説明

術後用ボタン式前開き開閉型パンツ

【課題】従来使用していたT字帯は伸縮性のない布1枚で陰部を覆い、前腹部で紐を蝶々結びにするという褌様の簡単な物である。安価ではあるが動くとずれてしまい、見栄えが悪い、排泄時に布が後方に垂れ下がり汚染するなどが課題であった。そこで本発明は、カテーテルトラブルを起こさず安全で、着脱しやすく、医療者にとっても観察・処置しやすいパンツ型下着を提案することを目的とする。
【解決手段】綿素材で伸縮性のあるブリーフ型の下着の主に右前面をカットし、右前身頃布の縦端に等間隔に3つまたは2つ横並びのボタンホールを有した幅広のゴム3本、左前身頃布にそのボタンホールに合わせた位置で幅広のゴムが付いていない側の布の縦端に縦並びの3つのボタンを設けて長さの調節機能を備えた締結手段を設けて構成した。これにより、治療上安全なボタン式前開き開閉型下着を提供できるとともに、患者の下着に対する満足感の向上にもつなげることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術後に使用するT字帯に変わる下着に関する。
【背景技術】
【0002】
泌尿器科領域の術後に使用する下着は、カテーテルの屈曲や閉塞を予防するため、T字帯を使用するのが一般的である。
【0003】
T字帯には帯状の布を身体に巻き付けて身体後部で完結するものと、紐を用いて輪状として用いて完結するものに大別されているが、実際に術後では紐を用いている物が使用されている。
【0004】
以下、図1により実際に病棟で使用されているT字帯について説明する。図1において、T字帯は伸縮性のない綿100%の布1と紐2で構成されており、布1で陰部を覆い、紐2を前腹部で結んで使用する。
【0005】
図2、図3において、T字帯着用時の状態を示す。前腹部で紐2を結び、布1を後方から前方に回して陰部を覆い紐2に掛けて使用する。3は患者の尿道に挿入されている膀胱留置カテーテルを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−17464号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べた従来技術のT字帯では、患者は伸縮性がなく歩行時に下着がずれたりすることや、見栄えの悪さなどの不満を持っていた。また、図4のように、排泄時に前腹部で結んだ紐2から布1を外すと、布1が身体の後方に垂れ下がり便器に入って汚染してしまうなどの欠点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術のT字帯が有していた問題を解決しようとするものであり、欠点を補いカテーテルトラブルを起こさず安全で、着脱しやすく、医療者にとっても観察・処置しやすい下着を提案することで、患者の下着に対する満足感につなげることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するために、綿素材で伸縮性のあるブリーフ型の下着の右または左前面をカットし、右前身頃布と左前身頃布に分割したものである。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、3つまたは2つ横並びのボタンホールを有した幅広のゴムを分割した布の部位が右前面ならば右前身頃に、左前面ならば左前身頃の縦端に設け、そのボタンホールに合わせた位置で、幅広のゴムが付いていない側の布の縦端に3つのボタンを縦並びに設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明の下着は、履いたまま身体前面で開閉する事ができ、医療者は管を足元から抜いたりするなどの手間が省け、観察・処置が行いやすくなった。
【0012】
また、患者は術後に伸縮性のあるパンツ型下着を履くことが可能となり、また歩行時に下着がずれたり、排泄時に汚染する心配もなく履き心地も向上した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術を示す平面図である。
【図2】従来技術の実施形態を示す前方から見た外観図である。
【図3】従来技術の実施形態を示す後方から見た外観図である。
【図4】従来技術の実施形態を示す、着脱や排泄時の状態を後方から見た外観図である。
【図5】本発明の改良前の実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明の改良後の実施形態を示す正面図である。なおボタンホールはすべてaを使用している。図の上下方向が縦方向であり、左右方向が横方向である。
【図7】本発明の着用時を示し、ボタンホールはすべてbを使用している。
【図8】本発明の図7に至る前段階を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図5〜8に基づいて説明する。
【0015】
図においては、生地4は綿素材で構成され伸縮性のあるブリーフ型の下着であり、この下着の右または左前面で右前身頃布7と左前身頃布8に分割されている。
【0016】
上記右前身頃布7の左端に縫いつけた16と、左前身頃布8の右端に縫いつけた17はバイアステープである。これによりカットした下着の補強を行っている。
【0017】
幅25mmの幅広のゴム9、10、11のそれぞれの横並びに、9a、9b、9c、10a、10b、10c、11a、11bの3つまたは2つのボタンホールを設け、上記16に縫い付けた。
【0018】
上記17のボタンホールを有した幅広のゴムは、分割した布の部位が右前面ならば16に、左前面ならば17に縦並びに平行に設けた。
【0019】
上記18のボタンホールの付いたゴムの幅に合わせて、分割した布の部位が右前面ならば左前身頃布8の17のすぐ左横に、左前面ならば右前身頃布7の16のすぐ右横に縦並びに直径20mmのボタンを設けた。
【符号の説明】
【0020】
9、10、11 ゴム
9a、9b、9c、10a、10b、10c、11a、11b ボタンホール
12、13、14 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿素材で伸縮性のあるブリーフ型の下着の右または左前面をカットし、右前身頃布と左前身頃布に分割したボタン式前開き開閉型術後用下着。
【請求項2】
分割した布の部位が右前面ならば右前身頃に、左前面ならば左前身頃の縦端に3つまたは2つ横並びのボタンホールを有した幅広のゴム3本を平行に等間隔に設け、且つそのゴムの幅に合わせてゴムが付いていない側の布の分割されているところからすぐ横の縦端に縦並びの3つのボタンを設けたことを特徴とするボタン式前開き開閉型術後用下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−12740(P2012−12740A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152106(P2010−152106)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(710007191)
【Fターム(参考)】