説明

衛生用紙入りカートン

【解決課題】本発明は,衛生用紙の使用開始時だけでなく,使用開始時から使用終了時まで,効果的に情報要素を表示することができる衛生用紙入りカートン提供することを解決課題とする。
【解決手段】本発明は,衛生用紙の取出口蓋の内部側の面に情報要素が印刷表示されている衛生用紙入りカートンに関する。このことにより,本発明は,衛生用紙の使用開始時から使用終了時まで,効果的に,注意喚起及び情報伝達をすることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,衛生用紙入りカートンに関する。具体的に説明すると,本発明は,衛生用紙の取出口蓋の内部側の面に情報要素が印刷表示されている衛生用紙入りカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,衛生用紙のカートンの底面に,注意表示や製品情報を表示した衛生用紙入りカートンが知られている。企業情報,リサイクル表示,又は品質表示といった情報要素は,カートンの使用状況や見栄えに関するデザインを考慮すると,カートンの底面に印刷されることが適当であるとされていた。
【0003】
特許文献1に開示された衛生用紙入りカートンは,その天面に切り取り線で区切られた切取部が設けられ,切取部を切り取ると,衛生用紙の取出口が形成されるようになっている。そして,特許文献1に開示された衛生紙入りカートンでは,切取部の表面に品質表示,商品識別コード,又は使用上の注意書きを表示している。これにより,引用文献1に開示された発明では,切取部を除くカートンの天面,側面,及び底面に,製品の広告を印刷するスペースを十分に確保できるとされている。また,切取部は,使用開始時にカートン本体から切り離されるものであるため,切取部の表面に企業の消費者キャンペーンの申し込みシールや,引換券を印刷することにより,使用者に対して衛生用紙の使用状況に関わらずキャンペーンに応募させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3700764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,衛生用紙入りカートンの切取部は,切り離され廃棄処分される場合が多い。そのため,切取部に,品質表示,商品識別コード,使用上の注意書き,又は広告表示といった情報要素が表示されている場合,カートンの使用中に使用者が情報要素を認識することができないという問題点があった。
【0006】
また,カートンの底面に情報要素を表示した場合,底面の表示領域の制限により,情報要素を効果的に記載できないという問題があった。そのため,表示内容やデザインが制限され,使用者に効果的に注意喚起,及び情報伝達をすることができなかった。また,カートンの底面は,使用中には使用者から見えない位置にあるため,衛生用紙をカートンから取り出すに際し使用者が情報要素を認識することが困難であった。
【0007】
このため,現在は,衛生用紙の使用開始時だけでなく,使用開始時から使用終了時まで,品質表示,商品識別コード,又は使用上の注意書きといった情報要素を効果的に表示することができる衛生用紙入りカートンが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで,本発明者は,上記従来技術の問題点を解消するために鋭意検討した結果,衛生用紙入りカートンの取出口に,衛生用紙入りカートンから切り離されることのない取出口蓋を設け,取出口蓋の内部側の面に情報要素を表示することにより,衛生用紙の使用開始時から使用終了時まで,効果的に,注意喚起,情報伝達をすることができるという知見を得た。
【0009】
本発明は,衛生用紙入りカートンの取出口蓋の内部側の面に情報要素が印刷表示されている衛生用紙入りカートンに関する。本発明に係る衛生用紙入りカートンは,衛生用紙を収容する収容容器と,収容容器に形成された開封用切込線と開封用切込線に接続した折線とにより周囲を囲まれた取出口蓋と,取出口蓋を開封用切込線に沿って開封し,折線に沿って折り曲げることにより形成される衛生用紙の取出口を含む。従って,本発明に係る取出口蓋は,基本的に,衛生用紙入りカートンから切り離されることはないよう設計されている。また,取出口蓋の収容容器の内部側の面には,情報要素が印刷表示されている。
【0010】
使用者は,衛生用紙を引き出す際に,取出口蓋を開封用切込線に沿って開封し,折線に沿って折り曲げることにより衛生用紙を取り出す。そのため,取出口蓋の内部側の面は,取出口蓋を開ける際や衛生用紙を引き出す際に使用者の目につきやすく,使用者の注意を引きつけやすい。また,本発明に係る衛生用紙入りカートンは,取出口蓋が衛生用紙入りカートンから基本的に切り離されることがないため,衛生用紙の使用開始時から使用終了時まで,使用者に対して効果的に注意喚起及び情報伝達をすることができる。
【0011】
本発明は,取出口が,分割された衛生用紙入りカートンの取出口蓋を各折線に沿って折り曲げることにより形成されることとしてもよい。折線は,対向する第1の折線と第2の折線からなる。また,開封用切込線は,第1の折線と第2の折線の両端部を繋ぐ第1の開封用切込線及び第2の開封用切込線と,第1の開封用切込線及び第2の開封切込線を繋ぐ分割切込線からなる。さらに,取出口蓋は,第1の折線,第1の開封用切込線,第2の開封切込線,及び分割切込線により周囲を囲まれ,第1の折線に沿って折れ曲がる第1の取出口蓋と,第2の折線,第1の開封用切込線,第2の開封切込線,及び分割切込線により周囲を囲まれ,第2の折線に沿って折れ曲がる第2の取出口蓋からなる。
【0012】
このように,取出口蓋が第1の取出口蓋と第2の取出口蓋に分割されて形成されていることにより,開封された取出口蓋のそれぞれに2つの情報をわかりやすく表示することができる。また,取出口蓋を分割して形成することで,使用者の注意をより引きやすいデザインとすることができる。
【0013】
本発明は,取出口蓋が,折線が形成された端部側に,折線と平行な折曲線を少なくとも2本以上有することとしてもよい。取出口蓋が,開封した状態の形状で維持するための複数の折曲線を有することにより,取出口蓋が折線及び折曲線に沿って折り曲げられた状態を保つことができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は,情報要素が,香料入りインクで印刷されている。情報要素を香料入りインクで印刷することにより,取出口蓋を開ける際に,香りが発散され,香りによるセラピー効果やストレス解消効果が期待できる。
【0015】
本発明の好ましい態様は,情報要素は,製品情報,企業情報,広告宣伝情報,注意表記,リサイクル表示,及びキャッチフレーズのいずれか一つ以上を含む。製品情報には,例えば,製品の品質や,原材料,及び使用方法がある。企業情報には,例えば,企業名や,企業理念,企業の電話番号,URL,及び二次元バーコードがある。広告宣伝情報には,例えば,関連商品の広告や,企業の広告,及び催事の告知がある。注意表記には,例えば,カートンの使い方の説明や,カートンの使用後の解体方法,及びカートンの使用中及び使用後の注意喚起があげられる。リサイクル表示には,例えば,カートンの処分時の分別方法があげられる。キャッチフレーズには,例えば,スポーツイベントの応援フレーズ,及び子供向けのメッセージがあげられる。取出口蓋の内部側の面には,使用者に必要な情報,又は季節やイベントに合わせたキャッチフレーズといった多様な情報要素を印刷することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,情報要素を取出口蓋を開ける際や衛生用紙を引き出す際に使用者の目につきやすい取出口蓋の内部側の面に表示することにより,衛生用紙の使用開始時から使用終了時まで,使用者に対して効果的に注意喚起及び情報伝達可能な衛生用紙入りカートンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は,本発明の衛生用紙入りカートンの展開図であり,衛生用紙入りカートンの取出口蓋を閉じた状態の例を示している。
【図2】図2は,本発明の衛生用紙入りカートンの斜視図であり,衛生用紙入りカートンの取出口蓋を開けた状態の例を示している。
【図3】図3は,本発明の衛生用紙入りカートンの斜視図であり,衛生用紙入りカートンの取出口蓋を開けた状態の例を示している。
【図4】図4は,本発明の衛生用紙入りカートンの斜視図であり,分割された取出口蓋を開けた状態の例を示している。
【図5】図5は,本発明の衛生用紙入りカートンの斜視図であり,取出口蓋が折線の端部側に複数の平行な折線を有する衛生用紙入りカートンの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0019】
本発明は,衛生用紙入りカートンの取出口蓋20の内部側の面に情報要素40が印刷表示されている衛生用紙入りカートンに関する。本発明に係る衛生用紙入りカートンは,衛生用紙を収容する収容容器10と,収容容器10に形成された開封用切込線21と開封用切込線21に接続した折線22とにより周囲を囲まれた取出口蓋20と,取出口蓋20を開封用切込線21に沿って開封し,折線22に沿って折り曲げることにより形成される衛生用紙の取出口30を含む。従って,本発明に係る取出口蓋20は,基本的に衛生用紙入りカートンから切り離されることはないように設計されている。また,取出口蓋20の収容容器の内部側の面には,情報要素40が印刷表示されている。
【0020】
衛生用紙入りカートンの収容容器10の形状は,通常,直方体形状である。しかし,本発明の衛生用紙入りカートンの収容容器10の形状は,三角柱状,四角柱状,八角柱状,又は円柱状でもよい。図1に示す直方体形状の収容容器10は,組み立てた際に対向する天面部11と底面部12,及び,その天面部11と底面部12の端部に垂直に接続する一対の短側面部13と一対の長側面部14を有している。本明細書では,便宜的に,端面の長さが短い側面を短側面部13といい,端面の長さが長い側面を長側面部14という。ただし,短側面部13と長側面部14は,同じ形状であってもよい。収容容器10は,これらの面によって区画され,衛生用紙は収容容器10の内部に収容される。
【0021】
本発明の衛生用紙入りカートンに収納される衛生用紙の例は,ティシュペーパー,保湿ティシュ,ちり紙,ペーパータオル(キッチンタオル,キッチンシート,あくとりシート),又はトイレットペーパーといった紙類である。
【0022】
本発明の衛生用紙入りカートンは,収容容器10の少なくとも一つの面に,衛生用紙の取出口30が設けられている。図1には,収容容器10の天面部11に取出口30が設けられた直方体形状の収容容器10の例が示されている。取出口30は,開封用切込線21と,開封用切込線21と接続した折線22により周囲を囲まれた取出口蓋20により覆われている。カートンの使用を開始するに際し,取出口蓋20を開封用切込線21に沿って開封し,折線22に沿って折り曲げることにより,取出口30が形成される。取出口30が形成されると,使用者は,カートンの内部から衛生用紙を引き出すことができるようになる。衛生用紙入りカートンは,取出口30に,取出口30を被覆するスリットを有するフィルム31を設けたカートンでも良く,フィルム31を設けないフィルムレスカートンであっても良い。
【0023】
取出口蓋20は,衛生用紙入りカートンを使用しないときには,取出口30を封するための蓋として機能する。すなわち,取出口蓋20を開封前の位置に戻すことにより,取出口蓋20は,取出口30を覆うため,取出口30から収容容器10内に塵埃が入ることを防ぐ働きをする。さらに,取出口蓋20で蓋をした場合は,衛生用紙入りカートンを衛生的に持ち運ぶことができ,使い勝手が良い。
【0024】
折線22は,開封用切込線21に沿って取出口蓋20を開封する際に,取出口蓋20が収容容器10の外側に向かって折り曲がる線である。折線22は収容容器10から基本的に切り離されることはなく,取出口蓋20が形成された収容容器10の面の一体として形成される。折線22は,羅線によって形成されたものでも良いし,折線の一部または周辺部のカートンの紙厚を押圧によって薄くしたもの,又は一部に切込線を入れることによって形成されても良い。また,折線22は,衛生用紙入りカートンの製造段階において積極的に設けたものでなくても良い。
【0025】
開封用切込線21は折線22に接続しており,直線状の折線22の両端から,取出口30の外周を囲うように延びている。取出口30を形成する折線22と開封用切込線21の外周の長さは,衛生用紙が取出しやすく,情報要素の表示が見えやすくなるように適宜設計可能である。例えば,開封用切込線21の外周の長さは,取出口蓋20の内部側の面の露出が多くなるように,折線22よりも長いことが好ましい。開封用切込線21は直線状の切れ目(スリット)でも良く,ミシン目状の切れ目でも良い。また,開封用切込線21は2本の平行なミシン目からなる2重ミシン目からなるものでも良い。また,開封切込線21は,直線状であっても良いし,曲線状であっても良い。
【0026】
図1には,箱の長手方向に沿って形成された略長方形状の取出口30の例が示されている。ここでは,取出口30の左右方向を長手方向といい,上下方向を短手方向という。図1及び図2に示すように,折線22は,取出口30の短手方向の一辺とすることができる。この場合,箱の長手方向に所定の間隔をおいて延びて対向する2本の曲線または直線と,折線22と長手方向の曲線または直線を結び短手方向に延びる1本の曲線または直線が,開封用切込線21となる。
【0027】
また,図3に示されるように,折線22は,取出口30の長手方向の一辺とすることもできる。この場合,折線22と所定の間隔をおいて対向し長手方向に延びる1本の曲線または直線と,折線22と長手方向の曲線または直線を結び短手方向に延びる2本の曲線または直線は開封用切込線21となる。また,開封用切込線21は,折線22の端部から延びる円または楕円の外周の一部であっても良い。
【0028】
図4に示されるように,本発明では,取出口30が,分割された衛生用紙入りカートンの取出口蓋20を第1の折線22aと第2の折線22bに沿って折り曲げることにより形成されることとしてもよい。折線22は,互いに対向する第1の折線22aと第2の折線22bからなる。また,開封用切込線21は,第1の折線22aと第2の折線22bの両端部を繋ぐ第1の開封用切込線21a及び第2の開封用切込線21bと,第1の開封用切込線21a及び第2の開封切込線21bを繋ぐ分割切込線21cからなる。これにより,取出口蓋20は,第1の折線22a,第1の開封用切込線21a,第2の開封切込線21b,及び分割切込線21cにより周囲を囲まれ,第1の折線22aに沿って折れ曲がる第1の取出口蓋20aと,第2の折線22b,第1の開封用切込線21a,第2の開封切込線21b,及び分割切込線21cにより周囲を囲まれ,第2の折線22bに沿って折れ曲がる第2の取出口蓋20bから形成される
【0029】
このように,取出口蓋20は,左右に分割された第1の取出口蓋20aと第2の取出口蓋20bから形成されることとしてもよい。図4に示す例においては,第1の折線22aと第2の折線22bが,取出口30の短手方向に設けられている。そして,第1の開封用切込線21aと第2の開封用切込線21bは,第1の折線22aと第2の折線22bの両端部を繋ぐようにして,取出口30の長手方向に設けられている。さらに,取出口蓋20には,第1の開封用切込線21a及び第2の開封切込線21bを繋ぐ分割切込線21cが設けられている。このため,第1の取出口蓋20aは,第1の折線22a,第1の開封用切込線21a,第2の開封切込線21b,及び分割切込線21cにより周囲を囲まれ,第1の折線22aに沿って折れ曲がる。また,第2の取出口蓋20bは,第2の折線22b,第1の開封用切込線21a,第2の開封切込線21b,及び分割切込線21cにより周囲を囲まれ,第2の折線22bに沿って折れ曲がる。このようにして,第1の取出口蓋20aと第2の取出口蓋20bが開封されることにより,取出口30が形成される。一方,第1の折線22aと第2の折線22bは,取出口30の長手方向に設けることもできる。この場合,第1の開封用切込線21aと第2の開封用切込線21bは,取出口30の短手方向に設けられ,分割切込線21cが取出口30の長手方向に沿って設けられて,第1の取出口蓋20aと第2の取出口蓋20bが形成される。
【0030】
また,第1の取出口蓋20aと第2の取出口蓋20bの端縁部は,衛生用紙を摩擦によって保持する挟み部としても機能する。この場合,第1の取出口蓋20aと第2の取出口蓋20bの端縁部が衛生用紙を挟みこむことによって,取出し途中の衛生用紙が収容容器10の内部に落下することを防止できる。そのため,取出口30にフィルム31を貼設しなくても,衛生用紙が収容容器10の内部に落下することを防止できる。従って,使用者は,衛生用紙を1枚または1組毎に容易に取り出すことができ,衛生用紙を不必要に重なって取出すことや,収容容器内に落ち込んだ衛生用紙を無理して取り出すことがなくなる。
【0031】
図5に示されるように,本発明において,取出口蓋20は,折線22が形成された端部側に,折線22と平行な折曲線22cを少なくとも2本以上有することとしてもよい。取出口蓋20が,複数の折曲線22cを有することにより,取出口蓋20が折線22及び折曲線22cに沿って折り曲がり,取出口蓋20が開封された状態を保つことができる。
【0032】
取出口蓋20は,折線22が設けられた端部側において,収容容器10の一つの面と一体になっている。本実施形態において,取出口蓋20には,折線22が形成された端部側に,折線22と平行な2本以上の折曲線22cが形成される。折曲線22cは,取出口蓋20上に形成される。このように,取出口蓋20に,折線22と平行な折曲線22cを2本以上設けることにより,取出口蓋20を開けた際,取出口蓋20には,曲面部24が形成される。取出口蓋20の曲面部24は,折線22及び折曲線22cに沿って折り曲げられた状態を保つ機能を有する
【0033】
折曲線22cは,2本以上あれば良く,好ましくは2本以上15本以下,さらに好ましくは5本以上10本以下であれば良い。取出口蓋20を開け,折線22及び折曲線22cに沿って折り曲げることにより,取出口蓋20に曲面部24が形成される。この曲面部23は,取出口蓋20の厚みによる折れ曲がりに対する抵抗やコシの強さによって,取出口蓋20が閉じてくることを防ぐ。
【0034】
折線22と折曲線22cの間隔は,取出口蓋20を開けた際に,取出口蓋20の一部に曲面を構成するような間隔であることが好ましい。例えば,折線22と折曲線22cの間隔は,1mm以上10mm以下であれば良く,好ましくは2mm以上から5mm以下でであってもよい。
【0035】
本発明では,情報要素40が,取出口蓋20の収容容器10内部側の面に印刷表示されている。例えば,衛生用紙入りカートンの販売時や使用開始前には,取出口蓋20が閉じられた状態であるため,取出口蓋20の内部側の面は,外部から視認されることはない。そして,情報要素40は,使用開始時に取出口蓋20を開けた際に,初めて使用者に視認される。そのため,製品の品質に関する情報や使用上の注意表記といった衛生用紙の使用開始時に使用者に伝えたい情報要素40を取出口蓋20の内部側の面に表示することで,情報伝達及び注意喚起を効果的に行うことができる。また,取出口蓋20は,基本的に,衛生用紙入りカートンから切り離されることはない。そのため,取出口蓋20の内部側の面に表示された情報要素は,衛生用紙の使用開始時から使用終了時まで使用者に視認されることとなり,長期間に渡り,使用者に対して効果的に注意喚起及び情報伝達をすることができる。
【0036】
使用者は,衛生用紙を引き出す度に取出口蓋20の開閉を行うため,衛生用紙入りカートンの使用開始時から終了時までの間に,取出口蓋20を数十回から数百回開閉することになる。使用者が取出口蓋20を開ける際に視線を集中させる場所は,取出口蓋20の内部側の面であるため,取出口蓋20の内部側の面に情報要素を印刷表示することで,開閉の度に,使用者に対して効果的に情報伝達及び注意喚起をすることができる。
【0037】
また,取出口30に設けられている取出口蓋20の内部側の面は,使用を開始するまで外部から視認することはできない。使用者は,例えば,店頭では取出口蓋20の内部側の面は視認することができず,商品を購入し,使用開始後に情報要素を初めて認識することができる。そのため,取出口蓋20の内部側の面に購入者に限定したキャンペーン情報の表示やキャンペーンの応募情報といった購入者にのみ伝えたい情報要素を表示することで,購入者の満足度やリピート購買意欲を高めることができる。
【0038】
取出口蓋20の内部側の面に印刷表示する情報要素40の例は,製品情報,企業情報,広告宣伝情報,注意表記,リサイクル表示,又はキャッチフレーズである。製品情報には,例えば,製品の品質,原材料,及び使用方法がある。企業情報には,例えば,企業名,企業理念,企業の電話番号,URL,及び二次元バーコードがある。広告宣伝情報には,例えば,関連商品の広告や,企業の広告,及び催事の告知がある。注意表記には,例えば,カートンの使い方の説明,カートンの使用後の解体方法,及びカートンの使用中及び使用後の注意喚起があげられる。リサイクル表示には,例えば,カートンの処分時の分別方法があげられる。キャッチフレーズには,例えば,スポーツイベントの応援フレーズ,及び子供向けのメッセージがあげられる。取出口蓋20の内部側の面には,使用者に必要な情報,又は季節や,イベントに合わせたキャッチフレーズといった多様な情報要素40を印刷することができる。
【0039】
本発明の好ましい態様は,情報要素40が,香料入りインクで印刷されている。情報要素40を香料入りインクで印刷することにより,衛生用紙を引き出す際の,衛生用紙に特有の不快な臭気が抑制される。また,取出口蓋20を開ける際に,香りが発散され,香りによるセラピー効果やストレス解消効果が期待できる。
【0040】
販売時及び使用開始前は取出口蓋20が閉じられた状態であるため,取出口30に設けられている取出口蓋20の内部側の面は,収容容器10の内側に面しており,外気に晒されることがない。そのため,取出口蓋20の内部側の面に香料入りインクで情報要素40を印刷した場合でも,使用時まで香料成分を取出口蓋20の内部側の面及び収容容器10内に保持できる。また,特定の香りを世の中に広めたい化粧品会社や家庭日用品会社が,香料入りインクで広告宣伝情報を印刷表示することにより,香りを訴求・宣伝する効果も得られる。
【0041】
本発明で使用する香料は,香りの持続性があり,嗜好性の高い香料が好ましい。具体的には,ローズ,ラベンダー,又はジャスミンといったフローラル系香料,ピーチ,アップル,マンゴー,又はグレープといったフルーツ系香料,セダーウッド,サンダルウッド,ヒノキ,又はグアイヤックウッドといったウッディ系香料,及びレモン,ユズ,又はライムといったシトラス系香料があげられる。これらは天然からの抽出・精製した1種のみを用いても良いし,これらの香料を複数種類混合したものを用いても良い。また,持続性,嗜好性の向上の為に,合成により得られる香気成分を含有していてもよい。香料成分に加えて,ローズマリー,ヒマワリ種子,又は茶といった天然由来の抽出物で消臭効果を有する素材や,両面界面活性剤系消臭剤,又はミネラル系消臭剤といった合成系の消臭剤を適宜添加しても良い。
【0042】
香料はインク100重量部に対して,香料を0.01重量部以上10重量部以下,好ましくは,0.1重量部以上1重量部以下,添加することができる。香料インクは,通常の方法を用いて製造することができ,香料又は消臭剤はインクに直接混合しても,香料をカプセルに内包して混合しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は,衛生用紙の取出口蓋の内部側の面に情報要素が印刷表示されている衛生用紙入りカートンに関する。このため,本発明は,衛生消耗品に関する産業において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 収容容器
11 天面部
12 底面部
13 短側面部
14 長側面部
20 取出口蓋
20a 第1の取出口蓋
20b 第2の取出口蓋
21 開封用切込線
21a 第1の開封用切込線
21b 第2の開封用切込線
21c 分割切込線
22 折線
22a 第1の折線
22b 第2の折線
22c 折曲線
24 曲面部
30 取出口
31 フィルム
40 情報要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用紙を収容する収容容器(10)と,
前記収容容器(10)に形成された開封用切込線(21)と前記開封用切込線(21)に接続した折線(22)とにより周囲を囲まれた取出口蓋(20)と,
前記取出口蓋(20)を前記開封用切込線(21)に沿って開封し,前記折線(22)に沿って折り曲げることにより形成される衛生用紙の取出口(30)とを含み,
前記取出口蓋(20)の前記収容容器(10)内部側の面には,情報要素(40)が印刷表示されている衛生用紙入りカートン。
【請求項2】
前記折線(22)は,対向する第1の折線(22a)及び第2の折線(22b)からなり,
前記開封用切込線(21)は,前記第1の折線(22a)と前記第2の折線(22b)の両端部を繋ぐ第1の開封用切込線(21a)及び第2の開封用切込線(21b)と,前記第1の開封用切込線(21a)及び前記第2の開封切込線(21b)を繋ぐ分割切込線(21c)からなり,
前記取出口蓋(20)は,前記第1の折線(22a),前記第1の開封用切込線(21a),前記第2の開封切込線(21b),及び前記分割切込線(21c)により周囲を囲まれ,前記第1の折線(22a)に沿って折れ曲がる第1の取出口蓋(20a)と,
前記第2の折線(22b),前記第1の開封用切込線(21a),前記第2の開封切込線(21b),及び前記分割切込線(21c)により周囲を囲まれ,前記第2の折線(22b)に沿って折れ曲がる第2の取出口蓋(20b)とからなる請求項1に記載されている衛生用紙入りカートン。
【請求項3】
前記取出口蓋(20)は,前記折線(22)が形成された端部側に,前記折線(22)と平行な折曲線(22c)を少なくとも2本以上有する請求項1又は請求項2に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項4】
前記情報要素(40)が,香料入りインクで印刷されている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項5】
前記情報要素(40)は,製品情報,企業情報,広告宣伝情報,注意表記,リサイクル表示,及びキャッチフレーズのいずれか一つ以上を含む請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の衛生用紙入りカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−39958(P2013−39958A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179324(P2011−179324)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】