説明

行動解析装置、行動解析プログラム、及び、情報検出装置

【課題】口腔内センサから得られた情報を用いて、人を含めた動物の行動解析を高精度で行うことが可能な行動解析装置及び行動解析プログラム、並びに、該行動解析装置及び該行動解析プログラムに利用可能な情報検出装置を得る。
【解決手段】行動解析装置100は、加速度センサ11を有した情報検出装置10と、加速度センサ11から得られた情報から、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、口腔動作に関する情報又は口腔内で発生する振動に関する情報と、を取り出す取出部と、該取り出された情報との照合に使用するために予め取得された、該取り出された情報のそれぞれに対応する基本情報が格納されている記憶部と、該取出部によって得られた情報と記憶部における情報とについて、対応する情報同士を照合し、動物の行動解析を行う解析部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内センサから得られた情報を用いた行動解析装置及び行動解析プログラムと、該行動解析装置及び該行動解析プログラムにおいて利用することがある情報検出装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に開示されているように、床義歯又はマウスピースに体温、脈拍、唾液中の酵素や代謝物質等を検出するセンサ並びに体姿勢及び運動を検出する加速度センサからなる生体センサと、該生体センサからのデータを評価して異常値を検出するとともにデータを蓄積する信号処理部と、該信号処理部におけるデータを無線方式で医療センター等管理センターに送信するとともに医療センター等管理センターからの指令信号を受信する通信部と、管理センターからの指令信号に基づいて作動する動作機器部を装着してなる装置が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−264883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の装置は、口腔内に上述したようなセンサを有しているものの、加速度センサから得られる情報には、姿勢に関する情報、身体全体の動作に関する情報以外の情報も混在しており、人を含めた動物の行動解析を高精度で行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、口腔内センサから得られた情報を用いて、人を含めた動物の行動解析を高精度で行うことが可能な行動解析装置及び行動解析プログラムを提供することである。また、該行動解析装置及び該行動解析プログラムにおいて利用することがある情報検出装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 一局面に従う行動解析装置は、口腔内に設けられた口腔内センサ(例えば、加速度、圧力などを検出できるセンサ)から得られた情報から、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出す取出部と、前記取り出された情報との照合に使用するために予め取得された、前記取り出された情報に対応する基本情報が格納されている記憶部と、前記取出部によって得られた情報と前記記憶部における情報とについて、対応する情報同士を照合し、動物の行動解析を行う解析部と、を備えているものである。なお、「行動」には、いびき、無呼吸などの様々な状態、生理現象なども含まれる。
【0007】
上記(1)の構成によれば、口腔内センサによって得られる情報から、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出し、対応する各動物の動作などの基本情報との照合を行うので、従来よりも高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0008】
(2) 上記(1)の行動解析装置において、前記口腔内で発生する振動の例としては、物が歯に衝突した際に発生した衝撃によるもの、歯と歯とが衝突した際に発生した衝撃によるもの、舌を動かした際に発生した衝撃によるもの、舌が歯、歯ぐき又は物に衝突した際に発生した衝撃によるもの、及び、物が歯茎に衝突した際に発生した衝撃によるものなどが挙げられる。また、取出部は、これら振動の例のうち1つ以上を取り出すことが可能である。
【0009】
上記(2)の構成によれば、口腔内センサによって得られた情報から、さらに、物が歯に衝突した際に発生した衝撃(物を食べた際に発生した衝撃を含む)に関する情報、歯と歯とが衝突した際に発生する振動に関する情報、などの様々な情報を取り出すことができ、予め取得しておいた記憶部における各基本情報と照合できるので、より高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0010】
(3) 上記(1)又は(2)の行動解析装置においては、前記取出部が、前記加速度センサによって得られた情報から、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、をさらに取り出すことが可能なものであってもよい。
【0011】
上記(3)の構成によれば、動物の全体動作を含めた解析ができるので、さらに高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0012】
(4) 上記(1)から(3)の行動解析装置においては、前記口腔内に設けることが可能な可視光照射部と、前記口腔内に設けることが可能であって前記舌において反射した可視光を受光可能な受光器とを備えていることが好ましい。
【0013】
上記(4)の構成によれば、舌の動きを検出できるので、舌が咽喉部に入りこんでいるか否か、舌が活発に動いているか否かなどを解析できる。これらにより、他の情報と併せて、いびきをかいているのか、活動中であるのかなどを解析することが可能となる。
【0014】
(5) 上記(1)〜(4)の行動解析装置においては、前記口腔内に設けることが可能であって赤外線を口腔内に照射する赤外線照射部と、前記口腔内に設けることが可能であって前記口腔内で反射した赤外線を検出可能な赤外線検出器とを備えていることが好ましい。
【0015】
上記(5)の構成によれば、口腔内の血流の度合い、口腔内の温度又は湿度、舌の筋電位、あごの筋電位、などを検出することができ、口腔内の健康チェックなどを行うことが可能となる。
【0016】
(6) 他の局面に従う行動解析プログラムは、口腔内に設けられた口腔内センサから得られた情報を、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出す取出ステップと、前記口腔動作に関する情報と、前記口腔動作に関する情報に対応している各動物の口腔動作に関する基本情報とを照合する口腔動作情報照合ステップ、前記口腔内で発生する振動に関する情報と、前記口腔内で発生する振動に関する情報に対応している各動物の口腔内で発生する振動に関する基本情報とを照合する口腔内振動情報照合ステップ、又は、前記声帯で発生する振動に関する情報と、前記声帯で発生する振動に関する情報に対応している各動物の声帯で発生する振動に関する基本情報とを照合する声帯振動情報照合ステップと、前記口腔動作情報照合ステップ、前記口腔内振動情報照合ステップ及び前記声帯振動情報照合ステップのうち、前記取出ステップにおいて取り出された情報に対応するステップを選択して実行させる選択ステップと、前記選択ステップで選択され実行したステップの結果から、動物の行動解析を行う行動解析ステップと、を有しているものである。
【0017】
上記(6)の構成によれば、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出し、対応する各動物の動作などの基本情報との照合を行うので、従来よりも高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0018】
(7) 上記(6)の行動解析プログラムにおいては、前記取出ステップが、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、をさらに取り出すものであり、前記姿勢に関する情報と、前記姿勢に関する情報に対応している各動物の姿勢に関する基本情報とを照合する姿勢情報照合ステップと、前記身体全体の動作に関する情報と、前記身体全体の動作に関する情報に対応している各動物の身体全体の動作に関する基本情報とを照合する身体全体の動作情報照合ステップと、をさらに有するとともに、前記選択ステップが、前記姿勢情報照合ステップ及び前記身体全体の動作情報照合ステップを加えて、前記取出ステップにおいて取り出された情報に対応するステップを選択して実行させるものであり、前記行動解析ステップが、前記姿勢情報照合ステップ又は前記身体全体の動作情報照合ステップの結果も加えて、動物の行動解析を行うものであってもよい。
【0019】
上記(7)の構成によれば、動物の全体動作を含めた解析ができるので、さらに高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0020】
(8) 本発明の情報検出装置は、加速度を検出可能な加速度センサが一方の面に固設された板状部材と、前記板状部材を揺動自在に支持するとともに、動物の歯に取り付け可能な取付部材と、を備えている。
【0021】
上記(8)の構成によれば、口腔内において、板状部材にかかる加速度を容易に検出することが可能となる。また、本発明の情報検出装置は、上記(1)〜(5)の行動解析装置、及び、上記(6)、(7)のプログラムの口腔内センサとして用いることが可能である。
【0022】
(9) 上記(8)の情報検出装置においては、前記板状部材の一方の面に、1以上の突起状部材が設けられていることが好ましい。
【0023】
上記(9)の構成によれば、板状部材にかかる加速度を増幅できるので、板状部材にかかる加速度が比較的小さいものでも検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る行動解析装置を示した概略構成図である。
【図2】本発明の実施例において用いた実験装置を示す概略構成図である。
【図3】図2に示した実験装置を、被験者の下顎に取り付けた状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施例における実験1−1の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の実施例における実験1−2の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明の実施例における実験1−3の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における実験2の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向についての発話時の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の実施例における実験3−1の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の実施例における実験3−2の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明の実施例における実験3−3の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明の実施例における実験3−4の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の実施例における実験4の結果を示したグラフであって、(a)〜(c)が順に、x軸、y軸、z軸方向の下顎中切歯前部における加速度の時間変化を示したグラフ、(d)〜(f)が、順に、加速度のx軸、y軸、z軸方向のパワースペクトルを示すグラフである。
【図13】本発明の実施形態の変形例に係る行動解析装置を示した概略構成図である。
【図14】本発明の実施形態の他の変形例に係る行動解析装置を示した概略構成図である。
【図15】本発明の実施形態に係る行動解析装置における情報検出装置の変形例を説明するための概略図である。
【図16】図15に示した情報検出装置の変形例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1を参照して、本発明の実施形態に係る行動解析装置について説明する。
【0026】
行動解析装置100は、情報検出装置10と、無線受信器20と、コンピュータ30と、表示部40と、を主に備えているものである。
【0027】
情報検出装置10は、口腔内センサの一例である加速度センサ11と、加速度センサ11に接続されている無線送信器12と、無線受信器13と、を有しているものである。なお、情報検出装置10は、例えば、マウスピース、可撓性のある板状のもので歯に貼り付けることが可能なもの、又は、義歯に埋め込むもの等、装着者の口腔内に設置可能であり、所望する情報を加速度センサ11によって検出することができるとともに、得られた情報を無線受信器13によって無線受信器20に送信できるのであれば、どのような形態のものであってもよい。
【0028】
加速度センサ11は、圧電素子を単板状に加工したユニモルフからなっている。この圧電素子の材料としては、水晶でもよいしチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)でもよい。また、加速度センサ11は、金属板を介して2枚のユニモルフを張り合わせて用いるバイモルフにより構成してもよい。また、加速度センサ11は、x軸、y軸、z軸方向の加速度を計測できる3軸加速度センサであってもよい。加速度センサ11は、装着者の行動により生ずる動作、振動などを圧電効果により加速度として検知し、これを電気信号化し、無線送信器12に出力することができるようになっている。ここで、変形例として、加速度センサ11には、加速度が錘に作用したときに発生する梁の歪みを、ピエゾ抵抗効果を利用して検出するピエゾ抵抗型のもの、又は、加速度が錘に作用したときの変位を、櫛歯電極などを用いて静電容量の変化で検出する静電容量型のものを用いてもよい。
【0029】
無線送信器12は、加速度センサ11から出力された電気信号を無線受信器20に送信するものである。
【0030】
無線受信器20は、無線送信器22から送信された電気信号を受信することができるものであるとともに、該電気信号をコンピュータ30に出力するものである。
【0031】
コンピュータ30は、種々の処理を実行するCPU31と、種々の情報を記憶可能な記憶装置32と、を有しているものである。なお、CPU31と記憶装置32とはともに、(1)加速度センサ11から得られた情報(加速度の時間変化、周波数解析など)から、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、口腔動作に関する情報又は口腔内で発生する振動に関する情報と、を取り出す取出部(図示せず)の主要部、(2)取出部によって得られた情報と記憶装置32内の記憶部(図示せず)における情報とについて、対応する情報同士を照合し、動物の行動解析を行う解析部(図示せず)の主要部となるものでもある。
【0032】
記憶装置32には、姿勢に関する基本情報、身体全体の動作に関する基本情報、口腔動作に関する基本情報、口腔内で発生する振動に関する基本情報、声帯で発生する振動に関する情報、行動解析プログラムの他、加速度センサ11から得られた情報、解析部によって得られた情報なども記憶可能な記憶部(図示せず)を格納することが可能である。
【0033】
ここで、姿勢に関する基本情報とは、上述した取出部において得られた「姿勢に関する情報」に対応しており、予め情報検出装置10で取得しておいた各動物における各姿勢(横臥状態、立位状態など)に関する情報で、解析部で使用される照合用情報である。また、身体全体の動作に関する基本情報とは、上述した取出部において得られた「身体全体の動作に関する情報」に対応しており、予め情報検出装置10で取得しておいた各動物における身体全体の各動作(歩行状態、走行状態、飛び上がっている状態など)に関する情報で、解析部で使用される照合用情報である。口腔動作に関する基本情報とは、上述した取出部において得られた「口腔動作に関する情報」に対応しており、予め情報検出装置10で取得しておいた各動物における各口腔動作(あくび、発声時の動作など)に関する情報で、解析部で使用される照合用情報である。口腔内で発生する振動に関する基本情報とは、上述した取出部において得られた「口腔内で発生する振動に関する情報」に対応しており、予め情報検出装置10で取得しておいた各動物における口腔内で発生する各振動(物(硬いもの、柔らかいもの、硬いものと柔らかいものとの中間の硬さのものなど)を食べた際の振動、歯ぎしりをした際の振動、歯に物が衝突した際の振動など)に関する情報で、解析部で使用される照合用情報である。声帯で発生する振動に関する基本情報とは、上述した取出部において得られた「声帯で発生する振動に関する情報」に対応しており、予め情報検出装置10で取得しておいた各動物における声帯で発生する振動に関する情報で、解析部で使用される照合用情報である。
【0034】
行動解析プログラムは、取出ステップと、姿勢情報照合ステップと、身体全体の動作情報照合ステップと、口腔動作情報照合ステップと、口腔内振動情報照合ステップと、声帯振動情報照合ステップと、選択ステップと、行動解析ステップと、を有したものである。
【0035】
取出ステップは、加速度センサ11から得られた情報(加速度の時間変化、周波数解析など)を、姿勢に関する情報、身体全体の動作に関する情報、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報、声帯で発声する振動に関する情報を取り出すものである。
【0036】
姿勢情報照合ステップは、取出ステップで得られた姿勢に関する情報と、該姿勢に関する情報に対応し記憶装置32の記憶部に格納されている各動物の姿勢に関する基本情報とを照合するものである。
【0037】
身体全体の動作情報照合ステップは、取出ステップで得られた身体全体の動作に関する情報と、該身体全体の動作に関する情報に対応し記憶装置32の記憶部に格納されている各動物の身体全体の動作に関する基本情報とを照合するものである。
【0038】
口腔動作情報照合ステップは、取出ステップで得られた口腔動作に関する情報と、該口腔動作に関する情報に対応し記憶装置32の記憶部に格納されている各動物の口腔動作に関する基本情報とを照合するものである。
【0039】
口腔内振動情報照合ステップは、取出ステップで得られた口腔内で発生する振動に関する情報と、該口腔内で発生する振動に関する情報に対応し記憶装置32の記憶部に格納されている各動物の口腔内で発生する振動に関する基本情報とを照合するものである。
【0040】
声帯振動情報照合ステップは、取出ステップで得られた声帯で発生する振動に関する情報と、該声帯で発生する振動に関する情報に対応し記憶装置32の記憶部に格納されている各動物の声帯で発生する振動に関する基本情報とを照合するものである。
【0041】
選択ステップは、姿勢情報照合ステップ、身体全体の動作情報照合ステップ、口腔動作情報照合ステップ、発声情報照合ステップ、声帯振動情報照合ステップのうち、取出ステップにおいて取り出された情報に対応するステップを選択して実行させるものである。
【0042】
行動解析ステップは、選択ステップで選択され実行したステップの結果から、動物の行動解析を行うものである。具体的には、対象動物がどのような状態でどのような動作を行っているかの行動解析を行うことができる。
【0043】
表示部40は、コンピュータ30から出力された各種の情報を表示可能なものであり、コンピュータ30による行動解析の結果を表示することが可能である。
【0044】
次に、行動解析装置100の動作について説明する。まず、動物の口腔内に設置された情報検出装置10における加速度センサ11によって所定時間毎に加速度を検知し、検知した加速度を電気信号化し、電気信号(加速度の情報)を無線送信器12から無線受信器20に送信する。電気信号(加速度の情報)を受信した無線受信器20は、該電気信号(加速度の情報)をコンピュータ30に出力し、加速度の情報をコンピュータ30におけるCPU31及び記憶装置32を用いて解析する。具体的には、記憶装置32内に格納されている各情報を読み込むとともに、記憶装置32内に格納されている行動解析プログラムをCPU31が実行する。そして、実行された行動解析プログラムは、上述した行動解析プログラムにおける各ステップを経て、動物の行動解析を行う。コンピュータ30において、行動解析が終了すると、結果が表示部40に出力され、表示される。
【0045】
上記構成の行動解析装置100によれば、以下のような効果を奏することができる。すなわち、加速度センサ11から得られる情報から、姿勢に関する情報、身体全体の動作に関する情報、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報、声帯で発生する振動に関する情報のうち1つ以上を取り出し、対応する各動物の動作などの基本情報との照合を行うので、従来よりも高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【0046】
また、上記構成の行動解析装置によれば、口腔内で発生する振動の情報として、発声によるもの、物が歯に衝突した際に発生した衝撃(物を食べた際に発生した衝撃を含む)によるもの、歯と歯とが衝突した際に発生した衝撃によるもの、舌を動かした際に発生した衝撃によるもの、舌が歯、歯ぐき又は物に衝突した際に発生した衝撃によるもの、及び、物が歯茎に衝突した際に発生した衝撃によるもの、なども得ることができる。したがって、これらの情報と、予め取得しておいた記憶部における、口腔内で発生する振動の情報に対応する各基本情報とを照合することが可能なので、より高精度の行動解析を行うことが可能となる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を示しながら、本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明の行動解析装置を用いた実験及びその結果を示す。
【0048】
図2は、本実施例で用いた情報検出装置200を含む実験装置を示す概略構成図である。情報検出装置200は、ポリエステル樹脂からなるマウスピース45(幅15mm、厚み0.5mm)と、マウスピース45の前側の面の略中央に取り付けられた加速度センサ41(Freescale Semiconductor製、型番MMA7360L)と、加速度センサ41に接続された信号線42と、ノイズ除去用のコンデンサ(図示せず)とを備えているものである。加速度センサ41は、x軸、y軸、z軸各方向の加速度を計測できる三軸加速度センサである。信号線42は、電源60と、加速度センサ11で検知した加速度を計測するためのオシロスコープ61とに接続されている。このような構成によると、オシロスコープ61で計測された電圧波形及び加速度センサ41におけるセンサ感度とから、x軸、y軸、z軸方向の時間的な加速度の変化を算出することが可能である。
【0049】
図3は、図2に示した情報検出装置200を、被験者の下顎に取り付けた状態を示す模式図である。なお、図3においては、唇、頬などの部位は省略している。また、図3における符号50は下顎、符号51は上顎、符号52は中切歯、符号53は臼歯を示す。下記に示す各実験では、図3に示したような状態で行った。
【0050】
(実験1−1)
被験者(女性。以下、同様)に、座位の静止状態で日本語母音「あいうえお」を発声してもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験1−1に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図4(a)〜(c)に示す。更に、被験者が上述のように発声した際の加速度を詳細に検討するために、周波数解析を行った。その結果を図4(d)〜(e)に示す。
【0051】
(実験1−2)
被験者に、座位の静止状態になってもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験1−2に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図5(a)〜(c)に示す。更に、被験者が上述のように発声した際の加速度を詳細に検討するために、周波数解析を行った。その結果を図5(d)〜(e)に示す。
【0052】
(実験1−3)
被験者に、座位の静止状態において日本語で「吾輩は猫である」と発声してもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験3に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図6(a)〜(c)に示す。更に、被験者が上述のように発声した際の加速度を詳細に検討するために、周波数解析を行った。その結果を図6(d)〜(e)に示す。
【0053】
(実験1−1と1−2との結果対比)
図4(a)〜(c)から、発声前(約0.4sまで)の加速度は、y軸方向ではほぼ0Gであるのに対し、x及びz軸方向では0.4及び0.8G程度であることがわかる。このことから、被験者が座位の姿勢で情報検出装置200を装着して口を閉じた状態においては、中切歯52の上下方向は垂直軸に対し25度程度傾いていることがわかる。次に、発声が始まると(約0.4s以降)、あたかも加速度が幅を持ったように見える。該加速度の幅は一文字毎に変化しており、方向別に見るとy,z軸方向に比べてx軸方向が顕著に変化している。このx軸方向の加速度の最大振幅は0.8G程度であった。更に、これら加速度の幅の中央値を見ると、y軸方向においてはあまり変化していないが、x及びz軸方向においては一文字毎に増減を繰り返している。特に、z軸方向の中央値の変化はx軸方向の中央値の変化より顕著であり、z軸方向の中央値は最大で±0.3G程度変化している。ちなみに、z軸方向の加速度の幅とz軸方向の加速度の中央値の変化とから、被験者は3.5モーラ/秒程度の通話速で発声をしていることがわかる。続いて、図5(a)〜(c)から、被験者が座位の静止状態にある場合には、x軸、y軸、z軸各方向の加速度の中央値がほとんど変化していないことがわかる。
【0054】
次に、図4(d)〜(e)及び図5(d)〜(e)の周波数解析結果について述べる。発声時は静止時に比べて、全ての(x,y,z)方向で2Hzから20Hzまでの低周波域と240Hzから340Hzまでの高周波域の加速度のパワースペクトル密度が高くなることがわかった。更に,方向別に見ると,低周波域ではz軸方向のパワースペクトル密度がxまたはy軸方向のパワースペクトル密度より高く、高周波域ではx軸方向のパワースペクトル密度がyまたはz軸方向のパワースペクトル密度より高くなることもわかった。なお、低周波域については通話速の3.5モーラ/秒の値と桁的に一致すため、顎の動きを表していると推測できる。それ故に、顎の構造上、下顎50の運動方向と最も一致する中切歯52の上下(z)方向の加速度のパワースペクトル密度が他の方向のパワースペクトル密度に比べて高くなっている。
【0055】
一方、パワースペクトル密度が高くなった高周波域については、女性の声のピッチ周波数(声帯の基本振動数)230Hzから370Hzに一致している。このことから、この高周波成分については発話の音声が骨伝導により下顎50の中切歯52付近の加速度センサ41に伝わり現れていると考えられ,本加速度センサ41において音声の検出も可能であることがわかった。特に、x方向のパワースペクトル密度が高くなることから、音声を検出するには中切歯52の前後方向の加速度を計測すれば良いと考えられる。ちなみに、この中切歯52の前後方向における加速度のパワースペクトルに音声成分を含むことを証明するため、図4(a)〜(c)に示す基の加速度の波形データを数式処理システム・ソフトウェア(製品名Mathematica,(Wolfam research製))で再生したところ、「あいうえお」の音声が明確に聞き取れた。以上のことより、発話時の中切歯に加わる加速度には、低周波成分(2Hz−20Hz)と高周波成分(240Hz−340Hz)とを多く含むことが明らかになった。
【0056】
(実験1−1と1−3の結果対比)
図4の(d)〜(f)及び図6の(d)〜(f)より、母音だけではなく子音を含めた通常時の発声においても、低周波成分と高周波成分を多く含むことがわかった。更に、低周波成分では特にz方向が大きく、高周波成分ではz方向が大きいことが明らかになった。
【0057】
(実験2)
被験者に、その場で足ふみ(片足ずつ交互に上げる)をしてもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験2に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図7(a)〜(c)に示す。更に、被験者が足ふみをした際の加速度を詳細に検討するために、周波数解析を行った。その結果を図7(d)〜(e)に示す。
【0058】
図7(a)〜(c)に示された加速度の周期的な変化から、この被験者においては約0.5秒ごとに左右の足を踏み変えていることがわかる。この加速度の変化はz,x,y方向の順に大きく、中切歯52の位置が上下と前後方向だけではなく僅かではあるが左右方向にも動いることがわかる。ちなみに、一番大きかったz方向においては±0.15G程度の加速度の変化があった。このように走歩行の中でも比較的動作の小さな足踏みにおいても、下顎50の中切歯52付近の加速度を測定することで行動を検出することが可能であることが明らかになった。次に、図7(d)〜(e)を見ると、全方向にいて2Hzから10Hzまでの低周波域の加速度のパワースペクトル密度が高くなっている。特に、足踏みを0.5秒間隔で行っているため、垂直方向つまりz方向の2Hz付近のパワースペクトル密度が高くなっている。以上のことより、歩行時の中切歯52に加わる加速度には、発話時と同じく低周波成分を多く含むが、発話時とは異なり高周波成分は多く含まないことが明らかになった。
【0059】
(実験3−1)
被験者に、座位の静止状態で、クッキーを食べてもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験3−1に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図8(a)〜(c)に示す。更に、詳細にクッキーを食べた際の加速度を検討するために、周波数解析を行った。その結果を図8(d)〜(e)に示す。
【0060】
(実験3−2)
被験者に、座位の静止状態で、せんべいを食べてもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験3−2に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図9(a)〜(c)に示す。更に、詳細にせんべいを食べた際の加速度を検討するために、周波数解析を行った。その結果を図9(d)〜(e)に示す。
【0061】
(実験3−3)
被験者に、座位の静止状態で、パンを食べてもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験3−3に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図10(a)〜(c)に示す。更に、詳細にパンを食べた際の加速度を検討するために、周波数解析を行った。その結果を図10(d)〜(e)に示す。
【0062】
(実験3−4)
被験者に、座位の静止状態で、軽く歯を噛み合わせてカチカチという音を鳴らしてもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験3−4に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図11(a)〜(c)に示す。更に、歯を噛み合わせてカチカチという音を鳴らした際の加速度を詳細に検討するために、周波数解析を行った。その結果を図11(d)〜(e)に示す。
【0063】
(実験3−1の結果考察)
図8(a)〜(c)から、0.1秒間程度(例えば、0.7秒から0.8秒)の食べ物を噛むための顎の動きに対応した比較的小さなゆっくりとした上下の加速度の変化があった後に、0.4秒間程度(例えば、0.9秒から1.3秒)の食べ物が粉砕しているときに対応する非常に大きな加速度の急峻な変化の繰り返しがあることがわかる。これらの加速度の変化はz方向が他の方向より大きく、その値は初めのゆっくりとした上下の加速度の変化では最大で±0.5Gであり、その後の急激な変化の繰り返しにおいては加速度センサ41の測定範囲を超えており最大で±2G以上に達している。図8(d)〜(e)からは、全(x,y,z)方向において、2Hzから500Hzの広い範囲の周波数域に渡りパワースペクトル密度が高いことがわかる。特に、20Hzから200Hzの中間周波数の加速度のパワースペクトル密度は発声時と足踏み時には存在しない成分であることから、食事動作特有の周波数成分である。この中間周波数成分は顎を動かしている時ではなく食べ物が粉砕されているときに発生していると考えられるので、歯(マウスピース45)と食べ物等との接触によって生じていると推測される。以上のことより、食事時の中切歯52周辺に加わる加速度には、低周波から高周波の広い範囲の成分を多く含むことがわかり、特に発話及び歩行時には存在しない中周波成分(20Hz−200Hz)も含むことが明らかになった。
【0064】
(実験3−1〜3−3と3−4との結果対比)
図8、9、10の(d)〜(f)より、食べ物を食べているときは、低周波から高周波に渡り、幅広い成分を含むことがわかった。一方、図11の(d)〜(f)より、歯をカチカチさせた場合(上顎の歯と下顎の歯とを噛み合わせて、音が鳴るような状態)においても、同様の傾向が得られた。これらのことより、食事動作の幅広い成分は食事時に上下の歯が接触することによって生じることがわかった。
【0065】
(実験4)
被験者に静止状態(横臥)になってもらい、加速度センサ41からの出力電圧波形をオシロスコープ61(Tektronix 製、DSA70804)で計測し、その電圧波形と加速度センサ41の感度とを基に、x軸、y軸、z軸各方向の時間的な加速度の変化を求めた。x軸、y軸、z軸のそれぞれについて、実験10に係る加速度センサ11についての加速度の時間変化を示したグラフを順に、図13(a)〜(c)に示す。更に、詳細に被験者が静止状態(横臥)になった際の加速度を検討するために、周波数解析を行った。その結果を図13(d)〜(e)に示す。
【0066】
(実験1−2と実験4との結果対比)
図5の(a)〜(c)及び図12の(a)〜(c)において、静止時の加速度を見ることにより、重力方向と歯のx、y、zの方向との関係が推測できる。これを利用すると、歯の位置から顔の位置さらには体勢までも推測できるため、被験者が立っているのか寝転っているのかとの推定も可能となる。
【0067】
上記実験1−1〜実験4から、情報検出装置200によって、被験者の様々な行動を効率よく検出することが可能であることがわかる。また、このようにして得られた情報を上記実施形態で示した記憶装置32に記憶させておき、実施形態において説明した各基本情報として用いることが可能である。このように予め各基本情報を記憶装置32に記憶させておき、情報検出装置200を装着した被験者が行う動作から新たに取得できた情報と照合することで、本発明に係る行動解析装置が被験者から遠隔地にあったとしても、高精度の行動解析を行うことができる。したがって、本発明に係る行動解析装置によれば、遠隔地において、高齢者又は負傷者などの人全体を含む動物の体調をモニタリングすることも可能である。
【0068】
<変形例>
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態及び実施例などに限定されるものではない。例えば、図13に示した上記実施形態の変形例(行動解析装置150)のように、動物の舌に向けて可視光を照射する可視光照射部113(例えば、可視光源と、該可視光源からの光を投光する投光器とを有したようなもの)と、該舌において反射した可視光を受光可能な受光器114とを口腔内センサとして有した情報検出装置110としてもよい。また、記憶装置132に舌の動きに関する基本情報をも格納しておき、行動解析プログラムによって、舌の動きに関する基本情報と、情報検出装置110によって検出した舌の動きに関する情報とを照合し、行動解析を行うものとしてもよい。これにより、舌の動きを検出できるので、舌が咽喉部に入りこんでいるか否か、舌が活発に動いているか否かなどを解析できる。これらにより、他の情報と併せて、いびきをかいているのか、活動中であるのかなどを解析することが可能となる。なお、本変形例における符号111、112、120、131、140の部位は、順に、符号11、12、20、31、40の部位と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
また、図14に示した上記実施形態の他の変形例(行動解析装置300)のように、赤外線を口腔内に照射する赤外線照射部213(例えば、赤外線源と、該赤外線源からの赤外線を射出するのに使用される射出器とを有したようなもの)と、口腔内で反射した赤外線を検出可能な赤外線検出器214とを口腔内センサとして有した情報検出装置210としてもよい。また、記憶装置232に血流に関する基本情報をも格納しておき、行動解析プログラムによって、血流に関する基本情報と、情報検出装置210によって検出した血流に関する情報とを照合し、行動解析を行うものとしてもよい。これにより、口腔内の血流の度合いを検出することができ、口腔内の健康チェックを行うことが可能となる。なお、本変形例の情報検出装置210によれば、口腔内の温度又は湿度、舌の筋電位、あごの筋電位、などを検出することも可能であるので、これらの情報をも用いて、上記実施形態又は変形例と同様に、行動解析を行うこととしてもよい。また、本変形例における符号211、212、220、231、240の部位は、順に、符号11、12、20、31、40の部位と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
また、上記実施形態における記憶装置32は、コンピュータ30の外部に設けられていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態において得られた複数の照合情報を用いて、さらに解析部によって複合的に解析することにより、より高精度な行動解析を行うことが可能である。
【0072】
また、上記実施形態における情報検出装置200の変形例として、図15に示したようなものが挙げられる。すなわち、動物の歯茎101に存在する歯102を覆うようにキャップ部材103(取付部材)を形成し、該キャップ部材103の表面に、加速度センサ105が設けられている板状部材104(振動板)を揺動自在に取り付けたものである。ここで、キャップ部材103は、例えば、樹脂からなるものでも金属からなるものでもよいし、歯102の一部に形成されているものであってもよい。また、キャップ部材103の代わりに、板状部材104を歯102に接着物を取付部材として用いてもよい。また、加速度センサ105において検出された加速度のデータは、図示しない有線機器又は無線機器によって、行動解析装置に送信されるようになっている。これらのような構成を有した情報検出装置であれば、発話時に発生する空気振動又は下顎の動作変位が小さくても、板状部材104が揺動して振動を発生させるので、加速度センサ105によって容易に加速度を検出することができる。
【0073】
また、図16に示したように、図15に示した板状部材104の代わりに、加速度センサ205と、複数の突起状部材206とが設けられた板状部材204を用いてもよい。ここで示した突起状部材206は、例えば樹脂からなる針形状又は円錐形状のものであるが、発話時に発生した空気振動の共振周波数に合わせた形状又は大きさのものであれば、どのようなものであってもよい。また、突起状部材206は、1つだけ設けることとしてもよい。このような構成を有した情報検出装置であれば、発話時に発生する空気振動又は下顎の動作変位が小さくても、板状部材204がより容易に揺動して振動を発生させるので、加速度センサ105によりさらに容易に加速度を検出することができる。
【符号の説明】
【0074】
11 加速度センサ
12 無線送信器
20 無線受信器
30、230 コンピュータ
41、105、205 加速度センサ
42 信号線
40 表示部
45 マウスピース
50 下顎
51 上顎
52 中切歯
53 臼歯
60 電源
61 オシロスコープ
100、150、300 行動解析装置
101 歯茎
102 歯
103 キャップ部材
104、204 板状部材
200、210 情報検出装置
206 突起状部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に設けられた口腔内センサから得られた情報から、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出す取出部と、
前記取り出された情報との照合に使用するために予め取得された、前記取り出された情報に対応する基本情報が格納されている記憶部と、
前記取出部によって得られた情報と前記記憶部における情報とについて、対応する情報同士を照合し、動物の行動解析を行う解析部と、を備えていることを特徴とする行動解析装置。
【請求項2】
前記口腔内で発生する振動が、物が歯に衝突した際に発生した衝撃によるもの、歯と歯とが衝突した際に発生した衝撃によるもの、舌を動かした際に発生した衝撃によるもの、舌が歯、歯ぐき又は物に衝突した際に発生した衝撃によるもの、及び、物が歯茎に衝突した際に発生した衝撃によるもの、のうちいずれか1つ以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の行動解析装置。
【請求項3】
前記取出部が、前記加速度センサによって得られた情報から、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、をさらに取り出すことが可能なものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の行動解析装置。
【請求項4】
前記口腔内に設けることが可能な可視光照射部と、前記口腔内に設けることが可能であって前記舌において反射した可視光を受光可能な受光器とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の行動解析装置。
【請求項5】
前記口腔内に設けることが可能であって赤外線を口腔内に照射する赤外線照射部と、前記口腔内に設けることが可能であって前記口腔内で反射した赤外線を検出可能な赤外線検出器とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の行動解析装置。
【請求項6】
口腔内に設けられた口腔内センサから得られた情報を、口腔動作に関する情報、口腔内で発生する振動に関する情報又は声帯で発生する振動に関する情報を取り出す取出ステップと、
前記口腔動作に関する情報と、前記口腔動作に関する情報に対応している各動物の口腔動作に関する基本情報とを照合する口腔動作情報照合ステップ、前記口腔内で発生する振動に関する情報と、前記口腔内で発生する振動に関する情報に対応している各動物の口腔内で発生する振動に関する基本情報とを照合する口腔内振動情報照合ステップ、又は、前記声帯で発生する振動に関する情報と、前記声帯で発生する振動に関する情報に対応している各動物の声帯で発生する振動に関する基本情報とを照合する声帯振動情報照合ステップと、
前記口腔動作情報照合ステップ、前記口腔内振動情報照合ステップ及び前記声帯振動情報照合ステップのうち、前記取出ステップにおいて取り出された情報に対応するステップを選択して実行させる選択ステップと、
前記選択ステップで選択され実行したステップの結果から、動物の行動解析を行う行動解析ステップと、を有していることを特徴とする行動解析プログラム。
【請求項7】
前記取出ステップが、姿勢に関する情報と、身体全体の動作に関する情報と、をさらに取り出すものであり、
前記姿勢に関する情報と、前記姿勢に関する情報に対応している各動物の姿勢に関する基本情報とを照合する姿勢情報照合ステップと、
前記身体全体の動作に関する情報と、前記身体全体の動作に関する情報に対応している各動物の身体全体の動作に関する基本情報とを照合する身体全体の動作情報照合ステップと、をさらに有するとともに、
前記選択ステップが、前記姿勢情報照合ステップ及び前記身体全体の動作情報照合ステップを加えて、前記取出ステップにおいて取り出された情報に対応するステップを選択して実行させるものであり、
前記行動解析ステップが、前記姿勢情報照合ステップ又は前記身体全体の動作情報照合ステップの結果も加えて、動物の行動解析を行うものであることを特徴とする請求項6に記載の行動解析プログラム。
【請求項8】
加速度を検出可能な加速度センサが一方の面に固設された板状部材と、
前記板状部材を揺動自在に支持するとともに、動物の歯に取り付け可能な取付部材と、を備えていることを特徴とする口腔内センサ。
【請求項9】
前記板状部材の一方の面に、1以上の突起状部材が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の口腔内センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−191994(P2012−191994A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56684(P2011−56684)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】