説明

衛生洗浄装置

【課題】使用者が感じる洗浄水の強さの範囲を広げられる衛生洗浄装置100を提供する。
【解決手段】衛生洗浄装置100は、洗浄水を吐出する洗浄ノズル30と、前記洗浄ノズル30から吐出する前記洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部14と、前記脈動発生部14に流入する前記洗浄水の圧力を調整する入水圧力調整部9と、前記洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部307、308とを備える。ここで、前記脈動発生部14は、前記流量設定部307、308によって設定された前記流量が多いほど、前記洗浄ノズル30から吐出する前記洗浄水の脈動の振幅を増大させるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水をノズルから吐出する、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生洗浄装置は、ノズルから吐出する水の圧力を調整する機能を有するものが知られている。たとえば、使用者が設定した洗浄水の流量が少ない場合は、ノズルへ供給する洗浄水の圧力変動(脈動)の振幅を大きくすることにより、使用者に与える刺激を強めている。逆に、使用者が設定した洗浄水の流量が多い場合は、ノズルへ供給する洗浄水の圧力変動の振幅を小さくすることにより、使用者が感じる脈動を弱めている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−311201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、洗浄水の設定流量が少ない場合に、ノズルから吐出される圧力の変動幅が大きく設定されている。このため、使用者に与える刺激が強められており、使用者は洗浄水が当たる強さを強いと感じる。逆に、設定流量が多い場合に、圧力の変動幅が小さく設定されている。このため、使用者に与えられる刺激が弱められており、使用者は洗浄水が当たる強さを弱いと感じる。それゆえ、設定できる洗浄強さの強弱の幅を狭いと使用者が感じ、使用者の多岐にわたる好みには応じることができない。
【0005】
特に、痔疾などで弱い洗浄感を望む使用者が洗浄強さを一番下げると、洗浄水の流量は少なくなる。しかし、ノズルから吐出される圧力の変動幅が大きくなるため、使用者は洗浄水が当たる強さを強いと感じる場合がある。このため、使用者が望むような弱い洗浄感を実現できなかった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、使用者が感じる洗浄水の強さの範囲を広げられる衛生洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0008】
洗浄水が当たった時に使用者が感ずる洗浄水の強さは、ノズルから吐出する洗浄水の圧力に加えて、この圧力の変動幅の大きさが要素となる。洗浄水の圧力に変動がなく、一定の圧力で洗浄水が人体に当たった場合、使用者は、洗浄水の圧力に対する感覚がすぐに飽和してしまい、洗浄水の強さを感じなくなる。洗浄水の圧力の変動があった場合には、使用者は、圧力に対する感覚が常に更新され、洗浄水を強いと感じる。また、洗浄水の圧力が変動することにより、人体が受ける洗浄水の流速が変動する。このため、これらの相乗効果により、人体が感じる洗浄水の強さを高めることができる。したがって、使用者が感じる洗浄水の強さの調節には、洗浄水の圧力(流量)に加えて、この圧力の変動幅が重要な要素となる。
【0009】
そこで、本発明のある形態に係る、衛生洗浄装置は、洗浄水を吐出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部と、前記脈動発生部に流入する前記洗浄水の圧力を調整する入水圧力調整部と、前記洗浄ノズルから吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部とを備える。ここで、前記脈動発生部は、前記流量設定部によって設定された前記流量が多いほど、前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水の脈動の振幅を増大させるよう構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、使用者が感じる洗浄水の強さの範囲を広げられる衛生洗浄装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の遠隔操作装置の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の本体部の内部の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の減圧弁の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の第1のバキュームブレーカの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の容積型ポンプの断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の吐出される洗浄水の圧力を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の機能ブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置における圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0014】
第1の発明に係る衛生洗浄装置は、洗浄水を吐出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部と、前記脈動発生部に流入する前記洗浄水の圧力を調整する入水圧力調整部と、前記洗浄ノズルから吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部とを備える。ここで、前記脈動発生部は、前記流量設定部によって設定された前記流量が多いほど、前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水の脈動の振幅を増大させるよう構成されている。
【0015】
この構成によれば、使用者が流量設定部を操作することにより、洗浄ノズルから吐出する洗浄水の流量が設定される。このように設定された流量の洗浄水が入水圧力調整部に流入し、ここで洗浄水の圧力が調整される。そして、調整された圧力で洗浄水が脈動発生部に流入する。この脈動発生部で洗浄水に脈動が与えられて、脈動する洗浄水が洗浄ノズルから吐出する。このとき、洗浄ノズルから吐出する洗浄水の脈動の振幅は、流量設定部によって設定された流量が多いほど、増大される。
【0016】
このため、使用者が流量を少なく設定すると、洗浄ノズルから吐出する洗浄水の脈動の振幅は小さくなる。このとき、洗浄水の流量が少ない上、その脈動の振幅も小さいため、使用者は洗浄水が当たる強さを弱く感じる。一方、使用者が流量を多く設定すると、洗浄ノズルから吐出する洗浄水の脈動の振幅は大きくなる。このとき、洗浄水の流量が多い上、その脈動の振幅も大きいため、使用者は洗浄水が当たる強さを強く感じる。このように、使用者が設定する流量に応じて、使用者が感じる洗浄水の強さも変化する。それゆえ、使用者は、設定できる洗浄水の強さの範囲が広いと感じることができる。
【0017】
第2の発明に係る衛生洗浄装置では、前記脈動発生部は、容積型ポンプを含む。ここで、当該容積型ポンプは、設定された前記流量が多いほど吐出量が増大するよう構成される。また、前記入水圧力調整部は、前記容積型ポンプの吐出量が多いほど、当該容積型ポンプに流入する前記洗浄水の圧力を低く調整するよう構成されている。
【0018】
この構成によれば、容積型ポンプが吐出する洗浄水の流量は、周期的に変動する。この変動する洗浄水の流量に対応して、容積型ポンプの出口における洗浄水の圧力は変化する。これにより、洗浄水に脈動が発生する。この脈動する洗浄水の最低圧力は、容積型ポンプの入口での洗浄水の圧力が所定値以上である場合、容積型ポンプの入口での洗浄水の圧力とほぼ等しくなる。また、容積型ポンプの入口での洗浄水の圧力は、容積型ポンプの吐出量が多いほど、低くなるように入水圧力調整部により調整されている。さらに、容積型ポンプの吐出量は、設定された流量が多いほど増大する。よって、設定された流量が多いほど、脈動する洗浄水の最低圧力は低くなる。一方、容積型ポンプの吐出量は、設定された流量が多いほど増大する。このため、容積型ポンプの出口における脈動する洗浄水の最高圧力は一定である。したがって、設定された流量が多いほど、脈動の振幅は大きくなる。このように、使用者が流量設定部により洗浄水の流量を調整するだけで、これと同時に洗浄水の脈動の振幅も制御される。
【0019】
第3の発明に係る衛生洗浄装置では、前記入水圧力調整部は、前記脈動発生部へ向かって洗浄水が流れる流路において断面積が局部的に縮小された部分を含む。
【0020】
この構成によれば、入水圧力調整部において流路の断面積が局部的に変化するため、ここで洗浄水の圧力損失が生じる。この圧力損失は、洗浄水の流量が多くなるほど大きくなる。これにより、脈動発生部に向かって流れる洗浄水の圧力は小さくなるため、脈動発生部により生起された洗浄水の脈動の振幅は大きくなる。このように、入水圧力調整部により洗浄水の流量の増加に応じて洗浄水の圧力が低減され、さらに、脈動発生部により洗浄水の圧力の低減に応じて脈動の振幅が大きくなる。このため、使用者が流量設定部により洗浄水の流量を調整するだけで、これと同時に洗浄水の脈動の振幅も制御される。
【0021】
第4の発明に係る衛生洗浄装置では、前記入水圧力調整部は、前記脈動発生部へ向かって洗浄水が流れる流路の径より小さな径のオリフィスと、前記オリフィスへ流入する前記洗浄水を減圧する減圧弁とを有する。
【0022】
この構成によれば、給水された洗浄水の圧力に関わらず、減圧弁によって洗浄水は所定の圧力に減圧される。さらに、洗浄水の圧力は、オリフィスによって減圧される。このとき、オリフィスに流入する洗浄水の圧力は所定圧力に調整されているため、オリフィスにより洗浄水の流量に応じた圧力に洗浄水の圧力は安定的に低減される。
【0023】
したがって、水道配管から供給される入水圧の異なる地域、住宅に衛生洗浄装置が取り付けられても、洗浄水の流量に応じた同じ脈動の振幅が得られる。
【0024】
第5の発明に係る衛生洗浄装置は、水供給源と前記洗浄ノズルとの間の流路に設けられたバキュームブレーカをさらに備える。ここで、前記オリフィスが、前記バキュームブレーカと一体として設けられてもよい。
【0025】
この構成によれば、バキュームブレーカが洗浄ノズルの上流側に設けられている。これにより、バキュームブレーカよりも上流側で負圧が発生しても、洗浄ノズルから流入した汚水がバキュームブレーカよりも上流側に逆流することが防止される。
【0026】
また、バキュームブレーカよりも上流側で負圧が発生し、洗浄ノズルから汚水が逆流しようとした場合に、オリフィスにより流路が減縮されていることにより、逆流する汚水の流量が抑制される。
【0027】
さらに、バキュームブレーカとオリフィスとが一体的に形成されていることにより、これらを繋ぐ配管が不要であるため、配管が簡素化され、かつ、衛生洗浄装置が小型化される。さらに、配管が内圧で伸縮すると、バキュームブレーカの動作の遅延や誤作動などの問題が生じてしまう。ただし、オリフィスとバキュームブレーカとの間が配管で接続されていないことにより、これらの問題が防止される。
(実施の形態1)
図9は、実施の形態1に係る衛生洗浄装置100の機能ブロック図である。
【0028】
衛生洗浄装置100は、洗浄水を吐出する洗浄ノズル30と、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部14と、脈動発生部14に流入する洗浄水の圧力を調整する入水圧力調整部9と、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部307、308とを備える。ここで、脈動発生部14は、流量設定部307、308によって設定された流量が多いほど、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の脈動の振幅を増大させるよう構成されている。
【0029】
この構成によれば、使用者が流量設定部307、308を操作することにより、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の流量が設定される。このように設定された流量の洗浄水が、入水圧力調整部9に流入し、ここで洗浄水の圧力が調整される。そして、調整された圧力で洗浄水が脈動発生部14に流入する。この脈動発生部14で洗浄水に脈動が与えられて、脈動する洗浄水が洗浄ノズル30から吐出する。このとき、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の脈動の振幅は、流量設定部307、308によって設定された流量が多いほど、増大される。
【0030】
このため、使用者が流量を少なく設定すると、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の脈動の振幅は小さくなる。このとき、洗浄水の流量が少ない上、その脈動の振幅も小さいため、使用者は洗浄水が当たる強さを弱く感じる。一方、使用者が流量を多く設定すると、洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の脈動の振幅は大きくなる。このとき、洗浄水の流量が多い上、その脈動の振幅も大きいため、使用者は洗浄水が当たる強さを強く感じる。このように、使用者が設定する流量に応じて、使用者が感じる洗浄水の強さも変化する。それゆえ、使用者は、設定できる洗浄水の強さの範囲が広いと感じることができる。
【0031】
(実施の形態2)
[衛生洗浄装置の構成]
図1は、衛生洗浄装置100を、便器700に装着した状態で示す斜視図である。図1に示すように、便器700上に衛生洗浄装置100が装着される。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉自在に取り付けられる。また、本体部200には、図3に示す洗浄水供給機構が設けられるとともに、制御部4が内蔵される。
【0032】
なお、図3に示す洗浄水供給機構において水道配管201から各ノズル30、40へ洗浄水が流れることにより、水道配管201側を上流側と称し、各ノズル30、40側を下流側と称する。
【0033】
図1では、本体部200の正面上部に着座センサ610が設けられる。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより、便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0034】
図2は、図1の遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300のコントローラ本体部301の上部には、ワイド洗浄スイッチ305、リズム洗浄スイッチ306、水勢設定スイッチ307、308、ムーブ洗浄スイッチ309、洗浄位置設定スイッチ310、311が設けられている。コントローラ本体部301の下部には、停止スイッチ302、おしり洗浄スイッチ303、ビデ洗浄スイッチ304が設けられている。遠隔操作装置300は、上記各スイッチ302〜311が操作されると、操作されたスイッチに対応した信号を制御部4へ出力される。この信号に応じて制御部4が各部を制御し、各部による機能が実行される。例えば、使用者がおしり洗浄スイッチ303またはビデ洗浄スイッチ304を押下操作することにより、本体部200の人体洗浄ノズル30が移動して、人体洗浄ノズル30から洗浄水が噴出する。また、停止スイッチ302が操作されると、洗浄ノズル30から洗浄水が吐出する洗浄動作が停止される。
【0035】
[本体部の内部構成]
図3は、衛生洗浄装置100の本体部200の内部構成を示す模式図である。図5は減圧弁8の断面図である。図6は、内部に固定オリフィス9を構成した第1のバキュームブレーカ31の断面図である。図7は、容積型ポンプ14の断面図である。
【0036】
図3に示すように、本体部200は、制御部4、分岐水栓5、ストレーナ6、止水電磁弁7、減圧弁8、固定オリフィス9、流量センサ11、熱交換器12、温度センサ13a、13b、容積型ポンプ14、バッファタンク15、切替弁16、人体洗浄ノズル30、第1のバキュームブレーカ31、第2のバキュームブレーカ61、便器ノズル40および便器ノズルモータ40mを含む。また、人体洗浄ノズル30は、おしり洗浄ノズル1、ビデ洗浄ノズル2およびノズル洗浄用ノズル3を含む。切替弁16は切替弁モータ16mを含む。
【0037】
配管202は、分岐水栓5を介して、水の供給源である水道配管201に接続されている。また、配管202は、分岐水栓5と熱交換器12との間に接続され、「前流路」と称する。配管202には、ストレーナ6、止水電磁弁7、減圧弁8、固定オリフィス9および流量センサ11が順に設けられている。
【0038】
配管203は、熱交換器12と切替弁16との間に接続され、「後流路」と称する。配管203に、温度センサ13a、13b、容積型ポンプ14およびバッファタンク15が順に設けられている。
【0039】
分岐管路204は、減圧弁8と固定オリフィス9の間の配管(前流路)202から分岐される。
【0040】
分岐配管205は、第1のバキュームブレーカ31を介して分岐管路204に連結される。分岐配管205の一端に第1のバキュームブレーカ31が接続され、分岐配管205の他端に便器ノズル40が接続される。便器ノズルモータ40mは、便器ノズル40の近傍に取り付けられる。
【0041】
減圧弁8は、図5に示すように、ダイヤフラム押さえ44と、減圧スプリング46と、スプリング受け45と、ダイヤフラム47と、ダイヤフラムワッシャ48と、弁本体42と、ダイヤフラム軸51と、ダイヤフラム軸受け49と、から構成される。スプリング受け45は、ダイヤフラム押さえ44の内壁に接触しながら移動する。弁本体42は、流入部41と流出部43と平面台座部52とダイヤフラムワッシャ受け53とを有する。ダイヤフラム軸受け49において、ダイヤフラム軸51が接触しながら移動する。
【0042】
減圧弁8は、図4および図5に示すように、止水電磁弁7の下流側に配置される。流入部41が止水電磁弁7側の配管202に接続され、流出部43は固定オリフィス9側の配管202に接続される。
【0043】
固定オリフィス9は、第1のバキュームブレーカ31に一体的に形成されており、たとえば、第1のバキュームブレーカ31と一体成型されている。固定オリフィス9と第1のバキュームブレーカ31との全体が1つの部分でできているワンピース(one-piece)である。固定オリフィス9は、第1のバキュームブレーカ31の流入口71と流出口72との間に設けられる。流入口71と流出口72との間の流路において、固定オリフィス9の位置で断面積が局部的に減少する。
【0044】
第1のバキュームブレーカ31は、分岐管路204に設けられ、熱交換器12と便器ノズル40の洗浄水噴出口とよりも高い位置に配置される。図6および図3に示すように、第1のバキュームブレーカ31は、バキュームアダプタ75と、バキュームフタ76と、バキュームブレーカ弁77と、から構成される。バキュームアダプタ75は、T字状の配管であって、流入口71と流出口72と固定オリフィス9とを含む主管路と、この主管路から分岐する分岐管路204とを有する。流入口71が減圧弁8側の配管202に接続され、流出口72が流量センサ11側の配管202に接続される。主管路は配管202と直線状に連結される。分岐管路204の先にバキュームフタ76を介して吸気口74が設けられる。バキュームフタ76の中に移動可能にバキュームブレーカ弁77が設けられる。主管路と吸気口74との間に排出口73が設けられる。排出口73は分岐管路204に接続される。
【0045】
通常時は、洗浄水がバキュームブレーカ弁77を水圧によって押し上げているため、吸気口74への流路はバキュームブレーカ弁77により閉じられている。しかし、第1のバキュームブレーカ31よりも上流側が負圧になった場合には、バキュームブレーカ弁77が下がり、第1のバキュームブレーカ31は吸気口74から外気を取り入れる。第1のバキュームブレーカ31よりも上流側の圧力が大気圧に戻り、人体洗浄ノズル30から汚水の逆流が防止される。
【0046】
万一、人体洗浄ノズル30から汚水が逆流しようとした場合でも、固定オリフィス9によって流路が減縮されているため、流出口72から流入する汚水の逆流が抑制される。
【0047】
第2のバキュームブレーカ61は、図3に示すバッファタンク15に設けられ、熱交換器12のケーシングの上壁面よりも高い位置に配置される。
【0048】
このように、第1のバキュームブレーカ31は、熱交換器12と便器ノズル40との間に設けられている。また、第2のバキュームブレーカ61は、熱交換器12と人体洗浄ノズル30との間に設けられている。さらに、第1のバキュームブレーカ31が熱交換器12と便器ノズル40の洗浄水噴出口とよりも高い位置に配置されている。これにより、熱交換器12内の洗浄水が、分岐管路204、分岐配管205および便器ノズル40を介して外部に流出することが防止される。さらに、第2のバキュームブレーカ61が熱交換器12のケーシングの上壁面よりも高い位置に配置されている。これにより、熱交換器12内の洗浄水が、配管203(後流路)および人体洗浄ノズル30を介して外部に流出することが防止される。また、バキュームブレーカ31、61は、熱交換器12およびノズル30、40より高い位置に配置されている。その結果、熱交換器12の空焚きが防止される。
【0049】
また、バキュームブレーカ31、61よりも上流側で負圧が発生しても、各バキュームブレーカ31、61よりも下流側の水が水道配管201に逆流することが防止される。特に、各ノズル30、40の噴出口が便器700内に配置されているため、噴出口から汚水が各ノズル30、40を介して配管201〜205に侵入する可能性がある。このような場合でも、第1のバキュームブレーカ31により、便器ノズル40側からの汚水等の逆流が防止される。これとともに、第2のバキュームブレーカ61により人体洗浄ノズル30側から汚水等の逆流が防止される。
【0050】
容積型ポンプ14は、本体部81内に、円柱状空間82が形成されている。円柱状空間82内には圧送ピストン83が設けられる。圧送ピストン83により円柱状空間82がポンプ室82aとポンプ室82bとに分割される。本体部81の一側部には洗浄水の流入部84が設けられ、他側部には洗浄水の流出部85が設けられている。流入部84は、ポンプ室82aに位置する流入部84aとポンプ室82bに位置する流入部84bとで構成される。流出部85は、ポンプ室82aに位置する流出部85aとポンプ室82bに位置する流出部85bとで構成される。図3および図7に示すように、流入部84には配管203(後流路)を介して熱交換器12が接続される。流出部85には配管203(後流路)を介して切替弁16が接続される。
【0051】
そして、モータ86の回転軸にギヤ87が取り付けられている。ギヤ87にギヤ88が噛み合っている。ギヤ88に連接されるリンク機構89により、モータ86の回転運動が圧送ピストン83の往復運動に変換されている。モータ86が回転するとギヤ87、ギヤ88、リンク機構89を介して圧送ピストン83が往復動する。この圧送ピストン83の往復動により、後述するように、流出部85から流出する洗浄水の流量および圧力が変動する。
【0052】
[本体部における洗浄水の流れと制御]
次に、本体部200における洗浄水の流れおよび制御部4による本体部200の各構成部の制御について説明する。
【0053】
まず、水道配管201を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓5によりストレーナ6に供給される。ストレーナ6により洗浄水に含まれるごみや不純物等が除去される。
【0054】
次に、止水電磁弁7により配管202が開閉され、洗浄水が供給されたり、この供給が停止されたりする。この止水電磁弁7の開閉動作は、制御部4により制御される。止水電磁弁7が開き、洗浄水が減圧弁8に供給されると、減圧弁8により配管202内を流れる洗浄水の圧力が一定の圧力値に減圧される。
【0055】
切替弁16が開いている場合は、洗浄水は、第1のバキュームブレーカ31の流入口71から流入し、固定オリフィス9を通って、流出口72に流れる。このとき、洗浄水が固定オリフィス9を通過することで、洗浄水の圧力が一層減圧される。
【0056】
配管202において、流量センサ11は、配管202内を流れる洗浄水の流量を計測し、計測流量値を制御部4に与える。配管202内を通して供給される洗浄水は、熱交換器12により所定の温度に加熱される。熱交換器12の加熱動作は、流量センサ11により計測された計測流量値に基づいて制御部4により制御される。
【0057】
続いて、熱交換器12により加熱された洗浄水は、容積型ポンプ14によりバッファタンク15を通して、切替弁16に圧送される。容積型ポンプ14の圧送動作は、制御部4により制御される。
【0058】
バッファタンク15は、熱交換器12により加熱された洗浄水を一時的に貯め、洗浄水の温度緩衝部として作用する。これにより、切替弁16に圧送される洗浄水の温度むらの発生が抑制される。なお、熱交換器12とバッファタンク15との合計の容量は、15cc〜30ccであることが好ましく、20cc〜25ccであることがより好ましい。
【0059】
切替弁16においては、切替弁モータ16mが動作することにより、容積型ポンプ14から圧送された洗浄水が、おしり洗浄ノズル1、ビデ洗浄ノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれかに供給される。これにより、おしり洗浄ノズル1、ビデ洗浄ノズル2およびノズル洗浄用ノズル3のいずれかから洗浄水が噴出する。切替弁モータ16mの動作は、制御部4により制御される。
【0060】
おしり洗浄ノズル1およびビデ洗浄ノズル2は、使用者の局部の洗浄を行うために用いられる。ノズル洗浄用ノズル3は、おしり洗浄ノズル1およびビデ洗浄ノズル2の、便器700内に突出する部分を洗浄するために用いられる。
【0061】
また、切替弁16が閉じている場合は、流入口71から第1のバキュームブレーカ31に流入した洗浄水は、流出口72側に流れることができないため、便器ノズル40用の排出口73に洗浄水が供給される。そして、洗浄水は、排出口73から分岐管路204を通過し、便器ノズル40から吐出される。なお、切替弁16の開閉動作は制御部4により制御される。たとえば、便器700に洗浄水を流す操作が使用者によりなされると、制御部4は切替弁16を閉じる。一方、洗浄スイッチ303、304が使用者により操作されると、制御部4は切替弁16を開く。
【0062】
[洗浄水の圧力]
図4は、本体200の内部の一実施例を示した図である。
【0063】
図8(a)〜図8(e)は、洗浄強さLvnにおける脈動する洗浄水の圧力を示すグラフである。洗浄強さLvnのnの数字が大きくなるほど、洗浄強さが強くなり、洗浄水の流量が多くなる。この洗浄強さは水勢設定スイッチ307、308により調整される。図10は水道配管201から容積型ポンプ14までの洗浄水の圧力を示すグラフである。縦軸は洗浄水の圧力を示し、横軸は洗浄水が流れる位置を示す。
【0064】
減圧弁8の下流側に配置される固定オリフィス9に供給される給水圧力が常にほぼ一定となるように、減圧弁8は流出部43の2次圧を調整する。たとえば、図10に示すように、減圧弁8は、水道配管201から0.2MPaで流入する洗浄水の圧力を0.07MPaに下げる。
【0065】
第1のバキュームブレーカ31は減圧弁8の下流側に配置される。減圧弁8によって一定圧力に減圧された洗浄水が、流入口71から第1のバキュームブレーカ31内に供給される。
【0066】
切替弁16が開いている場合は、洗浄水は、固定オリフィス9を通って、流出口72に流れる。このとき、固定オリフィス9の径は、流入口71の径および流出口72の径に比べて小さい。このため、流入口71から固定オリフィス9に向かって管路の断面積が急激に縮小し、反対に固定オリフィス9から流出口72に向かって管路の断面積が急激に拡大する。このような断面積の変化により、固定オリフィス9を通過する洗浄水に圧力損失が生じる。図10に示すように、この固定オリフィス9を通過する洗浄水の流量が少ないほど、固定オリフィス9による圧力損失が小さく、流出口72における洗浄水の圧力が高くなる。一方、固定オリフィス9を通過する洗浄水の流量が多いほど、固定オリフィス9による圧力損失が大きく、流出口72における洗浄水圧力が低くなる。このように、固定オリフィス9により圧力が低下した洗浄水は、流量センサ11、熱交換器12および温度センサ13a、13bを介して容積型ポンプ14に流入する。このため、水勢設定スイッチ307、308によって使用者が設定流量を変化すると、容積型ポンプ14の動作速度に応じて固定オリフィス9を通過する洗浄水の流量が変わるため、容積型ポンプ14の入口における洗浄水の圧力が変化する。
【0067】
続いて、固定オリフィス9により減圧された洗浄水は容積型ポンプ14に流入する。このとき、容積型ポンプ14の圧送ピストン83が下方向に移動すると、ポンプ室82aの容積が増加する。この場合、ポンプ室82aの圧力が流入部84よりも圧力が低くなるため、洗浄水が流入部84aからポンプ室82aに供給される。一方、圧送ピストン83が上方向に移動すると、ポンプ室82aの容積が減少する。この場合、ポンプ室82aの圧力が流出部85よりも圧力が高くなるため、洗浄水がポンプ室82aの流出部85aから吐出される。
【0068】
一方、このポンプ室82a内の洗浄水が流出部85aから吐出される過程において、ポンプ室82bの圧力が低下し、洗浄水が流入部84bからポンプ室82bへ供給される。反対に、洗浄水が流入部84aからポンプ室82aへ供給される過程において、ポンプ室82bの圧力が高まり、ポンプ室82bの洗浄水が流出部85bから吐出される。
【0069】
したがって、圧送ピストン83が上下運動を行うことにより、ポンプ室82a内の洗浄水とポンプ室82b内の洗浄水とに対して交互に圧力が加えられる。さらに、圧送ピストン83が往復する速度は一往復する間に変化することにより、流入部84の洗浄水に周期的な脈動が与えられる。この脈動する洗浄水の最低圧力は、容積型ポンプ14の流入圧にほぼ等しくなる。また、脈動する洗浄水の最大圧力は、容積型ポンプ14の負荷、ポンプ室82a、82bの容積変化の速度に対応した圧力となる。このように圧力が変化する洗浄水が、流出部85から吐出される。
【0070】
容積型ポンプ14において流入部84での圧力が上昇すると、容積型ポンプ14の負荷が低減し、脈動の最低圧力は上昇する。また、脈動の最高圧力は、容積型ポンプ14の負荷が一定である場合、ほぼ変化しない。このため、脈動の振幅は小さくなる。条件によっては、ほぼ脈動がない状態まで制御することができる。
【0071】
したがって、脈動する洗浄水の最大圧力は、容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が変化しても、ほぼ一定である。これに対し、脈動する洗浄水の最低圧力は、流入部84bから容積型ポンプ14に流入する洗浄水の圧力にほぼ等しい。容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が少ないほど、図10に示すように、固定オリフィス9の特性から、流入部84における洗浄水の圧力は大きくなる。このため、脈動する洗浄水の最低圧力も大きくなる。このため、図8(b)に示すように、脈動する洗浄水の最大圧力と最低圧力との差、つまり脈動の振幅は小さい。一方、容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が多いほど、図10に示すように、固定オリフィス9の特性から、流入部84における洗浄水の圧力は小さくなる。このため、脈動する洗浄水の最低圧力も小さくなる。よって、図8(e)に示すように、脈動の振幅は大きくなる。このように、洗浄水の流量に応じて、脈動の状態を制御することができる。つまり、洗浄水の流量が増えるほど、洗浄水の脈動を大きくすることができる。一方、洗浄水の流量が少ないほど、洗浄水の脈動を小さくすることができる。
【0072】
このように脈動を与えられた洗浄水は洗浄ノズル30から吐出される。このため、洗浄水の流量が少ない場合は、脈動の振幅が小さく、使用者に当たる洗浄水の圧力差が小さい。このため、使用者は洗浄水が当たる強さが弱いと感じ、洗浄水は使用者にやさしい感覚を与えることができる。逆に、洗浄水の流量が多い場合は、脈動の振幅が大きく、使用者に当たる洗浄水の圧力差が大きい。このため、使用者は洗浄水が当たる強さを強いと感じ、洗浄水は使用者に刺激的な感覚を与えることができる。したがって、使用者に一層幅広い感覚を提供することができる。
【0073】
また、容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が変化しても、脈動する洗浄水の最高圧力はほぼ一定である。このため、洗浄ノズル30から吐出される洗浄水の圧力は、脈動の振幅に関係なくほぼ一定である。従って、洗浄水の流量が少なく、洗浄水が使用者にやさしい感覚を与えているような場合でも、洗浄水の最高圧力は洗浄水の流量が多い場合と同じである。よって、洗浄水の洗浄能力も同じである。
【0074】
さらに、固定オリフィス9および容積型ポンプ14により、洗浄水の流量が調整されるだけで、脈動の振幅および脈動の周期を調整することができる。このため、洗浄水の流量および脈動の両方を制御する必要がなく、制御が簡素化する。
【0075】
[使用者による操作]
図2の遠隔操作装置300におけるおしり洗浄スイッチ303またはビデ洗浄スイッチ304を使用者が操作すると、切替弁16が制御部4により開かれる。これにより、水道配管201からの洗浄水は、入水圧力にかかわらず、減圧弁8によってほぼ一定圧力に減圧される。続いて、洗浄水は、その流量に応じて、固定オリフィス9によってさらに減圧される。この洗浄水の流量は、水勢設定スイッチ307、308によって設定される。このスイッチ307、308により使用者が洗浄強さを「弱」に設定すると、洗浄水の流量が最も少なく(Lv1)設定される。これにより、制御部4により容積型ポンプ14の圧送ピストン83の動作速度が低くされ、流出口85から吐出される流量が少なくされる。これに従って、固定オリフィス9を通る洗浄水の流量が少なくなるため、洗浄水の圧力損失は小さく、容積型ポンプ14入口での洗浄水の圧力が高くなる。図8(b)に示すように、脈動の振幅が小さく、かつ脈動周期が長い洗浄水が、操作されたスイッチ303、304に対応する洗浄ノズル30から吐出される。したがって、洗浄水の流量が少なく、脈動が小さいため、洗浄水が当たる感覚をやさしいと使用者は感じる。ただし、このときの洗浄水の最大圧力は、流量が多い場合の最大圧力とほぼ等しいことにより、洗浄能力は十分に発揮することができる。
【0076】
逆に、使用者が水勢設定スイッチ307、308を操作し、洗浄強さを「強」に設定すると、洗浄水の流量は多く(Lv2以上)設定される。これにより、制御部4により容積型ポンプ14の圧送ポストン83の動作速度が高くされ、流出口85から吐出される流量が多くされる。これに従って、固定オリフィス9を通る洗浄水の流量が多くなり、固定オリフィス9による圧力損失が大きく、容積型ポンプ14の入口での洗浄水の圧力が低くなる。容積型ポンプ14の回転速度(圧送ポストン83の動作速度)を洗浄流量に合わせて高くすることにより、図8(e)に示すように、脈動の振幅が大きく、かつ脈動周期が短い洗浄水が、操作されたスイッチ303、304に対応する洗浄ノズル30から吐出される。したがって、図8(a)〜図8(e)に示すように、洗浄水の流量が多くなるにつれて、脈動も大きくなるため、洗浄水が当たる際の刺激が強く、しっかり洗浄されているという感覚を使用者は得られる。
【0077】
このように、流量設定部である水勢設定スイッチ307、308によって、使用者が洗浄の強さを洗浄水の流量の少ないLv1に設定した場合には、洗浄ノズル30から吐出される洗浄水の脈動が小さくなる。これにより、やさしく洗浄される感覚を使用者に与えることができる。洗浄の強さが洗浄水の流量の多いLv4やLv5に設定されると、洗浄ノズル30から吐出される洗浄水の脈動が大きくなる。これにより、しっかり洗浄される感覚を使用者に与えることができる。このように、使用者に一層幅広い洗浄される感覚を提供することができる。
【0078】
[作用、効果]
以上のように、減圧弁8は、水供給源である水道配管201から前流路202に供給される洗浄水の圧力を減圧する。このため、減圧弁8の下流側に配置される固定オリフィス9に供給される給水圧力が、常にほぼ一定となる。これにより、水供給源の供給水圧が異なる場合や変動する場合においても、一定圧力の洗浄水が固定オリフィス9に与えられる。それゆえ、固定オリフィス9および容積型ポンプ14により、流量に応じた脈動を洗浄水に安定して与えることができる。
【0079】
また、固定オリフィス9が第1のバキュームブレーカ31の吸気口74よりも下流側に配置されている。このため、吸気口74よりも上流側の前流路202が負圧になり、人体洗浄ノズル30から汚水が逆流しようとした場合に、流路が減縮された固定オリフィス9により逆流しようとする洗浄水の流量が抑制される。よって、第1のバキュームブレーカ31に汚水が流入することが防止され、第1のバキュームブレーカ31の機能を維持することができる。
【0080】
さらに、水道配管201と洗浄ノズル30との間に設けられた容積型ポンプ14は、洗浄ノズル30から吐出される洗浄水に脈動を生じることができる。特に、容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が少ないほど、洗浄水の脈動の振幅は小さく、脈動周期は長くすることができる。このように、設定流量および脈動の振幅が小さく、脈動の周期が長いことにより、洗浄水が当たる強さが弱く、やさしく洗浄される感覚を使用者に与えられる。逆に、設定流量および脈動の振幅が大きく、脈動周期が短いことにより、洗浄水の当たる強さが強く、しっかり洗浄される感覚が使用者に与えられる。このため、使用者に幅広い洗浄感を提供することができる。
【0081】
また、使用者が流量設定部307、308により設定した洗浄水の流量に基づいて、水道配管201から供給される洗浄水の流量は制御される。この流量により上記の通り洗浄水の脈動の振幅および周期が変化する。よって、使用者の操作に基づいて、洗浄水の流量だけでなく、脈動の状態も変化させることができる。
【0082】
さらに、容積型ポンプ14の上流側に設けられた固定オリフィス9の圧力損失により、洗浄水の流量に応じて、容積型ポンプ14に流入する圧力が変化される。そして、この圧力に基づいて、脈動する洗浄水の最低圧力が決められ、延いては、脈動の振幅が決められる。それゆえ、固定オリフィス9および容積型ポンプ14により、洗浄水の流量が設定されるだけで、脈動状態も決められる。
【0083】
さらに、熱交換器12の上流側に接続された第1のバキュームブレーカ31と、熱交換器12の下流側に接続された第2のバキュームブレーカ61とにより、人体洗浄ノズル30や便器ノズル40からの汚水の逆流が防止される。また、バキュームブレーカ31、61が熱交換器12およびノズル30、40に比べて高い位置に配置されている。このため、バキュームブレーカ31、61よりも上流側で負圧が発生しても、熱交換器12内の洗浄水が人体洗浄ノズル30や便器ノズル40から不用意に流失して、熱交換器12が空焚きになることが防止される。
【0084】
また、第1のバキュームブレーカ31と固定オリフィス9とが一体的に形成されていることにより、本体部200における配管が簡素化され、かつ、本体部200が小型化する。さらに、配管が内圧で伸縮することより第1のバキュームブレーカ31の動作の遅延や誤作動が防止されるため、固定オリフィス9および第1のバキュームブレーカ31の機能を確実に実行することができる。
【0085】
さらに、バッファタンク15は熱交換器12から洗浄ノズル30に洗浄水が流れる流路に配置されている。これにより、バッファタンク15は熱交換器12で加熱された洗浄水の温度緩衝部として作用し、人体洗浄ノズル30に供給される洗浄水の温度むらを抑制することができる。バッファタンク15と第2のバキュームブレーカ61とが一体的に設けられていることにより、衛生洗浄装置100が小型化される。
【0086】
なお、上記実施の形態では、衛生洗浄装置100は便器700上に配置され、主に人体の局部の洗浄に用いられた。これに限らず、顔や頭、手、足などの洗浄、ペット等の動物の洗浄、または生き物以外の洗浄などにも衛生洗浄装置が用いられる。
【0087】
また、上記実施形態では、人体洗浄ノズル30は、おしり洗浄ノズル1、ビデ洗浄ノズル2およびノズル洗浄用ノズル3を含むが、これに限定されない。たとえば、人体洗浄ノズル30は、これらのノズル1〜3の全てを含まなくてもよいし、これ以外のノズルを含んでもよい。また、人体洗浄ノズル30は、人体の局部やノズルを洗浄する以外の部分を洗浄するノズルにも使用される。
【0088】
さらに、上記実施の形態では、脈動発生部に容積型ポンプ14が用いられたが、これ以外のポンプ、たとえば電磁ポンプを用いることもできる。
【0089】
また、上記実施の形態では、固定オリフィス9は第1のバキュームブレーカ31に一体的に設けられていた。ただし、オリフィスは、第1のバキュームブレーカ31と別に設けられ、第1のバキュームブレーカ31に固定されていなくてもよい。
【0090】
さらに、上記実施の形態では、固定オリフィス9は吸気口74よりも下流側に設けられた。ただし、固定オリフィス9は吸気口74の上流側に設けられてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、入水圧力調整部に減圧弁8および固定オリフィス9が用いられた。ただし、入水圧力調整部に減圧弁8が用いられなくてもよい。また、入水圧力調整部は、容積型ポンプ14に流入する洗浄水の流量が増えるにつれて、洗浄水の圧力が低下するものであればよい。
【0092】
以上に説明したように、衛生洗浄装置100は、洗浄水を吐出して人体を洗浄する人体洗浄ノズル30と、前記人体洗浄ノズル30に連通する流路の上流にあって前記洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部14と、前記脈動発生部14に入水する前の洗浄水の入水圧力を調整する入水圧力調整部9と、前記人体洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部307、308と、を備える。ここで、前記流量設定部307、308によって設定された設定流量に基づいて前記脈動発生部14により発生する洗浄水の脈動を変化させ、前記設定流量が多いほど前記人体洗浄ノズル30から吐出する洗浄水の脈動の振幅を増大させる。
【0093】
また、上記衛生洗浄装置100において、前記脈動発生部14は、容積型ポンプ14とした。
【0094】
さらに、上記衛生洗浄装置100において、前記入水圧力調整部9は、前記脈動発生部14へ洗浄水が入水する前の流路の一部の断面積を減縮することで入水圧力を調整する。
【0095】
また、上記衛生洗浄装置100において、前記入水圧力調整部9は、給水された洗浄水を減圧する減圧弁8と、固定オリフィス9とを有する。
【0096】
さらに、上記衛生洗浄装置100は、洗浄水の給水流路にバキュームブレーカ31を備える。ここで、前記固定オリフィス9は、前記バキュームブレーカと一体として設けた。
【0097】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、以上に説明した構成を有し、使用者が感じる洗浄水の強さの範囲を広げられる衛生洗浄装置100を提供することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0099】
8 減圧弁(入水圧力調整部)
9 固定オリフィス(入水圧力調整部)
14 容積型ポンプ(脈動発生部)
30 人体洗浄ノズル(洗浄ノズル)
31 第1のバキュームブレーカ(バキュームブレーカ)
100 衛生洗浄装置
307、308 水勢設定スイッチ(流量設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐出する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水に脈動を生起させる脈動発生部と、
前記脈動発生部に流入する前記洗浄水の圧力を調整する入水圧力調整部と、
前記洗浄ノズルから吐出する洗浄水の流量を設定する流量設定部とを備え、
前記脈動発生部は、前記流量設定部によって設定された前記流量が多いほど、前記洗浄ノズルから吐出する前記洗浄水の脈動の振幅を増大させるよう構成されている、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記脈動発生部は、容積型ポンプを含み、
当該容積型ポンプは、設定された前記流量が多いほど吐出量が増大するよう構成され、
前記入水圧力調整部は、前記容積型ポンプの吐出量が多いほど、当該容積型ポンプに流入する前記洗浄水の圧力を低く調整するよう構成されている、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記入水圧力調整部は、前記脈動発生部へ向かって洗浄水が流れる流路において断面積が局部的に縮小された部分を含む、請求項1または2記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記入水圧力調整部は、前記脈動発生部へ向かって洗浄水が流れる流路の径より小さな径のオリフィスと、前記オリフィスへ流入する前記洗浄水を減圧する減圧弁とを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
水供給源と前記洗浄ノズルとの間の流路に設けられたバキュームブレーカをさらに備え、
前記オリフィスが、前記バキュームブレーカと一体として設けられた、請求項4に記載の衛生洗浄装置。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図4】
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