説明

血管閉塞を治療するためのバルーンおよびバルーン・カテーテル・システム

血管系内のCTOなど、体内流路内で部分的に、もしくは完全に閉塞した、または狭窄した病変を超えて従来のガイドワイヤを腔内前方移動するためのバルーン・カテーテル・システムが実現される。バルーンが形成される。本発明のいくつかの実施形態では、比較的厚手の近位テーパー部を有するバルーンが形成される。本発明のいくつかの実施形態では、先細になった中間部を有するバルーンが形成される。これらのバルーンは、好ましくは、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムと併せて使用すると有用である。本発明のいくつかの実施形態では、これらのバルーンは、好ましくは、それが使用される血管壁または他の体内流路の壁に対する外傷性傷害を低減するか、または最小限に抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、2007年10月22日に出願した米国仮特許出願第60/960,930号の利益を主張するものである。本出願は、以下の出願も参照によりその全体を組み込む。2005年10月14日に出願した米国仮特許出願第60/726,180号、2006年5月15日に出願した米国仮特許出願第60/800,035号、2006年10月12日に出願した米国特許出願第11/546,571号、2006年10月13日に出願した国際出願第PCT/IB2006/002958号、および2007年5月14日に出願した国際出願第PCT/1L2007/000590号。
【0002】
本発明は、バルーン・カテーテル・デバイスおよびバルーン・カテーテル・システムならびにそれらを使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、閉塞された体内流路ならびに血管内の慢性完全閉塞(CTO)および関連病状の治療に使用するためのクロッシング・バルーン・システム(CBS)を実現する。CBSは、好ましくは、血管系の不連続部位にアクセスするために操縦可能なガイドワイヤと連携して使用される。本発明は、また、バルーン・カテーテル・デバイスおよびバルーン・カテーテル・システム内で使用するための新規性のあるバルーンを形成する。
【背景技術】
【0003】
血管の慢性完全閉塞は、その名が示すように、粥状斑物質および/または血栓物質を含む血管内病変の進行により生じるその血管の完全な(または完全に近い)閉塞がある病状である。経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受けている10から20パーセントの患者が、CTOを患っている。CTO病変を開くことに成功すれば狭心症が改善され、運動能力が高まり、バイパス術の必要性が減じる。しかし、CTOの症例のPCIは、成功率が低く(40から80パーセント−平均60パーセント)、機器コストが高く、再狭窄率が高いため、従来から問題になっていた。MACE(主要心血管イベント)が考慮された場合、この成功率は、典型的には、20から30パーセントの範囲内である。
【0004】
血管形成術用バルーンなどの従来のインターベンション器具は、しなやかすぎるか、または先端が尖っていないため、ガイドワイヤを中に通して前方移動しようとする際に頑強な障壁を形成しうる極端に硬い石灰化組織を含むことが多いCTOなどの狭窄度の高い病変をクロスできないことが多い。狭窄度の少ない病変ですら、ガイドワイヤの操縦端をトラップしたり、または逸らしたりする可能性のある複雑な構造を含みうる。ガイドワイヤを適切に位置決めして狭窄部位に差し渡そうとする際に遭遇する困難を考えると、切断要素およびバルーンなどの従来の誘導アテローム切除または拡張デバイスは、完全なワイヤ・クロス性に依存するのでガイドワイヤを挿入して病変に通していない限り病変をクロスするのに使用されえない。
【0005】
従来のデバイスの使用に付随するさらなる問題として、治療対象の血管に穴をあける危険性が挙げられる。例えば、ガイドワイヤまたは切断工具は、前方移動されたときに、閉塞の代わりに動脈壁の組織の切開を引き起こし、それにより、偽腔を形成し、場合によっては動脈に穴をあけてしまう可能性がある。穴があいた動脈からかなりの量の血液が出て心臓周囲の心膜腔に蓄積すると、その結果、心臓が圧迫されて、心不全および死亡を免れるためには緊急外科的介入が必要になる、心臓タンポナーデと称される症状に至る。
【0006】
従来のタイプの装置は、完全な、または完全に近い閉塞の治療に典型的には役立たない他の理由としては、従来のバルーン・カテーテル・シャフトおよびガイドワイヤは、そのようなデバイスを前方移動してCTO病変に差し渡すために必要な圧縮荷重とトルク荷重がかかっている状態ではうまく働かないという点が挙げられる。
【0007】
統計的には、PCIでCTO病変を開けない主な理由は、ガイドワイヤとともに病変をクロスできないこと(80パーセント)とバルーンがガイドワイヤに追随して非常に硬い病変内を通ることができない(15パーセント)ことであった。多くのタイプのガイドワイヤおよびデバイスが試されたが、再疎通の成功は約60パーセントに留まっている。末梢血管障害を患っている患者体内のCTO病変をクロスする場合も、同様の問題に遭遇しており、例えば、慢性鎖骨下動脈閉塞の経皮的カテーテル・ベースの治療について報告されている成功率は46%〜83%の範囲である。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、好ましくは従来のガイドワイヤが体内流路内の部分的にまたは完全に閉塞した、または狭窄した病変を超えて腔内前方移動可能なバルーン・カテーテル・システムを実現する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、好ましくは従来のガイドワイヤが血管系内のCTOなどの体内流路内の狭窄度の高い病変を超えて腔内前方移動可能なバルーン・カテーテル・システムを実現する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、体内流路壁への外傷性傷害を最小限に抑えることができる閉塞クロッシング・システムを実現する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、血管壁への外傷性傷害を最小限に抑える血管閉塞クロッシング・システムを実現する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、血管壁への外傷性傷害を最小限に抑えるCTOクロッシング・システムを実現する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、近位テーパー部の後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みが、低減され、遅延され、または回避されるように設計されたバルーンを形成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、バルーンの折り畳みおよび/または曲がりが、低減され、遅延され、または回避されるように設計されたバルーンを形成する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、比較的厚手の近位テーパー部を備えるバルーンが形成される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、円錐状に先細になった中間部を備えるバルーンが形成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明は、血管壁または他の体内流路の壁に対する外傷性傷害を好ましくは低減または最小限に抑えるバルーンを形成する。
【0018】
いくつかの実施形態では、好ましくは比較的容易にヘルスケアの専門家の手で操作できるバルーン・カテーテル・システムが実現される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明は、バルーン装置を形成し、このバルーン装置は、(a)円錐状テーパー中間部と、(b)中間部の遠位端から遠位環状接続部の近位端へ先細になる遠位テーパー部と、(c)中間部の近位端から近位環状接続部の遠位端へ先細になる近位テーパー部とを有するバルーンを備え、近位テーパー部は、遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有し、近位テーパー部の壁厚は、近位環状接続部から中間部の近位端へ先細になっており、遠位テーパー部の壁厚は、遠位環状接続部から中間部の遠位端へ先細になっている。いくつかの好ましい実施形態では、中間部は、遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する。いくつかの好ましい実施形態では、中間部は、近位端から遠位端へ円錐状に先細になっている。いくつかの他の好ましい実施形態では、中間部は、遠位端から近位端へ円錐状に先細になっている。いくつかの好ましい実施形態では、バルーン装置は、中空外部シャフトおよび中空外部シャフト内に置かれ、中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトとをさらに備え、バルーン装置は、遠位環状接続部によって中空内部シャフトにバルーン装置の遠位端のところで結合され、また近位環状接続部によって中空外部シャフトにバルーン装置の近位端のところで結合される。いくつかの好ましい実施形態では、中空内部シャフト内にガイドワイヤが通される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、バルーン・カテーテル装置を形成し、このバルーン・カテーテル装置は、(a)中空外部シャフトと、(b)中空外部シャフト内に置かれ、中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトと、(c)遠位環状接続部によって中空内部シャフトにバルーンの遠位端のところで結合され、また近位環状接続部によって中空外部シャフトにバルーンの近位端のところで結合されたバルーンとを備え、バルーンは、(a)円錐状テーパー中間部と、(b)中間部の遠位端から遠位環状接続部へ先細になる遠位テーパー部と、(c)中間部の近位端から近位環状接続部へ先細になる近位テーパー部とをさらに備え、近位テーパー部は、遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有し、中間部は、遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する。いくつかの好ましい実施形態では、バルーン・カテーテル装置は、使い捨てカテーテルである。いくつかの好ましい実施形態では、中間部は、近位端から遠位端へ円錐状に先細になっている。いくつかの他の好ましい実施形態では、中間部は、遠位端から近位端へ円錐状に先細になっている。いくつかの好ましい実施形態では、近位テーパー部の壁厚は、近位環状接続部から中間部の近位端へ先細になっている。いくつかの好ましい実施形態では、遠位テーパー部の壁厚は、遠位環状接続部から中間部の遠位端へ先細になっている。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、バルーン・カテーテルを使用する方法を提供し、この方法は、(a)血管内のガイドワイヤを血管閉塞部位へ前方移動するステップと、(b)バルーン・カテーテルを形成するステップであって、このバルーン・カテーテルは、(i)中空外部シャフトと、中空外部シャフト内に置かれ、中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトと、遠位環状接続部によって中空内部シャフトにバルーンの遠位端のところで結合され、また近位環状接続部によって中空外部シャフトにバルーンの近位端のところで結合されたバルーンとを備える、ステップと、バルーンは、円錐状テーパー中間部と、中間部の遠位端から遠位環状接続部の近位端へ先細になる遠位テーパー部と、中間部の近位端から近位環状接続部の遠位端へ先細になる近位テーパー部とをさらに備え、近位テーパー部は、遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有する、ステップと、(c)バルーン・カテーテルの遠位端が血管閉塞の近くに来るようにガイドワイヤ上にバルーン・カテーテルを前方移動するステップと、(d)第1の膨張圧力になるまでバルーンを膨張させるステップであって、第1の膨張圧力により血管内にバルーンが固定される、ステップと、(e)バルーン内の圧力を振動させるステップであって、圧力の振動により内部シャフトの長手方向遠位−近位間振動が引き起こされる、ステップとを含む。いくつかの好ましい実施形態では、バルーンの中間部は、遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する。いくつかの好ましい実施形態では、バルーンの近位テーパー部の壁厚は、バルーンの近位環状接続部からバルーンの中間部の近位端へ先細になっており、バルーンの遠位テーパー部の壁厚は、バルーンの遠位環状接続部からバルーンの中間部の遠位端へ先細になっている。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、血管系の不連続部位にアクセスするため、または閉塞されている血管をクロスするため、またはその両方のために使用される。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、血管系の不連続部位にアクセスするため、または慢性完全閉塞をクロスするため、またはその両方のために使用される。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、内部シャフト内のガイドワイヤを固定するステップをさらに含む。いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、(f)バルーン内の圧力の振動を停止するステップと、(g)バルーンを減圧するステップであって、減圧によってバルーンの固定状態が解放される、ステップと、(h)バルーン・カテーテルを血管内の遠位に前方移動するステップと、(i)第1の膨張圧力になるまでバルーンを膨張させるステップであって、第1の膨張圧力により血管内にバルーンが固定される、ステップと、(j)バルーン内の圧力を振動させるステップであって、圧力の振動により内部シャフトの長手方向遠位−近位間振動が引き起こされる、ステップとをさらに含む。
【0022】
本発明の追加の特徴、利点、および実施形態は、以下の詳細な説明、図面、および請求項を考察しつつ説明され明らかにされうる。さらに、本発明の前記の概要および以下の詳細な説明は両方とも、例であり、請求されているように本発明の範囲を制限することなく詳細な説明を行うことを意図されていることは理解されるであろう。
【0023】
本発明の理解を進めるために添付され、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす付属の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示し、詳細な説明と併せて本発明の原理を説明するために使用される。図面の説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のバルーン・カテーテルのオーバー・ザ・ワイヤ型実装を示す略図である。
【図2】本発明のバルーン・カテーテルのラピッド・エクスチェンジ型実装を示す略図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態によるさまざまな弾性シャフト実装を示す図である。
【図4】本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうるさまざまな遠位先端実装を示す略図である。
【0025】
【図5A】本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうる代替バルーン構成を示す略図である。
【図5B】本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうる代替バルーン構成を示す略図である。
【図6】内部ガイドワイヤ・チューブの代わりに補助チューブが使用される本発明のバルーン・カテーテルの実装を示す略図である。
【0026】
【図7A】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【図7B】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【図7C】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【図7D】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【図7E】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【図7F】閉塞血管を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。
【0027】
【図8A】閉塞血管を通る経路を開くための他の可能な手順を示す図である。
【図8B】閉塞血管を通る経路を開くための他の可能な手順を示す図である。
【0028】
【図9A】バルーン取付具の近位にある同心内管−外管構成の代わりに二腔導管を使用する本発明のバルーン・カテーテルの3つの異なる実施形態を示す図である。
【図9B】バルーン取付具の近位にある同心内管−外管構成の代わりに二腔導管を使用する本発明のバルーン・カテーテルの3つの異なる実施形態を示す図である。
【図9C】バルーン取付具の近位にある同心内管−外管構成の代わりに二腔導管を使用する本発明のバルーン・カテーテルの3つの異なる実施形態を示す図である。
【0029】
【図10A】陥入遠位バルーン取付具を有する本発明のバルーン・カテーテルを生産する方法を示す図である。
【図10B】陥入遠位バルーン取付具を有する本発明のバルーン・カテーテルを生産する方法を示す図である。
【図10C】陥入遠位バルーン取付具を有する本発明のバルーン・カテーテルを生産する方法を示す図である。
【図10D】陥入遠位バルーン取付具を有する本発明のバルーン・カテーテルを生産する方法を示す図である。
【図10E】陥入遠位バルーン取付具を有する本発明のバルーン・カテーテルを生産する方法を示す図である。
【0030】
【図11A】本発明の第2の主実施形態の一実装および閉塞部位にカテーテルを留置するための手順を示す図である。
【図11B】本発明の第2の主実施形態の一実装および閉塞部位にカテーテルを留置するための手順を示す図である。
【図11C】本発明の第2の主実施形態の一実装および閉塞部位にカテーテルを留置するための手順を示す図である。
【0031】
【図12A】閉塞部位にカテーテルを留置するための他の可能な手順を示す図である。
【図12B】閉塞部位にカテーテルを留置するための他の可能な手順を示す図である。
【0032】
【図13A】高速運動を遠位端部分に伝え、またその中を通るガイドワイヤに伝えることができる本発明のバルーン・カテーテル・デバイスの長手方向および断面を示す図である。
【図13B】高速運動を遠位端部分に伝え、またその中を通るガイドワイヤに伝えることができる本発明のバルーン・カテーテル・デバイスの長手方向および断面を示す図である。
【0033】
【図14A】閉塞部への押し込みを行う本発明のバルーン・カテーテル・デバイスの長手方向および断面を示す図である。
【図14B】閉塞部への押し込みを行う本発明のバルーン・カテーテル・デバイスの長手方向および断面を示す図である。
【0034】
【図15】内部チューブと押し込み器具(ガイドワイヤ)との間の結合手段を備える本発明のバルーン・カテーテル・デバイスを示す略図である。
【図16】内部チューブと押し込み器具(ガイドワイヤ)との間の他の可能な結合手段を示す略図である。
【図17】膨張可能部材が狭い遠位部分を備える本発明のバルーン・カテーテルを示す略図である。
【0035】
【図18A】血管系の湾曲部位を通してバルーン・カテーテルを操作する必要がある場合に使用されうる2つの代替実施形態を示す図である。
【図18B】血管系の湾曲部位を通してバルーン・カテーテルを操作する必要がある場合に使用されうる2つの代替実施形態を示す図である。
【0036】
【図19A】バルーンの近位テーパー部の折り畳みと近位テーパー部の折り畳みによって引き起こされる挿入シースを通るバルーンの引き戻しの制限を示す略図である。
【図19B】バルーンの近位テーパー部の折り畳みと近位テーパー部の折り畳みによって引き起こされる挿入シースを通るバルーンの引き戻しの制限を示す略図である。
【図19C】バルーンの近位テーパー部の折り畳みと近位テーパー部の折り畳みによって引き起こされる挿入シースを通るバルーンの引き戻しの制限を示す略図である。
【図20】本発明の原理に従って製作された比較的厚手の近位テーパー部を備えるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態を示す略図である。
【0037】
【図21】本発明の原理に従って製作された遠位端に向かって内向きに先細になっている中間部を備えるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態を示す略図である。
【図22】本発明の原理に従って製作された近位端に向かって内向きに先細になっている中間部を備えるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、正常な循環機能を回復する総合的な作業の一部としてインターベンション用デバイスおよびカテーテルを留置する経路を形成するために血管閉塞(特にCTOの場合)または血管内に形成された他の閉塞を破綻させることによって血管閉塞の治療を行うためのデバイスおよび方法を提供する。一般的な言い方をすると、本発明のカテーテル・デバイスは、閉塞部位を通して、または閉塞部位の周りに、少なくとも可能な機械的抵抗を持つ経路を形成することによってその目的を達成する。したがって、本発明で開示されているデバイスは、素早く前後に(つまり、遠位と近位とに)移動させられる遠位前方移動可能内部シャフト先端を備え、これにより、病変の「押し込み」を行う。他の実施形態では、内部シャフト先端の高速振動は、内部シャフト腔の遠位部分内にしっかり保持され、その遠位端を超えて突き出る、ガイドワイヤの高速振動に変換される。それに加えて、デバイスは、血管内にカテーテルを固定するための膨張可能バルーンを備える。
【0039】
好ましい一作動形態において、本発明のデバイスは、血管閉塞を機械的に破損し、それと同時に血管壁の内皮に穴をあける危険性を最小限度に抑えることによって、抵抗が最小である前述の経路を形成する。後者の利点は、一部は、内部カテーテル・シャフトの遠位先端(およびいくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位先端)が実際には非常に短い距離だけ移動する(遠位および近位に)という事実により達成され、それにより前記先端がセンタリングされた位置および運動から逸脱する可能性が減じられる。
【0040】
本発明の他の態様では、閉塞病変部の破綻の後、前記病変部を通してそれによって形成された経路が、カテーテルの従来の血管形成術用バルーン機能を収納するために使用され、それにより従来のバルーン血管形成法を総合的作業の一部として使用して血管を同時に治療し血管内の正常な循環機能を回復する。
【0041】
その最も一般的な形態では、本明細書で開示され、説明されているクロッシング・バルーン・システムは、新規性のあるバルーン・カテーテルを備え、その内部の流体圧力を、それに接続されている圧力発生器コンソールによって急速に増減することができる。
【0042】
本発明のバルーン・カテーテルは、剛性外部シャフト内に嵌合された軟質内部カテーテル・シャフトを備える。カテーテルの遠位部分は、以下でさらに詳しく説明されるように、膨張腔を画定する。バルーンは、バルーンの近位端のところで、外部シャフト・セクションの遠位端に接続され、バルーンの遠位端のところで、内部シャフトに接続され、膨張腔と流体的に連通する。
【0043】
バルーンの遠位先細先端が軟質内部カテーテル・シャフトの遠位端に固定される仕方によって、カテーテル・システムの内部の圧力増大に応じて前記バルーンの遠位端がロールして拡大することができる。同様に、この圧力増大の結果、内部シャフトが遠位に伸張される。その後、カテーテル・システムの内部圧力が減少すると、内部シャフトの弾性によって、圧力減少に応じて内部シャフト先端が引っ込められて(つまり、近位方向に)その元の位置に戻る。本発明のデバイスの一主要実施形態において、高速往復圧力サイクル(音速または音速以下の範囲の周波数を有する)により、内部カテーテル・シャフトの遠位先端が対応する高速リニア振動運動を行う。この方法で、内部シャフト先端の高速循環遠位−近位移動は、内部シャフト先端と障害物との間に位置する血液の体積内に生じる衝撃波と一緒に、内部シャフト先端の領域内に位置する血管内病変を徐々に切り開くために利用されうる。以下でさらに詳しく説明される本発明の第2の主要実施形態では、デバイスは、内部カテーテル・シャフト内のガイドワイヤをしっかり把持するための手段をさらに備え、これにより、閉塞病変部を切り開くために前記ガイドワイヤの振動する突起遠位先端が使用される。
【0044】
これらの主要実施形態の両方の場合において、上述のように、カテーテル・システム内の圧力増大に応じてバルーンの遠位端をロールし、拡大する能力は、前記遠位端が内部シャフトに固定される仕方によって決まる。本質的に、バルーンの遠位端は、前記バルーンが振動させられる使用法の一部において、前記遠位端が陥入されるような方法で内部シャフトに取り付けられる必要がある。これは、以下の2つの異なる方法で達成されうる。
【0045】
I.予充填バルーン形態
この形態では、バルーンは製造時に内部シャフトの遠位端に、その遠位端が常に陥入されるように(つまり、カテーテル・シャフト上に内向きに折り畳まれるように)取り付けられる。この形態は、以下でさらに説明されるように多数の異なる方法で達成されうる。
【0046】
II.非充填バルーン形態
この形態では、バルーンの遠位端は、従来の非陥入方式でカテーテルの内部シャフトに取り付けられる。次いで、手術者によって、内部シャフトを近位方向に(外部シャフトに関して)移動することによって遠位陥入部が形成される。次いで、内部シャフトが適所にロックされ、それにより、この手順で形成された遠位陥入部が維持される。
【0047】
本発明のバルーン・カテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして、またはシングル・オペレータ(つまり、ラピッド・エクスチェンジ)カテーテルとして製作可能である。それに加えて、二腔カテーテル・チュービングを(カテーテルの全長の少なくとも一部について)使用してカテーテルを製造することもできる。
【0048】
好ましい一実施形態では、上述のバルーン・カテーテルは、完全に使い捨て可能な、殺菌済み使い捨てカテーテルとして製造される。
【0049】
バルーン・カテーテルは、上述のように、再利用可能な圧力発生器コンソールに接続され、前記コンソールは、圧力ポンプ、圧力調節インターフェース、および制御情報を医師に伝えるディスプレイを備える。一実施形態では、圧力発生器コンソールは、ピストンおよびピストンに作動部材が取り付けられているチャンバーを備える。チャンバーは、膨張流体(例えば、造影剤または食塩水)を圧力発生器および膨張腔内に導入するために使用されうる。圧力センサー/圧力計およびバルーン・サイジング・スケールをカテーテル・アセンブリ内に組み込み、これにより、手術を監視する治療医師を補助するようにできる。ソレノイドおよび/または回転電気モーターなどの長手方向振動駆動装置を、圧力発生器に動作可能なように接続することができる。
【0050】
この手順は、血管内のガイドワイヤを血管閉塞部位へ前方移動するステップで始まる。カテーテルは、カテーテルの遠位端が血管閉塞の近くに来るようにガイドワイヤ上で前方移動される。カテーテル先端からガイドワイヤがわずかに引っ込められる。次いで、第1の膨張圧力(固定圧力)に達するまで、遠位先端が治療される病変部のすぐ近くに配置されているバルーンを膨張させると、この第1の膨張圧力でバルーンは血管の内部に固定される。好ましくは、閉塞部の前にある血管内にカテーテルの選択が確実にセンタリングされるようにするため、対称的バルーン膨張形状が使用される。非充填タイプのデバイスでは、医師は、内部シャフトを外部シャフトに相対的に移動することができる把持要素を解放することによって膨張したバルーンを操作することができる。次いで、把持要素を再度使用することによって、内部シャフトが近位に引っ込められ新しい位置に固定される。内部シャフトを近位に引っ込めることで、バルーンの遠位端が内向きに折り畳まれ、バルーンの長さが縮む(つまり、陥入が引き起こされる)。必要ならば、その後、手術者は、バルーン・カテーテル・デバイスを遠位に前方移動して、遠位先端と閉塞との間の距離を減じることができる。これは、好ましくは、バルーンを部分的に萎ませ、それによって血管内のそのアンカーを解放し、カテーテルの先端が閉塞と接触するまでデバイスを遠位に前方移動することによって実行される。
【0051】
治療部位においてバルーンを新しい位置に再固定した後、使用者は、振動圧力源を施すことによってデバイスを振動モードで操作し、閉塞部を通る経路を開くことができる。バルーン圧力が固定圧力からより高い圧力まで高められる振動サイクルのフェーズでは、弾性内部シャフトが伸張し、これにより、遠位バルーン・テーパー部がロールして、カテーテル内部シャフト先端が前方(つまり、遠位方向)に移動されるようにできる。その後、バルーン圧力が下げられ固定圧力に戻される振動サイクルのフェーズで、内部シャフトの弾性特性によって、前記シャフトは逆方向(つまり、近位方向)に移動される。流体圧力のこのような高速循環増減が、圧力発生器コンソールによって行われると、その結果、内部シャフト先端の高速遠位−近位間直線運動が生じる。この運動は、非常に短い距離にわたって生じ、これにより内部シャフト先端は血管腔内の中心に保持される。カテーテルの前にある病変が治療された(つまり、振動する内部シャフト先端および/または前記振動するシャフト内に固定されたガイドワイヤの遠位先端によって押し込まれ、切れ目を入れられ、および/または破損された)後、バルーンを萎ませ、さらに遠位に前方移動して病変に通し、次いで、手順を繰り返すことで、病変の次の部分に損傷を与える。手術者が、ガイドワイヤで病変をクロスするのに成功した後、カテーテル・システムをさらに使用して、病変部を拡張し、ステントまたは大口径のバルーン拡張カテーテル用の通路を形成することができるが、その際に、当技術分野で知られている従来の血管形成術を使用する。
【0052】
本発明の方法は、CTO病変をクロスするための主たる、または単独の手段として使用されうる。その代わりに、従来のガイドワイヤまたは切断工具の方法を使用して病変部をクロスしようとして成功しなかったときに、これを使用することができる。
【0053】
そこで、付属の図面を参照しつつ、本発明のデバイスのいくつかの好ましい実施形態をより詳細に説明することにする。もちろん、本明細書で説明されている特定の実施形態は、例示することのみを目的としており、本発明の範囲は、それらの特定の実施形態だけに限定されないことは理解されるであろう。(図1から9を参照しつつ)説明される実装の第1のグループは、上述の2つの主要実施形態のうちの第1の実施形態、つまり、カテーテル内部シャフトの振動遠位先端が、閉塞プラークに損傷を与えるために使用される実施形態に関するものである。実装のこの第1のグループの説明の後に、第2の主要実施形態(つまり、ガイドワイヤが内部カテーテル腔内に固定されているデバイス)を詳細に説明する。
【0054】
第1の主要実施形態−振動するカテーテル・シャフト遠位先端を有するバルーン・カテーテル
図1は、本発明のバルーン・カテーテルのオーバー・ザ・ワイヤ型実装を示す略図である。バルーン・カテーテル実装は、外部シャフト18、外部シャフトの内側を通る内部シャフト17、およびバルーン5abを備える。内部シャフト17の内腔は、近位開口部を介して導入されうる、ガイドワイヤを中に通すために使用されうる(例えば、図7A〜7F)。
【0055】
この図に示されている予充填実施形態では、バルーン5abは、外部シャフト18の遠位端部分の外面上の環状取付具領域に向かって近位に先細になっている円錐状近位端2aとバルーン5abの遠位端を近位に内向きに折り畳むことによって、またその遠位端部分の外面を内部シャフト17の遠位端部分の外面上の環状取付具領域に付着させることによって形成される丸みを帯びた遠位端3bとを有する。他のタイプのバルーン取付け(結果として、予充填バルーンまたは非充填バルーンのいずれかが得られる)も可能であり、その一例が、以下でさらに詳しく説明される。
【0056】
内部シャフト17は、弾性材料から、またはその長さにそって少なくとも1つの弾性部分15を組み込んだ本質的に非弾性的な材料から製造される。もちろん、弾性部分15は、図3を参照しつつ以下で例示されるように、多くのさまざまな方法で形成されうる。内部シャフト17は、放射線不透過性マーカー11をさらに備えることができる。内部シャフト17の遠位先端1は、好ましくは、閉塞血管を通る通路を開くためにその先端を使用できる剛性を持つ。内部シャフト17と外部シャフト18の内壁との間に形成される膨張流体腔18a(図2に示されている)は、その中を通る加圧された膨張流体によってバルーン5abの内部空間18bを充填するための経路をなす。
【0057】
典型的な手順では、バルーン・カテーテルは、萎んだ状態で、挿入され、患者の血管内に通されて、閉塞部がありそうな治療部位へ向けて前方移動される。治療部位に達した後、膨張流体が、膨張流体腔18aを介して加圧され、バルーン5abの内部空間18bを満たす。膨張バルーンの壁が血管の内壁に圧し付けられ、それにより、バルーンが治療部位に固定される。非充填バルーン(例えば、図5Aに示されているバルーン)をカテーテルで利用する場合、前記カテーテルをその振動モードで作動させるために、内部シャフト17が近位にわずかに引っ込められ(例えば、3mm)、その変位位置に固定される。内部シャフト17を近位に引っ込めることで、バルーン5abの遠位端部分3bは内部シャフト17の遠位端部分の外面上に近位に内向きに折り畳まれ、それにより、バルーンの長さが縮み、その体積が減少する。膨張流体の一部は、その中の実質的圧力増大を防ぐために、膨張流体腔18aを介して膨張流体貯蔵容器(図示されていない)内に放出されうる。
【0058】
次いで、振動圧力源を使用してバルーン5ab内の膨張流体の圧力を周期的に変化させることによって、内部シャフト17の遠位端をその長手方向軸に関して振動させることができる。そのような周期的圧力変化により、バルーン5abおよび内部シャフト17の長さの対応する伸縮が生じ、それによって、閉塞部に損傷を与え、および/または破裂させ、またそれによって、中を通る通路を開く。
【0059】
予充填バルーン(例えば、図1に示されているバルーン)を留置するカテーテルの場合、クロッシング作業でカテーテルを使用するための手順は、バルーンの遠位−近位間振動を引き起こす前に内部シャフトを近位に引き戻す必要がないという事実を除き、上で説明されているのと本質的に同じである。
【0060】
外部シャフト18は、ステンレス316、ニチノール、またはナイロンなどのポリマー、複合もしくは金属材料から押し出し成形およびレーザー切断プロセスによって製造可能であり、その長手方向長さは、一般的には100から2000mmまでの範囲内、好ましくは約1200mmであり、その直径は、一般的には1から2mmまでの範囲内、好ましくは約1.2mmである。内部シャフト17は、Pebax、ナイロン、ステンレス鋼、またはニチノールなどの可塑性ポリマー、複合材料または金属材料から押し出し成形およびレーザー切断プロセスによって製造可能であり、その長手方向長さは、一般的には100から2000mmまでの範囲内、好ましくは約1200mmであり、その直径は、一般的には0.3から1mmまでの範囲内、好ましくは約0.8mmである。弾性部分15は、上述の材料のうちの1つ、好ましくはエラストマーをそのような部分の中で組み合わせることによって形成されうる。特に好ましい材料は、ナイロンとPebax、例えば、Pebax 5333、Pebax 6333などの混合物を含む。
【0061】
内部シャフト17の遠位先端1は、複合または金属材料などの補強材料をその中に組み合わせることによって補強可能であり、好ましくは、貫通力が改善されるように鋭利な端部を有する。それに加えて、またはその代わりに、遠位先端1は、内部シャフト17の他の部分に関して厚くすることによって補強されうる。
【0062】
図2は、本発明のバルーン・カテーテルのラピッド・エクスチェンジ型実装を示す略図である。このラピッド・エクスチェンジ型バルーン・カテーテル実装における振動メカニズムは、図1を参照しつつ上で説明されているメカニズムに実質的に類似している。カテーテルの構造は、カテーテルの近位端と遠位端との間に設けられた側口23からアクセス可能であるという点で主に異なる。外部シャフト18の膨張流体腔18aは、それに取り付けられた近位チューブ25を介して加圧された膨張流体で満たされうる。(複数の)張力逃し部分22を外部シャフト18の外面上に備えて、追加の一時的支持機能をもたらし、カテーテルのチューブ/シャフトの潜在的つぶれを低減することができる。
【0063】
内部シャフト17の長手方向長さは、一般的には100から300mmまでの範囲内、好ましくは約120mmである。近位チューブ25は、一般的に100から1700mmまでの範囲内、好ましくは約1000mmの長手方向長さを有する、Pebax、ナイロン、ステンレス鋼、またはニチノールなどの、可塑性ポリマー、複合または金属材料から作られ、また近位チューブ25は、オーバー押し出し成形セクションまたは熱収縮チューブ・セクションを使用して構造化されうる((複数の)張力逃し部分22によって外部シャフト18に取り付けられうる。
【0064】
図3は、本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうるさまざまな弾性内部シャフト部分実装を示す図である。弾性部分15は、編組コイルセクション15aとその中の中間セクションとを組み合わせることによって製作されうる。コイルを巻くプロセスによって製造されるような編組コイルは、ポリマー/エラストマー・タイプの材料のオーバー押し出し成形で複合材料から、または内部コイルとして製造されうる。内部シャフト17内に組み合わされた編組コイル15aの長さは、一般的には3から15mmまでの範囲内、好ましくは約10mmである。
【0065】
代替実装では、弾性部分15bは、その中間セクション内にコイル33を埋め込むことによって形成される。コイル33は、内部シャフト17の一部の壁の中に、またはその外面もしくは内面に埋め込まれうる。コイル巻き技術によって製造されるようなコイル33を金属材料から製造することができ、またアクリル系接着剤を使用して内部シャフト17にこのコイル33を接着するか、またはオーバー押し出し成形プロセスを介してその壁内にこのコイル33を埋め込むことができる。コイル33の長さは、一般的には3から15mmまでの範囲内、好ましくは約10mmである。
【0066】
それに加えて、またはその代わりに、エラストマー、ポリマー、または複合材料などの1つまたは複数の弾性材料から作られた弾性部分15cを、内部シャフト17の中間セクション内に埋め込むことができる。弾性部分15cは、アクリル系、エポキシ系、または加硫系の接着剤を使用して内部シャフト17の中間部に接着されるか、または超音波/熱接合溶接プロセスを使用してそれらの間に取り付けられうる。弾性部分15cの長さは、一般的には3から15mmまでの範囲内、好ましくは約10mmである。
【0067】
図4は、本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうるさまざまな遠位先端1実装を示す略図である。遠位先端1は、所望の破裂効果をもたらすようにさまざまな形態に整形されうる。コネクタ(図示されていない)をカテーテルの遠位端に設けると、医師は好適な先端1を選択して、それをコネクタに接続することができる。先端は、先端1aにおいて示されているような鋭利な形状、先端1bおよび1cに示されているような丸みを帯びた形状、または先端1dおよび1eのようなドリル様形状をとることができる。機械加工で製造されるような先端1は、金属または複合タイプの材料から製造されるものとしてよく、その長さは、一般的に1から5mmまでの範囲内、好ましくは約2mmである。
【0068】
図5Aおよび5Bは、本発明のバルーン・カテーテル内で使用されうる代替バルーン構成を示す略図である。図5Aは、本発明のバルーン・カテーテルの非充填実装を示しており、バルーン5aaの近位端2aおよび遠位端3aは円錐形状を有する。バルーン5aaの形状は、テーパー端部を有し、その内面が外部シャフト18および内部シャフト17の端部の外面に取り付けられているバルーンを使用することによって形成される。図5bに示されている予充填の例において、バルーン5bbの近位端2bと遠位端3bは両方とも、バルーン5bbの端部の外面を外部シャフト18および内部シャフト17の端部の外面に取り付けることによって得られる丸い陥入形状を有する。典型的には、この方法でバルーン5bbの端部の外面をこの方法で取り付けるために、その遠位端3bは、近位に内向きに折り畳まれ、その近位端2bは、遠位に内向きに折り畳まれる。
【0069】
バルーン5は、Interface Assoc社によって製造されているようなノンコンプライアント・バルーン、セミコンプライアント・バルーン、またはローコンプライアント・バルーンとすることができ、これらは、バルーン・カテーテル業界において知られている従来の方法によって生体適合性ポリマー材料から、好ましくはナイロン12またはPET(ポリエチレンテレフタレート)から製造されうる。バルーン5abおよび5aaなどのバルーン5の円錐端の角度は、一般的に10°から90°までの範囲内、好ましくは約40°である。
【0070】
図6は、本発明のバルーン・カテーテルの代替実装の概略を示しており、外部シャフト18の端部セクションの外面に横方向に取り付けられている補助チューブ50は、内部シャフト(17)の代わりにガイドワイヤ腔として使用される。補助チューブ50は、中にガイドワイヤを通すための近位開口部および遠位開口部を有する。この方法で、本発明のバルーン・カテーテルは、膨張流体腔としてシャフト18の中空内部を使用する単一内腔とともに製造されうる。バルーン5を備えるカテーテルの遠位端セクションは、外部シャフト18の内壁へのバルーン5の近位端とカテーテルの近位端との間に配置されている1つまたは複数の取付け点62で近位端が取り付けられている内部シャフト67を備える。内部シャフト67は、1つまたは複数の弾性部分15、放射線不透過性マーカー11、および閉塞を破裂させるように適合された先端1gを備える。補助チューブ50は、可塑性ポリマーまたは金属から製造可能であり、接着剤または超音波溶接/熱接合を使用して外部シャフト18の外面に接着可能であり、その長さは、一般的に100から300mmまでの範囲内、好ましくは約120mmである。
【0071】
図7Aから7Fは、本発明のバルーン・カテーテル10を使用して閉塞血管20を通る経路を開くための1つの可能な手順を示す図である。この例では、それぞれ取付け点7および6のところで、外部シャフト18および内部シャフト17の遠位部分の外面に取り付けられた近位および遠位テーパー端部を有する非充填バルーン5aaが使用される。カテーテル10は、内部シャフト17の内腔内にねじ込まれているガイドワイヤ13上で治療部位に向けて前方移動されうる。カテーテル10は、閉塞70に可能な限り近い位置に留置されるべきであり、好ましくはこれによって遠位先端1が前記閉塞と接触する。カテーテル10が治療部位に留置された後、膨張流体口11を介して加圧された膨張流体(矢印8aで示されている)を導入することによって、バルーン5aaが第1の固定直径まで膨張させられうる。膨張流体は、外部シャフト18の内壁と内部シャフト17の外面との間に画定された膨張流体腔を介して通る。その膨張状態(図7B)において、バルーン5aaの横側が血管20の内壁21に圧し付けられ、それにより、バルーンが内壁に固定される。
【0072】
治療部位内にバルーンを固定した後、手術者は、把持要素14を解放し、それにより内部シャフト17を外部シャフト18に相対的に近位に移動させることによって膨張バルーンを操作する。把持要素14(図7C)を再度使用することによって、内部シャフト17が近位に引っ込められ新しい位置にロックされる。内部シャフト17の近位部分に設けられている目盛を刻んだスケール19は、引っ込められた内部シャフト17の長さを判定する手術者を補助するために使用されうる。内部シャフトの近位引き込みにより、バルーン5aaの遠位端が近位に内向きに折り畳まれ、バルーンの長さが縮み、その結果、その膨張体積が、そこから膨張流体の一部が放出される(矢印8bによって指示されている)ときに減少する。
【0073】
膨張流体の放出部分は、膨張流体口11を介して、または専用放出口(図示されていない)を介して膨張流体貯蔵容器(図示されていない)によって収容されうる。その代わりに、またはそれに加えて、デバイス内の圧力変化は、機械的手段または空気圧手段(図示されていない)を使用して吸収されうる。例えば、気泡(例えば、空気)(例えば、空気を充填したバルーン)を外部シャフト18内に留置することができ、これにより、容積変化を吸収し、したがって、シャフト18内の実質的圧力変化を防ぐ。他の例として、シャフト18内の容積変化は、取り付けられているバネを介して非圧縮状態を復元できる移動可能ピストン・メカニズムを使用することによって吸収されうる。
【0074】
手術者は、必要ならば、バルーン・カテーテル・デバイスを遠位に前方移動して、遠位先端1と閉塞70との間の距離を減じることができる。これは、好ましくは、バルーン5aaを部分的に萎ませ、それによって血管20内のそのアンカーを解放し、先端1が閉塞70と接触するまでデバイスを遠位に前方移動することによって実行される。
【0075】
図7Dは、バルーン5aa内の周期的圧力変化を発生する、膨張流体口11を介して振動圧力源42を使用することによる振動モードでのバルーン・カテーテル10の動作を示している。これらの周期的圧力変化の結果、バルーン5aaおよび内部シャフト17の弾性部分15の周期的伸縮が生じる。遠位先端1の振動運動、および/またはそれによって確定する衝撃波45は、閉塞70を破綻し、その中を通る経路を開く。
【0076】
次いで、図7Eに示されているように、ガイドワイヤ13を破損閉塞部内に前方移動し、その後、バルーン5aaを萎ませてからバルーン・カテーテルもその中に前方移動することができる。この状態で、破損閉塞部は、図7Fに示されているようにバルーン5aaを膨張させることによって拡張されうる。
【0077】
予充填バルーン・カテーテルの場合、この手順は、図7Bに示されているように内部シャフトを近位に引き戻すステップ(バルーンの遠位端に陥入を生じさせるために)が省かれていることを除き、上で説明されているのと本質的に同じである。
【0078】
膨張状態ではバルーン5aa内の圧力は、一般的に2から10気圧までの範囲、好ましくは約4気圧であり、折り畳まれた状態では、2から10気圧までの範囲、好ましくは約5気圧である。振動圧力源42は、例えば、蠕動ポンプまたは隔膜ポンプを利用することによってさまざまな形で実装され、圧力振動は、例えば、ソレノイドまたは回転偏心機構を利用することによって制御されうる。
【0079】
バルーン5内の膨張流体の圧力は、例えば、膨張流体腔などにおける膨張経路にそった好適な位置に設置された圧力計(図示されていない)によって測定されうる。その代わりに、膨張流体圧力を得るために、拡大ベースのインジケータ(例えば、伸長により圧力に反応する可撓性部分)を利用するか、または機械的変位インジケータ(例えば、シリンダーの長手方向移動を記録し、それを圧力変化に変換するインジケータ)を使用することができる。
【0080】
一実施形態では、バルーン5は、長手方向長さにそって前記バルーンが捻られるようにカテーテルに取り付けられうる。このような長手方向の捻りは、バルーンの端部の1つをわずかに回転しつつ取り付け、それを各取付け点に取り付けることによって形成されうる。この方法で、バルーン5の膨張で、これに取り付けられている内部シャフト17に回転力が加わり、これにより、その弾性部分15が捻れて、先端1をその軸の周りにわずかに回転させることによってドリル効果をもたらす。バネ状要素を使用して弾性部分15を実装するときに、そのような要素の伸張および圧縮で生じる捻れにより類似の効果がさらに得られることに留意されたい。
【0081】
次に、本発明の修正されたバルーン・カテーテル10mで実行されうる閉塞血管20を通る経路を開くための手順の他の例について、図8Aおよび8Bを参照しつつ説明する。この例では、内部シャフト17は外部シャフト18に固定され(例えば、好適な接着剤を使用して)、図8Aに示されているように、バルーン5aaは、近位に(後方へ)折り畳まれ、これにより、その遠位取付け点6に向かって先細になっている矢印形状を形成する。この折り畳まれた状態は、熱および/または圧力の下でバルーンを折り畳んでこの折り畳まれた状態にすることにより保持されうる(例えば、製造プロセスにおいてバルーンを折り畳んでいる間に、バルーンは、折り畳まれたジャケットの「ウィング」がぴんと張られたままである場合にその形状を維持する)。
【0082】
カテーテル10mは、内部シャフト17の内腔内にねじ込まれているガイドワイヤ13上で治療部位に向けて前方移動されうる。カテーテル10mは、閉塞70に隣接する位置に留置され、好ましくはこれによって遠位先端1が前記閉塞と接触する。カテーテル10mが治療部位に留置された後、膨張流体口11を介して加圧された膨張流体(矢印8aで示されている)を導入することによって、バルーン5aaが膨張させられうる。膨張流体は、外部シャフト18の内壁と内部シャフト17の外面との間に画定された膨張流体腔を介して通る。その膨張状態(図7B)において、後方へ折り畳まれたバルーン5aaの横側が血管20の内壁21に圧し付けられ、それにより、バルーンが内壁に固定される。その初期の折り畳まれた状態により、膨張バルーンの遠位端は、図8Bに示されているように、丸い陥入形状を獲得する。
【0083】
治療部位内にバルーンを固定した後、医師は、膨張流体口11を介して振動圧力源42を使用することによって振動モードでデバイスを動作させ、閉塞を通る通路を開き、図7Dから7Fを参照しつつすでに説明されているように、必要に応じてバルーン拡張を実行することができる。
【0084】
膨張状態ではバルーン5aa内の圧力は、一般的に2から10気圧までの範囲、好ましくは約4気圧であり、折り畳まれた状態では、2から10気圧までの範囲、好ましくは約5気圧である。
【0085】
図中、弾性部分を含む内部シャフト17が示されているが、内部シャフト全体を弾性材料から製造できることは理解されるであろう。
【0086】
バルーン5は、上で説明されているような手順において手作業でまたは機械により操作されうることに留意されたい。例えば、手術者は、内部シャフト17を近位に引っ張って、解放することにより手順の閉塞部開放ステップ(またはその一部)を実行することができる。このような操作により、先端1の近位および遠位移動が行われ、閉塞70を破裂させることが補助される。同様に、機械的手段(図示されていない。例えば、カテーテルの近位端上で使用され往復運動することができる機械式アクチュエータは、内部シャフトを引き戻し、圧力変化を蓄積するバルーンの可撓性に抗して解放する)を使用して、先端1のそのような移動を導入することができる。
【0087】
図9Aは、カテーテルの全長の少なくとも一部分にそって二腔カテーテル・チュービングを利用する本発明の一実施形態を示している。この図では、バルーン5の近位端は、近位取付け点96のところで二腔導管90の外面に取り付けられ、前記二腔導管は2つの平行な内腔、膨張流体腔92およびガイドワイヤ腔94を備える。2つの内腔の相対的配列構成を示すレベルA−Aで切り取られた二腔導管の断面が、この図の下側部分に示されている。膨張流体腔92は、近位バルーン取付け点96で終端しているが、ガイドワイヤ腔94は、バルーン5の近位取付け点96を超えて続き、前記内腔は遠位導管99のガイドワイヤ腔91とともに連続する。弾性的変形可能領域を含む、遠位導管の外面は、遠位バルーン取付け点98を備える。
【0088】
いくつかの状況では、弾性的変形可能な遠位導管の長さがバルーンの長さによって制限されない、この直前で説明されているタイプの二腔カテーテルを形成することが望ましい。図9Bおよび9Cは、この長さ制限が取り除かれている、二腔導管を利用する他の実施形態を示している。
【0089】
したがって、図9Bに示されているカテーテルの実施形態では、修正されたバルーン5dは、細長い近位首部97を有する。この実施形態のバルーンを長くすることで、より長い遠位導管99dを使用できるようになる。この実施形態における他のすべての要素は、図9Aに示されているものと同じである。
【0090】
図9Cは、上述の二腔構成の他の実施形態を示している。この場合、カテーテルは、導管近位部分(つまり、二腔導管)90とバルーン96の近位取付け点との間に位置する接続チューブ・セグメント100をさらに備える。図9Cの右下部分に断面図として示されている前記接続チューブ・セグメントは、2つの同心円状に配列された導管、つまり、近位二腔導管90の流体経路腔92と流体的に連通する内腔106を有する外部導管および弾性セクションを含む遠位導管99dによって形成され、その導管の内腔91dが前記二腔導管90のガイドワイヤ腔94と流体的に連通する、内部導管とを備える。図に示されているように、接続チューブ・セグメント100が存在することで、図9Aに示されている実施形態で可能な場合に比べて長い遠位導管99dを使用することができる。
【0091】
図18Aは、バルーン5の代替実施形態を示しており、この実施形態は、バルーン・カテーテルが治療されている血管内の湾曲または曲がりをうまく扱う必要があるときに有利に使用されうる。バルーンのこの実施形態は、幅が広い近位部分5xおよび幅が狭い遠位部分5yを持つ段付き形状を有するように製作される。血管の湾曲領域に向かってバルーンが前方移動するときに、この幅の狭い遠位バルーン部分5yによって、カテーテルおよびガイドワイヤ先端の位置を前記湾曲またはアーチ形領域内の中心に合わせることができる。このバルーン設計は、偏向可能カテーテルとしても使用可能であり、その場合、幅の狭い遠位部分5yは、血管の幾何学的形状に関して先端の中心を合わせつつ閉塞の方へ手作業で逸らされる。
【0092】
図18Bは、血管系の湾曲またはアーチ形領域をうまく扱うためにも使用されうるさらなる代替実施形態を示している。この実施形態では、バルーン233の遠位端を超えるカテーテルの内部シャフトの遠位端は、説明されている実施形態に比べて相当に長く、これにより、血管のアーチ形部分の周りのこの伸張を手作業で迂回させることができる。
【0093】
上述のように、バルーンを本発明のデバイスの製造に際して使用されうるカテーテル・シャフトに取り付けるための複数の異なる手順が存在する。図10Aから10Eに示されている、このような手順の一例は、「フリップド遠位首部結合」と称される。図10Aに示されているように、標準的なチュービング材料の長さからバルーン110を膨らませる(例えば、直径0.6mmのナイロン12および/またはPebax材料)。
【0094】
バルーンを膨らませた後、バルーンの近位端部と遠位端部に続くチュービングは、異なる直径をそれぞれ有する3つの異なる領域を形成する。したがって、バルーンの近位側では、チュービングは、内径D1を有し、前記直径はチュービングに接続される外部カテーテル・シャフトと一致する。バルーンのすぐ遠位にある領域は直径D2を有し、前記直径は内部カテーテル・シャフトの外径と一致する。最後に、最も遠位にある領域はD2より小さい直径D3を有する。図10Bに示されているような、アンダーサイズの領域の目的は、バルーン110の内腔内に挿入されるマンドレル112に結合できるようにすることである。
【0095】
図10Cに示されているように、次の段階は、近位方向(矢印によって示されているような)にマンドレル112を引くことである。マンドレルは、バルーンの最も遠位の部分にしっかり結合されるので、引っ張り運動の結果として、その内腔を通してのバルーンの遠位部分の反転および陥入が生じる。次いで、矢印で示されている点でマンドレルがトリミングされ、取り除かれる。図10Dに示されているように、次の段階は、バルーン110の拡大部分の遠位に(例えば、図10Aにおいて)元々配置されていた直径D2を有するチュービングの部分の中への内部チューブ114の挿入である。内部チューブは、矢印でマーキングされているチュービングのセクションにそって内部チューブ114に結合される。図10Eは、この手順の最終段階の後のバルーン110を示しており、このときに、バルーンは、その元の位置にロールバックされており、外部チューブ116は、バルーンの遠位首部(直径D1を有する領域)内に結合されている。この図から、この技術によって生産されるバルーンが予充填されており、遠位陥入部を有することがわかる。
【0096】
第2の主要実施形態−カテーテル・シャフト内に固定された振動するガイドワイヤを有するバルーン・カテーテル
本発明のこの第2の主要実施形態では、バルーン・カテーテル・システムは、内部カテーテル・シャフト腔内に固定されたガイドワイヤ(本明細書では押し込み器具とも称される)を備え、バルーン・カテーテルは、その中を通るガイドワイヤに高速運動を伝えることができる。このような高速運動をインビボで、体器官または体内経路内に形成されている閉塞部位に、または閉塞部位に隣接する部位に伝えることは、閉塞物質を破砕し、その内部の通路を穿孔するために有効に利用され、これにより、閉塞物質のクロッシングおよび/または除去が可能になりうる。
【0097】
本発明のバルーン・カテーテルは、好ましくは、遠位端に取り付けられた、バルーンなどの膨張可能部材を有する同心チューブから製作される。膨張可能部材は、カテーテル・デバイスの内部チューブおよび外部チューブの遠位端部分に封止可能なように取り付けられうるテーパー端部を有するスリーブとすることができ、これにより、内部チューブと外部チューブとの間に形成される内腔は、膨張腔として使用されうる。
【0098】
本発明のバルーン・カテーテル・デバイスは、切開により治療被検者の体内に導入され、従来のカテーテル法で実行されるように、その中を通してガイドワイヤ上で治療部位に前方移動されうる。カテーテル・デバイス上(および/またはそのデバイスがねじ込まれるガイドワイヤ上)に設けられている放射線不透過性マーカー、または他の好適な視覚技術を使用して、バルーン・カテーテル・デバイスを治療部位に誘導することができる。治療部位に到達した後、膨張可能部材は、適当な膨張流体によって膨張され、カテーテル・デバイスを内部に固定して、中心位置を合わせ、それにより、流体(例えば、血液)の体積が、前記膨張可能部材および前記閉塞物質の近位面によって画定される。
【0099】
膨張可能部材は、好ましくは、その中で生じる圧力増分に応じて遠位に拡大するように設計された拡大可能遠位端部分を有し、内部チューブ(またはその一部)は、好ましくは、それが遠位に伸長することができるように弾性的変形可能にされる。膨張可能部材の繰り返し遠位拡大は、内部チューブの交互(遠位と近位の)方向、軸方向での引き伸ばしと引き込みを繰り返させるために使用されうる。バルーン・カテーテルの内部チューブは、そのような振動移動の前にその中を通るガイドワイヤを把持し、内部チューブの前記移動がガイドワイヤに伝えられ、これは閉塞物質をその中に繰り返し押し込みを行うことによって破損するために有利に使用される。
【0100】
図11Aから11Cは、本発明のバルーン・カテーテル250を使用して閉塞270前にカテーテルを留置するための1つの可能な手順を示す図である。この例では、バルーン・カテーテル250のバルーン205aaは、それぞれ取付け点207および206のところで、外部シャフト258および内部シャフト257の遠位部分の外面に取り付けられた近位および遠位テーパー端部を有する。カテーテル250は、内部シャフト257の内腔内にねじ込まれているガイドワイヤ253上で治療部位に向けて前方移動されうる。カテーテル250は、閉塞270に可能な限り近い位置に留置されるべきであり、好ましくはこれによってその遠位先端201が前記閉塞と接触する。カテーテル250が治療部位に留置された後、膨張流体口251を介して加圧された膨張媒質(例えば、流体、矢印208aで示されている)を導入することによって、バルーン205aaが第1の固定圧力になるまで膨張させられうる。膨張媒質は、外部シャフト258の内壁と内部シャフト257の外面との間に画定された膨張流体腔を介して通る。その膨張状態(図11B)において、バルーン205aaの横側が血管260の内壁221に圧し付けられ、それにより、バルーンが内壁に固定される。
【0101】
非充填バルーンの場合(第1の主要実施形態に関して、上で定義され、説明されているように)、治療部位内にバルーンを固定した後、手術者は、把持要素254(固定器具)を解放し、それにより内部シャフト257を外部シャフト258に相対的に近位に移動させることによって膨張バルーンを操作することができる。把持要素254(図11C)によりその把持を復元することによって内部シャフト257が近位に引っ込められ新しい位置に固定される。内部シャフト257の近位部分に設けられている目盛を刻んだスケール219は、引っ込められた内部シャフト257の長さを判定する手術者を補助するために使用されうる。内部シャフトの近位引き込みにより、バルーン205aaの遠位端が近位に内向きに折り畳まれ、バルーンの長さが縮み、その結果、その膨張体積が、そこから膨張流体の一部が放出される(図11Bの矢印208bによって指示されている)ときに減少する。
【0102】
膨張流体の放出部分は、膨張流体口251を介して、または専用放出口(図示されていない)を介して膨張流体貯蔵容器(図示されていない)によって収容されうる。
【0103】
この時点において、振動圧力源を使用してバルーン205aa内の膨張媒質の圧力を周期的に変化させることによって、内部シャフト257の遠位端201をその長手方向軸の周りで振動させることができる。そのような周期的圧力変化により、バルーン205aaおよび弾性内部シャフト257(またはその弾性部分255)の長さの対応する伸縮が生じ、これを利用して、閉塞部を破裂させ、またそれによって、中を通る通路を開くことができる。
【0104】
手術者は、ガイドワイヤ253の遠位端部分がその遠位端開口部を通じて内部シャフト257を残すように、例えば、ワイヤの1から5mm部分が、図11Cに示されているように、カテーテルの遠位端から突き出るように、ガイドワイヤ253を前方移動することができる。これは、好ましくは、ガイドワイヤ253の遠位部分が内部シャフト257の近位端開口部(遠位先端201のところの)を介して外向きに突き出るように内部シャフト257の近位端開口部252を通してガイドワイヤ253の近位部分を遠位に前方移動することによって実行される。
【0105】
図12Aおよび12Bは、閉塞部位の前にカテーテルを留置するための他の可能な手順を示す図である。この例では、バルーン・カテーテル210mの代替形態が使用され、この場合、内部シャフト257は外部シャフト258に固定され(例えば、好適な接着剤を使用して)、図12Aに示されているように、バルーン205aaは、近位に(後方へ)折り畳まれ、これにより、その遠位取付け点206に向かって先細になっている矢印形状を形成する。この折り畳まれた状態は、熱および/または圧力の下でバルーンを折り畳んでこの折り畳まれた状態にすることにより保持されうる(例えば、製造プロセスにおいてバルーンを折り畳んでいる間に、バルーンは、折り畳まれたジャケットの「ウィング」がぴんと張られたままである場合にその形状を維持する)。
【0106】
カテーテル210mは、内部シャフト257の内腔内にねじ込まれているガイドワイヤ253上で治療部位に向けて前方移動されうる。カテーテル210mは、好ましくは、閉塞270に隣接する位置に留置され、好ましくは、これによってその遠位先端201が前記閉塞と接触する。カテーテル210mが治療部位に留置された後、膨張口251を介して加圧された膨張媒質(矢印208aで示されている)を導入することによって、バルーン205aaが膨張させられうる。膨張媒質は、外部シャフト258の内壁と内部シャフト257の外面との間に画定された膨張流体腔を介して通される。その膨張状態(図12B)において、後方へ折り畳まれたバルーン205aaの横側が血管260の内壁221に圧し付けられ、それにより、バルーンが内壁に固定される。その初期の折り畳まれた状態により、膨張バルーンの遠位端は、図12Bに示されているように、丸い形状を獲得する。
【0107】
この状態の時点において、振動圧力源を使用してバルーン205aa内の膨張媒質の圧力を周期的に変化させることによって、内部シャフト257の遠位端201をその長手方向軸の周りで振動させることができる。そのような周期的圧力変化により、バルーン205aaおよび弾性内部シャフト257(またはその弾性部分255)の対応する伸縮が生じ、これを利用して、閉塞部を破裂させ、またそれによって、中を通る通路を開くことができる。
【0108】
手術者は、ガイドワイヤ253の遠位端部分がその遠位端開口部を通じて内部シャフト257を残すように、例えば、ワイヤの1から5mm部分が、図12Bに示されているように、カテーテルの遠位端から突き出るように、ガイドワイヤ253を前方移動することができる。これは、好ましくは、ガイドワイヤ253の遠位部分が内部シャフト257の近位端開口部(遠位先端201のところの)を介して外向きに突き出るように内部シャフト257の近位端開口部252を通してガイドワイヤ253の近位部分を遠位に前方移動することによって実行される。
【0109】
図13Aおよび13Bは、閉塞物質215を含む閉塞体内流路214(例えば、血管)内に動作可能なように位置する本発明のバルーン・カテーテル・デバイス210の好ましい一実施形態の概略を示している。バルーン・カテーテル210は、近位取付具201aにおいてバルーン・カテーテル・デバイス210の外部チューブ211の遠位端部分に、遠位取付具201bにおいて外部チューブ211内を通る内部チューブ212の遠位端部分に取り付けられた膨張可能部材213を備える。
【0110】
膨張可能部材213は、好ましくは、外部チューブ211および内部チューブ212の外面の上に嵌合するように適合されたテーパー端部を有するノンコンプライアントまたはセミコンプライアント・スリーブから作られる。膨張可能部材213は、好適な膨張媒質217を充填されときに半径方向拡大を実行し、その後、前記膨張媒質217が加圧されたときにその遠位部分213bの遠位拡大を実行するように構成されている。図13Aおよび13Bに示されているカテーテル・デバイス210の長手方向図面および断面図に示されているように、膨張可能部材213の半径方向拡大によって、その側壁が体内流路または器官214の内側に圧し付けられてそこに留置され、それによって、カテーテル・デバイス210がセンタリングされ、適所に固定される。
【0111】
内部シャフト・チューブ212は、外部シャフト・チューブ211に固定されるか、または解放可能なロック手段(図示されていない)を介して内部シャフト・チューブ212が外部シャフト・チューブ211に可逆的に取り付けられ、これにより、内部チューブ212の遠位部分212aは、外部チューブ211の遠位端開口部を介して外向きに突き出る。内部チューブ212の少なくとも一部は、弾性的変形可能であり、これにより、膨張可能部材213の遠位拡大に応じて内部チューブ212のその少なくとも一部は遠位伸長することができる。例えば、内部チューブ212、またはその一部は、弾性材料(例えば、Pebaxおよび/またはナイロン混合物)から製造されるか、またはバネなどの弾性要素を備える軟質可撓性材料から製造されうる。内部チューブの一セクションを弾性的変形可能にするさまざまな方法が、参照により本明細書に組み込まれている、米国仮特許出願第60/726,180号および国際特許出願第PCT/IB2006/002958号(WO2007/042936として公開されている)において説明されている。
【0112】
本発明の好ましい一実施形態では、膨張可能部材213は、好ましくは、内部チューブ212および外部チューブ211の外面の上に嵌合するように設計されたテーパー端部を有するノンコンプライアントまたはセミコンプライアント・スリーブから作られる。可撓性スリーブの近位端の内面は、近位取付具201aのところで外部チューブ211の遠位端部分の外面上に嵌合し、取り付けられ、可撓性スリーブの遠位端の外面は、遠位取付具201bのところで外部チューブ211の遠位端部分の外面上に嵌合し、取り付けられる。
【0113】
内部チューブ212の遠位部分212a上の遠位取付具201bの配置は、膨張可能部材213の遠位端部分が、内部チューブ212の遠位端部分の上で近位に内向きに折り畳まれるように選択される。図14Aに示されているように、この方法で、膨張可能部材213の遠位部分213bの遠位拡大は、膨張可能部材213の内側にある膨張媒質217の圧力を増大することによって達成され、それに応じて、膨張可能部材213の内向きに折り畳まれている遠位部分を強制的に遠位に広げ、膨張可能部材213の元の形状を復元し、それによって、膨張可能部材213の体積を増大し、外部チューブ212の遠位部分212aを伸長する。
【0114】
内部チューブ212の内腔内を通り、そこに機械的に結合されている押し込み器具216(例えば、ガイドワイヤ)が、図14Aおよび14Bに示されているように、閉塞215を破損し、および/またはそこにトンネルを掘るために使用される。押し込み器具216と内部チューブ212との間の機械的結合は、圧迫を受けることができる可撓性材料から内部チューブ212の遠位部分を作り、それによって、その遠位部分の中に押し込み器具216の一部を保持することによって達成されうる。
【0115】
内部チューブ212の内面を粗面化して、その内面の摩擦係数を高め、その面によって押し込み器具216に印加されうる把持力を増強することができる。例えば、内部チューブ212の内面への粗面化は、その内面に突起部212pを形成する(または取り付ける)ことによって達成されうる(例えば、チューブの露出されている内壁上の粒子の化学堆積などの化学的プロセスによって)。
【0116】
外部チューブ211は、ナイロンなどのポリマー材料、好ましくはポリウレタンから押し出し成形によって製造されうる。外部チューブ211の内径は、一般的に0.4から1.0mmまでの範囲内、好ましくは約0.75mmとすることができ、その長さは、一般的に1000から2000mmまでの範囲内、好ましくは約1500mmとすることができる。
【0117】
内部チューブ212は、ステンレス鋼などの金属材料、好ましくはSS 316から製造可能であり、これに対し、後から説明されるように、1つまたは複数の弾性遠位端部分を取り付けることができる。近位内部チューブ212の内径は、一般的に0.2から0.8mmまでの範囲内、好ましくは約0.4mmとすることができ、その長さは、一般的に1000から2000mmまでの範囲内、好ましくは約1450mmとすることができる。外部チューブ211の遠位端開口部を介して外に突き出ている内部チューブ212の遠位部分212aの長さは、一般的に5から30mmまでの範囲内、好ましくは約10mmである。
【0118】
本発明の好ましい一実施形態では、外部チューブ212の遠位部分212aの長さは、デバイスの近位端部分に設けられた解放可能固定器具(図示されていない)を介して手術者によって調節可能であり、これにより手術者は内部チューブ212を遠位/近位に移動し、その内部チューブ212を外部チューブ212の所望の位置に貼り付けることができる。このような実装では、バルーン・カテーテルの操作は、外部チューブ212の遠位部分212aの長さが閉塞215内に実行される穿孔(またはトンネル形成)の進行に合わせて徐々に増大する多数の段階に分割されうる。
【0119】
膨張可能部材213は、ナイロンなどのポリマー材料、好ましくはナイロン−Pebax混合物から吹き込み成形によって製造されうる。膨張可能部材213の直径は、一般的に1.5から8mmまでの範囲内、好ましくは約3mmとすることができ、その長さは、一般的に10から50mmまでの範囲内、好ましくは約20mmとすることができる。膨張可能部材213を内部チューブ212および外部チューブ211に遠位取付具21bおよび近位取付具21aのところでそれぞれ取り付けるために、ボンディングを使用する、好ましくは熱接合プロセスを使用することができる。
【0120】
膨張媒質217は、バルーン・カテーテル内で使用される任意のタイプの従来の膨張媒質とすることができる。例えば、ある種の食塩液または造影剤。カテーテル・デバイス210を適所に固定するために最初に固定圧力まで膨張させるときの膨張可能部材213の中の圧力は、一般的に1から6気圧である。遠位部分213bの遠位拡大を引き起こすために、膨張可能部材213内の膨張媒質217がさらに加圧される場合、膨張可能媒質217は、一般的に1から10気圧までの範囲内の圧力になるまでさらに加圧される。遠位部分213bの前記遠位拡大を引き起こすために膨張媒質217が繰り返し加圧される時間間隔を、開かれる閉塞のタイプに応じて変化させることができる。例えば、本発明の特定の一実施形態では、膨張流体217の圧力を、1から20Hzまでの範囲内、好ましくは約10Hzの周波数で6から8気圧まで間で周期的に変化させることができる。
【0121】
内部チューブ212の伸長は、一般的に0.5から3mmまでの範囲内、好ましくは約1mmとすることができる。押し込み器具/ガイドワイヤ216の直径は、一般的に0.009インチから0.035インチまでの範囲内、好ましくは約0.014インチとすることができ、その長さは、一般的に180から250mmまでの範囲内、好ましくは約190mmとすることができる。
【0122】
図15は、カテーテルが押し込み器具(ガイドワイヤ)216上で内部チューブの遠位部分の把持力を強化するための結合手段を備えるバルーン・カテーテル230の一実装を示している。結合手段は、内部チューブ232内にその長さの一部(または全部)にそって配設されている引っ張り部材233を備える。引っ張り部材233の遠位端は、好ましくは、くさび形ロック部材233aを備える。内部チューブ232の遠位端セクション232bは、それに応じて、図15に示されているように、前記くさび形ロック部材233aをその中に備えるように構成されうる。図15からわかるように、前記遠位端セクション232bの内径は、遠位先端の近くでは大きく、遠位端セクション232bの近位端へ向かって徐々に小さくなる。
【0123】
引っ張り部材233によって実装される結合手段は、押し込み器具(ガイドワイヤ)216上の内部チューブ232の把持力を、特に膨張可能部材213の遠位拡大時に増強するが、これは膨張可能部材213の繰り返し遠位拡大のときに行われることと同様である。前記遠位拡大時に、膨張可能部材213内の圧力が増大され、次いで、可撓性セクション232aが遠位に引き伸ばされる。可撓性セクション232aの遠位引き伸ばしにより、次いで、内部チューブ232の遠位端セクション232bの遠位移動が生じ、くさび形ロック部材233aがその先細になる内部形状であるためロックされ、それにより、くさび形ロック部材233aが押し込み器具216を強制的に把持することになる。
【0124】
可撓性セクション232aは、Pebaxなどの弾性材料から製作可能であり、また熱接合によって内部チューブ232の遠位部分内に埋め込まれうる。可撓性セクション232aの長さは、一般的に10から100mmまでの範囲内、好ましくは約80mmとすることができる。くさび形ロック部材233aは、ステンレス鋼などの金属材料から製作可能であり、接着剤によって内部チューブ232内に組み込まれるか、または設置されうる。くさび形ロック部材233aの長さは、一般的に1から3mmまでの範囲内、好ましくは約2mmとすることができ、その直径は、押し込み器具(ガイドワイヤ)216の直径よりわずかに大きいものとすべきである。
【0125】
図16は、内部チューブ242が弾性セクション242aを備え、その弾性セクション242aの中に、押し込み器具(ガイドワイヤ)216上で把持できるようにするための結合手段242bが備えられているバルーン・カテーテル240の一実装を示している。弾性セクション242aは、膨張媒質217内に振動圧力変化が生じているときに内部チューブ242の遠位端セクションの伸縮を可能にするように構成されている。結合手段242bは、好ましくは、膨張媒質217内に圧力増加が生じたときに押し込み器具(ガイドワイヤ)216を把持するための弾性セクション242aの遠位端セクションに埋め込まれる軟質可撓性材料(例えば、エラストマー)から作られる。
【0126】
好ましい一実施形態では、本発明のバルーン・カテーテルの操作は、i)予充填されたバルーン・カテーテル240の遠位端を治療部位に挿入して、そのバルーン・カテーテル240の遠位先端が閉塞物質215の近く(例えば、1から5mmのところ)に留置されるようにするステップと、ii)約1気圧に加圧された好適な膨張媒質217で膨張可能部材213を膨張させて、バルーン・カテーテルの遠位端セクションを適所に固定し、センタリングするステップと、iii)適宜、押し込み器具16の遠位先端216bを、その近位端のところで引っ張ったり押したりして閉塞物質内に手作業で押し込むステップと、またそのような手作業が閉塞を通すのに十分でない場合に、iv)押し込み器具216を遠位に前方移動して、押し込み器具216の遠位端部分(例えば、約1〜5mm)が内部チューブの遠位端開口部を介して遠位に突き出るようにするステップと、v)膨張媒質217を約2気圧に加圧し、次いで、これによって、膨張可能要素213の遠位セクション213bの遠位拡大を引き起こし、それによって、結合手段242bの伸縮を引き起こし、次いで、その結果、結合手段242bが押し込み器具(ガイドワイヤ)216上に強く圧し付けられるステップとを含む。この方法で、結合手段242bの伸縮が押し込み器具216上でその壁を圧迫するために利用され、それにより、前記器具を把持するステップと、vi)膨張媒質217を約4気圧に加圧し、次いで、それによって、膨張可能要素213の遠位セクション213bの遠位拡大を引き起こし、次いで、それによって、弾性セクション242aの伸縮を引き起こし、押し込み器具(ガイドワイヤ)216の遠位端セクションを遠位に移動させてその遠位先端216bが閉塞物質215中に押し込まれるようにするステップと、vii)膨張媒質217の圧力を約2気圧に減圧して戻し、弾性セクション242aをその引き伸ばされていない長さに復帰させ、膨張可能要素213の遠位セクション213bを内向きに折り畳み、その間、押し込み器具(ガイドワイヤ)216上で結合手段242bの強い把持力を維持し、それによってそれを近位に引っ込めるステップと、viii)閉塞物質の穿孔がなされるまで、1から20Hzまで、好ましくは約10Hzの周波数での振動方法でステップvi)およびvii)を繰り返すステップと、ix)押し込み器具(ガイドワイヤ)を遠位に前方移動して、押し込み器具(ガイドワイヤ)が閉塞物質を通過し、それにより閉塞物質内を通る通路を形成するようにするステップと、適宜x)閉塞を開くために適している従来の治療法(例えば、バルーン膨張、ステント留置術、および/または当業者によく知られている他の技術)を実施するステップとを行う。
【0127】
すぐ上で説明されている基本的な操作手順の変更形態において、「ラチェット・メカニズム」が形成され、それにより閉塞物質の内部にワイヤが自動的に前方移動されるように膨張媒質の圧力レベルを操作することができる。これは、上述の手順のステップ(v)で達した把持圧力より低い圧力に(例えば、約2気圧より低いレベルに)減圧し、次いで、圧力を前記把持圧力より高いレベルに増圧するステップを循環的に実行することで達成される。この方法で、ガイドワイヤは内部シャフトによる把持から解放され(圧力が把持圧力より低い圧力に下げられたときに)、次いで、その長さにそってより近位にある点のところで再度把持され、それによって、ワイヤの遠位先端が閉塞物質に向けて、または閉塞物質内に前方移動される。
【0128】
この修正されたメカニズムの利点は、ガイドワイヤの自動前方移動を行うことで、把持を解放するためにバルーン内の圧力を手動で下げ、次いで、ガイドワイヤを前方移動し、より近位の位置で把持フェーズ(ステップv)を繰り返し、その後引き伸ばしフェーズ(ステップvi)を実行するという作業が不要になるという点ある。
【0129】
バルーン・カテーテルで非充填バルーンを使用する場合、上述の手順を以下のステップに加えて使用することができる、つまり、治療部位内にバルーンを固定した後(ステップ(ii))、手術者は、把持要素(固定器具)を解放し、それにより内部シャフトを外部シャフトに相対的に近位に移動させることによって膨張バルーンを操作することができる。次いで、把持要素を再度使用することによって、内部シャフトが近位に引っ込められ新しい位置に固定される。このステップは、図11Cに例示されているデバイスの実装に関して上で詳細に説明されている。
【0130】
適宜、ステップiii)の後からステップix)の前までに、実行可能なステップは、A)繰り返し圧力パルス(ステップviおよびvii)を停止し、膨張媒質217の圧力を約1気圧に下げ、内部チューブの固定を解放して遠位部分212aの長さを伸ばし、それにより、膨張可能部材の状態を、膨張可能部材213の長さ分のより小さな部分が近位に内向きに折り畳まれる第2の折り畳み状態に変更するステップと、B)膨張可能部材内の膨張媒質の把持圧力を元に戻し、内部チューブの固定を元に戻し、類似の期間内で類似の周波数を使用して繰り返し圧力パルスを印加する(ステップviおよびvii)ステップと、C)ステップA)およびB)を繰り返して、第3の折り畳まれた状態で繰り返し圧力パルスを印加するステップである(例えば、膨張可能部材213の長さは短いほど、近位に内向きに折り畳まれる)。
【0131】
弾性セクション242aは、ナイロン混合物などのポリマー材料、好ましくはPebax−ナイロン混合物から押し出し成形によって製造されうる。弾性セクション242aの長さは、一般的に10から100mmまでの範囲内、好ましくは約80mmとすることができ、内部チューブ242に取り付けられうる(例えば、熱接合および/または誘導接合で)。
【0132】
結合手段242bは、シリコーンまたはポリマーなどの軟質材料を使用し、および/または可撓性セクション242b内に編組セクションを埋め込むことによって実装されうる。結合手段242bによって加えられる把持力は、内部シリコーンチューブ・セクションまたはコイルを弾性セクション242b内に埋め込むことにより、その結合手段242bの内面にシリコン・コーティングなどの摩擦力増大材料をコーティングすることによってさらに高められうる。それに加えて、またはその代わりに、結合手段242bは、その座屈を高めるために断面が矩形である形状を有し、それにより、押し込み器具(ガイドワイヤ)216に圧し付けられたときにその結合手段の把持力を高めることができる。
【0133】
結合手段は、内部チューブ242の内壁に、その遠位先端の近くで取り付けられるか、または内壁上に形成された把持突起部218をさらに備えることができる。把持突起部218は、押し込み器具(ガイドワイヤ)216の表面(216a)と接触し、それによって、内部チューブ242aの伸縮時にその表面の遠位端セクションを把持するように構成されている。把持突起部218は、押し込み器具216の近位端から加えられる増強された押し/引っ張り力が把持突起部218と押し込み器具(ガイドワイヤ)216との間の摩擦力に打ち勝ち、その遠位端部分が内部チューブの遠位端開口部を介して遠位に突き出るように押し込み器具216を再配置し、遠位に前方移動できるように構成されている。
【0134】
図17は、膨張可能部材223の遠位端部分が狭くされている本発明のバルーン・カテーテル220の好ましい一実施形態を示している。バルーン・カテーテル220の構造および動作原理は、図13A、13B、14A、および14Bを参照しつつ説明されているバルーン・カテーテル210のものと実質的に類似している。しかし、その遠位端セクション223bが狭いため、バルーン・カテーテル220の膨張可能部材223は、図17に示されているように、閉塞215の穿孔された部分内に前方移動されうる。
【0135】
膨張可能部材223の直径は、一般的に1.5から6mmまでの範囲内、好ましくは約3mmとすることができ、その長さは、一般的に10から50mmまでの範囲内とすることができる。膨張可能部材223の狭い遠位端セクション223bの直径は、一般的に1から3mmまでの範囲内、好ましくは約1mmとすることができ、その長さは、一般的に5から20mmまでの範囲内とすることができる。
【0136】
本発明のデバイスの第2の主要実施形態は、上述の第1の主要実施形態に関して説明されているのと同じ変更形態で、つまり、ワイヤ実装(図11から17に示されているような)、ラピッド・エクスチェンジ型カテーテル(図2に示されているラピッド・エクスチェンジ型機能を組み込む)、および二腔カテーテル(図9Aおよび9Bに示されているような)で実装されうることに留意されたい。
【0137】
さらに他の実施形態では、本発明は、新しいバルーンを形成する。
【0138】
バルーン(「膨張可能部材」とも称されうる)は、中空シャフトの同軸構成をとることが多いカテーテルの遠位端上に取り付けられることが多く、バルーンは、通常、これらのシャフト上に取り付けられる。中空内部シャフトは、通常、中空外部シャフト内に配設され、それにより、内部シャフトの遠位端は、外部シャフトの遠位端を超えて延在し、内部シャフトの内腔は、その長さの全部または一部にガイドワイヤを通すのに適している。バルーンは、通常、その近位端のところで外部シャフトに取り付けられ、またその遠位端のところで内部シャフトに取り付けられ、これらのシャフトは、通常、膨張流体を、外部シャフトの内面と内部シャフトの外面との間に形成された環状空間を介してバルーン内に、またそこから、前記バルーンの内腔内に導入するように、そしてその流体を取り出すように構成されている。そのような構造を有するバルーン・カテーテル・システムでは、特に(a)バルーンと内部シャフトとの取付け点と(b)バルーンと外部シャフトとの取付け点との間の距離がバルーンの全長より小さい装置において、機能上の問題を生じる可能性がある。そのような構成では、図19Aに示されているバルーン243などのバルーンが膨張したときに、バルーンの近位テーパー部246が折り畳まれ、および/または後方にめくれて、図19Bで説明されている形状を形成し、これにより、図19Cに示されているように、動作モードに干渉し、また挿入シース247を通じてのカテーテルの引き戻しを妨害または阻止する可能性がある。
【0139】
同軸シャフト上にバルーンを備えるバルーン・カテーテル・システムの使用に付随しうる他の問題として、高圧下でのバルーンの曲がりの問題が挙げられる。
【0140】
本発明では、バルーン・カテーテルの設計および製作のためのデバイスおよび方法を提供し、特に、本発明は、カテーテル上に取り付けられるように設計されているバルーンを形成する。バルーンは、好ましくは、性能向上を示す。その最も一般的な形態では、以下で開示され説明されているバルーン設計は、新規性のあるバルーンを含む。これらの新規性のあるバルーンは、好ましくは、バルーン・カテーテル・システムの性能向上を可能にする。新規性のあるバルーンは、好ましくは、(a)バルーンと内部シャフトとの取付け点と(b)バルーンと外部シャフトとの取付け点との間の距離がバルーンの全長より小さいカテーテル装置と併せて使用すると特に有用である。新規性のあるバルーンは、アテローム切除術および拡張バルーン・カテーテル・システムで使用されうるが、しかし、新規性のあるバルーンは、より好ましくは、さまざまな用途について上で説明されている固有のクロッシング・カテーテル・システムおよび使用法と併せて使用すると特に有用である場合がある。クロッシング・カテーテル・システムでは、いくつかの実施形態において、新規性のあるバルーンは、好ましくは、システムを固定し、ガイドワイヤ、バルーン、および/またはシステムの長手方向運動を生じさせるために特に有用である場合がある。
【0141】
いくつかの実施形態では、バルーンは、好ましくは、バルーンの近位テーパー部の折り畳みが、低減され、遅延され、または回避されるように設計されうる。いくつかの実施形態では、バルーンは、バルーンの折り畳みおよび/または曲がりが、低減され、遅延され、または回避されるように設計されうる。これらのバルーンは、カテーテル・バルーン・アセンブリとともに使用可能である。バルーンは、上で説明されているクロッシング・バルーン・デバイスおよびシステムと併せて使用すると特に有用である。後述のバルーンは、予充填バルーン形状または非充填バルーン形状のいずれかでクロッシング・バルーン・デバイスおよびシステムとともに使用可能である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明は、好ましくは、長手方向荷重に耐える能力を好ましくは持ちうるバルーン・カテーテル・システムを実現し、後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに強い抵抗性を有する常時固定されている、好ましくは比較的厚手の近位テーパー部を好ましくは有し、共通のバルーン手順の際に使用される圧力における後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに抵抗し、最大10気圧までの圧力における後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに好ましくは抵抗するバルーンを形成する。本発明のいくつかの実施形態では、バルーン近位テーパー部の後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みは、好ましくは、先細中間部を備えるバルーンを形成することによって低減されるか、または回避されうる。本発明のいくつかの実施形態では、バルーンの曲がりは、好ましくは、先細中間部を備えるバルーンを形成することによって低減されるか、または回避されうる。
【0143】
本発明によるバルーン・カテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤ・タイプとして、またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ型カテーテルとして製作可能である。限定しない例示的な一実施形態では、本発明のバルーンは、同軸シャフト構造上に取り付けられ、そこで、バルーンと内部シャフトおよび外部シャフトの取付け点の間の距離は、バルーンの全長より小さい。
【0144】
本発明によるバルーンは、好ましくは、その遠位−近位の、または長手方向の、中心軸の周りで対称的であるものとすることができる。本発明によるバルーンは、好ましくは、当技術分野で知られている取付け方法を用いてカテーテル・シャフトまたは同様のものに好ましくは取付け可能である、近位環状接続部(近位「首部」と称されうる)と、円錐状または円錐台形状の近位テーパー部(1つまたは複数の「テーパー部」と称されうる)と、チューブ状、シリンダー状、円錐状、または円錐台形状の中間部と、円錐状または円錐台形状の遠位テーパー部(1つまたは複数の「テーパー部」と称されうる)と、当技術分野で知られている取付け方法を用いてカテーテル・シャフトまたは同様のものに好ましくは取付け可能である、遠位環状接続部(遠位「首部」と称されうる)とを有する。
【0145】
本発明によるバルーンは、目的の用途に合わせて選択され、目的の用途に適している中間部直径を有するものとすることができる。限定しない例示的な直径として、1.5mmから20mmまで、1.5mmから8mmまで、2mmから6mmまで、好ましくは約3mmが挙げられる。本発明によるバルーンは、目的の用途に合わせて選択され、目的の用途に適している長さを有するものとすることができる。限定しない例の長さとして、10から50mm、30mm、および20mmが挙げられる。
【0146】
本発明によるバルーンは、好ましくは、生体適合性ポリマー材料から製造されうる。本発明によるバルーンは、好ましくは、限定しない例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびコポリエステル、などのノンコンプライアント材料、ナイロンおよびポリアミンなどのセミコンプライアント材料、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、架橋低密度ポリスチレン(PET)、および高照射直鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)などのコンプライアント材料、またはこれらの組合せから製造されうる。本発明によりバルーンを製造するための特に好ましい材料の限定しない例としては、ナイロン、ポリエーテル・ブロック・アミド(Pebaxなどの)、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0147】
本発明によるバルーンは、好ましくは、ノンコンプライアントまたはセミコンプライアントとしてよい。
【0148】
本発明によるバルーンは、好ましくは、単一の膨張圧力を使用して膨張させることができるものとしてよい。段階的膨張圧力または複数の膨張段階を使用することは、好ましくは、本発明によりバルーンを膨張させるうえで不要である。
【0149】
本発明によるバルーンは、好ましくは、単一層を有することができる。本発明によるバルーンは、好ましくは、複数の層を有しない。
【0150】
バルーンの近位テーパー部は、好ましくは、これらのテーパー部の折り畳みが手順の成功率を低下させうるので手順の実行時に膨張状態に保たれる。一実施形態では、本発明は、近位バルーン・テーパー部の後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに好ましくは抵抗する固有のバルーン構造を形成する。いくつかの実施形態では、後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに対する抵抗は、従来のバルーン・テーパー部に比べて厚手である近位バルーン・テーパー部を備えるバルーンを形成することによって達成されうる。いくつかの好ましい実施形態では、後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みに対する抵抗は、遠位テーパー部に比べて比較的厚い近位バルーン・テーパー部を備えるバルーンを形成することによって達成されうる。いくつかの実施形態では、遠位テーパー部は、非対称性を高めるために従来のバルーン・テーパー部に比べて薄くできる。好ましくは、近位テーパー部の壁は、遠位テーパー部の壁に比べて比較的厚手にされる。いくつかの実施形態では、近位テーパー部および遠位テーパー部の壁の相対的な厚さは、遠位テーパー部が折り畳まれ、その一方で近位テーパー部が折り畳まれない確率、近位テーパー部が折り畳まれる前に遠位テーパー部が折り畳まれる確率、または結果として近位テーパー部の折り畳みを引き起こさない圧力への応答として遠位テーパー部が折り畳まれる確率が高くなるように選択されうる。近位テーパー部の壁の平均厚さは、遠位テーパー部の壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きいものとしてよい。いくつかの実施形態は、好ましくは、挿入シース内でカテーテルが詰まる危険性をさらに最小限に抑える。いくつかの実施形態では、後者の利点は、一部は、バルーンの近位テーパー部が折り畳まれる前にバルーンの遠位テーパー部が折り畳まれる可能性を助長するか、または高め、それにより、好ましくは、バルーンの近位テーパー部が後方にめくれ、挿入シースを通じてのカテーテルの引き戻しを妨害または阻止する確率を低減することによって達成されうる。
【0151】
比較的厚手の近位テーパー部は、好ましくは、より剛性が高いものとすることができ、したがって、好ましくは、これらのテーパー部の後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みを回避することができ、好ましくは、特に明細書で説明されているカテーテル・システムにおける、バルーンの機能性を保証することができ、さらに、好ましくは、挿入シースからのカテーテルの引き戻しを比較的容易に行えるようにできる。近位テーパー部の後方へのめくれ、曲がり、ならびに/または望ましくないおよび/もしくは早すぎる折り畳みを好ましくは回避し、挿入シースを通じてのバルーンの引き戻しの制約を好ましくは防止するか、または弱めるような特徴により、本発明のバルーンを使用するカテーテル・システムは、従来のアテローム切除術および拡張システムに経験のあるヘルスケアの専門家の手で比較的容易に操作することが可能になる。
【0152】
図20は、本発明によるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態の概略を示している。バルーン253は、外部シャフト251およびその外部シャフト251の中を通る内部シャフト252を備えるカテーテルを実装とともに示されている。内部シャフト251は、ガイドワイヤ254を内部シャフト251内に通すために使用され、ガイドワイヤ254は、遠位開口部を介して、または内部シャフト252の近位開口部を介して導入されうる。バルーン253は、好ましくは、当技術分野で知られている取付け方法を用いて近位首部253dの遠位端で、またはその近くのところで外部シャフト251の外面に好ましくは取り付けられうる近位首部253dと、円錐台形状近位テーパー部253aと、円錐台形状中間部253bと、円錐台形状遠位テーパー部253cと、当技術分野で知られている取付け方法を用いて遠位首部253eの遠位端で、またはその近くのところで内部シャフト252の外面に好ましくは取り付けられている遠位首部253eとを備える。
【0153】
円錐状テーパー部253aの壁の厚さは、好ましくは、従来のバルーンの厚さと比べて、または遠位テーパー部253cの壁の厚さと比べて、またはその両方と比べて、比較的に大きくできる(または「厚くされる」)。遠位テーパー部253cの壁厚は、好ましくは、従来のバルーンのテーパー部壁厚と比べて、または近位テーパー部253aの壁厚と比べて、またはその両方と比べて、小さくされる(または「薄くされる」)。バルーン253は、比較的大きい壁厚の近位テーパー部253aと、比較的小さい壁厚の遠位テーパー部253cの両方を有することができる。
【0154】
近位テーパー部253aの壁厚は、先細の形でありバルーン253の近位首部253dに向かう方向に大きくなるものとすることができる。遠位テーパー部253cの壁厚は、先細の形でありバルーン253の遠位首部253eに向かう方向に大きくなるものとすることができる。
【0155】
近位テーパー部253aの壁は、好ましくは、遠位テーパー部253cの壁の平均厚さに比べて、より大きな平均厚さを有しうる。近位テーパー部253aの壁の平均厚さは、好ましくは、遠位テーパー部253cの壁の平均厚さに比べて比較的厚いものとすることができる。近位テーパー部253aの壁の平均厚さは、遠位テーパー部253cの壁の平均厚さより好ましくは10%大きく、より好ましくは15%大きく、さらにより好ましくは20%大きいものとしてよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、近位テーパー部253aと遠位テーパー部253cは両方とも、中間部253bの平均壁厚より大きい平均壁厚を有することができる。好ましい実施形態では、近位テーパー部253aの壁の平均厚さは、遠位テーパー部253cの壁の平均厚さより大きく、遠位テーパー部253cの壁の平均厚さは、中間部253bの壁の厚さより大きいものとすることができる。
【0157】
厚くされた近位テーパー部および薄くされた遠位テーパー部を備えるバルーンは、バルーン・カテーテル業界において知られている吹き込み成形機器および材料を使用して生産されうる。
【0158】
図20は、本発明の他の実施形態も例示しており、ここでは、バルーンはその遠位端に向かって内向きに円錐状に先細になっているが、これは、図21に関してさらに詳しく説明される。したがって、図20のように、いくつかの実施形態では、本発明によるバルーンは、比較的厚手の近位テーパー部を有し、その遠位端に向かって内向きに先細になっている円錐状先細中間部を有するバルーンを備える。従来、中間部を備え、中間部がその遠位端に向かって内向きに先細になっているバルーンでは、バルーンの遠位テーパー部の壁厚がバルーンの近位テーパー部の壁厚より厚くなるようにバルーンが製造される。いくつかの好ましい実施形態では、本発明のバルーンは、近位テーパー部(つまり、遠位テーパー部より比較的厚い近位テーパー部)に有利なように非対称の壁厚分布を有し、これは好ましくは近位テーパー部が折り畳まれる前に遠位テーパー部が折り畳まれることを保証する。
【0159】
他の実施形態では、本発明によるバルーンは、比較的厚手の近位テーパー部を有し、その近位端に向かって内向きに先細になっている円錐状先細中間部を有するバルーンを備える。さらに他の実施形態では、本発明によるバルーンは、比較的厚手の近位テーパー部を有し、先細になっている中間部を有しない(つまり、先細でない中間部を有する)バルーンを備える。
【0160】
図21は、本発明によるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態の概略を示している。バルーン263は、外部シャフト261およびその外部シャフト261の中を通る内部シャフト262を備えるカテーテルを実装とともに示されている。内部シャフト261は、ガイドワイヤ264を内部シャフト261内に通すために使用され、ガイドワイヤ264は、遠位開口部を介して、または内部シャフト261の近位開口部を介して導入されうる。バルーン263は、好ましくは、当技術分野で知られている取付け方法を用いて近位首部263dの遠位端で、またはその近くのところで外部シャフト261の外面に好ましくは取り付けられうる近位首部263dと、円錐台形状近位テーパー部263aと、円錐台形状中間部263bと、円錐台形状遠位テーパー部263cと、当技術分野で知られている取付け方法を用いて遠位首部263eの遠位端で、またはその近くのところで内部シャフト262の外面に好ましくは取り付けられている遠位首部263eとを備える。
【0161】
バルーン263は、好ましくは、バルーンの遠位端に向かって内向きに円錐状に先細になっている、つまり、バルーンの近位端からバルーンの遠位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部263bを有する。バルーン中間部のそのようなテーパー部を説明するときに、「内向き」および「内向きに」は、バルーンの遠位−近位の、または長手方向の中心軸に向かう方向を指す。バルーン263の中間部263bと水平線とのなす角度269は、好ましくは1°から5°まで、より好ましくは2°から5°まで、さらに好ましくは2°から3°までである。
【0162】
いくつかの実施形態では、バルーンの近位端からバルーンの遠位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を備えるバルーンは、遠位テーパー部の平均壁厚より大きい平均壁厚を有する近位テーパー部も有することができる。いくつかの実施形態では、バルーンの近位端からバルーンの遠位端へ内向きに円錐状に先細の中間部を備えるバルーンは、バルーンの近位テーパー部の壁の平均厚さがバルーンの遠位テーパー部の壁の平均厚さより大きくなり、バルーンの遠位テーパー部の壁の平均厚さがバルーンの中間部の壁の平均厚さより大きくなるように形成可能でもある。
【0163】
いくつかの実施形態では、本発明は、バルーンの遠位端に向かって内向きに円錐状に先細になっている、つまり、バルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を有するバルーンを備える。このような実施形態では、バルーンの中間部と水平線とのなす角度は、好ましくは1°から5°まで、より好ましくは2°から5°まで、さらに好ましくは2°から3°までである。バルーンの近位端からバルーンの遠位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を備えるバルーンおよびバルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を備えるバルーンは、「(複数の)円錐状先細中間部を備える(複数の)バルーン」または「(複数の)先細中間部を備える(複数の)バルーン」と総称されうる。「円錐台形」は円錐台、つまり、頂点のない円錐を指すものとして理解されるので、「円錐状(に)先細」は、円錐または円錐台形のテーパー部の性質または方向を指すために使用されうることは理解されるであろう。
【0164】
図22は、本発明によるバルーンのオーバー・ザ・ワイヤ型実装の一実施形態の概略を示している。バルーン273は、外部シャフト271およびその外部シャフト271の中を通る内部シャフト272を備えるカテーテルを実装とともに示されている。内部シャフト272は、ガイドワイヤ274を内部シャフト272内に通すために使用され、ガイドワイヤ274は、遠位開口部を介して、または内部シャフト272の近位開口部を介して導入されうる。バルーン273は、好ましくは、当技術分野で知られている取付け方法を用いて近位首部273dの遠位端で、またはその近くのところで外部シャフト271の外面に好ましくは取り付けられうる近位首部273dと、円錐台形状近位テーパー部273aと、円錐台形状中間部273bと、円錐台形状遠位テーパー部273cと、当技術分野で知られている取付け方法を用いて遠位首部273eの遠位端で、またはその近くのところで内部シャフト272の外面に好ましくは取り付けられている遠位首部273eとを備える。
【0165】
バルーン273は、好ましくは、バルーンの近位端に向かって内向きに円錐状に先細になっている、つまり、バルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部273bを有する。バルーン中間部のそのようなテーパー部を説明するときに、「内向き」および「内向きに」は、バルーンの遠位−近位の、または長手方向の中心軸に向かう方向を指す。バルーン273の中間部273bと水平線とのなす角度279は、好ましくは1°から5°まで、より好ましくは2°から5°まで、さらに好ましくは2°から3°までである。
【0166】
いくつかの実施形態では、バルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を有するバルーンは、遠位テーパー部の平均壁厚より大きい平均壁厚を有する近位テーパー部も有することができる。いくつかの実施形態では、バルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細の中間部を有するバルーンは、バルーンの近位テーパー部の壁の平均厚さがバルーンの遠位テーパー部の壁の平均厚さより大きくなり、バルーンの遠位テーパー部の壁の平均厚さがバルーンの中間部の壁の平均厚さより大きくなるように形成可能でもある。
【0167】
バルーンの近位端からバルーンの遠位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を有するか、またはバルーンの遠位端からバルーンの近位端へ内向きに円錐状に先細になっている中間部を有するバルーンは、中間部の所望のテーパー部を含む、所望の形状を有する1つまたは複数の金型を採用する、バルーン・カテーテル業界において知られている吹き込み成形機器および材料を使用して生産されうる。
【0168】
遠位端へ向かうか、または近位端に向かうかに関係なく、円錐状先細中間部を有するバルーンは、好ましくは、バルーンの長さを縮小するためのメカニズムを備えることができ、これは、最終的にくるまれるバルーン、またはそのような陥入構成をとらせられる可能性のあるバルーンを装着したバルーン・カテーテル・システムにおいて有用である。
【0169】
典型的な手順では、バルーン・カテーテルは、萎んだ状態で、挿入され、患者の血管内に通されて、治療部位へ向けて前方移動されうる。治療部位に達した後、膨張流体が、カテーテル外部シャフトとカテーテル内部シャフトとの間にある膨張流体腔を介して加圧され、バルーンの内部空間を満たす。
【0170】
バルーンは、圧力源を使用することによってバルーンの長手方向軸にそって拡大されうる。そのような圧力変化が生じると、対応するバルーンの曲げる力が生じて、バルーンはそれほどではないにせよバルーンの伸長と内部シャフトの伸長による軸方向の座屈力を受けうる。先細中間部を有するバルーンは、好ましくは、軸方向座屈に抵抗することができる。
【0171】
それに加えて、先細中間部を有するバルーンは、好ましくは、バルーンと血管との間の接触面積を減じることによって血管壁に対する外傷性障害を低減するか、または最小限に抑えることができる。好ましくは、先細中間部のより大きな部分のみが、通常動作で動脈壁に接触し、先細中間部の狭い部分は、好ましくは、通常動作時に動脈壁と接触しない。
【0172】
本発明によるバルーンは、上で説明されているクロッシング・バルーン・カテーテル・システムと併せて使用すると特に有用な場合がある。クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、血管、尿管、または尿道などの体内流路内の閉塞または病変をクロスするか、または粉砕するか、または破損するために使用されうる。クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、完全にまたは部分的に狭窄している、もしくは閉塞している病変を治療するために使用される。クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、例えば、病変をクロスし、病変を破綻、破損、または粉砕するために使用されうる。クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、病変または閉塞を押し込む、押す、圧迫する、切れ目を入れる、破損する、粉砕する、また破綻させることによって機能しうる。クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、通常機能を回復するために単独で、または全体的活動の一部として使用されうる。一般的な言い方をすると、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、閉塞部位を通して、または閉塞部位の周りに、少なくとも可能な機械的抵抗を持つ経路を形成することによってその目的を達成する。したがって、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、素早く前後に(つまり、遠位と近位とに)移動させられる遠位前方移動可能内部シャフト先端を備え、これにより、閉塞または病変を押し込む、押す、圧迫する、切れ目を入れる、破損する、粉砕する、また破綻させる。いくつかの実施形態では、内部シャフト先端の高速振動は、内部シャフト腔の遠位部分内にしっかり保持され、その遠位端を超えて突き出る、ガイドワイヤの高速振動に変換される。好ましくは、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムとともに、クロッシング・ガイドワイヤではなく、従来のガイドワイヤが使用される。しかし、クロッシング・ガイドワイヤも使用されうる。それに加えて、デバイスは、血管内にカテーテルを固定するための膨張可能バルーンを備える。
【0173】
限定しない例示的な実施形態では、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムは、剛性外部シャフト内に嵌合された軟質内部カテーテル・シャフトを備える。カテーテルの遠位部分は、上でさらに詳しく説明されているように、膨張腔を画定する。バルーンは、バルーンの近位端のところで、外部シャフト・セクションの遠位端に接続され、バルーンの遠位端のところで、内部シャフトに接続され、膨張腔と流体的に連通することができる。
【0174】
バルーンの遠位先細端部が軟質内部カテーテル・シャフトの遠位端に固定される仕方によって、好ましくは、カテーテル・システムの内部の圧力増大に応じてバルーンの遠位端がロールして拡大することができる。同様に、この圧力増大の結果、内部シャフトは、好ましくは、遠位に伸張させられうる。その後、カテーテル・システムの内部圧力が減少すると、内部シャフトの弾性によって、好ましくは、圧力減少に応じて内部シャフト先端が引っ込められて(つまり、近位方向に)その元の位置に戻る。上でさらに詳しく説明されている、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムの例示的な一実施形態において、高速往復または振動圧力サイクル(音速または音速以下の範囲の周波数を有する)により、好ましくは、内部カテーテル・シャフトの遠位先端が対応する高速リニア振動運動を行う。この方法で、内部シャフト先端の高速循環遠位−近位移動は、好ましくは、内部シャフト先端と障害物との間に位置する血液の体積内に生じる衝撃波と一緒に、好ましくは、内部シャフト先端の領域内に位置する血管内病変を徐々に切り開くか、または病変を押し込む、押す、圧迫する、切れ目を入れる、または破損するために利用されうる。上でさらに詳しく説明されている、クロッシング・バルーン・カテーテル・システムの例示的な一実施形態では、デバイスは、好ましくは、内部カテーテル・シャフト内のガイドワイヤをしっかり把持するためのメカニズムをさらに備え、これにより、閉塞病変部を切り開くために、または病変を押し込む、押す、圧迫する、切れ目を入れる、または破損するためにガイドワイヤの振動する突起遠位先端が使用可能である。
【0175】
クロッシング・バルーン・カテーテル・システムのこれらの例示的な実施形態の両方の場合において、上述のように、カテーテル・システム内の圧力増大に応じてバルーンの遠位端をロールし、拡大する能力は、少なくとも一部は遠位端が内部シャフトに固定される仕方によって決まる。バルーンの遠位端は、好ましくは、バルーンが振動させられる使用法の一部において、遠位端が陥入されるような方法で内部シャフトに取り付けられる。
【0176】
好ましくは、比較的厚い近位テーパー部壁厚を有するバルーンでは、遠位テーパー部は、カテーテル・システム内の圧力増大への応答として近位テーパー部の前に折り畳まれる。言い換えると、比較的厚手の近位テーパー部を備えるバルーンでは、比較的薄い遠位テーパー部は、好ましくは、比較的厚手の近位テーパー部を折り畳ませない圧力または他の条件に応じて折り畳まれる傾向を有する場合があるということである。したがって、好ましくは、遠位テーパー部は、カテーテル・システム内の圧力増大に応じて、近位テーパー部を折り畳まれない状態にしたまま、折り畳まれるようにできる。遠位テーパー部がこのように折り畳まれることで、好ましくは、カテーテル・システム内の圧力増大に応じてバルーンの遠位端をより容易にロールさせ、拡大することができ、また陥入構成をより容易にとることができ、カテーテル・システム内の圧力が減少すると、カテーテル内部シャフトの可撓性によって、好ましくは、内部シャフト先端が引っ込められ(つまり、近位方向の移動)、元の位置に戻ることができる。
【0177】
好ましくは、先細中間部を有するバルーンは、座屈力に対する抵抗性を有する。そのような抵抗は、バルーン首部の間の距離が、遠位バルーン溶接部と近バルーン溶接部との間の距離より短い場合に特に有用である。好ましくは、バルーンが先細中間部を有することで、カテーテル・システム内の圧力増大に応じてバルーンの遠位端をより容易にロールさせ、拡大することができ、また陥入構成をより容易にとることができ、カテーテル・システム内の圧力が減少すると、カテーテル内部シャフトの可撓性によって、好ましくは、内部シャフト先端が引っ込められ(つまり、近位方向の移動)、元の位置に戻ることができる。
【0178】
好ましい実施形態では、バルーンおよびバルーン・カテーテル・システムは、完全に使い捨て可能な、殺菌済み使い捨てバルーンおよびシステムとして製造される。
【0179】
上述のパラメータはすべて、例としてのみ取りあげられており、本発明のさまざまな実施形態の異なる要件に応じて変更されうる。したがって、上述のパラメータは、いっさい本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきでない。それに加えて、上で説明されている、異なるシャフトおよびチューブ、ならびに他の部材は、前記の説明において例示されているものと異なる形状(例えば、平面図内で卵形、正方形などの形態を有する)およびサイズで製作されうることは理解されるであろう。
【0180】
上記の例および説明は、もちろん、例示することのみを目的として提示されており、本発明を制限することはいっさい意図されていない。当業者によって理解されるように、本発明は、上述のものからの複数の技術を用いることで、さまざまな方法によって実施可能であり、すべて本発明の範囲を超えることはない。
【0181】
前記の説明は、本発明の好ましい実施形態を対象としているけれども、さまざまな変更形態および修正形態が、当業者には明らかであろうし、また本発明の精神または範囲から逸脱することなく製作されうる。さらに、本発明の一実施形態に関連して説明されている機能は、上で明示的に示されていないとしても、他の実施形態と併せて使用可能である。
【0182】
本発明は、本発明の精神または本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形式で実現することができる。そのような追加の実施形態および形態は、本明細書の開示を与えられた当業者には明らかなものである。説明されている実施形態は、すべての点で、説明のみを目的としており、制限することを目的としていないとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0183】
251 外部シャフト; 252 内部シャフト; 253 バルーン253;
253a 近位テーパー部; 253b 中間部; 253c 遠位テーパー部;
253d 近位首部; 253e 遠位首部; 254 ガイドワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーン装置であって、
円錐状テーパー中間部と、
前記中間部の遠位端から遠位環状接続部の近位端へ先細になる遠位テーパー部と、
前記中間部の近位端から近位環状接続部の遠位端へ先細になる近位テーパー部とを備える
バルーンを備え、
近位テーパー部は、前記遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有し、
前記近位テーパー部の壁厚は、前記近位環状接続部から前記中間部の前記近位端へ先細になっており、
前記遠位テーパー部の壁厚は、前記遠位環状接続部から前記中間部の前記遠位端へ先細になっているバルーン装置。
【請求項2】
前記中間部は、前記遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項3】
前記中間部は、近位端から遠位端へ円錐状に先細になっている請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項4】
前記中間部は、遠位端から近位端へ円錐状に先細になっている請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項5】
中空外部シャフトおよび前記中空外部シャフト内に置かれ、前記中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトとをさらに備え、前記バルーン装置は、前記遠位環状接続部によって前記中空内部シャフトに前記バルーン装置の遠位端のところで結合され、また前記近位環状接続部によって前記中空外部シャフトに前記バルーン装置の近位端のところで結合される請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項6】
ガイドワイヤは、前記中空内部シャフト内に通される請求項1に記載のバルーン装置。
【請求項7】
バルーン・カテーテル装置であって、
中空外部シャフトと、
前記中空外部シャフト内に置かれ、前記中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトと、
遠位環状接続部によって前記中空内部シャフトに前記バルーンの遠位端のところで結合され、また近位環状接続部によって前記中空外部シャフトに前記バルーンの近位端のところで結合されたバルーンであって、
円錐状テーパー中間部と、
前記中間部の遠位端から前記遠位環状接続部へ先細になる遠位テーパー部と、
前記中間部の近位端から前記近位環状接続部へ先細になる近位テーパー部とをさらに備える
バルーンとを備え、
前記近位テーパー部は、前記遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有し、
前記中間部は、前記遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する、
ことを特徴とするバルーン・カテーテル装置。
【請求項8】
使い捨てカテーテルである請求項7に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項9】
前記中間部は、近位端から遠位端へ円錐状に先細になっている請求項7に記載のバルーン装置。
【請求項10】
前記中間部は、遠位端から近位端へ円錐状に先細になっている請求項7に記載のバルーン装置。
【請求項11】
前記近位テーパー部の壁厚は、前記近位環状接続部から前記中間部の前記近位端へ先細になっている請求項7に記載のバルーン装置。
【請求項12】
前記遠位テーパー部の壁厚は、前記遠位環状接続部から前記中間部の前記遠位端へ先細になっている請求項7に記載のバルーン装置。
【請求項13】
バルーン・カテーテル装置であって、
血管内で血管閉塞部位へ前方移動され得るようにされたガイドワイヤと、
バルーン・カテーテルと
を備え、
前記バルーン・カテーテルには、
中空外部シャフトと、
前記中空外部シャフト内に置かれ、前記中空外部シャフトと同軸摺動可能な中空内部シャフトと、
遠位環状接続部によって前記中空内部シャフトに前記バルーンの遠位端のところで結合され、また近位環状接続部によって前記中空外部シャフトに前記バルーンの近位端のところで結合されたバルーンであって、円錐状テーパー中間部を有し、前記中間部の遠位端から遠位環状接続部の近位端へ先細になる遠位テーパー部を有し、前記中間部の近位端から近位環状接続部の遠位端へ先細になる近位テーパー部を有し、前記遠位テーパー部の壁厚より大きい厚みを有して成る、バルーンと
が備えられ、
前記バルーン・カテーテルは、前記バルーン・カテーテルの前記遠位端が前記血管閉塞の近くに来るように前記ガイドワイヤ上に前方移動され得るようにされ、
前記バルーンは、第1の膨張圧力になるまで膨張し得るようにされ、前記第1の膨張圧力により前記バルーンは前記血管内に固定されており、
さらに、前記バルーン内の圧力を振動させるためのメカニズムであって、前記圧力の前記振動により前記内部シャフトの長手方向遠位−近位間振動が引き起こされる、メカニズムと
を備えるバルーン・カテーテル装置。
【請求項14】
前記バルーンの前記中間部は、前記遠位テーパー部の壁厚より小さい厚みを有する請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項15】
前記バルーンの前記近位テーパー部の前記壁厚は、前記バルーンの前記近位環状接続部から前記バルーンの前記中間部の前記近位端へ先細になっており、前記バルーンの前記遠位テーパー部の前記壁厚は、前記バルーンの前記遠位環状接続部から前記バルーンの前記中間部の前記遠位端へ先細になっている請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項16】
前記血管系の不連続部位にアクセスするように、または閉塞されている血管をクロスするように、またはその両方を行い得るようにされている請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項17】
前記血管系の不連続部位にアクセスするように、または慢性完全閉塞をクロスするように、またはその両方を行い得るようにされている請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項18】
前記内部シャフト内に前記ガイドワイヤを固定するための少なくとも1つのメカニズムをさらに備える請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。
【請求項19】
前記バルーンを減圧し、前記減圧によって前記バルーンの固定状態が解放されるようにするためのメカニズムと、
前記バルーン・カテーテルを前記血管内の遠位に前方移動するためのメカニズムとをさらに備える請求項13に記載のバルーン・カテーテル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2011−500249(P2011−500249A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530587(P2010−530587)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003293
【国際公開番号】WO2009/053839
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508337628)エンドクロス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】