分−1)。牛の炭酸脱水酵素(E.C.4.2.1.1)の他の源は、Worthington Biochemical Corporation(08701米国ニュー・ジャージー州レイクウッド・バッサー・アベニュ730)である。
【0080】
炭酸脱水酵素の酵素は、以下の有機体からも入手可能である:カエノルハブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)、クラミドモナス・レンハルティイ(Chlamydomonas reinhardtii)、フラベリア・リネアリス(Flaveria linearis)、エカス・カバラス(Equus caballus)(ウマ)、マカカ・ムラタ(Macaca mulatta)(アカゲザル)、マカカ・ネメストリナ(Macaca nemestrina)(ブタオザル)、モノデルフィス・ドメスティカ(Monodelphis domestica)(ハイイロジネズミオポッサム)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナ(Mouse−ear cress))、ボス・タウラス(Bos taurus)(ウシ)、ガラス・ガラス(Gallus gallus)(ニワトリ)、フラベリア・リネアリス(Flaveria linearis)、トリボロドン・ハコネンシス(Tribolodon hakonensis)(ウグイ)、エカス・カバラス(Equus caballus)(ウマ)、ラタス・ノルベギカス(Rattus norvegicus)(ラット)、カエノルハブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)、ボス・タウラス(Bos taurus)(ウシ)、オビス・アリエス(Ovis aries)(ヒツジ)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナ)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare)(大麦)、ピサム・サティバム(Pisum sativum)(エンドウ豆)、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)(ホウレンソウ)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)(一般的なタバコ)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナ)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare)(大麦)、ピサム・サティバム(Pisum sativum)(エンドウ豆)、オリクトラガス・キュニキュラス(Oryctolagus cuniculus)(ウサギ)、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)(ホウレンソウ)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)(一般的なタバコ)、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)(ヒト)、ムス・ムスキュラス(Mus musculus)(マウス)、バクシニア・ウィルス(Vaccinia virus)(染色剤コペンハゲン)、バクシニア・ウィルス(Vaccinia virus)(染色剤 WR)、バルオアラ・ウィルス(Variola virus)、フラベリア・ビデンティス(Flaveria bidentis)、フラベリア・ブロウニイイ(Flaveria brownii)、フラベリア・プリングレイ(Flaveria pringlei)、ブラキダニオ・レリオ(Brachydanio rerio)(ゼブラフィッシュ)(ダニオ・レリオ(Danio rerio))、アナベナ(Anabaena)sp.(染色剤 PCC 7120)、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、メサノサルシナ・サーモフィラ(Methanosarcina thermophila)、リン菌(Neisseria gonorrhoeae)、大腸菌、大腸菌 O157:H7、ヘリコバクタ・ピロリ(Helicobacter pylori)J99(カンピロバクタ・ピロリ(Campylobacter pylori)J99)、ヘリコバクタ・ピロリ(カンピロバクタ・ピロリ)、シネココッカス(Synechococcus)sp.(染色剤 PCC 7942)(アナシスティス・ニデュランス(Anacystis nidulans)R2)、シネコシスティス(Synechocystis)sp.(染色剤 PCC 6803)、カエノルハブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナ)、メディカゴ・サティバ(Medicago sativa)(アルファルファ)、シネココッカス sp.ジー・メイズ(Synechococcus sp.Zea mays)(トウモロコシ)、ウロコロア・パニコイデス(Urochloa panicoides)(パニック・リバーシード・グラス(Panic liverseed grass))、ポルフィリジウム・プルプレウム(Porphyridium purpureum)、a パニコイデス(panicoides)(パニック・リバーシード・グラス)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、シネココッカス sp.(染色剤 WH8102)、ロドピレルラ・バルティカ(Rhodopirellula baltica)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(染色剤 ATCC 14579/DSM 31)、アンモニア酸化細菌(Nitrosomonas europaea)、ファセオラス・ブルガリス(Phaseolus vulgaris)(インゲン豆)(サヤインゲン)、ロータス・ジャポニカス(Lotus japonicus)、フラベリア・ビデンティス(Flaveria bidentis)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、ユートロファス(eutrophus)(ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha))、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)(シロイヌナズナ)、ゴシピアム・ヒルスタム(Gossypium hirsutum)(アプランド綿)、リフティア・パチプティラ(Riftia pachyptila)(チューブ・ワーム)、コリネバクテリウム・グルタミサン(Corynebacterium glutamicum)(ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum))、メサノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)、(メサノサルシナ・フリシア(Methanosarcina frisia)、ニコチアナ・タバカム(一般的なタバコ)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)Q92KY0、リゾビウム・メリロッティ(Rhizobium meliloti)(シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti))[プラスミド(Plasmid)pSymA(メガプラスミド(megaplasmid)I)]、コッコミクサ(Coccomyxa)sp.、PA バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans、ゴシピウム・ヒルストゥム(Gossypium hirsutum)(アプランド綿)、ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)(ポテト)[クロロプラスト(Chloroplast)]、ドロソフィラ・メラノガスタ(Drosophila melanogaster)(果実ハエ)、ストレプトマイセス・コエリコロル(Streptomyces coelicolor)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ゴシピアム・ヒルスタム(Gossypium hirsutum)(アプランド綿)、グリシン・マックス(大豆)、ファセオラス・オーレウス(Phaseolus aureus)(ヤエナリ)(リョクトウ)、アンソプレウラ・エレガンティスシマ(Anthopleura elegantissima)(イソギンチャク)。
【0081】
これらの酵素は、天然源から、またはこれらの有機物からクローン化されて、組換えクローンにおいて過剰発現された遺伝子断片から精製することができる。炭酸脱水酵素に関する追加の情報は、ウエブ・サイトwww.expasy.chまたはNCBIデータベースにおいて更新されている。
【0082】
酵素基質の緩衝システム
文献から、ウレアーゼの最適pHは、pH8.0であると報告されている(Wall&Laidler、1953、The Molecular Kinetics of the Urea−Urease System.IV.The Reaction in an Inert Buffer,Archives of Biochemistry and Biophysics,vol43:307〜311)。我々のデータは、4つのウレアーゼ準備について、6.5から7.4のpH範囲より近い8.0未満のpHが、最適な酵素活性を与えることを示唆する。
【0083】
好ましいカートリッジ・デバイスにおいて使用される好ましい緩衝剤は、pH−6.8における−100mMリン酸ナトリウムである。−6.5から7.4.のpH範囲の前記緩衝剤を含めて、10から−200mMにわたるリン酸ナトリウム緩衝剤は、好ましい実施形態において使用することができる。
【0084】
このデバイスにおいて有用な他の緩衝剤には、リン酸カリウム、トリス−HSO(Wall&Laidler、1953)などのトリス(トリシドロキシメチルアミノメタン)、HEPES(Cesareo&Langton、1992、Kinetic Properties of Helicobacter pylori urease compared with jack bean urease、FEMS Microbiology Letters、vol99:15〜22)、トリス−HCl緩衝剤、およびバルビトンがある。
【0085】
ウレアーゼと共に使用されるのに一般的には推奨されない他の緩衝剤は、亜硫酸イオン、重亜硫酸イオン、およびフェニル亜硫酸イオンを含むものである。(G.Fasman&C.Niemann、1951、A reinvestigation of the kinetics of the Urease−Catalyzed hydrolysis of Urea.I.The activity of urease in the presence of Sodium and Potassium Phosphate、Journal of the American Chemical Society、vol73:1646〜1650)。
【0086】
非微細製作デバイスにおいて使用されるウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を有するメンブレン
【0087】
本発明は、微細製作される感知デバイスに限定されるものではない。従来、感知電極は、Oリング、またはメンブレンをイオン選択性電極表面に隣接させるように電極と対合する場合に添付メンブレンを組み込む固定具など、同様の固定構成要素によって構造の先端の上にわたって適所に保持されるメンブレンを有するガラス構造から作成される。ガラス電位差尿素センサのついての従来の技術は周知であり、ノナクチン・ベースISEを介してアンモニウム・イオンを検出し、またはPH ISEを介してヒドロニウム・イオンを検出するために、酵素層と関連して第2のイオン選択性電極(ISE)を使用することができる。ウレアーゼを含み、かつOリングよってガラス電極に添付することができるメンブレンが、当技術分野において周知である。同様のメンブレンが、Yellow Springs Instrumentsのグルコース分析装置の場合のように、グルコース・オキシダーゼなどの酵素についても周知である。この種類の機器は、メンブレンが一連のサンプルに暴露されて、それぞれについてサンプル尿素濃度を与える場合、再使用可能な電極を有することが周知である。断続的にまたは各サンプルと共に、メンブレンは、1つまたは複数の較正物流体にも暴露される。通常、洗浄流体も、サンプル間においてメンブレンに加えられる。
【0088】
ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を共に含む本発明のメンブレンにおいて、酵素を準備することが可能である。この固定化は、重合媒質における共有結合添付または物理的捕捉によることが可能である。そのような重合材料には、ニトロセルロース(米国特許第4713165号に記載);ポリ(塩化ビニル)、およびポリ(塩化ビニル)のコポリマー、ポリピロール、ポリビニルピリジン、ポリアルキルチオフェン(米国特許第5858186号に記載)、およびポリウレタン(米国特許第6673565号に記載)があるが、これに限定されるものではない。
【0089】
ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の酵素は、ゾル−ゲルまたはグルタルアルデヒドで架橋された牛の血清アルブミン(BSA)において、共有結合添付または物理的捕捉によって固定化することも可能である(米国特許第4927516号に記載)。代替として、固定化は、ウレアーゼと炭酸脱水酵素を結合する抗体に基づくことが可能である。
【0090】
好ましい実施形態は、以下のように準備されるポリウレタン・メンブレンである:(i)ベセルにおいてpH7.8のトリス緩衝剤(10mM)と界面活性剤(たとえばプルロニックF−68)を混合する、(ii)同じ緩衝剤において作成されたウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の溶液を追加する、(iii)Hypol(商標)イソシアナート機能主義ポリウレタン・プレポリマー(Hampshire Chemical Corp.、a subsidiary of Dow Chemical)を追加して、完全に混合する、(iv)混合物を成形メンブレンに注入する、および(v)メンブレンを硬化させ、アンモニウム・イオン選択性電極に添付するようにディスクに切断する。
【0091】
ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素が、グルタルアルデヒドで架橋された牛の血清アルブミン(BSA)において固定化される代替実施形態も提供される。ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の層が、アンモニウム・イオン選択性電極の表面上に約1mmの厚さまで付着される。酵素層は、架橋剤としてグルタルアルデヒドを使用する架橋プロセスによって付着される。架橋構造は、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素が液体試験片に溶出するのを防止する。(溶液A):15wt−%の牛の血清アルブミンが、pH8.0リン酸塩緩衝剤溶液において溶解し、1.5gのウレアーゼおよび0.2gの炭酸脱水酵素が、5mLの結果として得られる溶液において溶解した。(溶液B):25%グルタルアルデヒド水溶液。(溶液C):10%グリシン水溶液。ワイヤ電極が、溶液Aに浸漬され、約1分乾燥され、溶液Bに浸漬され、次いで1分乾燥される。この手続きは、約1mmの厚さを有する層が電極の上に形成されるまで繰り返された。次いで、電極は、溶液Cに1分浸漬され、それにより、未反応酵素を除去した。これにより、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の層の付着が完成する。
【0092】
ここで記述されるタイプのメンブレンが、電位差センサ、電流滴定センサ、導電率測定センサ、光ファイバおよび導波デバイスなどの光学センサ、圧電センサ、音波センサなどを含めて、当技術分野において既知の任意のクラスのセンサに添付されることが可能である。同様に、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の組合せは、化学架橋試薬によって、または物理的吸収によって、これらのセンサのすぐ上に固定化することができる。光学センサは、H+、NH+、CO、およびHCOの濃度の関数として光学特性を変化させる染色材料を含むことが可能である。
【0093】
追加のBUNセンサ
尿素についての電位差化学センサは、機能的に異なる構成要素から構築されるシステムと見なすことができる。血液尿素窒素(BUN)センサの一実施形態では、分析物溶液と接触している層である最外層により、尿素を輸送することが可能になり、同時に、酵素ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を固定化するように作用する。これらの酵素は、上述されたように尿素からアンモニアの加水分解に触媒作用を及ぼす。中性pH値において、そのように生成されたアンモニアは、主にアンモニウム・イオンとして存在する。層を含む酵素と銀−塩化銀インジケータ電極との間のアンモニウム・イオンについて高い感度および選択性を有するイオノフォアを含む別の層化構造を挿入することによって、電極境界面におけるアンモニウム・イオンの濃度を測定することができる。このタイプの測定では、インジケータ電極と基準電極との電位差が記録される。
【0094】
測定の分析値は、電位差の大きさがニコルスキの式(以下の式3)によってこの場合は尿素である分析物の濃度に関係付けられるということから導出される。
【0095】
E=E+RT/nF log[A+Σ(a,b)k(a,b)B] (3)
上式で、Eは、測定された起電力(信号)、Rは気体定数、Tは絶対温度、Nは分析物種aに関する電荷の絶対値(たとえば、アンモニウム・イオンではn=1)、Fはファラデー定数、Aは分析物種aの活性、Bは干渉化学種bの活性、ka,bは分析物種aの活性の電気化学電位差決定に対する化学種bの存在に対する影響に関連する干渉係数、EはT、A、またはBに独立の定数である。ニクルスキの式の追加の議論について、Amman,D.、Ion−Selective Microelectrodes、Springer、Berlin(1986)、68ページおよびそこで引用されている参考文献を参照されたい。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、BUNセンサの単位セルは、薄膜銀−塩化銀基準電極と組み合わされて動作する薄膜銀−塩化銀インジケータ電極を備える。
【0097】
ここで図8のトポロジの図を参照すると、基板ウエハ20は、二酸化ケイ素の重なり絶縁層15を有するシリコンである。第1の金属層10はチタンであり、導体およびウエハへの接着層の機能を果たす。連続層4および4’は、銀および塩化銀の層である。図8の左側において、インジケータ電極の残りの層は、(i)有機ポリマー層(たとえば、ポリ(塩化ビニル)−PVC)およびアンモニウム・イオン・イオノフォアを備える半浸透性メンブレン膜25、および(ii)この特定のセンサにおいて、膜形成ラテックス(たとえば、ポリ(酢酸ビニル−コ−ビニルアルコール)および十分な量の酵素ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を備える最外生物層11を含む。
【0098】
単位セルの基準電極部分は、図8に示されるように重なり構造からなることが可能である。この特定の実施形態では、基準電極の金属および塩化物の層は、電解質層12によって覆われ、電解質層12は、高濃度の塩を保持することができるが、好ましくは光形成可能である任意の材料を備えることが可能である。これに関して、ポリビニルアルコール(PVA)の処方が好ましい材料であり、まず光パターニングされることが可能であり、塩化カリウムなどの塩で後に飽和させることができる水浸透性基質を形成する。別の気体浸透性メンブレン8’が存在することも可能であり、これは、電解質または塩がバルクな分析サンプルに失われるのを限定するように作用するが、サンプル分析を開始する前に基準電極を迅速に湿潤する(すなわち、HOまたは他の小さい気体分子の通過)のを可能にする。パターニング・プロセスの残りとすることが可能であるフォトレジスト・キャップ9は、溶媒、溶質、またはイオンの自由な通過を妨害しない場合、除去する必要はない。好ましい実施形態では、参照によって本明細書に組み込まれている米国特許第4933048号において記載されている基準電極構造が使用される。代替として、液体接合点と銀/塩化銀の表面との距離が十分に大きい基準電極構造を使用することができ、それにより、Ag/AgCl構造のごく近傍における電解質の濃度は、インジケータ電極と基準電極との電位差の測定を実施するのに十分な時間期間、ほぼ一定である。
【0099】
図8に示されるように、BUNセンサのインジケータ電極の上にわたって、ポリ(塩化ビニル)(PVC)結合剤、可塑剤としてのトリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、およびイオノフォアとしてのノナクチンを備える厚膜アンモニウム・イオン感応性構造が重ね合わされる。インジケータ電極は、同じ結合剤および可塑剤の組成を使用するが、異なるイオノフォアを有することにより、異なるイオンについて選択性とすることができる。たとえば、バリノマイシン、モネンシンおよび(メチル)モネンシン、ならびに塩化トリドデシルアンモニウムが、カリウム、ナトリウム、または塩素イオンの選択性電極をそれぞれ作成するために使用された。他のイオノフォアは、クラウン・エーテル、トリアルキルアミン、またはリン酸エステルなどを含むことが可能であるが、これに限定されるものではない。代替として、PVCの他に、他の重合結合剤材料が使用されることが可能である。これらのポリマーは、たとえば、シリコン・ゴム、ポリテトラフルオロエチレン可塑剤、またはイオン化可能官能基(たとえば、カルボン酸塩)を備えるPVCの派生物を含むことが可能である。本発明において使用するのに適切な他の可塑剤は、トリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、ニトロマイシン、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸塩、炭酸プロピレン、5−フェニルペンタノール、またはこの混合物を含むことが可能であるが、これに限定されるものではない。当業者なら、本発明の範囲内にあるさらに他の結合剤およびイオノフォアの組合せを思い付くことが可能である。結果として得られる半浸透性イオン選択性膜は、約2ミクロンから約200ミクロン、好ましくは約10から約30ミクロンの範囲の厚さを有することが可能である。
【0100】
ここで図9を参照すると、インジケータ電極30および隣接基準電極35は、それぞれ、過剰不動態化された信号線2によって接触パッド1に接続される。単位セルは、単一シリコン・ウエハ上のアレイにおいて数百回繰り返される矩形領域内に制約される。本発明の特定の実施形態では、他のインジケータ電極が、アンモニウム・イオンの他に、他の種(たとえば、Na.sup.+、K.sup.+、またはCl.sup.−)の同時測定について単位セルに存在することが可能である。
【0101】
BUN生物層
この時点において、この時点において、粒子ラテックスとその膜形成相当物の特性を区別することが重要である。粒子ラテックスは、ポリマー粒子が水媒介性であることを可能にする親水性材料でコーティングされているポリスチレンなどの固体重合構造を備える。粒子ラテックス材料は、従来、酵素を含むすべての種類の生物学的活性材料を固定化するために使用されてきた(Kraemer,D.ら、米国特許第4710825号を参照されたい)。しかし、本応用分野では不適切であるすべてではないいくつかの粒子ラテックスの重要な特性は、これらの材料が乾燥された後でも、水において容易に粒子を再分散することができることである。対照的に、膜形成ラテックスは、親水性最外コーティングを有する酢酸ビニルなどの可動重合液体コアからなるコロイド溶液である。そのような膜形成ラテックスは、水不混和有機モノマーまたはモノマーの混合物が遊離基触媒を含む水溶液媒質に追加されるエマルジョン−重合プロセスによって作成される。重合は、たとえば、機械的な撹拌によって開始することが可能である(たとえば、Vanderhoff,J.W.、J.Poly.Sci.Polymer Symposium 1985、72、161〜198を参照されたい)。この材料が乾燥されるとき、粒子は合着して、水に再分散することができない膜を形成する。膜形成ラテックスは水ベースであり、かつ親水性および疎水性の両方の成分を含むので、これらの組成は、生物学的活性種について安定な環境を提供し、それを固定化または組み込むための有効な媒質を構成することができることを考慮することが可能である。
【0102】
さらに、天然源および合成源の両方からの膜形成ラテックスが著しく有用であるが判明した。たとえば、以下の合成モノマー、その化学改質類似物、コポリマー、またはその混合物が、膜形成ラテックスを作成するために使用されることが可能である:酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸塩またはアクリル酸、スチレン、あるいはブタジエン。これらおよび当業者に既知の多くの他の材料が、Reichhold、Air Products、DuPont、Dow Chemical、またはImperial Chemical Companyを含む多くの源から市販されている。天然イソプレン・ベース・ポリマーも有用であり、Imperial Adhesives and Chemicals,Inc.およびGeneral Latex and Chemical Corp.から入手可能である。
【0103】
さらに、これらの材料は、非ラテックス水溶液化合物(たとえば、たんぱく質、酵素、アガロースなどのポリサッカリド、またはポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルピロリドン)などの合成ポリマー)が、固体含有量の重量で最高で約25%を備えるときでさえ、膜形成特性を保持する。これに関して、バイオセンサを作成する微細製作プロセスに関する重大な考慮事項は、確立された膜が、大量の付加剤(すなわち酵素)が存在する場合でさえ平面基板に有効に接着することである。
【0104】
平面基板の上に層を画定するために、様々な方法を使用することができる。厚い層(約5から200μm)が必要である場合、粘性膜形成ラテックス組成(ブルックフィールドRV粘度計で測定して<500センチポアズ)をマイクロディスペンスすることが好ましい。しかし、薄い層(約0.2から約5μm未満)が必要である場合、より低い粘性を有する組成が使用され、これは、インジケータ電極のすぐ上にマイクロディスペンスすることができ、または代替として、暴露されているインジケータ電極の上にわたる領域を残すようにパターニングされた正のレジスト層(たとえば、Shipley AZ 1370 SF)の上にマイクロディスペンスまたはスピンコーティングすることができる。次いで、n−酢酸ブチルなどの当技術分野において既知の任意の適切な溶媒が、過剰なラテックスと共にレジストをリフト・オフするために使用される。フォトレジスト・キャップを使用する他の技法を使用することも可能である。
【0105】
表面エネルギーの制御は、マイクロディスペンスされた試薬の拡散、およびしたがって厚さなどの寸法を制御するために有利に使用することが可能である。インジケータ電極を囲むポリイミド層を四フッカ炭素などのフルオロカーボン(たとえば、CF)でプラズマ処置することにより、水溶液ベースのラテックスは、高い接触角度を示す(すなわち、拡散を最小限に抑え、厚さを増大させる)。
【0106】
ラテックス層において1つまたは複数の生物学的活性種を固定化するために、付着前に種をラテックスと混合する、または付着後に層を含浸することが可能である。生物学的活性種、特に酵素の安定性は、付着前または付着後に架橋剤を追加することによって向上させることができる。これらの架橋剤は、当技術分野において周知であり、グリオキサル、グルタルアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、およびフェノールホルムアルデヒドなどの化合物を含むことが可能である。他の適切な架橋剤は、ホルミルの他に、ビニル、カルボキシル、アンヒドライド、アミン、アミド、エポキシ、ヒドロキシル、シアノ、イソシアナート、チオール、ハロを含む少なくとも2つの官能基、およびこれらの官能基の安定な組合せ(たとえば、クロロアルキルエポキシド)を有することが可能である。これらの付加剤は、生物層の湿潤強度を著しく向上させ、完成センサの有効期間を延ばすことができる。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、膜形成ラテックスは、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素を固定化するために使用される。より高い酵素活性が、ウレアーゼのみを含む尿素センサと比較してこの場合に達成される。
【0108】
酵素層(生物層)の多孔度は、付着前に、塩(たとえば、塩化ナトリウム)または糖アルコール(たとえば、マンニトール、エリトリトール、またはソルビトール)などのある種の付加剤をラテックス混合物に組み込むことによって、有意の程度まで制御することができる。たとえば、ソルビトールをラテックス処方(溶液の約1g/dLにおいて)に追加することにより、乾燥尿素センサの湿潤に必要な時間が著しく短縮される。血液分析の結果をより迅速に与えることができるより短い湿潤期間が提供される。ベース・センサを製造するために、濃硫酸および過酸化水素の混合物で綿密に以前に清浄された二酸化ケイ素の局所層を有するシリコン・ウエハが、プラズマ付着システムに配置され、チタン(0.1μm)および銀(0.5μm)の層が、ウエハ表面上に連続してスパッタリングされる。次いで銀−チタン生物層は、完成デバイスにおいてアンモニウム・イオン・センサとして作用するある領域にそれを局所化するように処理される。このプロセスは、ウエハが正のレジスト(Shipley AZ 1370 SF)でスピンコーティングされる標準的なリソグラフィ技法によって達成される。マスクおよび現像(Shipley AZ 1370 SF)によるフォトレジストのUV暴露後、暴露された銀は、エッチング剤として硝酸鉄の水溶液(0.9mM)によって除去される。次いで、下にあるチタン層は、同じフォトリソグラフィ・ステップによって処理されるが、硝酸(3.9M)およびフッ化水素酸(0.78M)の混合物を使用することは、エッチング剤として使用される。次いで、N−メチルピロリドン溶媒が、必要な銀構造(直径約150μm)を暴露させるように、残りのフォトレジストを除去するために使用される。
【0109】
信号線を不動態化するために、光画定可能ポリイミド(DuPont 2703)が、ウエハの上にスピンコーティングされる。ウエハがUV暴露され、溶媒で現像された後、ポリマーは、不活性大気の下で30分間摂氏350度において焼成され、除去後、摂氏150度に冷却される。
【0110】
次いで、銀は、ウエハ全体を重クロム酸カリウム(12mM)および塩化水素酸(60mM)の水溶液に浸漬することによって塩素化される。これらのパターニングされた塩化銀電極の上にわたって、アンモニウム・イオン感応メンブレンが配置される。メンブレン材料は、シクロヘキサノン、プロピオフェノン、およびN−メチルピロリドン(1:1:1v/v/v)の溶媒システムにおいて低分子量PVC(シグマ)および高分子量カルボキシル化PVC(タイプ・ゲオン、グッドリッツ)(1:1w/w)を10g/dLの溶液の全固体含有量まで溶解させることによって作成される。分解は、摂氏70度において30分間混合物を加熱することによって達成される。この混合物に、可塑剤トリス(2−エチルヘキシル)リン酸塩(フルカ(Fluka))が、35g/dLの全固体含有量を提供するように提供される。次いで結果として得られる混合物は、摂氏45度まで冷却することが可能であり、ノナクチン(フルカ)が、混合物の全固体の2パーセントに等価な量において追加される。室温において、この最終材料の10〜100nLが、ウエハ上の塩化銀インジケータ電極のそれぞれの上にマイクロディスペンスされ、少なくとも約30μmだけすべての側面上において上に重なる。硬化が、ウエハを摂氏60度のホットプレートの上に30分置くことによって達成される。このプロセスは、約15μmの厚さを有する安定で頑丈な構造をもたらす。次いで、ウエハは洗浄され、部分的にダイス化される。ウレアーゼ溶液は、305mgのウレアーゼ(Genzyme カタログ#1661 なた豆ウレアーゼE.C.3.5.1.5>300単位/mg比放射能、自由アンモニア>0.0002モル/単位)を無菌プラスチック管に追加することによって準備され、これに対して、2.20gの100mMリン酸ナトリウム緩衝剤pH6.8が管に追加され、氷の上で穏やかに混合された。炭酸脱水酵素溶液は、無菌プラスチック管おいて1mlの100mMリン酸ナトリウム緩衝剤pH6.8に追加された0.3gの炭酸脱水酵素(Sigma−Aldrich カタログ番号C3934)で別に準備され、氷の上で穏やかに混合された。PVA溶液が、1.4500gPVA(Polysciences カタログ番号04398またはAldrichカタログ番号36.310−3)を27.4900gの脱イオン化無菌水に追加することによって準備され、これは、150℃において撹拌プレートの上で混合され、次いで室温に冷却することが可能である。
【0111】
マクロディスペンス溶液は、3.38gのラテックス(エルバス Reicholdカタログ番号40711−00)を有する2.33gのウレアーゼ溶液、0.58mLの炭酸脱水酵素溶液、1.55gの100mMリン酸ナトリウムpH6.8、1.12gのPVA溶液を追加することによって準備される。
【0112】
以下の処方は、制御可能な方式でイオン選択性層を確立するために、微量注射器アセンブリに装填することができる。微量注射器アセンブリは、150μmの直径および300μmの外径を有する25から30ゲージ針(FED Inc.)を装備することが好ましい。通常、細長い部材および針先端を含む微量注射器針は、ステンレス・スチールなどの金属材料で作成される。追加の層が、表面特性を変化させるために針の上にコーティングされることが可能である。さらに、合成ポリマーなどの他の材料も、針自体の主本体を製造するのに使用されることが可能である。電極表面の事前処置および加えられる流体の容積量に応じて、約1から約200μmにわたる厚さのメンブレン層を一貫して得ることができる。
【0113】
自動マイクロディスペンス・システム
本発明において記述される微細製造プロセスの重要な態様は、自動システムであり、これは、対象のセンサにおいて使用される材料の精確でプログラム可能な量をマイクロディスペンスすることができる自動システムである。マイクロディスペンス・システムは、真空チャックおよび注射器からなり、それぞれ、これらの要素の垂直、水平、横方向、または回転の変位の1つまたは複数を変化させる別々の手段に添付される。経済性のために、真空チャックの位置を多方向について変化させることができる限り、注射器の垂直変位を変化させる手段を有することが十分である。両要素の移動は、パーソナル・コンピュータによって制御することが可能である。真空チャックの位置は、xまたはy方向において±13ミクロン以上の範囲内において再現可能とすることが可能である。
【0114】
再現可能にディスペンスすることができる液滴サイズは、広範囲にわたる。約5から約500ナノリットル(nL)の容積サイズについて、液滴は、約5%の精度で加えることができる。0.1%の精度等級を有するソレノイドが、この目的について十分である。センサより上の注射器針の先端の高さは、ディスペンスされる容積に応じて、約0.1から約1mmの間にあるべきである。一般に、液滴の容積が小さくなると、センサからの針の上昇は低くなる。
【0115】
注射器針とセンサの事前選択領域との精確な位置合わせは、カメラおよびレチクルによって光学的に達成することができる。そのような動作は、オペレータによって手動で、視覚認識システムによって自動的に実施することができる。
【0116】
流体の容積マイクロディスペンス
この時点において、流体の単一液滴が形成され、針から排出されるときに関わる力学を考慮することが有用である。
【0117】
より多くの流体が針先端から排出される際、液滴は、液滴の質量に作用する重力が針先端との接触を維持する対抗力を超えるまで、サイズが成長する。これらの対抗力は、針先端と流体または液体との間の接着力、および液体自体の表面張力を含む。離散液滴形成が完全である低流体流量において、液滴の容積は固定される。しかし、容積は、上記で議論された流体関連パラメータのいずれかを変化させることによって、または針先端の直径を変化させ、それにより流体接着に利用可能な表面積を変化させることによって、変化させることが可能である。たとえば、針先端に加えられた疎水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)・コーティングが、液滴と最先端との間の接着力を低減することによって、水溶液ベース・ラテックス材料の自然な液滴サイズを低減する。
【0118】
制御された容積が表面上にマイクロディスペンスされなければならない環境において、液滴が完全に形成されること(次いで、重力の影響下において表面時に降下すること)を可能にしない高さにおいて、平面表面より上に配置された微量注射器先端を有することが可能であるが、部分形成液滴は実際に表面に接触し、液体と表面との間の新しい接着力が液滴に分散し始める。針先端がここで表面から離れて十分な距離Z方向において引き込まれる場合、液体の凝集力は克服され、固定液的サイズより小さい液体の容積が、依然として表面と接触している。この技法は、固定液的サイズの約1000分の1以上から任意の容積の液体を再現的にディスペンスするために使用することができる。
【0119】
所定の表面張力を有する流体組成
純粋液体とその蒸気相との間の表面張力は、試薬を追加することによって変化させることができる。たとえば、水に追加された脂肪酸が表面張力を低減し、一方、追加された塩が表面張力を増大させることができる。
【0120】
本発明のマイクロディスペンス可能な流体組成は、制御された最適の表面張力を有するように準備される。適切な接着剤が、必要時に使用される。流体の疎水性または親水性は、同じ方式で制御される。硬化メンブレンが最終産物として必要な場合、固体の含有量および揮発性溶媒の含有量は、慎重に調節される。さらに、これらの構成要素の比率は、粘性を制御するためにも使用される。
【0121】
アンモニウム・イオン・センサの好ましいマイクロディスペンス可能な組成は、PVCポリマー、可塑剤、イオノフォア、およびメンブレンの平面鋳造(たとえばスピンコーティング)に使用されるものより一般に高い粘性を有する溶媒を備える。これらのより高い粘性組成は、メンブレン層を変形せずに、硬化または乾燥する。高粘性において基質の均質性を保証し、したがって時間後に材料の相分離を防止する問題(すなわち、有効期間に関係する考慮事項)など、関係する問題も、これらの組成によって軽減される。他の付加剤も、メンブレンの長期低質化を防止するために使用される。最後に、溶媒システムは、適切な表面張力および安定性を提供するように選択される。NHセンサについて、可塑剤、PVCポリマー、およびイオノフォアの固体含有量(wt%)は、それぞれ、60〜80%、15〜40%、および0.5〜3%であることが好ましい。
【0122】
平面構造の表面エネルギーを適応させる方法
規定組成に関連する最適表面張力を有する流体の制御容積ディスペンスに関して上記で議論された因子の他に、基板または流体が上にわたってディスペンスされる表面の表面自由エネルギーを適応させることは、結果として得られる最終寸法、特に厚さに対する制御を提供する。結果的なプロセスは高度に多用途であり、変化した組成および有用性の層のアレイを付着するのを可能にする。
【0123】
厚いメンブレンを確立することについて(たとえば、40〜60μmの厚さ)、表面は、マイクロディスペンスされた流体が表面と作成する接触角度が大きくなるように適応されることが好ましい。たとえば、水溶液ラテックス・メンブレンがマイクロディスペンスされる前、表面は、まず、50°〜70°の範囲において水(制御流体)の接触角度をもたらすように、四フッ化炭素でプラズマ処置される。
【0124】
カートリッジの構成
好ましい実施形態は、サンプルにおける分析物の存在または量を決定するために液体サンプルを処理するためのカートリッジおよびその使用方法を提供する。
【0125】
図を参照すると、本発明のカートリッジは、カバー(2つの図)図10、11、ベース、図13、およびベースとカバーの間に配置され、それらを共に固着する薄膜接着ガスケット12を備える。具体的には、図10に示されたカバーの背面は、図12のガスケットの暴露面と対合し、ガスケットの背面は、図13のベースの暴露面と対合する。ここで図10を参照すると、カバー1は、剛性材料、好ましくはプラスチックで作成され、亀裂を生じずに柔軟ヒンジ領域5、9、10において反復変形することができる。カバーは、柔軟ヒンジ9によってカバーの主本体に添付されたリッド2を備える。動作時、サンプルをサンプル保持室34の中に導入した後、リッドは、入口の上にわたってサンプル・エントリ・ポート4に固着して、変形可能封止11によってサンプルが漏れるのを防止することができ、リッドは、フック3によって適所に保持される。カバーは、カバーの本体に対して可動であり、かつ柔軟ヒンジ領域5、10によってカバーの本体に添付される2つのパドル6、7をさらに備える。動作時、ポンプ手段によって動作されるとき、パドル6は、カートリッジの導管内において流体をディスペンスするために、薄膜ガスケット21によって覆われる空洞43からなる空気ブラダに力を及ぼす。第2のポンプ手段によって動作されるとき、パドル7が、変形することができるガスケット21に力を及ぼす。カートリッジは、読取り装置の中に挿入されるように適合され、したがって、このために複数の機械的接続および電気的接続を有する。また、カートリッジの手動動作が可能であることも明らかであるはずである。したがって、カートリッジを読取り装置に挿入した後、読取り装置は、空洞42に位置する約130uLの較正物流体で充填された流体包含フォイル・パックの上に圧力を伝達し、スパイク38の上においてパッケージを破裂させ、流体を導管39の中に排出し、導管39は、ベースの短い横断導管を介してセンサ導管12に接続される。較正物流体がセンサと接触するとき、センサは湿潤して、流体の構成イオンまたは分子の量に関連する信号を確立する。
【0126】
図12を参照すると、薄膜ガスケット21は、ベース内の導管とカバーとの間において流体を伝達するのを容易にし、かつガスケットが必要に応じて加圧下において変形するのを可能にするために、様々な穴およびスリットを備える。穴30および33により、カットアウエイ35または37の内部に収容される1つまたは複数の尿素センサおよび1つまたは複数の基準電極が、導管12内において流体と接触することが可能になる。
【0127】
図13を参照すると、導管34が、組立てカートリッジにおいてサンプル・エントリ・ポート4を第1導管15に接続するサンプル保持室である。カットアウエイ35および37は、空気−液体境界の位置を決定するための導電率測定センサを随意選択で収容する。凹み42が、読取り装置に挿入時にパドル7に及ぼされた圧力のためにスパイク38によって貫通される組立てカートリッジにおいて、破裂可能パウチなどの流体包含パッケージを収容する。貫通パッケージからの流体は、39において第2導管に流れ込み、次いで導管12に流れ込む。空気ブラダが、その上面上においてガスケット12によって封止される凹み43からなる。空気ブラダは、ポンプ手段の一実施形態であり、導管40において空気を変位させ、それによりサンプル34から導管15、次いで12の中にサンプルを変位させるパドル6に加えられた圧力によって作動される。
【0128】
本発明は、様々な好ましい実施形態に関して記述されたが、当業者なら、本発明の精神から逸脱せずに、様々な修正、代用、省略、および変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって限定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】(−)水溶液および(●)全欠について、1から90mM尿素の範囲にわたって、Mで表されたlog[尿素]の関数としてmVで表された従来の技術のセンサ応答のネルンスト・プロットを示す図である。
【図2】ロットAについてpH7.5における緩衝能力を示す、異なるエルバス・ポリマー・ロット(容積=20mL)の0.5M NaOH pH適定を示し、残りのエルバス・ロットがpH7.5における緩衝能力を示さない図である。
【図3】ウレアーゼ包含較正物溶液との接触後のウレアーゼ包含エルバス層の内部pHを示し(t<10s)、高い緩衝剤能力を有するサンプルが一貫内部pHを維持する(t>14s)(図では、b.c.はサンプルの緩衝能力を指す)図である。
【図4】異なるBUNセンサ設計を使用する緩衝水溶液制御流体(M1=50mM尿素;P1=20mM尿素)に対する応答曲線を示し、上部:標準BUNセンサ;変性ウレアーゼを有するBUNセンサ;ウレアーゼと置き換わるたんぱく質(牛の血清アルブミン)を有するBUNセンサ、底部:標準BUNセンサ;7.4および1週齢に緩衝された酵素層を有するBUNセンサ;炭酸脱水酵素を追加されたBUNセンサ;透析ウレアーゼを有するBUNセンサを示す図である。
【図5】酵素層に対する修正を有するBUNセンサについて、全血応答曲線1日を示す図である。
【図6】酵素層に対する修正を有するBUNセンサについて、40℃における4日カートリッジ培養後の全血応答曲線を示す図である。
【図7】酵素層に対する修正を有するBUNセンサについて、40℃における4日培養後の緩衝水溶液制御流体(M1=50mM尿素)の応答曲線を示し、追加の炭酸脱水酵素を有する修正BUNセンサが信号の増大を示す図である。
【図8】電位差血液尿素窒素(BUN)センサおよび基準電極のトポロジ的概略側面図である。
【図9】単一チップ上の異なるセンサのアレイを示す、図8のセンサの上面図である。
【図10】センサ・カートリッジ・カバーの等角投影上面図である。
【図11】センサ・カートリッジ・カバーの等角投影底面図である。
【図12】センサ・カートリッジのテープ・ガスケットのレイアウトの上面図である。
【図13】センサ・カートリッジ・ベースの等角投影上面図である。
【図14】分子量マーカ、市販のウレアーゼ、および市販の炭酸脱水酵素を有する銀彩色SDS−PAGEたんぱく質ゲルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルにおいて尿素を検出するデバイスであって、(a)尿素を含むと思われるサンプルが接触することが可能であるセンサであって、前記センサの少なくとも一部の上に固定化されたウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を含むセンサ、ならびに(b)前記センサからの信号を処理するための検出器システムを備える、デバイス。
【請求項2】
前記センサが、アンモニウム・イオン選択性センサを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記センサが、pHセンサを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記センサが、二酸化炭素センサまたは重炭酸センサを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記センサが、導電率センサを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記固定化酵素を有さない第2のセンサをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記センサが、電流滴定電極、電位差電極、導電率測定電極、光学センサ、またはその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2のセンサが、電流滴定電極、電位差電極、導電率測定電極、光学センサ、またはその組合せからなる群から選択される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アンモニウム・イオン選択性センサが、アンモニウム・イオノフォアを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記アンモニウム・イオン選択性センサが、ノナクチンを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項11】
前記アンモニウム・イオン選択性センサが、可塑化ポリマーを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
前記センサが、電位差アンモニウム・イオン選択性電極を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記酵素が層において固定化され、前記層が水浸透性基質を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記水浸透性基質が、膜形成ラテックスを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記膜形成ラテックスが、エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマーを備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記酵素の少なくとも1つが、化学架橋試薬を介して固定化される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記酵素の少なくとも1つが、物理的吸収を介して固定化される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記層が緩衝剤をさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項19】
前記緩衝剤が、リン酸塩、トリス、HEPES、またはその組合せからなる群から選択される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記膜形成ラテックスが、リン酸塩、トリス、HEPES、またはその組合せからなる群から選択された緩衝剤を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項21】
ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素が含まれる水浸透性基質を備えるメンブレン。
【請求項22】
前記少なくとも2つの酵素が、前記水浸透性基質において固定化される、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項23】
イオン選択性電極と物理的に接触する、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項24】
検出器と物理的に接触する、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項25】
Oリングによってイオン選択性電極に物理的に添付される、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項26】
イオン選択性電極と対合することができる固定具に添付される、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項27】
液体混合物を表面上に加え、前記液体混合物が前記表面上において乾燥することを可能にすることによって形成される、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項28】
尿素検出デバイスの構成要素を形成する、請求項27に記載のメンブレン。
【請求項29】
前記尿素検出デバイスが、電流滴定電極、電位差イオン選択性電極、光学センサ、導電率測定電極、またはその組合せからなる群から選択される、請求項28に記載のメンブレン。
【請求項30】
前記尿素検出デバイスが、微細製作センサを備える、請求項28に記載のメンブレン。
【請求項31】
前記微細製作センサが、イオン選択性電極を備える、請求項30に記載のメンブレン。
【請求項32】
前記微細製作センサが、アンモニウム・イオンに応答する、請求項30に記載のメンブレン。
【請求項33】
前記水浸透性メンブレンがラテックスである、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項34】
酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリウレタン、グルタルアルデヒドで架橋された牛の血清アルブミン、アクリルアミド、セロファン、膜形成ラテックス、またはその混合物からなる群から選択されたポリマーを備える、請求項21に記載のメンブレン。
【請求項35】
第1の層でコーティングされた電極を備えるサンプルにおいて尿素を検出するデバイスであって、前記第1の層が、可塑化ポリマー、アンモニウム・イオノフォア、ならびに前記第1の層の上において固定化されたウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素を備える、デバイス。
【請求項36】
サンプルにおいて尿素を検出するためのデバイスであって、可塑化ポリマーおよびアンモニウム・イオノフォアを備える第1の層と、前記第1の層の少なくとも一部の上にわたって、かつそれと接触して配置され、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素が含まれる水浸透性基質を備える第2の層とでコーティングされた電極を備える、デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも2つの酵素が、前記水浸透性基質において固定化される、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
サンプルにおいて尿素を検出するための微細製作感知デバイスであって、
(a)パターニングされた微細電極表面を有するほぼ平面の基板と、
(b)可塑化ポリマーおよびノナクチンを備える前記基板の少なくとも一部の上にわたる第1の層と、
(c)前記第1の層の少なくとも一部の上にわたって配置され、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの酵素が含まれる水浸透性基質を備える第2の層とを備える、デバイス。
【請求項39】
前記ポリマーがポリ塩化ビニルである、請求項38に記載の微細製作感知デバイス。
【請求項40】
前記パターニングされた微細電極表面が、アンモニウム・イオンの存在に応答して電位を確立する、請求項38に記載のデバイス。
【請求項41】
前記少なくとも2つの酵素が、前記水浸透性基質において固定化される、請求項38に記載のデバイス。
【請求項42】
前記第1および第2の層がマイクロディスペンスされる、請求項38に記載のデバイス。
【請求項43】
酵素ウレアーゼが固定化される層を有する尿素を検出するための改良イオン選択性センサであって、改良が、前記層において少なくとも1つの他の酵素炭酸脱水酵素を固定化することを備える、改良イオン選択性センサ。
【請求項44】
サンプルにおいて尿素を検定する方法であって、尿素を含むと思われるサンプルとウレアーゼおよび炭酸脱水酵素の少なくとも2つの固定化酵素を有するセンサとを接触させることと、
アンモニウム・イオン・センサ、pHセンサ、二酸化炭素センサ、重炭酸塩センサ、導電率センサ、またはその組合せからなる群から選択されたセンサで化学成分を検出することとを備える、方法。
【請求項45】
前記化学成分が、アンモニウム・イオンである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
検出されたアンモニウム・イオンの量が、前記サンプルにおける尿素の量の関数である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記センサが電位差式であり、前記関数が実質的に対数的である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記センサが、前記サンプルが前記センサと接触する前または後に、既知の量のアンモニウム・イオンを含む水溶液流体に前記センサを暴露することによって較正される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
尿素センサの感度を向上させる方法であって、センサが、検出器および固定化酵素ウレアーゼを備え、第2の固定化された酵素である炭酸脱水酵素の有効量を前記センサに追加することを備える、方法。
【請求項50】
前記検出器が、アンモニウム・イオン選択性センサを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記検出器が、pHセンサを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記検出器が、二酸化炭素センサまたは重炭酸塩センサを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記検出器が、導電率センサを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記酵素のない第2の検出器が、異なる信号を測定するために使用される、請求項49に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−511837(P2008−511837A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530328(P2007−530328)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/031048
【国際公開番号】WO2006/028871
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(501354521)アイ−スタット コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】