説明

衛生設備用のホース継手

本発明は、衛生設備用のホース継手(1)であって、管状の継手・ベース体(2)を備え、継手・ベース体は、少なくとも1つのベース体・端部領域に、フレキシブルな送水ホース(4)の被せ嵌めのための、少なくとも部分領域に成形部を備えるホースコネクタ(3)を有し、更にフェルール(6)を備え、フェルールは、変形状態で、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれたホース端部(5)をホースコネクタ(3)上に固定する形式のものに関し、本発明により、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれたホース端部は、ホースコネクタ(3)上に相対回動不能に固定され、かつ、ホース端部(5)は、ホースコネクタの周方向で非円形の成形区分(7)に被せ嵌め可能である。本発明のホース継手により、送水ホースと継手・ベース体との間のねじり力伝達を可能にしているので、本発明のホース継手は、送水ホースの組み付け及び取り外しを、狭められたスペース状況下でも極めて容易にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備用のホース継手であって、管状の継手・ベース体を備えており、継手・ベース体は、継手・ベース体の少なくとも1つのベース体・端部領域に、フレキシブルな送水ホースの被せ嵌めのための、少なくとも部分領域に成形部を備えるホースコネクタを有しており、更にフェルールを備えており、フェルールは、変形された状態で、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれたホース端部をホースコネクタ上に固定するようになっている形式のものに関する。
【0002】
前記形式の衛生設備用のホース継手は、一般的に、フレキシブルなホース管路のホース端部に用いられるものである。この種のフレキシブルなホース管路(ホース通路又はホースパイプ)は、例えば衛生設備用の送水管路の壁側の管路接続部と衛生設備用の蛇口とを接続するために、次第に用いられるようになっており、蛇口は、水盤(ボウルや洗面器若しくは手洗器等)に組み付けられているものである。この場合に蛇口は、一般的に、水盤の、利用者の位置する側とは反対側の水盤縁部に組み込まれている。蛇口の、ホース継手に対応して設けられた継手対向片へのアクセスが水盤により妨げられているので、また、蛇口に設けられた継手対向片(ホース継手への接続部)へのアクセスは、蛇口を利用者の位置する側とは反対側の水盤縁部に配置してあることによっても困難であるので、蛇口に設けられた継手対向片に対するフレキシブルなホース管路の組み付け(取り付け又は接続)及び取り外し(分離)は、しばしば極めて厄介な作業である。蛇口に向けられているホース継手へのホーススパナー若しくはパイプレンチの装着のために必要なスペースは、しばしば与えられていない。
【0003】
公知のホース継手は、一般的に管状の継手・ベース体を有している。フレキシブルな送水ホースの、継手・ベース体のホースコネクタに被せ嵌められるホース端部は、フェルール(ferrule)若しくはクランプスリーブを用いて確保されるようになっており、フェルール若しくはクランプスリーブは、押し潰された状態若しくは適切に変形された状態で、ホースコネクタに被せ嵌められたホース端部を強固に包囲して、ホース端部を、ホースコネクタに設けられた成形部へ押圧するようになっている。成形部を回転対称に形成してあるので、また、ホースコネクタに被せ嵌められたホース端部は、成形部の回転対称な形成に基づきホース継手に対して容易に回動してしまうので、ホース継手の水密な結合のために、公知技術においては、ホース継手を、水盤の領域における狭められたスペース状況下でも、ホース継手に装着される工具により組み付ける必要がある。
【0004】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の衛生設備用のホース継手に改良を加えて、該ホース継手により、該ホース継手に結合された送水ホースの組み付けを、狭められたスペース状況下でも著しく容易にすることである。
【0005】
前記課題を解決するために本発明の構成によれば、冒頭に述べた形式のホース継手において、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれたホース端部は、ホースコネクタ上に相対回動不能に固定されるようになっていて、ホースコネクタの周方向で非円形の成形区分に被せ嵌められるようになっている。
【0006】
本発明に基づくホース継手において、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれたホース端部は、ホースコネクタ上に相対回動不能に固定されるようになっている。更に、送水ホースのホース端部は、ホースコネクタの周方向で非円形の、つまりホースコネクタの軸線に対して垂直な横断面で見て非円形の成形区分に被せ嵌められるようになっている。特に、圧縮スリーブ又はクリンプスリーブ(crimp sleeve)とも呼ばれるフェルール若しくはクランプスリーブ(締め付けスリーブ)を、非円筒形若しくは非円形の成形区分の領域でクリンプ加工して、これにより、フェルール若しくはクランプスリーブをホース端部の周囲に強固に係合させて、ホースコネクタの成形部へ押圧する場合には、ホースの周方向でホースに作用する力が、必然的にホース継手に対するホースの相対的な回動運動に変換されるようなことは、もはやなくなっている。追加的に若しくは代わりに、1つの形態によれば、フェルールのクリンプ加工(縮め加工又は縮径加工)された領域で押し退けられるホース材料は、一方で非円形の成形区分と他方でフェルールの場合によりクリンプ加工される部分領域との間に画定される環状スペース内へ押し退けられて、そこで応力若しくは締め付け力を受けるようにされ、これにより、環状スペースの領域でホース材料に作用する押圧力(プレス力)が、ホース端部を非円形の成形区分に向けて、相対回動不能に押圧するようになっている。非円形の成形区分の領域では、ホースコネクタ上に被せ嵌められたホース端部は、フェルール若しくはクランプスリーブを非円形の成形区分の領域でクリンプ加工しているか、クリンプ加工していないかに左右されることなく、相対回動不能に固定される。従って、ホースの周方向でホースに作用する力は、ホースを介して、ホースと相対回動不能に結合されたホース継手に伝達されることになり、結果として、一方でねじ継手と他方で例えば衛生設備用の蛇口との間のねじ結合部が、必要に応じて容易に締め付けられ若しくは緩められるようになっている。
【0007】
本発明に基づくホース継手は、トルク伝達を、必要に応じて規定された範囲内で可能にすることもできる。このような形態においては、送水ホースの、フェルールにより取り囲まれているホース端部は、ホースコネクタ上に次のように相対回動不能に固定されており、つまり、送水ホースは、ホース継手へのトルク伝達を、規定された範囲内でのみ可能にして、規定されたトルク(回転モーメント又はねじり力)の超えられた場合には、破損することなしに、ホース継手に対して若しくは継手・ベース体に対して相対的に回動できるようになっている。本発明に基づくホース継手によりトルク伝達を規定された範囲内でのみ可能にする場合に、該ホース継手は、いわゆる所定の限度内でのトルク伝達結合機能を有しており、即ち、規定されたトルクの超えられた際にようやくホースとホースコネクタとの回動滑りを発生させるようになっている。規定されたトルクの超えられた後のホースのこのような回動滑りは、過度なねじりに起因するホースの破損を防止し、また、ホースとホースコネクタとの間の結合部が回動に対して完全に剛性的である場合などに発生するホースの急激なつぶれ若しくは座屈を防止するものである。伝達可能なトルクは、例えば、一方で継手・ベース体と他方で接続蛇口との間に設けられたリングシールが圧縮されて、該領域における頑丈で密な結合が保証されるような値に規定されており、このように規定されたトルクが超えられると、ホースは、ホースの過度なねじり及び急激なつぶれ若しくは座屈をおそれることなしに、ホースコネクタに対して滑り回動するようになっている。つまり、本発明に基づくホース継手は、破損防止のためのトルク制限機能を有しており、このような機能は、未熟な作業員によりホース継手の組み付けられる製品の信頼性をも高めるものであり、なぜならば、破損防止のためのトルク制限機能は、ホース継手の過度なねじりに起因する破損を予め防止し、従って、ホース継手の組み込まれる製品が、組み込まれたホース継手の破損に基づき使用できなくなることを防止するからである。本発明に基づくホース継手は、該ホース継手と結合された送水ホースの取り付けを、狭められたスペース状況下でも容易にするという特徴を有している。
【0008】
本発明の特に簡単かつ有利な形態によれば、ホース継手の管状又は円筒状の継手・ベース体のホースコネクタの非円形の成形区分(異形の成形区分)は、ホースコネクタの周方向で角張って形成され、言い換えれば、ホース継手の軸線に対する垂直な横断面で見て複数の角をもって、つまり実質的に多角形に形成されている。周方向で角張って形成された非円形の成形区分は、フェルール若しくはクランプスリーブの押圧力又は締め付け力下で、一方ではホースコネクタ上に被せ嵌められたホース端部と他方ではホース継手との間の相対運動が全く不可能になる程度に、ホース材料内に確実にかつ強固に食い込むようになっている。
【0009】
一方で本発明に基づくホース継手と他方でホースコネクタ上に被せ嵌められたホース端部との間の確実かつ強固な又は頑丈な結合は、非円形の成形区分の長い支持面により画定される各角部が、それぞれ90度以下の鋭角を成していることにより、及び/又は非円形の成形区分が、周方向で3つ若しくは4つの角をもって形成されていることにより、促進される。非円形の成形区分の角部が鋭角を成している、大きくても直角を成している場合には、角部に、送水ホースのホース材料内に特に良好に食い込むグリップエッジ若しくはナイフエッジが形成される。
【0010】
ホース端部を、衛生設備用のホース継手のホースコネクタに被せ嵌めねばならないので、また、このために、ホースコネクタの直径を被せ嵌め方向で増大させるので、有利には、非円形の成形区分はホースコネクタの、自由なコネクタ端部とは逆の側の部分領域に設けられている。ホースコネクタの自由なコネクタ端部とは逆の側の部分領域に設けられ非円形の成形区分も、送水ホースの、少なくとも成形区分でも必要に応じて拡大されるホース端部のホース材料内へ特に良好に食い込むために、大きな直径を有していてよい。
【0011】
本発明に基づくホース継手のホースコネクタ上でクリンプ加工されるフェルール若しくはクランプスリーブを、変形された状態でホース継手に確実かつ頑丈に保持するために、有利には、フェルールの、ホースコネクタの自由なコネクタ端部とは逆の側の、有利にはホース端部を超えて突出するスリーブ端部領域(フェルール端部領域)は、半径方向内側へ継手・ベース体に向けて変形されている。
【0012】
本発明の有利な形態によれば、フェルール若しくはクランプスリーブの半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域は、スリーブ端部領域の、継手・ベース体に向いている端縁部でもって、継手・ベース体の円形の部分領域又は段部、若しくは円くされ又は丸味の付けられた部分領域又は段部を取り囲んでおり、或いは継手・ベース体の角のある部分領域若しくは異形の部分領域を相対回動不能に取り囲んでいる。半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域により、継手・ベース体の角のある部分領域若しくは異形の部分領域を相対回動不能に取り囲んでいる場合には、ホース継手と、ホースコネクタに被せ嵌められたホース端部とフェルールとの間の相対回動不能な結合部が形成されることになる。しかしながら特に有利な形態によれば、半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域は、スリーブ端部領域の、継手・ベース体に向いている端縁部でもって、継手・ベース体の円形の部分領域又は段部、若しくは丸味の付けられた部分領域又は段部を取り囲んでおり、このような構成により、相対回動不能な結合は、継手・ベース体のホースコネクタと該ホースコネクタ上に被せ嵌められたホース端部との間の分離面(境界面)に限定されて、フェルールとホース端部との間並びにホース端部とホースコネクタとの間の不都合なトルク伝達は避けられるようになっている。
【0013】
フレキシブルな送水ホースのホース端部をホースコネクタ上に簡単に被せ嵌め、更にホースコネクタ上に被せ嵌められたホース端部を、非円形の成形区分上へ容易に移動できるようにするために、有利には、ホースコネクタは、ホースコネクタの自由なコネクタ端部領域に、自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細の被せ嵌め円錐部(被せ嵌め傾斜部)を有している。
【0014】
送水ホースと本発明に基づくホース継手との間の負荷又は荷重に対して耐えられる強固な結合部を形成するために、本発明の形態によれば、継手・ベース体のホースコネクタの被せ嵌め円錐部と非円形の成形区分との間に、少なくとも1つの環状つば又は環状フランジ若しくは環状段部を設けてある。ホースコネクタに設けられた少なくとも1つの環状段部は、ホースコネクタから側方へ、つまり半径方向外側へ突出しているので、ホースコネクタからのホース端部の意図しない引き抜きは避けられるようになっている。
【0015】
本発明の有利な形態によれば、ホースコネクタに設けられる環状段部は、自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細になっていて、これにより被せ嵌め方向で鉤フック状に作用するようになっている。
【0016】
次に本発明を、図示の実施形態に基づき詳細に説明する。本発明に基づく種々の構成は、本発明の実施に際して単独に若しくは任意に組み合わせて用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】衛生設備用のホース継手の縦断面図であり、ホース継手は、成形されたホースコネクタを備えており、該ホースコネクタ上に、フレキシブルな送水ホースのホース端部が被せ嵌められて、該ホース端部上でクリンプ加工されるフェルールを用いて固定されている。
【図2】図1のホース継手を、そのホースコネクタの箇所で図1のII−II線に沿って横断面して示す図である。
【図3】図1,2のホース継手を、図2のIII−III線に沿って縦断面して示す図である。
【図4】図1〜3のホース継手の、フェルールとホース継手と送水ホースとの間の結合領域及び移行領域の拡大縦断面図である。
【図5】図1〜4のホース継手の斜視図である。
【図6】図1〜5のホース継手の実施形態に対応する別の実施形態の2つのホース継手の典型的な組み付け状態の縦断面図であり、ホース継手は、衛生用の蛇口の蛇口本体の、吐水口とは逆の側の端部に取り付けられている。
【図7】図1〜6のホース継手の実施形態に対応する別の実施形態のホース継手を示す縦断面図であり、ホース継手のホースコネクタ上に、金属製編組体若しくはプラスチック製編組体により編組外装されたフレキシブルな送水ホースのホース端部が被せ嵌められている。
【0018】
図1〜図5に示してあるホース継手1は、円筒状若しくは管状の継手・ベース体2を備えている。継手・ベース体2は、該継手・ベース体の少なくとも1つのベース体端部にホースコネクタ3を有しており、該ホースコネクタは、フレキシブルな送水ホース4が該ホースコネクタに被せ嵌められるように規定されている。ホースコネクタ3に被せ嵌められたホース端部5の意図しない引き抜きに抗する作用を得るために、ホースコネクタ3は、少なくとも1つの部分領域で成形して形成されている。
【0019】
ホース継手1にはフェルール6を配設してあり、該フェルール(ferrule)は、ホースコネクタ3に被せ嵌められたホース端部5を取り囲むようになっている。ホース端部を取り囲むクランプスリーブ若しくはフェルール6は、ホース端部5上で次のようにクリンプ加工され、つまり、変形させられた図示の状態で、送水ホース4のホース端部5をホースコネクタ3に固定するようになっている。
【0020】
送水ホース4の、フェルール6により取り囲まれたホース端部5を、ホースコネクタ3上で相対回動不能に固定し、かつ送水ホース4とホース継手1との間でのトルク(回転モーメント)の少なくとも限定的な伝達を可能にするために、ホースコネクタ3は、該ホースコネクタの、ホース端部5により取り囲まれる領域に、周方向で非円形の成形区分7を有している。
【0021】
ホース端部5とホースコネクタ3との間の、できるだけ荷重(負荷)を受け止めることのできる相対回動不能な結合を達成するために、非円形の成形区分7は、周方向で角張って形成されている。非円形の成形区分7の、周方向で角張って形成されてなる角部8は、図示の実施形態では平たく若しくは平らに形成された主要面により互いにつながれており、該主要面は、継手・ベース体の外周面を画定する仮想の円の割線により規定されるものである。高いトルク伝達を必要とする場合には、非円形の成形区分7の角部8を互いにつなぐ主要面、つまりエッジ間に設けられる主要面は、図示の平らな主要面の代わり、凸面若しくは凹面として形成されていてよいものである。非円形の成形区分7の角部8は、非円形の成形区分7の長い支持面20により画定される角部が、それぞれ90度以下の鋭角を成している場合には、実質的にグリップエッジ状若しくはナイフエッジ状に作用してホース材料内に食い込むようになっている。このために、非円形の成形区分7は、図示の実施形態では実質的に横断面四角形に形成されている。
【0022】
ホースコネクタ3上へのホース端部5の被せ嵌めは、ホースコネクタ3がその自由なコネクタ端部の領域に、該自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細の被せ嵌め円錐部9を有している場合に、容易に行われる。これに対して、非円形の成形区分7を、ホース端部5を開き広げるような大きな直径で形成するために、非円形の成形区分7は、有利な実施形態によれば、ホースコネクタ3の自由なコネクタ端部とは逆の側の部分領域に設けられている。
【0023】
図1〜図5に明確に示してあるように、被せ嵌め円錐部9と非円形の成形区分7との間には、複数の環状つば若しくは環状段部10,11を設けてあり、該環状つば若しくは環状段部は、ホースコネクタ3からのホース端部5の意図しない引き抜きに抗して作用するようになっている。
【0024】
環状段部10,11並びに被せ嵌め円錐部9の、送水ホース4とは逆の側の端面が、半径方向の面内に配置されているので、環状段部10,11も、自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細になっていることにより、ホース端部5に実質的に鉤フック状に作用して、ホース端部5をホースコネクタ3上に保持するようになっている。
【0025】
図1と図5との比較により、特に図4の拡大図から明らかなように、フェルール6の、自由なコネクタ端部とは逆の側で有利にはホース端部5を超えて突出するスリーブ端部領域12は、半径方向内側へ、継手・ベース体2に向けて変形されている。これにより、半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域12は、継手・ベース体2に向いた端縁部で、継手・ベース体2の円形の若しくは円くされた部分領域13を取り囲んでいる。継手・ベース体2の、フェルール6の半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域12により取り囲まれている円形の部分領域13は、フェルール6を、組立中に、特に継手・ベース体2へのフェルール6のクリンプ加工中に中心位置決め、つまりセンタリングするようになっている。更に、継手・ベース体2の、シリンダー状又は円筒状のつば若しくはフランジとして形成された円形の部分領域13は、フェルール6のための案内としても用いられている。
【0026】
フレキシブルな送水ホース4のホース端部5を、ホース継手1のホースコネクタ3に被せ嵌めて、フェルール6の所定のスリーブ・部分領域のクリンプ加工によりホース端部5をホースコネクタ3上に固定することに基づき、送水ホース4とホース継手1の管状の継手・ベース体2との間の力伝達可能な結合部が形成される。図示の実施形態では、フェルール6のクリンプ加工されていない上側のスリーブ端部領域には、閉じられた環状のスペース14が形成されており、該スペースは、ホース材料で満たされている。フェルール6のクリンプ加工された所定のスリーブ・部分領域での変形により、ホース材料は、一方で、送水ホースの、束縛されずに緩められている側へ押圧され、かつ他方で、ホース材料は、内側を継手・ベース体2により、かつ外側をフェルール6により画定された環状のスペース14内へ押圧される。環状スペース14内では、ホース材料は、環状スペース14の領域内でホース材料に作用する押圧力が、ホース端部を、非円形の成形区分7に向けて相対回動不能に押し付けるような応力を受けている。いまトルクが作用すると、継手・ベース体2は、ホース材料に支えられるようになっている。ホース材料の弾性は、ホース材料がフェルール6の閉じられた環状スペース14の領域で十分に後退して、つまり圧縮されて、送水ホース4に対する継手・ベース体2の相対回動を許す程に高いものではない。
【0027】
図示のホース継手1の本発明に基づく構成により、送水ホース4に対する継手・ベース体2の相対回動は防止されている。従って図示の送水ホースは、トルク伝達を、必要に応じて規定される所定の範囲内で、例えば1.5Nmの値までで可能にしている。トルク伝達を、規定された範囲内で可能にする、或いは達成するために、有利な形態によれば、非円形の成形区分7の一般的にナイフエッジとして形成される角部(コーナ部)8は、図示の実施形態のように、丸味をもって、或いは鈍角に構成されている。この場合に、送水ホース4の、フェルール6により取り囲まれているホース端部5は、送水ホース4がホース継手1へのトルク伝達を、規定された範囲内でのみ可能にするように、ホースコネクタ3上に相対回動不能に固定されており、このような構成により、送水ホース4は、規定されたトルク(ねじり力)が超えられた場合にのみ、ホース継手1に対して若しくは継手・ベース体2に対して相対的に回動して、破損されないようになっている。これにより、本発明に基づくホース継手1は、所定の限度内でのトルク伝達結合機能を有しており、このような機能は、未熟な作業員により該ホース継手1が組み付けられる製品の信頼性をも高めて、該製品が、組み込まれたホース継手1の破損に基づき使用できなくなることを防止するものである。
【0028】
図6には、典型的な組み付け状態が縦断面で示されている。図6は、衛生用の蛇口の蛇口本体15の、吐水口とは逆の下側の部分領域を示している。図6から明らかなように、蛇口本体は中空室を有しており、該中空室内には、フレキシブルな2つの送水ホース(温水用及び冷水用)の取り付けのための2つの雌ねじが設けられている。図1〜図5のホース継手1は、継手・ベース体2の、ホースコネクタ3とは逆の側の端部領域にユニオンナットのための環状フランジ16を有しているのに対して、図6のホース継手1には、雄ねじ17及びシールリング18が設けられている。ホース継手1はその雄ねじ17でもって、蛇口本体15に設けられた雌ねじ内に、シールリング18により液密な結合部を形成するようになるまで、ねじ込まれる。蛇口本体15内におけるホース継手1の深い組み付け位置に基づき、工具をホース継手に係合させることができないので、送水ホース4と継手・ベース体2との間の高いねじり力伝達(トルク伝達)を可能にするホース継手1は、雌ねじ内へのねじ込みのための工具としても機能し得るという優れた利点を有するものである。図6に示してある実施形態の場合にも、送水ホース4の、フェルール6により取り囲まれたホース端部5は、送水ホース4がホース継手1へのトルク伝達を、規定された範囲内でのみ可能にするように、ホースコネクタ3上に相対回動不能に固定されている。この場合に、送水ホース4を介してホース継手1に伝達可能なトルクは、ホース継手1と蛇口本体15との間に設けられたシールリング18が、頑丈で密なホース結合を保証するために、十分な締め付け力により半径方向に圧着され得るように、規定される。このように規定されたトルクが超えられると、ホースコネクタ3に取り付けられているホース4は、ホース継手1若しくは継手・ベース体2に対して、破損することなく回動するようになり、その結果、ホース4の損傷のおそれがなくなっている。本発明の上述の構成により、図6に示してある構成条件、つまり、蛇口本体15に設けられた雌ねじへのアクセスが構成スペースの狭いことに基づき困難であるという条件下でも、ホース継手1の組み付け及び取り外しが、従来技術に比べてより簡単に行われるようになっている。
【0029】
図7に示してある実施形態においては、エラストマ材料から形成された送水ホース4が、金属製編組体若しくはプラスチック製編組体19を用いて外装されていてよく、該金属製編組体若しくはプラスチック製編組体により、送水ホース4の耐圧性は高められている。
【0030】
図示を省略してあるものの、ホースの図7の実施形態に対応する別の実施形態によれば、金属製編組体若しくはプラスチック製編組体19は、追加的に、衛生的に平滑な表面を保証する保護套壁によって被覆されている。
【符号の説明】
【0031】
1 ホース継手、 2 継手・ベース体、 3 ホースコネクタ、 4 送水ホース、 5 ホース端部、 6 フェルール、 7 成形区分、 8 角部、 9 被せ嵌め円錐部、 10,11 環状段部、 12 スリーブ端部領域、 13 部分領域、 14 スペース、 15 蛇口本体、 16 環状フランジ、 17 雄ねじ、 18 シールリング、 19 金属製編組体若しくはプラスチック製編組体
【図1.4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生設備用のホース継手(1)であって、管状の継手・ベース体(2)を備えており、該継手・ベース体は、該継手・ベース体の少なくとも1つのベース体・端部領域に、フレキシブルな送水ホース(4)の被せ嵌めのための、少なくとも部分領域に成形部を備えるホースコネクタ(3)を有しており、更にフェルール(6)を備えており、該フェルールは、変形された状態で、前記送水ホース(4)の、該フェルール(6)により取り囲まれたホース端部(5)を前記ホースコネクタ(3)上に固定するようになっている形式のものにおいて、前記送水ホース(4)の、前記フェルール(6)により取り囲まれた前記ホース端部(5)は、前記ホースコネクタ(3)上に相対回動不能に固定されるようになっており、かつ、該ホース端部(5)は、前記ホースコネクタ(3)の周方向で非円形の成形区分(7)に被せ嵌められるようになっていることを特徴とする、衛生設備用のホース継手。
【請求項2】
前記非円形の成形区分(7)は、周方向で角張って形成されている請求項1に記載のホース継手。
【請求項3】
前記非円形の成形区分(7)の角部(8)は、それぞれ90度以下の鋭角を成しており、且つ/又は前記非円形の成形区分(7)は、周方向で3つ若しくは4つの角をもって形成されている請求項1又は2に記載のホース継手。
【請求項4】
前記非円形の成形区分(7)は、前記ホースコネクタ(3)の、自由なコネクタ端部とは逆の側の部分領域に設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載のホース継手。
【請求項5】
前記フェルール(6)の、前記自由なコネクタ端部とは逆の側の、有利には前記ホース端部(5)を超えて突出するスリーブ端部領域(12)は、半径方向内側へ前記継手・ベース体(2)に向けて変形されている請求項1から4のいずれか1項に記載のホース継手。
【請求項6】
前記半径方向内側へ変形されたスリーブ端部領域(12)は、該スリーブ端部領域の、前記継手・ベース体(2)に向いている端縁部でもって、該継手・ベース体(2)の円形の若しくは円くされた部分領域(13)を取り囲んでおり、或いは該継手・ベース体(2)の角のある部分領域を相対回動不能に取り囲んでいる請求項1から5のいずれか1項に記載のホース継手。
【請求項7】
前記ホースコネクタ(3)は、該ホースコネクタの自由なコネクタ端部領域に、該自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細の被せ嵌め円錐部(9)を有している請求項1から6のいずれか1項に記載のホース継手。
【請求項8】
前記被せ嵌め円錐部(9)と前記非円形の成形区分(7)との間に、少なくとも1つの環状つば若しくは環状段部(10,11)が設けられている請求項1から7のいずれか1項に記載のホース継手。
【請求項9】
前記少なくとも1つの環状段部(10,11)は、前記自由なコネクタ端部に向かって円錐形に先細になっている請求項1から8のいずれか1項に記載のホース継手。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−519260(P2012−519260A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552343(P2011−552343)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001057
【国際公開番号】WO2010/099878
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(505123871)ネオパール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (12)
【氏名又は名称原語表記】Neoperl GmbH
【住所又は居所原語表記】Klosterrunsstr. 11, D−79379 Muellheim, Germany
【Fターム(参考)】