衛陶設備の施工構造及び施工方法
【課題】 既設の和風便器から他の衛生設備への施工を短工期で行うことのできる施工構造及び施工方法を提供する。
【解決手段】和風便器2の便鉢部3上方及び前記和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10の一部を除去し、該和風便器2の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、該挿入口5上方より接続配管1を挿入し、該接続配管1と和風便器2の排水口部及び/または既設の排水管7を接続後、和風便器2上方より鉄筋を載置し、床仕上げを行い、衛生設備を施工するため、従来行っていた和風便器2の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器2の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期短縮することができ、また、人工も削減できるため、施工コストを抑えることができる。
【解決手段】和風便器2の便鉢部3上方及び前記和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10の一部を除去し、該和風便器2の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、該挿入口5上方より接続配管1を挿入し、該接続配管1と和風便器2の排水口部及び/または既設の排水管7を接続後、和風便器2上方より鉄筋を載置し、床仕上げを行い、衛生設備を施工するため、従来行っていた和風便器2の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器2の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期短縮することができ、また、人工も削減できるため、施工コストを抑えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備の施工構造及び施工方法に係わり、特に設置階からだけの作業で、和風便器から他の衛生設備への施工を短工期で行うことのできる衛生設備の施工構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層階の建築物における和風便器2から衛生設備4への施工において、まず、図16−(a)の状態ように設置された和風便器2を設置フロアから粉砕するなどして取り除き、階下の天井裏より潜り込んで、和風便器2の破片を回収し、既設の給水管6及び排水管7を取り除き、図16−(b)の状態となる。次に、コンクリートスラブ16内に埋設されている既設の鉄筋44を露出させ、前記既設の鉄筋44に新設の鉄筋17を溶接し、階下から新設の給水管15及び排水管41を立ち上げ、下から新設の蓋45で貫通孔を塞ぎ、図16−(c)の状態となる。最後に図16−(d)のように、モルタル等の充填材12で埋め戻しを行い、養生後、床仕上げを行った後、衛生設備4の取付けが行われる。また、階下の天井に点検口がない場合は、既設の天井を一度壊してから天井裏で作業を行い、作業終了時に天井を元に戻したり、階下の天井が脚立を使用しても入れないくらい高い場合は、階下に足場を組んで、作業を行っているというように、階下からの作業は、現場によって、別途作業を伴うこともある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、既設の和風便器から衛生設備を施工する際、作業者は既設の和風便器を粉砕して取り外し、階下の天井裏より和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を行うため、2つのフロアにまたがる施工になり、工期が長くなり、また、人工も多くなり、施工コストが増大する。
【0004】
このような階下からの作業では、上向き作業が多く、作業環境はかなり悪いため、作業効率は低下しやすく、現場によっては、別途作業を伴うこともある。
【0005】
また、既設の排水管等の産業廃棄物の処理作業は、既設の排水管の臭い、汚れがひどく、かなり重いため大変な作業であるため、工期が長くなる。
【0006】
一方、設置階の作業においては、既設の和風便器を取り外す際に生じた貫通穴に鉄筋をはり、モルタルで埋め戻すため、乾燥までの養生が長時間必要であり、さらに床仕上げ前に不陸補修作業も必要なため、工期が長くなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、既設の和風便器、給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減し、乾燥までの養生を大幅に短縮できるため、大幅な工期短縮が可能な衛生設備の施工構造及び施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明における請求項1記載の和風便器改修構造は、和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を挿入し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けたことである。
【0009】
この発明では、和風便器、既設の給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期を短縮することができる。この発明では、既設の床面からの凸部が軽減されるため取付けられる衛生設備の種類が増える。和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけたので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の場合において、接続配管と和風便器の排水口部を接続したことである。
【0011】
この発明では、接続配管を和風便器の排水口部でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部を埋設する際、接続配管がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部を埋設できる。さらに、既設の排水管から発生する悪臭を防ぐことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1乃至2のいずれかに記載の発明の場合において、接続配管と既設の排水管を接続したことである。
【0013】
この発明では、接続配管を既設の排水管でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部を埋設する際、接続配管がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部を埋設できる。さらに、既設の排水管から発生する悪臭を防ぐことができる。また、万が一、和風便器の排水口部にクラックが生じても、そのクラックからの階下への漏水を防止することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の場合において、前記接続配管に弾性部材を取付けたことである。
【0015】
この発明では、前記接続配管に弾性部材を取付けたため、和風便器の排水口及び/または既設の排水管との接続を、接着剤等を使用しなくても、隙間なく接続することができ、施工性が向上する。
【0016】
上記目的を達成するために本発明における請求項5記載の和風便器改修方法は、和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を配設、接続し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けることを特徴とする和風便器改修方法である。
【0017】
この発明では、和風便器の設置されている階からだけの作業で、既設の和風便器から衛生設備に施工することができる。和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけるので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、充填材で埋設された和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。以上説明したように請求項1における発明では、和風便器、既設の給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期を短縮することができる。この発明では、既設の床面からの凸部が軽減されるため取付けられる衛生設備の種類が増える。また、和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけたので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を基に本発明の一実施例を具体的に説明する。図1に示すように、和風便器の便鉢部3上方を切削する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、衛生設備4を取り付けるため、和風便器2及び既設の給水管及び排水管7を全て取り除くことなく、腰掛便器、洗面カウンター等の衛生設備4を施工することができる。なお、和風便器の便鉢部3上方および便鉢部3の除去方法は、ディスクグラインダなどの一般的な切削工具を用いて、簡単に切削できるが、特に限定されない。また、和風便器の便鉢部3上方の除去構造については、和風便器2を支持しているリム導水路部8を全て除去すると、和風便器2が階下に落下する恐れがあるが、和風便器2が階下に落下しない限り、部分的に除去してもよく、その除去構造は特に限定されない。また、和風便器2だけでなく、和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去してもよい。図示の例では、前記和風便器2を既設の床仕上げ部9と面一になるように除去し、衛生設備4を施工しているが、その施工構造は特に限定されない。また、和風便器の便鉢部3の除去構造については、接続配管1の外径以上の大きさである限り、特に限定されず、全て除去してもよい。
【0020】
図2−(a)に示すように、和風便器の便鉢部3上方を除去する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入後、前記和風便器2上方より、充填材12で充填するため、和風便器2及び既設の給水管6及び排水管7を全て取り除くことなく、衛生設備4を施工することができる。使用する充填材12は、和風便器の非除去部11上方より充填することができれば、2種類以上組み合わせて使用してもよく、特に限定されない。また、速硬性セルフレベリング材を使用すれば、簡単なこて作業で凸凹のない表面状態に仕上げることができ、床仕上げ材を施工する際、不陸補修作業を省き、更なる工期短縮が可能である。また、施工構造については、好ましくは図示の例のように充填材12が既設の排水管7に入らないように充填し、新設の床仕上げ部13を既設の床仕上げ部9と面一となるように施工すれば、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全である。また、充填材12に速硬性セルフレベリング材または速硬性モルタルを使用すれば、乾燥までの養生時間を短縮できるため、さらに工期短縮できる。
【0021】
一方、給水系統については、図示の例では、和風便器2周辺の床仕上げ部9及び既設の床下地部10を除去後、既設の給水管6を切断し、ねじを切らず直接既設の給水管6に接続できる管継手14を用いて、新設の給水管15と接続しているため、階下からの作業を伴わずに従来技術と同様に外見よく仕上ることができるが、その接続構造は特に限定されない。また、既設の床仕上げ部9上面から床下地部10下面までの高さが低く、前記高さ内では、既設の給水管6と新設の給水管15を接続できない場合、図2−(b)のようにコンクリートスラブ16を部分的に除去してもよい。
【0022】
図3−(a)に示すように、和風便器の非除去部11上方より、充填材12で充填する際、前記充填材12と共に新設の鉄筋17を埋め込み、上方からの過大な荷重により、充填材12で埋設された和風便器の非除去部11の階下への脱落を防止することができる。図示の例では、和風便器2及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去後、和風便器2の幅より長い新設の鉄筋17を床下地部10に吊るすように載置した状態で、和風便器の非除去部11を充填材12で埋設しているが、その構造は特に限定されない。新設の鉄筋17の形状は、和風便器の非除去部11内に納まり、接続配管1と緩衝せず、両端が既設の床下地部10に引っかかるように構成されている限り、特に限定されず、図3−(b)(c)(d)にその一例を示す。また、この新設の鉄筋17は1つとは限らず、和風便器の非除去部11内に納まる限り、2つ以上使用してもよい。
【0023】
図4に示すように、埋設される和風便器の非除去部11と充填材12との間に緩衝材18を入れている。使用する緩衝材18は、充填材12養生時の膨張、収縮を吸収できれば、2種類以上組み合わせて使用してもよく、特に限定されない。また、図示の例では、緩衝材18は和風便器の非除去部11全面に処理されているが、充填材12養生時の膨張、収縮を吸収できれば、部分的な処理でもよく、その施工構造は特に限定されない。
【0024】
図5に示すように、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去する一方、前記和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、前記和風便器2上方より、接続配管挿入口20を備えた床プレート19の接続配管挿入口20に前記接続配管1を挿入しつつ、前記接続配管1に衛生設備4を取付ける。前記床プレート19の形状は、床プレート19を隙間なく載置できるように、前記除去部に概略一致するような形状が適しているが、衛生設備4を充分に支持できる形状である限り、特に限定されない。また材質については、衛生設備4を充分に支持できるような鉄板等の剛体が適しているが、衛生設備4を充分に支持できる限り、特に限定されず、仕上げを兼ね備えてもよい。図示の例では、床プレート19を既設の床仕上げ部9と面一になるように載置し、既設の床仕上げ部9と面一で衛生設備4を施工できるため、外見よく仕上げることができ、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全であるが、その施工構造は特に限定されない。
【0025】
また、図6−(a)に示すように、床プレート19を1枚使用する場合、床プレート19は必ず接続配管挿入口20を備えており、前記接続配管挿入口20の形状は、接続配管1の外径以上であれば、特に限定されない。また、図6−(b)のように、床プレート19は1つとは限らず、2つ以上組み合わせて使用してもよく、このように床プレート19を2枚以上使用する場合、床プレート19の組み合わせにより、接続配管挿入口20を設けられるので、床プレート19は必ずしも前記接続配管挿入口20を備えていなくてもよい。
【0026】
また、図7に示すように床プレート19は、支持部21を兼ね備えてもよく、床プレート19と一体でも別体でもよい。使用される床プレートの支持部21は、前記床プレート19を支持する必要があるため、例えば炭素鋼等の剛性の高いものが望ましいが、床プレート19を支持できる限り、特に限定されない。なお、この支持部21は1つとは限らず、2つ以上使用すれば、より充分な支持が可能である。
【0027】
図8に示すように、床プレート19は高さ調整できるように構成されているため、設置される床面が不陸であっても、床プレート19の高さ調整及び水平調整が簡単に行うことができ、工期短縮できる。床プレート19の高さ調整機能については、高さ調整機能が一体になっている床プレート19を使用しても、高さ調整できる別部材を使用してもよく、別部材を使用した場合、現場に応じて、高さ調整部材を取付けることができ、床プレート19を載置する床面の不陸が少ない部分で高さ調整できる。また、このような高さ調整機能は、1つとは限らず、2つ以上使用すれば、より高精度な高さ調整及び水平調整が可能である。図示の例では、前記床プレート19に貫通口を設け、その貫通口を覆うように、雌ネジ加工された床プレート脚部材22を取付け、雄ネジ加工が施された高さ調整脚23が垂直方向にねじ込める構造になっている。前記高さ調整脚23のねじ込み具合で、高さ調整及び水平調整ができるが、高さ調整及び水平調整ができる限り、その調整構造は特に限定されない。なお、この例における高さ調整脚23は、床プレート19を支持する必要があるため、例えば炭素鋼等の剛性の高いものが望ましいが、床プレート19を支持できる限り、特に限定されない。
【0028】
図9に示すように、前記床プレート19の上部に床プレート仕上げ材24を設け、前記接続配管1に衛生設備4を取り付けるため、外見よく仕上げることができる。前記床プレート仕上げ材24は、床プレート19の上部に施工することができれば、床プレート仕上げ材24の大きさ、材質、形状は特に限定されない。図示の例では、和風便器2及び前記和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去し、前記床プレート19を載置し、前記既設の床仕上げ部9と前記床プレート仕上げ材24とが面一となるように床プレート仕上げ材24を配設し、前記接続配管1に衛生設備4を施工されているため、外見よく仕上げることができ、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全である。
【0029】
図10に示すように、充填材12に防水処理を施したため、和風便器2と既設の床仕上げ部9及び床下地部10との隙間からの階下への漏水を防止することができる。防水処理方法は、防水シートを貼り付けたり、防水塗装を施す等の方法があるが、防水できる限り、特に限定されない。好ましくは図示の例のように、和風便器の便鉢部3上方を除去する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、該接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、前記和風便器2上方より充填材12で充填し、養生後、新設の防水層26を既設の防水層25と接続するように構成すれば、完全な防水構造を確保できる。さらに、充填材12に防水モルタル等の防水性能の高い充填材12を使用すれば、施工構造の防水性能が高くなり、階下への漏水を防ぐことができ、また、養生時の収縮率の低いモルタル等の充填材12を使用すれば、和風便器2と既設の床仕上げ部9及び床下地部10との隙間からの階下への漏水を防止することができる。
【0030】
図11に示すように、接続配管1と和風便器の排水口部27を接続することで、接続配管1を和風便器の排水口部27でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部11を埋設する際、接続配管1がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部11を埋設できる。さらに、既設の排水管7から発生する悪臭を防ぐことができる。図示の例では、接続配管1と和風便器の排水口部27の接続は、接着剤28を用いて、接続配管1を和風便器の排水口部27周りに内挿して接着剤28によって接続固定されるが、その接続構造は特に限定されず、パッキンを使用してもよい。
【0031】
図12−(a)に示すように、少なくとも部分的に前記和風便器の排水口部27の最小径より小さな外径を持つ接続配管1を使用し、既設の排水管7と接続するため、万が一、和風便器の排水口部27にクラックが生じても、そのクラックからの階下への漏水を防止することができる。図示の例では、接続配管1と既設の排水管7の接続は、接着剤28を用いて、接続配管1を既設の排水管7周りに内挿して接着剤28によって接続固定されるが、その接続構造は特に限定されず、パッキンを使用してもよい。
【0032】
また、図12−(b)のように、和風便器の排水口部27を除去すれば、接続配管1の管径が大きい場合においても、接続配管1と既設の排水管7を接続できる。図示の例では、和風便器の排水口部27の除去構造は、接続配管1の外郭とほぼ一致しているため、充填材12を充填しても、階下に落下することはないが、階下に充填材12が落下しない限り、その除去構造は、特に限定されず、全て除去してもよい。
【0033】
図13に示すように、接続配管1に弾性部材29を設ければ、前記弾性部材29を和風便器の排水口部27及び/または既設の排水管7に内挿して固定され、接着剤28等を使用せずに接続できるため、簡単に接続配管1を和風便器の排水口部27または既設の排水管7と接続できる。図示の例では、弾性部材29を設けられた接続配管1を既設の排水管7に内挿し、固定されているが、弾性部材29の形状は、和風便器の排水口部27または既設の排水管7に密着し、固定できれば、特に限定されず、接続配管1と弾性部材29は必ずしも別体でなくてもよく、一体でもよい。
【0034】
図14は、充填材12を使用する際における衛生設備4の施工方法の一例を表した図である。図14−(a)のように設置された和風便器2に対し、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及ぶ床下地部10を除去し、図14−(b)のようになる。次に、和風便器の便鉢部3を除去後、接続配管1を既設の排水管7と接続し、水平調整及び高さ調整後、新設の鉄筋17を配設し、充填材12を和風便器の非除去部11内及び周辺床部に充填し、図14−(c)のようになる。養生後、最後に床仕上げを行い、腰掛便器39を施工したものが図14−(d)である。接続配管1は、腰掛便器39の排水口に接続する排水口側接続管31と、和風便器2の排水口部27及び/または既設の排水管7に接続する排水側接続管32と、排水側接続管32の他端に接続される排水側曲がり接続管33と、排水口側接続管31と排水側曲がり接続管33とを接続する連結管34とにより構成されている。上記の管部材は内嵌または外嵌により互いに接続されている。排水口側接続管31の上流端に床フランジ35が内嵌され接着固定されている。
【0035】
図15は、床プレート19を使用する際における衛生設備4の施工方法の一例を表した図である。図15−(a)のように設置された和風便器2に対し、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及ぶ床下地部10を除去し、図15−(b)のようになる。次に、和風便器の便鉢部3を除去後、接続配管1を既設の排水管7と接続し、水平調整及び高さ調整後、和風便器の非除去部11上方より床プレート19を配設し、図15−(c)のようになる。最後に、床仕上げを行い、腰掛便器39を施工したものが図15−(d)である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図2】図2は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図であって、同図の(a)は、コンクリートスラブを除去しない例、同図の(b)は、コンクリートスラブを除去する例を示す。
【図3】図3−(a)は、本発明の一実施形態における衛生設備の施工構造の横断面図であって、同図の(b)、(c)、(d)は、鉄筋形状の一例について表した図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の横断面図である。
【図5】図5は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図6】図6は、本発明における床プレートの斜視図であって、同図の(a)は、床プレートを1枚使用する場合について表した図、同図の(b)は、床プレートを2枚以上使用する場合について表した図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態における床プレートの高さ調整部材の縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図であって、同図の(a)は、和風便器の排水口部を除去しない例、同図の(b)は、和風便器の排水口部を除去する例を示す。
【図13】図13は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工方法について表した図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工方法について表した図である。
【図16】図16は、通常の和風便器から衛生設備への施工方法の手順について表した図である。
【符号の説明】
【0037】
1:接続配管
2:和風便器
3:和風便器の便鉢部
4:衛生設備
5:接続配管挿入口
6:既設の給水管
7:既設の排水管
8:和風便器のリム導水路部
9:既設の床仕上げ部
10:既設の床下地部
11:和風便器の非除去部
12:充填材
13:新設の床仕上げ部
14:管継手
15:新設の給水管
16:コンクリートスラブ
17:新設の鉄筋
18:緩衝材
19:床プレート
20:床プレートの接続配管挿入口
21:床プレートの支持部
22:床プレート脚部材
23:高さ調整脚
24:床プレート仕上げ材
25:既設の防水層
26:新設の防水層
27:和風便器の排水口部
28:接着剤
29:接続配管の弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備の施工構造及び施工方法に係わり、特に設置階からだけの作業で、和風便器から他の衛生設備への施工を短工期で行うことのできる衛生設備の施工構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層階の建築物における和風便器2から衛生設備4への施工において、まず、図16−(a)の状態ように設置された和風便器2を設置フロアから粉砕するなどして取り除き、階下の天井裏より潜り込んで、和風便器2の破片を回収し、既設の給水管6及び排水管7を取り除き、図16−(b)の状態となる。次に、コンクリートスラブ16内に埋設されている既設の鉄筋44を露出させ、前記既設の鉄筋44に新設の鉄筋17を溶接し、階下から新設の給水管15及び排水管41を立ち上げ、下から新設の蓋45で貫通孔を塞ぎ、図16−(c)の状態となる。最後に図16−(d)のように、モルタル等の充填材12で埋め戻しを行い、養生後、床仕上げを行った後、衛生設備4の取付けが行われる。また、階下の天井に点検口がない場合は、既設の天井を一度壊してから天井裏で作業を行い、作業終了時に天井を元に戻したり、階下の天井が脚立を使用しても入れないくらい高い場合は、階下に足場を組んで、作業を行っているというように、階下からの作業は、現場によって、別途作業を伴うこともある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、既設の和風便器から衛生設備を施工する際、作業者は既設の和風便器を粉砕して取り外し、階下の天井裏より和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を行うため、2つのフロアにまたがる施工になり、工期が長くなり、また、人工も多くなり、施工コストが増大する。
【0004】
このような階下からの作業では、上向き作業が多く、作業環境はかなり悪いため、作業効率は低下しやすく、現場によっては、別途作業を伴うこともある。
【0005】
また、既設の排水管等の産業廃棄物の処理作業は、既設の排水管の臭い、汚れがひどく、かなり重いため大変な作業であるため、工期が長くなる。
【0006】
一方、設置階の作業においては、既設の和風便器を取り外す際に生じた貫通穴に鉄筋をはり、モルタルで埋め戻すため、乾燥までの養生が長時間必要であり、さらに床仕上げ前に不陸補修作業も必要なため、工期が長くなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、既設の和風便器、給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減し、乾燥までの養生を大幅に短縮できるため、大幅な工期短縮が可能な衛生設備の施工構造及び施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明における請求項1記載の和風便器改修構造は、和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を挿入し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けたことである。
【0009】
この発明では、和風便器、既設の給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期を短縮することができる。この発明では、既設の床面からの凸部が軽減されるため取付けられる衛生設備の種類が増える。和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけたので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の場合において、接続配管と和風便器の排水口部を接続したことである。
【0011】
この発明では、接続配管を和風便器の排水口部でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部を埋設する際、接続配管がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部を埋設できる。さらに、既設の排水管から発生する悪臭を防ぐことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1乃至2のいずれかに記載の発明の場合において、接続配管と既設の排水管を接続したことである。
【0013】
この発明では、接続配管を既設の排水管でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部を埋設する際、接続配管がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部を埋設できる。さらに、既設の排水管から発生する悪臭を防ぐことができる。また、万が一、和風便器の排水口部にクラックが生じても、そのクラックからの階下への漏水を防止することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の場合において、前記接続配管に弾性部材を取付けたことである。
【0015】
この発明では、前記接続配管に弾性部材を取付けたため、和風便器の排水口及び/または既設の排水管との接続を、接着剤等を使用しなくても、隙間なく接続することができ、施工性が向上する。
【0016】
上記目的を達成するために本発明における請求項5記載の和風便器改修方法は、和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を配設、接続し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けることを特徴とする和風便器改修方法である。
【0017】
この発明では、和風便器の設置されている階からだけの作業で、既設の和風便器から衛生設備に施工することができる。和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけるので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、充填材で埋設された和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。以上説明したように請求項1における発明では、和風便器、既設の給排水管を全て取り外すことがなく、設置階からだけの作業で衛生設備を施工することができるため、従来、行っていた既設の和風便器の取り外し作業、階下の天井裏より行っていた和風便器の破片を回収する作業、配管の解体作業及び配設作業を省き、廃棄物の処理作業を軽減できるため、工期を短縮することができる。この発明では、既設の床面からの凸部が軽減されるため取付けられる衛生設備の種類が増える。また、和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、和風便器の幅より長い鉄筋の両端を床下地部に引っかけたので、上方からの過大な荷重または地震等の振動により、和風便器の非除去部の階下への脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を基に本発明の一実施例を具体的に説明する。図1に示すように、和風便器の便鉢部3上方を切削する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、衛生設備4を取り付けるため、和風便器2及び既設の給水管及び排水管7を全て取り除くことなく、腰掛便器、洗面カウンター等の衛生設備4を施工することができる。なお、和風便器の便鉢部3上方および便鉢部3の除去方法は、ディスクグラインダなどの一般的な切削工具を用いて、簡単に切削できるが、特に限定されない。また、和風便器の便鉢部3上方の除去構造については、和風便器2を支持しているリム導水路部8を全て除去すると、和風便器2が階下に落下する恐れがあるが、和風便器2が階下に落下しない限り、部分的に除去してもよく、その除去構造は特に限定されない。また、和風便器2だけでなく、和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去してもよい。図示の例では、前記和風便器2を既設の床仕上げ部9と面一になるように除去し、衛生設備4を施工しているが、その施工構造は特に限定されない。また、和風便器の便鉢部3の除去構造については、接続配管1の外径以上の大きさである限り、特に限定されず、全て除去してもよい。
【0020】
図2−(a)に示すように、和風便器の便鉢部3上方を除去する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入後、前記和風便器2上方より、充填材12で充填するため、和風便器2及び既設の給水管6及び排水管7を全て取り除くことなく、衛生設備4を施工することができる。使用する充填材12は、和風便器の非除去部11上方より充填することができれば、2種類以上組み合わせて使用してもよく、特に限定されない。また、速硬性セルフレベリング材を使用すれば、簡単なこて作業で凸凹のない表面状態に仕上げることができ、床仕上げ材を施工する際、不陸補修作業を省き、更なる工期短縮が可能である。また、施工構造については、好ましくは図示の例のように充填材12が既設の排水管7に入らないように充填し、新設の床仕上げ部13を既設の床仕上げ部9と面一となるように施工すれば、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全である。また、充填材12に速硬性セルフレベリング材または速硬性モルタルを使用すれば、乾燥までの養生時間を短縮できるため、さらに工期短縮できる。
【0021】
一方、給水系統については、図示の例では、和風便器2周辺の床仕上げ部9及び既設の床下地部10を除去後、既設の給水管6を切断し、ねじを切らず直接既設の給水管6に接続できる管継手14を用いて、新設の給水管15と接続しているため、階下からの作業を伴わずに従来技術と同様に外見よく仕上ることができるが、その接続構造は特に限定されない。また、既設の床仕上げ部9上面から床下地部10下面までの高さが低く、前記高さ内では、既設の給水管6と新設の給水管15を接続できない場合、図2−(b)のようにコンクリートスラブ16を部分的に除去してもよい。
【0022】
図3−(a)に示すように、和風便器の非除去部11上方より、充填材12で充填する際、前記充填材12と共に新設の鉄筋17を埋め込み、上方からの過大な荷重により、充填材12で埋設された和風便器の非除去部11の階下への脱落を防止することができる。図示の例では、和風便器2及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去後、和風便器2の幅より長い新設の鉄筋17を床下地部10に吊るすように載置した状態で、和風便器の非除去部11を充填材12で埋設しているが、その構造は特に限定されない。新設の鉄筋17の形状は、和風便器の非除去部11内に納まり、接続配管1と緩衝せず、両端が既設の床下地部10に引っかかるように構成されている限り、特に限定されず、図3−(b)(c)(d)にその一例を示す。また、この新設の鉄筋17は1つとは限らず、和風便器の非除去部11内に納まる限り、2つ以上使用してもよい。
【0023】
図4に示すように、埋設される和風便器の非除去部11と充填材12との間に緩衝材18を入れている。使用する緩衝材18は、充填材12養生時の膨張、収縮を吸収できれば、2種類以上組み合わせて使用してもよく、特に限定されない。また、図示の例では、緩衝材18は和風便器の非除去部11全面に処理されているが、充填材12養生時の膨張、収縮を吸収できれば、部分的な処理でもよく、その施工構造は特に限定されない。
【0024】
図5に示すように、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去する一方、前記和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、前記接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、前記和風便器2上方より、接続配管挿入口20を備えた床プレート19の接続配管挿入口20に前記接続配管1を挿入しつつ、前記接続配管1に衛生設備4を取付ける。前記床プレート19の形状は、床プレート19を隙間なく載置できるように、前記除去部に概略一致するような形状が適しているが、衛生設備4を充分に支持できる形状である限り、特に限定されない。また材質については、衛生設備4を充分に支持できるような鉄板等の剛体が適しているが、衛生設備4を充分に支持できる限り、特に限定されず、仕上げを兼ね備えてもよい。図示の例では、床プレート19を既設の床仕上げ部9と面一になるように載置し、既設の床仕上げ部9と面一で衛生設備4を施工できるため、外見よく仕上げることができ、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全であるが、その施工構造は特に限定されない。
【0025】
また、図6−(a)に示すように、床プレート19を1枚使用する場合、床プレート19は必ず接続配管挿入口20を備えており、前記接続配管挿入口20の形状は、接続配管1の外径以上であれば、特に限定されない。また、図6−(b)のように、床プレート19は1つとは限らず、2つ以上組み合わせて使用してもよく、このように床プレート19を2枚以上使用する場合、床プレート19の組み合わせにより、接続配管挿入口20を設けられるので、床プレート19は必ずしも前記接続配管挿入口20を備えていなくてもよい。
【0026】
また、図7に示すように床プレート19は、支持部21を兼ね備えてもよく、床プレート19と一体でも別体でもよい。使用される床プレートの支持部21は、前記床プレート19を支持する必要があるため、例えば炭素鋼等の剛性の高いものが望ましいが、床プレート19を支持できる限り、特に限定されない。なお、この支持部21は1つとは限らず、2つ以上使用すれば、より充分な支持が可能である。
【0027】
図8に示すように、床プレート19は高さ調整できるように構成されているため、設置される床面が不陸であっても、床プレート19の高さ調整及び水平調整が簡単に行うことができ、工期短縮できる。床プレート19の高さ調整機能については、高さ調整機能が一体になっている床プレート19を使用しても、高さ調整できる別部材を使用してもよく、別部材を使用した場合、現場に応じて、高さ調整部材を取付けることができ、床プレート19を載置する床面の不陸が少ない部分で高さ調整できる。また、このような高さ調整機能は、1つとは限らず、2つ以上使用すれば、より高精度な高さ調整及び水平調整が可能である。図示の例では、前記床プレート19に貫通口を設け、その貫通口を覆うように、雌ネジ加工された床プレート脚部材22を取付け、雄ネジ加工が施された高さ調整脚23が垂直方向にねじ込める構造になっている。前記高さ調整脚23のねじ込み具合で、高さ調整及び水平調整ができるが、高さ調整及び水平調整ができる限り、その調整構造は特に限定されない。なお、この例における高さ調整脚23は、床プレート19を支持する必要があるため、例えば炭素鋼等の剛性の高いものが望ましいが、床プレート19を支持できる限り、特に限定されない。
【0028】
図9に示すように、前記床プレート19の上部に床プレート仕上げ材24を設け、前記接続配管1に衛生設備4を取り付けるため、外見よく仕上げることができる。前記床プレート仕上げ材24は、床プレート19の上部に施工することができれば、床プレート仕上げ材24の大きさ、材質、形状は特に限定されない。図示の例では、和風便器2及び前記和風便器2周辺の床仕上げ部9及び床下地部10を除去し、前記床プレート19を載置し、前記既設の床仕上げ部9と前記床プレート仕上げ材24とが面一となるように床プレート仕上げ材24を配設し、前記接続配管1に衛生設備4を施工されているため、外見よく仕上げることができ、既設の床仕上げ部9との段差が解消され、使用者は躓くことがなく、安全である。
【0029】
図10に示すように、充填材12に防水処理を施したため、和風便器2と既設の床仕上げ部9及び床下地部10との隙間からの階下への漏水を防止することができる。防水処理方法は、防水シートを貼り付けたり、防水塗装を施す等の方法があるが、防水できる限り、特に限定されない。好ましくは図示の例のように、和風便器の便鉢部3上方を除去する一方、和風便器の便鉢部3に接続配管挿入口5を設け、該接続配管挿入口5上方より接続配管1を挿入し、前記和風便器2上方より充填材12で充填し、養生後、新設の防水層26を既設の防水層25と接続するように構成すれば、完全な防水構造を確保できる。さらに、充填材12に防水モルタル等の防水性能の高い充填材12を使用すれば、施工構造の防水性能が高くなり、階下への漏水を防ぐことができ、また、養生時の収縮率の低いモルタル等の充填材12を使用すれば、和風便器2と既設の床仕上げ部9及び床下地部10との隙間からの階下への漏水を防止することができる。
【0030】
図11に示すように、接続配管1と和風便器の排水口部27を接続することで、接続配管1を和風便器の排水口部27でしっかり支持できるため、和風便器の非除去部11を埋設する際、接続配管1がずれたりせず、簡単に和風便器の非除去部11を埋設できる。さらに、既設の排水管7から発生する悪臭を防ぐことができる。図示の例では、接続配管1と和風便器の排水口部27の接続は、接着剤28を用いて、接続配管1を和風便器の排水口部27周りに内挿して接着剤28によって接続固定されるが、その接続構造は特に限定されず、パッキンを使用してもよい。
【0031】
図12−(a)に示すように、少なくとも部分的に前記和風便器の排水口部27の最小径より小さな外径を持つ接続配管1を使用し、既設の排水管7と接続するため、万が一、和風便器の排水口部27にクラックが生じても、そのクラックからの階下への漏水を防止することができる。図示の例では、接続配管1と既設の排水管7の接続は、接着剤28を用いて、接続配管1を既設の排水管7周りに内挿して接着剤28によって接続固定されるが、その接続構造は特に限定されず、パッキンを使用してもよい。
【0032】
また、図12−(b)のように、和風便器の排水口部27を除去すれば、接続配管1の管径が大きい場合においても、接続配管1と既設の排水管7を接続できる。図示の例では、和風便器の排水口部27の除去構造は、接続配管1の外郭とほぼ一致しているため、充填材12を充填しても、階下に落下することはないが、階下に充填材12が落下しない限り、その除去構造は、特に限定されず、全て除去してもよい。
【0033】
図13に示すように、接続配管1に弾性部材29を設ければ、前記弾性部材29を和風便器の排水口部27及び/または既設の排水管7に内挿して固定され、接着剤28等を使用せずに接続できるため、簡単に接続配管1を和風便器の排水口部27または既設の排水管7と接続できる。図示の例では、弾性部材29を設けられた接続配管1を既設の排水管7に内挿し、固定されているが、弾性部材29の形状は、和風便器の排水口部27または既設の排水管7に密着し、固定できれば、特に限定されず、接続配管1と弾性部材29は必ずしも別体でなくてもよく、一体でもよい。
【0034】
図14は、充填材12を使用する際における衛生設備4の施工方法の一例を表した図である。図14−(a)のように設置された和風便器2に対し、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及ぶ床下地部10を除去し、図14−(b)のようになる。次に、和風便器の便鉢部3を除去後、接続配管1を既設の排水管7と接続し、水平調整及び高さ調整後、新設の鉄筋17を配設し、充填材12を和風便器の非除去部11内及び周辺床部に充填し、図14−(c)のようになる。養生後、最後に床仕上げを行い、腰掛便器39を施工したものが図14−(d)である。接続配管1は、腰掛便器39の排水口に接続する排水口側接続管31と、和風便器2の排水口部27及び/または既設の排水管7に接続する排水側接続管32と、排水側接続管32の他端に接続される排水側曲がり接続管33と、排水口側接続管31と排水側曲がり接続管33とを接続する連結管34とにより構成されている。上記の管部材は内嵌または外嵌により互いに接続されている。排水口側接続管31の上流端に床フランジ35が内嵌され接着固定されている。
【0035】
図15は、床プレート19を使用する際における衛生設備4の施工方法の一例を表した図である。図15−(a)のように設置された和風便器2に対し、和風便器の便鉢部3上方及び和風便器2周辺の床仕上げ部9及ぶ床下地部10を除去し、図15−(b)のようになる。次に、和風便器の便鉢部3を除去後、接続配管1を既設の排水管7と接続し、水平調整及び高さ調整後、和風便器の非除去部11上方より床プレート19を配設し、図15−(c)のようになる。最後に、床仕上げを行い、腰掛便器39を施工したものが図15−(d)である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図2】図2は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図であって、同図の(a)は、コンクリートスラブを除去しない例、同図の(b)は、コンクリートスラブを除去する例を示す。
【図3】図3−(a)は、本発明の一実施形態における衛生設備の施工構造の横断面図であって、同図の(b)、(c)、(d)は、鉄筋形状の一例について表した図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の横断面図である。
【図5】図5は、本発明における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図6】図6は、本発明における床プレートの斜視図であって、同図の(a)は、床プレートを1枚使用する場合について表した図、同図の(b)は、床プレートを2枚以上使用する場合について表した図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態における床プレートの高さ調整部材の縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図であって、同図の(a)は、和風便器の排水口部を除去しない例、同図の(b)は、和風便器の排水口部を除去する例を示す。
【図13】図13は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工構造の縦断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工方法について表した図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施形態における衛生設備の施工方法について表した図である。
【図16】図16は、通常の和風便器から衛生設備への施工方法の手順について表した図である。
【符号の説明】
【0037】
1:接続配管
2:和風便器
3:和風便器の便鉢部
4:衛生設備
5:接続配管挿入口
6:既設の給水管
7:既設の排水管
8:和風便器のリム導水路部
9:既設の床仕上げ部
10:既設の床下地部
11:和風便器の非除去部
12:充填材
13:新設の床仕上げ部
14:管継手
15:新設の給水管
16:コンクリートスラブ
17:新設の鉄筋
18:緩衝材
19:床プレート
20:床プレートの接続配管挿入口
21:床プレートの支持部
22:床プレート脚部材
23:高さ調整脚
24:床プレート仕上げ材
25:既設の防水層
26:新設の防水層
27:和風便器の排水口部
28:接着剤
29:接続配管の弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を挿入し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けたことを特徴とする和風便器改修構造。
【請求項2】
前記接続配管と前記和風便器の排水口部を接続したことを特徴とする請求項1に記載の衛生設備の施工構造。
【請求項3】
前記接続配管と既設の排水管を接続したことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の衛生設備の施工構造。
【請求項4】
前記接続配管に弾性部材を取付けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の衛生設備の施工構造。
【請求項5】
和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を配設、接続し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けることを特徴とする和風便器改修方法。
【請求項1】
和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を挿入し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けたことを特徴とする和風便器改修構造。
【請求項2】
前記接続配管と前記和風便器の排水口部を接続したことを特徴とする請求項1に記載の衛生設備の施工構造。
【請求項3】
前記接続配管と既設の排水管を接続したことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の衛生設備の施工構造。
【請求項4】
前記接続配管に弾性部材を取付けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の衛生設備の施工構造。
【請求項5】
和風便器の便鉢部上方及び前記和風便器周辺の床仕上げ部及び床下地部の一部を除去し、該和風便器の便鉢部に接続配管挿入口を設け、該挿入口上方より接続配管を配設、接続し、前記床下地部の幅より長い鉄筋を前記床下地部に引っかけて載置し、前記接続配管に衛生設備を取り付けることを特徴とする和風便器改修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−342667(P2006−342667A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226316(P2006−226316)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【分割の表示】特願2000−29001(P2000−29001)の分割
【原出願日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【分割の表示】特願2000−29001(P2000−29001)の分割
【原出願日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]