説明

衣類を着用者に固定するのに使用するためのストラップ部材

衣類を着用者に固定するのに使用するためのストラップ部材が示されている。ストラップ部材は、ループ状部分と非ループ状部分とを含む。非ループ状部分を衣類に取り外し可能に取り付けるために第一取り付け具が存在し、ループ状部分を衣類に取り付けるために第二取り付け具が存在する。ストラップ部材は、ループ状部分が非ループ状部分に接合する点に位置する調整機構を有する。調整機構は、ストラップ部材の長さを調整することができる。最後に、該ストラップ部材は、ストラップ部材を開放及び閉じることを可能にする、非ループ状部分上に位置する取り付け機構を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの衣類、特に乳児用オムツ、子ども用訓練用パンツ、月経用パンツ及び大人用失禁用ブリーフ及び下着などの使い棄て吸収性衣類は、着用者の胴部周囲に衣類を固定するために1又は2つのストラップを使用する。2つのストラップは、衣類を着用者の胴部周囲に均一に嵌合することができるので、1つのストラップに対して1対のストラップを使用することは、望ましいことである。各々のストラップは1対の端部を有し、ボタンや、ベルクロ式締結具のようなフック・ループ型締結具などを使用することにより、衣類に取り外し可能に締結される。このようなストラップは、製造するのに比較的安価で、吸収性衣類を着用者の骨格に迅速に適合させるのを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、現在のストラップは、3つの欠点を有する。第一に、ストラップは、非常に小さい腰部寸法を有する人に順応するように短くすることができない。第二に、ストラップは、非常に大きい腰部寸法を有する人を受け入れるように長くするのを可能にする程度が限定される。典型的には、このようなストラップは、限定した程度の延伸だけを与えることができる弾性材料から形成される。しかしながら、多くの大人の腰部寸法及び胴部領域の骨格形状は大幅に変化するものであり、現在のストラップは、このような多くの変化を受け入れることができない。ストラップを人の腰部寸法正確に適合するように拡大させ又は調整することができない時は、このような衣類の着用者は困惑し、このような使い棄て吸収性衣類を購入しないようになる。第三に、現在入手可能なストラップで現在使用されている締結具は、取り外すことがかなり困難である。多くの老人は、視力が弱り、及び/又は関節炎を患っており、自分の下着を取り外し、及び/又は点検する必要がある時に、締結具を外すことが困難である。更に、ストラップがフック・ループ型締結具を使用する場合には、着用者がフック・ループ型締結具を取り外そうとする時に、目立つ音が発生して、自分達が大人用失禁用下着を着用していることが公衆トイレにおいて他人に気付かれる可能性があると、着用者が述べている。尿失禁をわずらっているほとんどの大人は、他人に自分の状態が知られないことを望んでいる。
【0003】
ここで、長さを大きな範囲で調整でき、容易にかつ目立たずに開放及び閉じることができる取り付け機構を有する、衣類を着用者に固定するために使用されるストラップ部材が発明された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単に言うと、本発明は、衣類、特に使い棄て吸収性下着を着用者に固定するのに使用するためのストラップ部材に関する。ストラップ部材は、ループ状部分及び非ループ状部分を含む。第一取り付け具が、非ループ状部分を衣類に取り外し可能に取り付けるために存在し、第二取り付け具が、ループ状部分を衣類に取り付けるために存在する。ストラップ部材は、ループ状部分が非ループ状部分に接合する点に位置する調整機構を有する。調整機構は、ストラップ部材の長さを調整する。最後に、ストラップ部材は、ストラップ部材を開放及び閉じることができる、該非ループ状部分上に位置する取り付け機構を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】衣類の部分的に拡大した斜視図である。
【図2】図1に示した衣類の外側、すなわち衣類側表面を、説明のために一部を切り取った平面図である。
【図3】図1に示した衣類のストラップ部材の正面図である。
【図4】図3に示したストラップ部材の、ループ状部分と非ループ状部分を示した平面図である。
【図5】図3に示したストラップ部材の、取り付けられていない、分離した位置での取り付け機構を備えた後面図である。
【図6】衣類に永久的に固定されたループに取り外し可能に取り付けられるストラップ部材を有する、衣類の代替的実施形態の斜視図である。
【図7】図6に示した衣類の内側、すなわち身体側表面の平面図である。
【図8】その端部に固定されたフック締結具を有するストラップ部材の一部の正面図である。
【図9】衣類の外側表面に係合するフック締結具を備えた、図8で示したストラップ部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1及び2を参照すると、衣類10が示されている。衣類10は、人に着用されるあらゆる型の衣類とすることができる。衣類10は、人の排出物を吸収するための使い棄て吸収性衣類であることが望ましい。ここで用いられる「使い棄て吸収性衣類」は、乳児、幼児又は大人を含む人が着用するものとして意図され、単一又は一時的な使用のために設計された吸収性衣類で、再使用のために洗濯又はドライクリーニングされる代わりに、一度使用された後、廃棄されることを意味する。使い棄て吸収性衣類は、尿、汗、排泄物、糞便、月経、月経流体、並びに他の液体及び/又は固形排出物などの、1又はそれ以上の排出材料の身体廃棄物を吸収及び/又は保持するように設計される。使い棄て吸収性衣類の幾つかの例としては、乳児用オムツ、子ども用訓練用パンツ、月経周期の間に女性に着用される月経用パンツ、大人用失禁用ブリーフ、大人用失禁用ガード、大人用失禁用下着などを含む。
【0007】
図1及び2においては、説明の目的のためだけに、衣類10が大人用失禁用ブリーフとして示されている。図2に見られるように、衣類10は、液体透過性ライナー12、液体不透過性外カバー14及びその間に囲まれた吸収体16を含む。一般的には身体側ライナーといわれる液体透過性ライナー12は、使用中に着用者の身体に面し、接触する。身体側ライナー12は、液体又は流体が通過しやすいような織成材料又は不織材料から形成することができる。身体側ライナー12は、通常は非常に薄いウエブであり、中に孔を形成した状態で、又は孔を形成しない状態で、天然繊維又は合成繊維から形成することができる。スパンボンドウエブ及びボンデッドカーデッドウエブが、身体側ライナー12として良好に作用する2つの材料である。「スパンボンド」は、ウイスコンシン州54956、ニーナ、ノースレイクストリート401に所在するKimberly−Clark Corporationより製造され、商業的に販売される。
【0008】
液体不透過性外カバー14は、着用者の肌から離れた側である、衣類10の外側に位置する。液体不透過性外カバー14は、着用者の外側衣類が汚損されることを防ぐために、流体が中に浸透し通過するのを制限又は妨げる材料から形成される。外カバー14は、着用者の内腿部を擦らないように、柔軟な感触を有することが望ましい。外カバー14は、天然繊維又は合成繊維から形成することができる。外カバー14は、絞るか又はしわを寄せる時に、衣類10が目立たないように、騒音を出さない材料から形成することができる。外カバー14は、通気性材料から形成することができる。外カバー14は、積層体から形成することができ、該積層体の1つの層は液体不透過性である。外カバー14として使用することができる様々な材料の例としては、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン、熱可塑性フィルム、スパンボンド材などの不織物に接着された液体不透過性層、スパンボンド材に接着された熱可塑性材料などを含む。当業者に知られている他の材料も利用することができる。
【0009】
吸収体16は、天然材料又は合成材料から形成することができる。吸収体16は、セルロース系繊維、木質パルプ、織り繊維又は当業者に知られている他の吸収性材料から形成することができる。固形で、小さい粒子、顆粒、フレークなどの形状の超吸収体は、吸収性材料内に混合され、吸収体16の吸収容量を増加することができる。
【0010】
図1及び2を参照すると、衣類10は、前部分18、股部分20及び後部分22を有する。股部分20は、前部分18と後部分22との間に位置し、衣類10が着用者の胴部周囲に嵌合する時、着用者の会陰領域を覆う。着用した時、衣類10は、前部分18及び後部分22の上部縁に位置する腰部開口24、及び1対の脚部開口26を有し、そのうちの1つが図1に示されている。
【0011】
図2を参照すると、衣類10の外側表面の平面図が示されている。衣類10は、縦方向中央軸X−X及び横方向中央軸Y−Yを有する。図2においては、横方向中央軸Y−Yに沿って、吸収体16の横方向外側に位置決めされる3つの間隔を持った弾性ストランド28を見ることができる。弾性ストランド28は、液体透過性ライナー12と液体不透過性外カバー14との間に固定される。図2において、3つの弾性ストランド28が吸収体16の右側に描かれている。図示されていない付加的3つの弾性ストランドは、吸収体16の左側にも同様に存在する。
【0012】
更に少ないか又は更に多い数の弾性ストランド28を利用することができることに留意するべきである。弾性ストランド28は、LYCRA又は当業者に知られている別の材料から形成することができる。LYCRAは、デラウエア州19898、ウイルミントン、マーケットストリート1007に所在するE.I.DuPont De Nemours &Co.の商標である。
【0013】
弾性ストランド28の寸法及び/又は断面形態、各々の弾性ストランド28のデシテックス(10,000メートル当たりの重量グラム)、及び各々の弾性ストランド28に与えられる張力は、すべて、特定の製品に対する必要性に適合するように変えることができる。弾性ストランド28は、使用中に、着用者の会陰領域の近位に、衣類10の股部分20を保持するように機能する。更に、弾性ストランド28は、各々の脚部開口26の少なくとも一部に延び、腿部にガスケットを形成して、着用者により排出される尿などの身体流体が、漏れ出すのを妨げるように介助することができる。
【0014】
図1を参照すると、ストラップ部材30が示されている。図1においては、衣類10の前部分18を、腰部開口24に近位の衣類10の後部分22に接合する2つのストラップ部材30が示されている。2つのストラップ部材30は、衣類10が、着用者から排出される尿などの身体流体を、吸収し、かつ保持することができるように、着用者の胴部周囲に適合するように衣類10を保持し、かつ固定するように機能する。単一のストラップ部材30も利用できることに留意するべきである。1つのストラップ部材30だけが存在する場合には、ストラップ部材30を所定の位置に保持するために、衣類10の設計は、貫通通路、袖、カフ、溝、トンネル、ループ又は当業者に知られている幾つかの他の型の保持機構を含むように修正することができる。例えば、衣類10は、前部分18及び後部分22の上部縁を保持することにより形成される、横方向貫通通路を含むことができる。貫通通路は、腰部開口24に近接して位置することができ、ストラップ部材30がそこを通って滑るか又は通過するのに十分な大きさとする。
【0015】
ストラップ部材30は、種々異なる天然材料又は合成材料から形成することができる。ストラップ部材30は、織成材料、不織材料、フィルム、積層体等とすることができる。ストラップ部材30は、弾性材料又は非弾性材料から形成される。弾性材は、延伸量を増加するので、ストラップ部材30は、弾性材料から形成されることが望ましい。ストラップ部材30が弾性材料から形成される場合には、その弛緩した長さのおよそ1.1倍から10倍の延伸が可能であるものとするべきである。弾性材料から形成されるストラップ部材30は、その弛緩した長さのおよそ1.5倍から5倍の延伸が可能であるものとすることが望ましい。より望ましくは、弾性材料から形成されるストラップ部材30は、その弛緩した長さのおよそ2倍から3倍の延伸が可能であるものとするべきである。
【0016】
図3−4を参照すると、図4に長さl1、幅w1、及び厚さt1を有するストラップ部材30が示されている。ストラップ部材30は、全体の長さl1が変化できるように形成される。ストラップ部材30の長さl1は、数インチから数フィートまで延びるように調整することができる。2つのストラップ部材30が、衣類10に使用される場合は、ストラップ部材30の各々の長さl1は、約4インチ(約10cm(センチメートル))ないし約24インチ(約61cm)の範囲とすることができる。2つのストラップ部材30が使用される場合は、各々が、約4インチ(約10cm)ないし約18インチ(約46cm)に調整することができる、各々の長さl1を有することが望ましい。2つのストラップ部材30の各々は、同じ長さを有することが望ましいが、同じ長さを有する必要はないことに留意するべきである。
【0017】
1つのストラップ部材30だけが使用される場合には、長さl1は、小柄な大人から大柄な大人までの腰部を囲むことができるように変化することができるように形成されるべきである。この場合、ストラップ部材30の長さl1は、数インチから数フィートの間の範囲で調整することができる。例えば、単一ストラップ部材30の長さl1は、約18インチ(約46cm)ないし約5フィート(約152cm)の範囲とすることができる。ストラップ部材30の長さl1は、望まれるならば更に大きく形成することができることに留意するべきである。
【0018】
ストラップ部材30の幅w1は、変化することができ、約0.2インチ(約5mm)ないし約2インチ(約50mm)の範囲とすることができる。ストラップ部材30の幅w1は、約0.25インチ(約6.4mm)から約1.5インチ(約38mm)の範囲とすることが望ましい。ストラップ部材30の幅w1は、約0.5インチ(約12.7mm)から約1インチ(約25.4mm)の範囲とすることがより望ましい。ストラップ部材30の幅w1は、約1インチ(約25.4mm)より小さいものとすることが更に望ましい。各々のストラップ部材30を製造する全体の費用を減少することができることから、約1インチ(約25.4mm)より小さい幅w1が望ましい。
【0019】
ストラップ部材30の厚さt1は、種々異なるものとすることができるが、比較的薄いことが望ましい。ストラップ部材30の厚さt1は、約1mmないし約10mmの範囲とすることができる。ストラップ部材30の厚さt1は、約2mmないし約5mmの範囲とすることが望ましい。ストラップ部材30の厚さt1は、約4mmより小さいものとすることがより望ましい。
【0020】
図3−5を参照すると、ストラップ部材30は、ループ状部分32及び非ループ状部分34を含む。各々の部分32及び34の長さは、人の特定の必要性に嵌合するように変化することができる。ループ状部分32は、非ループ状部分34の最初の長さより小さいものとするか、大きいものとするか、又は最初の長さと等しい大きさとすることができる。ループ状部分32は、ストラップ部材30を全体の長さl1より短く又は長くさせるように、その長さを増加又は減少するように設計される。ループ状部分32及び非ループ状部分34のそれぞれは、比較的均一な幅w1を有するべきである。ループ状部分32及び非ループ状部分34のそれぞれは、一定した幅w1を有することが望ましい。非ループ状部分34の1又はそれ以上の区分が存在することができる。例えば、図3−5においては、2つの非ループ状部分34が示されている。
【0021】
ストラップ部材30は、第一取り付け手段36及び第二取り付け手段38を有する。第一及び第二取り付け手段36及び38のそれぞれは、図1及び3−5に示されているボタンのような、様々な型の取り付け機構を含む。しかしながら、第一及び第二取り付け手段36及び38のそれぞれは、ベルクロ式締結具などのフック・ループ型締結具、それ自体に又はループ材料に取り付けることができる複数の微小フック、1対のスナップなどの機械的取り付け具、フックとループ、又は結合した時に固定した取り付けを与える、当業者に知られているあらゆる他の種類の取り外し可能な締結具とすることができる。第一及び第二取り付け手段36及び38のそれぞれは、ストラップ部材30の各々の端部を、衣類10の前部分18及び後部分22のそれぞれに、取り外し可能に又は解除可能に取り付ける又は固定することができる。第一取り付け手段36は、ストラップ部材30の非ループ状部分34上に位置する。第一取り付け手段36は、ストラップ部材30に、糸又は機械締結具などにより直接取り付けされる。第一取り付け手段36がストラップ部材30の近接する端部から位置する距離は、人の特定の必要性に適合するように変化することができる。第二取り付け手段38は、ストラップ部材30のループ状部分32上に位置する。第二取り付け手段38は、糸又は機械締結具などによりカラー又はバンド39に固定される。カラー又はバンド39は、ストラップ部材30のループ状部分32上か、又はそこに沿って容易に滑ることができるような大きさとする。カラー又はバンド39は、ストラップ部材30のループ状部分32の一部を完全に囲むように閉状態のループとすることが望ましい。しかしながら、カラー又はバンド39は、ストラップ部材30のループ状部分32の一部を完全に囲まない「C」型部材として形成することができる。
【0022】
図3−5を参照すると、ストラップ部材30は、ループ状部分32が非ループ状部分34と接合する点に位置する調整機構40を更に含む。調整機構40は、ストラップ部材30を短く又は長くすることができるように、ストラップ部材30の長さを調整することが可能である。これは、衣類、特に使い棄て吸収性下着を着用者の胴部周囲に固定するために現在利用されているほとんどのストラップとは異なるものである。本質的には、着用者の胴部上の衣類を支持するために、現在使用されるすべてのこのようなストラップは、弾性材料を延伸するなどにより制限された程度まで長くすることができるが、最初の弛緩した長さより短くする機能は有していない。
【0023】
調整機構40は、プラスチック、金属、木質、又は当業者に知られているあらゆる他の材料から形成することができる。プラスチックは、安価で、成型又は形成を容易に成すことができるので望ましいものである。調整機構40は、物理的外見において変化することができる。図3−5に示されている調整機構は、デバイダ46により分離される1対の環42及び44を含む。調整機構40は、図4に示されているように厚さt2を有し、これは比較的薄いものである。例えば、調整機構40の厚さt2は、約6mmより小さく、望ましくは約3mmより小さく、更により望ましくは約2mmより小さいものとするべきである。
【0024】
図3を参照すると、対の環42及び44の各々は、ストラップ部材30の幅w1より僅かに大きい内側高さh1を有する開口又は孔を含む。環42及び44に形成される開口の内側高さh1をこのような大きさにする理由は、ストラップ部材30を、開口を通して係合又は通過しやすいようにさせるためである。対の環42及び44に形成される各々の開口の内側高さh1は、等しい大きさとすることができるか、又は互いに異なる大きさとすることができる。対の環42及び44に形成される各々の開口の内側高さh1は、同じ大きさとすることが望ましい。対の環42及び44の各々に形成される開口又は孔の形状は、変化することができる。対の環42及び44に形成される開口の各々の形状は、円、卵型、楕円、長方形、四角形又は当業者に知られているあらゆる他の幾何学形状又は形態とすることができる。容易に製造するために、対の環42及び44に、同じ大きさ及び形状となるように開口を形成することが望ましい。
【0025】
調整機構40のデバイダ46は、対の環42及び44とは別個に又は一体に形成することができる。デバイダ46は、対の環42及び44と一体に形成されることが望ましい。デバイダ46は、対の環42及び44に形成される2つの開口を分離する。したがって、デバイダ46は、対の環42及び44に存在する各々の開口の外側周囲の一部を形成する。デバイダ46は、高さh2を有し、これはストラップ部材30の幅w1より僅かに大きいものである。この大きさの違いは、対の環42及び44に形成される開口を通って、ストラップ部材30を容易に導くことを可能とさせる。この大きさの違いは、デバイダ46の一部周囲に、ストラップ部材が弧を描く又はループ状になることを更に可能とさせる。
【0026】
対の環42及び44の大きさ及び形状、並びにデバイダ46の寸法は、特定の要求に適合して、ストラップ部材30が形成される材料を受け入れるように変えることができる。
【0027】
図4を参照すると、調整部材40は、第一表面48及び反対側に配列する第二表面50を有する。ストラップ部材30の端部は、環44に形成される開口を通って通過し、第一表面48から第二表面50まで進められる。ストラップ部材30の端部は、デバイダ46を通過し、第二表面50から第一表面48まで進めることができる。このストラップ部材の同じ端部は、それ自体の下及び環42に形成される開口を通って通過することができる。ストラップ部材30は、再びデバイダ46の周囲を通過し、環44に形成される開口を通って元に通される。ストラップ部材30のこの端部は、それ自体にシール加工又は接着されて、デバイダ46周囲に固定されるループ状部分32を形成する。ストラップ部材30の端部は、超音波、接着剤、機械締結具、又は当業者に知られている他の適当な手段により、それ自体に接着することができる。
【0028】
更に図3−5を参照すると、ストラップ部材30は、非ループ状部分34上に位置する、ストラップ部材30を静かに開口及び閉じさせる取り付け機構52を含む。取り付け機構52は、プラスチック、金属、木質又は当業者に知られているあらゆる他の材料から形成することができる。安価で、容易に成型又は形成することができることから、プラスチックが望ましい。
【0029】
取り付け機構52は、物理的構造を変えることができる。当業者は、個々の使い棄て吸収性衣類に最も適合する取り付け機構を選択することができる。現在、様々な型の取り付け機構が、異なる製造者から商業的に入手可能である。1つの製造者であるサウスカロライナ州29304、スパータンバーグのPrym−Dritz Corporationは、取り付け機構52として利用することができる多くの留め金、クリップ、バインダークリップ、サスペンダークリップ、さる環フック及びフック・受け環装置を販売している。上記した取り付け機構の幾つかのコード番号は、10,476,3159及び97−65を含む。2つ目の製造者は、アイオワ州52151、ランシングのBlumenthal Lansing Companyがあり、「Le Bouton」という名前の多くの異なる取り付け機構を販売している。取り付け機構52として使用することができる、Le Boutonという名前で販売される留め金の1つの型は、コード番号622である。使用することができる取り付け機構52の三つ目の種類は、幾つかの女性用ブラストラップに通常使用される種類のものである。これらのブラ型締結具は、互いに滑るような大きさに設計され、回転して固定した取り付けを施す2つの部材を使用する。
【0030】
図3においては、取り付け機構52は、1対の留め金54及び56として示されており、1つを他方に相互係合することが可能で、閉取り付けを形成する。対の留め金54及び56は、互いが分離できるように、回転し、捻り、ネジを緩めるか又は互いに対して操作することができる。対の留め金54及び56が相互係合していない場合は、取り付けされておらず、ストラップ部材30の1つの部分が、ストラップ部材30の残りの部分から分離される。2つのストラップ部材30が開放されると、着用者が衣類の他の片のいずれも取り外す必要なく、着用者の胴部から衣類10を取り外すことができる。この特性は、衣類10の着用者がすばやく、容易に、かつ最も重要なことである静かに、取り外して、新しい衣類10に取り替えることを可能とするのに非常に有益である。
【0031】
図3を参照すると、対の留め金54及び56の各々が、等しい又は同一の大きさで示されている。望まれるならば、対の留め金54及び56の各々は、異なる大きさとすることができる。例えば、留め金54は、留め金56より大きく形成することができる。対の留め金54及び56は、同じ大きさとすることが望ましい。対の留め金54及び56の各々及び調整機構40は、同じ大きさとすることが更に望ましい。
【0032】
留め金54は、フック58及び環60を含み、留め金56は、フック60及び環64を含む。フック58及び60は、あらゆる望ましい形状又は形態を有することができ、他のフックと係合しやすいような大きさ及び形態とするべきである。環60及び64は、対の環42及び44に関して上記したものに類似して形成される開口又は孔を含む。環60における開口は、ストラップ部材30の幅w1より僅かに大きい内側高さh3を有する。同様に、環64における開口は、ストラップ部材30の幅w1より僅かに大きい内側高さh4を有する。環60及び64に形成される開口の内側高さh3及びh4をこのような大きさにする理由は、開口を通して、ストラップ部材30を容易に係合又は通過させるためである。環60及び64に形成される開口の内側高さh3及びh4は、互いに等しい大きさとすることができるか、又は互いに等しくない大きさとすることができる。環60及び64に形成される開口の内側高さh3及びh4は、同じ大きさとすることが望ましい。環60及び64に形成される開口又は孔の形状は、変化することができる。環60及び64に形成される開口の形状は、円、卵型、楕円、長方形、四角又は当業者に知られているあらゆる他の幾何学的形状又は形態とすることができる。製造しやすくするために、同じ大きさ及び形状となるように、環60及び64に開口を形成することが望ましい。
【0033】
再び図4を参照すると、ストラップ部材30の端部は、環60に形成される開口を通り抜け、超音波、接着剤、機械締結具又は当業者に知られている他の適当な手段によって、それ自体にシール加工又は接着されることが、明らかにわかる。同様に、ストラップ30の別の端部は、環64に形成された開口を通って通過し、上記したようにしてそれ自体にシール加工又は接着される。図5に示されているように、対の留め金54及び56が開放されると、ストラップ部材30は、それ自体から分離し、衣類10の前部分18は、衣類10の後部分22から分離することができることを意味する。この特性は、衣類10を、着用者の胴部から容易に及び静かに取り外すことを可能とする。
【0034】
図6及び7を参照すると、液体透過性身体側ライナー12’、液体不透過性外カバー14’及びこれらの間に囲まれる吸収体16’を有する衣類10’の代替的実施形態が示されている。衣類10’は、前部分18’、股部分20’及び後部分22’を含む。前部分18’は、1対の固定機構66及び68を有し、各々は、およそその上部角部又は側縁に固定される。同様に、後部分22’は、1対の固定機構70及び72を有し、各々はおよそその上部角部又は側縁に固定される。固定機構66、68、70及び72は、閉状態のループ、取り外し可能なフック又は当業者に知られている幾つかの他の型の固定装置とすることができる。図6及び7においては、固定機構66、68、70及び72は、ループとして示されている。
【0035】
図6においては、各々が調整機構40’と1対の取り付け機構76を含む2つのストラップ部材74が、固定機構66及び70、68及び72それぞれに、取り外し可能に取り付けられる。各々のストラップ部材74は、ループ状部分32’及び非ループ状部分34’を有する。各々の調整機構40’は、図1−5を参照して示された調整機構40と同じ形態で機能する。対の取り付け機構76の各々は、調整機構40’と間隔を持つ。対の取り付け機構76の各々は、留め金78を含み、各々の留め金78は、フック80及び環82を含む。フック80の各々は、上記したフック58及び62と同じ形態で機能する。フック80の各々は、固定機構66、68、70及び72の1つと係合するような大きさ及び形態とする。フック80の各々は、固定機構66、68、70及び72の1つに、解除可能に及び取り外し可能に固定される。フック80の各々は、環82に固定して締結されるか又は取り付けられる。環82の各々は、ストラップ部材74がそこを通って通過できるような大きさ及び形態とする。一方、各々のストラップ部材74の一部又は端部は、各々の環82を通って通す又は通過し、それ自体に重なることができる。ストラップ部材74は、接着領域84でそれ自体に接着又はシール加工することができる。
【0036】
フック80が、固定機構66、68、70及び72に取り付けられている場合、ストラップ部材74の各々は、衣類10’の前部分18’から後部分22’に延びる。ストラプ部材74は、着用者の胴部周囲に衣類10’をぴったりと保持し、固定するように機能する。衣類10’を点検するか、又は衣類10’を取り外す時間であると着用者が決定した時、着用者は、各々のストラップ部材74上のフックを外すだけでよく、あらゆる他の衣類片を取り外す必要なく、衣類10’を取り外すことができる。固定機構66及び68と係合する2つのフック80は、図1及び3−5に示されている取り付け機構52よりも衣類10’の前方にあるので、衣類10’の着用者がフック80を外すことは容易となる。このことは、手や腕の動きが制限されている老人にとって、非常に有益である。
【0037】
図8及び9を参照すると、その端部に固定されているフック締結具88を有するストラップ部材86の一部が示されている。フック締結具88は、列状に、又は予め定められたパターンで配列された複数のフック90を含むことができる。フック締結具88は、標準のVELCROフックとすることができる。更に、フック締結具88は、複数の微小フックを含むことができる。ここで定められる「微小フック」は、複数の非常に小さいか又は極めて小さいフックを有するフック締結具を意味する。微小フックは、乳児用オムツなどの幾つかの使い棄て吸収性物品に、現在商業的に使用されるVELCROフックの半分より小さい大きさである。微小フックは、約2ミリメートル(mm)より小さい高さを有することができる。微小フックは、約1mmより小さい高さを有することが望ましい。微小フックは、約0.5mmより小さい高さを有することが更に望ましい。微小フックは、約0.1mmより小さい高さを有することが更に望ましい。
【0038】
図9を参照すると、衣類10”の一部に取り外し可能に取り付けられたストラップ部材86が示されている。衣類10”が形成される材料は、本質的には、フック90が挿通及び/又は係合するループ材料として機能する。フック締結具88は、図1に示されているボタンの代わりとするか、又は図6に示されているフック80の代わりとすることができる。当業者に知られている他の取り付け機構も、利用することができる。
【0039】
本発明は、幾つかの特定の実施形態と組み合わせて述べられているが、多くの代替的手法、修正及び変更が、前述した説明を考慮して、当業者に明らかであることが理解される。したがって、本発明は、添付した特許請求の範囲の意図及び範囲である、すべてのこのような代替的手法、修正及び変更を含むものである。
【符号の説明】
【0040】
10 衣類
12 液体透過性ライナー
14 外カバー
16 吸収体
30 ストラップ部材
32 ループ状部分
34 非ループ状部分
36 第一取り付け手段
38 第二取り付け手段
40 調整機構
42 環
46 デバイダ
54 留め金
66 固定機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者に衣類を固定するのに使用するためのストラップ部材であって、
a)ループ状部分と非ループ状部分と、
b)前記非ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けるための第一取り付け手段と、
c)前記ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けるための第二取り付け手段と、
d)前記ループ状部分が前記非ループ状部分に接合する点に位置し、前記ストラップ部材の長さを調整することが可能な調整機構と、
e)前記ストラップ部材を開放及び閉じさせる前記非ループ状部分上に位置する取り付け機構と、
を含むことを特徴とするストラップ部材。
【請求項2】
前記調整機構は、デバイダにより分離される1対の環を含み、前記ストラップ部材の1つの端部は、前記デバイダに固定されることを特徴とする請求項1に記載のストラップ部材。
【請求項3】
前記調整機構は、第一表面と第二表面とを有し、前記ストラップ部材の前記非ループ状部分は、前記デバイダの一部の周囲に、前記第一表面から前記第二表面に前記環の1つを通って通過し、前記第二表面から前記第一表面に前記他方の環を通って通過することを特徴とする請求項2に記載のストラップ部材。
【請求項4】
前記対の環の各々は、楕円形状の開口を有することを特徴とする請求項2に記載のストラップ部材。
【請求項5】
前記取り付け機構は、1対の相互係合する留め金を含むことを特徴とする請求項1に記載のストラップ部材。
【請求項6】
前記対の留め金の各々は、フックと環を含むことを特徴とする請求項5に記載のストラップ部材。
【請求項7】
前記環は、楕円形状の開口を有することを特徴とする請求項6に記載のストラップ部材。
【請求項8】
前記調整機構は、プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のストラップ部材。
【請求項9】
前記取り付け機構は、プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のストラップ部材。
【請求項10】
着用者に衣類を固定するのに使用するためのストラップ部材であって、
a)ループ状部分と非ループ状部分と、
b)前記非ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けるための第一取り付け手段と、
c)前記ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けるための第二取り付け手段と、
d)前記ループ状部分が前記非ロープ状部分に接合する点に位置し、前記ストラップ部材の長さを調整することが可能な調整機構と、
e)前記ストラップ部材を開放及び閉じることができる前記非ループ状部分上に位置する1対の留め金と、
からなることを特徴とするストラップ部材。
【請求項11】
前記調整機構は、デバイダにより分離される1対の環を含み、前記ストラップ部材の1つの端部は、前記デバイダ周囲に固定されることを特徴とする請求項10に記載のストラップ部材。
【請求項12】
前記第一及び第二取り付け手段は、ボタンであることを特徴とする請求項10に記載のストラップ部材。
【請求項13】
前記第一及び第二取り付け手段は、フック・ループ型締結具であることを特徴とする請求項10に記載のストラップ部材。
【請求項14】
前記第一及び第二取り付け手段は、複数の微小フックであることを特徴とする請求項10に記載のストラップ部材。
【請求項15】
前記取り付け機構は、1対の相互係合する留め金を含むことを特徴とする請求項10に記載のストラップ部材。
【請求項16】
着用者に衣類を固定するのに使用するためのストラップ部材であって、
a)ループ状部分と非ループ状部分と、
b)前記非ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けることが可能な第一取り付け機構と、
c)前記ループ状部分を前記衣類に取り外し可能に取り付けることが可能な第二取り付け機構と、
d)前記ループ状部分が前記非ロープ状部分に接合する点に位置し、前記ストラップ部材の長さを調整することが可能な調整機構と、
e)前記ストラップ部材を開放及び閉じることができる前記非ループ状部分上に位置する1対の相互係合する留め金と、
からなることを特徴とするストラップ部材。
【請求項17】
前記対の相互係合する留め金は、ロックするために及びロックを外すために、互いに対して部分的に回転することができることを特徴とする請求項16に記載のストラップ部材。
【請求項18】
前記対の留め金の各々は、同じ大きさであることを特徴とする請求項17に記載のストラップ部材。
【請求項19】
前記対の留め金の各々は、異なる大きさであることを特徴とする請求項17に記載のストラップ部材。
【請求項20】
前記対の留め金の各々及び前記調整機構は、同じ大きさであることを特徴とする請求項16に記載のストラップ部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−502248(P2010−502248A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526207(P2009−526207)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052601
【国際公開番号】WO2008/026089
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】