説明

血管穿刺練習器具

【課題】模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触を得ることができる血管穿刺練習器具を提供する。
【解決手段】血管穿刺練習器具1は、穿刺部2と、穿刺部2を挿通する人体の血管を模擬した模擬血管6とを備え、穿刺部2が、穿刺部2の下部を構成し、人体の筋肉の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬筋肉層5と、模擬筋肉層5の上に積層され、人体の組織の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬組織層4と、模擬組織層4の上に積層され、人体の皮膚の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬皮膚層3とからなり、各層の硬度が、(模擬組織層の硬度)<(模擬皮膚層の硬度)≦(模擬筋肉層の硬度)の関係を満足し、模擬血管6が、柔軟性チューブからなり、模擬組織層4に挿通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管穿刺練習器具、特に人体における血管穿刺の練習器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血管穿刺練習器具として、例えば、特許文献1には、動物の組織および表皮層を模擬したゲル状物中の表面近くに模擬血管を封入した動物実験手技訓練用動物血管モデルが記載されている。また、特許文献2には、筋肉層を模擬したポリウレタンゲル材製の下層模擬筋肉層と、ポリウレタン材製の袋状体内にポリウレタンゲル材製の充填物を充填してなる上層模擬筋肉層との間に模擬血管を配置した注射練習器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−167342号公報
【特許文献2】特開2007−206379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人体における血管穿刺部位は筋肉層、皮下組織(以下、組織と称す)層および皮膚層の三層構造を有する。そのため、穿刺部がゲル状物の単層で構成された特許文献1の血管モデルでは、穿刺部に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触を得ることができないという問題がある。また、同様に、特許文献2の注射練習器具においても穿刺部が模擬筋肉層のみで構成されているため、穿刺部に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触を得ることができる血管穿刺練習器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る血管穿刺練習器具は、積層体からなる穿刺部と、前記穿刺部を挿通する人体の血管を模擬した模擬血管とを備える血管穿刺練習器具であって、前記穿刺部が、前記穿刺部の下部を構成し、人体の筋肉の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬筋肉層と、前記模擬筋肉層の上に積層され、人体の組織の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬組織層と、前記模擬組織層の上に積層され、人体の皮膚の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬皮膚層とからなり、各層の硬度が下式(1)を満足し、
(模擬組織層の硬度)<(模擬皮膚層の硬度)≦(模擬筋肉層の硬度)・・・(1)
前記模擬血管が、柔軟性チューブからなり、前記模擬組織層に挿通されていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、所定の硬度を有する模擬筋肉層、模擬組織層および模擬皮膚層からなる三層構造の穿刺部を備えることによって、模擬血管に穿刺器具(注射針)を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触が得られる。また、模擬血管が硬度の小さい模擬組織層に挿通されていることによって、模擬血管が実際の血管の動き、すなわち、注射針を刺した際に血管が左右に逃げる動きを再現できる。
【0008】
また、本発明に係る血管穿刺練習器具は、前記模擬組織層が、その内部に空洞部を有し、前記空洞部に前記模擬血管が挿通されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、空洞部に模擬血管が挿通されていることによって、模擬血管が左右に逃げ易くなり、模擬血管が実際の血管の動きをさらに再現し易くなる。
【0010】
また、本発明に係る血管穿刺練習器具は、前記硬度がASKERゴム硬度計CSC2型で測定した硬度であり、前記模擬組織層の硬度が3〜7ポイント、前記模擬皮膚層の硬度が30〜40ポイント、前記模擬筋肉層の硬度が40〜60ポイントであることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、模擬組織層、模擬皮膚層および模擬筋肉層が所定の硬度であることによって、模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技にさらに近い感触が得られる。
【0012】
また、本発明に係る血管穿刺練習器具は、前記模擬筋肉層、前記模擬組織層および前記模擬皮膚層が、シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、模擬筋肉層、模擬組織層および模擬皮膚層がシリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることによって、所定の硬度が得られ易くなり、模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技にさらに近い感触が得られる。また、シリコーンゴムおよびシリコーンオイルという安価な材料で構成することによって、製造コストを下げることができる。
【0014】
また、本発明に係る血管穿刺器具は、前記模擬血管が、シリコーンチューブからなることを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、模擬血管がシリコーンチューブからなることによって、実際の血管の柔軟性および動きが再現され、模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技にさらに近い感触が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る血管穿刺練習器具によれば、模擬血管に穿刺器具を刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触が得られる。また、血管穿刺練習器具を安価なシリコーン系材料で構成することによって、経済的にも有用となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る血管穿刺練習器具の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の血管穿刺練習器具の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】(a)〜(e)は本実施形態に係る血管穿刺練習器具の製造方法における各工程を示す模式図である。
【図5】本実施形態に係る血管穿刺練習器具の使用の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る血管穿刺練習器具(以下、練習器具と称す)について図1〜図3を参照して詳細に説明する。
練習器具1は、積層体からなる穿刺部2と、穿刺部2を挿通する模擬血管6とを備える。また、穿刺部2は、模擬筋肉層5と、模擬組織層4と、模擬皮膚層3とからなり、模擬血管6は模擬組織層4に挿通されている。
なお、練習器具1は、穿刺部2を支持するために、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる成形体で構成された支持台8を備えてもよい。
【0019】
穿刺部2は、血管穿刺練習の際に、穿刺器具28によって穿刺される部位である(図5参照)。そして、穿刺部2の模擬皮膚層3側から穿刺器具28によって穿刺される。
また、穿刺部2の形状は、円柱状、角柱状等が好ましいが、穿刺器具28によって穿刺できれば特に限定されるものではない。そして、穿刺部2の大きさは、血管穿刺練習のし易さから、例えば、円柱状である場合には、外径50〜100mm、高さ7〜21mmが好ましい。
【0020】
穿刺部2は、穿刺部2の下部を構成し、人体の筋肉の硬度を模擬した模擬筋肉層5と、模擬筋肉層5の上に積層され、人体の組織の硬度を模擬した模擬組織層4と、模擬組織層4の上に積層され、人体の皮膚の硬度を模擬した模擬皮膚層3とからなる。そして、各層の硬度は、下式(1)を満足する。
(模擬組織層の硬度)<(模擬皮膚層の硬度)≦(模擬筋肉層の硬度)・・・(1)
各層の硬度が上式(1)を満足することによって、穿刺部2に穿刺器具28を穿刺した際に、実際の人体への血管穿刺手技に近い感触を得ることができる。
また、各層の厚みは、実際の人体の血管穿刺部位に近づけるために、模擬筋肉層5が3〜10mm、模擬組織層4が3〜7mm、模擬皮膚層3が1〜4mmであることが好ましい。なお、模擬組織層4および模擬皮膚層3の厚みは、練習対象となる血管の深さに応じて前記範囲内で適宜設定する。
【0021】
模擬筋肉層5は、筋肉の硬度を模擬するために、シリコーン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ポリウレタン等の柔軟性材料からなり、特に、シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることが好ましい。そして、模擬筋肉層5の硬度は、ASKERゴム硬度計CSC2型で測定した硬度で40〜60ポイントが好ましい。
【0022】
模擬組織層4は、組織の硬度を模擬するために、シリコーン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ポリウレタン等の柔軟性材料からなり、特に、シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることが好ましい。そして、模擬組織層4の硬度は、ASKERゴム硬度計CSC2型で測定した硬度で3〜7ポイントが好ましい。
【0023】
模擬皮膚層3は、皮膚の硬度を模擬するために、シリコーン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ポリウレタン等の柔軟性材料からなり、特に、シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることが好ましい。そして、模擬皮膚層3の硬度は、ASKERゴム硬度計CSC2型で測定した硬度で30〜40ポイントが好ましい。
【0024】
なお、ASKERゴム硬度計CSC2型では、外径10mmの円筒が測定物体から押し返される力が55gf(0.54N)の時に硬度が0ポイント、455gf(4.46N)の時に硬度が100ポイントとなるように設定されている。また、前記した模擬筋肉層5、模擬組織層4および模擬皮膚層3の各層の硬度は、練習対象となる血管穿刺部位、すなわち、乳児から老人までの様々な血管穿刺部位に応じて、前記範囲内で適宜設定する。
【0025】
各層をシリコーンゴムとシリコーンオイルで構成する場合には、各層の硬度調整は、シリコーンオイルの配合量によって調整することが好ましい。具体的には、模擬筋肉層5の形成には、シリコーンゴムとシリコーンオイルを質量比で1:1〜1:2に混合した混合物を使用し、模擬組織層4の形成には、シリコーンゴムとシリコーンオイルを質量比で1:3〜1:4に混合した混合物を使用し、模擬皮膚層3の形成には、シリコーンゴムとシリコーンオイルを質量比で1:1〜1:2に混合した混合物を使用することが好ましい。
【0026】
なお、各層は、同一の柔軟性材料で構成することが好ましいが、各層の硬度が上式(1)を満足できれば、各層を異種の柔軟性材料で構成してもよい。また、各層は、実際の血管穿刺を再現するために、半透明または不透明な柔軟性材料で構成することが好ましい。しかしながら、血管穿刺練習に不慣れな新人看護師用として、模擬血管内に穿刺器具が入ったことを確認しやすくするために、各層を透明な柔軟性材料で構成してもよい。なお、各層は、肌色等の顔料を混合した柔軟性材料で構成してもよい。
【0027】
模擬血管6は、人体の血管を模擬したもので、シリコーン、ポリウレタン等で構成された柔軟性チューブからなる。なお、模擬血管6の硬度は、練習対象の血管に応じて適宜設定する。
【0028】
模擬血管6の大きさは、内径:1.5〜3mm、外径:2.5〜4mmの柔軟性チューブが好ましく、練習対象となる血管の種類に応じて前記範囲内で適宜設定する。また、模擬血管6の形状(血管走行形状)は、練習対象となる血管の種類に応じて、分岐形状、蛇行形状等の様々な形状をとるようにする。
【0029】
模擬血管6は、穿刺部2の模擬組織層4を挿通するように配置される。模擬血管6が、硬度が小さく、柔軟性が高い模擬組織層4を挿通することによって、実際の血管穿刺の際に発生する血管の左右への逃げを再現することができる。模擬血管6の模擬組織層4内での位置は、練習対象となる血管の種類に応じて、適宜設定する。
【0030】
模擬血管6は、穿刺部2(模擬組織層4)から外側に延出した一端部6aおよび他端部6bを有することが好ましい。このような端部(一端部6a、他端部6b)を有することによって、図5に示すように、練習器具1を、模擬血管6の穿刺確認のための擬似血液を流入する流入チューブ23にコネクタ24を介して接続し易くなると共に、擬似血液を流出する流出チューブ26にコネクタ25を介して接続し易くなる。
【0031】
本実施形態に係る練習器具1は、模擬組織層4が、その内部に空洞部7を有し、空洞部7に模擬血管6が挿通されていることが好ましい。このような空洞部7を有することによって、実際の血管穿刺の際に発生する血管の左右への逃げを再現し易くなる。空洞部7の大きさ(容積)は、穿刺器具28の穿刺の際の模擬血管6の左右への逃げが再現できれば、特に限定されないが、模擬組織層4の容積の1/16〜1/4が好ましい。
【0032】
空洞部7の形状は、製造が容易な半球状が好ましいが、練習対象となる血管の逃げ状態(左右への動き易さ)に応じて、矩形状等の様々な形状をとることができる。さらに、空洞部7の模擬組織層4内での位置も、製造が容易な中央底部が好ましいが、練習対象となる血管の逃げ状態に応じて、様々な位置に配置できる。
【0033】
次に、練習器具1の製造方法の一例について、図4を参照して説明する。なお、ここでは、練習器具1は、穿刺部2がシリコーンゴムとシリコーンオイルとからなり、空洞部7を有する構成について説明する。
【0034】
(1)図4(a)に示すように、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製シャーレ30に、シリコーンゴム(信越シリコーン:KE−1842)とシリコーンオイル(信越シリコーン:KF−96−1000)を質量比1:1で混合した混合物に肌色顔料を1滴加えたものを、シャーレ底部から2mm程度の深さまで流し込み、120℃、30分間、オーブン内で加熱することによって、混合物を硬化させて、模擬皮膚層3を形成する。
【0035】
(2)図4(b)に示すように、模擬皮膚層3の上に、模擬血管6として内径2mm、外径3mmのシリコーンチューブを載置する。
【0036】
(3)図4(c)に示すように、(1)と別のPFA製シャーレ31に、シリコーンゴム(信越シリコーン:KE−1842)とシリコーンオイル(信越シリコーン:KF−96−1000)を質量比1:1で混合した混合物に肌色顔料を1滴加えたものを、シャーレ底部から3mm程度の深さまで流し込み、120℃、30分間、オーブン内で加熱することによって、混合物を硬化させて、模擬筋肉層5を形成する。
【0037】
(4)図4(d)に示すように、模擬筋肉層5の上に、シリコーンゴム(信越シリコーン:KE−1842)とシリコーンオイル(信越シリコーン:KF−96−1000)を質量比1:3で混合した混合物に肌色顔料を1滴加えたものを、模擬筋肉層5の上面から3mm程度の深さまで流し込む。そして、流し込んだ混合物に、空洞部7を形成するための半球状の成型物(図示せず)を載置し、成型物が混合物中に埋没しないように保持する。この状態で、120℃、60分間、オーブン内で加熱することによって、混合物を硬化させて、模擬筋肉層5の上に模擬組織層4を形成する。その後、成型物を除去することによって、模擬組織層4に空洞部7が形成される。
【0038】
(5)図4(e)に示すように、(2)で形成した模擬皮膚層3の上に、(4)で形成した模擬組織層4および模擬筋肉層5を、模擬組織層4側から載置する。このとき、模擬皮膚層3と模擬組織層4の界面に、シリコーンゴム(信越シリコーン:KE−1842)とシリコーンオイル(信越シリコーン:KF−96−1000)を質量比1:3で混合した混合物に肌色顔料を1滴加えたものを薄く塗り、この状態で、120℃60分間、オーブン内で加熱することによって、混合物を硬化させる。その後、シャーレ30を反転させ、穿刺部2をシャーレ30から取り出す。これによって、模擬筋肉層5、模擬組織層4、模擬皮膚層3の順に積層された穿刺部2が形成され、穿刺部2(模擬組織層4)内の空洞部7に模擬血管6が配置された練習器具1が形成される。
【0039】
なお、図示しないが、模擬組織層4に空洞部7を有さない練習器具1は、模擬筋肉層5、模擬組織層4および模擬皮膚層3の順に、シリコーンゴムとシリコーンオイルとの混合物をオーブン内で加熱、硬化させることで、製造することができる。
【0040】
次に、練習器具1の使用方法について、図5を参照して説明する。
(1)練習器具1に挿通された模擬血管の一端部6aおよび他端部6bに、着色剤で赤色にした生理食塩水(擬似血液)を充填した輸液バッグ20に接続された流入チューブ23をコネクタ24で接続すると共に、排液タンク27内に端部を配置した流出チューブ26をコネクタ25で接続する。このとき、練習器具1は、図示しない模擬腕モデル等に保持してもよい。
【0041】
(2)輸液バッグ20を輸液スタンド21に懸架し、流入チューブ23に取り付けられたクレンメ22を開放状態にして、輸液バッグ20に充填された擬似血液を練習器具1内に流入させる。また、練習器具1内に流入した擬似血液は、流出チューブ26を介して、排液タンク27内に流出させる。
【0042】
(3)血管穿刺練習を開始する。具体的には、穿刺器具(注射針付きシリンジ)28で練習器具1の穿刺部2を穿刺する。模擬血管穿刺が成功した場合には、シリンジ内に擬似血液が流入(フラッシュバック)してくる。また、模擬血管穿刺が失敗した場合には、穿刺部2内に擬似血液が漏れ、穿刺部2内に赤色の変色が観察される。
【符号の説明】
【0043】
1 血管穿刺練習器具(練習器具)
2 穿刺部
3 模擬皮膚層
4 模擬組織層
5 模擬筋肉層
6 模擬血管
7 空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体からなる穿刺部と、前記穿刺部を挿通する人体の血管を模擬した模擬血管とを備える血管穿刺練習器具であって、
前記穿刺部が、
前記穿刺部の下部を構成し、人体の筋肉の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬筋肉層と、
前記模擬筋肉層の上に積層され、人体の組織の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬組織層と、
前記模擬組織層の上に積層され、人体の皮膚の硬度を模擬した柔軟性材料からなる模擬皮膚層とからなり、
各層の硬度が下式(1)を満足し、
(模擬組織層の硬度)<(模擬皮膚層の硬度)≦(模擬筋肉層の硬度)・・・(1)
前記模擬血管が、柔軟性チューブからなり、前記模擬組織層に挿通されていることを特徴とする血管穿刺練習器具。
【請求項2】
前記模擬組織層が、その内部に空洞部を有し、前記空洞部に前記模擬血管が挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の血管穿刺練習器具。
【請求項3】
前記硬度がASKERゴム硬度計CSC2型で測定した硬度であり、
前記模擬組織層の硬度が3〜7ポイント、前記模擬皮膚層の硬度が30〜40ポイント、前記模擬筋肉層の硬度が40〜60ポイントであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血管穿刺練習器具。
【請求項4】
前記模擬筋肉層、前記模擬組織層および前記模擬皮膚層が、シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の血管穿刺練習器具。
【請求項5】
前記模擬血管が、シリコーンチューブからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の血管穿刺練習器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−203153(P2012−203153A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66875(P2011−66875)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】