説明

衛生害虫駆除剤組成物

【課題】速やかにノックダウン効果が発現する衛生害虫駆除剤組成物を提供する。
【解決手段】ピレスロイド系殺虫剤(A)と、RO−(RO)−COR[式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20である。]で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)と、石油系溶剤(C)とを含有することを特徴とする衛生害虫駆除剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生害虫駆除剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生害虫を駆除するための衛生害虫駆除剤の有効成分(殺虫成分)としては、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等が使用されており、安全性に優れることから、ピレスロイド系殺虫剤が汎用されている。
また、衛生害虫駆除剤には、殺虫成分の効力増強を目的として各種化合物を配合することが提案されている。たとえば、害虫防除成分と共に炭素数8−16のアルキル部位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル(EO付加モル数3−11)を配合した殺虫組成物(特許文献1参照)や、殺虫成分と共に炭素数2−3の多価アルコールとカプリル酸とのモノエステルを配合した殺虫組成物(特許文献2参照)、ピレスロイド系殺虫成分と共に高級アルコールの酸化エチレン付加物、多価アルコールの酸化エチレン付加物、多価アルコール高級脂肪酸エステルの酸化エチレン付加物、高級アルコールの酸化エチレン付加物のリン酸エステル塩、アルキルジアミノアルキルグリシンおよびその塩、高級脂肪酸アミドおよびその酸化エチレン付加物、高級アルキルアミンおよびその酸化エチレン付加物から選択される少なくとも一種を配合した殺虫組成物(特許文献3、4参照)、殺虫成分と共に炭素数4−16のアルキル部位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル(EO付加モル数2−3)、又はソルビタン脂肪酸エステルを配合した殺虫組成物(特許文献5参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2001−199808号公報
【特許文献2】特開平2−142704号公報
【特許文献3】特開平9−143016号公報
【特許文献4】特開平1−246205号公報
【特許文献5】特開平8−259404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような化合物のピレスロイド系殺虫剤に対する効力増強効果は充分なものではない。ピレスロイド系殺虫剤は一般的に十分な薬量が虫に付着すれば速効性であるが、動き回る虫に対して十分量を付着させることは困難である。このため、少量の付着においても速効性の得られる組成物が望まれているが、上記のような化合物を共に配合しても、少量の付着ではノックダウン効果が現れるまでに時間がかかる。そのため、実用的には、より速やかにノックダウン効果が現れる衛生害虫駆除剤組成物が求められる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、速やかにノックダウン効果が発現する衛生害虫駆除剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、石油系溶剤の存在下において、ピレスロイド系殺虫剤の効力増強剤、特にノックダウン効果が現れるまでの時間(ノックダウンタイム)を向上させる効力増強剤として作用することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、ピレスロイド系殺虫剤(A)と、RO−(RO)−COR[式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20である。]で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)と、石油系溶剤(C)とを含有することを特徴とする衛生害虫駆除剤組成物である。
本発明の衛生害虫駆除剤組成物中、前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)の含有量は0.01〜10w/v%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、速やかにノックダウン効果が発現する衛生害虫駆除剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明をより詳細に説明する。
[ピレスロイド系殺虫剤(A)]
本発明の衛生害虫駆除剤組成物に配合されるピレスロイド系殺虫剤(A)としては、たとえば、メトフルトリン(住友化学工業(株)の商品名:エミネンス、以下同様)、dl,d−T80−アレスリン(ピナミンフォルテ)、フタルスリン(ネオピナミン)、d−T80−フタルスリン(ネオピナミンフォルテ)、d,d−T80−プラレトリン(エトック)、d,d−T98−プラレトリン(98エトック)、d−T80−レスメトリン(クリスロンフォルテ)、トランスフルトリン(バイオスリン)、イミプロトリン(プラール)、シフェノトリン(ゴキラート)、d,d−T−シフェノトリン(ゴキラートS)、エンペントリン(ベーパースリン)、ペルメトリン(エクスミン)、フェノトリン(スミスリン)、エトフェンプロックス(三井化学(株)の商品名:トレボン)、ピレトリン(天然抽出物、商品名:菊エキスペール)等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ピレスロイド系殺虫剤(A)としては、特に、メトフルトリン、フタルスリン、d−T80−フタルスリン、d,d−T80−プラレトリン、d,d−T98−プラレトリン、トランスフルトリン、イミプロトリンおよびピレトリンからなる群から選択される1種以上のピレスロイド系殺虫剤(以下、ピレスロイド系殺虫剤(A1)という。)を含有することが好ましい。該ピレスロイド系殺虫剤(A1)は、ノックダウン効果が高く、また、安全性や害虫駆除効力も高いことから本発明に好適である。
また、本発明においては、該ピレスロイド系殺虫剤(A1)と、d−T80−レスメトリン、シフェノトリン、d,d−T−シフェノトリン、フェノトリンおよびエトフェンプロックスからなる群から選択される1種以上のピレスロイド系殺虫剤(以下、ピレスロイド系殺虫剤(A2)という。)とを組み合わせて用いることが好ましい。該ピレスロイド系殺虫剤(A2)は、衛生害虫、特にイエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ等のハエ類;アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等のカ類;チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリ類;ヒトノミ、ネコノミ等のノミ類;トコジラミ、タイワントコジラミ等のトコジラミ類等に対する致死効果が高く、これらを組み合わせることにより、害虫駆除効果がさらに向上する。
【0007】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物中のピレスロイド系殺虫剤(A)の含有量は、適用対象害虫、施用方法等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、0.0001w/v%以上が好ましく、0.001w/v%以上がより好ましく、0.01w/v%以上がさらに好ましい。ピレスロイド系殺虫剤(A)の含有量が0.0001w/v%以上であると充分な害虫駆除効果が得られる。
ピレスロイド系殺虫剤(A)の含有量の上限は、害虫駆除効果と経済性、安全性等の面のバランスを配慮して適宜設定すればよい。通常、5w/v%以下が適当であり、2w/v%以下が好ましく、1w/v%以下がより好ましい。
【0008】
[脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)]
脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)は、RO−(RO)−COR[式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20である。]で表される。
式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。Rの炭素数が8を超えると本発明の効果が充分に得られず、また、Rの炭素数が0、つまりエーテルではない場合は、製剤系が酸性になり、これにより、殺虫剤成分の反応、分解により経時安定性が悪化することがあり好ましくない。
の炭素数は、1〜4であるのが好ましい。これにより、脂肪酸アルキルエステルを合成する際の反応性が良好で、かつエステル化やエステル交換反応時における過剰分の回収、リサイクル使用が容易である。また、ノックダウンタイムがさらによくなる。特に、Rの炭素数が1であることが、ノックダウンタイムが最も良好となるため好ましい。
として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0009】
式中、Rは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素基である。Rの炭素数が5未満であると臭気の問題が生じ、Rの炭素数が15超であるとノックダウンタイムが低下するおそれがある。
の炭素数は、ノックダウンタイムがさらに向上する点で、5〜13が好ましく、7〜11がより好ましい。
の脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。また、該脂肪族炭化水素基は、直鎖状であることが好ましい。
は、隣接するカルボニル基ともに、炭素数6〜16の脂肪酸残基(RCO−)を構成する。
CO−として、具体的には、炭素数6〜16の脂肪酸(RCOOH)に由来するものが挙げられる。炭素数6〜16の脂肪酸としては、たとえば、動植物油脂を原料として製造されるものが挙げられる。植物油としては、ナタネ油、ひまわり油、大豆油、綿実油、サンフラワー油、ヒマシ油、オリーブ油、とうもろこし油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等が挙げられ、動物油としては、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらのうち、炭素数6〜16の脂肪酸の含有量が多い点で、パーム油、パーム核油、ヤシ油が好ましい。更には炭素数6〜14の脂肪酸の含有量が多い点で、パーム核油、ヤシ油が好ましい。
該脂肪酸として、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の総炭素数6〜16の飽和脂肪酸およびカプロレイン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸等の総炭素数6〜16の不飽和脂肪酸などが挙げられる。このうち、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等(特にパーム油、パーム核油、ヤシ油由来がよい)が好ましい。カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等(特にパーム核油、ヤシ油由来がよい)がより好ましい。
【0010】
式中、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基である。ノックダウンタイムが良好となることからRの炭素数は2〜3であることがより好ましく、衛生害虫への薬剤の浸透性に優れる点で炭素数は2が特に好ましい。
は、隣接する酸素原子ともに、アルキレンオキサイド基(RO)を構成する。
Oとして、具体的には、エチレンオキサイド基(EO)、プロピレンオキサイド基(PO)、ブチレンオキサイド基(BO)、テトラメチレンオキサイド基(TMO)等が挙げられる。これらの中でも、EOおよび/またはPOが好ましく、EOが特に好ましい。
mは、ROの付加モル数であり、1〜20である。mがこの範囲にあるとノックダウンタイムが良好である。mが20を超えると石油系溶剤への溶解性が悪くなる。mが1未満であると、つまりROが付加していない場合は、本発明の効果が得られず、また、脂肪酸エステル(RO−COR)の臭気が問題となる。
mは、ノックダウンタイムが向上する点で、3〜15が好ましく、5〜12がより好ましい。
mが2以上である場合、つまり一分子中に複数のROが存在する場合、各ROは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0011】
脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)の具体例としては、カプロン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプロン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリル酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ラウリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ミリスチン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、パルミチン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、パルミチン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプロン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプロン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリル酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ラウリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ミリスチン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、パルミチン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、パルミチン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、などが挙げられる。
これらのうち、カプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリル酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、ラウリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)メチルエーテル、カプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリル酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、カプリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテル、ラウリン酸ポリプロピレングリコール(付加モル数1−20)エチルエーテルからなる群から選択される1種以上が、ノックダウンタイム向上の点で好ましい。
特に、カプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数5−12)メチルエーテル、カプリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数5−12)メチルエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数5−12)メチルエーテルが上記効果に優れており、好ましい。
脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)としては、これらうちのいずれ1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0012】
脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)としては、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。たとえばラウリン酸ポリエチレングリコール(平均付加モル数9)メチルエーテル(ライオン製レオファットLA−90−92)、ラウリン酸ポリエチレングリコール(平均付加モル数11)メチルエーテル(ライオン製レオファットLA−110M−95)等が市販されている。
合成方法としては、従来公知の方法が利用でき、たとえば、上述した動植物油脂等の油脂とモノ又はポリアルキレングリコールアルキルエーテルとのエステル交換による方法、廃食用油とモノ又はポリアルキレングリコールアルキルエーテルとのエステル交換による方法、脂肪酸をモノ又はポリアルキレングリコールアルキルエーテルでエステル化による方法、脂肪酸アルキルエステルとモノ又はポリアルキレングリコールアルキルエーテルとのエステル交換による方法、脂肪酸アルキルエステルに直接アルキレンオキサイドを挿入反応させる方法等により製造することができる。
【0013】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物中の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)の含有量は、特に限定されないが、通常、0.01〜10w/v%が好ましく、0.1〜5w/v%がより好ましい。脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)の含有量が0.01w/v%未満であると充分なノックダウンタイム向上効果が得られず、また、10w/v%を超えても充分なノックダウンタイム向上の効果を得られないおそれがある。
【0014】
[石油系溶剤(C)]
「石油系溶剤」とは、原油精製等により製造される溶剤を意味する。
石油系溶剤(C)としては、特に限定されないが、たとえばパラフィン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素類、ナフテン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。具体的には、ガソリン、灯油、ケロシン、鉱油、流動パラフィン、ヘキサン、シクロヘキサン、等が挙げられる。これらの中でも、ケロシン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素類が人体への安全性等の観点で好ましい。
石油系溶剤(C)は、市販のものが利用でき、たとえば商品名としてネオチオゾールF(中央化成製)、アイソールシリーズ(出光興産製)、エクソールシリーズ(エクソン化学製)、ナフテゾールシリーズ(新日本石油製)、IPソルベントシリーズ(出光興産製)、NSクリーンシリーズ(ジャパンエナジー製)、ニッコーホワイトシリーズ(ジャパンエナジー製)等が市販されている。これらの中でも、ネオチオゾールF(中央化成製)、IPソルベント2028(出光興産製)、0号ソルベントM(新日本石油製)が好ましい。
石油系溶剤(C)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の衛生害虫駆除剤組成物中、石油系溶剤(C)の含有量は、ノックダウンタイム向上の点から、当該衛生害虫駆除剤組成物に含まれる全溶剤の50体積%以上であることが好ましく、80体積%以上がより好ましく、95体積%以上がさらに好ましく、100体積%であってもよい。
【0015】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、石油系溶剤(C)以外の他の溶剤を含有してもよい。該他の溶剤としては、害虫駆除剤の溶剤として従来公知の種々の溶剤を利用でき、たとえば水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類;フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸メチル、カプリル酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、メチルジグリコール等のエーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどが挙げられる。これらはいずれかを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、前記ピレスロイド系殺虫剤以外の有効成分として、従来から各種衛生害虫を駆除する目的で使用されている各種の薬剤を含有してもよい。該薬剤としては、たとえばフェニトロチオン(スミチオン)、マラチオン(マラソン)等の有機リン系殺虫剤;プロポクスル(バイゴン)、カルバリル(NAC)等のカーバメート系殺虫剤;ケルセン、キノメチオネート、ヘキサチアゾクス等の殺ダニ剤等が挙げられる。これらの薬剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、駆除対象衛生害虫に合わせて適宜選定使用することができる。
【0017】
また、本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、必要に応じて、前記した各成分以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、特に限定されず、従来公知の添加剤であってよく、たとえばN,N−ジエチル−m−トルアミド(DET)等の害虫忌避成分;カッシア油、クローブ油、ヒバ油、シダーウッド油、シナモンリーフ油、ピメント油、タイム油、シトロネラ油、レモングラス油等の植物精油;ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンノニルエチルフェノール、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ポリエチレングリコールオレイン酸エステル等の各種界面活性剤;ピペロニルブトキサイド等の共力剤;ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;ベノミル、テトラクロロイソフタロニトリル等の殺菌剤;リモネン等の天然及び人工の各種香料;パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤などが挙げられる。これらの添加剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
衛生害虫駆除剤組成物中のこれらの成分の含有量は、特に限定されるものではなく、本発明の所期の効果の発現を阻害しない範囲で、これらの成分の所望の効果が発揮されるような量的割合であればよい。
【0018】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、常法によって製造することができ、通常、石油系溶剤(C)を含む溶剤中にピレスロイド系殺虫剤(A)、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)および任意の成分を添加、混合して製造される。
【0019】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物の使用方法は、特に限定されない。たとえば剤型としては、エアゾール剤や、手押しポンプ、トリガー、スクイズ等の噴霧装置を用いて組成物を噴霧する散布油剤など、いずれの剤型でもよいが、簡便に噴霧できる点から、エアゾール剤が好ましい。
たとえば剤型としてエアゾール剤を採用する場合は、従来公知のエアゾール容器内に、当該衛生害虫駆除剤組成物を、噴射剤とともに充填することによりエアゾール剤を製造できる。噴射剤は、起泡剤及び噴射ガスとして機能するものであり、たとえばノルマルブタン、イソブタン、プロパン等の液化石油ガス(LPG)、フロン類、ジメチルエーテル、イソペンタン、炭酸ガス、圧縮空気、二酸化炭素、窒素、笑気ガスなど、公知の噴射剤が利用できる。エアゾール剤は、噴射剤を利用する点が、手押しポンプ、トリガー、スクイズ等の噴霧装置を利用する方法と異なるが、その他の組成は基本的には同じである。
噴射剤の配合量は、適用対象衛生害虫等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、エアゾール剤全量(衛生害虫駆除剤組成物および噴射剤の合計量)の10〜98体積%が適当であり、好ましくは40〜95体積%である。
噴霧装置等を利用する場合は、当該衛生害虫駆除剤組成物を容器に収容し、該容器に手押しポンプ、トリガー式噴霧器、電動ポンプ、スクイズ等の加圧噴霧装置を装着し、これらの加圧噴霧装置を利用して施用することができる。噴霧装置を利用する場合においては、エアゾール剤と異なり、噴射メカニズムを調整することにより空気と衛生害虫駆除剤組成物をうまく混合することができ、容易に噴霧することができる。加圧噴霧機構としては、手押しポンプ、電動ポンプ、圧縮ガスを利用した噴霧機構、フォームを形成しうる機構を有する容器など、種々の機構を利用することができる。
【0020】
本発明の衛生害虫駆除剤組成物の駆除対象である「衛生害虫」とは、病原微生物の媒介をする害虫、刺咬吸血により害を及ぼす害虫、刺されると有毒物質による皮膚炎やアレルギー反応を起こす害虫、アレルギー性疾患のアレルゲンとしての害虫、心理的不快感や嫌悪感を与える害虫のいずれかに該当するものを意味する。
衛生害虫の具体例としては、たとえば、イエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ等のハエ類;アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等のカ類;チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリ類;ヒトノミ、ネコノミ等のノミ類;トコジラミ、タイワントコジラミ等のトコジラミ類;アタマジラミ、コロモジラミ等のシラミ類;イエダニ、ツメダニ、コナヒョウヒダニ等のダニ類;オオハリアリ、イエヒメアリ、アルゼンチンアリ等のアリ類;キイロスズメバチ、コガタスズメバチ等のスズメバチ類;フタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ等のアシナガバチ類;ドクガ、チャドクガ等のドクガ類;アオイラガ、ヒロヘリアオイラガ等のイラガ類;オオユスリカ、セスジユスリカ等のユスリカ類;トビズムカデ、アオズムカデ等のムカデ類などの衛生害虫が挙げられる。
これらの中でも、本発明の衛生害虫駆除剤組成物による駆除効果が特に高いことから、イエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ等のハエ類や、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等のカ類、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリ類が好適である。
【実施例】
【0021】
以下、本発明について、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例1〜14および比較例1〜12の衛生害虫駆除剤組成物に配合した(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−9)は、それぞれ下記に示すものである。
(A−1):下記の手順で調製したカプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数5)メチルエーテル。
(i)
水酸化アルミニウム・マグネシウム(協和化学工業製キョーワード300、化学組成:2.5MgO・Al・mHO)を750℃で3時間焼成してマグネシム・アルミニウム複合金属酸化物触媒を得た。これに40質量%水酸化カリウム水溶液を(触媒に対して水酸化カリウム純分で5質量%)噴霧し、乾燥させることにより、アルカリ変性処理を施した複合金属酸化物触媒を得た。
(ii)
4L容オートクレーブ中にカプリル酸メチル(ライオン(株)製パステルM−8)を750g(4.74モル)、前記アルカリ変性処理を施した複合金属酸化物を3.6g仕込み、撹拌混合しながらオートクレーブ内を窒素置換した後、昇温し、45℃にて、減圧下(約1.33kPa)で1時間、脱水を行った。次いで、180℃にて、圧力上限値を0.49MPaとし、エチレンオキサイド1045g(23.72モル(カプリル酸メチル1モルに対して5モル。))を添加した。更に0.5時間熟成を行った後、80℃まで冷却して抜き出し反応粗製物を得た。
(iii)
撹拌器と温調装置を備えた圧力容器に上記粗製物を1282.5g入れ、60℃に加温した。次いで、処理剤としてイオン交換水67.5g(水希釈物として水分5質量%)加え、水希釈物を得た。これを、80℃を維持したまま15分間撹拌した。その後、ろ過助剤としてハイフロスーパーセル(東京珪藻土工業製)を4.05g(対水希釈物0.3質量%)、KCフロックW−50(S)(日本製紙ケミカル製)を4.05g(対水希釈物0.3質量%)を添加し、15分間撹拌した。次いで、ろ過助剤の入った水希釈物を170gとり、更にプレコート剤としてハイフロスーパーセルを0.25g(ろ過面積に対して0.2kg/m)、KCフロックW−50(S)を1.26g(ろ過面積に対して1.0kg/m)を添加し、均一に分散させた後、プレコートを行った。プレコート終了後、本ろ過を行い、前記アルカリ変性処理を施した複合金属酸化物触媒をろ別除去して精製品を得た。本ろ過は、ろ過装置として、ろ材がセルロースとポリエステルの二重フィルター、内径4cmの加圧ろ過器(ADVANTEC社製)を使用し、温度60℃、窒素圧0.2MPaで行った。
(iv)
精製品30mgを4mLの重クロロホルムに溶解し、H−NMR(270MHz、日本電子データム製FT NMR SYSTEM JNM−EX270)にて測定した。重クロロホルムのケミカルシフトを7.26ppm基準として、ケミカルシフト0.75ppm(積分値3)、1.2(積分値8)、1.5(積分値2)、2.2(積分値2)、3.25(積分値3)、3.4〜3.7(積分値18)、4.1(積分値2)より精製品はカプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数5)メチルエーテルであることが確認できた。
【0022】
(A−2):エチレンオキサイドの添加量をカプリル酸メチルに対して9モルに変更した以外は(A−1)と同様にして得たカプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数9)。
(A−3):エチレンオキサイドの添加量をカプリル酸メチルに対して12モルに変更した以外は(A−1)と同様にして得たカプリル酸ポリエチレングリコール(付加モル数12)メチルエーテル。
(A−4):原料脂肪酸メチルをカプリル酸メチルからラウリン酸メチル(ライオン製パステルM−12)に変更した以外は(A−1)と同様にして得たラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数5)メチルエーテル。
(A−5):ライオン製レオファットLA−90−92(ラウリン酸ポリエチレングリコール(付加モル数9)メチルエーテル)。
【0023】
(B−1):ライオン製レオファットOC−0503M(C18脂肪酸ポリエチレングリコール(付加モル数5)ポリプロピレングリコール(付加モル数3)メチルエーテル)。
(B−2):原料脂肪酸メチルをC18脂肪酸メチル(ライオン製パステルM−182)に変更し、エチレンオキサイドの添加量を該C18脂肪酸メチルに対して9モルに変更した以外は(A−1)と同様にして得たC18脂肪酸ポリエチレングリコール(付加モル数9)メチルエーテル。
(B−3):原料脂肪酸メチルをC18脂肪酸メチル(ライオン製パステルM−182)に変更し、エチレンオキサイドの添加量を該C18脂肪酸メチルに対して12モルとし、該エチレンオキサイドとともに、該C18脂肪酸メチルに対して2モルのプロピレンオキサイドを添加した以外は(A−1)と同様にして得たC18脂肪酸ポリエチレングリコール(付加モル数12)ポリプロピレングリコール(付加モル数2)メチルエーテル。
(B−4):竹本油脂社製ニューカルゲンD−1105−S(ポリオキシエチレン(付加モル数5モル)アルキル(C12−14)エーテル)。
(B−5):竹本油脂社製ニューカルゲンD−1107−S(ポリオキシエチレン(付加モル数7モル)アルキル(C12)エーテル)。
(B−6):竹本油脂社製ニューカルゲンD−1107−SP3((ポリオキシアルキレン(EO付加モル数7+PO付加モル数3)アルキル(C12)エーテル)。
(B−7):竹本油脂社製ニューカルゲン03055TX(ヒマシ油)。
(B−8):竹本油脂社製ニューカルゲンD−935(ソルビタンモノオレエート)。
(B−9):三洋化成社製プロファンエキストラ24(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド)。
【0024】
また、以下に示す試験例1〜6では、害虫駆除効力の評価を、図1に概略構成を示す装置を用い、下記の直接噴霧法により行った。
両面を14メッシュの網2で蓋をしたガラスリング1(直径9cm×高さ6cm)内に供試虫A(8匹)を入れ、台3の上に固定した。この台3を、架台4上に固定されているガラスシリンダー5(直径20cm)内の所定の位置に、網2の面(開口面)がガラスシリンダー5の開口側に向くように平行に設置した。
ガラスシリンダー5内には、図1の「噴霧」と記載された位置から「排気」と記載されている向きに一定量の定常流の空気が流されており、該ガラスシリンダー5内に設置されたガラスリング1内の全ての供試虫に、噴霧された衛生害虫駆除剤組成物があたるようになっている。
図1に示す装置において、ガラスリング1を固定した台3は、任意に設置位置を変更できるようになっている。各試験例においては、ガラスシリンダー5の噴霧側端部からガラスリング1までの距離(噴霧距離L)が所定の長さとなるように、対象害虫に応じて設置位置を調節した。
エアゾールの噴射量は、殺虫成分量が所定量になるように調整した。エアゾールの噴射量の調整は、エアゾール自動微量噴霧装置(YASUDA SEIKI SEISAKUSHO LTD製)を用い、該装置の噴霧時間を調整して行った。
【0025】
<試験例1>
d−T80−フタルスリン(殺虫成分)0.45gと、d−T80−レスメトリン(殺虫成分)0.06gと、表1に示す活性剤1.5gと、ネオチオゾールF(溶剤;中央化成(株)製ケロシン(ノルマルパラフィン))とを混合して衛生害虫駆除剤組成物(全量45mL)を調製した。
該衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤255mLとをエアゾール容器に充填してエアゾール剤を得た。衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤との比(液/ガス比)は45/255(v/v)である。噴射剤としてはLPGを用いた。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
【0026】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてイエバエを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=150cm、衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤との合計噴霧量(以下、合計噴霧量)0.5g(約0.2秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、経時的に、ノックダウンした供試虫Aの数をカウントし、KT50(秒)(供試虫Aの半数がノックダウンするのに要した時間)を、BlissのProbit法により求めた。また、各例のKT50の値から対照試料のKT50の値を減じてその差(ΔKT50(秒))を求めた。
また、噴霧してから24時間後の供試虫Aの致死率(24h後のKill)(%)を求めた。また、各例の24h後のKillの値から対照試料の24h後のKillの値を減じてその差(Δ24h後のKill(%))を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
<試験例2>
活性剤として表2に示す活性剤を用いた以外は実施例1と同様にして衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を調製した。
【0029】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてチャバネゴキブリを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=110cm、合計噴霧量2g(約1秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、試験例1と同様にしてKT50(秒)およびΔKT50(秒)を求めた。その結果を表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
<試験例3>
メトフルトリン0.225gと、表3に示す活性剤1.5gと、ネオチオゾールF(溶剤;中央化成(株)製ケロシン(ノルマルパラフィン))とを混合して衛生害虫駆除剤組成物(全量45mL)を調製した。
該衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤255mLとをエアゾール容器に充填してエアゾール剤を得た。液/ガス比は45/255(v/v)である。噴射剤としてはLPGを用いた。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
【0032】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてイエバエを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=150cm、合計噴霧量0.5g(約0.2秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、試験例1と同様にしてKT50(秒)、ΔKT50(秒)、24h後のKill(%)およびΔ24h後のKill(%)を求めた。その結果を表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
<試験例4>
ピレトリン0.45gと、表4に示す活性剤1.5gと、ネオチオゾールF(溶剤;中央化成(株)製ケロシン(ノルマルパラフィン))とを混合して衛生害虫駆除剤組成物(全量45mL)を調製した。
該衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤255mLとをエアゾール容器に充填してエアゾール剤を得た。液/ガス比は45/255(v/v)である。噴射剤としてはLPGを用いた。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
【0035】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてイエバエを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=150cm、合計噴霧量0.5g(約0.2秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、試験例1と同様にしてKT50(秒)およびΔKT50(秒)を求めた。その結果を表4に示す。
【0036】
【表4】

【0037】
<試験例5>
d−T80−フタルスリン(殺虫成分)0.45gと、d−T80−レスメトリン(殺虫成分)0.06gと、表5に示す活性剤1.5gと、パステル2H−12(溶剤;ライオン(株)製ラウリン酸2−エチルヘキシル)と、ネオチオゾールF(溶剤;中央化成(株)製ケロシン(ノルマルパラフィン))とを混合して衛生害虫駆除剤組成物(全量45mL)を調製した。このとき、パステル2H−12とネオチオゾールFとの混合比(体積比)は1:1とした。
該衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤255mLとをエアゾール容器に充填してエアゾール剤を得た。液/ガス比は45/255(v/v)である。噴射剤としてはLPGを用いた。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
【0038】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてチャバネゴキブリを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=110cm、合計噴霧量2g(約1秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、試験例1と同様にしてKT50(秒)、ΔKT50(秒)、24h後のKill(%)およびΔ24h後のKill(%)を求めた。その結果を表5に示す。
【0039】
【表5】

【0040】
<試験例6>
d−T80−フタルスリン(殺虫成分)0.45gと、d−T80−レスメトリン(殺虫成分)0.06gと、(A−3)1.5gと、表5に示す溶剤とを混合して衛生害虫駆除剤組成物(全量45mL)を調製した。
該衛生害虫駆除剤組成物と噴射剤255mLとをエアゾール容器に充填してエアゾール剤を得た。液/ガス比は45/255(v/v)である。噴射剤としてはLPGを用いた。
また、対照試料として、活性剤を配合しなかった以外は上記と同じ手順で衛生害虫駆除剤組成物を調製し、エアゾール剤を得た。
【0041】
各エアゾール剤について、前記直接噴霧法による害虫駆除効力の評価を以下の試験条件で実施した。
(試験条件)供試虫Aとしてイエバエを用い、前記各エアゾール剤を、噴霧距離L=150cm、合計噴霧量0.5g(約0.2秒間噴霧)の条件で噴霧した。
噴霧後、試験例1と同様にしてKT50(秒)、ΔKT50(秒)、24h後のKill(%)およびΔ24h後のKill(%)を求めた。その結果を表6に示す。
【0042】
【表6】

【0043】
表6中、(S−1)〜(S−3)はそれぞれ以下のものを示す。
(S−1):ネオチオゾールF(中央化成(株)製ケロシン(ノルマルパラフィン))。
(S−2):パステル2H−12(ライオン(株)製ラウリン酸2−エチルヘキシル)。
(S−3):パステル2H−08(ライオン(株)製カプリル酸2−エチルヘキシル)。
【0044】
上記結果に示すように、ピレスロイド系殺虫剤と共に、効力増強剤として作用する特定の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよび石油系溶剤を配合した本発明の衛生害虫駆除剤組成物によれば、従来効力増強剤として提案されている化合物を配合した場合に比べて、速やかなノックダウン効果を得ることができる。また、本発明の衛生害虫駆除剤組成物は、殺虫効果も増強されており、優れた致死効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】各試験例において害虫駆除効力を直接噴射法により評価するために用いた装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1…ガラスリング、2…網、3…台、4…架台、5…ガラスシリンダー、A…供試虫、L…噴霧距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピレスロイド系殺虫剤(A)と、RO−(RO)−COR[式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは1〜20である。]で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)と、石油系溶剤(C)とを含有することを特徴とする衛生害虫駆除剤組成物。
【請求項2】
該衛生害虫駆除剤組成物中、前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B)の含有量が0.01〜10w/v%である請求項1記載の衛生害虫駆除剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−221150(P2009−221150A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67373(P2008−67373)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】