説明

衝撃吸収具及び車両用バンパ装置

【課題】質量増加を抑制しつつ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができる衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供する。
【解決手段】クラッシュボックス13は、円筒状の小径部21及び該小径部21に環状段差部22を介して拡開されて接続される円筒状の大径部23を備え、加えられた荷重を環状段差部22を起点に小径部21を大径部23内に折り返す態様の塑性変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する。小径部21には、軸方向全長に亘って径方向外側に突出する突部26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収具及び車両用バンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃吸収具として、加えられた荷重を軸方向に折り返す態様の塑性変形(いわゆるターニング変形)で吸収して衝撃エネルギーを吸収するものが提案されている。例えば特許文献1には、テーパ部(3)を介して、小径部(2a)と大径部(2b)とが連続する金属管からなる衝撃吸収具が記載されている。また、特許文献2には、塑性加工可能な直管を部分的に縮径又は拡径し、互いに向かい合う中間端縁を環状段差部(4)により結んだ外径の異なる小管体(2)及び大管体(3)からなる衝撃吸収具が記載されている。さらに、特許文献3には、中間筒部(116)によって接続される小径部(115)及び大径部(114)を有する連続した高分子材料からなる衝撃吸収具が記載されている。
【特許文献1】特開2006−8088号公報(第1図)
【特許文献2】特開2003−327062号公報(第1図)
【特許文献3】特表2008−512627号公報(第25A図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1、3では、ターニング変形時により大きな衝撃エネルギーを吸収するためには、単純に板厚を厚くすることが要求されるため、質量増加及び材料消費量の増加を余儀なくされてしまう。一方、特許文献2では、部分的な縮径又は拡径によって、ターニング変形時により大きな衝撃エネルギーを吸収することが記載されているが、その際の荷重が徐変又はステップ状に変動しており、依然として衝撃エネルギーの吸収が非効率と推定される。また、ターニング変形の折返しに係る縮径の部分等が複雑な形状を呈しており、その製造に困難を強いられることも推定される。
【0004】
本発明の目的は、質量増加を抑制しつつ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができる衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、円筒状の小径部及び該小径部に環状段差部を介して拡開されて接続される円筒状の大径部を備え、加えられた荷重を前記環状段差部を起点に前記小径部を前記大径部内に折り返す態様の塑性変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収具において、前記小径部に、軸方向全長に亘って径方向外側に突出する突部を設けたことを要旨とする。
【0006】
同構成によれば、衝撃エネルギーの吸収時、前記小径部が前記大径部内に折り返す際に、前記小径部の折り返す部分及び残りの部分の径方向で対向する前記突部同士が圧接することで摩擦力からなる抵抗力が生まれる。同時に、折返しの部分における突部の変形分、吸収する荷重が増加される。このため、塑性変形の全区間に亘って略一定量だけ嵩上げされた安定した荷重を吸収することができ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができる。また、塑性変形時に吸収する荷重が嵩上げ分だけ増加されるため、その分、衝撃吸収具の板厚や軸方向の長さを短くすることができ、より軽量化することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衝撃吸収具において、前記突部は、前記小径部に、等角度間隔で複数配設されていることを要旨とする。
同構成によれば、塑性変形時、前記小径部の折り返す部分及び残りの部分の径方向で対向する前記突部同士が圧接することで生じる摩擦力からなる抵抗力等は、衝撃吸収具に対し等角度間隔に均等に作用する。従って、例えば衝撃吸収具に対し所定角度位置に偏った抵抗力等が作用して該衝撃吸収具の横倒れが助長されたりすることを回避することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衝撃吸収具において、前記小径部の先端部及び前記大径部の先端部に、取付対象物に取着するための取付部を一体形成したことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、衝撃吸収具を取付対象物に取着する際、該衝撃吸収具の各端部に取付用の板(ブラケット)を別途、溶接などで接合する必要がないため、部品点数を削減することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、車両の幅方向に延びるバンパリインホースの両端部において、該バンパリインホースと車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバとの間にそれぞれ介在される一対のクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置において、前記クラッシュボックスとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えたことを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、質量増加を抑制しつつ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができるクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用バンパ装置において、前記バンパリインホースは、前記小径部の先端を閉塞して該先端に取着され、車両の幅方向に延びる本体壁部と、前記本体壁部の上端及び下端にそれぞれ連続して車両の前後方向に前記大径部側に屈曲され、前記クラッシュボックスの塑性変形時に前記大径部を挟み入れる一対の対向壁部とを有することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記クラッシュボックスの塑性変形時に、前記一対の対向壁部に前記大径部が挟み入れられることで支えられ、前記クラッシュボックス(大径部)の倒れが抑えられて、該クラッシュボックスの塑性変形を安定的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、質量増加を抑制しつつ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができる衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車などの車両のフロント部分に適用される本実施形態に係る車両用バンパ装置を示す平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。なお、この車両用バンパ装置は、車両幅方向で対称(左右対称)であるため、その一側(車両の前方に向かって右側半分)の構造を割愛して描画している。
【0015】
同図に示されるように、車両幅方向両側には、例えば金属板からなり、断面略四角形の中空構造を有して車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ11が配設されている。これらサイドメンバ11は、ボデーの一部を構成する。なお、各サイドメンバ11の前端には、該サイドメンバ11の開口部を閉塞する態様で、例えば金属板からなる略四角形の取付対象物としてのブラケット12が溶接にて固着されている。
【0016】
車両用バンパ装置は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり車両前後方向に延びて前記各ブラケット12の前面に取着される衝撃吸収具としてのクラッシュボックス13を備える。各クラッシュボックス13は、円筒状の小径部21及び該小径部21にテーパ状の環状段差部22を介して拡開されて接続される円筒状の大径部23を一体的に備えており、車両前後方向の中心線が前記サイドメンバ11の車両前後方向の中心線と一致するように配置されている。これら小径部21及び大径部23は、外径R1及び外径R2(>R1)をそれぞれ有して同心円上に配置されている。また、小径部21の軸方向の長さL1の半分の長さ(=L1/2)は、大径部23の軸方向の長さL2よりも長く設定されている(L1/2>L2)。そして、小径部21の前端には、その所定角度位置(例えば本実施形態では、車両幅方向両側の2箇所の角度位置)で径方向外側に延出する複数(例えば2つ)の板状の取付部24が一体形成されている。また、大径部23の後端には、その所定角度位置(例えば本実施形態では、車両幅方向両側の2箇所の角度位置)で径方向外側に延出する複数(例えば2つ)の板状の取付部25が一体形成されている。各クラッシュボックス13は、これら取付部25ともども前記ブラケット12を貫通するボルトB1のねじ部にナットが締め付けられることで該ブラケット12に固定されている。
【0017】
また、車両用バンパ装置は、例えば金属板からなり、車両幅方向に延在するとともに該車両幅方向両端部において前記両クラッシュボックス13の前端にそれぞれ取着される取付対象物としてのバンパリインホース16を備える。このバンパリインホース16は、前記大径部23の外径R2よりも大きい車両上下方向の幅を有して車両幅方向に延在する長尺状の本体壁部31を有するとともに、該本体壁部31の上端及び下端にそれぞれ連続して車両の前後方向に前記大径部23側に屈曲された一対の対向壁部32,33を有する。つまり、本体壁部31は、クラッシュボックス13側に開いた略コの字の一定断面形状(開断面形状)を有している。そして、対向壁部32,33の先端は、上側及び下側にそれぞれ屈曲されてフランジ32a,33aを形成する。バンパリインホース16は、本体壁部31の車両上下方向中央部で小径部21の前端を閉塞しており、本体壁部31ともども前記複数の取付部25を貫通するボルトB2のねじ部にナットが締め付けられることで該取付部25(クラッシュボックス13)に固定されている。
【0018】
図3(a)は、クラッシュボックス13を示す斜視図であり、図3(b)(c)は、図2のB−B線及びC−C線に沿った断面図である。同図に示されるように、このクラッシュボックス13の小径部21には、その所定角度位置(例えば本実施形態では、車両幅方向両側及び車両上下方向両側の4箇所の角度位置)で円筒状の内周面及び外周面を径方向外側に円弧状に湾出させる態様で成形された複数(例えば4つ)の突部26が設けられている。各突部26は、小径部21の軸方向全長に亘って延在する。一方、円筒形状をなす大径部23の周方向の長さ(円周の長さ)は、突部26を含む小径部21の周方向の長さと同等になっている。
【0019】
次に、本実施形態の動作について説明する。車両の衝突等により前方から衝撃が加えられると、この衝撃は、バンパリインホース16及び両クラッシュボックス13を介して両サイドメンバ11(ボデー)に伝達される。このとき、バンパリインホース16とともに両クラッシュボックス13が塑性変形することで、ボデー及び乗員へと伝達される衝撃を緩衝する。
【0020】
この際、図4(a)(b)に示すように、各クラッシュボックス13は、加えられた荷重(軸圧縮荷重)を前記環状段差部22を起点に小径部21を大径部23内に折り返す態様の塑性変形(いわゆるターニング変形)で吸収して衝撃エネルギーを吸収する。つまり、環状段差部22は、ターニング変形の起点となる応力集中部を形成しており、大径部23は、その内周側に小径部21の軸方向への折り返しを許容する空間Sを形成する。このとき、突部26全体のうち、小径部21の折り返す部分21aにある突部26a及び残りの部分21bにある突部26bが径方向で対向し圧接することで摩擦力からなる抵抗力が生まれる。同時に、前記折返しの部分21aにおける突部26(26a)の変形分、吸収する荷重が増加される。以上により、クラッシュボックス13は、ターニング変形に伴いより大きな衝撃エネルギーを吸収する。なお、長さL1,L2の前述の関係(L1/2>L2)は、ターニング変形の潰れ残りを考慮したものである。
【0021】
また、クラッシュボックス13のターニング変形時、前記バンパリインホース16は、その両対向壁部32,33間に大径部23を挟み入れる。これにより、クラッシュボックス13のターニング変形時に両対向壁部32,33によって支えられ、クラッシュボックス13(大径部23)の倒れが抑えられる。加えて、クラッシュボックス13のターニング変形時、バンパリインホース16は、両対向壁部32,33間にクラッシュボックス13(大径部23)を収めることで該クラッシュボックス13との干渉が抑制される。
【0022】
図5は、衝撃エネルギーの吸収時のクラッシュボックス13単品での変形量(ストローク)に対する荷重の推移を示すグラフである。同図には、突部26を割愛した円筒状の小径部を備えることを除き同等の構造を有する従来のクラッシュボックスの推移を破線にて併せ描画している。同図から明らかなように、従来のクラッシュボックスにあっても、ターニング変形に伴い、荷重の安定化された状態で衝撃エネルギーを吸収する。そして、本実施形態のクラッシュボックス13では、従来のクラッシュボックスに対しターニング変形(塑性変形)の全区間に亘って略一定量だけ嵩上げされた安定した荷重を吸収しており、衝撃エネルギーをより効率的に吸収できることが確認される。この嵩上げ分の荷重は、従来の荷重の20%程度に相当することが本発明者によって確認されている。この安定した荷重の吸収が、大径部23(環状段差部22)の前側の潰れ残りが皆無となるまで、即ち変形量が概ね長さL1に達するまで継続されることはいうまでもない。
【0023】
次に、本実施形態のクラッシュボックス13の製造法について説明する。図6(a)(b)に示すように、クラッシュボックス13の素材Wは、アルミニウム合金の押出成形により、突部26の設けられた小径部21と同等の一定断面形状(図3(b)参照)を有するように成形されており、その前端部が間欠的に切り欠かれることで相対的に突出してなる突片Waを等角度間隔(例えば本実施形態では、180°間隔)に複数(例えば2つ)備え、一方、その後端部が間欠的に切り欠かれることで相対的に突出してなる突片Wbを等角度間隔(例えば本実施形態では、180°間隔)に複数(例えば2つ)備える。
【0024】
そして、この素材Wは、環状段差部22及び大径部23へと加工される軸方向の範囲RAに合わせて円環状の第1金型M1に挿通される。この第1金型M1は、環状段差部22及び大径部23の外周面とそれぞれ同等の内周面を有しており、第1金型M1と同心になるように素材Wが配置・支持される。
【0025】
そして、図4(b)に示すように、このように配置等された素材Wに対し、環状段差部22及び大径部23の内周面とそれぞれ同等の外周面を有する円錐台状の第2金型M2が同心で圧入される。これにより、素材Wの突部26に相当する部分を押し広げる態様で環状段差部22及び大径部23が容易に成形される。
【0026】
なお、第2金型M2は、大径部23の後端に合わせて外側フランジFを備えており、素材Wへの圧入に際し、外側フランジFにて突片Wbを押圧することで該突片Wbを径方向外側に折り曲げて前記取付部25を同時に成形する。突片Waについても、図示しない金型にて押圧されることで同様に取付部24が成形される。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、クラッシュボックス13による衝撃エネルギーの吸収時、小径部21が大径部23内に折り返す際に、小径部21の折り返す部分21a及び残りの部分21bの径方向で対向する突部26a,26b同士が圧接することで摩擦力からなる抵抗力が生まれる。同時に、前記折返しの部分21aにおける突部26(26a)の変形分、吸収する荷重が増加される。このため、塑性変形の全区間に亘って略一定量だけ嵩上げされた安定した荷重を吸収することができ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができる。また、クラッシュボックス13の塑性変形時に吸収する荷重が嵩上げ分だけ増加されるため、その分、クラッシュボックス13の板厚や軸方向の長さを短くすることができ、より軽量化することができる。特に、クラッシュボックス13の軸方向の長さを短くする場合には、車両全長を短縮できる。
【0028】
(2)本実施形態では、突部26は、小径部21に等角度間隔で複数配設されていることで、塑性変形時、小径部21の折り返す部分21a及び残りの部分21bの径方向で対向する突部26a,26b同士が圧接することで生じる摩擦力からなる抵抗力等は、クラッシュボックス13に対し等角度間隔に均等に作用する。従って、例えばクラッシュボックス13に対し所定角度位置に偏った抵抗力等が作用して該クラッシュボックス13の横倒れが助長されたりすることを回避することができる。
【0029】
(3)本実施形態では、小径部21の前端部及び大径部23の後端部に、取付対象物(バンパリインホース16又はブラケット12)に取着するための取付部24,25を一体形成したことで、クラッシュボックス13の前端部及び後端部に取付用の板(ブラケット)を別途、溶接などで接合する必要がない。このため、部品点数を削減し、ひいてはコストを削減することができる。
【0030】
(4)本実施形態では、質量増加を抑制しつつ、衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができるクラッシュボックス13を備えた車両用バンパ装置を提供することができる。
【0031】
(5)本実施形態では、クラッシュボックス13の塑性変形時に、一対の対向壁部32,33に大径部23が挟み入れられることで支えられ、クラッシュボックス13(大径部23)の倒れが抑えられて、該クラッシュボックス13の塑性変形を円滑且つ安定的に行うことができる。また、クラッシュボックス13の塑性変形時、バンパリインホース16は、両対向壁部32,33間にクラッシュボックス13(大径部23)を収めることで該クラッシュボックス13との干渉を抑制することができ、該クラッシュボックス13の変形可能な量(ストローク)を有効利用することができる。
【0032】
(6)本実施形態では、押出材からなる素材Wの突部26に相当する部分を押し広げる態様で、クラッシュボックス13の環状段差部22及び大径部23を容易に成形することができる。また、中空構造をなす素材Wを押出成形にて容易に製造でき、且つ、押出しの型を変更するのみで素材W(クラッシュボックス13)を容易に設計変形することができる。
【0033】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、各部材の締結に係るいずれかのボルトB1,B2及び当該ボルトと組み合わされるナットに代えて、ブラインドナットを採用してもよい。この場合、ボルト及びナットの組み合わせのように組み付け方向を二方向にする必要がなく、組み付け方向が一方向のみでよいため、組付け性を向上することができる。
【0034】
・前記実施形態において、バンパリインホース16をアルミニウム合金等の軽金属の押出材で形成してもよい。この場合、バンパリインホースの断面形状は、口の字や日の字、目の字、あるいは田の字などであってもよい。
【0035】
・前記実施形態においては、両対向壁部32,33により塑性変形するクラッシュボックス13を上下で支えたが、これに代えて、若しくはこれに加えて、例えば車両幅方向に並設された一対の対向壁部により、塑性変形するクラッシュボックス13を左右で支えるように変更してもよい。
【0036】
・前記実施形態において、複数の突部26は、小径部21に等角度間隔に配置されていなくてもよい。また、突部26の個数は、3個以下や5個以上であってもよい。
・前記実施形態において、クラッシュボックス13は、金属板(鋼板)や金属パイプ(鉄パイプ)をプレス加工等して製造してもよい。
【0037】
・前記実施形態において、小径部21又は大径部23の円筒形状は、若干の扁平を有する円筒形状(楕円筒形状、扁平円筒形状)を含む概念である。
・本発明に係る衝撃吸収具を、例えばサイドメンバ11などその他の衝撃吸収用のフレームに適用してもよい。
【0038】
・本発明は、車両のリヤ部分に適用してもよい。
・クラッシュボックス13の大径部23に、その所定角度位置で円筒状の内周面及び外周面を径方向内側に円弧状に湾出させる態様で成形された突部を設けても、塑性変形時に同様の抵抗力が生まれて効率的な衝撃エネルギーの吸収が可能になると考えられる。しかしながら、この場合、押出材からなる素材Wを拡開して大径部23を成形する際に、当該突部の突出長の制御が困難であることから品質管理上、現実的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】(a)はクラッシュボックスを示す斜視図であり、(b)(c)は図2のB−B線及びC−C線に沿った断面図。
【図4】(a)(b)は、同実施形態の動作を示す断面図。
【図5】同実施形態の変形量と荷重との関係を示すグラフ。
【図6】(a)(b)は、同実施形態の製造態様を示す模式図。
【符号の説明】
【0040】
11…サイドメンバ、13…クラッシュボックス(衝撃吸収具)、16…バンパリインホース、21…小径部、22…環状段差部、23…大径部、24,25…取付部、26,26a,26b…突部、31…本体壁部、32,33…対向壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の小径部及び該小径部に環状段差部を介して拡開されて接続される円筒状の大径部を備え、加えられた荷重を前記環状段差部を起点に前記小径部を前記大径部内に折り返す態様の塑性変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収具において、
前記小径部に、軸方向全長に亘って径方向外側に突出する突部を設けたことを特徴とする衝撃吸収具。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収具において、
前記突部は、前記小径部に、等角度間隔で複数配設されていることを特徴とする衝撃吸収具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衝撃吸収具において、
前記小径部の先端部及び前記大径部の先端部に、取付対象物に取着するための取付部を一体形成したことを特徴とする衝撃吸収具。
【請求項4】
車両の幅方向に延びるバンパリインホースの両端部において、該バンパリインホースと車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバとの間にそれぞれ介在される一対のクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置において、
前記クラッシュボックスとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えたことを特徴とする車両用バンパ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用バンパ装置において、
前記バンパリインホースは、
前記小径部の先端を閉塞して該先端に取着され、車両の幅方向に延びる本体壁部と、
前記本体壁部の上端及び下端にそれぞれ連続して車両の前後方向に前記大径部側に屈曲され、前記クラッシュボックスの塑性変形時に前記大径部を挟み入れる一対の対向壁部とを有することを特徴とする車両用バンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−30529(P2010−30529A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196837(P2008−196837)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)