説明

衛生薄葉紙ディスペンサー

【課題】衛生薄葉紙ディスペンサーにおける取り出し性を改善する。
【解決手段】
奥側ガイドリブ15及び手前側ガイドリブ35の突出先端15t,35tの下方に、手前側に向かって下り傾斜する奧側傾斜面24と、奥側に向かって下り傾斜する手前側傾斜面25と、奥側傾斜板24と手前側傾斜板25とを連接する支持体側板26と、各斜面24,25の上縁から垂直に延在する垂直面27と、前記支持体側板26から内側に突出する突起部29とを有するペーパー支持体2を有する衛生薄葉紙ディスペンサーにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙ディスペンサーに関する。さらに詳しくは、キッチンペーパー、ペーパータオル、手ふき用等の清拭用ワイプなどの衛生薄葉紙が多数枚重層された衛生薄葉紙積層体を内部に収納し、底部に設けられた取出口から衛生薄葉紙積層体のうち最下面の最下衛生薄葉紙を1枚ずつ取り出すための衛生薄葉紙ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディスペンサーは、その形状は種々であるが、底部に取出口が形成されており、内部に四角形の衛生薄葉紙を折り畳まれて一部が重なるようにして積層した衛生薄葉紙積層体を納め、前記取出口から1枚ずつ摘んで取り出せるようにした構造を採る。
このディスペンサーを用いると、問題がなければ、衛生薄葉紙積層体は、個々の衛生薄葉紙の紙特有の摩擦によって、最底部の衛生薄葉紙を取出口から引き出すと、次の衛生薄葉紙の一部が取出口から露出される。
【特許文献1】特開2006−204404
【特許文献2】特開2001−87161
【特許文献3】実開平4−100480
【特許文献4】実開平4−50681
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のこの種のディスペンサーにおいては、取出口から一枚の衛生薄葉紙を取り出した後に、取出口から後続の一枚の薄葉紙のみならず多数の衛生薄葉紙が束となって引き出されてしまったり、濡れた手でペーパータオルを引き出した際に取り出すときの抵抗が大きいため、ペーパータオルが破れてしまったり、後続の薄葉紙の一部が露出されないことが多々あった。特に、ディスペンサー内の衛生薄葉紙の枚数が少ない場合に、多数の衛生薄葉紙が束となって引き出されてしまうことがよく生じている。また、ペーパータオルの束と束の間の連続取出しできない部分(繋ぎ目)を取り出す時に、濡れた手でペーパータオルの全端面の間に指を入れて取り出すため不衛生であるという問題がある。
そこで、本発明の主たる課題は、衛生薄葉紙の取り出し性を改善し、取出口から衛生薄葉紙を一枚ずつスムーズに取り出すことができ、特に、繋ぎ目を取り出す場合には束の端面を極力触らずに下方のペーパータオルを取り出しやすい構成の衛生薄葉紙ディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
背板部とこの背板部の両側から手前に延在する内側片部とを有するケース本体と、
衛生薄葉紙の取出口を有し、前記ケース本体の下部において両内側片部間で固定されたペーパー支持体と、
前板部とこの前板部の両側から奥側に延在する外側片部とを有し、各外側片部がケース本体の内側片部に対して回動自在に軸支され、かつ前記前板部がケース本体の背板部と対面する位置を閉じた状態とする開閉自在な蓋体とを備え、
複数枚を重層した衛生薄葉紙束を前記ペーパー支持体上に載置して収容し、前記取出口から衛生薄葉紙を一枚ずつ引き出せるようにした衛生薄葉紙ディスペンサーであって、
前記ケース本体は、前記背板部の前板部と対面する部分に手前側に突出する奧側ガイドリブを有し、
前記蓋体は、前記前板部の背板部と対面する部分に奥側に突出する手前側ガイドリブを有し、
前記ペーパー支持体は、前記背板部側から手前側に向かって下り傾斜する奧側傾斜面と、前記前板部側から前記奥側に向かって下り傾斜する手前側傾斜面と、奥側傾斜板と手前側傾斜板とを連接する支持体側板と、前記奥側傾斜面及び手前側傾斜面の上縁から上方に向かって実質的に垂直に延在する垂直面と、前記支持体側板から内側に突出する突起部とを有し、
前記取出口は、前記手前側傾斜板の下縁部と前記奥側傾斜板の下縁部との間に形成され、
前記手前側ガイドリブ及び奥側ガイドリブは、上方から下方に向かって突出長さが連続的に長くなるように形成され、
これらガイドリブの突出先端が、前記垂直面の上方でその垂直面を超えてディスペンサー内側に位置していることを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0005】
(作用効果)
本発明の衛生薄葉紙ディスペンサーでは、前板部及び背板部にそれぞれ上方から下方に向かって突出長さが連続的に長くなる奥側及び手前側ガイドリブを有する。
従って、奥側ガイドリブと手前側ガイドリブとの間は下方に行くにしたがって狭くなる。このため、ガイドリブ間に位置する衛生薄葉紙束の一部は、下方位置のほうがガイドリブによってより支持されるとともに撓むようになり、もって当該衛生薄葉紙束の一部の上方部分の重量が下方部分に加わり難くなる加重調整機能が発揮される。
これによって、下方の衛生薄葉紙束が引き出されたときに、それよりも上方の衛生薄葉紙束が、重力によって複数枚の束となって落ちるということが防止される。
そして、本発明は、そのガイドリブの突出先端よりも下方にペーパー支持体の垂直面が位置しているとともに、そのガイドリブの突出先端は前記垂直面よりもディスペンサー内側に位置している。
従って、本発明のディスペンサーでは、取出口から順次衛生薄葉紙が引き出されるに従って、ディスペンサー内では上方から下方への衛生薄葉紙の移動が生ずるが、これにともなってガイドリブ間を順次効果的に通過した衛生薄葉紙により形成される衛生薄葉紙束の下方の一部がガイドリブによる支持を失い垂直面間に嵌り撓みが緩むとともに、ペーパー支持体の突起部によりその下方又は下面が支持される。
この垂直面間に位置する衛生薄葉紙束の下方の一部は、ガイドリブより下方にあるためガイドリブによる加重調整機能の影響がほとんどなく、また、その量も少ないので上方部分が下方部分に与える加重の影響も大きくはない。さらに、ガイドリブ自体との摩擦はない。従って、この部分の衛生薄葉紙はスムーズに取り出し口へ移動されるようになる。
なお、垂直面の高さは9mm以上好ましくは9〜30mmとするのがよい。9mm未満であるとガイドリブを通過しても垂直面間で撓みが緩まないおそれがある。30mmを超えると、垂直面間に位置する衛生薄葉紙束の量が多くなりその下方位置の衛生薄葉紙に上方位置の衛生薄葉紙の重量が過度に加わり取り出し時の抵抗が増加しスムーズに取り出されなくなるおそれがたかまる。
そして、本発明のペーパー支持体は、垂直面の下方に連続して奥側傾斜面と手前側傾斜面とが形成されているため、ペーパー支持体では、続く後続の衛生薄葉紙が斜面に案内されて極めてスムーズに移動される。
【0006】
その一方で、前記傾斜面の下方に向かっての狭窄と突起部の存在とよってペーパー支持体部分に位置する衛生薄葉紙束が、一度に引き出されてしまう事故も防止される。
さらに、ガイドリブの突出先端を境にしてそれより上方の束の一部と下方の束の一部とは、手前−奥方向において別途に変形することができる。
そして本発明のペーパー支持体は上記斜面を有するので、ガイドリブの突出先端より上方の衛生薄葉紙束に比して、当該部分の衛生薄葉紙束の一部はより下に凸となるように手前−奥方向で撓むようになる。この撓みによって、例えば、衛生薄葉紙束をディスペンサー内にセットして最初の一枚、或いは、衛生薄葉紙束のユニットを複数個納めたときのその繋ぎ目の一枚が、極めて摘みやすくなる。もって、束端面を触らなくても摘めるようになり、確実に一枚ずつ取り出すことができ、衛生面及び取り出し性が向上する。
このように、本発明の衛生薄葉紙ディスペンサーは、ガイドリブの突出先端を境にし、それより上方では主に束となって落下しないようにする衛生薄葉紙束の上下方向の加重調整が効果的に行なわれ、下方ではスムーズな引き出しを可能にするペーパー支持体の機能が効果的に発揮されるように構成されている。
ゆえに、本発明の衛生薄葉紙ディスペンサーは、ディスペンサー内において、積層された衛生薄葉紙の上方部分と下方部分との加重、摩擦がバランスよく調整され、もってスムーズな引き出しがなされるとともに、薄葉紙束が少なくなってきたときに束になって複数枚が引き出される事故等が極めて好適に防止される。
【0007】
<請求項2記載の発明>
奥側傾斜面の上縁から延在する垂直面が、ケース本体の背板部に連続して一体となっている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0008】
(作用効果)
ケース本体とペーパー支持体が一体となるので強度があり、しかも取り付け時のぐらつきや精度誤差がなくなる。また、大判サイズの衛生薄葉紙など重量のあるものを収納してもその荷重によってペーパー支持体がケース本体から離脱する事故がなくなる。
【0009】
<請求項3記載の発明>
前記突起部は、上方から下方に向かって突出長さが長くなるように延出し、その下端部に内側に向かって突出する凸部を有する、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0010】
(作用効果)
ペーパー支持体内にある衛生薄葉紙に対して、下方に行く引き出し抵抗を強くするように作用するので、引き出しの際に後続の衛生薄葉紙が束になって出てきてしまう事故がなくなる。特に、ディスペンサー内の衛生薄葉紙束が少なくなってきたときに効果を発揮する。
【0011】
<請求項4記載の発明>
前記手前側傾斜面及び前記奥側傾斜面の各傾斜面は、上方側に位置する急傾斜面と下方側に位置する緩傾斜面とが連続して形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄養成ディスペンサー。
【0012】
(作用効果)
ディスペンサー内の衛生薄葉紙束が減少して、ディスペンサー内の衛生薄葉紙束が少なくなってきたときに、緩斜面と急斜面との間の角あるいは緩斜面で衛生薄葉紙が適度に支持される。従って、かかる衛生薄葉紙束が少ないときに束となって引き出される事故が格段に減少する。
【0013】
<請求項5記載の発明>
前記奥側傾斜面及び前記手前側傾斜面と突起部との間の離間距離が6mm〜12mmである請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0014】
(作用効果)
6mm未満であるとスムーズな引き出しの妨げとなるおそれがあり、12mmを超えると衛生薄葉紙束が減ってきたときに束になって引き出されるおそれが高まる。
【0015】
<請求項6記載の発明>
取出口は、手前側傾斜板と奥側傾斜板との間に位置し、前記背板部と前板部とに平行に延在する細長部と、前記ペーパー支持体の中央部で前記細長部と連続し、上面側に向かって凹欠された凹欠部とを有し、
この凹欠部の上縁が前記垂直面と傾斜面との境目よりも上方に位置して、前記ペーパー支持体上に載置された衛生薄葉紙束の積層面が当該凹欠部から露出される請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0016】
(作用効果)
前記ペーパー支持体上に載置された衛生薄葉紙束の積層面が当該凹欠部から露出されるようになる。従って、衛生薄葉紙束の積層面に触れることができ使用開始時に最初の一枚を摘みやすくなる。さらに、側部の押えが過度にならず、前記撓みと相まって引き出しがスムーズになされ、束になって引き出される事故も格段に減少する。
【0017】
<請求項7記載の発明>
前記蓋体の前板部は、下縁の中央部が上縁側に向かって湾曲し、かつその湾曲縁の最上位が前記垂直面の下縁よりも下方に位置している請求項1〜6の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0018】
(作用効果)
取り出し口から衛生薄葉紙を摘みやすくなる。特に請求項6記載の発明との関係で、凹欠部から露出する衛生薄用紙束の端面に指をかけるときに、最下の衛生薄葉紙のみに指をかけやすく、もって、衛生薄葉紙が意図せず束となって引き出されることが防止される。それとともに、湾曲縁の最上位が垂直面よりも下方に位置しているため正面視において前記端面が露出することはなく、水しぶきや埃等が前記端面に付着することが防止される、従って、使用を控えている後続の衛生薄葉紙の衛生性が確保される。さらに、意匠性にも優れたものとなる。なお、端面に手をかけるときは蓋体の下方からペーパー支持体へと手を入れれば端面に指をかけることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり本発明によれば、衛生薄葉紙の取り出し性が改善され、取出口から衛生薄葉紙を最後まで一枚ずつスムーズに取り出すことが可能な衛生薄葉紙ディスペンサーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
<第1の実施の形態>
まず、第1の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1を図1〜7を参照しながら説明する。図1は、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーの正面図、図2は、そのII−II断面図、図3は、ケース本体の側面断面図、図4はケース本体の正面図、図5はペーパー支持体の上面図、図6はペーパー支持体の正面図、図7は、蓋体の側面断面図である。
この衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、その素材が例えばABS樹脂等の合成樹脂であり、ケース本体1と、ペーパー支持体2と、蓋体3とで構成されている。
ケース本体1は、天板部10と背板部11とこの背板部11の両側縁において、前記背板部11と直角をなして手前に延在する左右一対の内側片部12,12とを有する。
内側片部12,12の下部には、ペーパー支持体2を固定及び位置決めするための位置決め用孔12Aが形成されている。
位置決め用孔12Aの形状については特に限定されない。円形孔であっても四角形孔であってもよい。図示例では、四角形孔を採用している。
【0021】
他方、内側片部12,12の下部には、さらに位置決め孔12Aとは別に、ペーパー支持体2の固定を確実にするために、位置決め孔12Aに対応する係止用長孔12aが形成されている。
本形態では、位置決め用孔12Aに対応するように一つの内側片に二つの係止用長孔12aが形成されている。
図示例では、係止用長孔12aは、位置決め孔12Aの上部側に適当距離離間した位置に形成されている。なお、この係止用長孔の形状も適宜変更することが可能である。
さらに、内側片部12,12の下部には、前記ペーパー支持体2を固定するための位置決め用孔等12Aとは別に、前記蓋体3が連結される一対の蓋体連結用円孔13Aが形成されている。
本形態では、蓋体3の取り付け位置を調整できるように、一つの内側片に蓋体連結用円孔13Aを形成している。
【0022】
他方、前記ペーパー支持体2は、前記背板部側から手前側に向かって下り傾斜する奧側傾斜面24と、前記前板部側から前記奥側に向かって下り傾斜する手前側傾斜面25と、前記奥側傾斜面24と手前側傾斜面25とを連接する支持体側板26,26とを有し、両斜面24,25の下縁間に衛生薄葉紙の取出口20を有する。
また、本形態のペーパー支持体2では、前記支持体側板26,26の外面に位置決め用突起部21を有しており、この位置決め用突起部21を前記一対の位置決め用孔に嵌合して、前記内側片部間の所定位置に位置決めされている。さらに、位置決め用突起部21とは別の係止片22を有しており、前記位置決め用突起部21の位置決め孔12Aへの嵌合とともに、これを係止長孔12aに嵌合して、ペーパー支持体2がケース本体1の内側片部12,12間に固定されている。
このようにしてペーパー支持体2は、前記ケース本体1の下部において前記各内側片部12,12に対して固定されていてディスペンサーX1の底部を構成している。
このようにペーパー支持体2を構成すると、前記傾斜面24,25の存在により、使用時、すなわち前記取出口20から衛生薄葉紙を一枚ずつ引き出す際に、最も下側の最下衛生薄葉紙とその一枚上の衛生薄葉紙の下側縁が前記傾斜面24,25にガイドされて前記取出口へと案内される。
【0023】
他方、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、前記奥側傾斜面24及び手前側傾斜面25の上縁、さらに支持体側板26,26の上縁から上方に向かって実質的に垂直に延在する垂直面27を有し、この垂直面27によって上下解放の枡形の壁面27が形成されている。この枡形の壁面27に囲まれる部分に衛生薄葉紙束が収容される。この垂直面27により、衛生薄葉紙束の側方、特に手前奥方向への動きが拘束され、前記取出口20からの取り出し操作をしたときに、ディスペンサー内で不要に動くことがなくなり、安定して取り出せる効果の一端を担う。
また、前記各傾斜面24,25と垂直面27との間の屈曲部分24t,25tにより衛生薄葉紙束の下縁部又はその近傍が支持されるようになり、使用時、特にディスペンサー内部の薄葉紙の枚数が少なくなったときに一度に多数枚が引き出されてしまうという事故が格段に減少する。
さらに、本形態の前記奥側傾斜面24及び手前側傾斜面25の各傾斜面24,25は、好適な例として、上方側に位置する急傾斜面24A,25Aと下方側に位置する緩傾斜面25B,25Bとが変曲線28,28を介して連続するように形成されている。急傾斜面24A,25Aと緩傾斜面25B,25Bとの間の角度は320〜350度程度とするのがよい。このように手前側傾斜面25及び前記奥側傾斜面24の各傾斜面24,25を二種の傾斜面で構成することで、衛生薄葉紙の案内を確保してスムーズな引き出しを可能にしつつも、衛生薄葉紙束を取り出したときにその下方側のばらけた衛生薄葉紙の数枚が当該以外変曲線28、28で支持されるようになり、使用時、特にディスペンサー内部の薄葉紙の枚数が少なくなったときに一度に多数枚が引き出されてしまうという事故がより一層に減少する。
【0024】
他方、前記ペーパー支持体2は、前記支持体側板26から内側に突出する突起部29,29を有している。すなわち、突起部29,29は前記垂直面27よりも下方に位置している。この位置に突起部29,29を形成したことで前記収納された衛生薄葉紙束の下面(使用開始した後には下部)が支持される。
本形態では、この突起部29,29は好ましい形態として、天板部10側から下方に向かって突出長さが長くなるように延出し、その下端部でさらに内側に向かって突出する凸部29t,29tを有する形状となっている。このような突起部の形状とすると、支持体側板から突出する一対の突起部間の距離が下方にいくほど狭くなるため、衛生薄葉紙束は下方にいくほど下に凸となるように湾曲された状態で衛生薄葉紙束が支持される。この湾曲によって最下部の衛生薄葉紙が取り出し口から極めて摘み易くなる。また、引き出し時に適度な抵抗を与え、スムーズな引き出しと後続の衛生薄葉紙が束になって引き出されることを効果的に防止する。
また、衛生薄葉紙束を収納したときに衛生薄葉紙束重量による加重が下方に行くほど軽減され、前記傾斜面24,25による最下及びそれより一枚上の衛生薄葉紙の案内がよりスムーズ及び確実なものとなる。
【0025】
また、本形態の突起部は、前記凸部の上面側が半球状になっている。これにより、衛生薄葉紙を引き出した時に引っかかることなくスムーズに取出口へと移動される。
ただし、前記突起部29,29と奥側傾斜面24及び前記手前側傾斜面25と間の離間距離L1は6mm〜12mmとするのが望ましい。6mm以下であると、取出し口との距離が近く、紙を取り出す時に突起部に紙が引掛かりやすくなり、引き出し抵抗が悪くなる。また、12mm以上の場合、取出し口と突起部の隙間が多すぎ、残り枚数が少なくなったときに束になってペーパータオルが落下しやすくなる。
【0026】
他方、本形態のペーパー支持体2は、前記取出口20が、手前側傾斜面25と奥側傾斜面24との間に位置し、前記背板部と前板部とに平行に延在する細長部20Lと、前記ペーパー支持体の中央部で前記細長部と連続し、上面側に向かって略台形状に凹欠された凹欠部20Vとで構成されている。なお、凹欠部の形状は略台形状に限られないがこの形状が本発明の効果を発現しやすく望ましい。
手前側及び奥側の凹欠部の何れか一方の凹欠部は、その上縁は傾斜面に連続する垂直面に位置している。好ましくは手前側の凹欠部の上縁が手前側傾斜面に連続する垂直面に位置しているのが望ましい。前記ペーパー支持体2上に載置された衛生薄葉紙束の積層面が当該凹欠部から露出されるように構成されている。
このように凹欠部を形成したことで、ペーパー束の積層面に触れることができ使用開始時に最初の一枚を摘みやすくなる。さらに、側部の押えが過度にならず、前記撓みと相まって引き出しがスムーズになされ、束になって引き出される事故も格段に減少する。
【0027】
他方、蓋体3は、天板部30と前板部31と前板部31の両側縁において前記前板部31と直角をなして奧側に延在する外側片部32,32とを有し、底側は解放されている。
前板部31の高さはケース本体1の背板部11より若干高く、また外側片部32,32の間はケース本体1の内側片部間12,12よりも若干幅広に形成されている。
さらに、蓋体3は、その外側片部32,32の下部に形成された、対面する蓋側片部に向かって突出する突起33,33を有し、この突起33,33がケース本体1の前記一対の蓋体連結用円孔13Aに、内側片外方側から回動自在に嵌合されて、この突起部を軸にしてケース本体1に対して開閉可能とされている。
さらに前記蓋体の前板部は、下縁31eの中央部が上縁側に向かって湾曲しており、取り出し口から衛生薄葉紙を摘みやすくしているともに、前記凹欠部から露出する衛生薄葉紙束の積層面に触れやすく一層、最初の一枚の引き出しをしやすくしている。
また、この湾曲縁の最上位置は、前記ペーパー支持体の垂直面の下縁、すなわち傾斜面との境界位置より下方に位置している。このため、正面視において前記端面は露出することがなく、水しぶきや埃等が前記端面に付着することが防止され、使用を控えている後続の衛生薄葉紙の衛生性が確保される。また、意匠性にも優れたものとなる。
【0028】
他方、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、背板部11の前板部31と対面する面に、手前側に突出する奧側ガイドリブ15が形成され、前記前板部31の背板部11と対面する面に、奥側に突出する手前側ガイドリブ35が形成されている。
本形態では、奧側ガイドリブ15は、前記各内側片12,12から所定距離離間した位置に1本ずつ計2本が並ぶように配置されており、手前側ガイドリブ35も同様に、前記各外側片32,32から所定距離離間した位置に1本ずつ計2本が並ぶように形成されている。ただし、各ガイドリブの本数はこれに限定されない。
また、奥側ガイドリブ15と手前側ガイドリブと35は蓋3を閉めた際に相対する位置に形成する必要ない。
これらのガイドリブ15,35は、ケース上部側からペーパー支持体2側に向かって、比例的に突出長が増すように構成されており、これらの存在により、衛生薄葉紙束を収納したときのペーパー支持体2上面への衛生薄葉紙束重量による加重が軽減され、前記傾斜面24,25による最下衛生薄葉紙及びそれより一枚上の衛生薄葉紙の案内がよりスムーズ及び確実なものとなる。
また、これらガイドリブ15,35は特徴的に、その突出先端が、前記垂直面27,27よりもディスペンサーの内側、すなわち対向する前板部側若しくは背板部側に突出するように構成されている。
このように突出していることで、ガイドリブ間にある衛生薄葉紙束の一部の重量が、ガイドリブ15,35を通過して前記垂直面27,27間に移動した衛生薄葉紙束の一部へ加わり難くなり、もって上記説明のペーパー支持体におけるスムーズな引き出し機構と束になって引き出されることを防止する機能が効果的に発揮されるようになる。
ここで、前記ガイドリブの高さは、衛生薄葉紙の積み上げ量、すなわち収納量に応じて適宜設計すればよい。概ね1〜30cm程度あればよい。
【0029】
また、前記ガイドリブ最下端とペーパー支持体とのクリアランスは0〜5mmであるのがよい。5mm以上であると、ペーパータオルがペーパー支持体の上部に引掛かり、下に落ちて来ない事がある。特に収納量が多い場合に加重調整機能の効果が得られないことがある。
さらに、前記ガイドリブは、衛生薄葉紙束の長手方向の長さの99〜90%程度に撓むように設計するのか良い。90%以上撓むように設計すると、リブ間にペーパータオルが引掛かり下に落ちてきにくくなり、長手方向の長さ以上に設定すると、上からの荷重を押える事ができず、引き出した時の抵抗が大きく、取り出しにくくなる。
なお、衛生薄葉紙を一般的な清拭用ワイプ(中判サイズ220×230mm)を二つ折りにして折返し縁を重ねた衛生薄葉紙束に用いる場合、奧側ガイドリブの最下突出端と、手前側ガイドリブの最下突出端との間の距離を5〜15cmとするのがよい。効果的に加重調整がなされる。
【0030】
<第2の実施の形態>
図8に第2の実施の形態のケース本体及びペーパー支持体の側面図を示す。この第2の実施の形態は、奥側傾斜面24の上縁から延在する垂直面27がケース本体1の背板部11に連続し、さらに支持体側板26の上方から延在する垂直面27がケース本体1の内側片部12,12に連続して、前記ケース本体1とペーパー支持体2とが一体となっている形態である。
従って、ケース本体1とペーパー支持体2との連結するための位置決め用孔、係止用長孔等は存在しない。
また、本形態では、手前側傾斜面24から延在する垂直壁部が狭く形成されており、前記凹欠部の上縁が垂直面と傾斜面との間に位置するように構成している。
その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0031】
この形態においては、このようにペーパー支持体2とケース本体1が一体であるため、大判サイズの衛生薄葉紙束など重量の重い衛生薄葉紙束を、ペーパー支持体2に乗せる際や引き出しのさいにペーパー支持体2に強い力が加わってもケース本体1から落下してしまうという事故がなくなる。なお、取出口20からの衛生薄葉紙の取り出し性の改善に関する効果に関しては、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、ケース本体1とペーパー支持体2を一体化するにあたっては、樹脂形成などによって予め一体に成形するようにしてもよいし、接着剤等により接着して一体化してもよい。その方法は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ等の衛生薄葉紙が複数枚重層された衛生薄葉紙積層体を内部に収納し、底部に設けられた取出口から衛生薄葉紙積層体のうち最下面の最下衛生薄葉紙を1枚ずつ取り出すための衛生薄葉紙ディスペンサーに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態の衛生薄葉紙ディスペンサーの正面図である。
【図2】そのII−II断面図である。
【図3】図2のケース本体のみを表した示す断面図である。
【図4】本形態のケース本体の正面図である。
【図5】本形態のペーパー支持体の上面図である。
【図6】図2の蓋体のみを表した断面図である。
【図7】第1の実施の形態のケース本体の正面図である。
【図8】本発明の第2の形態にかかるケース本体とペーパー支持体が一体の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…ケース本体、2…ペーパー支持体、3…蓋体、10…天板部、11…背板部、12…内側片部、12A…位置決め用孔、12a…係止用長孔、13A…蓋体連結用円孔、15…奥側ガイドリブ、15t…奥側ガイドリブ突出端、20…取出口、20L…細長部、20V…凹欠部、20e…凹欠部の上縁、21…位置決め用突起部、22…係止片、24…奥側傾斜面、25…手前側傾斜面、24A,25A…上方側急斜面、24B,25B…下方側緩斜面、24t,25t…屈曲部分、26…支持体側板、27…垂直面(垂直壁)、28,28…変曲線、29…突起部、29t…突起部の下部凸部、30…天板部、離間距離、31…前板部、31e…前板部の下縁、32…外側片部、33…突起、35…手前側ガイドリブ、35t…手前側ガイドリブ突出端、X1…衛生薄葉紙ディスペンサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板部とこの背板部の両側から手前に延在する内側片部とを有するケース本体と、
衛生薄葉紙の取出口を有し、前記ケース本体の下部において両内側片部間で固定されたペーパー支持体と、
前板部とこの前板部の両側から奥側に延在する外側片部とを有し、各外側片部がケース本体の内側片部に対して回動自在に軸支され、かつ前記前板部がケース本体の背板部と対面する位置を閉じた状態とする開閉自在な蓋体とを備え、
複数枚を重層した衛生薄葉紙束を前記ペーパー支持体上に載置して収容し、前記取出口から衛生薄葉紙を一枚ずつ引き出せるようにした衛生薄葉紙ディスペンサーであって、
前記ケース本体は、前記背板部の前板部と対面する部分に手前側に突出する奧側ガイドリブを有し、
前記蓋体は、前記前板部の背板部と対面する部分に奥側に突出する手前側ガイドリブを有し、
前記ペーパー支持体は、前記背板部側から手前側に向かって下り傾斜する奧側傾斜面と、前記前板部側から前記奥側に向かって下り傾斜する手前側傾斜面と、奥側傾斜板と手前側傾斜板とを連接する支持体側板と、前記奥側傾斜面及び手前側傾斜面の上縁から上方に向かって実質的に垂直に延在する垂直面と、前記支持体側板から内側に突出する突起部とを有し、
前記取出口は、前記手前側傾斜板の下縁部と前記奥側傾斜板の下縁部との間に形成され、
前記手前側ガイドリブ及び奥側ガイドリブは、上方から下方に向かって突出長さが連続的に長くなるように形成され、
これらガイドリブの突出先端は、前記ペーパー支持体の垂直面の上方でその垂直面を超えてディスペンサー内側に位置していることを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項2】
奥側傾斜面の上縁から延在する垂直面が、ケース本体の背板部に連続して一体となっている請求項1記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項3】
前記突起部は、上方から下方に向かって突出長さが長くなるように延出し、その下端部に内側に向かって突出する凸部を有する、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項4】
前記手前側傾斜面及び前記奥側傾斜面の各傾斜面は、上方側に位置する急傾斜面と下方側に位置する緩傾斜面とが連続して形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄養成ディスペンサー。
【請求項5】
前記奥側傾斜面及び前記手前側傾斜面と突起部との間の離間距離が6mm〜12mmである請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項6】
取出口は、手前側傾斜板と奥側傾斜板との間に位置し、前記背板部と前板部とに平行に延在する細長部と、前記ペーパー支持体の中央部で前記細長部と連続し、上面側に向かって凹欠された凹欠部とを有し、
この凹欠部の上縁が前記垂直面と傾斜面との境目よりも上方に位置して、前記ペーパー支持体上に載置された衛生薄葉紙束の積層面が当該凹欠部から露出される請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項7】
前記蓋体の前板部は、下縁の中央部が上縁側に向かって湾曲し、かつその湾曲縁の最上位が前記垂直面の下縁よりも下方に位置している請求項1〜6の何れか1項に記載の衛生薄葉紙ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−136586(P2009−136586A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317716(P2007−317716)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】