血管外遊出検出装置
一実施形態は、エンクロージャと、患者に取外し可能に接続されるべくエンクロージャに連結されているアタッチメントと、エンクロージャ内に収められた検出組立体とを有する血管外遊出検出装置を提供する。検出組立体は、ハウジングと、医療用流体の患者からの血管外遊出により引き起こされて検出装置に作用される力又は圧力を表す信号を生成するためにハウジングに取り付けられたトランスジューサとを含んでいる。検出装置のこの実施形態は、患者の手又は他の注入部位に取り付けられる。血管外遊出が生じて、腫れ又は膨れがトランスジューサを押圧したとき、臨床医師に警告を発するためにアラームが発出されることが可能であるか、又は装置は、電動注入システムに注入プロセスを自動的に停止又は中断させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は概ね医療システムにおける血管外遊出検出装置の使用に関するものであり、より詳しくは、医療用注入処置の際に患者からの造影剤の血管外遊出を検出するために用いられる装置である。
【背景技術】
【0002】
多くの医療用診断処置及び治療処置において、医師又は他の訓練を受けた臨床医は流体を患者の中に注入する。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)処置の間に、医師は、処置中に撮られる一以上のX線像における身体内構造の可視性を高めることを助けるために造影剤を患者の中に注入する。造影剤を注入するために、臨床医は手動注入シリンジを使用するか、又は代わりに電動造影剤注入装置を使用する。カニューレが手動注入シリンジまたは前記注入装置に連結されて、造影剤を患者の中に(例えば患者の手又は腕の血管等の中に)注入するために用いられる。
【0003】
血管外遊出は、血管それ自身の中にではなく血管の周囲の組織の中への造影剤のような注入流体の不測の浸出としてしばしば特徴付けられている。血管外遊出は例えば、脆い脈管系、又は弁の疾病、又は不適切な針の配置、又は注入針が意図された血管から引き抜かれるか、若しくは前記針に血管壁を押して貫通させることを結果として招く患者の移動によって引き起こされることがある。さらに、現代の一部の処置の高い注入圧力及び/又は速度は血管外遊出のリスクを高める。例えばCTでは、造影剤の注入流速は、一部の例では、0.1から10ml/秒の範囲が可能であり、それは血管外遊出の可能性を高める。
【0004】
血管外遊出に関する合併症は、潜在的に非常に厳しく、組織の壊死を含むことがある。これは修復のための再建外科手術を必要とする。従って、流体の注入を実施するとき血管外遊出をできるだけ早く検出すること及び検出したとき注入を中止することが非常に重要である。
【0005】
幾つかの血管外遊出技術が本技術分野で知られている。血管外遊出を検出する二つの単純で非常に有用な技術は、臨床医による患者の注入部位近傍の触診と、注入部位近傍の単純な目視観察とである。触診法では、臨床医は、血管外遊出に起因する注入部位近傍の組織の腫脹を手で感知する。目視観察技法を用いたとき、血管外遊出に起因する注入部位近傍の皮膚の腫脹を直接に観察することもときには可能である。
【0006】
触診法及び観察法に加えて、血管外遊出を検出する数々の自動化された方法がある。これらの方法は、注入部位における又は注入部位近傍における皮下温度の検出、マイクロ波血管外遊出検出、インピーダンス変化検出及び測定、光感知検出、及び他のいくらかの技法の形を含んでいる。これらの方法の一部のものは、血管外遊出の検出の際における警報状態の自動的発出を準備している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な実施形態は、再利用可能な血管外遊出検出装置を提供する。一実施形態では、この検出装置は患者の手又は他の注入部位に取り付けられる。血管外遊出が発生し始めたとき、腫脹又は膨れが患者の注入部位の近傍に生じ始める。腫脹又は腫れが、血管外遊出検出装置のセンサに接触して圧力を加えたとき、医師(若しくは技師)に警告を与えるために警報が発出されることが可能であるか、又は該装置は電動注入システムに注入プロセスを自動的に停止又は中止させる。一実施形態では、血管外遊出検出装置は、センサ負荷プラットフォームを備えるプラスチックハウジングに入れられた力センサを具備しており、前記センサ負荷プラットフォームは、大気に露出されており、また柔軟なゴム製のハウジングに収められている。
【0008】
一実施形態は、エンクロージャと、患者に取外し可能に接続されるべくエンクロージャに結合されているアタッチメントと、エンクロージャ内に収められた検出組立体とを有する血管外遊出検出装置を提供する。この実施形態では、検出組立体は、ハウジングとトランスジューサとを含んでおり、トランスジューサは、患者からの医療用流体の血管外遊出により引き起こされて該検出装置に作用された力又は圧力を表す信号を生成するためにハウジングに結合されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、患者の注入部位に又は注入部位の近傍に取り付けられた血管外遊出検出装置(EDD)106の実施形態の概略図である。例えば、EDD106は、造影剤のような医療用流体が取り入れられる場所の血管の近くの患者の腕又は手に取り付けられる。図1は、患者の腕又は手100の横断面図を含んでいる。様々な血管(例えば静脈)102a、102b、102cも示されている。EDD106の一つの目的は、患者への傷害を非常に早い段階で防ぐために、少量の造影剤の注入(例えば10ml未満)で発生し得る血管外遊出を検出することである。図1に示されるEDD106は、トランスジューサ(例えば、ロードセル又は圧力センサ)をベースにしたものであり、患者の注入部位の上又は近くに配置される。造影剤が(例えば患者の血管から出て皮膚組織の中に)漏れ始めて血管外遊出が引き起こされると、膨れが生じてトランスジューサ108を押圧する。一実施形態では、トランスジューサ108はロードセル又は圧力センサを具備している。トランスジューサ108はそれに加えられる力又は圧力を感知し、次に、感知された力又は圧力を表す電気信号のような対応する信号を発生する。電圧信号のような電気信号はトランスジューサ108によって外部装置に伝送され、次いで前記外部装置は潜在的血管外遊出が検出されたことを示す警告又は警報を医師又は操作者に提供する。EDD106が、(図5に示されたような)自動注入システムに連結された場合、前記注入システムは、患者からの流体の更なる潜在的血管外遊出を避けるために、EDD106から受信した信号を使用して、注入器の停止操作を始動させる。
【0010】
一実施形態では、EDD106は使い捨て式のエンクロージャ又はカバーを含んでいる。このカバーは、プラスチック、ラテックス、ビニール、又は他の材料のような、柔軟又は可撓性又はエラストマー材料から作られる。一実施形態では、医師はEDD106を患者の注入部位の近傍に縛り付ける。EDD106を患者にしっかり取り付けるために、ストラップ104が用いられる。他の実施形態では、医師は代わりに、EDD106のエンクロージャ(カバー)に塗布された除去可能な接着剤を使ってEDD106を患者に取り付ける。ストラップ104又は(図1の実施形態に図示されない)除去可能な接着剤は、対応するエンクロージャと共に、一人の患者毎を基本にして用いられて、各個人の処置の後に処分される。しかしながらトランスジューサ108を含むEDD106の残りの部分は、一人の患者から次の患者へ再利用され得る。
【0011】
図1に示されるEDD106は様々な恩恵及び利点を提供する。例えば、EDD106に用いられている感度のよいロードセルは、非常に早い段階又は初期の段階で潜在的な血管外遊出を検出するために迅速に処理される信号を生み出し、このことは患者に対する傷害を防止することに役立つ。EDD106は使用が簡単でもあり、また様々な構成要素(例えばEDDのハウジングと共にトランスジューサ108)が再利用可能である。使い捨ての構成要素は、エンクロージャ及び対応するストラップ104又は接着剤等の患者に接触する構成要素である。
【0012】
図2A〜2C及び図3A〜3Bは血管外遊出装置(EDD)106の特定の実施形態の様々な図である。図2AはEDD106の一実施形態の側面断面図である。EDD106のトランスジューサ108(例えば、力又は圧力センサ)はセンサハウジング112内に含まれている。トランスジューサの底部が負荷プラテン110と結合されている。EDD106の底部は、図2Aに示されるように、注入部位の近傍の患者の皮膚の表面上に配置される。図2Aに示されるリード114はEDD106によって生成された信号を検出インタフェイス又は自動注入システムのような遠隔装置に送信することができる。送信された信号は、EDD106のトランスジューサ108によって検出された力又は圧力の大きさを表している。図2AはEDD106の再利用可能な構成要素を示している。EDD106は、図3Aに示される使い捨てのエンクロージャも含むことができる。柔軟な又はエラストマーのエンクロージャから構成され得る使い捨てのエンクロージャは、患者の皮膚に直接に接触し、EDD106の残りの部分が更なる患者の処置のために再利用され得るように患者の処置の後に取り除かれる。
【0013】
図2B及び図2CはEDD106の代わりの斜視図である。図2BはEDD106の斜視図である。図2CはEDD106の平面図である。図で見られるように、図2Aは図2Cの切断線A〜AによるEDD106の断面図を実際に示している。
【0014】
一実施形態では、EDD106はロードセルのような力センサをトランスジューサ108として含んでいる。ロードセルは、(プラスチックハウジングのような)ハウジング112内に入れられており、部分又は全体組立体が、エラストマーのエンクロージャのような使い捨てのカバー内に無菌にするために入れられている。EDD106は、例えば柔軟な又はエラストマーのストラップ又は除去可能な接着剤を使用して患者の皮膚に取り付けられる。EDD106は、カニューレが患者の静脈に配置される注入部位に又はその近くに配置される。センサ負荷プラテン110と患者の皮膚の表面との間の距離は、EDD106の感度と、患者の皮膚によりEDD106に加えられる力の大きさを検出するための潜在的応答時間とを調節するために、望ましく調節及び変更されることが可能である。一部の例では、医師又は他の専門家は、患者に対してある量の生理食塩水のような希釈液を注入することにより静脈開通性試験を始めることもある。一部の実施形態では、EDD106はそのような開通性試験の間に血管外遊出を検出することができる。成功裡の試験の間にさえも、この開通性注入は、一部の個人に対して静脈の若干の膨れ及び静脈の負荷プラテン110への接触を引き起こすことがある。この膨れの量をこの個人の基準点として用いることが可能である。例えば、EDD106と接続しているシステムはEDD106によって生成されてEDDリード114によって送信された全ての信号を受信する。静脈開通性試験の際に第1信号レベル(例えば電圧レベル)が接続されたシステムにEDD106によって送信されたとき、このシステムは、この第1信号レベルを基準位置として利用できる。実際の注入処置の間(造影剤が供給され始めたとき)に、もしEDD106が基準信号の値より大きい(又は所定のデルタ量で大きい)値を有する信号を送信したなら、インタフェイスシステムは、潜在的血管外遊出が発生していることを決定して、警告警報又は警告信号を発出する。もし自動注入システムの一部が、患者からの流体の更なる血管外遊出を避けるためにインタフェイスシステムは注入プロセスを中止又は停止する。一実施形態では、EDD106は、圧力トランスジューサのような圧力センサをトランスジューサ108として含んでいる。
【0015】
一実施形態では、EDD106は5ml未満の造影剤の血管外遊出を検出することができる。EDD106のトランスジューサ108は力又は圧力トランスジューサを含み得る。一実施形態によると、トランスジューサ108が力トランスジューサを含んでいるなら、センサは圧縮又は引張りロードセルのどちらかを具備している。一部の実施形態によると、EDD106のハウジング112は任意のタイプの硬質プラスチック又は金属であってよい。一実施形態によると、使い捨てのエンクロージャは、皮膚の膨れに接して曲がることができる可撓性又は柔軟な又はエラストマーの材料からなるものであり、また個人と前記装置との間に無菌バリヤを設けるのに役立つ。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャが、無菌バリヤを提供するプラスチック材料から作られる。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャは、やはり無菌バリヤを提供するラテックス又はビニールのような柔軟な材料から作られる。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャは、それが個々の患者の使用の後に処分されてよいので低コストの材料から作られる。
【0016】
図3Aは、使い捨てのエンクロージャ320を含む血管外遊出検出装置(EDD)306の斜視図である。図で示されるように、EDD306はハウジング312とリード314とを含んでいる。一実施形態では、ハウジング312はプラスチック材料から構築されている。他の実施形態では、例えば金属のような他の材料が使用される。リード314は、患者の皮膚によってEDD306に加えられて検出された力又は圧力を表す電気信号を送信することができる。これらの信号は、リード314によって電動注入システムのような外部システムに処理のために送信される。一実施形態ではリード314は絶縁カバーを含んでいる。
【0017】
EDD306は使い捨てのエンクロージャ320を更に含んでいる。エンクロージャ320は、図3Aに示される例ではEDD306のハウジング312を取り囲んで収めている。一実施形態では、エンクロージャ320は、リード314が通り貫ける開口を含んでいる。使い捨てのエンクロージャ320はエラストマ材料から作られるか、又は代わりにEDD306の残りの部分と患者との間に無菌の境界を提供する他の材料から作られる。エンクロージャ320は、EDD306のハウジング312の周囲にぴったり嵌り、またEDD306に対して作用した力又は圧力が直ちに及び正確にセンサによって検出され得るような材料から作られている。使い捨てのエンクロージャ320は、一人の患者毎を基本にして使用され、及び従って一個人の患者の処置が完了した後に処分される。ハウジング312、リード314及び(図3Aには示されない)センサを含むEDD306の残りの部分は、様々な異なる患者の処置のために再使用され得る。従って、図3Aに示されるEDD306の実施形態は、多数回使用構成要素及び単一回使用構成要素を含んでいる。
【0018】
EDD306は、使い捨てのエンクロージャ320に取り付けられた柔軟な若しくはエラストマーのストラップ、又は接着被膜を更に含む。ストラップ又は接着剤はEDD306を患者に取り付けるために使用される。一実施形態では、ストラップ又は接着剤は使い捨てのものであって、一人の患者毎を基本に使用される。
【0019】
図3Bは、EDD306の代替実施形態の斜視図であり、そこでは使い捨てのエンクロージャ330がEDDハウジング312の一部分だけを覆っている。図に示されるように、エンクロージャ330はEDD306の底部を覆っており、前記EDD306の底部はハウジング312の底部にあるトランスジューサ(センサ)310を含んでいる。エンクロージャ330は柔軟な又はエラストマーの材料から作られており、それ故EDD306の部分の周囲にぴったり嵌められることが可能である。図3Bに示される実施形態では、エンクロージャ330は、EDD306のそうしなければ患者の皮膚に実質的に接触することとなる部分だけを覆う。エンクロージャ330は、患者とEDD306との間に無菌のバリヤを提供する材料から作られており、また一人の患者毎を基本にして用いられる。従って、エンクロージャ330は一個人の患者の処置の後に処分される。ハウジング312及びリード314を含むEDD306の残りの部分は複数の患者に及ぶ処置で再利用され得る。
【0020】
図4は、造影剤のような医療用流体を患者400の中に注入するための手動シリンジと共に使用される血管外遊出検出装置(EDD)の実施形態の概略図である。図4の例に示されるように、EDD106が使用されているが、EDD306が他の実施形態で使用されてもよい。EDD106は、柔軟な又はエラストマーのストラップのようなストラップ104を使用して患者400に取り付けられる。EDD106は、血管外遊出検出器インタフェイス410及びユーザインタフェイス412を具備する外部システム406に連結されているリード402を含んでいる。EDD106は、造影剤のような医療用流体の注入部位に非常に近接して患者400に配置される。シリンジ408は、該シリンジ408に連結されている配管404経由でそのような流体を患者400の中に注入する。一実施形態では、臨床医師は流体を患者400の中に注入するためにシリンジ408を手動で操作する。流体は図示された配管404を通って移動して、カニューレを介して患者400の中に注入される。
【0021】
上述されたように、EDD106は、患者の皮膚によってEDD106のセンサに作用された力又は圧力を検出することができる。例えば、血管外遊出に起因して形成され始めた膨れからの力又は圧力はEDD106によって感知されることが可能である。EDD106は、作用される他の形の力又は圧力であって皮膚の膨れ、変形、又は他の形体上の特徴の原因になる他の形の力又は圧力を検出することができる。検出された力又は圧力を表す信号がEDD106によって生み出されて、EDDリード402を介して外部システム406へ送信される。
【0022】
図4の例に示されるように、外部システム406は血管外遊出検出器インタフェイス410とユーザインタフェイス412とを含んでいる。外部システム406は、血管外遊出(又は潜在的血管外遊出)の発生を示すために、警告信号又は警報を手動シリンジ408の操作者に提供することができる。検出器インタフェイス410は、EDD106により生み出されて入ってくる信号を処理する。外部システム406に設定された構成又は規則に基づいて、検出器インタフェイス410は、潜在的血管外遊出が患者400にいつ発生したかを決定する。これは典型的には、患者の皮膚によってEDD106に対して加えられた力又は圧力を表す感知された信号(例えば電圧)が、設定された値又は所定の値に達するか超えるかしたとき起こる。この値は、患者の特徴又は血管外遊出の病歴、処置のタイプ又は流体注入のタイミング、注入場所(例えば手又は腕)、及び静脈開通性試験の結果を含む様々な要因に基づくものである。設定された閾値又は所定の閾値は、外部システム406に事前に入れられるか又は設定されることが可能であるが、一実施形態によると、医師の、又は患者の、又はその他の処置の特定の考慮事項の説明となるために、訓練を受けた臨床医によって調節されることが可能である。
【0023】
検出器インタフェイス410が、血管外遊出(又は潜在的血管外遊出の発生)が起きたことを確認したなら、それは、シリンジ式注入の操作者に対する警報をユーザインタフェイス412により生成させることができる。例えば、ユーザインタフェイス412はグラフィックディスプレイ上に可視警報を発出するか、又は連結されたスピーカを介して可聴警報を発出することもでき、その結果操作者は適切な行動をとることができる。例えば、操作者が警報に気付くと、彼又は彼女は、患者400に対する傷害を避けるために注入を停止すること又は患者の処置を中断することを決定できる。
【0024】
図5は、自動又は電動注入システム510と共に使用され得る血管外遊出検出装置(EDD)の実施形態の概略図である。代替実施形態では、電動又は自動注入器の他の形が使用される。この実施形態では、EDDはEDD306であるが、EDD106が他の実施形態で使用されてもよい。EDD306は、例えばストラップ又は接着剤502を用いることにより患者500に(注入部位に近接して)取り付けられる。注入システム510は、ユーザインタフェイス516、(例えば造影剤のような)医療用注入流体の容器512、(例えば生理食塩水のような)希釈液の容器514、造影剤用の注入ポンプ522b、希釈液用の注入ポンプ522a、モーター/アクチュエータユニット530a及び530b、並びに容器512及び514からそれぞれのポンプ522b及び522aへ結び付けられた配管を含んでいる。図5に示される一実施形態では、ポンプ522b及び522aはシリンジを含んでいる。他の実施形態では、蠕動ポンプのような他の形のポンプが使用されることがある。他の実施形態では、造影剤と希釈液の両方に対して単一のポンプが使用されることがある。配管は組立体520b及び520aを通り貫ける。図5の例では、組立体520b及び520aはピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素を含んでいる。ピンチ弁構成要素は、容器512及び514からポンプ522b及び522aそれぞれへの流体の流れを選択的に許容又は制限するために注入システム510によって制御される。空気検出構成要素は、配管ライン内の気泡又は気柱を検出したとき信号を生成することができ、そのような信号は注入システム510に伝送されて注入システム510によって処理される。他の実施形態では、流体の流れを選択的に許容又は制限するために他のタイプの弁が使用されてよい。一部の実施形態では、注入システム510は空気検出構成要素を含まない。特定の実施形態では、空気検出構成要素は使用されないが、他の形の空気防止機構又は空気除去機構が注入システム510のために配置される。
【0025】
ポンプ522b及び522aからY字形管継手506へ及び配管504の方へ出力配管が通じており、前記配管504は医療用流体の注入のために患者500まで延びている。一実施形態によると、Y字形管継手506は、患者500への流体の流れを許容するが患者500から注入システム510の方へ戻る流体の流れを禁止するために、例えば逆止弁又は他の機構の弁を更に含んでいる。図5に示される実施形態では、ポンプ522b及び522aは二重ポートシリンジを具備しており、前記二重ポートシリンジの各々は(入力配管のための)入力ポートと(出力配管のための)出力ポートとを有している。ポンプ522b及び522aからの出力配管は、(組立体518b及び518aにおける)追加のピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素を通ってY字形管継手506へ延びており、前記ピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素は患者500への出力流体の流れを制御すると共にラインを気泡又は気柱について監視する。
【0026】
図5の注入システム510は、EDD306により生成されてリード508により注入システム510へ送信された入力信号を処理する検出器インタフェイスを含んでいる。この検出器インタフェイスは注入システム510に組み込まれることが可能である。図4の外部システムと同様に、図5の注入システム510は、血管外遊出の事象(又は潜在的血管外遊出の事象)がいつ発生したかを決定することができる。この決定が為されたとき、注入システム510は、事象の操作者に対して注意を喚起するために、ユーザインタフェイス516を使って可視又は可聴警報を発出することもある。更に、注入システム510は、患者500に対する傷害を避けるために注入処置を自動的に停止又は終わらせることも可能である。
【0027】
図6A〜6Bは血管外遊出検出装置(EDD)により生み出された電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。電圧信号は、例えばEDD106又はEDD306のような前述のEDD実施形態のどれによっても生み出される。患者の皮膚によってEDDに対して力又は圧力が加えられたとき、EDDは感知された力又は圧力を表す信号を生成する。やがて、及び個々の患者の処置の間に、EDDは(先の図に示される)リードを越えて外部システムへ送信される信号の組を生成する。
【0028】
図6Aは、EDDによって生み出された電圧を時間の関数として示す第1の例示的グラフである。個々の患者の注入の初期の段階で、EDDは電圧V1を生み出す(前記電圧V1は特定のシナリオではゼロ又はほぼゼロである)。やがてEDDは、患者の皮膚によりEDDに対して加えられる力又は圧力の増大に起因して、増大する電圧レベルを規則的に生み出す。特定の点で、EDDは時刻T3において電圧V2を生み出し、V2はV1より大である。一実施形態では、外部システムは、電圧レベルV2が血管外遊出の発生を表すことを決定して、(例えば警報信号の提供又は注入処置の終了のような)適切な行動をとることができる。
【0029】
図6Bは、EDDにより生み出された電圧を時間の関数として示す第2の例示的グラフである。この図に示されるように、生み出された電圧レベルはより急速に増大している。外部システムは、顕著な及び急速な血管外遊出の事象が発生していることを、EDDから受信した電圧信号の解釈に基づいて決定する。一つのシナリオでは、前記システムは、それが時刻T2においてEDDから送信された電圧レベルV2を検出したとき使用者に対して警告を発する。図6Bの例では、EDDは、それが図6Aの例で行ったよりも急速に電圧レベルV2を生み出す。前記システムは、それが時刻T3においてEDDから送信された電圧レベルV3を検出したとき、更なる警告を発して注入処置を追加的に停止又は終わらせる。他のシナリオでは、前記システムは、医師の、又は患者の、又は他の処置の特定の考慮事項に基づいてV2及びV3より小又は大である事前設定されたか規定された電圧レベルに基づいて警告信号及び停止信号を発する。一部の実施形態では、前記システムは、電圧レベルがどのように急速に変化するか(例えばデルタ電圧/デルタ時間)に基づいて警告信号又は停止信号を発する。一部の実施形態では、予め決められた電圧閾値レベル(例えば、V2又はV3)が、医療用流体の注入に先立って患者に対して実施された静脈開通性試験からの情報のような先行情報に基づいている。
【0030】
EDDの一実施形態では、流体の血管外遊出に基づくEDDの生成された電圧を追跡するために試験が行われた。これらの試験はEDDのセンサーにより検出された圧力の大きさも追跡した。この試験実施形態では、EDDはロードセル(FS20 1500 グラムズ フォース MSI センサー(Grams Force MSI Sensor))を含んでいた。サンプル試験結果が下の表1に示される。この表からわかるように、EDDは、小体積の血管外遊出によってセンサに加えられた小さな圧力を検出する能力がある。さらにEDDは、自動注入システムのような外部システムにより効果的に処理され得る電圧信号を生成する能力がある。加えて、血管外遊出結果の体積における小さな変動は、生成された電圧出力における顕著な変化であり、これは外部システムが患者傷害の機会を最小限に抑えるために血管外遊出を早期に迅速に検出できることを意味している。
【表1】
【0031】
図7は、血管外遊出検出装置(EDD)に接続される自動注入システム内に組み入れられ得る構成要素の図である。例えばこれらの構成要素は、図5に示される自動注入システム510内に組み入れられる。自動注入システムはリードを介してEDDに接続され、前記リードはEDDによって生み出された電気信号を伝送することができる。
【0032】
図7に示されるように、自動注入システムは血管外遊出検出器インタフェイス710を含んでいる。この検出器インタフェイス710は、一実施形態による図4の外部システムで示された検出器インタフェイス410に同様の機能を備える。一実施形態では、検出器インタフェイス710は、血管外遊出事象又は潜在的血管外遊出事象が患者に生じているかどうかを確認するためにEDDによって生成された入力信号を受信して処理する。検出器インタフェイス710がそのような事象の発生を確認すると、それはポンプ電子機器714及び/又はユーザインタフェイス712と通信する。例えば、検出器インタフェイス710は、システムの操作者への警告メッセージ(例えば、可視メッセージ、可聴メッセージ)の供給を引き起こすためにユーザインタフェイス712と通信する。一実施形態では、ユーザインタフェイス712は、事象が検出器インタフェイス710によって生み出されたとき、注入オプションのようなオプションを使用者に提供する。これらのオプションの一つを選択することによって、操作者は、流体の血管外遊出によって引き起こされる患者傷害の可能性を最小限に抑えるために、注入の終了、注入の一時停止、または注入パラメータの変更が可能である。
【0033】
検出器インタフェイス710は、血管外遊出事象の検出の際に注入処置を自動的に終了又は一時停止させるために注入システムのポンプ電子機器714と通信することもある。ポンプ電子機器714の状態がユーザインタフェイス712に表示される。
【0034】
血管外遊出検出装置(EDD)の様々な実施形態が上で説明され、また添付図面に示されている。これらの及び他の実施形態は、医療用流体が患者の血管系内に注入される異なるタイプの医療処置の際に用いられる。例えば、EDDの様々な実施形態はコンピュータ断層撮影(CT)処置の間に用いられる。さらに、EDDの様々な実施形態は、血管造影CT又は磁気共鳴映像(MRI)処置のために使用される可能性がある。特定の実施形態は、医療用流体の任意の形の血管外遊出を注入処置の間に検出して患者への傷害を防ぐ助けにするために用いられる。
【0035】
前述の説明は、本発明の様々な実施形態の原理を包含する実施形態を扱っている。実施形態は、様々なタイプの配置構成を用いて、変更、修正、及び/又は実行されてよい。本技術分野に知識を有する者は、本明細書で図解及び記載された例示的実施形態及び応用例に厳格に従うことなく、及び添付の請求項に示された本発明の範囲から逸脱することなくこれら実施形態に対して為され得る様々な修正及び変更を容易に認めるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】患者の注入部位に又は注入部位の近傍に取り付けられた血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図2A】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図2B】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図2C】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図3A】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図3B】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図4】患者の中へ造影剤を注入するための手動式シリンジと共に用いられる血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図5】自動または電動注入システムと共に用いられる血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図6A】血管外遊出検出装置により生み出される電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。
【図6B】血管外遊出検出装置により生み出される電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。
【図7】一実施形態による、血管外遊出検出装置に連結された自動注入システム内に組み入れられる構成要素の図である
【技術分野】
【0001】
本出願は概ね医療システムにおける血管外遊出検出装置の使用に関するものであり、より詳しくは、医療用注入処置の際に患者からの造影剤の血管外遊出を検出するために用いられる装置である。
【背景技術】
【0002】
多くの医療用診断処置及び治療処置において、医師又は他の訓練を受けた臨床医は流体を患者の中に注入する。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)処置の間に、医師は、処置中に撮られる一以上のX線像における身体内構造の可視性を高めることを助けるために造影剤を患者の中に注入する。造影剤を注入するために、臨床医は手動注入シリンジを使用するか、又は代わりに電動造影剤注入装置を使用する。カニューレが手動注入シリンジまたは前記注入装置に連結されて、造影剤を患者の中に(例えば患者の手又は腕の血管等の中に)注入するために用いられる。
【0003】
血管外遊出は、血管それ自身の中にではなく血管の周囲の組織の中への造影剤のような注入流体の不測の浸出としてしばしば特徴付けられている。血管外遊出は例えば、脆い脈管系、又は弁の疾病、又は不適切な針の配置、又は注入針が意図された血管から引き抜かれるか、若しくは前記針に血管壁を押して貫通させることを結果として招く患者の移動によって引き起こされることがある。さらに、現代の一部の処置の高い注入圧力及び/又は速度は血管外遊出のリスクを高める。例えばCTでは、造影剤の注入流速は、一部の例では、0.1から10ml/秒の範囲が可能であり、それは血管外遊出の可能性を高める。
【0004】
血管外遊出に関する合併症は、潜在的に非常に厳しく、組織の壊死を含むことがある。これは修復のための再建外科手術を必要とする。従って、流体の注入を実施するとき血管外遊出をできるだけ早く検出すること及び検出したとき注入を中止することが非常に重要である。
【0005】
幾つかの血管外遊出技術が本技術分野で知られている。血管外遊出を検出する二つの単純で非常に有用な技術は、臨床医による患者の注入部位近傍の触診と、注入部位近傍の単純な目視観察とである。触診法では、臨床医は、血管外遊出に起因する注入部位近傍の組織の腫脹を手で感知する。目視観察技法を用いたとき、血管外遊出に起因する注入部位近傍の皮膚の腫脹を直接に観察することもときには可能である。
【0006】
触診法及び観察法に加えて、血管外遊出を検出する数々の自動化された方法がある。これらの方法は、注入部位における又は注入部位近傍における皮下温度の検出、マイクロ波血管外遊出検出、インピーダンス変化検出及び測定、光感知検出、及び他のいくらかの技法の形を含んでいる。これらの方法の一部のものは、血管外遊出の検出の際における警報状態の自動的発出を準備している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な実施形態は、再利用可能な血管外遊出検出装置を提供する。一実施形態では、この検出装置は患者の手又は他の注入部位に取り付けられる。血管外遊出が発生し始めたとき、腫脹又は膨れが患者の注入部位の近傍に生じ始める。腫脹又は腫れが、血管外遊出検出装置のセンサに接触して圧力を加えたとき、医師(若しくは技師)に警告を与えるために警報が発出されることが可能であるか、又は該装置は電動注入システムに注入プロセスを自動的に停止又は中止させる。一実施形態では、血管外遊出検出装置は、センサ負荷プラットフォームを備えるプラスチックハウジングに入れられた力センサを具備しており、前記センサ負荷プラットフォームは、大気に露出されており、また柔軟なゴム製のハウジングに収められている。
【0008】
一実施形態は、エンクロージャと、患者に取外し可能に接続されるべくエンクロージャに結合されているアタッチメントと、エンクロージャ内に収められた検出組立体とを有する血管外遊出検出装置を提供する。この実施形態では、検出組立体は、ハウジングとトランスジューサとを含んでおり、トランスジューサは、患者からの医療用流体の血管外遊出により引き起こされて該検出装置に作用された力又は圧力を表す信号を生成するためにハウジングに結合されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、患者の注入部位に又は注入部位の近傍に取り付けられた血管外遊出検出装置(EDD)106の実施形態の概略図である。例えば、EDD106は、造影剤のような医療用流体が取り入れられる場所の血管の近くの患者の腕又は手に取り付けられる。図1は、患者の腕又は手100の横断面図を含んでいる。様々な血管(例えば静脈)102a、102b、102cも示されている。EDD106の一つの目的は、患者への傷害を非常に早い段階で防ぐために、少量の造影剤の注入(例えば10ml未満)で発生し得る血管外遊出を検出することである。図1に示されるEDD106は、トランスジューサ(例えば、ロードセル又は圧力センサ)をベースにしたものであり、患者の注入部位の上又は近くに配置される。造影剤が(例えば患者の血管から出て皮膚組織の中に)漏れ始めて血管外遊出が引き起こされると、膨れが生じてトランスジューサ108を押圧する。一実施形態では、トランスジューサ108はロードセル又は圧力センサを具備している。トランスジューサ108はそれに加えられる力又は圧力を感知し、次に、感知された力又は圧力を表す電気信号のような対応する信号を発生する。電圧信号のような電気信号はトランスジューサ108によって外部装置に伝送され、次いで前記外部装置は潜在的血管外遊出が検出されたことを示す警告又は警報を医師又は操作者に提供する。EDD106が、(図5に示されたような)自動注入システムに連結された場合、前記注入システムは、患者からの流体の更なる潜在的血管外遊出を避けるために、EDD106から受信した信号を使用して、注入器の停止操作を始動させる。
【0010】
一実施形態では、EDD106は使い捨て式のエンクロージャ又はカバーを含んでいる。このカバーは、プラスチック、ラテックス、ビニール、又は他の材料のような、柔軟又は可撓性又はエラストマー材料から作られる。一実施形態では、医師はEDD106を患者の注入部位の近傍に縛り付ける。EDD106を患者にしっかり取り付けるために、ストラップ104が用いられる。他の実施形態では、医師は代わりに、EDD106のエンクロージャ(カバー)に塗布された除去可能な接着剤を使ってEDD106を患者に取り付ける。ストラップ104又は(図1の実施形態に図示されない)除去可能な接着剤は、対応するエンクロージャと共に、一人の患者毎を基本にして用いられて、各個人の処置の後に処分される。しかしながらトランスジューサ108を含むEDD106の残りの部分は、一人の患者から次の患者へ再利用され得る。
【0011】
図1に示されるEDD106は様々な恩恵及び利点を提供する。例えば、EDD106に用いられている感度のよいロードセルは、非常に早い段階又は初期の段階で潜在的な血管外遊出を検出するために迅速に処理される信号を生み出し、このことは患者に対する傷害を防止することに役立つ。EDD106は使用が簡単でもあり、また様々な構成要素(例えばEDDのハウジングと共にトランスジューサ108)が再利用可能である。使い捨ての構成要素は、エンクロージャ及び対応するストラップ104又は接着剤等の患者に接触する構成要素である。
【0012】
図2A〜2C及び図3A〜3Bは血管外遊出装置(EDD)106の特定の実施形態の様々な図である。図2AはEDD106の一実施形態の側面断面図である。EDD106のトランスジューサ108(例えば、力又は圧力センサ)はセンサハウジング112内に含まれている。トランスジューサの底部が負荷プラテン110と結合されている。EDD106の底部は、図2Aに示されるように、注入部位の近傍の患者の皮膚の表面上に配置される。図2Aに示されるリード114はEDD106によって生成された信号を検出インタフェイス又は自動注入システムのような遠隔装置に送信することができる。送信された信号は、EDD106のトランスジューサ108によって検出された力又は圧力の大きさを表している。図2AはEDD106の再利用可能な構成要素を示している。EDD106は、図3Aに示される使い捨てのエンクロージャも含むことができる。柔軟な又はエラストマーのエンクロージャから構成され得る使い捨てのエンクロージャは、患者の皮膚に直接に接触し、EDD106の残りの部分が更なる患者の処置のために再利用され得るように患者の処置の後に取り除かれる。
【0013】
図2B及び図2CはEDD106の代わりの斜視図である。図2BはEDD106の斜視図である。図2CはEDD106の平面図である。図で見られるように、図2Aは図2Cの切断線A〜AによるEDD106の断面図を実際に示している。
【0014】
一実施形態では、EDD106はロードセルのような力センサをトランスジューサ108として含んでいる。ロードセルは、(プラスチックハウジングのような)ハウジング112内に入れられており、部分又は全体組立体が、エラストマーのエンクロージャのような使い捨てのカバー内に無菌にするために入れられている。EDD106は、例えば柔軟な又はエラストマーのストラップ又は除去可能な接着剤を使用して患者の皮膚に取り付けられる。EDD106は、カニューレが患者の静脈に配置される注入部位に又はその近くに配置される。センサ負荷プラテン110と患者の皮膚の表面との間の距離は、EDD106の感度と、患者の皮膚によりEDD106に加えられる力の大きさを検出するための潜在的応答時間とを調節するために、望ましく調節及び変更されることが可能である。一部の例では、医師又は他の専門家は、患者に対してある量の生理食塩水のような希釈液を注入することにより静脈開通性試験を始めることもある。一部の実施形態では、EDD106はそのような開通性試験の間に血管外遊出を検出することができる。成功裡の試験の間にさえも、この開通性注入は、一部の個人に対して静脈の若干の膨れ及び静脈の負荷プラテン110への接触を引き起こすことがある。この膨れの量をこの個人の基準点として用いることが可能である。例えば、EDD106と接続しているシステムはEDD106によって生成されてEDDリード114によって送信された全ての信号を受信する。静脈開通性試験の際に第1信号レベル(例えば電圧レベル)が接続されたシステムにEDD106によって送信されたとき、このシステムは、この第1信号レベルを基準位置として利用できる。実際の注入処置の間(造影剤が供給され始めたとき)に、もしEDD106が基準信号の値より大きい(又は所定のデルタ量で大きい)値を有する信号を送信したなら、インタフェイスシステムは、潜在的血管外遊出が発生していることを決定して、警告警報又は警告信号を発出する。もし自動注入システムの一部が、患者からの流体の更なる血管外遊出を避けるためにインタフェイスシステムは注入プロセスを中止又は停止する。一実施形態では、EDD106は、圧力トランスジューサのような圧力センサをトランスジューサ108として含んでいる。
【0015】
一実施形態では、EDD106は5ml未満の造影剤の血管外遊出を検出することができる。EDD106のトランスジューサ108は力又は圧力トランスジューサを含み得る。一実施形態によると、トランスジューサ108が力トランスジューサを含んでいるなら、センサは圧縮又は引張りロードセルのどちらかを具備している。一部の実施形態によると、EDD106のハウジング112は任意のタイプの硬質プラスチック又は金属であってよい。一実施形態によると、使い捨てのエンクロージャは、皮膚の膨れに接して曲がることができる可撓性又は柔軟な又はエラストマーの材料からなるものであり、また個人と前記装置との間に無菌バリヤを設けるのに役立つ。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャが、無菌バリヤを提供するプラスチック材料から作られる。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャは、やはり無菌バリヤを提供するラテックス又はビニールのような柔軟な材料から作られる。一部の実施形態では、使い捨てのエンクロージャは、それが個々の患者の使用の後に処分されてよいので低コストの材料から作られる。
【0016】
図3Aは、使い捨てのエンクロージャ320を含む血管外遊出検出装置(EDD)306の斜視図である。図で示されるように、EDD306はハウジング312とリード314とを含んでいる。一実施形態では、ハウジング312はプラスチック材料から構築されている。他の実施形態では、例えば金属のような他の材料が使用される。リード314は、患者の皮膚によってEDD306に加えられて検出された力又は圧力を表す電気信号を送信することができる。これらの信号は、リード314によって電動注入システムのような外部システムに処理のために送信される。一実施形態ではリード314は絶縁カバーを含んでいる。
【0017】
EDD306は使い捨てのエンクロージャ320を更に含んでいる。エンクロージャ320は、図3Aに示される例ではEDD306のハウジング312を取り囲んで収めている。一実施形態では、エンクロージャ320は、リード314が通り貫ける開口を含んでいる。使い捨てのエンクロージャ320はエラストマ材料から作られるか、又は代わりにEDD306の残りの部分と患者との間に無菌の境界を提供する他の材料から作られる。エンクロージャ320は、EDD306のハウジング312の周囲にぴったり嵌り、またEDD306に対して作用した力又は圧力が直ちに及び正確にセンサによって検出され得るような材料から作られている。使い捨てのエンクロージャ320は、一人の患者毎を基本にして使用され、及び従って一個人の患者の処置が完了した後に処分される。ハウジング312、リード314及び(図3Aには示されない)センサを含むEDD306の残りの部分は、様々な異なる患者の処置のために再使用され得る。従って、図3Aに示されるEDD306の実施形態は、多数回使用構成要素及び単一回使用構成要素を含んでいる。
【0018】
EDD306は、使い捨てのエンクロージャ320に取り付けられた柔軟な若しくはエラストマーのストラップ、又は接着被膜を更に含む。ストラップ又は接着剤はEDD306を患者に取り付けるために使用される。一実施形態では、ストラップ又は接着剤は使い捨てのものであって、一人の患者毎を基本に使用される。
【0019】
図3Bは、EDD306の代替実施形態の斜視図であり、そこでは使い捨てのエンクロージャ330がEDDハウジング312の一部分だけを覆っている。図に示されるように、エンクロージャ330はEDD306の底部を覆っており、前記EDD306の底部はハウジング312の底部にあるトランスジューサ(センサ)310を含んでいる。エンクロージャ330は柔軟な又はエラストマーの材料から作られており、それ故EDD306の部分の周囲にぴったり嵌められることが可能である。図3Bに示される実施形態では、エンクロージャ330は、EDD306のそうしなければ患者の皮膚に実質的に接触することとなる部分だけを覆う。エンクロージャ330は、患者とEDD306との間に無菌のバリヤを提供する材料から作られており、また一人の患者毎を基本にして用いられる。従って、エンクロージャ330は一個人の患者の処置の後に処分される。ハウジング312及びリード314を含むEDD306の残りの部分は複数の患者に及ぶ処置で再利用され得る。
【0020】
図4は、造影剤のような医療用流体を患者400の中に注入するための手動シリンジと共に使用される血管外遊出検出装置(EDD)の実施形態の概略図である。図4の例に示されるように、EDD106が使用されているが、EDD306が他の実施形態で使用されてもよい。EDD106は、柔軟な又はエラストマーのストラップのようなストラップ104を使用して患者400に取り付けられる。EDD106は、血管外遊出検出器インタフェイス410及びユーザインタフェイス412を具備する外部システム406に連結されているリード402を含んでいる。EDD106は、造影剤のような医療用流体の注入部位に非常に近接して患者400に配置される。シリンジ408は、該シリンジ408に連結されている配管404経由でそのような流体を患者400の中に注入する。一実施形態では、臨床医師は流体を患者400の中に注入するためにシリンジ408を手動で操作する。流体は図示された配管404を通って移動して、カニューレを介して患者400の中に注入される。
【0021】
上述されたように、EDD106は、患者の皮膚によってEDD106のセンサに作用された力又は圧力を検出することができる。例えば、血管外遊出に起因して形成され始めた膨れからの力又は圧力はEDD106によって感知されることが可能である。EDD106は、作用される他の形の力又は圧力であって皮膚の膨れ、変形、又は他の形体上の特徴の原因になる他の形の力又は圧力を検出することができる。検出された力又は圧力を表す信号がEDD106によって生み出されて、EDDリード402を介して外部システム406へ送信される。
【0022】
図4の例に示されるように、外部システム406は血管外遊出検出器インタフェイス410とユーザインタフェイス412とを含んでいる。外部システム406は、血管外遊出(又は潜在的血管外遊出)の発生を示すために、警告信号又は警報を手動シリンジ408の操作者に提供することができる。検出器インタフェイス410は、EDD106により生み出されて入ってくる信号を処理する。外部システム406に設定された構成又は規則に基づいて、検出器インタフェイス410は、潜在的血管外遊出が患者400にいつ発生したかを決定する。これは典型的には、患者の皮膚によってEDD106に対して加えられた力又は圧力を表す感知された信号(例えば電圧)が、設定された値又は所定の値に達するか超えるかしたとき起こる。この値は、患者の特徴又は血管外遊出の病歴、処置のタイプ又は流体注入のタイミング、注入場所(例えば手又は腕)、及び静脈開通性試験の結果を含む様々な要因に基づくものである。設定された閾値又は所定の閾値は、外部システム406に事前に入れられるか又は設定されることが可能であるが、一実施形態によると、医師の、又は患者の、又はその他の処置の特定の考慮事項の説明となるために、訓練を受けた臨床医によって調節されることが可能である。
【0023】
検出器インタフェイス410が、血管外遊出(又は潜在的血管外遊出の発生)が起きたことを確認したなら、それは、シリンジ式注入の操作者に対する警報をユーザインタフェイス412により生成させることができる。例えば、ユーザインタフェイス412はグラフィックディスプレイ上に可視警報を発出するか、又は連結されたスピーカを介して可聴警報を発出することもでき、その結果操作者は適切な行動をとることができる。例えば、操作者が警報に気付くと、彼又は彼女は、患者400に対する傷害を避けるために注入を停止すること又は患者の処置を中断することを決定できる。
【0024】
図5は、自動又は電動注入システム510と共に使用され得る血管外遊出検出装置(EDD)の実施形態の概略図である。代替実施形態では、電動又は自動注入器の他の形が使用される。この実施形態では、EDDはEDD306であるが、EDD106が他の実施形態で使用されてもよい。EDD306は、例えばストラップ又は接着剤502を用いることにより患者500に(注入部位に近接して)取り付けられる。注入システム510は、ユーザインタフェイス516、(例えば造影剤のような)医療用注入流体の容器512、(例えば生理食塩水のような)希釈液の容器514、造影剤用の注入ポンプ522b、希釈液用の注入ポンプ522a、モーター/アクチュエータユニット530a及び530b、並びに容器512及び514からそれぞれのポンプ522b及び522aへ結び付けられた配管を含んでいる。図5に示される一実施形態では、ポンプ522b及び522aはシリンジを含んでいる。他の実施形態では、蠕動ポンプのような他の形のポンプが使用されることがある。他の実施形態では、造影剤と希釈液の両方に対して単一のポンプが使用されることがある。配管は組立体520b及び520aを通り貫ける。図5の例では、組立体520b及び520aはピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素を含んでいる。ピンチ弁構成要素は、容器512及び514からポンプ522b及び522aそれぞれへの流体の流れを選択的に許容又は制限するために注入システム510によって制御される。空気検出構成要素は、配管ライン内の気泡又は気柱を検出したとき信号を生成することができ、そのような信号は注入システム510に伝送されて注入システム510によって処理される。他の実施形態では、流体の流れを選択的に許容又は制限するために他のタイプの弁が使用されてよい。一部の実施形態では、注入システム510は空気検出構成要素を含まない。特定の実施形態では、空気検出構成要素は使用されないが、他の形の空気防止機構又は空気除去機構が注入システム510のために配置される。
【0025】
ポンプ522b及び522aからY字形管継手506へ及び配管504の方へ出力配管が通じており、前記配管504は医療用流体の注入のために患者500まで延びている。一実施形態によると、Y字形管継手506は、患者500への流体の流れを許容するが患者500から注入システム510の方へ戻る流体の流れを禁止するために、例えば逆止弁又は他の機構の弁を更に含んでいる。図5に示される実施形態では、ポンプ522b及び522aは二重ポートシリンジを具備しており、前記二重ポートシリンジの各々は(入力配管のための)入力ポートと(出力配管のための)出力ポートとを有している。ポンプ522b及び522aからの出力配管は、(組立体518b及び518aにおける)追加のピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素を通ってY字形管継手506へ延びており、前記ピンチ弁構成要素及び空気検出構成要素は患者500への出力流体の流れを制御すると共にラインを気泡又は気柱について監視する。
【0026】
図5の注入システム510は、EDD306により生成されてリード508により注入システム510へ送信された入力信号を処理する検出器インタフェイスを含んでいる。この検出器インタフェイスは注入システム510に組み込まれることが可能である。図4の外部システムと同様に、図5の注入システム510は、血管外遊出の事象(又は潜在的血管外遊出の事象)がいつ発生したかを決定することができる。この決定が為されたとき、注入システム510は、事象の操作者に対して注意を喚起するために、ユーザインタフェイス516を使って可視又は可聴警報を発出することもある。更に、注入システム510は、患者500に対する傷害を避けるために注入処置を自動的に停止又は終わらせることも可能である。
【0027】
図6A〜6Bは血管外遊出検出装置(EDD)により生み出された電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。電圧信号は、例えばEDD106又はEDD306のような前述のEDD実施形態のどれによっても生み出される。患者の皮膚によってEDDに対して力又は圧力が加えられたとき、EDDは感知された力又は圧力を表す信号を生成する。やがて、及び個々の患者の処置の間に、EDDは(先の図に示される)リードを越えて外部システムへ送信される信号の組を生成する。
【0028】
図6Aは、EDDによって生み出された電圧を時間の関数として示す第1の例示的グラフである。個々の患者の注入の初期の段階で、EDDは電圧V1を生み出す(前記電圧V1は特定のシナリオではゼロ又はほぼゼロである)。やがてEDDは、患者の皮膚によりEDDに対して加えられる力又は圧力の増大に起因して、増大する電圧レベルを規則的に生み出す。特定の点で、EDDは時刻T3において電圧V2を生み出し、V2はV1より大である。一実施形態では、外部システムは、電圧レベルV2が血管外遊出の発生を表すことを決定して、(例えば警報信号の提供又は注入処置の終了のような)適切な行動をとることができる。
【0029】
図6Bは、EDDにより生み出された電圧を時間の関数として示す第2の例示的グラフである。この図に示されるように、生み出された電圧レベルはより急速に増大している。外部システムは、顕著な及び急速な血管外遊出の事象が発生していることを、EDDから受信した電圧信号の解釈に基づいて決定する。一つのシナリオでは、前記システムは、それが時刻T2においてEDDから送信された電圧レベルV2を検出したとき使用者に対して警告を発する。図6Bの例では、EDDは、それが図6Aの例で行ったよりも急速に電圧レベルV2を生み出す。前記システムは、それが時刻T3においてEDDから送信された電圧レベルV3を検出したとき、更なる警告を発して注入処置を追加的に停止又は終わらせる。他のシナリオでは、前記システムは、医師の、又は患者の、又は他の処置の特定の考慮事項に基づいてV2及びV3より小又は大である事前設定されたか規定された電圧レベルに基づいて警告信号及び停止信号を発する。一部の実施形態では、前記システムは、電圧レベルがどのように急速に変化するか(例えばデルタ電圧/デルタ時間)に基づいて警告信号又は停止信号を発する。一部の実施形態では、予め決められた電圧閾値レベル(例えば、V2又はV3)が、医療用流体の注入に先立って患者に対して実施された静脈開通性試験からの情報のような先行情報に基づいている。
【0030】
EDDの一実施形態では、流体の血管外遊出に基づくEDDの生成された電圧を追跡するために試験が行われた。これらの試験はEDDのセンサーにより検出された圧力の大きさも追跡した。この試験実施形態では、EDDはロードセル(FS20 1500 グラムズ フォース MSI センサー(Grams Force MSI Sensor))を含んでいた。サンプル試験結果が下の表1に示される。この表からわかるように、EDDは、小体積の血管外遊出によってセンサに加えられた小さな圧力を検出する能力がある。さらにEDDは、自動注入システムのような外部システムにより効果的に処理され得る電圧信号を生成する能力がある。加えて、血管外遊出結果の体積における小さな変動は、生成された電圧出力における顕著な変化であり、これは外部システムが患者傷害の機会を最小限に抑えるために血管外遊出を早期に迅速に検出できることを意味している。
【表1】
【0031】
図7は、血管外遊出検出装置(EDD)に接続される自動注入システム内に組み入れられ得る構成要素の図である。例えばこれらの構成要素は、図5に示される自動注入システム510内に組み入れられる。自動注入システムはリードを介してEDDに接続され、前記リードはEDDによって生み出された電気信号を伝送することができる。
【0032】
図7に示されるように、自動注入システムは血管外遊出検出器インタフェイス710を含んでいる。この検出器インタフェイス710は、一実施形態による図4の外部システムで示された検出器インタフェイス410に同様の機能を備える。一実施形態では、検出器インタフェイス710は、血管外遊出事象又は潜在的血管外遊出事象が患者に生じているかどうかを確認するためにEDDによって生成された入力信号を受信して処理する。検出器インタフェイス710がそのような事象の発生を確認すると、それはポンプ電子機器714及び/又はユーザインタフェイス712と通信する。例えば、検出器インタフェイス710は、システムの操作者への警告メッセージ(例えば、可視メッセージ、可聴メッセージ)の供給を引き起こすためにユーザインタフェイス712と通信する。一実施形態では、ユーザインタフェイス712は、事象が検出器インタフェイス710によって生み出されたとき、注入オプションのようなオプションを使用者に提供する。これらのオプションの一つを選択することによって、操作者は、流体の血管外遊出によって引き起こされる患者傷害の可能性を最小限に抑えるために、注入の終了、注入の一時停止、または注入パラメータの変更が可能である。
【0033】
検出器インタフェイス710は、血管外遊出事象の検出の際に注入処置を自動的に終了又は一時停止させるために注入システムのポンプ電子機器714と通信することもある。ポンプ電子機器714の状態がユーザインタフェイス712に表示される。
【0034】
血管外遊出検出装置(EDD)の様々な実施形態が上で説明され、また添付図面に示されている。これらの及び他の実施形態は、医療用流体が患者の血管系内に注入される異なるタイプの医療処置の際に用いられる。例えば、EDDの様々な実施形態はコンピュータ断層撮影(CT)処置の間に用いられる。さらに、EDDの様々な実施形態は、血管造影CT又は磁気共鳴映像(MRI)処置のために使用される可能性がある。特定の実施形態は、医療用流体の任意の形の血管外遊出を注入処置の間に検出して患者への傷害を防ぐ助けにするために用いられる。
【0035】
前述の説明は、本発明の様々な実施形態の原理を包含する実施形態を扱っている。実施形態は、様々なタイプの配置構成を用いて、変更、修正、及び/又は実行されてよい。本技術分野に知識を有する者は、本明細書で図解及び記載された例示的実施形態及び応用例に厳格に従うことなく、及び添付の請求項に示された本発明の範囲から逸脱することなくこれら実施形態に対して為され得る様々な修正及び変更を容易に認めるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】患者の注入部位に又は注入部位の近傍に取り付けられた血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図2A】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図2B】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図2C】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図3A】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図3B】血管外遊出検出装置の特定の実施形態の様々な図である。
【図4】患者の中へ造影剤を注入するための手動式シリンジと共に用いられる血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図5】自動または電動注入システムと共に用いられる血管外遊出検出装置の実施形態の概略図である。
【図6A】血管外遊出検出装置により生み出される電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。
【図6B】血管外遊出検出装置により生み出される電圧を時間の関数として示す例示的グラフの図である。
【図7】一実施形態による、血管外遊出検出装置に連結された自動注入システム内に組み入れられる構成要素の図である
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャと、
患者に取外し可能に接続されるべく前記エンクロージャに結合されているアタッチメントと、
前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に収められた検出組立体と、を具備する血管外遊出検出装置であって、
前記検出組立体が、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたトランスジューサにして、医療用流体の患者からの血管外遊出により引き起こされて該トランスジューサに作用される力又は圧力を表す信号を生成するトランスジューサと、を具備する血管外遊出検出装置。
【請求項2】
前記エンクロージャが使い捨てのエンクロージャを含み、
前記アタッチメントが使い捨てのアタッチメントを含み、
前記検出組立体が再利用可能検出組立体を含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項3】
前記使い捨てのエンクロージャ及び前記使い捨てのアタッチメントが患者一人毎を基本に使用可能である、請求項2に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項4】
前記使い捨てのエンクロージャが無菌のエンクロージャを含む、請求項2に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項5】
前記エンクロージャがエラストマー材料から構築されている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項6】
前記アタッチメントが柔軟なストラップを含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項7】
前記トランスジューサが力又は圧力センサを含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項8】
前記検出組立体の前記ハウジングがプラスチック材料から構築されている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項9】
前記検出組立体は、操作可能なとき、患者からの医療用流体の血管外遊出を検出する際に、該装置の感度を対応して調節するために、前記トランスジューサと患者との間の距離の調整を提供する、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項10】
前記生成された信号を外部の装置に送信するためにリードを更に具備する、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項11】
前記生成された信号を外部の装置に送信するように作動可能な、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項12】
前記検出組立体は前記エンクロージャ内に完全に収められている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項13】
注入器装置と、
血管外遊出検出装置と、を具備するシステムであって、
前記血管外遊出検出装置が、
エンクロージャと、
患者に取外し可能に接続されるべく前記エンクロージャに結合されたアタッチメントと、
前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に収められた検出組立体と、を具備しており、
前記検出組立体が、ハウジングと、前記ハウジングに結合されているトランスジューサにして、患者からの医療用流体の血管外遊出によって引き起こされて該トランスジューサに作用される力又は圧力を表す信号を生成するトランスジューサとを具備している、システム。
【請求項14】
前記注入器装置が、
前記血管外遊出検出装置のトランスジューサによって生成された信号を処理する血管外遊出検出インタフェイスと、
前記血管外遊出検出インタフェイスと通信するユーザインタフェイスと、を具備する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記血管外遊出検出インタフェイスは、血管外遊出の発生を検出したとき、可視警報又は可聴警報を前記ユーザインタフェイスに発生させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ポンプ電子機器構成要素をさらに具備する請求項14に記載のシステムであって、前記血管外遊出検出インタフェイスは、血管外遊出の発生を検出したとき、前記ポンプ電子機器構成要素に注入処置を終了させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記血管外遊出検出インタフェイスは、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサから第1の閾値レベルを超える信号を検出したとき、前記ユーザインタフェイスに可視警報又は可聴警報を発生させ、
前記血管外遊出検出インタフェイスは、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサから前記第1の閾値レベルより大きい第2の閾値レベルを超える信号を検出したとき、前記注入器装置に注入処置を終わらせる、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記注入器装置は、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサによって生成された信号が予め定められた閾値を超えたとき、警報事象又は停止事象の生成を引き起こす、請求項2に記載のシステム。
【請求項19】
血管外遊出検出装置であって、
該装置の少なくとも一部を収容するための収容手段にして、該装置から取外し可能な収容手段と、
該装置を患者に取り付けるための取付手段にして、前記収容手段に結合されている取付手段と、
医療用流体の患者からの血管外遊出を検出するための検出手段にして、医療用流体の血管外遊出によって生じた作用力又は作用圧力を表す信号を生成するように作動可能な検出手段と、を具備する血管外遊出検出装置。
【請求項1】
エンクロージャと、
患者に取外し可能に接続されるべく前記エンクロージャに結合されているアタッチメントと、
前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に収められた検出組立体と、を具備する血管外遊出検出装置であって、
前記検出組立体が、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたトランスジューサにして、医療用流体の患者からの血管外遊出により引き起こされて該トランスジューサに作用される力又は圧力を表す信号を生成するトランスジューサと、を具備する血管外遊出検出装置。
【請求項2】
前記エンクロージャが使い捨てのエンクロージャを含み、
前記アタッチメントが使い捨てのアタッチメントを含み、
前記検出組立体が再利用可能検出組立体を含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項3】
前記使い捨てのエンクロージャ及び前記使い捨てのアタッチメントが患者一人毎を基本に使用可能である、請求項2に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項4】
前記使い捨てのエンクロージャが無菌のエンクロージャを含む、請求項2に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項5】
前記エンクロージャがエラストマー材料から構築されている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項6】
前記アタッチメントが柔軟なストラップを含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項7】
前記トランスジューサが力又は圧力センサを含む、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項8】
前記検出組立体の前記ハウジングがプラスチック材料から構築されている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項9】
前記検出組立体は、操作可能なとき、患者からの医療用流体の血管外遊出を検出する際に、該装置の感度を対応して調節するために、前記トランスジューサと患者との間の距離の調整を提供する、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項10】
前記生成された信号を外部の装置に送信するためにリードを更に具備する、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項11】
前記生成された信号を外部の装置に送信するように作動可能な、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項12】
前記検出組立体は前記エンクロージャ内に完全に収められている、請求項1に記載の血管外遊出検出装置。
【請求項13】
注入器装置と、
血管外遊出検出装置と、を具備するシステムであって、
前記血管外遊出検出装置が、
エンクロージャと、
患者に取外し可能に接続されるべく前記エンクロージャに結合されたアタッチメントと、
前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に収められた検出組立体と、を具備しており、
前記検出組立体が、ハウジングと、前記ハウジングに結合されているトランスジューサにして、患者からの医療用流体の血管外遊出によって引き起こされて該トランスジューサに作用される力又は圧力を表す信号を生成するトランスジューサとを具備している、システム。
【請求項14】
前記注入器装置が、
前記血管外遊出検出装置のトランスジューサによって生成された信号を処理する血管外遊出検出インタフェイスと、
前記血管外遊出検出インタフェイスと通信するユーザインタフェイスと、を具備する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記血管外遊出検出インタフェイスは、血管外遊出の発生を検出したとき、可視警報又は可聴警報を前記ユーザインタフェイスに発生させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ポンプ電子機器構成要素をさらに具備する請求項14に記載のシステムであって、前記血管外遊出検出インタフェイスは、血管外遊出の発生を検出したとき、前記ポンプ電子機器構成要素に注入処置を終了させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記血管外遊出検出インタフェイスは、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサから第1の閾値レベルを超える信号を検出したとき、前記ユーザインタフェイスに可視警報又は可聴警報を発生させ、
前記血管外遊出検出インタフェイスは、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサから前記第1の閾値レベルより大きい第2の閾値レベルを超える信号を検出したとき、前記注入器装置に注入処置を終わらせる、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記注入器装置は、前記血管外遊出検出装置の前記トランスジューサによって生成された信号が予め定められた閾値を超えたとき、警報事象又は停止事象の生成を引き起こす、請求項2に記載のシステム。
【請求項19】
血管外遊出検出装置であって、
該装置の少なくとも一部を収容するための収容手段にして、該装置から取外し可能な収容手段と、
該装置を患者に取り付けるための取付手段にして、前記収容手段に結合されている取付手段と、
医療用流体の患者からの血管外遊出を検出するための検出手段にして、医療用流体の血管外遊出によって生じた作用力又は作用圧力を表す信号を生成するように作動可能な検出手段と、を具備する血管外遊出検出装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【公表番号】特表2009−534122(P2009−534122A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506709(P2009−506709)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/066751
【国際公開番号】WO2007/124298
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508286762)アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/066751
【国際公開番号】WO2007/124298
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508286762)アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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