説明

衛生用紙入りカートン

【課題】衛生用紙を一組ずつ確実に取り出すことができるとともに、ポップアップ方式で引出された次の衛生用紙を良好に取出口に保持することが可能な衛生用紙入りカートンを提供する。
【解決手段】本発明の衛生用紙入りカートン100は、箱の少なくとも一の面1aに、切取部13が取出口10の形状に沿って配設された切込線11によって形成されている衛生用紙収納用カートン101と、その一部が交互に折り重なるようにして収納された複数の衛生用紙107と、を備えた衛生用紙入りカートン100であって、切取部13が、取出口10を形成する面1aにおける衛生用紙107が交互に折り重なっている部位に相当する範囲B内に、長円形状に且つ切取部13の長手方向の中心線Y1が衛生用紙107の折り畳み線X1に対して傾斜角度θ傾いた状態で形成されている衛生用紙入りカートン100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用紙入りカートンに関する。さらに詳しくは、衛生用紙を一組ずつ確実に取り出すことができるとともに、ポップアップ方式で引出された次の衛生用紙を良好に取出口に保持することが可能な衛生用紙入りカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパー等の衛生用紙を収納したカートンは、一般に、概ね直方体の箱の一面(通常は箱の上面)に、ティシュペーパーを取出すための取出口を設けた構造を有するものである。使用者は、箱の一面に設けられている所定形状のミシン目状切込線に沿って切取片を切り離し、細長い取出口(開口部)を形成し、そこからティシュペーパーを取出す。そして、通常、その取出口の内面には、取出口を被覆するポリエチレンフィルム等のフィルムが貼着され、フィルムの中央部には直線状のスリットが設けられており(例えば、特許文献1参照)、内容物であるティシュペーパーは、上記フィルムのスリットを通して外部へ引出される。
【0003】
ティシュペーパーは、多くの場合二枚一組とされ、その一組が継続してカートン内部から取出せるように交互に折り重ねられて収納され、スリットからティシュペーパー一組が引出されたときに、次のティシュペーパー一組が箱の内部からスリットに保持される位置まで引出されるように、所謂ポップアップ方式で折り畳まれている。箱の内面に貼着した上記フィルムは、外部の塵や異物に対して内容物を保護するとともに、ティシュペーパーを外部に取出す際に、フィルムのスリット間での摩擦により、所謂ポップアップしたティシュペーパーが箱の内部に落ち込むことを防ぎ、ティシュペーパーを所定位置に保持する役割を果たしている。
【0004】
これに対し、ポリエチレンフィルム等のフィルムの材料コスト及び同フィルムを箱に貼りつける工程を省く目的で、取出口内面にフィルムを貼着しない構造の、所謂フィルムレスカートンが提案されている(例えば、特許文献2〜4、及び非特許文献1参照)。
【0005】
また、このようなフィルムレスカートンにおいては、箱の長手方向に細長く、略ひし形に形成した取出口の長手方向両端部を特定の角度形状に開口させることで、取出し中のティシュペーパーを取出口の両端部で保持できるようにして、箱内部への落ち込みをなくしたティシュペーパー入りカートンが提案されている(例えば、特許文献5参照)。さらに、取出口の形状をひし形に限定しないで、取出口の両端縁にスリットを形成してティシュペーパーを挟むようにしたカートンも提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0006】
さらに、カートンにおける取出口を形成する切取部が、この取出口を有する面の長辺方向の基準線に対し、傾斜角度θだけ傾いて配置されていることを特徴とするフィルムレスカートンも提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0007】
容器包装の廃棄物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、事業者のリサイクル責任を明確にした「容器リサイクル法」が1997年から本格施行され、循環型経済社会の構築に向けた動きが加速していることに鑑みれば、ティシュペーパー、キッチンペーパー等の衛生用紙の使用済みカートンを廃棄するとき、取出口に貼着したプラスチックフィルムをカートン本体からひき剥がし、分別して廃棄しなければならないことは、廃棄時の手間となり、問題である。上記フィルムレスカートンは、この問題を解決するものといえる。
【特許文献1】実公昭41−6464号公報
【特許文献2】実開昭57−167080号公報
【特許文献3】特開平9−150871号公報
【特許文献4】実開平4−80878号公報
【特許文献5】実開平6−72883号公報
【特許文献6】特開平9−30573号公報
【特許文献7】特開2005−225563号公報
【非特許文献1】王子製紙広報誌「森の響」、王子製紙広報室、2003年6月20日発行、夏号、P25−26
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のティシュペーパー入りカートンは、ポップアップ方式で折り畳まれたティシュペーパーを引出す際に、折り畳まれた次の衛生用紙まで同時に連続して引出してしまうことがあり、必要以上のティシュペーパーが一度に取れてしまうという問題があった。
【0009】
また、取出口両端部の形状が直線状であったり、取出口に備えられたフラップ端部の形状が角張っていたりすることにより、ティシュペーパーを外部に取出す際に、ティシュペーパーが取出口の角部等に引っ掛かり易く、上方に引上げたときに破れたり、ティシュペーパー一組ずつがポップアップ方式で継続してスムーズに取出すことができないという問題があった。
【0010】
ティシュペーパーの紙力は、収納箱内に保持されているティシュペーパーを引出す方向での紙力が問題であるが、紙力はティシュペーパーの他の品質要件との関連もあり、その変更は容易ではない。
【0011】
一方、特許文献5に示すカートンは、略ひし形状をした取出口の長手方向両端部の開口角度を60°から170°に設定したものであるが、その開口角度が60°未満のものではティシュペーパーを取出す際に角部に引っ掛かって破れたり取り出し難くなる一方、170°を超えると把持機能が低下して、ティシュペーパーが箱の中に落下し易いなどの問題があった。
【0012】
また、特許文献6に示すカートンの場合はスリットの入り口が狭いので、ティシュペーパーが取出し易いといえないとともに、スリットの形状が滑らかな形状でないので、ティシュペーパーが角部に引っ掛かるという問題があった。
【0013】
一方、非特許文献1によるフィルムレスカートンは、取出口を形成する切取部の左右の両端のフォルムを円弧状の曲線により構成することで、箱内のティシュペーパーを外に引出す際に、切取部の角等に引っ掛かって破れるのを防ぐことができるものである。しかし、フラップ部分を折り曲げて使用していると、使用により箱の中のティシュペーパーが少なくなった際に、箱の中にティシュペーパーが落下するおそれがあり、ティシュペーパーを一組ずつポップアップ方式で継続してスムーズに取出できるようにするという点で、改善の余地があった。
【0014】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、衛生用紙を一組ずつ確実に取り出すことができるとともに、ポップアップ方式で引出された次の衛生用紙を良好に取出口に保持することが可能な、衛生用紙入りカートンを提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記目的が達成できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
即ち、本発明によれば、箱の少なくとも一の面に、取出口を形成するための切取部が、前記取出口の形状に沿って配設された切込線によって形成されている衛生用紙収納用カートンと、前記衛生用紙収納用カートンの内部にその一部が交互に折り重なるようにして収納された複数の衛生用紙と、を備えた衛生用紙入りカートンであって、前記切取部が、前記取出口を形成する前記面における、前記衛生用紙が交互に折り重なっている部位に相当する範囲内に、長円形状に且つ前記切取部の長手方向の中心線が前記衛生用紙の折り畳み線に対して傾斜角度θ傾いた状態で形成されている衛生用紙入りカートンが提供される。
【0016】
本発明の衛生用紙入りカートンは、上記したように、衛生用紙の折り畳み線に対して傾斜角度θ傾いた状態の長円形状の取出口が、取出口を形成する面における、衛生用紙が交互に折り重なっている部位に相当する範囲内に形成されているため、ポップアップ方式で折り畳まれている衛生用紙の一番上の衛生用紙を取出した場合に、この衛生用紙(一番上の衛生用紙)によって引出された次の衛生用紙は、略半分程度引出されたところで、傾斜した長円形状の取出口のいずれか一方の端部内周縁によって抑えられて保持される。このため、二組以上の衛生用紙が一度に引出されることがなく、必要な枚数の衛生用紙を衛生用紙収納用カートンから取出すことができる。
【0017】
また、切取部の形状は、角の無い長円形状であるため、衛生用紙を取出口の上方以外の方向、例えば、カートンのいずれかの側面の方向に向けて引出した場合や、斜め上方に向けて引出した場合でも、衛生用紙が破けたり傷つくことがない。勿論、本発明の衛生用紙入りカートンは、側面の方向等に向けて衛生用紙を引出した場合でも、上記した衛生用紙を一組ずつ確実に取り出すことができる効果、及びポップアップ方式で引出された次の衛生用紙を取出口に良好に保持する効果を得ることができる。
【0018】
また、切取部の形状が簡易な形状であることから、取出口を開封する際に、切取部が摘み易く開封が容易であるとともに、取出口の層間剥離等を有効に抑制することができる。また、取出口開封後に、取出口の中央部分から容易に指を差し入れることができ、確実に最初の一枚を摘み上げることができる。
【0019】
また、切取部を衛生用紙の折り畳み線に対して傾斜した状態に形成することにより、概ね、切取部が衛生用紙収納用カートンを構成する紙材料(カートン用紙ともいう)の「紙の目」に対して傾斜して形成されることとなり、切取部を衛生用紙収納用カートンから引剥がす際に、カートン用紙が紙の目に沿って破けてしまうのを抑制する効果も期待することができる。
【0020】
なお、本実施の形態の衛生用紙入りカートンは、前記切取部の全周の半分の長さが、前記衛生用紙の前記折り畳み線の長さよりも短いことが好ましい。このように構成することによって、衛生用紙によって引出される次の衛生用紙が、長円形状の取出口のいずれか一方の端部内周縁によって抑え付けられ易くなり、一組ずつ必要な分だけ衛生用紙を確実に取り出すことができる。また、この次の衛生用紙は、取出口の外周形状に沿うように曲げられて(丸められて)保持されるため、半分程度引出された次の衛生用紙が型崩れすることなく、次回の衛生用紙の引出しが容易になる。
【0021】
また、本発明の衛生用紙入りカートンは、取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配設されていない、所謂フィルムレスカートンであることが好ましい。このように構成することによって、廃棄時に紙製カートンとフィルムの分別作業が必要なくなり、環境にやさしいものとなる。また、フィルムをなくすことにより、材料費の節約に留まらず、製造工程が短縮でき、省エネルギー、省資源を達成することができる。
【0022】
なお、本明細書において、カートンとは、木材パルプ、古紙等を原料とする厚紙等の紙材料を主体に製造した収納箱のことであり、主にティシュペーパー、ペーパータオル、等の衛生用紙を収納した収納箱のことである。また、本明細書において、衛生用紙とは、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙を総称する概念である(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)。
【0023】
本発明の衛生用紙入りカートンにおいては、前記切取部の前記中心線と前記衛生用紙の折り畳み線とがなす前記傾斜角度θが、−90°<θ≦−5°又は5°≦θ<90°であることが好ましく、−60°≦θ≦−5°又は5°≦θ≦60°であることがさらに好ましい。傾斜角度θが、−5°を超え且つ5°未満であると、傾斜角度θが小さすぎ、取出口を傾斜させることによる効果が小さくなり、例えば、引出された次の衛生用紙の保持が困難になることがある。一方、傾斜角度θが−90°又は90°であると、取出口が完全に横に向いてしまうため、例えば、衛生用紙の取出しが困難になることがある。
【0024】
本発明の衛生用紙入りカートンは、取出口から所定距離離れた略全周に亘って、取出口を囲うように押し罫が形成されていることが好ましい。このように構成することによって、取出口周囲の構造強度を向上させて破れ等の破損を抑制し、且つ生産速度を上げてもカートンに変形が生じ難く生産性の向上を図ることができる。また、衛生用紙を収納して使用する際に、押し罫によりカートンの歪みが抑制され、カートンの型崩れを良好に防止することができる。また、衛生用紙と取出口内周縁とが擦れる際に生じる音を小さくすることができる。
【0025】
また、本発明の衛生用紙入りカートンは、箱の取出口を形成する面とは反対側の面に、箱の内側に折り曲げることにより、衛生用紙を取出口側に押し上げる底上げ部が、底上げ部用切込線によって形成されていることが好ましい。これにより、衛生用紙を最後の一枚まで良好に取り出すことができる。
【0026】
なお、このような底上げ部が形成されている場合には、切取部の長手方向の中心線と、底上げ部の長手方向の中心線とが交差するように、切取部と底上げ部とが形成されていることが好ましい。上記の中心線を交差させることにより、衛生用紙を押し上げてポップアップさせる効果が増大する。
【0027】
また、取出口から所定距離離れた略全周に亘って押し罫を形成する場合には、押し罫が一重のものであってもよいし、二重以上のものであってもよい。なお、形成した押し罫の数に比例して、取出口周辺でのカートン用紙の層間剥離抑制や衛生用紙収納用カートンの機械的強度向上の効果が増大する。このため、必要とされる特性を満足することができるように、押し罫の数を決定することが好ましい。
【0028】
また、このような押し罫は、取出口を形成する面上のみに形成されていてもよいし、取出口を形成する面から、この面に隣接する側面にかけて形成されていてもよい。なお、押し罫が側面にかけてまで形成されている場合には、この側面におけるカートン用紙の強度を向上することができるとともに、取出口を形成する面と隣接する側面とによって構成される角部分の構造強度を向上することもできるため、衛生用紙収納用カートンの立体的な歪みを軽減することができる。
【0029】
さらに、本発明の衛生用紙入りカートンは、切取部に、長手方向の切取部を中央部近傍で二つに分割するための引剥がし用切込線が配設されていることが好ましい。このように構成することによって、切取部の引剥がしが容易になるとともに、切取部を引剥がす際のカートン用紙の層間剥離を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の衛生用紙入りカートンは、衛生用紙を一組ずつ確実に取り出すことができるとともに、ポップアップ方式で引出された次の衛生用紙を良好に取出口に保持することができる。例えば、二枚一組としてポップアップ方式で折り畳まれている衛生用紙の一番上の衛生用紙を取出した場合には、この衛生用紙によって引出された次の衛生用紙は、その端部が取出口内周縁の一部によって抑えられ、ポップアップ方式で保持するのに十分な抵抗が与えられる。なお、本発明の衛生用紙入りカートンは、衛生用紙を、衛生用紙収納用カートンの上方に引出したとしても、また、衛生用紙収納用カートンの側面側へと引出したとしても、いずれの場合でも衛生用紙を取出口に良好に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0032】
図1、図2、図3、図4、及び図5は、本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態を示す図である。図1及び図2は、本発明の衛生用紙入りカートンを示し、図2においては、下面板2に設けた底上げ部23を内側に折り曲げて使用している状態を示している。図3は、図1及び図2に示される衛生用紙入りカートンの衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図であり、図4は、図3における丸囲いしたA部分の拡大図である。また、図5は、本実施の形態の衛生用紙入りカートンを開封する様子を示す斜視図である。
【0033】
図1〜図4に示すように、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、箱の少なくとも一の面1aに、取出口10を形成するため切取部13が、取出口10の形状に沿って配設された切込線11によって形成されている衛生用紙収納用カートン101と、衛生用紙収納用カートン101の内部にその一部が交互に折り重なるようにして収納された複数の衛生用紙107と、を備えた衛生用紙入りカートン100であって、切取部13が、取出口10を形成する面1aにおける、衛生用紙107が交互に折り重なっている部位に相当する範囲B内に、長円形状に且つ切取部13の長手方向の中心線Y1が衛生用紙107の折り畳み線X1に対して傾斜角度θ傾いた状態で形成されている衛生用紙入りカートン100である。
【0034】
図1〜図4に示す衛生用紙収納用カートン101は、木材パルプ、古紙などを原料とする厚紙などの紙材料を主体に製造した収納箱であって、主にティシュペーパー、ペーパータオル、等の衛生用紙107を収納するための収納箱である。この衛生用紙収納用カートン101は、上面板1、下面板2、左右の側面板3,4、及び組み合わせで1つの端面を構成する端面板6,7で形成された箱である。この箱の少なくとも一の面(本実施の形態の衛生用紙入りカートン100に用いられる衛生用紙収納用カートン101においては、上面板1によって構成される面1a)に、取出口10を形成するため切取部13が、取出口10の形状に沿って配設された切込線11によって形成されている。
【0035】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100に用いられる衛生用紙収納用カートン101(以下、本衛生用紙収納用カートンということがある)は、取出口10を形成する面1aにおける衛生用紙107が交互に折り重なっている部位に相当する範囲B内に、長円形状に且つ切取部13の長手方向の中心線Y1が衛生用紙107の折り畳み線X1に対して傾斜角度θ傾いた状態で形成されている。なお、図3に示す衛生用紙収納用カートン101においては、切取部13に、長手方向の切取部13を中央部近傍で二つに分割するための引剥がし用切込線14が配設されている。
【0036】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100に用いられる衛生用紙107は、衛生用紙収納用カートン101の内部にその一部が交互に折り重なるようにして、ポップアップ方式によって収納されたものであり、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)を挙げることができる。
【0037】
通常、例えば、一枚ずつ又は二枚以上が一組として交互に折り重ねられた衛生用紙を引出した場合には、重なって折り込まれた次の衛生用紙が取出口まで引出されるものであるが、従来の衛生用紙入りカートンにおいては、引出した一番上の衛生用紙とともに次の衛生用紙が、完全に取出口から引出されてしまうことがあり、一度に二組以上の衛生用紙が同時に引出されてしまうことがあった。
【0038】
本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、衛生用紙107を衛生用紙収納用カートン101の取出口10から引出すと、次に引出される衛生用紙107は、長円形状の取出口10のいずれか一方の端部内周縁によって抑え付けられて止まるため、例えば、ティシュペーパー等の衛生用紙107を取出す際に、二組以上が一度に引出されてしまうことがない。また、衛生用紙107の残り枚数が減ったときも摩擦力によって、引出した次の衛生用紙107が取出口10に良好に保持され、衛生用紙収納用カートン101の内部に衛生用紙107が落下し難くなる。なお、傾斜した形状の切取部13が、取出口10を形成する面1aにおける、衛生用紙107が交互に折り重なっている部位に相当する範囲Bを超えて形成されていると、連続して引出される次の衛生用紙107を取出口10で抑えることができず、一度に二組以上の衛生用紙が同時に引出されてしまう。
【0039】
また、このように取出口10が傾斜角度θ傾いた状態のユニークさが使用者に独特の印象を与えることになり、心理的にも消費者の購買意欲を高める効果を発揮する。
【0040】
本実施の形態の衛生用紙入りカートン100においては、取出口10を形成する面1aに対して垂直に衛生用紙107を引抜いたとしても、また、衛生用紙収納用カートン101の側面3,4側や斜め上方へと衛生用紙107を引抜いたとしても、いずれの場合でも引出した次の衛生用紙107を取出口10に良好に保持することができる。
【0041】
また、切取部13を衛生用紙107の折り畳み線X1に対して傾斜した状態に形成することにより、概ね、切取部13が、衛生用紙収納用カートン101を構成する紙材料(カートン用紙ともいう)の「紙の目」に対して傾斜して形成されることとなり、切取部13を衛生用紙収納用カートン101から引剥がす際に、カートン用紙が紙の目に沿って破けてしまうのを抑制する効果も期待することができる。
【0042】
ここで、図6〜図8を参照して、本実施の形態の衛生用紙入りカートンから、衛生用紙を引出す際の動作について説明する。なお、図6〜図8は、本実施の形態の衛生用紙入りカートンから、衛生用紙を引出す際の動作を示す説明図である。
【0043】
図6に示すように、通常、衛生用紙入りカートン100の使用状態においては、一番上の一組の衛生用紙(以下、「一番上の衛生用紙」という)107aが取出口10から半分起立した状態で保持されている。この際、一番上の衛生用紙107aは、ポップアップ方式に折り畳まれた上半分が取出口10から出ており、この一番上の衛生用紙107aの折り畳み部位がある側の取出口10の内周縁に沿った状態、即ち、図6においては、側面4a側の取出口10内周縁に沿った状態で保持されている。
【0044】
この一番上の衛生用紙107aを上方に引出していくと、図7に示すように、一番上の衛生用紙107aの折り畳まれていた下半分側が引出されると同時に、一番上の衛生用紙107aに折り込まれた次の組の衛生用紙(以下、「次の衛生用紙」という)107bの上半分の一部が引出される。この際、側面4a側の外周に沿った状態の一番上の衛生用紙107aは、この一番上の衛生用紙107aの下端がある側、即ち、図7における衛生用紙収納用カートン101の側面3a側へと移動していく。
【0045】
さらに一番上の衛生用紙107aを引出すと、図8に示すように、一番上の衛生用紙107aの下端が完全に取出口10から離れ、一番上の衛生用紙107aが取出される。この際、次の衛生用紙107bは、側面3a側の取出口10の端部によって抑え付けられるため、上半分程度が引出された状態で取出口10に保持される。
【0046】
このようにして半分程度引出された次の衛生用紙107は、取出口10の側面4a側の外周に沿った状態で曲げられて(丸められて)いるため、この次の衛生用紙107bが型崩れすることなく、次回の使用時に衛生用紙107bの引出しが容易になる。
【0047】
以上のようにして、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100から衛生用紙107を一組ずつ確実に取り出すことができる。
【0048】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、図1〜図4に示すように、切取部の形状が角の無い長円形状であるため、衛生用紙107aを取出口10の上方以外の方向、例えば、衛生用紙収納用カートン101の側面3a,4aの方向に向けて引出した場合や、斜め方向に向けて引出した場合でも、衛生用紙107が破け難くなっている。また、取出口10を開封する際に切取部13が摘み易く開封が容易であり、取出口10の層間剥離等を有効に抑制することができる。また、開封後に取出口10の中央部分から容易に指を差し入れることができ、確実に最初の一枚を摘み上げることができる。
【0049】
なお、衛生用紙収納用カートン101の切取部13の形状である長円形状とは、完全な長円形状のみならず、長円に類する形状、例えば、たまご型や、長円の一部が歪んでいたり直線である形状についても、おおよそ長円とみなすことができる形状は長円に含まれるものとする。
【0050】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、衛生用紙収納用カートン101の切取部13の全周の半分の長さが、衛生用紙107の折り畳み線X1の長さよりも短いことが好ましい。このように構成することによって、取出した衛生用紙107aによって引出される次の衛生用紙107bが、長円形状の取出口10のいずれか一方の端部側部分に抑え付けられ易くなり、一組ずつ必要な分だけ衛生用紙107を確実に取り出すことができる。また、取出口10に保持される衛生用紙107が、取出口10の端部を含む外周に沿った状態で曲げられるため、衛生用紙107が型崩れすることなく、次回の引出しがより容易になる。
【0051】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、例えば、衛生用紙107を上面板の上方に向けて引出すのではなく、例えば、図9に示すように、衛生用紙収納用カートン101の側面側(図9においては、側面4a側)へと引出した際にも、次の衛生用紙107を良好に保持することが可能となる。このように衛生用紙107を側面4a側へと引出した場合にも、次に引出される衛生用紙107は、取出口10のいずれか一方の端部内周縁側に抑え付けられて保持されるため、二組以上の衛生用紙107が一度に引出されてしまうことはない。なお、図9は、本実施の形態の衛生用紙収納用カートンを示す図であり、衛生用紙を側面側へと引出した使用状態を示す斜視図である。なお、図9において、図1と同様の各構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図3及び図4に示すような切込線11は、直線状の切れ目(スリット)で形成されていても、部分的につながりを有するミシン目状のものでもよく、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、2重線のミシン目でもよい。切込線11は、ミシン目状切込線、上記ジッパーでもよく、切断面を滑らかにするために、連続した切れ目や、切れ目の寸法よりも短いつなぎ部(接続部)を有する不連続の切れ目としてもよい。
【0053】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100においては、切取部13の中心線Y1と衛生用紙107の折り畳み線X1とがなす傾斜角度θが、−90°<θ≦−5°又は5°≦θ<90°であることが好ましく、−60°≦θ≦−5°又は5°≦θ≦60°であることがさらに好ましい。傾斜角度θが、−5°を超えて5°未満であると、傾斜角度θが小さすぎ、取出口10を傾斜させることによる効果が小さくなり、例えば、引出された衛生用紙107を取出口10に保持することが困難になることがある。一方、傾斜角度θが−90°又は90°であると、取出口10が完全に横に向いてしまうため、例えば、衛生用紙107の取出しが困難になることがある。
【0054】
図3に示す衛生用紙収納用カートン101は、切取部13が、衛生用紙107の折り畳み線X1に対して反時計回りに傾斜角度θ傾いた状態で形成されているいるものであるが、勿論、時計回りに傾斜角度θ傾いた状態で形成されたものであってもよい。
【0055】
なお、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100における衛生用紙収納用カートン101の切取部13を引剥がして開封する際には、図5に示すように、まず、切取部13の中央部を指で押圧して引剥がし用切込線14を破断し、この中央部分から箱の内側に指を指し込み、箱の上面板1から半分になった切取部13のいずれか一方を摘み上げて、一方の切取部13を引剥がして半分開封する。次に、半分になった他方の切取部13を引剥がし、切取部13の形状に相当する取出口10を形成する。なお、図5に示す引剥がし用切込線14は、中央部分を指で押圧した際の破断が容易となるように、押圧する指の形状に沿って、切取部13の引剥がし用切込線14の破断部分の一方側が凸、他方側が凹となるように形成されている。
【0056】
この後、形成された取出口10から指を入れ、最上部の一組目の衛生用紙107を摘んで上方に取出せばよい。一組目の衛生用紙107を取出すと、箱内に積層した衛生用紙107は一組ずつ互い違いに折り込まれているため、これに連れて、これに続く次の衛生用紙107が引出される。
【0057】
図5に示す衛生用紙入りカートン100は、その略中央部において切取部13を分割して引剥がすことができるように、長手方向の切取部13を中央部近傍で二つに分割するための引剥がし用切込線14が配設されているため、切取部13の引剥がしが容易であるとともに、切取部13の引剥がし時の層間剥離を良好に抑制することができる。なお、このような引剥がし用切込線14は、切取部13を形成する切込線11と同様に構成されたものであることが好ましい。
【0058】
これまでに説明したように、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、取出口10を被覆するフィルム等を配設しなくとも、所定の範囲に形成された傾斜した取出口10によって次の衛生用紙107bを保持することができることから、衛生用紙収納用カートン101が、取出口10を形成する面1aの内側に取出口10を被覆するフィルムが配設されていない衛生用紙収納用カートン、所謂フィルムレスカートンであることが好ましい。
【0059】
なお、図1及び図2においては、衛生用紙107の折り重なっている部分の幅が、取出口10を形成する面1aの幅と略同程度である場合を示しているが、例えば、図10に示すように、衛生用紙107の折り重なっている部分に相当する範囲Bが狭い(図10においては、衛生用紙107の折り重なっている部分に相当する範囲Bが、面1aの幅の略半分である)場合には、切取部13を形成する範囲も、この衛生用紙107の折り重なっている部分に相当する範囲Bに応じて狭くする。これにより、衛生用紙107の折り重ね方が異なる場合であっても、二組目以降の衛生用紙107を取出口10のいずれか一方の端部内周縁によって有効に抑え付けることができ、衛生用紙107を一組ずつ確実に取り出すことが可能となる。ここで、図10は、本実施の形態の衛生用紙入りカートンの他の例を示す上面図である。なお、図10において、図1と同様の各構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
また、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、図11に示すように、取出口10から所定距離離れた略全周に亘って、取出口10を囲うように押し罫15が形成されていることが好ましい。ここで、図11は、本実施の形態の衛生用紙入りカートンの他の例を示す図であり、衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。なお、図11において、図3と同様の各構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
このように構成することによって、通常5層程度の多層構造を有するカートン用紙が部分的に圧縮され、取出口10を形成した面1aが平面を維持しようとするカートン用紙の強度が向上する。これにより、取出口10周辺の層間剥離の発生を有効に防止することができ、取出口10の切れや破れ等の破損を抑制することができる。また、取出口10を形成した面1aには、潰れや坐屈が発生し難くなる。さらに、衛生用紙収納用カートン101の生産時(組立時)においては、生産速度を上げても箱に変形が生じ難く生産性の向上を図ることができる。また、衛生用紙を収納した状態で使用するに際し、押し罫によりカートンの歪みが抑制され、カートンの型崩れを良好に防止することができる。また、取出口10の変形が抑制されるため、衛生用紙と取出口10内周縁とが擦れる際に生じる音を小さくすることができる。
【0062】
また、図11に示す衛生用紙収納用カートン101は、取出口10から所定距離離れた略全周に亘って、一重の押し罫15が形成されているが、例えば、図示は省略するが、取出口から所定距離離れた略全周に亘って、二重の押し罫が形成されていてもよい。このように構成することによって、取出口における引っ張りや圧縮の力に対抗する強度をさらに向上することができるとともに、衛生用紙収納用カートンに変形がより生じ難くなる。
【0063】
なお、取出口10内周縁から押し罫15までの距離については特に制限はないが、例えば、5〜11mmとすることが好ましい。このように構成することによって、構造強度を良好に向上することができる。
【0064】
また、図11に示す衛生用紙収納用カートン101は、取出口10を形成する面1a上のみに押し罫15が形成されているものであるが、例えば、図示は省略するが、取出口を形成する面から、この面に隣接する側面(図11における側面板3,4によって構成される面3a,4a)にかけて押し罫が形成されていてもよい。なお、押し罫が側面にかけてまで形成されている場合には、この側面におけるカートン用紙の強度をより向上することができるとともに、この上面と側面とによって構成される角部分の構造強度を向上することもできるため、衛生用紙収納用カートンの立体的な歪みを軽減することができる。
【0065】
図3及び図11に示す衛生用紙収納用カートン101においては、長手方向の切取部13の略中央部分に引剥がし用切込線14が配設されたものを示しているが、例えば、図12に示すように、切取部13の長手方向の一方の端部側に引剥がし用切込線14が形成されたものであってもよい。なお、引剥がし用切込線14の形状については特に制限はないが、例えば、開封時に指で押圧した場合に、破断した部分から指を箱の内側に指し込み、切取部13を引剥がすことができるような形状であることが好ましい。
【0066】
さらに、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100は、箱の取出口10を形成する面1aとは反対側の面2a、即ち、下面板2を構成する面2aに、箱の内側に折り曲げることにより、衛生用紙107を取出口10側に押し上げる底上げ部23が、底上げ部用切込線21によって形成されていることが好ましい。これにより、衛生用紙入りカートン100は、内部に収納した衛生用紙107の残量が少なくなったときには、図4に示されるように、下面板2に設けた一対の底上げ部23を箱の内側に折り曲げて使用することができる。
【0067】
底上げ部23は、例えば、略円弧状の底上げ部用切込線21を破断し、略円弧状の弦部分に対応して設けられた折れ線22をヒンジ部として、略半円に区画された部位を箱の内側に折り曲げることによって形成することができる。なお、図3においては、二つの略半円に区画された部位が一対となって底上げ部23を構成している。このような底上げ部23を形成することにより、上面の取出口10から、衛生用紙107の最後の一枚まで安定してポップアップさせて取出すことが可能となる。なお、この底上げ部23は、衛生用紙収納用カートン101の側面3a,4aの高さが大きいほど上記の効果が大きく、且つその効果を持続するものとなる。なお、底上げ部用切込線21は、切取部13を形成する切込線11と同様に構成されたものであることが好ましい。
【0068】
なお、底上げ部23が形成されている場合には、図3及び図11に示すように、切取部13の長手方向の中心線Y1と、底上げ部23の長手方向の中心線Y2とが交差するように、即ち、中心線Y1と中心線Y2とが平行にならないように、切取部13と底上げ部23とが形成されていることが好ましい。これにより、衛生用紙107を押し上げてポップアップさせる効果が増大する。例えば、図3においては、底上げ部23の長手方向の中心線Y2と折り畳み線X1に平行な線X2とは平行となるように形成されているが、取出口10が傾斜角度θ傾いて形成されているため、切取部13の長手方向の中心線Y1と、底上げ部23の長手方向の中心線Y2とは交差するものとなる。
【0069】
特に、切取部13の長手方向の中心線Y1と、底上げ部23の長手方向の中心線Y2とを交差させる際には、衛生用紙入りカートン100の面1aの上方から見た際の、切取部13の長手方向の中心線Y1と底上げ部23の長手方向の中心線Y2とによって構成される角度(θ+φ)の絶対値が30°〜150°であることが好ましく、60°〜120°であることがさらに好ましく、90°である(即ち、中心線Y1と中心線Y2とが直交する)ことが特に好ましい。このように中心線Y1と中心線Y2とによって構成される角度(θ+φ)を比較的広くとることにより、上記した衛生用紙107を上面側に押し上げてポップアップさせる効果が増大する。
【0070】
このため、例えば、図11のような展開図において、取出口10の傾斜角度θと、底上げ部23の傾斜角度φとを、同一の方向に傾斜させて、取出口の長手方向の中心線Y1と底上げ部23の長手方向の中心線Y2とによって構成される角度(θ+φ)を90°に近づけるようにすることが好ましい。
【0071】
また、衛生用紙入りカートン100を開封する際に、切取部13が破断したり、切取部13の周辺部に切れ目が生じたりしないようにするためには、衛生用紙収納用カートン101の材質を考慮する必要がある。本実施の形態の衛生用紙入りカートン100においては、木材パルプ、古紙などを原料とする厚紙により製造することが好ましく、この場合、JISP8116−2000に規定する引裂強度が、縦方向2500〜2900mN、横方向3000〜3400mNの範囲であることが好ましい。引裂強度が低すぎると破断し易く、必要以上に引裂強度があると開口し難くなったりするため、好ましくない。
【0072】
また、特に限定されることはないが、本実施の形態の衛生用紙入りカートン100においては、切取部13が、取出口10を形成する面の長辺方向における中央部分の20〜70%の範囲に形成されていることが好ましく、25〜65%の範囲に形成されていることがさらに好ましい。このように構成することによって、次の衛生用紙の両端を抑え付ける力が強くなり、衛生用紙を一組ずつより確実に取り出すことができる。
【0073】
さらに、このように構成することによって、上記面1aの長辺方向におけるそれぞれの端部の略15%以上の範囲には、少なくとも取出口10が形成されることはなく、例えば、取出口が長手方向に比較的に長く形成されている従来の衛生用紙収納用カートンと比較して、収納箱としての構造強度を向上させることができる。このため、例えば、衛生用紙収納用カートンを形成するための紙材料(カートン用紙)を薄くすることも可能となり、経済的効果も期待することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等のカートンとして、好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態を示す図であり、使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示される衛生用紙入りカートンの所定の切断線における断面図である。
【図3】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態の一例を示す図であり、衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図4】図3における丸囲いしたA部分の拡大図である。
【図5】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態を示す図であり、開封する様子を示す斜視図である。
【図6】本発明の衛生用紙入りカートンから、衛生用紙を引出す際の動作を示す説明図である。
【図7】本発明の衛生用紙入りカートンから、衛生用紙を引出す際の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の衛生用紙入りカートンから、衛生用紙を引出す際の動作を示す説明図である。
【図9】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態を示す図であり、衛生用紙を側面側へと引出した使用状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【図11】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態の他の例を示す図であり、衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図12】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施の形態の他の例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 上面板
1a 面(取出口を形成する面)
2 下面板
2a 面(底上げ部を形成する面)
3,4 側面板
3a,4a 側面(面)
6,7 端面板
10 取出口
11 切込線
13 切取部
14 引剥がし用切込線
15 押し罫
21 底上げ部用切込線
22 折れ線
23 底上げ部
100 衛生用紙入りカートン
101 衛生用紙収納用カートン
107 衛生用紙
107a 一番上の衛生用紙(衛生用紙)
107b 次の衛生用紙(衛生用紙)
B 衛生用紙が交互に折り重なっている部位に相当する範囲
X1 衛生用紙の折り畳み線
X2 線X1に平行な線
Y1 切取部の長手方向の中心線
Y2 底上げ部の長手方向の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱の少なくとも一の面に、取出口を形成するための切取部が、前記取出口の形状に沿って配設された切込線によって形成されている衛生用紙収納用カートンと、前記衛生用紙収納用カートンの内部にその一部が交互に折り重なるようにして収納された複数の衛生用紙と、を備えた衛生用紙入りカートンであって、
前記切取部が、前記取出口を形成する前記面における、前記衛生用紙が交互に折り重なっている部位に相当する範囲内に、長円形状に且つ前記切取部の長手方向の中心線が前記衛生用紙の折り畳み線に対して傾斜角度θ傾いた状態で形成されている衛生用紙入りカートン。
【請求項2】
前記切取部の全周の半分の長さが、前記衛生用紙の前記折り畳み線の長さよりも短い請求項1に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項3】
前記衛生用紙収納用カートンが、前記取出口を形成する前記面の内側に、前記取出口を被覆するフィルムが配設されていないフィルムレスカートンである請求項1又は2に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項4】
前記切取部の前記中心線と前記衛生用紙の折り畳み線とがなす前記傾斜角度θが、−90°<θ≦−5°又は5°≦θ<90°である請求項1〜3のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項5】
前記取出口から所定距離離れた略全周に亘って、前記取出口を囲うように押し罫が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項6】
前記箱の前記取出口を形成する前記面とは反対側の面に、前記箱の内側に折り曲げることにより、前記衛生用紙を前記取出口側に押し上げる底上げ部が、底上げ部用切込線によって形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項7】
前記切取部の前記中心線と、前記底上げ部の長手方向の中心線とが交差するように、前記切取部と前記底上げ部とが形成されている請求項6に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項8】
前記取出口から所定距離離れた略全周に亘って、二重以上の前記押し罫が形成されている請求項5〜7のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項9】
前記押し罫が、前記取出口を形成する前記面から、前記面に隣接する側面にかけて形成されている請求項5〜8のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項10】
前記切取部に、長手方向の前記切取部を中央部近傍で二つに分割するための引剥がし用切込線が配設されている請求項1〜9のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−145356(P2007−145356A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340898(P2005−340898)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】