説明

衝撃吸収部材

【課題】より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供すること。
【解決手段】互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板2及び背面板3と、正面板2と背面板3との間に配置され両者を連結する4枚の連結板4とよりなる衝撃吸収部材1である。その横断面形状において、4枚の連結板4は、正面板2に直交する対称軸Cに関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ対称軸Cに対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転する。正面板2及び背面板3の両端のすべてには、連結板4との交点部よりも外側に延長された突出部25、35を有している。正面板2の外側面21と背面板3の外側面31との間の距離をHとし、衝撃吸収部材1の厚み方向191における中立軸OHと正面板2の外側面21との最短距離をhとすると、0.25≦h/H≦0.45という関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収性能が求められる車両用バンパー装置等に用いられる衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方又は後方には、車両の衝突等によって発生する衝撃を可能な限り吸収して、車体への損傷を緩和するための車両用バンパー装置が取り付けられている。そして、車両用バンパー装置には、衝撃吸収部材として、衝撃エネルギーを自身の変形で吸収するバンパーレインフォースメントが適用されている。
【0003】
上記バンパーレインフォースメントは、一般的に、衝撃を受ける側の正面板と、車体側の背面板を互いに距離を隔てて略平行に対向配置し、上記正面板と上記背面板とを連結する複数枚の連結板からなる構造を有しており、断面は、主に、「日」字状又は「目」字状の形状を有している。
そして、正面板に衝撃が加わると、荷重は、正面板から連結板、そして背面板へと伝わり、荷重が増加するにつれて連結板が座屈して車体側に加わる衝撃を緩和するものである。
【0004】
上記バンパーレインフォースメントは、近年、車両の軽量化等の観点から、その材料としてアルミニウム合金材の押出材が使用されるようになりつつある。
また、バンパーレインフォースメントについて、衝撃吸収性を向上させる技術が報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、更なる衝撃吸収性の向上や軽量化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−59296号公報
【特許文献2】特開2009−227242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、より高い衝撃吸収性を有する衝撃吸収部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、厚み方向に荷重入力を受ける正面板と、該正面板に対して距離を隔てて略平行に対向配置された背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板に直交する対称軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ該対称軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、
上記正面板及び上記背面板の幅方向における両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記横断面形状において、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、さらに上記正面板と上記背面板と上記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸と、上記正面板の外側面との最短距離をhとすると、
0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するよう構成されていることを特徴とする衝撃吸収部材にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衝撃吸収部材の上記4枚の連結板は、上記のように、横断面形状において(以下、適宜、この記載を省略する)、上記正面板に直交する上記対称軸に対して傾斜して配置されている。そのため、衝撃エネルギーの吸収性を向上させることができる。
【0009】
また、上記連結板の傾斜方向を交互に逆転させ、かつ、上記対称軸に関して2枚ずつ線対称に配置することにより、優れた座屈強度及び剛性を得ることができる。
さらに、上記正面板及び上記背面板の幅方向における両端のすべてに、上記連結板との交点部よりも外側に延長して突出部を形成することにより、上記衝撃吸収部材の座屈強度及び剛性を向上させることができる。
【0010】
特に、本発明の上記衝撃吸収部材は、上記横断面形状において、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、さらに上記正面板と上記背面板と上記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸と上記正面板の外側面との最短距離をhとすると、0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するよう構成されている。即ち、上記衝撃吸収部材においては、上記中立軸の位置が上記正面板と上記背面板との厚み方向における中間の位置よりも、上記関係式の範囲内で上記正面板側に偏っている。そのため、上記衝撃吸収部材においては、単位質量当たりの最大曲げモーメントを大きくすることができる。また、断面剛性を十分に高めることができる。それ故、上記衝撃吸収部材は、優れた剛性を示すことができるため、優れた衝撃エネルギー吸収性を発揮することができる。
【0011】
このように、上記衝撃吸収部材は、剛性及び衝撃吸収性に優れているため、外形寸法を小さくしても、例えばh/H=0.5の衝撃吸収部材と同等の性能を発揮することができる。また、同じ大きさのものでも、肉厚を薄くしても、h/H=0.5の衝撃吸収部材と同等の性能を発揮することができる。つまり、衝撃吸収部材の薄肉化、小型化で軽量化を図ることができる。
【0012】
h/H<0.25の場合には、単位質量当たりの断面剛性が小さくなり、また、単位質量当たりの最大曲げモーメントも低下するおそれがある。それ故、剛性及び衝撃吸収性能を十分に向上させることができず、軽量化が困難になる。
一方、h/H>0.45の場合には、単位質量当たりの最大曲げモーメントが低下するおそれがある。そのため、十分な衝撃吸収性能が示すことができなくなるおそれがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、衝撃吸収部材(試料3)の横断面形状を示す説明図。
【図2】実施例1における、衝撃吸収部材の全体構造を示す説明図。
【図3】実施例1における、衝撃吸収部材(試料2)の横断面形状を示す説明図。
【図4】実施例1における、衝撃吸収部材(試料1)の横断面形状を示す説明図。
【図5】実施例1における、衝撃吸収部材(試料4)の横断面形状を示す説明図。
【図6】実施例1における、衝撃吸収部材(試料5)の横断面形状を示す説明図。
【図7】実施例2における、衝撃吸収部材(試料6)の横断面形状を示す説明図。
【図8】実施例2における、衝撃吸収部材(試料7)の横断面形状を示す説明図。
【図9】実施例2における、衝撃吸収部材(試料8)の横断面形状を示す説明図。
【図10】実施例3における、衝撃吸収部材のh/Hと最大曲げモーメントとの関係を示す説明図。
【図11】実施例3における、衝撃吸収部材のh/Hと単位質量当たりの最大曲げモーメントとの関係を示す説明図。
【図12】実施例3における、衝撃吸収部材のh/Hと単位質量当たりの断面剛性との関係を示す説明図。
【図13】実施例3における、3点曲げ試験の方法を示す説明図。
【図14】実施例3における、2種類の衝撃吸収部材(h/H=0.33、h/H=0.48)についての3点曲げ試験による単位質量あたりの荷重と変位との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の衝撃吸収部材は、上述したように、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板及び背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材である。上記正面板は、その厚み方向に荷重入力を受ける部分である。
【0015】
上記衝撃吸収部材を構成する上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金、鉄合金、マグネシウム合金等の金属材料、あるいは樹脂材料等、いずれの材料からなるものであってもよい。
好ましくは、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金、鋼、又は樹脂よりなることがよい(請求項8)。
その中でも、軽量化の観点から、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金よりなることが好ましい。また、アルミニウム合金の中でも、特に、強度特性に優れた6000系、7000系等のアルミニウム合金よりなることが好ましい。
また、上記衝撃吸収部材は、押出成形により得ることが好ましいが、溶接、鋳造、鍛造等、その他の加工方法を用いて作製されてもよい。
【0016】
また、上記4枚の連結板は、上記正面板に直交する対称軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ該対称軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転している。
つまり、上記4枚の連結板を、一方の端の連結板から順に第1連結板〜第4連結板とすると、上記第1連結板と上記第3連結板の傾斜方向は同じであり、上記第2連結板と第4連結板の傾斜方向は同一である。
また、上記第1連結板と上記第4連結板とは、上記対称軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。また、上記第2連結板と上記第3連結板とは、横断面形状において、上記対称軸に関して線対称に配置され、傾斜方向は逆であるが傾斜角度は同じである。
【0017】
また、上記衝撃吸収部材は、横断面において、上記第1連結板、正面板、第2連結板、及び背面板により台形様の形状が形成されるが、該台形様形状を構成する上記正面板の辺又は曲線が上記背面板の辺又は曲線よりも長くなるように連結板を配置することが好ましい。
【0018】
上記正面板と上記背面板と上記連結板との上述の配置構造によって形成される上記衝撃吸収部材においては、上記横断面形状において、断面一次モーメントが0となる中立軸が存在する。中立軸は、上記衝撃吸収部材の厚み方向にも幅方向にも存在する。以下、適宜便宜上、厚み方向の中立軸を「厚方向中立軸」、幅方向の中立軸を「幅方向中立軸」という。
厚方向中立軸は、上記衝撃吸収部材の厚み方向(上記正面板及び上記背面板に直交する方向)における断面一次モーメントが0となる位置に存在する中立軸であり、厚方向中立軸自体は上記衝撃吸収部材の幅方向(上記正面板及び上記背面板と平行な方向)に存在する。
幅方向中立軸は、上記衝撃吸収部材の幅方向(上記正面板及び上記背面板と平行方向)における断面一次モーメントが0となる位置に存在する中立軸であり、幅方向中立軸自体は上記衝撃吸収部材の厚み方向(上記正面板及び上記背面板と直交する方向)に存在する。
【0019】
本発明においては、上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸と上記正面板の外側面との最短距離をhとし、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とすると、0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するよう構成されている。即ち、上記中立軸(厚方向中立軸)の位置を上記正面板側に0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するように偏らせた構造を採用している。
上記厚方向中立軸を上記正面板側に偏らせる具体的な構成については後述するが、例えば上記正面板の厚みを上記背面板の厚みよりも大きくしたり、上記正面板と上記連結板との連結部及び/又は上記背面板と上記連結板との連結部を曲面で形成したり、上記衝撃吸収部材の幅方向における中立軸である上記幅方向中立軸を上記連結板の対称軸から偏らせることにより、実現できる。これらの具体的な実現手段は、それぞれ1つの実現手段で構成することもできるし、2つ以上の実現手段を組み合わせて構成することもできる。
【0020】
次に、上記衝撃吸収部材においては、上記正面板の幅寸法の半分の長さをL(mm)とすると、20≦H≦100、かつ0.6≦H/L≦1.4を満足することが好ましい(請求項2)。
この場合には、より衝撃吸収性能を向上させることができる。
上記Hが20mm未満である場合には、上記連結板の長さが短くなり、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難になるおそれがある。一方、上記Hが100mmを超える場合には、上記連結板の長さが長くなり、連結板が幅方向において対称に座屈せず幅方向の一方に偏った座屈形態が生じやすくなり、衝撃吸収量(耐荷重)の絶対値が低くなるおそれがある。
【0021】
また、0.6≦H/L≦1.4という関係を満足することにより、実用的な幅寸法範囲において、上記連結板の座屈形態が幅方向においてほぼ対称となり、衝撃吸収性能をより向上させることができる。
上記H/Lが0.6未満の場合には、幅寸法に比べて厚み方向の寸法が小さすぎて、実用的な幅寸法範囲においては、衝撃を十分に吸収できるだけの変形量を確保することが困難になるおそれがある。一方、上記H/Lが1.4を超える場合には、上記連結板が幅方向で対称に座屈せず幅方向の一方に片寄った座屈を生じやすくなるため、衝撃吸収性が低下するおそれがある。
【0022】
さらに、上記Lは、上述のH及びH/Lの範囲によって決定する範囲にすることができる。
この場合には、車両用の衝撃吸収部材として、随所に適用可能となる。例えば、適用対象としてドアインパクトバーやバンパーレインフォースメント等はもちろん、トラックのあおりにも適用することができる。
【0023】
上記Lが小さすぎる場合には、例えば高強度アルミニウム合金等の高強度な材料で上記衝撃吸収部材を構成する場合に、押出加工等の加工が困難になるおそれがある。一方、上記Lが大きすぎる場合には、押出加工等の製造可能範囲を超えるおそれがあり、たとえ加工後に溶接等により接合して得ることができたとしてもコスト上不利である。それ故、好ましくは20mm≦L≦125mmの範囲がよい。
【0024】
次に、上記正面板の厚みをt1(mm)とし、上記背面板の厚みをt2(mm)とすると、t1>t2であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記中立軸の位置を上記正面板側に偏らせることができ、上述の0.25≦h/H≦0.45という関係を満足する上記衝撃吸収部材を容易に実現することができる。
【0025】
また、上記正面板の厚みをt1(mm)とし、上記背面板の厚みをt2(mm)とすると、上記連結板の厚みをt3とすると、2.5≦t1≦15、1≦t2≦5、1≦t3≦5であることが好ましい(請求項4)。
上記衝撃吸収部材は、上記背面板及び上記連結板を1mm〜5mmの厚さとしても、充分な強度を得ることができる。
【0026】
t1<2.5の場合には、h/H≦0.45となるまで中立軸を上記正面板側に偏らせることが困難になるおそれがある。一方、t1>15を超える場合には、衝撃吸収部材全体の重量が増し、軽量化に結びつかなくなるおそれがある。より好ましくは、3mm≦t1≦7mmの範囲がよい。
また、t2<1、t3<1の場合には、押出性が悪く、製品を作製するのが難しくなる。一方、t2>5、t3>5の場合には、衝撃吸収部材全体の重量が増し、軽量化に結びつかなくなるおそれがある。より好ましくは1mm≦t2≦3mm、1mm≦t3≦3mmの範囲がよい。
【0027】
また、上記正面板と上記連結板との連結部、及び/又は上記背面板と上記連結板との連結部は曲面で形成されており、上記正面板側の上記連結部における曲率半径をR1とし、上記背面板の上記連結部における曲率半径をR2とすると、R1≧R2であることが好ましい(請求項5)。
即ち、上記正面板の内側面における上記連結板との連結部及び/又は上記背面板の内側面における上記連結板との連結部を、曲率半径Rを付与するために曲面で形成し、上記正面板側の曲率半径R1の大きさを上記背面板側の曲率半径R2の大きさ以上にすることが好ましい。
この場合には、上記衝撃吸収部材の剛性を高めることができる。また、上記中立軸の位置を上記正面板側に偏らせると共に、上述の0.25≦h/H≦0.45という関係を満足する上記衝撃吸収部材を容易に実現することができる。
R1<R2の場合には、上述の0.25≦h/H≦0.45という関係を満足する上記衝撃吸収部材を実現することが困難になるおそれがある。より好ましくは、R1>R2である。
【0028】
次に、上記対称軸は、上記横断面形状において、上記正面板及び上記背面板の幅方向における中央の点を通る軸と一致させることができる。
この場合には、横断面形状において、上記衝撃吸収部材の全体形状を上記対称軸について線対称にすることができ、成形が容易になる。また、この場合には、上記衝撃吸収部材の幅方向における中立軸(幅方向中立軸)を上記対称軸に一致させることができる。
【0029】
好ましくは、上記衝撃吸収部材の幅方向における中立軸を上記対称軸から幅方向に偏らせてあることがよい(請求項6)。
この場合には、上記中立軸(厚方向中立軸)の位置を上記正面板側に偏らせると共に、上述の0.25≦h/H≦0.45という関係を満足する上記衝撃吸収部材を容易に実現することができる。
【0030】
上記幅方向中立軸の偏りは、上記横断面形状において、例えば少なくとも上記正面板における一方の突出部を、上記正面板におけるもう一方の突出部よりも長くすることにより実現することができる。また、上記背面板の突出部については、上記正面板に合わせてその一方の突出部を延長させることができるが延長させなくてもよい。
【0031】
また、上記正面板は、上記突出部に、周囲よりも厚みの大きな肉厚部を有することが好ましい(請求項7)。
この場合には、断面二次モーメントが向上し、断面剛性を向上させることができる。
好ましくは、上記横断面形状において、上記肉厚部は上記正面板の上記突出部における末端に形成されていることが好ましい。特に、上述のごとく、上記正面板における一方の突出部を上記正面板における他方の上記突出部よりも長くする場合には、長くする側の上記突出部に上記肉厚部を形成することが好ましい。
なお、上記肉厚部は上記正面板の一部であるが、上記肉厚部を形成する場合において、上記正面板の厚みt1は該肉厚部を除いた部分の厚みである。
上記正面板の厚みをt1(mm)とし、上記肉厚部の厚みをt1’(mm)とすると、2.5≦t1<t1’≦15であることが好ましい。
【0032】
上記衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることが好ましい(請求項9)。
上記衝撃吸収部材は、充分な強度を有することができるため、軽量化の求められている車両用バンパー装置に好適に用いることができる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
本例においては、本発明の実施例にかかる衝撃吸収部材について、図1及び図2を用いて説明する。
図1及び図2に示すように、本例の衝撃吸収部材1は、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板2及び背面板3と、上記正面板2と上記背面板3との間に配置され両者を連結する4枚の連結板4とよりなる。そして、図1に示す横断面形状において、上記4枚の連結板4は、正面板2及び背面板3に直交する対称軸Cに関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ、対称軸Cに対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転する。
【0034】
また、上記正面板2及び上記背面板3の両端のすべてには、上記連結板4との交点部よりも外側に延長された突出部25、35を有している。そして、衝撃吸収部材1は、図2に示すように、図1の紙面と直交する方向を長手方向とする長尺材として作製される。本例において長手方向の長さは1500〜1900mm程度である。
【0035】
具体的には、上記正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
また、衝撃吸収部材1には、図1に示すごとく、上記正面板2と背面板3と連結板4との構造によって決定され、衝撃吸収部材1の厚み方向191における断面一次モーメントが0となる中立軸である厚方向中立軸OHが存在する。この厚方向中立軸OHと正面板2の外側面21との最短距離をhとすると、本例の衝撃吸収部材においてはh/H=0.33であり、厚方向中立軸OHは正面板2側に偏っている。
【0036】
本例においては、正面板2の厚みt1は5mm、背面板3の厚みt2は2mmであり、正面板2は背面板3よりも厚みが大きい。また、連結板4の厚みt3は2mmである。正面板2と連結板4との連結部、及び背面板3と連結板4との連結部は曲面で形成されている。正面板2側の連結部における曲率半径をR1とし、背面板3側の連結部における曲率半径をR2とすると、R1>R2である。
【0037】
また、図1に示すごとく、正面板2と背面板3とは、衝撃吸収部材1の厚み方向191に所定の距離をあけて略平行に配置されている。本例において、正面板2の外側面21と上記背面板3の外側面31との間の距離H、即ち、衝撃吸収部材の厚みHは、77mmである。
また、正面板2と背面板3は、幅方向192の長さが互いに同一であると共に、これらの長さが対称軸Cに関して対称になっている。即ち、正面板2及び背面板3の幅方向の中央の点を通りこれらに直交する中心軸OCを想定すると、この中心軸OCは対称軸Cに一致し、図1に示す横断面形状において、衝撃吸収部材1は、その全体形状が対称軸Cに関して対称になる。正面板2及び背面板3の幅寸法の半分の長さLは61.5mmである。つまり、(H/L)=1.25である。
以上の構成を有する衝撃吸収部材1を試料3とする。
【0038】
本例においては、正面板2と背面板3の厚みを変えて合計5種類の衝撃吸収部材(試料1〜5)を作製した。具体的には、上述の試料3に比べて、背面板3に対する正面板2の厚みを大きくした2種類の衝撃吸収部材(試料1及び試料2;図3及び図4参照)と、背面板に対する正面板の厚みを小さくした2種類の衝撃吸収部材(試料4及び試料5;図5及び図6参照)を作製した。これらの衝撃吸収部材1においては、正面板2と背面板3の厚みを変化させると、厚方向中心軸OHの位置が変化する。各試料1〜5について、上記h/H、H、L、t1、t2、及びt3をそれぞれ表1に示す。これらの試料は、正面板2と背面板3の厚み(t1及びt2)及びRの大きさを変更した点を除いては、上述の試料3と同様の基本構成を有する。
【0039】
【表1】

【0040】
表1より知られるごとく、背面板3に対する正面板2の厚みを変更すると、厚さ方向中立軸OHの位置が変化してh/Hが変化することがわかる。背面板3に対する正面板2の厚みを大きくするほど、中立軸OHは正面板2側に近づいてh/Hは小さくなる。
例えば、試料3に比べて背面板3に対する正面板2の厚みをより大きくした試料2においては、図3に示すごとく、中立軸OHの位置がより正面板2側に偏る。さらに一層正面板2の厚みを大きくした試料1においては、図4に示すごとく、中立軸OHの位置もより一層正面板2側に偏る。
【0041】
また、試料3に比べて背面板3に対する正面板2の厚みを小さくした試料4においては、図5に示すごとく、試料3に比べて中立軸OHの位置が正面板2から離れる方向に移動する。さらに一層正面板2の厚みを小さくした試料5においては、図6に示すごとく、試料3に比べて中立軸OHの位置がさらに一層正面板2から離れる方向に移動する。
このように、本例によれば、正面板2及び背面板3の厚みを変えることにより、中立軸OHの位置を変化させてh/Hを制御できることがわかる。
【0042】
(実施例2)
本例は、衝撃吸収部材の幅方向における中立軸を対称軸から幅方向に偏らせてある衝撃吸収部材の例である。
図7に示すごとく、本例の衝撃吸収部材1は、実施例1と同様に、互いに距離を隔てて略平行に対向配置された正面板2及び背面板3と、上記正面板2と上記背面板3との間に配置され両者を連結する4枚の連結板4とよりなり、正面板2、上記背面板3、及び上記連結板4は、アルミニウム合金(材質、質別:6N01−T5、耐力:220MPa)よりなる。
【0043】
そして、図7に示す横断面形状において、上記4枚の連結板4は、正面板2及び背面板3に直交する対称軸Cに関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ、対称軸Cに対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転する。
正面板の厚みt1、背面板の厚みt2、連結板の厚みt3は、それぞれt1=7mm、t2=2mm、t3=2mmである。また、実施例1と同様に、横断面形状における正面板2の外側面21と背面板3の外側面31との間の距離Hは、77mmであり、正面板及び背面板の幅2Lは、123mmである。そして、衝撃吸収部材1は、図2に示すように、図1の紙面と直交する方向を長手方向とする長尺材として作製される。長手方向の長さは実施例1と同様に1500〜1900mm程度である。
【0044】
また、図7に示す横断面形状において、上記正面板2には、上記連結板4との交点部よりも幅方向192外側に延長された突出部251、252が形成されている。同様に、背面板3にも、連結板4との交点部よりも幅方向192外側に延長された突出部351、352が形成されている。同図に示すごとく、本例の衝撃吸収部材1においては、正面板2における一方の突出部251を、正面板2におけるもう一方の突出部252よりも長くしてある。背面板3についても、正面板2の突出部251、252に合わせて、一方の突出部351をもう一方の突出部352よりも長くしてある。そのため、本例においては、正面板2及び背面板3の長さは、対称軸Cに関して非対称になる。
【0045】
横断面形状における正面板2及び背面板3の幅2Lは、実施例1と同様に2L=123mmであるが、正面板2及び背面板3の幅方向192における端部から連結板の対称軸までの距離はLmm、即ち61.5mmにはならない。正面板2においては、長さを大きくした突出部251側の端部から対称軸Cまでの距離L1は、64.5mmであり、もう一方の端部から対称軸Cまでの距離L2は、58.5mmである。また、背面板3についても、正面板2の長さに合わせて一方の突出部351の長さをもう一方の突出部352よりも大きくしてあるため、突出部351側の端部から対称軸Cまでの距離はL1mmであり、もう一方の端部から対称軸Cまでの距離はL2mmである。
【0046】
このような構成の衝撃吸収部材を試料6とすると、試料6においては、上述のごとく正面板2の幅方向192における一方の突出部251の長さをもう一方の突出部252よりも大きくしてある。そのため、衝撃吸収部材1の幅方向192(正面板2及び背面板3と平行方向)における断面一次モーメントが0となる位置に存在する中立軸、即ち、幅方向中立軸OLの位置を偏らせることができる。幅方向中立軸OLは、正面板2におけるより長い突出部251側に偏る。
実施例1においては、正面板2における両端に形成された突出部25の長さは同じであり、横断面形状において衝撃吸収部材1の形状は、対称軸Cに関して対称であった(図1参照)。本例においては、図7に示すごとく、衝撃吸収部材1の形状は、対称軸Cに関して対称にはならない。そして、幅方向中立軸OLは、対称軸Cから幅方向192に偏り幅Δ=6mmだけより長い突出部251側に偏る。
【0047】
図7に示す試料6においては、上述のような構成を採用することにより、荷重を受ける正面板と背面板の支持位置とがずれるような場合に対応することができる。厚方向中立軸OHと正面板2の外側面21との最短距離をh(mm)とし、衝撃吸収部材1の厚み、即ち正面板2の外側面21と背面板3の外側面31との間の距離をH(mm)とすると、本例においてh/Hは0.333になる。
【0048】
次に、正面板における突出部の端部に肉厚部を形成した衝撃吸収部材(試料7)について説明する。
試料7の衝撃吸収部材1は、図8に示すごとく、上記試料6と同様に、正面板2における一方の突出部251の長さを、正面板2におけるもう一方の突出部252よりも大きくしてある。試料7においては、正面板2の長さを大きくした側の突出部251の端部に周囲よりも厚みの大きな肉厚部250を形成してある。
【0049】
試料7においては、2L=123mm、H=77mm、t1=4mm、t2=2mm、連結板幅t3=2mmであり、肉厚部250の厚みをt4、幅をwとすると、t4=8mm、w=8mmである。また、L1=64.5mmであり、L2=58.5mmであり、背面板3についても、正面板2と同様に、一方の突出部351の長さをもう一方の突出部352よりも大きくし、正面板2と背面板3の幅(2L)を同じにしてある。
【0050】
かかる構成の試料7においても、試料6と同様に、幅方向中立軸OLを、正面板2におけるより長い突出部251側に偏り幅Δ=6mmだけ偏らせることができる。
さらに上記構成を採用することにより、試料7においても、衝撃吸収部材1の厚方向中立軸OHを正面板2側に偏らせることができ、上記h/Hは0.38になる。
【0051】
上記試料6及び試料7においては、正面板2における一方の突出部251の長さをもう一方の突出部252よりも大きくし、背面板3についても正面板と同様に、一方の突出部351の長さをもう一方の突出部352よりも大きくして正面板2と背面板3の幅(2L)を同じにしたが、背面板3の突出部351、352の長さは、正面板に合わせて必ずしも大きくする必要はない。以下、その具体例である試料8について説明する。
【0052】
図9に示すごとく、試料8においては、試料6及び試料7と同様に、正面板2における一方の突出部251の長さをもう一方の突出部252よりも大きくしてある。横断面形状において正面板2の長さは対称軸Cについて非対称になる。
背面板3については、横断面形状においてその長さを対称軸Cについて対称にし、背面板3における両端の突出部351、352を正面板2の突出部251、252よりも幅方向192の内側に後退させてある。
【0053】
具体的には、試料8においては、正面板2の幅を2L、正面板2において長さの大きい側の突出部251の端部から対称軸までの距離をL1、もう一方の突出部252の端部から対称軸までの距離をL2とすると、2L=123mm、L1=64.5mmで、L2=58.5mmである。
また、背面板3の幅を2L’、横断面形状において、正面板2の長さの大きい側の突出部251と同じ側にある背面板3の突出部351の端部から対称軸Cまでの距離をL3、背面板3のもう一方の突出部352、即ち、正面板2の長さの短い側の突出部252と幅方向192において同じ側にある背面板3の突出部352の端部から対称軸Cまでの距離をL4とすると、2L’=104mm、L3=L4=52mmである。正面板2における長さの大きい側の突出部251は突出幅d1(d=16)mmだけ背面板3の突出部352よりも突出しており、正面板2の長さが小さい側の突出部252は突出幅d2(d2=3)mmだけ背面板3の突出部352よりも突出しいている。
また、試料8においては、H=77mm、t1=5.5mm、t2=2mm、連結板幅t3=2mmである。
【0054】
かかる構成の試料8においても、試料6及び7と同様に、幅方向中立軸OLを、正面板2におけるより長い突出部251側に偏らせることができる。試料8においては、幅方向中立軸OLの対称軸Cからの偏り幅Δは4mmである。
さらに上記構成を採用することにより、衝撃吸収部材1の厚方向中立軸OHを正面板2側に偏らせることができる。横断面形状において試料8の上記h/Hは0.35になる。
【0055】
このように、正面板2の幅方向192の長さを対称軸Cに関して非対称にすることにより、衝撃吸収部材1の幅方向における中立軸である幅方向中立軸OLを上記対称軸Cから幅方向に偏らせることができる(図7〜図9参照)。このとき、幅方向中立軸OLは、上記対称軸Cに関して幅方向の長さが大きくなる側に偏らせることができる。
【0056】
(実施例3)
本例は、上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸(厚方向中立軸)の位置と、最大曲げモーメント、単位質量当たり最大曲げモーメント、及び単位質量当たり断面剛性との関係を調べた例である。
即ち、実施例1及び2において、正面板と背面板の厚みや、対称軸と幅方向中立軸との位置関係等を変えることにより、厚方向中立軸の位置を制御できることがわかる。本例においては、この厚方向中立軸と衝撃吸収性能及び剛性との関係を調べた。
【0057】
具体的には、実施例1及び実施例2と同様にして、厚方向中立軸の位置を変えた複数の衝撃吸収部材を検討した。これらの衝撃吸収部材について、最大曲げモーメント(N・mm)、単位質量当たり最大曲げモーメント(N・mm/kg)、及び単位質量当たり断面剛性(N・mm2/kg)を測定した。その結果をそれぞれ図10〜図12に示す。図10〜図11においては、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離H(mm)とし、厚方向中立軸と上記正面板の外側面との最短距離hとしたときのh/Hと、最大曲げモーメント、単位質量当たり最大曲げモーメント、及び単位質量当たり断面剛性の関係をそれぞれ示す。
【0058】
最大曲げモーメントは、3点曲げ試験により、次のようにして測定することができる。
即ち、図13に示すように、正面板2を外側、背面板3を内側に配して、長手方向に沿って内R=3000mmに曲げた衝撃吸収部材1を、支持台6(幅=200mm)を用いてスパンS=800mmで支持し、外R側(正面板2側)に平板7を介して荷重Fを負荷する試験を行った。荷重は、試験機のロードセルにより連続測定した。スパン中央の内R側の点Qに変位計を取り付けて、変位を連続測定した。そして、かかる3点曲げ試験において、座屈発生時の最大荷重F(N)を求め、次式により、最大曲げモーメント(M)を測定することができる。
M=F×s/4(s:スパン(mm))
また、単位質量当たり最大曲げモーメントは、上述の最大曲げモーメントを衝撃吸収部材の質量で除算することにより算出することができる。
【0059】
また、単位質量当たりの断面剛性は、断面二次モーメントをI、ヤング率(縦弾性係数)をEとし、衝撃吸収部材の質量をQとすると、I×E/Q(単位は、N/mm2×mm4/kg=N・mm2/kg)という式に基づいて算出できる。なお、アルミニウム合金のヤング率Eは、70kN/mm2である。
【0060】
最大曲げモーメントは、衝撃吸収部材の衝撃吸収時に設定できる最大荷重を規定することができる。最大荷重を高くできることは高吸収エネルギーと同義である。そのため、単位質量あたりの最大曲げモーメントが高いことが、軽量で衝撃吸収性能に優れた衝撃吸収部材を実現するために要求される。
図10より知られるごとく、h/Hと最大曲げモーメントとの関係は、ほぼ直線的な負の相関関係にあり、h/Hが大きいほど最大曲げモーメントが小さくなる。
また、図11より知られるごとく、単位質量当たりの最大曲げモーメントは、h/Hとの関係において最適範囲が存在する。同図より知られるごとく、h/H≦0.45の範囲において、衝撃吸収部材の単位質量当たりの最大曲げモーメントを実用上十分に高めることができる。より好ましくは0.3≦h/H≦0.40がよい。
【0061】
また、図12より知られるごとく、h/Hと単位質量当たりの正の相関関係にあり、h/Hが大きいほど断面剛性が大きくなる。ただし、同図より知られるごとくh/Hを高くしても徐々に断面剛性の上昇幅は小さくなり、飽和(サチュレーション)あるいはやや低下すると考えられる。同図より知られるごとく、h/H≧0.25の範囲においては断面剛性を十分に高められる。
【0062】
また、図14に、3点曲げ試験の結果として、h/H=0.33である本発明の実施例にかかる衝撃吸収部材と、h/H=0.48である比較例にかかる衝撃吸収部材について、単位質量あたりの荷重と変位との関係を示す。
同図より知られるごとく、h/H=0.33とした衝撃吸収部材は、h/H=0.48とした衝撃吸収部材よりも単位質量あたりの荷重が大きくなり、剛性が高くなることがわかる。
【0063】
このように、図11、図12及び図14の結果、本発明の衝撃吸収部材においては、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、さらに上記正面板と上記背面板と上記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸(厚方向中立軸)と上記正面板の外側面との最短距離をhとすると、0.25≦h/H≦0.45という関係を満足することにより、軽量で、衝撃吸収性及び剛性に優れた衝撃吸収部材を実現できることがわかる。
【符号の説明】
【0064】
1 衝撃吸収部材
2 正面板
25 突出部
3 背面板
35 突出部
4 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に荷重入力を受ける正面板と、該正面板に対して距離を隔てて略平行に対向配置された背面板と、上記正面板と上記背面板との間に配置され両者を連結する4枚の連結板とよりなる衝撃吸収部材であって、
横断面形状において、上記4枚の連結板は、上記正面板に直交する対称軸に関して2枚ずつ線対称に配置されており、かつ該対称軸に対して傾斜し、その傾斜方向が交互に逆転し、
上記正面板及び上記背面板の幅方向における両端のすべてには、上記連結板との交点部よりも外側に延長された突出部を有しており、
上記横断面形状において、上記正面板の外側面と上記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、さらに上記正面板と上記背面板と上記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる上記衝撃吸収部材の厚み方向における中立軸と、上記正面板の外側面との最短距離をhとすると、
0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するよう構成されていることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収部材おいて、上記正面板の幅寸法の半分の長さをL(mm)とすると、20≦H≦100、かつ0.6≦H/L≦1.4を満足することを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板の厚みをt1(mm)とし、上記背面板の厚みをt2(mm)とするとt1>t2であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板の厚みをt1(mm)とし、上記背面板の厚みをt2(mm)とすると、上記連結板の厚みをt3とすると、2.5≦t1≦15、1≦t2≦5、1≦t3≦5であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板と上記連結板との連結部、及び/又は上記背面板と上記連結板との連結部は曲面で形成されており、上記正面板側の上記連結部における曲率半径をR1とし、上記背面板の上記連結部における曲率半径をR2とすると、R1≧R2であることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材において、該衝撃吸収部材の幅方向における中立軸を上記対称軸から幅方向に偏らせてあることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板は、上記突出部に、周囲よりも厚みの大きな肉厚部を有することを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の衝撃吸収部材において、上記正面板、上記背面板、及び上記連結板は、アルミニウム合金、鋼、又は樹脂よりなることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の衝撃吸収部材は、車両用バンパー装置に組み込まれるバンパーレインフォースメント用であることを特徴とする衝撃吸収部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−152858(P2011−152858A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15773(P2010−15773)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)