衛生洗浄装置
【課題】本発明は、局部洗浄モードを切り替える場合は通常の洗浄を行い、局部洗浄の利用が終了した場合には高い洗浄能力で念入りにノズルを洗浄する。
【解決手段】衛生洗浄装置1は、噴射孔2A1,2A2を有するノズル本体2Aと、ノズル本体2Aの外側を覆う洗浄室2Dと、ノズル本体2A及び洗浄室2Dに洗浄水を供給する洗浄水供給手段2Bと、ノズル本体2Aを移動させるノズル駆動手段2Cと、操作手段3と、衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備える。ノズル洗浄制御手段5は、利用者が局部洗浄モードの切り替えを指示すると、比較的速い速度V1でノズル本体2Aを後退させて胴部洗浄を行い、利用者が局部洗浄の利用を終えると、比較的遅い速度V2でノズル本体2Aを後退させて胴部洗浄を行う。
【解決手段】衛生洗浄装置1は、噴射孔2A1,2A2を有するノズル本体2Aと、ノズル本体2Aの外側を覆う洗浄室2Dと、ノズル本体2A及び洗浄室2Dに洗浄水を供給する洗浄水供給手段2Bと、ノズル本体2Aを移動させるノズル駆動手段2Cと、操作手段3と、衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備える。ノズル洗浄制御手段5は、利用者が局部洗浄モードの切り替えを指示すると、比較的速い速度V1でノズル本体2Aを後退させて胴部洗浄を行い、利用者が局部洗浄の利用を終えると、比較的遅い速度V2でノズル本体2Aを後退させて胴部洗浄を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに設けられ、人体の局部を洗浄可能な衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体局部に洗浄水を噴射して洗浄する衛生洗浄装置では、例えば、水垢や汚物等がノズルに付着することがある。そこで、衛生洗浄の開始時及び終了時に、ノズルの表面に洗浄水を噴射させて汚物等を取り除く技術が提案されている(特許文献1)。また、ノズルの表面に定期的に洗浄水を吹き付けてノズルを常時濡れた状態に保持し、衛生洗浄時に汚物等がノズル表面に付着するのを防止する技術も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特許第2878460号明細書
【特許文献2】特開2003−293431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
衛生洗浄の開始時及び終了時にノズルを洗浄する第1の従来技術では、利用者が衛生洗浄を利用する前、及び、利用者が衛生洗浄を終えた後の両方で、ノズルを洗浄するため、ノズルに汚物等が付着するのを抑制することができる。しかし、衛生洗浄の前後に実行されるノズル洗浄だけでは、ノズルに付着した便や水垢等の汚物等を除去できない場合もある。ノズルに汚物等が固着した場合、利用者はノズルを手動で洗浄しなければならず、ノズル清掃の手間がかかり、使い勝手が低い。
【0004】
ノズル表面を常時濡れた状態に保持する第2の従来技術では、定期的に洗浄水をノズルに吹き付けるため、無駄に洗浄水を噴射することも多く、洗浄水や電気を浪費する可能性がある。即ち、この第2の従来技術では、例えば、平日の出勤時や就寝直前等のように衛生洗浄装置の利用頻度が比較的高い時間帯、あるいは、衛生洗浄装置の使用直後であっても、定期的に洗浄水がノズルに噴射される。従って、無駄に洗浄水が噴射される場合が多く、衛生洗浄装置の維持コストが増大する。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ノズルを洗浄する性能を改善することにより、ノズル清掃の手間を軽減できるようにした衛生洗浄装置を提供することにある。本発明の他の目的は、ノズルの後退及び再伸長を伴って局部洗浄モードを切り替える場合は通常の性能でノズルを洗浄し、局部洗浄モードを停止させる場合は改善された性能でノズルを洗浄することにより、ノズルを清潔に保ち、ノズル清掃の手間を軽減できるようにした衛生洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、利用者から入力される指示に基づいて、ノズルに設けられた噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、局部洗浄モードに関する複数の動作が選択可能であり、選択された動作に応じた複数の信号を出力する操作手段と、ノズルを洗浄するノズル洗浄手段と、操作手段から受信する信号に応じて、ノズル洗浄手段によるノズルの洗浄時間を制御するノズル洗浄制御手段と、を備える。
【0007】
かかる衛生洗浄装置では、利用者が操作手段を介して局部洗浄を指示すると、ノズルの噴射孔から人体局部に向けて洗浄水が噴射され、局部が洗浄される。ノズルから噴射された洗浄水は、利用者の人体局部に付着した便等を洗い流して、便器本体のボール部に落下する。
【0008】
操作手段は、例えば、衛生洗浄装置に一体的に設けられた操作パネル等のように構成してもよいし、また例えば、リモートコントローラのように衛生洗浄装置とは別体の装置として構成してもよい。局部洗浄モードとは、人体局部を洗浄するための制御動作を意味し、例えば、「お尻洗浄」や「ビデ洗浄」等を挙げることができる。なお、これら以外に、例えば、お尻を柔らかい水流で洗浄する局部洗浄モード等を挙げることもできる。操作手段には、複数の局部洗浄モードにそれぞれ対応した操作スイッチや局部洗浄を停止させるスイッチ等が配置されている。ノズル洗浄制御手段は、ノズルの洗浄を制御するもので、操作手段から受信した信号に基づいてノズルの洗浄時間を制御する。従って、この衛生洗浄装置は、操作手段からの信号に応じてノズルの洗浄時間を適切に制御可能であり、利用者によるノズル清掃作業の手間を低減させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、請求項1において、ノズル洗浄手段は、ノズル洗浄制御手段により制御される移動速度でノズルを移動させながら該ノズルの外側から洗浄水を吹き付けることによりノズルを洗浄可能となっており、ノズル洗浄制御手段は、操作手段から受信した信号に応じてノズルの移動速度を制御することにより、ノズル洗浄手段によるノズルの洗浄時間を制御する。
【0010】
ノズルの移動速度をより遅くすると、ノズルに洗浄水が吹き付けられる時間、即ち、ノズルの洗浄時間が長くなり、ノズル洗浄に使用される洗浄水の量も増大する。ノズル洗浄時間が長くなるほど、ノズルに付着した汚物等を除去する可能性が高まる。ここで、ノズルの移動速度としては、請求項8に示すように、ノズルを後退させる場合の後退速度を挙げることができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、請求項2において、ノズル洗浄制御手段は、操作手段から第1種類の信号を受信した場合は第1移動速度を設定し、操作手段から第2種類の信号を受信した場合は第1移動速度よりも遅い第2移動速度を設定するようになっており、かつ、第1種類の信号は、複数の局部洗浄モード間における局部洗浄モードの切替を要求する信号であり、第2種類の信号は実行中の局部洗浄の停止を要求する信号である。
【0012】
例えば、利用者がお尻洗浄からビデ洗浄への切り替えを指示した場合のように、局部洗浄モードの切替が操作手段から要求された場合、ノズル洗浄制御手段は、第1移動速度を選択する。これにより、第2移動速度を選択する場合に比べて、ノズルの洗浄時間を短縮することができ、局部洗浄モードを速やかに切り替えることができる。これに対し、例えば、利用者がお尻洗浄やビデ洗浄の終了を希望した場合のように、第2種類の信号が操作手段から出力されると、ノズル洗浄制御手段は、第1移動速度よりも遅い第2移動速度を選択する。これにより、ノズルの洗浄時間を長くすることができ、ノズルから汚物等を除去する可能性を高めることができる。
【0013】
つまり、かかる衛生洗浄装置では、局部洗浄を終了した場合にのみ、ノズルに噴射される洗浄水の積算流量を増加させて、ノズル洗浄能力を高めることができる。これにより、ノズルを丁寧に洗浄してから収容することができ、汚物等がノズルに固着するのを防止することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項3において、第1種類の信号は、ノズルをいったん後退させてから再び伸長させることによって局部洗浄モードを切り替えさせるための信号であり、第2種類の信号は、ノズルを後退させて局部洗浄を停止させるための信号である。これにより、例えば、お尻洗浄とビデ洗浄との間で局部洗浄モードを切り替える場合は、第1移動速度でノズルを速く移動させることにより、ノズルの後退時及び最伸長時にノズルを速やかに洗浄することができる。そして、お尻洗浄またはビデ洗浄を停止させる場合は、第2移動速度でノズルを遅く移動させることにより、ノズルの後退時にノズルをゆっくり洗浄することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、請求項4において、第2種類の信号には、操作手段に設けられている停止命令スイッチに対応する信号または操作手段に設けられている乾燥命令スイッチに対応する信号のいずれか又は両方が含まれる。
【0016】
停止命令スイッチは、現在実行中の局部洗浄を停止させるためのスイッチである。乾燥命令スイッチは、現在実行中の局部洗浄を停止させ、その後、温風を人体局部に吹き付けて乾燥させるためのスイッチである。いずれの場合も、実行中の局部洗浄を停止させるものであり、また、停止後に別の局部洗浄を行うものではない。従って、ノズルを比較的遅い第2移動速度で移動させても、利用者に不便を与えることがなく、比較的長い洗浄時間をかけてノズルを洗浄することができる。
【0017】
請求項6に係る発明では、請求項3〜5のいずれかにおいて、ノズル洗浄制御手段は、第2種類の信号を受信した場合、ノズルを第1移動速度で所定位置まで移動させた後で、第2移動速度に切り替える。即ち、ノズル洗浄制御手段は、比較的速い第1移動速度でノズルを所定位置まで速やかに移動させた後、比較的遅い第2移動速度に切り替えてノズルをゆっくりと移動させる。ここで、所定位置は、例えば、ノズル洗浄手段によるノズル洗浄が有効に機能し始める位置、または、ノズルの汚れやすい位置と汚れにくい位置との境界付近として定義可能である。汚れやすい位置まで速やかにノズルを移動させることにより、ノズルの汚れやすい領域に噴射される洗浄水の量を増大させて汚物等を効果的に除去することができ、ノズル洗浄に要する時間を短縮することができる。
【0018】
請求項7に係る発明では、請求項3〜5のいずれかにおいて、ノズル洗浄手段は、ノズルを覆うようにして設けられ、ノズルが移動可能に挿通される洗浄室と、この洗浄室内に洗浄水を噴射させるノズル洗浄用流路と、ノズルを前進または後進させるノズル駆動手段とを備えて構成し、ノズル洗浄制御手段は、第2種類の信号を受信した場合、洗浄室内でノズルを往復動作させつつノズル洗浄用流路から洗浄水を噴射させることにより、ノズルを洗浄する。
【0019】
かかる衛生洗浄装置では、第2種類の信号が操作手段から出力されると、ノズルを洗浄室内で往復動作させながら洗浄水を繰り返し吹き付けることができる。これにより、洗浄水がノズルに衝突する方向や勢いを変化させながら、汚れやすいノズル先端部分に噴射される洗浄水の積算流量を増大させることができ、より一層効果的にノズルに付着した汚物等を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、操作手段3から入力される信号に基づいて局部洗浄からノズル洗浄に切り替える衛生洗浄装置1において、操作手段3から入力される信号の種類に応じてノズル洗浄能力を制御する。これにより、局部洗浄後には、ノズルを清潔に清掃してから待機させることができ、ノズルに汚物等が付着するのを防止して、利用者による清掃作業の軽減を図っている。
【0021】
図1は、本実施形態に係る衛生洗浄装置1の概要を模式的に示す説明図である。衛生洗浄装置1は、後述の実施例からも明らかとなるように、トイレの便器本体に取り付けられるもので、利用者の人体局部を洗浄する。
【0022】
衛生洗浄装置1は、それぞれ後述するように、例えば、ノズル装置2と、操作手段3と、衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備えて構成される。
【0023】
ノズル装置2は、例えば、ノズル本体2Aと、洗浄水供給手段2Bと、ノズル駆動手段2Cと、洗浄室2Dとを備えて構成される。ノズル装置2は、ノズル洗浄制御手段5または衛生洗浄制御手段4から入力される制御信号に従ってノズル本体2A等を動作させ、ノズルの洗浄や人体局部の洗浄(衛生洗浄)を行う。
【0024】
ノズル本体2Aは、例えば、便座の後部から便器本体のボール部に臨むようにして設けられている。ボール部に臨むノズル本体2Aの先端側には、複数の噴射孔2A1,2A2がそれぞれ設けられている。ノズル本体2Aの内部には、各噴射孔2A1,2A2にそれぞれ連通する流路2A3,2A4が形成されている。一方の流路2A3は一方の噴射孔2A1に連通し、他方の流路2A4は他方の噴射孔2A2に連通している。
【0025】
洗浄水供給手段2Bは、各噴射孔2A1,2A2及び後述の洗浄室2Dに、それぞれ洗浄水を供給するものである。洗浄水供給手段2Bは、後述の実施例からも明らかとなるように、例えば、洗浄水を加熱する機能、洗浄水を加圧する機能、水勢を調節する機能と、流路を切り替える機能等を含んで構成することができる。
【0026】
洗浄水供給手段2Bからノズル本体2Aに供給された洗浄水は、流路2A3,2A4を介して噴射孔2A1,2A2から噴射される。流路2A3が選択された場合、洗浄水は噴射孔2A1から噴射される。流路2A4が選択された場合、洗浄水は噴射孔2A2から噴射される。また、流路2A3及び2A4の両方が選択された場合、洗浄水は各噴射孔2A1,2A2からそれぞれ噴射される。
【0027】
ノズル駆動手段2Cは、ノズル本体2Aを伸縮動作させるものである。ノズル駆動手段2Cは、後述の実施例からも明らかとなるように、例えば、駆動モータやプーリ、ベルト、ラッチ等から構成可能である。これに限らず、例えば、リニアモータ等の他の機構を用いることもできる。ノズル駆動手段2Cによって、ノズル本体2Aは、矢示F方向またはR方向のいずれかに移動する。矢示F方向は、便器本体のボール部内に向かう方向であり、前方向とも呼ぶ。矢示R方向は、ボール部と反対側の便座後部に向かう方向であり、後方向とも呼ぶ。
【0028】
洗浄室2Dは、ノズル本体2Aを洗浄するためのものであり、洗浄水供給手段2B及びノズル駆動手段2Cと共に「ノズル洗浄手段」を構成する。洗浄室2Dは、ノズル本体2Aと相対移動可能に設けられており、便器本体のボール部に対向する面には、開口部が形成されている。また、洗浄室2Dの前後方向(矢示F,R方向)には、ノズル本体2Aが移動可能に挿通される挿通部が形成されている。
【0029】
洗浄室2Dは、例えば、便座の後部側に位置して、ノズル本体2Aの外側を覆うようにして設けられている。ノズル本体2Aは、ノズル駆動手段2Cにより、洗浄室2Dを通って前後方向に移動する。洗浄室2Dには、洗浄水供給手段2Bから洗浄水が供給されるようになっており、この洗浄水は、洗浄室2D内において、ノズル本体2Aの表面に噴射される。
【0030】
ノズル本体2Aは、例えば、便座後部に退避する縮退位置(第1位置)とボール部内に延びる伸長位置(第2位置)との間で移動する。伸長位置は、利用者の好みによって調節可能である。ノズル本体2Aが縮退位置にある場合、各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2D内にそれぞれ位置する。ノズル本体2Aが伸長位置にある場合、各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2Dの外部に位置する。
【0031】
以上が衛生洗浄装置1の機械系構造である。次に、衛生洗浄装置1の制御系構造を説明する。制御系構造は、例えば、操作手段3,衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備えて構成される。
【0032】
操作手段3は、利用者が衛生洗浄装置1を作動させるための指示装置であり、例えば、リモートコントローラ等のように構成される。利用者が操作手段3から入力した指示は、電圧信号やコマンドとして、衛生洗浄装置1の衛生洗浄制御手段4やノズル洗浄制御手段5に入力される。なお、操作手段3と衛生洗浄制御手段4等とは、有線または無線で接続することができる。
【0033】
操作手段3には、複数のスイッチ3A,3B,3C,3Dを設けることができる。これら各スイッチ3A〜3Dは、局部洗浄に関連する動作を指示するためのスイッチであり、局部洗浄関連スイッチ等と呼ぶこともできる。各スイッチ3A〜3Dは、例えば、手動操作スイッチとして構成されるが、これに限らず、利用者の発した音声を認識する音声入力装置等のように構成してもよい。
【0034】
スイッチ3Aは、お尻洗浄スイッチである。利用者がスイッチ3Aを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、お尻洗浄を実行する。スイッチ3Bは、ビデ洗浄スイッチである。利用者がスイッチ3Bを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、ビデ洗浄を実行する。スイッチ3Cは、停止スイッチである。利用者がスイッチ3Cを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、現在実行している動作を停止させる。スイッチ3Dは、乾燥スイッチである。利用者がスイッチ3Dを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、現在実行している局部洗浄を停止し、局部に温風を吹き当てて乾燥させる。
【0035】
衛生洗浄制御手段4は、局部洗浄の動作等を制御する。局部洗浄(即ち衛生洗浄)では、利用者の人体局部に洗浄水を噴射して洗浄する。お尻洗浄の場合、衛生洗浄制御手段4は、ノズル本体2Aを便器本体内に伸長させて、お尻洗浄用の噴射孔から洗浄水を噴射させる。同様に、ビデ洗浄の場合、衛生洗浄制御手段4は、ノズル本体2Aを便器本体内に伸長させて、ビデ洗浄用の噴射孔から洗浄水を噴射させる。
【0036】
衛生洗浄制御手段4は、利用者が操作手段3を介して衛生洗浄の実行を指示した場合、ノズル本体2Aを利用者の設定した伸長位置まで移動させ、次に、各噴射孔2A1,2A2のうち利用者の選択した噴射孔から洗浄水を噴射させる。衛生洗浄の開始及び終了はノズル洗浄制御手段5に通知され、後述のように、衛生洗浄と連携するノズル洗浄工程が実行される。
【0037】
ノズル洗浄制御手段5は、ノズル洗浄工程の実行及び停止を制御するものである。ノズル洗浄工程とは、ノズル本体2Aを洗浄するための予め設定された一連の洗浄動作を意味する。ノズル洗浄工程の詳細は後述する。
【0038】
ノズル洗浄制御手段5は、第1後退速度V1及び第2後退速度V2の複数の速度で、ノズル本体2Aを後退させることができる。第1後退速度V1は「第1移動速度」に、第2後退速度V2は「第2移動速度」に、それぞれ対応する。そして、第1後退速度V1よりも第2後退速度V2の方が遅くなるように設定されている。
【0039】
複数の後退速度V1,V2の選択方法については、後述の実施例でさらに詳述する。先に簡単に説明すると、ノズル洗浄制御手段5は、操作手段3から入力された信号の種類に基づいて、各速度V1,V2のいずれかを選択する。ノズル洗浄制御手段5は、選択した速度でノズル本体2Aを後退させながら、洗浄室2D内でノズル本体2Aに洗浄水を吹き付けることにより、ノズル本体2Aの表面を洗浄させる。
【0040】
ノズル洗浄制御手段5は、後述のように、ノズル本体2Aの後退及び再伸長を伴う局部洗浄モードの切替を行う場合、第1後退速度V1を選択する。これにより、速やかに局部洗浄モードを切り替えることができる。これに対し、局部洗浄を停止させる場合、ノズル洗浄制御手段5は、第2後退速度V2を選択する。上述のように、局部洗浄を停止させる場合としては、例えば、利用者が停止スイッチ3Cまたは乾燥スイッチ3Dを操作した場合を挙げることができる。局部洗浄を停止させる場合、即ち、利用者が局部洗浄の利用を終えた場合には、より遅い速度V2でノズル本体2Aを後退させながら洗浄室2D内でノズル本体2Aを洗浄する。ノズル本体2Aの後退速度をV2に低下させることにより、洗浄室2D内をノズル本体2Aが通過する時間、即ち洗浄時間が長くなり、この結果、洗浄室2D内でノズル本体2Aに吹き付けられる洗浄水の積算流量が増大する。従って、ノズル本体2Aにより多くの洗浄水を吹き付けて汚物等を除去することができ、通常以上にノズル本体2Aを清掃した状態で待機させることができる。
【0041】
次に、ノズル洗浄工程を説明する。ノズル洗浄工程は、例えば、胴体洗浄工程と、噴射孔洗浄工程とに大別することができる。胴体洗浄工程とは、ノズル本体2Aを前方向または後方向に移動させながらノズル本体2Aの胴体を洗浄する工程である。胴体洗浄工程では、洗浄室2Dからノズル本体2Aの表面に向けて洗浄水を噴射させる。従って、ノズル本体2Aの外周面のうち、洗浄室2D内を通過する周面には外側から洗浄水が吹き付けられ、その周面に付着している汚物等が除去される。ノズル本体2Aから汚物等を取り除いた洗浄水は、洗浄室2Dの下側の開口部からボール部内に落下する。
【0042】
噴射孔洗浄工程とは、ノズル本体2Aの各噴射孔2A1,2A2及びその近辺を洗浄する工程である。噴射孔洗浄工程では、ノズル本体2Aを縮退位置に位置させて各噴射孔2A1,2A2を洗浄室2D内に収容し、各噴射孔2A1,2A2から洗浄水をそれぞれ噴射させる。この洗浄水によって、各噴射孔2A1,2A2及びその近辺に付着した汚物等が除去される。各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2D内に位置しているので、各噴射孔2A1,2A2が便器本体の外側に飛ぶことはない。各噴射孔2A1,2A2から噴射された洗浄水は、洗浄室2Dの内壁に衝突して跳ね返り、洗浄室2D内に位置するノズル本体2Aの周面に様々な方向から衝突する。これにより、各噴射孔2A1,2A2及びその近辺だけでなく、ノズル本体2Aの先端側周面も洗浄される。
【0043】
ノズル洗浄工程では、胴体洗浄工程と噴射孔洗浄工程とがそれぞれ少なくとも一回ずつ実行される。詳細は後述するが、衛生洗浄が行われる際には、噴射孔洗浄工程(前洗浄)→胴体洗浄工程(伸長時洗浄)→衛生洗浄(局部洗浄)→胴体洗浄工程(後退時洗浄)→噴射孔洗浄工程(後洗浄)の順序で、ノズル本体2Aが洗浄される。そして、ノズル本体2Aを後退させながら胴体洗浄工程を実施する後退時洗浄においては、上述のように、操作手段3からの信号に応じて、後退速度V1,V2のいずれかが用いられる。
【0044】
このように、本実施形態の衛生洗浄装置1は、操作手段3からの信号に応じてノズル本体2Aの後退速度をV1またはV2のいずれかに設定し、洗浄室2D内でノズル本体2Aを洗浄する。これにより、利用者の利便性を損なわずに、局部洗浄終了時のノズル洗浄能力を高めることができ、利用者の手作業による清掃作業を軽減して使い勝手を向上させることができる。以下、本実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
図2は、本発明に係る衛生洗浄装置100が適用されるトイレ10の外観を示す外観図である。トイレ10は、例えば、排泄物等を収容するためのボール部が形成された便器本体11と、便器本体11の上面側に開閉可能に取り付けられた便座12と、便座12の上面側に開閉可能に取り付けられた便蓋13と、便器本体11の後部に取り付けられ、内部に後述する洗浄水供給機構や制御部300等が収容されるケーシング14と、ケーシング14の後部上側に設けられたロータンク15等から構成される。そして、利用者は、リモートコントローラ20を介して、衛生洗浄の開始を指示したり、洗浄水の水勢や温度等を設定することができる。
【0046】
図3は、トイレ1の上部構造である温水洗浄便座の外観を示す外観図である。温水洗浄便座は、便器本体11の上部に着脱可能に取り付けることができる。温水洗浄便座は、例えば、便座12と、便蓋13と、ケーシング14等を備えて構成される。温水洗浄便座は、例えば、便座を保温する機能、洗浄水を保温する機能、利用者の人体局部を洗浄する機能、ノズル本体101を洗浄する機能等を実現する。
【0047】
便座12と便蓋13が回動可能に取り付けられているケーシング14の前側には、着座センサ30及び人体検知センサ31がそれぞれ設けられている。着座センサ30は、利用者が便座12に着座したか否かを検出して信号を出力する。人体検知センサ31は、利用者が便座12に着座するよりも前に、利用者の存在を検出して信号を出力する。即ち、人体検知センサ31は、利用者がトイレ10に接近したか否かを検出する。
【0048】
ケーシング14の前部下側には、ノズル本体101が前後方向に移動可能に設けられている。ノズル本体101の先端側には、複数の噴射孔102A,102Bが設けられており、各噴射孔102A,102Bには、給水ホース110からの洗浄水が供給される。洗浄水供給機構及びノズルの詳細はさらに後述する。
【0049】
図4は、リモートコントローラ20の正面図を示す。リモートコントローラ20は、例えば、少なくとも一つの表示部21と、複数の操作ボタン22A〜22D,23A〜23E,24A〜24D,25A〜25C,26A〜26Dとを備えている。
【0050】
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等のようなディスプレイ装置として構成される。表示部21には、例えば、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水の強さ(水勢)や、噴射される洗浄水の方向(洗浄位置)、洗浄水の温度、便座12の温度、節電モードの設定状態等のような各種の情報が適宜表示される。
【0051】
基本操作ボタン22A〜22D(特に区別しない場合、ボタン22と呼ぶ)は、トイレ10の基本的機能を利用するためのボタンである。基本的機能とは、トイレ10を用いて利用者が排泄するための最低限の機能である。洗浄ボタン(大)22Aは、利用者の排泄した大便を洗浄水によって洗い流させるためのボタンである。洗浄ボタン(小)22Bは、利用者の排泄した小便を洗浄水によって洗い流させるためのボタンである。開蓋ボタン22Cは、便蓋13を開いて便座12を露出させるためのボタンである。閉蓋ボタン22Dは、便蓋13を閉じて便座12を覆わせるためのボタンである。なお、大便と小便とでボール部内に供給する洗浄水の量を変えないような場合、洗浄ボタン22Aのみを設ければよい。また、便蓋13を自動的に開閉させる機能を備えない場合、開蓋ボタン22C及び閉蓋ボタン22Dは省略することができる。
【0052】
衛生洗浄ボタン23A〜23E(特に区別しない場合、ボタン23と呼ぶ)は、衛生洗浄を利用するためのボタンである。停止ボタン23Aは、洗浄水の噴射を停止させるためのボタンである。おしりボタン23B及びビデボタン23Cは、人体局部への洗浄水の噴射開始を指示するためのボタンである。やわらかボタン23Dは、お尻洗浄時の水勢を弱くさせるためのボタンである。乾燥ボタン23Eは、局部洗浄の停止後に、洗浄水で濡れた人体局部に温風を送って乾燥させるためのボタンである。温風機能(乾燥機能)を備えない場合、乾燥ボタン23Eは省略可能である。
【0053】
衛生洗浄調整ボタン24A〜24D(特に区別しない場合、ボタン24と呼ぶ)は、衛生洗浄時の洗浄水の噴射方法等を調整するためのボタンである。ムーブボタン24Aは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水が人体局部に当たる位置を周期的に変化させるためのボタンである。マッサージボタン24Bは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水によって人体局部をマッサージさせるためのボタンである。水勢(強)ボタン24C,水勢(弱)ボタン24Dは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水の水勢を調節するためのボタンである。なお、ムーブ機能やマッサージ機能を備えない場合、ボタン24A,24Bを省略可能である。
【0054】
ノズル掃除ボタン25Aは、ノズル本体101をボール部内に伸長させることにより、利用者が手作業でノズル本体101を清掃できるようにするためのボタンである。タイマ節電ボタン25Bは、タイマ節電機能を働かせるためのボタンである。タイマ節電機能では、利用者が予め設定した時刻になると、洗浄水や便座12の保温機能等を停止させて省電力モード(節電モード)に移行させる。お任せ節電ボタン25Cは、お任せ節電機能を働かせるためのボタンである。お任せ節電機能では、過去の利用履歴に基づいて、利用頻度の少ない時間帯を予測し、利用頻度の少ない時間帯が到来した場合には省電力モードに移行させる。
【0055】
その他のボタン26A〜26Dは、例えば、温風温度、便座温度、洗浄水温度、洗浄水が人体局部に当たる位置等を調整するためのボタンである。
【0056】
図5は、トイレ10の制御構造を示すブロック図である。ケーシング14内には、制御部300が設けられている。制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)310と、RAM(Random Access Memory)320と、ROM(Read Only Memory)330と、タイマ340と、入出力インターフェース350とを備えて構成され、これら各部310〜350はバス360によって接続されている。
【0057】
CPU310は、ROM330に格納されたマイクロプログラムを読み出して実行することにより、トイレ10の各機能(例えば、衛生洗浄機能やノズル洗浄機能等)をそれぞれ実現する。RAM320には、制御用の一時的な情報が記憶される。ROM330には、トイレ10の各機能を実現させるための各種マイクロプログラムが記憶される。タイマ340は、現在時刻を出力する。入出力インターフェース350は、制御部300と、リモートコントローラ20及び各センサ30,31等とを接続する。
【0058】
リモートコントローラ20は、例えば、上述の表示部21及び入力部(ボタン)22〜26と、制御部27と、通信部28とを備えて構成される。利用者がリモートコントローラ20を介して入力した指示内容は、通信部28から制御部300に通知される。
【0059】
衛生洗浄装置100の詳細は図6と共に後述する。吐水装置200は、便器本体11のボール部内に洗浄水を吐出させるための装置である。便座・便蓋開閉装置210は、便座12及び便蓋13を自動的に開閉させるための装置である。便座ヒータ220は、便座12の表面温度を利用者の指定した温度に保持するための装置である。乾燥装置230は、人体局部に向けて温風を送り出すための装置である。脱臭装置240は、排泄時の臭いを除去するための装置である。
【0060】
図6は、衛生洗浄装置100の構成を模式的に示す説明図である。図6には、衛生洗浄装置100の洗浄水供給構造及びノズル機構が示されている。先に洗浄水供給構造から説明する。
【0061】
洗浄水供給構造は、図1中の洗浄水供給手段2Bに対応するもので、例えば、給水ホース110と、分岐部111と、バルブユニット112と、熱交換ユニット113と、流調ユニット114と、脈動装置ユニット115とを備えて構成される。
【0062】
分岐部111は、給水ホース110から給水された洗浄水をロータンク15及びバルブユニット112にそれぞれ供給させるための分岐金具のように構成される。バルブユニット112は、衛生洗浄用の洗浄水の圧力を調整等するものである。熱交換ユニット113は、洗浄水を所定温度まで加熱するものである。流調ユニット114は、流路を切り替えることにより、ノズル本体101または洗浄室103のいずれかに洗浄水を供給し、また、水勢を調節するものである。脈動装置ユニット115は、ノズル本体101側に供給される洗浄水を所定圧まで加圧するものである。
【0063】
次に、ノズル機構を説明する。ノズル機構は、例えば、複数の噴射孔102A,102Bが形成されたノズル本体101と、洗浄室103と、ノズルモータ120と、駆動プーリ121と、従動プーリ122,122と、タイミングベルト123と、テンショナ124と、ラッチ部125と、流路切替弁126とを備えて構成される。
【0064】
ノズル本体101は、図1中のノズル本体2Aに対応するもので、図1と共に述べたように、便器本体11のボール部に臨むようにして、伸縮可能に設けられている。また、ノズル本体101には、各噴射孔102A,102Bにそれぞれ連通する流路が形成されており、これら流路には脈動装置ユニット115からの洗浄水が供給される。
【0065】
洗浄室103は、図1中の洗浄室2Dに対応するもので、上述のように、ケーシング14の前部に位置して、ノズル本体101の外側を覆うように設けられている。洗浄室103は、ノズル本体101が移動可能に挿通される挿通部と、洗浄室103内に噴射された洗浄水をボール部に落下させるための開口部とを備えている。従って、ノズル本体101と直交する方向の洗浄室103の断面は、下向きの略コ字状ないし略C字状をなす。洗浄室103は、流路104を介して流調ユニット114に接続されている。流調ユニット114から流路104を介して供給された洗浄水は、洗浄室103内に噴射される。
【0066】
ノズル本体101の途中には、洗浄室103の後側に位置して、ラッチ部125が設けられている。ノズル本体101は、ラッチ部125によってタイミングベルト123に固定されている。タイミングベルト123は、駆動プーリ121及び各従動プーリ122,122に巻回されており、ノズルモータ120の回転力によって右回りまたは左回りのいずれかの方向に移動する。タイミングベルト123が右回りに移動することにより、ノズル本体101は、後方向に移動する。タイミングベルト123が左回りに移動することにより、ノズル本体101は前方向に移動する。タイミングベルト123の張力は、テンショナ124により適切な値に調整される。
【0067】
流路切替弁126は、各噴射孔102A,102Aのいずれか一方または両方を選択して洗浄水を供給するための弁である。流路切替弁126は、ノズル本体101と脈動装置ユニット115との間に位置して、ノズル本体101の後部に設けられている。
【0068】
図1と共に述べたように、ノズル本体101は、例えば、便座12の後部にノズル本体101の先端側を退避させる縮退位置(第1位置)と、ノズル本体101の先端側をボール部内に伸長させる伸長位置(第2位置)との少なくとも二点間で移動する。伸長位置は、リモートコントローラ20を操作することにより、調節することができる。ノズル本体101が縮退位置にある場合、各噴射孔102A,102Bは洗浄室103内にそれぞれ位置する。ノズル本体101が伸長位置にある場合、各噴射孔102A,102Bは洗浄室103の外部に位置する。
【0069】
図7は、ノズル本体101が縮退位置にある場合の斜視図である。図7には、ノズル本体101の先端側が拡大して示されている。図7に示すように、ノズル本体101が縮退位置に後退している場合、各噴射孔102A,102Bは、洗浄室103内にそれぞれ位置する。従って、各噴射孔102A,102Bから洗浄水をそれぞれ噴射させると、この洗浄水は、洗浄室103の内壁に衝突して跳ね返り、ノズル本体101の周面に種々の方向から衝突する。ノズル本体101の先端側の汚れを除去した洗浄水は、洗浄室103の下面側からボール部内に落下する。
【0070】
図8は、ノズル本体101が縮退位置と伸長位置との間で移動する様子を示す斜視図である。ノズル本体101は、洗浄室103内を介して、前後方向に移動する。従って、ノズル本体101が移動している間、ノズル洗浄用の流路104から洗浄水を噴射させることにより、ノズル本体101の胴部を洗浄することができる。そして、本実施例では、ノズル本体101が縮退位置に後退する場合の後退速度をV1またはV2(V2<V1)のいいずれかに切り替えることにより、ノズル洗浄能力を制御する。
【0071】
図9は、通常時のノズル洗浄処理を示すフローチャートである。通常時のノズル洗浄処理では、以下に述べるように、衛生洗浄と連携してノズル本体101を洗浄する。制御部300は、着座センサ30からの信号に基づいて、利用者が便座12に着座したか否かを判定する(S10)。
【0072】
利用者が便座12に着座したと判定した場合(S10:YES)、制御部300は、ノズル本体101を縮退位置に待機させた状態で、各噴射孔102A,102Bから洗浄水を数秒間〜十数秒間程度それぞれ噴射させながら、熱交換ユニット113により温水を準備し、準備した温水を保温する(S11)。
【0073】
制御部300は、リモートコントローラ20から衛生洗浄の開始が指示されると(S12:YES)、衛生洗浄を開始する前に、まず最初に、ノズル洗浄工程のうち噴射孔洗浄工程を実行させる(S13)。噴射孔洗浄工程では、ノズル本体101を縮退位置に後退させて各噴射孔102A,102Bを洗浄室103内に収容した状態で、各噴射孔102A,102Bからそれぞれ洗浄水を噴射させる。
【0074】
噴射孔洗浄工程が終了した後、制御部300は、ノズルモータ120を前進方向に回転させてノズル本体101を伸長位置まで伸長させる。伸長位置は、利用者によって調節可能である。ノズル本体101は、洗浄室103を通って、縮退位置から伸長位置まで伸長する。
【0075】
制御部300は、ノズル本体101を伸長させながら、ノズル洗浄工程の一部を構成する胴部洗浄工程を実行させる(S14)。即ち、制御部300は、流調ユニット114内の流路を切り替えて、洗浄水をノズル洗浄用流路104に供給させる。これにより、ボール部内に向けて伸長していくノズル本体101の胴部を、洗浄室103内において洗浄することができる。胴部洗浄工程によって洗浄される範囲は、ノズル本体101の先端側から、ノズル本体101が所定の伸長位置に到達した場合において洗浄室103内に位置する部分までである。S14に示す胴部洗浄工程は、ノズル本体101を縮退位置から伸長位置まで進出させる場合に実行されるものであり、例えば、伸長時洗浄工程等と呼ぶこともできる。
【0076】
ノズル本体101の先端側が所定の伸長位置に到達すると、制御部300は、各噴射孔102A,102Bのうち利用者によって選択された噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、衛生洗浄を実行する(S15)。
【0077】
利用者は、予め設定されている時間だけ衛生洗浄を行うことができるほか、リモートコントローラ20の停止ボタン23Aを操作するまでの間、衛生洗浄を行うこともできる。また、後述のように、利用者はリモートコントローラ20を操作することにより、最初に選択した局部洗浄モードとは別の局部洗浄モードを選択可能である。衛生洗浄が終了するまで、選択された噴射孔から人体局部に向けて洗浄水が噴射される(S15,S16)。
【0078】
衛生洗浄が自動的にまたは手動操作により終了すると(S16:YES)、制御部300は、再び胴部洗浄工程を実行する(S17)。即ち、制御部300は、ノズルモータ120を後進方向に回転させながら、ノズル洗浄用流路104に洗浄水を供給する。これにより、ノズル本体101は、伸長位置から縮退位置まで後退しながら、その胴部周面が洗浄室103内で洗浄される。S17に示す胴部洗浄工程は、ノズル本体101を伸長位置から縮退位置まで後退させる場合に実行されるものであり、例えば、後退時洗浄工程等と呼ぶこともできる。そして、ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、制御部300は、再び噴射孔洗浄工程を実行する(S18)。
【0079】
このように、通常のノズル洗浄処理では、衛生洗浄の開始前及び終了後に、ノズル本体101をそれぞれ洗浄する。これにより、ノズル本体101を自動的に洗浄してから衛生洗浄を行うことができ、ノズル本体101を自動的に洗浄した後で、待機させることができるようになっている。
【0080】
しかしながら、衛生洗浄後にノズル本体101を洗浄しても、ノズル本体101に付着した全ての汚物等を完全に除去できるとは限らず、僅かな汚物等がノズル本体101に付着したままになる場合がある。ノズル本体101に付着した汚物等は、時間の経過によりノズル本体101に固着し、ノズル本体101が汚れたままの状態となり得る。このような事態を防止するために、例えば、定期的に洗浄水をノズル本体101に吹き付けることも考えられる。しかし、この場合には、トイレ10の利用有無(衛生洗浄の有無)を問わずに、洗浄水が機械的に定期的に噴射されるため、洗浄水を無駄に消費する。
【0081】
そこで、本発明では、以下に述べるように、衛生洗浄後にノズル本体101を後退させる場合、ノズル本体101の後退速度をV2に低下させることにより、ノズル本体101の洗浄時間を長くする。これにより、ノズル本体101に噴射される洗浄水の積算流量を増大せしめ、後退時洗浄工程の洗浄能力を高めて、ノズル本体101に付着した汚物等を取り除くようになっている。
【0082】
図10は、局部洗浄モードを切り替える場合の処理を示すフローチャートである。制御部300は、衛生洗浄(局部洗浄)が実行中であるか否かを判定する(S20)。衛生洗浄が実行中の場合(S20:YES)、制御部300は、リモートコントローラ20のスイッチが操作されたか否かを判定する(S21)。
【0083】
ここで、S21では、図4中に示すスイッチ23A〜23Eのいずれが操作されたか否かを判定する。即ち、局部洗浄モードの切り替えに際してノズル本体101の移動を伴うスイッチ23A〜23Eについて操作の有無を検出する。これ以外のスイッチ、即ち、例えば、スイッチ24A〜24D等は、ノズル本体101の進退を伴わずにモードを切り替え可能であるため、S21で判定する必要はない。
【0084】
ノズル本体101の進退動作を伴う所定のスイッチ23A〜23Eのいずれかが操作された場合(S21:YES)、制御部300は、利用者により操作されたスイッチの種類に応じて、洗浄時間を制御する。
【0085】
リモートコントローラ20から入力された信号が停止スイッチ23Aに対応する信号の場合、制御部300は、ノズル本体101を第2後退速度V2を選択し、ノズル本体101を速度V2でゆっくり後退させる(S30)。制御部300は、ノズル本体101を速度V2で後退させながら胴部洗浄工程(後退時洗浄工程)を実行させる(S31)。ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、噴射孔洗浄工程(後洗浄)が行われ(S32)、本処理が終了する。
【0086】
停止スイッチ23Aが操作された場合は局部洗浄の終了を意味し、別の局部洗浄モードに切り替えるわけではないため、ノズル本体101の洗浄に通常以上の時間をかけても何ら不都合は生じない。そこで、制御部300は、ノズル本体101を比較的遅い速度V2で後退させながら、ノズル本体101を洗浄し、付着した汚物等を除去する。
【0087】
これに対し、利用者が停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23E以外の他のスイッチ23B〜23Dのいずれかを操作した場合、制御部300は、第1後退速度V1(V1>V2)を選択し、ノズル本体101をV2の場合よりも速く後退させる(S40)。制御部300は、ノズル本体101を速度V1で後退させながら胴部洗浄工程を行い(S41)、ノズル本体101が縮退位置に到達した場合は噴射孔洗浄工程を実行する(S42)。このようにして、ノズル本体101を洗浄した後、制御部300は、再びノズル本体101を縮退位置から伸長位置まで移動させ(S43)、S21で利用者が選択した局部洗浄を実行する(S44)。
【0088】
例えば、利用者がお尻洗浄の途中でビデ洗浄に切り替えた場合あるいはその逆、または、お尻洗浄から「やわらか洗浄」に切り替えたような場合等には、ノズル本体101をいったん洗浄して初期状態に戻してから、新たな洗浄態様(局部洗浄モード)を改めて実行する。従って、局部洗浄モードを停止させるだけの場合とは異なり、現在実行中の局部洗浄モードを停止させ、ノズル本体101を洗浄してから、別の局部洗浄モードに移行させる必要がある。このため、ノズル本体101の進退動作を伴う局部洗浄モードを行う場合、即ち、ノズル本体101の初期状態を経由して局部洗浄モードを移行させる場合、制御部300は、ノズル本体101を比較的速い速度V1で後退させて、通常の後退時洗浄を行うようになっている。
【0089】
さて、利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合、制御部300は、第2後退速度V2を選択して(S50)、ノズル本体101をゆっくり後退させながら胴部洗浄工程を実行する(S51)。制御部300は、ノズル本体101が縮退位置に達すると、噴射孔洗浄工程を実行する(S52)。そして、制御部300は、温風生成装置によって生成された温風を人体局部に向けて供給する(S53)。温風生成装置は、例えば、ヒーター等の加熱装置とファン等の送風装置等から構成される。なお、図10中では、ノズル本体101の洗浄を完了させてから温風を出力する場合を示しているが、これに限らず、ノズル本体101の洗浄中に温風を出力させてもよい。
【0090】
利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合は、現在実行中の局部洗浄の利用が終了したことを意味するため、制御部300は、局部洗浄を停止させて温風を出力する。従って、停止スイッチ23Aが操作された場合と同様に、乾燥スイッチ23Eの操作は、現在利用中の局部洗浄の終了を意味し、洗浄時間を長くしても利用者に不都合はない。そこで、上述のように、制御部300は、比較的遅い速度V2でノズル本体101の胴部洗浄工程を実行し、ノズル本体101に付着した汚物等を除去させる。
【0091】
このように、本実施例では、利用者によるリモートコントローラ20の操作に応じて、ノズル本体101の洗浄時間を変えるため、衛生洗浄装置の利用形態に応じてノズル洗浄能力を変えることができる。
【0092】
特に、局部洗浄が終わった場合は、ノズル本体101を比較的遅い速度V2で後退させながら胴部洗浄工程を実行するため、ノズル本体101に洗浄水を吹き付ける時間を長くすることができ、洗浄水の積算流量を増加させて、ノズル本体101を十分に洗浄させることができる。
【実施例2】
【0093】
図11に基づいて本発明の第2実施例を説明する。本実施例では、停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23Eのいずれかが操作された場合、ノズル本体101を所定位置まで速やかに後退させつつ胴部を洗浄し、次に、ノズル本体101をゆっくりと後退させながら洗浄する。
【0094】
図11は、本実施例によるモード切替処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、図10に示すフローチャートと共通するステップを備えるため、重複した説明を割愛し、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。なお、本実施例で追加されたステップを太線で示す。
【0095】
利用者がリモートコントローラ20を介して停止スイッチ23Aを操作した場合(S22:停止スイッチ)、制御部300は、第1後退速度V1を選択してノズル本体101を速やかに後退させながら、胴部洗浄工程を実行させる(S33)。制御部300は、ノズル本体101が所定位置まで後退したか否かを判定しており(S34)、ノズル本体101が所定位置に達するまで(S34:NO)、第1後退速度V1でノズル本体101を速やかに後退させつつ洗浄室103内で洗浄水を噴射させる。
【0096】
ここで、所定位置とは、ノズル本体101の全長の約1/3程度が後退した位置として設定することができる。即ち、ノズル本体101の基端側から1/3程度の範囲は、ノズル本体101の前側に比べると汚れが少ないため、基端側から1/3程度の範囲は速度V1による通常の胴部洗浄を実施する。
【0097】
ノズル本体101の基端側を始点とし、先端側を終点としてノズル本体101の全長を百分率で表現した場合、例えば、0%(基端側)〜30%程度の範囲は、速度V1での胴部洗浄工程が実施される。そして、例えば、30%〜100%(先端側)の範囲は、より遅い速度V2での胴部洗浄工程が実施される。速度V1は速度V2よりも高速であるため、速度V1での胴部洗浄を高速胴部洗浄と、速度V2での胴部洗浄を低速胴部洗浄と、それぞれ言い換えることもできる。
【0098】
なお、上記数値範囲は一例であって、本発明はこれに限らず、例えば、0%〜50%の範囲を高速胴部洗浄(V1)し、50%〜100%の範囲を低速胴部洗浄(V2)するように構成してもよい。高速胴部洗浄を行う範囲が広がるほど、ノズル本体101の洗浄時間は短縮される。また、利用者による利用状態等に基づいて、高速胴部洗浄を行う範囲(または低速胴部洗浄を行う範囲)を制御する構成としてもよい。例えば、ビデ洗浄が停止された場合は、ノズル本体101の汚れが比較的少ないと判定し、高速胴部洗浄の範囲を広げたりすることも可能である。
【0099】
上記同様に、利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合も(S22:乾燥スイッチ)、制御部300は、所定位置に達するまでノズル本体101を速度V1で速やかに後退させながら、胴部洗浄工程を実行する(S54,S55)。
【0100】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。これに加えて、本実施例では、比較的汚れにくい基端側の所定範囲には高速胴部洗浄工程を適用し、比較的汚れやすい先端側には低速胴部洗浄工程を適用する。従って、比較的汚れやすい範囲に多くの洗浄水を使用して効率的に洗浄することができる。
【実施例3】
【0101】
図12に基づいて本発明の第3実施例を説明する。本実施例では、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で往復移動させながら、ノズル本体101の先端側に洗浄水を吹き付けることにより、ノズル本体101の先端側を念入りに洗浄する。
【0102】
図12は、本実施例によるモード切替処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、図11で述べたフローチャートと共通のステップを備えるため、重複した説明を割愛し、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。
【0103】
本実施例でも、局部洗浄の実行中に、利用者が停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23Eのいずれかを操作した場合、制御部300は、ノズル本体101が所定値に達するまで高速胴部洗浄を行い(S33,S34,S54,S55)、それから先は低速胴部洗浄を行う(S30,S31,S50,S51)。
【0104】
そして、ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、制御部300は、噴射孔洗浄工程を行う(S32,S52)。さらに、制御部300は、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で僅かに前後に往復移動させつつ、ノズル本体101に向けて洗浄水を吹き付けたり、及び/または、各噴射孔102A,102Bから洗浄水を吐出させる(S35,S56)。
【0105】
例えば、制御部300は、ノズル本体101の先端側が洗浄室103の外部に飛び出ない範囲内で、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で前後に繰り返し微少変位させながら洗浄する。この往復移動により、ノズル本体101の先端側には、低速胴部洗浄の場合よりも、種々の方向から洗浄水が衝突し、洗浄室103内の洗浄水圧力も変動するため、より一層効果的に汚物等が除去される。
【0106】
なお、洗浄室103内でノズル本体101の先端側を往復移動させる範囲や往復移動の周波数、往復移動回数等は、例えば、利用者の利用状態等に基づいて適宜制御することができる。
【0107】
上述したS35,S56のノズル洗浄動作は、例えば、洗浄室内往復洗浄工程等と呼ぶことができる。なお、S32とS35、S52とS56をそれぞれ別々のステップで構成する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、噴射孔洗浄工程と洗浄室内往復洗浄工程とを統合することもできる。この場合、S32,S52は、図12に示すフローチャートから取り除かれる。
【0108】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、前記第3実施例では、第2実施例に適用する場合を述べたが、第1実施例に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図。
【図2】衛生洗浄装置が適用されるトイレの外観図。
【図3】温水洗浄便座の外観図。
【図4】リモートコントローラの正面図。
【図5】衛生洗浄装置を備えるトイレのブロック図。
【図6】衛生洗浄装置の洗浄水供給構造及びノズル機構の説明図。
【図7】噴射孔洗浄を行う様子を示す拡大斜視図。
【図8】胴部洗浄を行う様子を示す拡大斜視図。
【図9】トイレの利用履歴を管理するテーブルの説明図。
【図10】トイレの利用履歴を管理する処理のフローチャート。
【図11】衛生洗浄の前後でノズルを洗浄する処理を示すフローチャート。
【図12】自動的にノズル洗浄を実行するフローチャート。
【符号の説明】
【0110】
1…衛生洗浄装置、2…ノズル装置、2A…ノズル本体、2A1,2A2…噴射孔、2A3,2A4…流路、2B…洗浄水供給手段、2C…ノズル駆動手段、2D…洗浄室、3…操作手段、4…衛生洗浄制御手段、5…ノズル洗浄制御手段、10…トイレ、11…便器本体、12…便座、13…便蓋、14…ケーシング、15…ロータンク、20…リモートコントローラ、21…表示部、22〜26…ボタン(入力部)、27…制御部、28…通信部、30…着座センサ、31…人体検知センサ、100…衛生洗浄装置、101…ノズル本体、102A,102A…噴射孔、103…洗浄室、104…ノズル洗浄用流路、110…給水ホース、111…分岐部、112…バルブユニット、113…熱交換ユニット、114…流調ユニット、115…脈動装置ユニット、120…ノズルモータ、121…駆動プーリ、122,122…従動プーリ、123…タイミングベルト、124…テンショナ、125…ラッチ部、126…流路切替弁、200…吐水装置、210…便座・便蓋開閉装置、220…便座ヒータ、230…乾燥装置、240…脱臭装置、300…制御部、310…CPU、320…RAM、330…ROM、340…タイマ、350…入出力インターフェース、360…バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに設けられ、人体の局部を洗浄可能な衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体局部に洗浄水を噴射して洗浄する衛生洗浄装置では、例えば、水垢や汚物等がノズルに付着することがある。そこで、衛生洗浄の開始時及び終了時に、ノズルの表面に洗浄水を噴射させて汚物等を取り除く技術が提案されている(特許文献1)。また、ノズルの表面に定期的に洗浄水を吹き付けてノズルを常時濡れた状態に保持し、衛生洗浄時に汚物等がノズル表面に付着するのを防止する技術も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特許第2878460号明細書
【特許文献2】特開2003−293431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
衛生洗浄の開始時及び終了時にノズルを洗浄する第1の従来技術では、利用者が衛生洗浄を利用する前、及び、利用者が衛生洗浄を終えた後の両方で、ノズルを洗浄するため、ノズルに汚物等が付着するのを抑制することができる。しかし、衛生洗浄の前後に実行されるノズル洗浄だけでは、ノズルに付着した便や水垢等の汚物等を除去できない場合もある。ノズルに汚物等が固着した場合、利用者はノズルを手動で洗浄しなければならず、ノズル清掃の手間がかかり、使い勝手が低い。
【0004】
ノズル表面を常時濡れた状態に保持する第2の従来技術では、定期的に洗浄水をノズルに吹き付けるため、無駄に洗浄水を噴射することも多く、洗浄水や電気を浪費する可能性がある。即ち、この第2の従来技術では、例えば、平日の出勤時や就寝直前等のように衛生洗浄装置の利用頻度が比較的高い時間帯、あるいは、衛生洗浄装置の使用直後であっても、定期的に洗浄水がノズルに噴射される。従って、無駄に洗浄水が噴射される場合が多く、衛生洗浄装置の維持コストが増大する。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ノズルを洗浄する性能を改善することにより、ノズル清掃の手間を軽減できるようにした衛生洗浄装置を提供することにある。本発明の他の目的は、ノズルの後退及び再伸長を伴って局部洗浄モードを切り替える場合は通常の性能でノズルを洗浄し、局部洗浄モードを停止させる場合は改善された性能でノズルを洗浄することにより、ノズルを清潔に保ち、ノズル清掃の手間を軽減できるようにした衛生洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、利用者から入力される指示に基づいて、ノズルに設けられた噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、局部洗浄モードに関する複数の動作が選択可能であり、選択された動作に応じた複数の信号を出力する操作手段と、ノズルを洗浄するノズル洗浄手段と、操作手段から受信する信号に応じて、ノズル洗浄手段によるノズルの洗浄時間を制御するノズル洗浄制御手段と、を備える。
【0007】
かかる衛生洗浄装置では、利用者が操作手段を介して局部洗浄を指示すると、ノズルの噴射孔から人体局部に向けて洗浄水が噴射され、局部が洗浄される。ノズルから噴射された洗浄水は、利用者の人体局部に付着した便等を洗い流して、便器本体のボール部に落下する。
【0008】
操作手段は、例えば、衛生洗浄装置に一体的に設けられた操作パネル等のように構成してもよいし、また例えば、リモートコントローラのように衛生洗浄装置とは別体の装置として構成してもよい。局部洗浄モードとは、人体局部を洗浄するための制御動作を意味し、例えば、「お尻洗浄」や「ビデ洗浄」等を挙げることができる。なお、これら以外に、例えば、お尻を柔らかい水流で洗浄する局部洗浄モード等を挙げることもできる。操作手段には、複数の局部洗浄モードにそれぞれ対応した操作スイッチや局部洗浄を停止させるスイッチ等が配置されている。ノズル洗浄制御手段は、ノズルの洗浄を制御するもので、操作手段から受信した信号に基づいてノズルの洗浄時間を制御する。従って、この衛生洗浄装置は、操作手段からの信号に応じてノズルの洗浄時間を適切に制御可能であり、利用者によるノズル清掃作業の手間を低減させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、請求項1において、ノズル洗浄手段は、ノズル洗浄制御手段により制御される移動速度でノズルを移動させながら該ノズルの外側から洗浄水を吹き付けることによりノズルを洗浄可能となっており、ノズル洗浄制御手段は、操作手段から受信した信号に応じてノズルの移動速度を制御することにより、ノズル洗浄手段によるノズルの洗浄時間を制御する。
【0010】
ノズルの移動速度をより遅くすると、ノズルに洗浄水が吹き付けられる時間、即ち、ノズルの洗浄時間が長くなり、ノズル洗浄に使用される洗浄水の量も増大する。ノズル洗浄時間が長くなるほど、ノズルに付着した汚物等を除去する可能性が高まる。ここで、ノズルの移動速度としては、請求項8に示すように、ノズルを後退させる場合の後退速度を挙げることができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、請求項2において、ノズル洗浄制御手段は、操作手段から第1種類の信号を受信した場合は第1移動速度を設定し、操作手段から第2種類の信号を受信した場合は第1移動速度よりも遅い第2移動速度を設定するようになっており、かつ、第1種類の信号は、複数の局部洗浄モード間における局部洗浄モードの切替を要求する信号であり、第2種類の信号は実行中の局部洗浄の停止を要求する信号である。
【0012】
例えば、利用者がお尻洗浄からビデ洗浄への切り替えを指示した場合のように、局部洗浄モードの切替が操作手段から要求された場合、ノズル洗浄制御手段は、第1移動速度を選択する。これにより、第2移動速度を選択する場合に比べて、ノズルの洗浄時間を短縮することができ、局部洗浄モードを速やかに切り替えることができる。これに対し、例えば、利用者がお尻洗浄やビデ洗浄の終了を希望した場合のように、第2種類の信号が操作手段から出力されると、ノズル洗浄制御手段は、第1移動速度よりも遅い第2移動速度を選択する。これにより、ノズルの洗浄時間を長くすることができ、ノズルから汚物等を除去する可能性を高めることができる。
【0013】
つまり、かかる衛生洗浄装置では、局部洗浄を終了した場合にのみ、ノズルに噴射される洗浄水の積算流量を増加させて、ノズル洗浄能力を高めることができる。これにより、ノズルを丁寧に洗浄してから収容することができ、汚物等がノズルに固着するのを防止することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項3において、第1種類の信号は、ノズルをいったん後退させてから再び伸長させることによって局部洗浄モードを切り替えさせるための信号であり、第2種類の信号は、ノズルを後退させて局部洗浄を停止させるための信号である。これにより、例えば、お尻洗浄とビデ洗浄との間で局部洗浄モードを切り替える場合は、第1移動速度でノズルを速く移動させることにより、ノズルの後退時及び最伸長時にノズルを速やかに洗浄することができる。そして、お尻洗浄またはビデ洗浄を停止させる場合は、第2移動速度でノズルを遅く移動させることにより、ノズルの後退時にノズルをゆっくり洗浄することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、請求項4において、第2種類の信号には、操作手段に設けられている停止命令スイッチに対応する信号または操作手段に設けられている乾燥命令スイッチに対応する信号のいずれか又は両方が含まれる。
【0016】
停止命令スイッチは、現在実行中の局部洗浄を停止させるためのスイッチである。乾燥命令スイッチは、現在実行中の局部洗浄を停止させ、その後、温風を人体局部に吹き付けて乾燥させるためのスイッチである。いずれの場合も、実行中の局部洗浄を停止させるものであり、また、停止後に別の局部洗浄を行うものではない。従って、ノズルを比較的遅い第2移動速度で移動させても、利用者に不便を与えることがなく、比較的長い洗浄時間をかけてノズルを洗浄することができる。
【0017】
請求項6に係る発明では、請求項3〜5のいずれかにおいて、ノズル洗浄制御手段は、第2種類の信号を受信した場合、ノズルを第1移動速度で所定位置まで移動させた後で、第2移動速度に切り替える。即ち、ノズル洗浄制御手段は、比較的速い第1移動速度でノズルを所定位置まで速やかに移動させた後、比較的遅い第2移動速度に切り替えてノズルをゆっくりと移動させる。ここで、所定位置は、例えば、ノズル洗浄手段によるノズル洗浄が有効に機能し始める位置、または、ノズルの汚れやすい位置と汚れにくい位置との境界付近として定義可能である。汚れやすい位置まで速やかにノズルを移動させることにより、ノズルの汚れやすい領域に噴射される洗浄水の量を増大させて汚物等を効果的に除去することができ、ノズル洗浄に要する時間を短縮することができる。
【0018】
請求項7に係る発明では、請求項3〜5のいずれかにおいて、ノズル洗浄手段は、ノズルを覆うようにして設けられ、ノズルが移動可能に挿通される洗浄室と、この洗浄室内に洗浄水を噴射させるノズル洗浄用流路と、ノズルを前進または後進させるノズル駆動手段とを備えて構成し、ノズル洗浄制御手段は、第2種類の信号を受信した場合、洗浄室内でノズルを往復動作させつつノズル洗浄用流路から洗浄水を噴射させることにより、ノズルを洗浄する。
【0019】
かかる衛生洗浄装置では、第2種類の信号が操作手段から出力されると、ノズルを洗浄室内で往復動作させながら洗浄水を繰り返し吹き付けることができる。これにより、洗浄水がノズルに衝突する方向や勢いを変化させながら、汚れやすいノズル先端部分に噴射される洗浄水の積算流量を増大させることができ、より一層効果的にノズルに付着した汚物等を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、操作手段3から入力される信号に基づいて局部洗浄からノズル洗浄に切り替える衛生洗浄装置1において、操作手段3から入力される信号の種類に応じてノズル洗浄能力を制御する。これにより、局部洗浄後には、ノズルを清潔に清掃してから待機させることができ、ノズルに汚物等が付着するのを防止して、利用者による清掃作業の軽減を図っている。
【0021】
図1は、本実施形態に係る衛生洗浄装置1の概要を模式的に示す説明図である。衛生洗浄装置1は、後述の実施例からも明らかとなるように、トイレの便器本体に取り付けられるもので、利用者の人体局部を洗浄する。
【0022】
衛生洗浄装置1は、それぞれ後述するように、例えば、ノズル装置2と、操作手段3と、衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備えて構成される。
【0023】
ノズル装置2は、例えば、ノズル本体2Aと、洗浄水供給手段2Bと、ノズル駆動手段2Cと、洗浄室2Dとを備えて構成される。ノズル装置2は、ノズル洗浄制御手段5または衛生洗浄制御手段4から入力される制御信号に従ってノズル本体2A等を動作させ、ノズルの洗浄や人体局部の洗浄(衛生洗浄)を行う。
【0024】
ノズル本体2Aは、例えば、便座の後部から便器本体のボール部に臨むようにして設けられている。ボール部に臨むノズル本体2Aの先端側には、複数の噴射孔2A1,2A2がそれぞれ設けられている。ノズル本体2Aの内部には、各噴射孔2A1,2A2にそれぞれ連通する流路2A3,2A4が形成されている。一方の流路2A3は一方の噴射孔2A1に連通し、他方の流路2A4は他方の噴射孔2A2に連通している。
【0025】
洗浄水供給手段2Bは、各噴射孔2A1,2A2及び後述の洗浄室2Dに、それぞれ洗浄水を供給するものである。洗浄水供給手段2Bは、後述の実施例からも明らかとなるように、例えば、洗浄水を加熱する機能、洗浄水を加圧する機能、水勢を調節する機能と、流路を切り替える機能等を含んで構成することができる。
【0026】
洗浄水供給手段2Bからノズル本体2Aに供給された洗浄水は、流路2A3,2A4を介して噴射孔2A1,2A2から噴射される。流路2A3が選択された場合、洗浄水は噴射孔2A1から噴射される。流路2A4が選択された場合、洗浄水は噴射孔2A2から噴射される。また、流路2A3及び2A4の両方が選択された場合、洗浄水は各噴射孔2A1,2A2からそれぞれ噴射される。
【0027】
ノズル駆動手段2Cは、ノズル本体2Aを伸縮動作させるものである。ノズル駆動手段2Cは、後述の実施例からも明らかとなるように、例えば、駆動モータやプーリ、ベルト、ラッチ等から構成可能である。これに限らず、例えば、リニアモータ等の他の機構を用いることもできる。ノズル駆動手段2Cによって、ノズル本体2Aは、矢示F方向またはR方向のいずれかに移動する。矢示F方向は、便器本体のボール部内に向かう方向であり、前方向とも呼ぶ。矢示R方向は、ボール部と反対側の便座後部に向かう方向であり、後方向とも呼ぶ。
【0028】
洗浄室2Dは、ノズル本体2Aを洗浄するためのものであり、洗浄水供給手段2B及びノズル駆動手段2Cと共に「ノズル洗浄手段」を構成する。洗浄室2Dは、ノズル本体2Aと相対移動可能に設けられており、便器本体のボール部に対向する面には、開口部が形成されている。また、洗浄室2Dの前後方向(矢示F,R方向)には、ノズル本体2Aが移動可能に挿通される挿通部が形成されている。
【0029】
洗浄室2Dは、例えば、便座の後部側に位置して、ノズル本体2Aの外側を覆うようにして設けられている。ノズル本体2Aは、ノズル駆動手段2Cにより、洗浄室2Dを通って前後方向に移動する。洗浄室2Dには、洗浄水供給手段2Bから洗浄水が供給されるようになっており、この洗浄水は、洗浄室2D内において、ノズル本体2Aの表面に噴射される。
【0030】
ノズル本体2Aは、例えば、便座後部に退避する縮退位置(第1位置)とボール部内に延びる伸長位置(第2位置)との間で移動する。伸長位置は、利用者の好みによって調節可能である。ノズル本体2Aが縮退位置にある場合、各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2D内にそれぞれ位置する。ノズル本体2Aが伸長位置にある場合、各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2Dの外部に位置する。
【0031】
以上が衛生洗浄装置1の機械系構造である。次に、衛生洗浄装置1の制御系構造を説明する。制御系構造は、例えば、操作手段3,衛生洗浄制御手段4及びノズル洗浄制御手段5を備えて構成される。
【0032】
操作手段3は、利用者が衛生洗浄装置1を作動させるための指示装置であり、例えば、リモートコントローラ等のように構成される。利用者が操作手段3から入力した指示は、電圧信号やコマンドとして、衛生洗浄装置1の衛生洗浄制御手段4やノズル洗浄制御手段5に入力される。なお、操作手段3と衛生洗浄制御手段4等とは、有線または無線で接続することができる。
【0033】
操作手段3には、複数のスイッチ3A,3B,3C,3Dを設けることができる。これら各スイッチ3A〜3Dは、局部洗浄に関連する動作を指示するためのスイッチであり、局部洗浄関連スイッチ等と呼ぶこともできる。各スイッチ3A〜3Dは、例えば、手動操作スイッチとして構成されるが、これに限らず、利用者の発した音声を認識する音声入力装置等のように構成してもよい。
【0034】
スイッチ3Aは、お尻洗浄スイッチである。利用者がスイッチ3Aを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、お尻洗浄を実行する。スイッチ3Bは、ビデ洗浄スイッチである。利用者がスイッチ3Bを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、ビデ洗浄を実行する。スイッチ3Cは、停止スイッチである。利用者がスイッチ3Cを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、現在実行している動作を停止させる。スイッチ3Dは、乾燥スイッチである。利用者がスイッチ3Dを操作することにより、衛生洗浄制御手段4は、現在実行している局部洗浄を停止し、局部に温風を吹き当てて乾燥させる。
【0035】
衛生洗浄制御手段4は、局部洗浄の動作等を制御する。局部洗浄(即ち衛生洗浄)では、利用者の人体局部に洗浄水を噴射して洗浄する。お尻洗浄の場合、衛生洗浄制御手段4は、ノズル本体2Aを便器本体内に伸長させて、お尻洗浄用の噴射孔から洗浄水を噴射させる。同様に、ビデ洗浄の場合、衛生洗浄制御手段4は、ノズル本体2Aを便器本体内に伸長させて、ビデ洗浄用の噴射孔から洗浄水を噴射させる。
【0036】
衛生洗浄制御手段4は、利用者が操作手段3を介して衛生洗浄の実行を指示した場合、ノズル本体2Aを利用者の設定した伸長位置まで移動させ、次に、各噴射孔2A1,2A2のうち利用者の選択した噴射孔から洗浄水を噴射させる。衛生洗浄の開始及び終了はノズル洗浄制御手段5に通知され、後述のように、衛生洗浄と連携するノズル洗浄工程が実行される。
【0037】
ノズル洗浄制御手段5は、ノズル洗浄工程の実行及び停止を制御するものである。ノズル洗浄工程とは、ノズル本体2Aを洗浄するための予め設定された一連の洗浄動作を意味する。ノズル洗浄工程の詳細は後述する。
【0038】
ノズル洗浄制御手段5は、第1後退速度V1及び第2後退速度V2の複数の速度で、ノズル本体2Aを後退させることができる。第1後退速度V1は「第1移動速度」に、第2後退速度V2は「第2移動速度」に、それぞれ対応する。そして、第1後退速度V1よりも第2後退速度V2の方が遅くなるように設定されている。
【0039】
複数の後退速度V1,V2の選択方法については、後述の実施例でさらに詳述する。先に簡単に説明すると、ノズル洗浄制御手段5は、操作手段3から入力された信号の種類に基づいて、各速度V1,V2のいずれかを選択する。ノズル洗浄制御手段5は、選択した速度でノズル本体2Aを後退させながら、洗浄室2D内でノズル本体2Aに洗浄水を吹き付けることにより、ノズル本体2Aの表面を洗浄させる。
【0040】
ノズル洗浄制御手段5は、後述のように、ノズル本体2Aの後退及び再伸長を伴う局部洗浄モードの切替を行う場合、第1後退速度V1を選択する。これにより、速やかに局部洗浄モードを切り替えることができる。これに対し、局部洗浄を停止させる場合、ノズル洗浄制御手段5は、第2後退速度V2を選択する。上述のように、局部洗浄を停止させる場合としては、例えば、利用者が停止スイッチ3Cまたは乾燥スイッチ3Dを操作した場合を挙げることができる。局部洗浄を停止させる場合、即ち、利用者が局部洗浄の利用を終えた場合には、より遅い速度V2でノズル本体2Aを後退させながら洗浄室2D内でノズル本体2Aを洗浄する。ノズル本体2Aの後退速度をV2に低下させることにより、洗浄室2D内をノズル本体2Aが通過する時間、即ち洗浄時間が長くなり、この結果、洗浄室2D内でノズル本体2Aに吹き付けられる洗浄水の積算流量が増大する。従って、ノズル本体2Aにより多くの洗浄水を吹き付けて汚物等を除去することができ、通常以上にノズル本体2Aを清掃した状態で待機させることができる。
【0041】
次に、ノズル洗浄工程を説明する。ノズル洗浄工程は、例えば、胴体洗浄工程と、噴射孔洗浄工程とに大別することができる。胴体洗浄工程とは、ノズル本体2Aを前方向または後方向に移動させながらノズル本体2Aの胴体を洗浄する工程である。胴体洗浄工程では、洗浄室2Dからノズル本体2Aの表面に向けて洗浄水を噴射させる。従って、ノズル本体2Aの外周面のうち、洗浄室2D内を通過する周面には外側から洗浄水が吹き付けられ、その周面に付着している汚物等が除去される。ノズル本体2Aから汚物等を取り除いた洗浄水は、洗浄室2Dの下側の開口部からボール部内に落下する。
【0042】
噴射孔洗浄工程とは、ノズル本体2Aの各噴射孔2A1,2A2及びその近辺を洗浄する工程である。噴射孔洗浄工程では、ノズル本体2Aを縮退位置に位置させて各噴射孔2A1,2A2を洗浄室2D内に収容し、各噴射孔2A1,2A2から洗浄水をそれぞれ噴射させる。この洗浄水によって、各噴射孔2A1,2A2及びその近辺に付着した汚物等が除去される。各噴射孔2A1,2A2は洗浄室2D内に位置しているので、各噴射孔2A1,2A2が便器本体の外側に飛ぶことはない。各噴射孔2A1,2A2から噴射された洗浄水は、洗浄室2Dの内壁に衝突して跳ね返り、洗浄室2D内に位置するノズル本体2Aの周面に様々な方向から衝突する。これにより、各噴射孔2A1,2A2及びその近辺だけでなく、ノズル本体2Aの先端側周面も洗浄される。
【0043】
ノズル洗浄工程では、胴体洗浄工程と噴射孔洗浄工程とがそれぞれ少なくとも一回ずつ実行される。詳細は後述するが、衛生洗浄が行われる際には、噴射孔洗浄工程(前洗浄)→胴体洗浄工程(伸長時洗浄)→衛生洗浄(局部洗浄)→胴体洗浄工程(後退時洗浄)→噴射孔洗浄工程(後洗浄)の順序で、ノズル本体2Aが洗浄される。そして、ノズル本体2Aを後退させながら胴体洗浄工程を実施する後退時洗浄においては、上述のように、操作手段3からの信号に応じて、後退速度V1,V2のいずれかが用いられる。
【0044】
このように、本実施形態の衛生洗浄装置1は、操作手段3からの信号に応じてノズル本体2Aの後退速度をV1またはV2のいずれかに設定し、洗浄室2D内でノズル本体2Aを洗浄する。これにより、利用者の利便性を損なわずに、局部洗浄終了時のノズル洗浄能力を高めることができ、利用者の手作業による清掃作業を軽減して使い勝手を向上させることができる。以下、本実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
図2は、本発明に係る衛生洗浄装置100が適用されるトイレ10の外観を示す外観図である。トイレ10は、例えば、排泄物等を収容するためのボール部が形成された便器本体11と、便器本体11の上面側に開閉可能に取り付けられた便座12と、便座12の上面側に開閉可能に取り付けられた便蓋13と、便器本体11の後部に取り付けられ、内部に後述する洗浄水供給機構や制御部300等が収容されるケーシング14と、ケーシング14の後部上側に設けられたロータンク15等から構成される。そして、利用者は、リモートコントローラ20を介して、衛生洗浄の開始を指示したり、洗浄水の水勢や温度等を設定することができる。
【0046】
図3は、トイレ1の上部構造である温水洗浄便座の外観を示す外観図である。温水洗浄便座は、便器本体11の上部に着脱可能に取り付けることができる。温水洗浄便座は、例えば、便座12と、便蓋13と、ケーシング14等を備えて構成される。温水洗浄便座は、例えば、便座を保温する機能、洗浄水を保温する機能、利用者の人体局部を洗浄する機能、ノズル本体101を洗浄する機能等を実現する。
【0047】
便座12と便蓋13が回動可能に取り付けられているケーシング14の前側には、着座センサ30及び人体検知センサ31がそれぞれ設けられている。着座センサ30は、利用者が便座12に着座したか否かを検出して信号を出力する。人体検知センサ31は、利用者が便座12に着座するよりも前に、利用者の存在を検出して信号を出力する。即ち、人体検知センサ31は、利用者がトイレ10に接近したか否かを検出する。
【0048】
ケーシング14の前部下側には、ノズル本体101が前後方向に移動可能に設けられている。ノズル本体101の先端側には、複数の噴射孔102A,102Bが設けられており、各噴射孔102A,102Bには、給水ホース110からの洗浄水が供給される。洗浄水供給機構及びノズルの詳細はさらに後述する。
【0049】
図4は、リモートコントローラ20の正面図を示す。リモートコントローラ20は、例えば、少なくとも一つの表示部21と、複数の操作ボタン22A〜22D,23A〜23E,24A〜24D,25A〜25C,26A〜26Dとを備えている。
【0050】
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等のようなディスプレイ装置として構成される。表示部21には、例えば、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水の強さ(水勢)や、噴射される洗浄水の方向(洗浄位置)、洗浄水の温度、便座12の温度、節電モードの設定状態等のような各種の情報が適宜表示される。
【0051】
基本操作ボタン22A〜22D(特に区別しない場合、ボタン22と呼ぶ)は、トイレ10の基本的機能を利用するためのボタンである。基本的機能とは、トイレ10を用いて利用者が排泄するための最低限の機能である。洗浄ボタン(大)22Aは、利用者の排泄した大便を洗浄水によって洗い流させるためのボタンである。洗浄ボタン(小)22Bは、利用者の排泄した小便を洗浄水によって洗い流させるためのボタンである。開蓋ボタン22Cは、便蓋13を開いて便座12を露出させるためのボタンである。閉蓋ボタン22Dは、便蓋13を閉じて便座12を覆わせるためのボタンである。なお、大便と小便とでボール部内に供給する洗浄水の量を変えないような場合、洗浄ボタン22Aのみを設ければよい。また、便蓋13を自動的に開閉させる機能を備えない場合、開蓋ボタン22C及び閉蓋ボタン22Dは省略することができる。
【0052】
衛生洗浄ボタン23A〜23E(特に区別しない場合、ボタン23と呼ぶ)は、衛生洗浄を利用するためのボタンである。停止ボタン23Aは、洗浄水の噴射を停止させるためのボタンである。おしりボタン23B及びビデボタン23Cは、人体局部への洗浄水の噴射開始を指示するためのボタンである。やわらかボタン23Dは、お尻洗浄時の水勢を弱くさせるためのボタンである。乾燥ボタン23Eは、局部洗浄の停止後に、洗浄水で濡れた人体局部に温風を送って乾燥させるためのボタンである。温風機能(乾燥機能)を備えない場合、乾燥ボタン23Eは省略可能である。
【0053】
衛生洗浄調整ボタン24A〜24D(特に区別しない場合、ボタン24と呼ぶ)は、衛生洗浄時の洗浄水の噴射方法等を調整するためのボタンである。ムーブボタン24Aは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水が人体局部に当たる位置を周期的に変化させるためのボタンである。マッサージボタン24Bは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水によって人体局部をマッサージさせるためのボタンである。水勢(強)ボタン24C,水勢(弱)ボタン24Dは、噴射孔102A,102Bから噴射される洗浄水の水勢を調節するためのボタンである。なお、ムーブ機能やマッサージ機能を備えない場合、ボタン24A,24Bを省略可能である。
【0054】
ノズル掃除ボタン25Aは、ノズル本体101をボール部内に伸長させることにより、利用者が手作業でノズル本体101を清掃できるようにするためのボタンである。タイマ節電ボタン25Bは、タイマ節電機能を働かせるためのボタンである。タイマ節電機能では、利用者が予め設定した時刻になると、洗浄水や便座12の保温機能等を停止させて省電力モード(節電モード)に移行させる。お任せ節電ボタン25Cは、お任せ節電機能を働かせるためのボタンである。お任せ節電機能では、過去の利用履歴に基づいて、利用頻度の少ない時間帯を予測し、利用頻度の少ない時間帯が到来した場合には省電力モードに移行させる。
【0055】
その他のボタン26A〜26Dは、例えば、温風温度、便座温度、洗浄水温度、洗浄水が人体局部に当たる位置等を調整するためのボタンである。
【0056】
図5は、トイレ10の制御構造を示すブロック図である。ケーシング14内には、制御部300が設けられている。制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)310と、RAM(Random Access Memory)320と、ROM(Read Only Memory)330と、タイマ340と、入出力インターフェース350とを備えて構成され、これら各部310〜350はバス360によって接続されている。
【0057】
CPU310は、ROM330に格納されたマイクロプログラムを読み出して実行することにより、トイレ10の各機能(例えば、衛生洗浄機能やノズル洗浄機能等)をそれぞれ実現する。RAM320には、制御用の一時的な情報が記憶される。ROM330には、トイレ10の各機能を実現させるための各種マイクロプログラムが記憶される。タイマ340は、現在時刻を出力する。入出力インターフェース350は、制御部300と、リモートコントローラ20及び各センサ30,31等とを接続する。
【0058】
リモートコントローラ20は、例えば、上述の表示部21及び入力部(ボタン)22〜26と、制御部27と、通信部28とを備えて構成される。利用者がリモートコントローラ20を介して入力した指示内容は、通信部28から制御部300に通知される。
【0059】
衛生洗浄装置100の詳細は図6と共に後述する。吐水装置200は、便器本体11のボール部内に洗浄水を吐出させるための装置である。便座・便蓋開閉装置210は、便座12及び便蓋13を自動的に開閉させるための装置である。便座ヒータ220は、便座12の表面温度を利用者の指定した温度に保持するための装置である。乾燥装置230は、人体局部に向けて温風を送り出すための装置である。脱臭装置240は、排泄時の臭いを除去するための装置である。
【0060】
図6は、衛生洗浄装置100の構成を模式的に示す説明図である。図6には、衛生洗浄装置100の洗浄水供給構造及びノズル機構が示されている。先に洗浄水供給構造から説明する。
【0061】
洗浄水供給構造は、図1中の洗浄水供給手段2Bに対応するもので、例えば、給水ホース110と、分岐部111と、バルブユニット112と、熱交換ユニット113と、流調ユニット114と、脈動装置ユニット115とを備えて構成される。
【0062】
分岐部111は、給水ホース110から給水された洗浄水をロータンク15及びバルブユニット112にそれぞれ供給させるための分岐金具のように構成される。バルブユニット112は、衛生洗浄用の洗浄水の圧力を調整等するものである。熱交換ユニット113は、洗浄水を所定温度まで加熱するものである。流調ユニット114は、流路を切り替えることにより、ノズル本体101または洗浄室103のいずれかに洗浄水を供給し、また、水勢を調節するものである。脈動装置ユニット115は、ノズル本体101側に供給される洗浄水を所定圧まで加圧するものである。
【0063】
次に、ノズル機構を説明する。ノズル機構は、例えば、複数の噴射孔102A,102Bが形成されたノズル本体101と、洗浄室103と、ノズルモータ120と、駆動プーリ121と、従動プーリ122,122と、タイミングベルト123と、テンショナ124と、ラッチ部125と、流路切替弁126とを備えて構成される。
【0064】
ノズル本体101は、図1中のノズル本体2Aに対応するもので、図1と共に述べたように、便器本体11のボール部に臨むようにして、伸縮可能に設けられている。また、ノズル本体101には、各噴射孔102A,102Bにそれぞれ連通する流路が形成されており、これら流路には脈動装置ユニット115からの洗浄水が供給される。
【0065】
洗浄室103は、図1中の洗浄室2Dに対応するもので、上述のように、ケーシング14の前部に位置して、ノズル本体101の外側を覆うように設けられている。洗浄室103は、ノズル本体101が移動可能に挿通される挿通部と、洗浄室103内に噴射された洗浄水をボール部に落下させるための開口部とを備えている。従って、ノズル本体101と直交する方向の洗浄室103の断面は、下向きの略コ字状ないし略C字状をなす。洗浄室103は、流路104を介して流調ユニット114に接続されている。流調ユニット114から流路104を介して供給された洗浄水は、洗浄室103内に噴射される。
【0066】
ノズル本体101の途中には、洗浄室103の後側に位置して、ラッチ部125が設けられている。ノズル本体101は、ラッチ部125によってタイミングベルト123に固定されている。タイミングベルト123は、駆動プーリ121及び各従動プーリ122,122に巻回されており、ノズルモータ120の回転力によって右回りまたは左回りのいずれかの方向に移動する。タイミングベルト123が右回りに移動することにより、ノズル本体101は、後方向に移動する。タイミングベルト123が左回りに移動することにより、ノズル本体101は前方向に移動する。タイミングベルト123の張力は、テンショナ124により適切な値に調整される。
【0067】
流路切替弁126は、各噴射孔102A,102Aのいずれか一方または両方を選択して洗浄水を供給するための弁である。流路切替弁126は、ノズル本体101と脈動装置ユニット115との間に位置して、ノズル本体101の後部に設けられている。
【0068】
図1と共に述べたように、ノズル本体101は、例えば、便座12の後部にノズル本体101の先端側を退避させる縮退位置(第1位置)と、ノズル本体101の先端側をボール部内に伸長させる伸長位置(第2位置)との少なくとも二点間で移動する。伸長位置は、リモートコントローラ20を操作することにより、調節することができる。ノズル本体101が縮退位置にある場合、各噴射孔102A,102Bは洗浄室103内にそれぞれ位置する。ノズル本体101が伸長位置にある場合、各噴射孔102A,102Bは洗浄室103の外部に位置する。
【0069】
図7は、ノズル本体101が縮退位置にある場合の斜視図である。図7には、ノズル本体101の先端側が拡大して示されている。図7に示すように、ノズル本体101が縮退位置に後退している場合、各噴射孔102A,102Bは、洗浄室103内にそれぞれ位置する。従って、各噴射孔102A,102Bから洗浄水をそれぞれ噴射させると、この洗浄水は、洗浄室103の内壁に衝突して跳ね返り、ノズル本体101の周面に種々の方向から衝突する。ノズル本体101の先端側の汚れを除去した洗浄水は、洗浄室103の下面側からボール部内に落下する。
【0070】
図8は、ノズル本体101が縮退位置と伸長位置との間で移動する様子を示す斜視図である。ノズル本体101は、洗浄室103内を介して、前後方向に移動する。従って、ノズル本体101が移動している間、ノズル洗浄用の流路104から洗浄水を噴射させることにより、ノズル本体101の胴部を洗浄することができる。そして、本実施例では、ノズル本体101が縮退位置に後退する場合の後退速度をV1またはV2(V2<V1)のいいずれかに切り替えることにより、ノズル洗浄能力を制御する。
【0071】
図9は、通常時のノズル洗浄処理を示すフローチャートである。通常時のノズル洗浄処理では、以下に述べるように、衛生洗浄と連携してノズル本体101を洗浄する。制御部300は、着座センサ30からの信号に基づいて、利用者が便座12に着座したか否かを判定する(S10)。
【0072】
利用者が便座12に着座したと判定した場合(S10:YES)、制御部300は、ノズル本体101を縮退位置に待機させた状態で、各噴射孔102A,102Bから洗浄水を数秒間〜十数秒間程度それぞれ噴射させながら、熱交換ユニット113により温水を準備し、準備した温水を保温する(S11)。
【0073】
制御部300は、リモートコントローラ20から衛生洗浄の開始が指示されると(S12:YES)、衛生洗浄を開始する前に、まず最初に、ノズル洗浄工程のうち噴射孔洗浄工程を実行させる(S13)。噴射孔洗浄工程では、ノズル本体101を縮退位置に後退させて各噴射孔102A,102Bを洗浄室103内に収容した状態で、各噴射孔102A,102Bからそれぞれ洗浄水を噴射させる。
【0074】
噴射孔洗浄工程が終了した後、制御部300は、ノズルモータ120を前進方向に回転させてノズル本体101を伸長位置まで伸長させる。伸長位置は、利用者によって調節可能である。ノズル本体101は、洗浄室103を通って、縮退位置から伸長位置まで伸長する。
【0075】
制御部300は、ノズル本体101を伸長させながら、ノズル洗浄工程の一部を構成する胴部洗浄工程を実行させる(S14)。即ち、制御部300は、流調ユニット114内の流路を切り替えて、洗浄水をノズル洗浄用流路104に供給させる。これにより、ボール部内に向けて伸長していくノズル本体101の胴部を、洗浄室103内において洗浄することができる。胴部洗浄工程によって洗浄される範囲は、ノズル本体101の先端側から、ノズル本体101が所定の伸長位置に到達した場合において洗浄室103内に位置する部分までである。S14に示す胴部洗浄工程は、ノズル本体101を縮退位置から伸長位置まで進出させる場合に実行されるものであり、例えば、伸長時洗浄工程等と呼ぶこともできる。
【0076】
ノズル本体101の先端側が所定の伸長位置に到達すると、制御部300は、各噴射孔102A,102Bのうち利用者によって選択された噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、衛生洗浄を実行する(S15)。
【0077】
利用者は、予め設定されている時間だけ衛生洗浄を行うことができるほか、リモートコントローラ20の停止ボタン23Aを操作するまでの間、衛生洗浄を行うこともできる。また、後述のように、利用者はリモートコントローラ20を操作することにより、最初に選択した局部洗浄モードとは別の局部洗浄モードを選択可能である。衛生洗浄が終了するまで、選択された噴射孔から人体局部に向けて洗浄水が噴射される(S15,S16)。
【0078】
衛生洗浄が自動的にまたは手動操作により終了すると(S16:YES)、制御部300は、再び胴部洗浄工程を実行する(S17)。即ち、制御部300は、ノズルモータ120を後進方向に回転させながら、ノズル洗浄用流路104に洗浄水を供給する。これにより、ノズル本体101は、伸長位置から縮退位置まで後退しながら、その胴部周面が洗浄室103内で洗浄される。S17に示す胴部洗浄工程は、ノズル本体101を伸長位置から縮退位置まで後退させる場合に実行されるものであり、例えば、後退時洗浄工程等と呼ぶこともできる。そして、ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、制御部300は、再び噴射孔洗浄工程を実行する(S18)。
【0079】
このように、通常のノズル洗浄処理では、衛生洗浄の開始前及び終了後に、ノズル本体101をそれぞれ洗浄する。これにより、ノズル本体101を自動的に洗浄してから衛生洗浄を行うことができ、ノズル本体101を自動的に洗浄した後で、待機させることができるようになっている。
【0080】
しかしながら、衛生洗浄後にノズル本体101を洗浄しても、ノズル本体101に付着した全ての汚物等を完全に除去できるとは限らず、僅かな汚物等がノズル本体101に付着したままになる場合がある。ノズル本体101に付着した汚物等は、時間の経過によりノズル本体101に固着し、ノズル本体101が汚れたままの状態となり得る。このような事態を防止するために、例えば、定期的に洗浄水をノズル本体101に吹き付けることも考えられる。しかし、この場合には、トイレ10の利用有無(衛生洗浄の有無)を問わずに、洗浄水が機械的に定期的に噴射されるため、洗浄水を無駄に消費する。
【0081】
そこで、本発明では、以下に述べるように、衛生洗浄後にノズル本体101を後退させる場合、ノズル本体101の後退速度をV2に低下させることにより、ノズル本体101の洗浄時間を長くする。これにより、ノズル本体101に噴射される洗浄水の積算流量を増大せしめ、後退時洗浄工程の洗浄能力を高めて、ノズル本体101に付着した汚物等を取り除くようになっている。
【0082】
図10は、局部洗浄モードを切り替える場合の処理を示すフローチャートである。制御部300は、衛生洗浄(局部洗浄)が実行中であるか否かを判定する(S20)。衛生洗浄が実行中の場合(S20:YES)、制御部300は、リモートコントローラ20のスイッチが操作されたか否かを判定する(S21)。
【0083】
ここで、S21では、図4中に示すスイッチ23A〜23Eのいずれが操作されたか否かを判定する。即ち、局部洗浄モードの切り替えに際してノズル本体101の移動を伴うスイッチ23A〜23Eについて操作の有無を検出する。これ以外のスイッチ、即ち、例えば、スイッチ24A〜24D等は、ノズル本体101の進退を伴わずにモードを切り替え可能であるため、S21で判定する必要はない。
【0084】
ノズル本体101の進退動作を伴う所定のスイッチ23A〜23Eのいずれかが操作された場合(S21:YES)、制御部300は、利用者により操作されたスイッチの種類に応じて、洗浄時間を制御する。
【0085】
リモートコントローラ20から入力された信号が停止スイッチ23Aに対応する信号の場合、制御部300は、ノズル本体101を第2後退速度V2を選択し、ノズル本体101を速度V2でゆっくり後退させる(S30)。制御部300は、ノズル本体101を速度V2で後退させながら胴部洗浄工程(後退時洗浄工程)を実行させる(S31)。ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、噴射孔洗浄工程(後洗浄)が行われ(S32)、本処理が終了する。
【0086】
停止スイッチ23Aが操作された場合は局部洗浄の終了を意味し、別の局部洗浄モードに切り替えるわけではないため、ノズル本体101の洗浄に通常以上の時間をかけても何ら不都合は生じない。そこで、制御部300は、ノズル本体101を比較的遅い速度V2で後退させながら、ノズル本体101を洗浄し、付着した汚物等を除去する。
【0087】
これに対し、利用者が停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23E以外の他のスイッチ23B〜23Dのいずれかを操作した場合、制御部300は、第1後退速度V1(V1>V2)を選択し、ノズル本体101をV2の場合よりも速く後退させる(S40)。制御部300は、ノズル本体101を速度V1で後退させながら胴部洗浄工程を行い(S41)、ノズル本体101が縮退位置に到達した場合は噴射孔洗浄工程を実行する(S42)。このようにして、ノズル本体101を洗浄した後、制御部300は、再びノズル本体101を縮退位置から伸長位置まで移動させ(S43)、S21で利用者が選択した局部洗浄を実行する(S44)。
【0088】
例えば、利用者がお尻洗浄の途中でビデ洗浄に切り替えた場合あるいはその逆、または、お尻洗浄から「やわらか洗浄」に切り替えたような場合等には、ノズル本体101をいったん洗浄して初期状態に戻してから、新たな洗浄態様(局部洗浄モード)を改めて実行する。従って、局部洗浄モードを停止させるだけの場合とは異なり、現在実行中の局部洗浄モードを停止させ、ノズル本体101を洗浄してから、別の局部洗浄モードに移行させる必要がある。このため、ノズル本体101の進退動作を伴う局部洗浄モードを行う場合、即ち、ノズル本体101の初期状態を経由して局部洗浄モードを移行させる場合、制御部300は、ノズル本体101を比較的速い速度V1で後退させて、通常の後退時洗浄を行うようになっている。
【0089】
さて、利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合、制御部300は、第2後退速度V2を選択して(S50)、ノズル本体101をゆっくり後退させながら胴部洗浄工程を実行する(S51)。制御部300は、ノズル本体101が縮退位置に達すると、噴射孔洗浄工程を実行する(S52)。そして、制御部300は、温風生成装置によって生成された温風を人体局部に向けて供給する(S53)。温風生成装置は、例えば、ヒーター等の加熱装置とファン等の送風装置等から構成される。なお、図10中では、ノズル本体101の洗浄を完了させてから温風を出力する場合を示しているが、これに限らず、ノズル本体101の洗浄中に温風を出力させてもよい。
【0090】
利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合は、現在実行中の局部洗浄の利用が終了したことを意味するため、制御部300は、局部洗浄を停止させて温風を出力する。従って、停止スイッチ23Aが操作された場合と同様に、乾燥スイッチ23Eの操作は、現在利用中の局部洗浄の終了を意味し、洗浄時間を長くしても利用者に不都合はない。そこで、上述のように、制御部300は、比較的遅い速度V2でノズル本体101の胴部洗浄工程を実行し、ノズル本体101に付着した汚物等を除去させる。
【0091】
このように、本実施例では、利用者によるリモートコントローラ20の操作に応じて、ノズル本体101の洗浄時間を変えるため、衛生洗浄装置の利用形態に応じてノズル洗浄能力を変えることができる。
【0092】
特に、局部洗浄が終わった場合は、ノズル本体101を比較的遅い速度V2で後退させながら胴部洗浄工程を実行するため、ノズル本体101に洗浄水を吹き付ける時間を長くすることができ、洗浄水の積算流量を増加させて、ノズル本体101を十分に洗浄させることができる。
【実施例2】
【0093】
図11に基づいて本発明の第2実施例を説明する。本実施例では、停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23Eのいずれかが操作された場合、ノズル本体101を所定位置まで速やかに後退させつつ胴部を洗浄し、次に、ノズル本体101をゆっくりと後退させながら洗浄する。
【0094】
図11は、本実施例によるモード切替処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、図10に示すフローチャートと共通するステップを備えるため、重複した説明を割愛し、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。なお、本実施例で追加されたステップを太線で示す。
【0095】
利用者がリモートコントローラ20を介して停止スイッチ23Aを操作した場合(S22:停止スイッチ)、制御部300は、第1後退速度V1を選択してノズル本体101を速やかに後退させながら、胴部洗浄工程を実行させる(S33)。制御部300は、ノズル本体101が所定位置まで後退したか否かを判定しており(S34)、ノズル本体101が所定位置に達するまで(S34:NO)、第1後退速度V1でノズル本体101を速やかに後退させつつ洗浄室103内で洗浄水を噴射させる。
【0096】
ここで、所定位置とは、ノズル本体101の全長の約1/3程度が後退した位置として設定することができる。即ち、ノズル本体101の基端側から1/3程度の範囲は、ノズル本体101の前側に比べると汚れが少ないため、基端側から1/3程度の範囲は速度V1による通常の胴部洗浄を実施する。
【0097】
ノズル本体101の基端側を始点とし、先端側を終点としてノズル本体101の全長を百分率で表現した場合、例えば、0%(基端側)〜30%程度の範囲は、速度V1での胴部洗浄工程が実施される。そして、例えば、30%〜100%(先端側)の範囲は、より遅い速度V2での胴部洗浄工程が実施される。速度V1は速度V2よりも高速であるため、速度V1での胴部洗浄を高速胴部洗浄と、速度V2での胴部洗浄を低速胴部洗浄と、それぞれ言い換えることもできる。
【0098】
なお、上記数値範囲は一例であって、本発明はこれに限らず、例えば、0%〜50%の範囲を高速胴部洗浄(V1)し、50%〜100%の範囲を低速胴部洗浄(V2)するように構成してもよい。高速胴部洗浄を行う範囲が広がるほど、ノズル本体101の洗浄時間は短縮される。また、利用者による利用状態等に基づいて、高速胴部洗浄を行う範囲(または低速胴部洗浄を行う範囲)を制御する構成としてもよい。例えば、ビデ洗浄が停止された場合は、ノズル本体101の汚れが比較的少ないと判定し、高速胴部洗浄の範囲を広げたりすることも可能である。
【0099】
上記同様に、利用者が乾燥スイッチ23Eを操作した場合も(S22:乾燥スイッチ)、制御部300は、所定位置に達するまでノズル本体101を速度V1で速やかに後退させながら、胴部洗浄工程を実行する(S54,S55)。
【0100】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。これに加えて、本実施例では、比較的汚れにくい基端側の所定範囲には高速胴部洗浄工程を適用し、比較的汚れやすい先端側には低速胴部洗浄工程を適用する。従って、比較的汚れやすい範囲に多くの洗浄水を使用して効率的に洗浄することができる。
【実施例3】
【0101】
図12に基づいて本発明の第3実施例を説明する。本実施例では、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で往復移動させながら、ノズル本体101の先端側に洗浄水を吹き付けることにより、ノズル本体101の先端側を念入りに洗浄する。
【0102】
図12は、本実施例によるモード切替処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、図11で述べたフローチャートと共通のステップを備えるため、重複した説明を割愛し、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。
【0103】
本実施例でも、局部洗浄の実行中に、利用者が停止スイッチ23Aまたは乾燥スイッチ23Eのいずれかを操作した場合、制御部300は、ノズル本体101が所定値に達するまで高速胴部洗浄を行い(S33,S34,S54,S55)、それから先は低速胴部洗浄を行う(S30,S31,S50,S51)。
【0104】
そして、ノズル本体101が縮退位置まで後退すると、制御部300は、噴射孔洗浄工程を行う(S32,S52)。さらに、制御部300は、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で僅かに前後に往復移動させつつ、ノズル本体101に向けて洗浄水を吹き付けたり、及び/または、各噴射孔102A,102Bから洗浄水を吐出させる(S35,S56)。
【0105】
例えば、制御部300は、ノズル本体101の先端側が洗浄室103の外部に飛び出ない範囲内で、ノズル本体101の先端側を洗浄室103内で前後に繰り返し微少変位させながら洗浄する。この往復移動により、ノズル本体101の先端側には、低速胴部洗浄の場合よりも、種々の方向から洗浄水が衝突し、洗浄室103内の洗浄水圧力も変動するため、より一層効果的に汚物等が除去される。
【0106】
なお、洗浄室103内でノズル本体101の先端側を往復移動させる範囲や往復移動の周波数、往復移動回数等は、例えば、利用者の利用状態等に基づいて適宜制御することができる。
【0107】
上述したS35,S56のノズル洗浄動作は、例えば、洗浄室内往復洗浄工程等と呼ぶことができる。なお、S32とS35、S52とS56をそれぞれ別々のステップで構成する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、噴射孔洗浄工程と洗浄室内往復洗浄工程とを統合することもできる。この場合、S32,S52は、図12に示すフローチャートから取り除かれる。
【0108】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、前記第3実施例では、第2実施例に適用する場合を述べたが、第1実施例に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図。
【図2】衛生洗浄装置が適用されるトイレの外観図。
【図3】温水洗浄便座の外観図。
【図4】リモートコントローラの正面図。
【図5】衛生洗浄装置を備えるトイレのブロック図。
【図6】衛生洗浄装置の洗浄水供給構造及びノズル機構の説明図。
【図7】噴射孔洗浄を行う様子を示す拡大斜視図。
【図8】胴部洗浄を行う様子を示す拡大斜視図。
【図9】トイレの利用履歴を管理するテーブルの説明図。
【図10】トイレの利用履歴を管理する処理のフローチャート。
【図11】衛生洗浄の前後でノズルを洗浄する処理を示すフローチャート。
【図12】自動的にノズル洗浄を実行するフローチャート。
【符号の説明】
【0110】
1…衛生洗浄装置、2…ノズル装置、2A…ノズル本体、2A1,2A2…噴射孔、2A3,2A4…流路、2B…洗浄水供給手段、2C…ノズル駆動手段、2D…洗浄室、3…操作手段、4…衛生洗浄制御手段、5…ノズル洗浄制御手段、10…トイレ、11…便器本体、12…便座、13…便蓋、14…ケーシング、15…ロータンク、20…リモートコントローラ、21…表示部、22〜26…ボタン(入力部)、27…制御部、28…通信部、30…着座センサ、31…人体検知センサ、100…衛生洗浄装置、101…ノズル本体、102A,102A…噴射孔、103…洗浄室、104…ノズル洗浄用流路、110…給水ホース、111…分岐部、112…バルブユニット、113…熱交換ユニット、114…流調ユニット、115…脈動装置ユニット、120…ノズルモータ、121…駆動プーリ、122,122…従動プーリ、123…タイミングベルト、124…テンショナ、125…ラッチ部、126…流路切替弁、200…吐水装置、210…便座・便蓋開閉装置、220…便座ヒータ、230…乾燥装置、240…脱臭装置、300…制御部、310…CPU、320…RAM、330…ROM、340…タイマ、350…入出力インターフェース、360…バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から入力される指示に基づいて、ノズルに設けられた噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、
局部洗浄モードに関する複数の動作が選択可能であり、選択された動作に応じた複数の信号を出力する操作手段と、
前記ノズルを洗浄するノズル洗浄手段と、
前記操作手段から受信する信号に応じて、前記ノズル洗浄手段による前記ノズルの洗浄時間を制御するノズル洗浄制御手段と、を備えた衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズル洗浄手段は、前記ノズル洗浄制御手段により制御される移動速度で前記ノズルを移動させながら該ノズルの外側から洗浄水を吹き付けることにより前記ノズルを洗浄可能となっており、
前記ノズル洗浄制御手段は、前記操作手段から受信した信号に応じて前記ノズルの移動速度を制御することにより、前記ノズル洗浄手段による前記ノズルの洗浄時間を制御するものである請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズル洗浄制御手段は、
前記操作手段から第1種類の信号を受信した場合は前記第1移動速度を設定し、前記操作手段から第2種類の信号を受信した場合は前記第1移動速度よりも遅い第2移動速度を設定するようになっており、かつ、
前記第1種類の信号は、複数の局部洗浄モード間における局部洗浄モードの切替を要求する信号であり、前記第2種類の信号は実行中の局部洗浄の停止を要求する信号である請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第1種類の信号は、前記ノズルをいったん後退させてから再び伸長させることによって局部洗浄モードを切り替えさせるための信号であり、
前記第2種類の信号は、前記ノズルを後退させて局部洗浄を停止させるための信号である請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記第2種類の信号には、前記操作手段に設けられている停止命令スイッチに対応する信号または前記操作手段に設けられている乾燥命令スイッチに対応する信号のいずれか又は両方が含まれる請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズル洗浄制御手段は、前記第2種類の信号を受信した場合、前記ノズルを前記第1移動速度で所定位置まで移動させた後で、前記第2移動速度に切り替える請求項3〜5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記ノズル洗浄手段は、前記ノズルを覆うようにして設けられ、前記ノズルが移動可能に挿通される洗浄室と、この洗浄室内に洗浄水を噴射させるノズル洗浄用流路と、前記ノズルを前進または後進させるノズル駆動手段とを備えて構成し、
前記ノズル洗浄制御手段は、前記第2種類の信号を受信した場合、前記洗浄室内で前記ノズルを往復動作させつつ前記ノズル洗浄用流路から洗浄水を噴射させることにより、前記ノズルを洗浄する請求項3〜5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記ノズルの移動速度は、前記ノズルを後退させる場合の後退速度である請求項2〜請求項7のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項1】
利用者から入力される指示に基づいて、ノズルに設けられた噴射孔から洗浄水を噴射させることにより、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、
局部洗浄モードに関する複数の動作が選択可能であり、選択された動作に応じた複数の信号を出力する操作手段と、
前記ノズルを洗浄するノズル洗浄手段と、
前記操作手段から受信する信号に応じて、前記ノズル洗浄手段による前記ノズルの洗浄時間を制御するノズル洗浄制御手段と、を備えた衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズル洗浄手段は、前記ノズル洗浄制御手段により制御される移動速度で前記ノズルを移動させながら該ノズルの外側から洗浄水を吹き付けることにより前記ノズルを洗浄可能となっており、
前記ノズル洗浄制御手段は、前記操作手段から受信した信号に応じて前記ノズルの移動速度を制御することにより、前記ノズル洗浄手段による前記ノズルの洗浄時間を制御するものである請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記ノズル洗浄制御手段は、
前記操作手段から第1種類の信号を受信した場合は前記第1移動速度を設定し、前記操作手段から第2種類の信号を受信した場合は前記第1移動速度よりも遅い第2移動速度を設定するようになっており、かつ、
前記第1種類の信号は、複数の局部洗浄モード間における局部洗浄モードの切替を要求する信号であり、前記第2種類の信号は実行中の局部洗浄の停止を要求する信号である請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第1種類の信号は、前記ノズルをいったん後退させてから再び伸長させることによって局部洗浄モードを切り替えさせるための信号であり、
前記第2種類の信号は、前記ノズルを後退させて局部洗浄を停止させるための信号である請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記第2種類の信号には、前記操作手段に設けられている停止命令スイッチに対応する信号または前記操作手段に設けられている乾燥命令スイッチに対応する信号のいずれか又は両方が含まれる請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズル洗浄制御手段は、前記第2種類の信号を受信した場合、前記ノズルを前記第1移動速度で所定位置まで移動させた後で、前記第2移動速度に切り替える請求項3〜5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記ノズル洗浄手段は、前記ノズルを覆うようにして設けられ、前記ノズルが移動可能に挿通される洗浄室と、この洗浄室内に洗浄水を噴射させるノズル洗浄用流路と、前記ノズルを前進または後進させるノズル駆動手段とを備えて構成し、
前記ノズル洗浄制御手段は、前記第2種類の信号を受信した場合、前記洗浄室内で前記ノズルを往復動作させつつ前記ノズル洗浄用流路から洗浄水を噴射させることにより、前記ノズルを洗浄する請求項3〜5のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記ノズルの移動速度は、前記ノズルを後退させる場合の後退速度である請求項2〜請求項7のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−332579(P2007−332579A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163041(P2006−163041)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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