説明

衣類乾燥機

【課題】フィルターに付着するリント量を低減し、乾燥性能の低下を防止する。
【解決手段】ヒートポンプ装置7と、衣類等の乾燥対象を収容する乾燥室9と、乾燥室に衣類等を出し入れする開閉自在な扉体15と、蒸発器5、凝縮器3および乾燥室を通風連結した乾燥用空気風路10と、乾燥用空気風路に乾燥用空気を送風する送風機8と、衣類等から発生するリントを捕集するフィルター12とを備え、乾燥室から出た乾燥用空気を扉体を通してフィルターへ導かれるように構成し、蒸発器で発生した除湿水を扉体へ吐出するようにしたものである。これにより、乾燥室9から出たリントを含んだ乾燥用空気が扉体15内を通過するときに、扉体内に吐出した除湿水と接触し、扉体内においても乾燥用空気からフィルター12の手前でリントを捕集することができる。したがって、フィルター12に付着するリント量を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の乾燥をおこなう衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衣類乾燥機は、ヒートポンプサイクルを利用したものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。図3は、従来の衣類乾燥機の系統図を示したものである。図3において、衣類乾燥機は、圧縮機51、凝縮器52、絞り手段53および蒸発器54を連結したヒートポンプサイクルを有している。
【0003】
乾燥用空気を流す風路55は、乾燥用空気を加熱する凝縮器52と、衣類イを入れた乾燥庫56と、乾燥用空気を冷却し除湿する蒸発器54とを連結するように構成している。また、乾燥庫56と蒸発器54との間の風路55に、蒸発器54に供給される空気を冷却するための水冷除湿器57を設けている。
【0004】
水冷除湿器57では、水と高温となった冷媒が熱交換し、冷媒の熱の一部を水に放出するものであり、冷媒の温度の上昇を低減することができる。また、乾燥庫56と水冷除湿器57との間の風路55に、乾燥時に衣類イから発生するリントを回収するフィルター58を設けている。凝縮器52と乾燥庫56の間には、乾燥用空気を循環させるための送風機59を設けている。矢印Aは、冷媒の流れ方向を示し、矢印Bは、乾燥用空気の流れ方向を示している。
【0005】
以上のように構成された衣類乾燥機の動作について説明する。まず、乾燥運転を開始すると、圧縮機51および送風機59が作動する。送風機59によって乾燥用空気が凝縮器52を通過し、凝縮器52からの放熱で加熱されて温風となり、乾燥庫56に送られる。乾燥庫56内で衣類イと接触した乾燥空気は、衣類イから水分を奪って衣類を乾燥する。乾燥用空気は、蒸発のための熱量として顕熱を与えられるため温度が低下するが、衣類イから放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含んで高湿の空気となる。衣類イと接触する前後の乾燥空気のエンタルピはほぼ一定である。
【0006】
高湿となった乾燥用空気は、衣類イから発生したリントを含んでおり、フィルター58によりリントが回収された後に、水冷除湿器57によって、蒸発器54に供給される空気が冷却除湿され温度が下がる。さらに蒸発器54においても冷却され、潜熱を奪われ結露して除湿される。
【0007】
除湿されて絶対湿度が低下した乾燥用空気は、再び凝縮器52で加熱される。これにより、蒸発器54において、冷媒に吸熱される熱量が少なくなるので、冷媒温度が圧縮機51の許容温度を上回ることを防止でき、その結果、圧縮機51の回転を下げたり、停止させたりといった対策を行う必要がなくなり、乾燥性能を低下させることのない衣類乾燥機を実現させている。また、フィルター58でリントを回収しているので、蒸発器54にリントが付着して熱交換性能が低下することもない。
【0008】
一方、ヒートポンプサイクルは、圧縮機51で圧縮された高温高圧のガス冷媒が凝縮器52で乾燥用空気に熱を奪われ凝縮し液化する。次に、凝縮器52を出た冷媒は、絞り手段53で減圧され、低温低圧となり、蒸発器54で乾燥用空気から熱を奪い、再び圧縮機51に戻る。冷媒によって蒸発器54で奪った熱量に圧縮機51の入力から得られる熱量を加えた熱量が、凝縮器52から放熱されるが、水冷除湿器57によって圧縮機51の入力に相当する熱量を予め外部に放出するため凝縮器52からの放熱量は一定の値でバランスしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−253395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、フィルターは1箇所しか設けられておらず、乾燥工程の進行とともに、フィルターに付着したリントが風路圧損となり、乾燥性能を低下させるといった課題を有していた。
【0011】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、フィルターに付着するリント量を低減し、乾燥性能の低下を防止した衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置と、衣類等の乾燥対象を収容する乾燥室と、前記乾燥室に衣類等を出し入れする開閉自在な扉体と、前記蒸発器、前記凝縮器および前記乾燥室を通風連結した乾燥用空気風路と、前記乾燥用空気風路に乾燥用空気を送風する送風機と、衣類等から発生するリントを捕集するフィルターとを備え、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記扉体を通して前記フィルターへ導かれるように構成し、前記蒸発器で発生した除湿水を前記扉体へ吐出するようにしたものである。
【0013】
これによって、乾燥室から出たリントを含んだ乾燥用空気が扉体内を通過するときに、扉体内に吐出した除湿水と接触し、フィルターの手前でリントを捕集することが可能となるので、フィルターで捕捉されて付着するリント量を減少でき、リント付着による風路圧損の増加を低減することができるので、リント詰まりに起因する乾燥性能の低下が少ない衣類乾燥機を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の衣類乾燥機は、フィルターに付着するリント量を低減することができ、乾燥性能の低下を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥機の系統図
【図2】同衣類乾燥機の扉体の概略断面斜視図
【図3】従来の衣類乾燥機の系統図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、圧縮機と凝縮器と絞り手段と蒸発器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、衣類等の乾燥対象を収容する乾燥室と、前記乾燥室に衣類等を出し入れする開閉自在な扉体と、前記蒸発器、前記凝縮器および前記乾燥室を通風連結した乾燥用空気風路と、前記乾燥用空気風路に乾燥用空気を送風する送風機と、衣類等から発生するリントを捕集するフィルターとを備え、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記扉体を通して前記フィルターへ導かれるように構成し、前記蒸発器で発生した除湿水を前記扉体へ吐出するようにしたことにより、乾燥室から出たリントを含んだ乾燥用空気が扉体内を通過するときに、扉体内に吐出した除湿水と接触し、扉体内においても乾燥用空気からフィルターの手前でリントを捕集することができる。したがって、フィルターに付着するリント量を減少させることができ、リント付着による風路圧損の増加を低減することができるので、リント詰まりに起因する乾燥性能の低下が少ない衣類乾燥機を提供することができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の蒸発器の下方に除湿水回収タンクを設け、前記蒸発器で発生した除湿水を前記除湿水回収タンクに貯留するようにしたことにより、必要な所定量の除湿水をタンクに溜めてから扉体へ吐出することが可能となり、扉体を通る乾燥用空気からのリント捕集効率を向上させることができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の扉体にリント回収部を設け、扉体に吐出した除湿水を含んだリントを前記リント回収部に回収するようにしたことにより、乾燥室から出たリントを含んだ乾燥用空気が扉体内を通過するときに、扉体内に吐出した除湿水と接触したリントが除湿水を含んで重量が増し、乾燥用空気と分離されて自重により落下する。落下したリントは、扉体の底部に設けたリント回収部で容易に回収することができ、除去することができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第3の発明において、リント回収部に溜まった除湿水を除湿水回収タンクへ戻す戻り水路と、前記戻り水路を通して除湿水を前記除湿水回収タンクへ戻すポンプを設けたことにより、除湿水を除湿水回収タンクへ循環させることが可能となり、必要水量を確保することができるので、リント捕集効率を向上させることができる。
【0020】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、除湿水回収タンクに溜まった除湿水を扉体へ吐出する吐出水路と、前記吐出水路を開閉する開閉弁と、除湿水回収タンクに溜まった除湿水を検知する除湿水検知手段を設け、前記除湿水検知手段により除湿水を検知すると、前記開閉弁を開いて除湿水を前記扉体へ吐出するようにしたことにより、衣類から水分が除去され始めたことを検知して除湿水を扉体へ吐出することが可能となり、扉体へ吐出した除湿水によるリントの捕集を効率よくおこなうことができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における衣類乾燥機の系統図、図2は、同衣類乾燥機の扉体の概略断面斜視図である。図1および図2において、衣類乾燥機1は、冷媒を圧縮する圧縮機2と、圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する凝縮器3と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブからなる絞り手段4と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う蒸発器5を順に接続し、再び圧縮機2に冷媒が循環するように管路6で連結したヒートポンプ装置7が設けられている。矢印Cは、冷媒の流れ方向を示し、矢印Dは、乾燥用空気の流れ方向を示している。
【0023】
また、乾燥用空気を加熱する凝縮器3と、乾燥用空気を吸排気する送風機8と、衣類イを入れるための乾燥室9と、乾燥用空気から吸熱する蒸発器5とを環状に接続した乾燥用空気風路10が設けられている。乾燥室9の出口9aと蒸発器5との間の排出風路11の途中には、乾燥時に衣類イから発生するリントを捕集するためのフィルター12を設けている。蒸発器5の下部には、蒸発器5で発生した除湿水を溜めるための除湿水回収タンク13が配設されており、除湿水の有無を検知するために除湿水検知手段としてフロートスイッチ14が設けられている。
【0024】
また、乾燥室9出口9a側には、衣類イが出し入れ可能となるように、扉体15が開閉自在に設けられており、扉体15には、乾燥用空気の入口通気孔16と乾燥用空気の出口通気孔17が設けられている。また、除湿水を吐出させる除湿水吐出口18が扉体15の上部に設けられており、除湿水回収タンク13と除湿水吐出口18を吐出水路19で連結し、吐出水路19に設けた開閉弁20の開閉によって除湿水の吐出を制御している。
【0025】
除湿水吐出口18から吐出される除湿水は、扉体15内部の前方向に向かって吐出されるように構成されている。除湿水が吐出される扉体15内部の前方一面は、凸状突起21が複数設けられており、扉体15の下部は、リントおよび吐出された除湿水を回収するためのリント回収部22が着脱自在に設けられている。
【0026】
リント回収部22には、吐出された除湿水を除湿水回収タンク13へ戻すように戻り水路23が設けられており、ポンプ24によって除湿水回収タンク13へ戻るように構成されている。また、リント回収部22と戻り水路23との接続部には、排水フィルター(図示せず)が設けられている。
【0027】
吐出水路19と戻り水路23は、柔軟性を有する可撓性のシリコン樹脂製ホース等で構成しており、衣類乾燥機1内の限られた狭い空間に配管可能であり、小さなスペースで配管可能となるので、配管構成を簡素化することができる。なお、可撓性を有し、自由度のある配管が可能な構成であれば他の材料であってもよい。
【0028】
以上のように構成された衣類乾燥機について、以下その動作、作用について説明する。まず、乾燥運転を開始すると、送風機8と圧縮機2が作動する。送風機8によって乾燥用空気が凝縮器3を通過し、凝縮器3からの放熱で加熱されて、温風になって乾燥室9に送られる。乾燥室9内で衣類イと接触した乾燥用空気は、衣類イから水分を奪って衣類イを乾燥する。この時、乾燥用空気は高湿の空気となる。
【0029】
高湿となった乾燥用空気は、乾燥用空気風路10の一部を構成する扉体15の内部に設けられた風路を通過する。その後、乾燥用空気は、蒸発器5において冷却され、結露して除湿される。ここで発生した除湿水は、除湿水回収タンク13に回収される。除湿されて絶対湿度が低下した乾燥用空気は、再び凝縮器3で加熱され、乾燥室9へと送風される。
【0030】
一方、除湿水回収タンク13に除湿水が溜まり始めたことを除湿水検知手段であるフロートスイッチ14によって検知されると、開閉弁20を開いて除湿水を除湿水吐出口18から扉体15内に吐出させる。除湿水が溜まり始めるということは、乾燥室9内の衣類イから水分が除去され始め、衣類イの乾燥が進んでいるということを意味しており、衣類イの乾燥が進行すると、衣類イからリントが発生し、発生したリントは、乾燥用空気によってフィルター12まで運ばれ、フィルター12で捕集される。
【0031】
ここで、本実施の形態では、乾燥用空気は、乾燥室9の出口9aから扉体15の入口通気孔16を通って扉体15内に入る。扉体15内に入った乾燥用空気は、凸状突起21が多数設けられた扉体15の内部前方に向かって流れるように構成しているので、リントを含んだ乾燥用空気は、凸状突起21を設けた扉体15内部前方方向へ流れる。そのとき、乾燥用空気に含まれたリントは、凸状突起21に引っ掛かり、一部のリントが除去された乾燥用空気が出口通気孔17から排出風路11へと排出される。
【0032】
また、除湿水吐出口18から除湿水が吐出されているので、凸状突起21に引っ掛かったリントは、除湿水を含んで重量が増加し、自重により落下してリント回収部22へと除湿水とともに回収される。リント回収部22は着脱自在に構成されているので、乾燥運転終了後に回収されたリントを容易に取り出すことができ、使い勝手のよい衣類乾燥機を提供することができる。
【0033】
また、フロートスイッチ14によって衣類イから水分が除去され始めたことが検知可能となることで、リント発生のタイミングを検知することができるようになり、除湿水の発生が検知された後に、開閉弁20を開いてリント捕集を行うことにより、リント捕集効率を向上させることができる。
【0034】
また、除湿水回収タンク13を設けることにより、必要量の除湿水を除湿水回収タンク13に溜めてから、除湿水を吐出可能となり、効率よくリント捕集効率を向上させることができる。また、除湿水が吐出されている間は、扉体15前方一面は部分的には水滴が付着した状態となっており、乾燥用空気が通過することによって、水滴とリントが触れることで水滴にリントが捕集されるので、より効率的にリント捕集を行うことができる。
【0035】
そして、捕集されたリントは除湿水を含んでいるため、重量が増加し、自重により落下してリント回収部22に除湿水とともに回収される。また、リント回収部22には、吐出された除湿水を除湿水回収タンク13へ戻す戻り水路23が設けられており、ポンプ24によって除湿水回収タンク13へ戻すように構成されている。
【0036】
また、リント回収部22と戻り水路23との接続部には、回収したリントが除湿水とともに除湿水回収タンク13へ送られないように、排水フィルター(図示せず)を設けている。この構成により、リントを含まない除湿水を循環させることが可能となり、除湿水が不足することなく吐出可能となるので、リント捕集効率を向上させることができる。
【0037】
また、排水フィルターにより、リントが混入した除湿水からリントを除去することができるので、ポンプ24によって除湿水を循環させる場合に、ポンプ24にリントが詰まってポンプ24が故障するのを防止することができる。
【0038】
さらに、開閉弁20の開閉による除湿水の吐出ではなく、開閉弁20に代えてポンプを用いて吐出力を高めることで、凸状突起21に引っ掛かったリントを洗い流すという効果が新たに加わるので、効率よくリントが捕集可能となる。
【0039】
その後、扉体15の内部で捕集されなかったリントを含んだ乾燥用空気は、フィルター12にてリントが捕集されることとなるが、扉体15内で一部のリントを除去しているので、フィルター12で捕集されるリント量は減少することとなり、リントがフィルター12へ付着することによる風路圧損の増加を低減し、乾燥効率の低下を防止することができる。
【0040】
また、フィルター12へのリント付着量が減少するので、乾燥終了後にリント除去作業が行われなかった場合でも、次回の乾燥運転時において、大幅な乾燥性能の低下を防止することができるので、使い勝手の良い衣類乾燥機を提供することが可能となる。
【0041】
一方、ヒートポンプ装置7では、圧縮機2で圧縮された高温高圧の冷媒の熱が凝縮器3で放熱される。さらに、高圧の冷媒が絞り手段4で減圧されて低圧低温となり、蒸発器5で乾燥用空気から熱を奪い再び圧縮機21に戻る。冷媒によって蒸発器5で奪った熱量に圧縮機2の入力から得られる熱量を加えた熱量が、凝縮器3から放出される。
【0042】
ここで、凝縮器3から乾燥用空気へ放熱される熱エネルギーは、圧縮機2の消費電力相当分と、蒸発器5で乾燥用空気から吸熱される熱量の和にほぼ等しい。このため、凝縮器3は、圧縮機2に入力した電力以上の出力を得ることができ、乾燥用空気を加熱し乾燥室9内の衣類イへ投入することができる。
【0043】
しかし、乾燥用空気をそのまま循環させると、乾燥用空気全体の持つ熱量が増えるとともに、ヒートポンプ装置7の冷媒温度、冷媒圧力が高くなり、動作圧力が上昇する。それにより圧縮機2に過負荷がかかり、所定の冷媒温度、冷媒圧力になるように圧縮機2の回転数を低くしたり、停止させたりする必要がある。その結果、乾燥能力を低下させることになり、効率のよい乾燥ができない。
【0044】
そのため本実施の形態では、除湿水を吐出することによって、凸状突起21を構成している扉体15の内部前方一面が冷却されることになるので、扉体15の内部前方一面へ当たる乾燥用空気も冷却されることとなる。そのため、蒸発器5に供給される空気が冷却除湿され温度が下がる。さらに蒸発器5においても冷却され、潜熱を奪われ結露して除湿される。除湿されて絶対湿度が低下した乾燥用空気は再び凝縮器3で加熱される。
【0045】
これにより、蒸発器5において、冷媒に吸熱される熱量が少なくなるので、冷媒温度が圧縮機2の許容温度を上回ることを防止でき、その結果、圧縮機2の回転を下げたり、停止させるといった対策を行う必要がなくなり、乾燥性能を低下させることのない衣類乾燥機を提供することが可能となる。
【0046】
なお、本実施の形態では衣類乾燥機としたが、洗濯水を溜める水槽と、水槽に洗濯水を給水する給水装置と、水槽内の洗濯水を排水する排水装置を設け、洗濯機能を具備した洗濯乾燥機とすることによっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥機は、フィルターに付着するリント量を低減することができ、乾燥性能の低下を少なくすることができるので、衣類乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0048】
2 圧縮機
3 凝縮器
4 絞り手段
5 蒸発器
6 管路
7 ヒートポンプ装置
8 送風機
9 乾燥室
10 乾燥用空気風路
12 フィルター
15 扉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮器と絞り手段と蒸発器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、衣類等の乾燥対象を収容する乾燥室と、前記乾燥室に衣類等を出し入れする開閉自在な扉体と、前記蒸発器、前記凝縮器および前記乾燥室を通風連結した乾燥用空気風路と、前記乾燥用空気風路に乾燥用空気を送風する送風機と、衣類等から発生するリントを捕集するフィルターとを備え、前記乾燥室から出た乾燥用空気を前記扉体を通して前記フィルターへ導かれるように構成し、前記蒸発器で発生した除湿水を前記扉体へ吐出するようにした衣類乾燥機。
【請求項2】
蒸発器の下方に除湿水回収タンクを設け、前記蒸発器で発生した除湿水を前記除湿水回収タンクに貯留するようにした請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
扉体にリント回収部を設け、扉体に吐出した除湿水を含んだリントを前記リント回収部に回収するようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
リント回収部に溜まった除湿水を除湿水回収タンクへ戻す戻り水路と、前記戻り水路を通して除湿水を前記除湿水回収タンクへ戻すポンプを設けた請求項3記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
除湿水回収タンクに溜まった除湿水を扉体へ吐出する吐出水路と、前記吐出水路を開閉する開閉弁と、除湿水回収タンクに溜まった除湿水を検知する除湿水検知手段を設け、前記除湿水検知手段により除湿水を検知すると、前記開閉弁を開いて除湿水を前記扉体へ吐出するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−81641(P2013−81641A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223734(P2011−223734)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】