説明

衛生設備機器

【課題】 衛生設備機器の外観を使用者が自ら簡便に交換することにより、トイレ空間内のデザインを変更可能とする。
【解決手段】 本発明では、使用者が排泄を行う洋風大便器本体と、前記洋風大便器本体後方に配置されるキャビネット部と、を有する衛生設備機器において、前記キャビネット部の少なくとも前面部に複数の絵柄に変更可能な外観変更手段を配したことを特徴とする衛生設備機器とした。また、前記外観変更手段は、前記キャビネット部の前面部に透明な前板を設け、その前板の背面に着脱可能に外観変更部材を配置したことを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備機器に係り、特に使用者のニーズに合わせて外観変更可能とする衛生設備機器に関する
【背景技術】
【0002】
近年、トイレルームのリフォームにおいて、便器の後方にキャビネットを配置し、そのキャビネットの外郭の色彩・柄を選択できるようにして、トイレルームの全体のイメージを使用者の好みに合わせて変更できるようにしたものが、提案されている。トイレの壁面の壁紙を変える大掛かりな作業でなく、トイレの雰囲気を簡単に変更できるので、好まれている。
従来の衛生設備機器は、その設置に当って色調を好みのものに選定するが、使用者の簡便な交換要望に応えるものとしては、腰掛け便器の下部の袴部を着脱可能とし、デザインの変更等ができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、衛生設備機器、特に洋風大便器上に配置される衛生洗浄装置の本体外観を形成する部分を中空且つ透明な樹脂で構成し、その中空部分に液体着色剤を注入して、外観をトイレ空間の色にコーディネイトしたり、使用者の好みの色に合わせるようにしたものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−036416号公報
【特許文献2】特開2000−160659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行文献は、便器や衛生洗浄装置を対象としているため、それらの色違いのものを購入後に部分的に変更できる程度であり、トイレ空間内のイメージを変更できるものでなく、また、絵柄を変更する際には、何れのものも作業が煩雑で、交換したものを破棄または、別途保管しておかなければならなかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、簡便に衛生設備機器の外観を変更することで、トイレ空間内のデザインを変更可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、使用者が排泄を行う洋風大便器本体と、前記洋風大便器本体後方に配置されるキャビネット部と、を有する衛生設備機器において、前記キャビネット部の少なくとも前面部に複数の絵柄に変更可能な外観変更手段を配したことを特徴とする衛生設備機器とした。
【0007】
本発明によれば、トイレの見え掛り部分の外観を大きな範囲で変更可能であり、例えば、使用者が自らも、簡便にトイレ空間内のデザインを変更可能とすることを可能とした。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記外観変更手段は、前記キャビネット部の前面部に透明な前板を設け、その前板の背面に着脱可能に外観変更部材を配置したことを特徴とした。
【0009】
本発明によれば、透明な前板の背面にある外観変更部材を着脱可能に配置したので、外観を変更したい場合には、外観変更部材のみを、例えば、板状の表裏で絵柄を変えて、外観部材を抜き差しして変更し、衛生設備機器の外観を変更することが可能となる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記外観変更部材は、複数枚の絵柄を有する板状部材を前後に積層配置したことを特徴とした。
【0011】
本発明によれば、より多くの絵柄を保有でき、要望する外観変更部材を積層配置されたものの最前(透明な前板の次)に持ってくるだけで、衛生設備機器の外観を簡便に変更することが可能となる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記外観変更部材はシート状であり、巻き取り動作によって変更されることを特徴とした。
【0013】
本発明によれば、シート状として、多くの絵柄を表示でき、巻き取るという簡便な作業、短時間で変更可能であり、要望等に合わせて衛生設備機器の外観を変更することを可能とした。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、外観変更手段は、通電によって絵柄が変更する液晶パネルからなることを特徴とした。
【0015】
本発明によれば、液晶パネル1枚で液晶の表示形態によって多くの絵柄を通電によって変更できるので、より簡便に衛生設備機器の外観の変更が行える。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、前記外観変更手段は、前記衛生設備機器に設けられた人体検知手段の検知によって、自動的に衛生設備機器の変更することを特徴とした。
【0017】
本発明によれば、トイレを利用する人がその都度ことなる変更操作不要で、衛生設備機器の外観で変更できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡便に衛生設備機器の外観を変更することで、トイレ空間内のデザインを変更可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面に沿って詳細に説明する。なお、この発明はそれによって限定されるものではない。
【0020】
図1は本発明を実施した第一の実施形態における衛生設備機器全体を示す斜視図である。図1を使用して、本実施例における衛生設備機器の全体構成について以下に述べる。
【0021】
衛生設備機器1は、上面に便座3を開閉自在に固定している洋風大便器2と洋風大便器1の後方(図中右方向)のトイレルームの壁面Wとの間に配置されたキャビネット部4からなる。キャビネット部4は、前面部5と側面部6及び天井部7から構成されている。それぞれの外郭は、透明材料からなる前板5aと、左右に設けられた側板6aと、天井部7を覆う甲板7aで構成されている。側板6aの前方端部(木口)には、R形状を有する軟質部材が設けられており、使用者の腕や肘が前方端部(木口)にあたってもけがをしないように配慮されている。
【0022】
前面部5は、後述する構成により、トイレ使用者の所望に合わせて簡便に衛生設備機器の外観を変更できるような外観変更手段になっている。
【0023】
図2は本発明を実施した第一の実施形態における前面部を示す断面図である。図2を用いて、本実施形態について以下に述べる。
【0024】
図2において、前面部5の構成は、側面部6に適用しても良い。また、前面部、側面部単独であっても、複数の組み合わせであってもよい。前面部5の構成は、前板5a、中板5b、後板5cから成る積層構造である。参照符合5dは、前板5a、中板5b、後板5cのそれぞれが適切な間隔で配置されるように固定する栓体である。栓材5dの上方側(図中上側)は、着脱自在に配置されている。下側は、外れないように固着されている。また、中板5bは、前板5aと後板5とが、栓体5dによって固定した際に形成される前板5aと後板5との隙間に着脱可能に配置される。中板5bの着脱は、上側の栓体5dを外した際に開口する隙間に抜き差しすることで行われる。
【0025】
前板5aは、上記したように透明部材であり、中板5bは、絵柄が表記された外観変更部材である。後板5cは、透明部材であっても不透明部材であっても良い。後板5cは、前板5aと共に、中板5bを収納できるように空間を形成する役割となっている。中板5bは、表裏に異なる絵柄を施したり、中板5bを複数枚積層するような構造にして利用する。また、中板5bは、1枚の板状部材で構成されているが、複数に分割した、例えば、縦長の帯状の板を組み合わせても良い。その場合には、帯状の板の任意の組み合わせによって、種々の絵柄を作成することができる。そのようにすることで、トイレ使用者が所望のデザインに衛生設備機器の外観を変更することができるようになっている。
【0026】
次に、上述した構成に基づき、第一実施形態の外観変更の動作について説明する。
現状の衛生設備機器の外観を変更する際には、まず、キャビネット部4の前面部5の栓体5dを外す。その後、前板5aと後板5cとの間に挿入されている中板5bを引き抜く。中板5bが一枚の場合には、その裏面を前板5aに向けて挿入して、表面の絵柄と異なる絵柄を表示することができる。また、前面部5とは、異なるキャビネット部4内に収納された別の中板を利用しても良い。なお、中板5bが、前面部5内に複数枚収納されている場合には、その中から所望する絵柄のものを前板5a側の最前面に挿入する。その後、再び栓体5dを固定して外観の変更を終了する。
【0027】
次に、図3を用いて、本発明の第二実施形態について、説明する。上記した第一実施形態と同じ部位には、同じ符号を用いて説明する。第一実施形態との違いは、外観変更部材として、中板の代わりに、巻き取り可能なシートを利用した点である。
【0028】
図3において、前面部5は、前板5a、後板5cに加えて、巻き取り装置8、シート9から成る積層構造である。シート9には、絵柄が、前板5aの大きさ内に収まる間隔でいろいろ施されている。巻き取り装置8は、軸を図示しないモータで回転させることで、巻き取ることができるようになっているが、軸の一端を側面部より突出させて、手で回せるようにしても良い。
【0029】
次に第二実施形態の動作を説明する。
使用者が衛生設備機器の外観を変更しようとした場合には、図示しない巻き取り装置8の駆動ボタンを押すことで巻き取り装置8の軸が回転し、シート9が巻き取られ、新らしい絵柄が前板5aを透して表示される。使用者は自分の好みにあった絵柄が出た時点で起動ボタンを離し、モーターの駆動を停止し、外観変更が完了する。巻き取り方法は、起動ボタンを1回押すことで1つの絵柄が変更するようにしても良い。更には、衛生設備機器に人体検知手段を設け、人体検知と同時にモータを駆動するようにし、自動的に絵柄を変更するようにすることで、使用者は、毎回異なってイメージでトレイを使用することができる。
【0030】
次に、図4を用いて、本発明の第三実施形態について、説明する。上記した第一実施形態と同じ部位には、同じ符号を用いて説明する。第一実施形態との違いは、外観変更部材として、中板の代わりに、液晶パネルを利用した点である。
【0031】
図4において、参照符号10は、液晶パネルであり、図示しない電源に接続され、通電によって、種々の絵柄に変更できるように制御されている。前板5aが液晶の保護のため、設けられているが、液晶パネル自体の表面が清掃時等に触れられたも故障しないように構成されていれば、前板5aは無くても良い。表示される内容としては、使用者の選択する色や模様などを表示するだけでなく、朝の時間帯においては時刻を表示したり、夜間の時間帯においてはトイレ内を淡く照らす照度として使用者の覚醒を抑制する方法などがある。インターネットなどの通信媒体や半導体記憶手段の電子情報を介して、適宜、開示される情報が変更されるようにすることで多彩な外観に変更可能となる。
【0032】
なお、上記の実施形態では、外観変更について、説明したが、外観変更と同時に音声を併用して表示された絵柄にあった音声を載せることでリラックスしたトイレ空間を演出することも可能となる。また、前面部内に照明を配置し、中板の絵柄を照らすようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第一実施形態における衛生設備機器全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の第三実施形態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…衛生設備機器
2…洋風大便器
3…便座
4…キャビネット部
5…前面部
5a…前板
5b…中板
5c…後板
5d…栓体
6…側面部
6a…側板
7…天井部
7a…甲板
8…巻き取り装置
9…シート
10…液晶パネル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が排泄を行う洋風大便器本体と、
前記洋風大便器本体後方に配置されるキャビネット部と、
を有する衛生設備機器において、
前記キャビネット部の少なくとも前面部に複数の絵柄に変更可能な外観変更手段を配した
ことを特徴とする衛生設備機器。
【請求項2】
前記外観変更手段は、前記キャビネット部の前面部に透明な前板を設け、その前板の背面に着脱可能に外観変更部材を配置したことを特徴とする請求項1記載の衛生設備機器。

【請求項3】
前記外観変更部材は、複数枚の絵柄を有する板状部材を前後に積層配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の衛生設備機器。
【請求項4】
前記外観変更部材はシート状であり、
巻き取り動作によって変更される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衛生設備機器。
【請求項5】
前記外観変更手段は、通電によって絵柄が変更する液晶パネルからなることを特徴とする請求項1に記載の衛生設備機器。
【請求項6】
前記外観変更手段は、前記衛生設備機器に設けられた人体検知手段の検知によって、自動的に変更することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の衛生設備機器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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